著者
森 宣雄
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、戦後70年にわたる沖縄現代史をトータルに把握する歴史叙述・哲学をまとめるとともに、それを理論的に〈下から〉のグローバル・ヒストリーとして位置づけ、さらにそこで見出された歴史上の社会思想を現在のグローバルな社会実践へと展開する新たな方法論を開拓した。その成果は専門的研究に裏打ちされた学術一般書をふくむ8件ほどの著書、国内外での多数の講演、多くの新聞雑誌での論考によって社会発信することができた。
著者
岩澤 聡子 道川 武紘 中野 真規子 西脇 祐司 坪井 樹 田中 茂 上村 隆元 MILOJEVIC Ai 中島 宏 武林 亨 森川 昭廣 丸山 浩一 工藤 翔二 内山 巌雄 大前 和幸
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.39-43, 2010

<b>目的</b> 2000年 6 月に三宅島雄山が噴火し,二酸化硫黄(SO<sub>2</sub>)を主とする火山ガス放出のため同年 9 月に全住民に島外避難命令が出された。火山ガス放出が続く中,火山ガスに関する健康リスクコミュニケーションが実施され,2005年 2 月に避難命令は解除された。本研究では,帰島後 1 年 9 か月経過した時点における,SO<sub>2</sub> 濃度と小児の呼吸器影響の関連について,2006年 2 月から11月の 9 か月間の変化を検討した。<br/><b>方法</b> 健診対象者は2006年11月時点で,三宅島に住民票登録のある19歳未満の住民を対象とした。そのうち,受診者は,141人(受診率50.4%)で,33人は高感受性者(気管支喘息などの気道過敏性のある呼吸器系疾患を持つ人あるいはその既往のあり,二酸化硫黄に対し高い感受性である人)と判定された。<br/> 健康影響は,米国胸部疾患学会の標準化質問票に準拠した日本語版の自記式質問票により,呼吸器に関する自覚症状調査,生活習慣,現病歴,既往歴等の情報を収集した。努力性肺活量検査は,練習の後,1 被験者あたり 3 回本番の測定を実施した。<br/> 環境濃度は,既存の地区名を一義的な括りとし,当該地区の固定観測点での SO<sub>2</sub> モニタリングデータをもとに,避難指示解除より健診までの22か月間のデータについて,その平均値により居住地域を低濃度地区(Area L),比較的曝露濃度の高い 3 地域(H-1, H-2, H-3)と定義し,SO<sub>2</sub> 濃度(ppm)はそれぞれ0.019, 0.026, 0.032, 0.045であった。<br/><b>結果</b> 自覚症状では,「のど」,「目」,「皮膚」の刺激や痛みの増加が,Area L と比較すると,H-3 で有意に訴え率が高かった。呼吸機能検査では,2006年 2 月と2006年11月のデータの比較において,高感受性者では%FVC,%FEV1 で有意に低下(<i>P</i>=0.047, 0.027)していたが,普通感受性者では低下は認めなかった。<br/><b>結論</b> 高感受性者では呼吸機能発達への影響の可能性も考えられ,注目して追跡観察していくべきである。
著者
橋本 雅行 譚 玉昆 森本 一成 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.89, pp.39-44, 1994-06-16
被引用文献数
4 1

対面感は実際に相手と面と向かっているという感覚であり,対面コミュニケーションと同様にテレコミュニケーションで自然な対話を行うのに重要である.この感覚は声の大きさや当事者間の距離,アイ・コンタクトの在存など多くの要素によって引き起こされる.本論文では,対面状況,ビデオ状況で生じる距離感について実験的に調べた結果を報告する.実験変数は被験者位置,画面サイズ,画面上の人物サイズである.被験者に実際の人物または画面に映った人物と自分との距離を答えさせたもので,ビデオ・コミュニケーションの場合は,画面の表示条件によって距離感が変化すことがわかった.また,距離感は対面感ないし臨場感を構成する要素の1つであることも判明した.
著者
平 和晃 田中 良実 大西 智子 森本 信三 山際 政弘
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P3074-B4P3074, 2010

【目的】近年、睡眠が運動記憶の固定化を促進することが明らかとなってきており、若年健常者では睡眠前と比べ睡眠後に、運動技能の向上がみられたと報告されている。脳卒中患者においても非麻痺側上肢での追跡課題では、睡眠によって運動記憶の固定化が促進されたと報告されている。しかし、脳卒中患者を対象とした研究は非常に少なく、脳卒中患者における系列動作学習での睡眠の効果は不明である。本研究では、指の系列運動課題を用いて脳卒中患者において睡眠が系列運動においての運動記憶の固定化を促進するか予備的に検討する。<BR><BR>【方法】高次脳機能障害、認知症がない(Mini mental state examination26点以上)の脳卒中患者3名を対象とした。症例1:50歳代の右利きの女性。右放線冠ラクナ梗塞の診断であり、発症から3か月経過していた。麻痺側Brunnstrom recovery stage(以下BRS)は上肢III、手指IVであった。症例2:70歳代の右利きの男性。左脳梗塞の診断であり、発症から1か月経過していた。麻痺側BRSは上肢V、手指Vであった。症例3:80歳代の右利きの女性。右放線冠梗塞の診断であり、発症から5ヶ月経過していた。麻痺側BRSは上肢III、手指IIIであった。運動課題は、非麻痺側上肢にて示指、小指、中指、環指の順に指をタッピングさせる課題とし、可能な限り速く、正確に実施するよう求めた。実施時間は、1セットを運動30秒―休憩30秒とした。初期学習は午前9時に15セット実施し、その12時間後と睡眠後の24時間後に再テスト(以下12hテスト、24hテスト)として各5セット実施した。症例3のみ、睡眠前テストによる学習効果を考慮して、初期学習の24時間後、36時間後に再テスト(以下36hテスト)とした。初期学習の最初の5セットはリズム刺激を与えながら実施し、それ以降はリズム刺激なしで実施し、リズム刺激なしでの各セット間の施行数の平均値を算出した。また、テスト施行時の覚醒度の評価としてカロリンスカ眠気尺度日本語版(以下KSS-J)を各テスト実施前に聴取し、全テスト終了後に実験期間中の睡眠時間と睡眠の質の評価指標であるピッツバーグ睡眠評価表日本語版(以下PSQI-J)を聴取した。<BR><BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言を遵守し,研究の主旨を文書にて説明し、署名にて同意を得た。<BR><BR>【結果】運動課題の施行数は、症例1、2では12hテスト実施時に比べ、睡眠後の24hテストにて施行数の増加を認め、症例3では睡眠後の24hテストで施行数の増加を認めたが、36hテストでは増加を認めなかった(症例1:初期学習12.3±2.63回、12hテスト13.0±3.24回、24hテスト17.4±1.95回、症例2:初期学習18.6±0.84回、12hテスト19.8±2.3回、24hテスト22.6±1.67回、症例3:初期学習11.5±0.71回、24hテスト13.8±0.84回、36hテスト13.6±0.9回)。KSS-Jは、症例1、2では初期学習と12hテストにて高い覚醒度を示し、24hテストでは低下したが、症例3では変化を認めなかった(症例1:初期学習3、12hテスト3、24hテスト7、症例2:初期学習4、12hテスト3、24hテスト8、症例3:初期学習3、24hテスト2、36hテスト3)。睡眠時間は、症例1が9時間、症例2が7時間30分、症例3が8時間であったが、症例2、3は2時間ごとに覚醒されていた。PSQI-Jは、症例2のみカットオフ値を上回っていた(症例1:1点、症例2:8点、症例3:3点)。<BR><BR>【考察】全ての症例で24hテストでの施行数の増加が認められたことから夜間の睡眠が運動記憶を固定化させた可能性が考えられた。これは、他の運動課題で実施している先行研究と一致するものであった。各症例の運動記憶の固定化が促進された要因として、脳卒中患者の睡眠時間中のノンレム睡眠の段階2が占める時間が高齢者と比較して多いことが考えられる。また、症例2,3では2時間ごとに覚醒されていたにも関わらず、24hテストの実施数が増加したことも、睡眠の1周期が90分であることから、ノンレム睡眠の段階2が関与しているためであると考えられる。しかし、症例2、3は症例1と比べ、睡眠後のテストの施行数の増加が少なかった。これは、ノンレム睡眠の段階2の時間が睡眠周期の増加に伴い増加することから、症例1に比べ症例2,3はノンレム睡眠の段階2の時間が少なかったためであると考える。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】本研究により夜間の睡眠が脳卒中患者の運動記憶の固定化を促進させる可能性が明らかとなった。今後は対象者を増やした上での統計学的検討、短時間の睡眠と脳卒中患者の運動記憶の固定化の関連性について検討する必要がある。
著者
大森 巍
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

テクネチウムおよびレニウム放射性同位体標識医薬品の合成を念頭において,テクネチウムおよびレニウム錯体の配位子置換反応を平衡論的および速度論的に検討した。テクネチウム錯体を用いて研究する際に問題となるテクネチウムの定量を,過テクネチウム酸イオンの還元・配位子置換反応による錯体合成の過程を必要としない過テクネチウム酸イオンをトリス(1,10-フェナントロリン)鉄(II)イオンとのイオン対抽出によってニトロベンゼンに抽出して,そのまま分光光度定量する簡便な方法を確立した。テクネチウム錯体で最近注目されているテクネチウム-ニトリド錯体についで,テトラクロロアルソニウム(TPA)イオンを用いての溶媒抽出法で検討した。テトラクロロニトリドテクネチウム(VI)酸イオンの加水分解反応機構を解明し,加水分解化学種の生成定数を求めた。Tc≡N結合のトランス位の置換活性度について,3,5-ジクロロフェノール(DCP)を用いて検討したが,有機相についてはニトリド基の著しいトランス効果は認められなかった。またDCPはTPAとのイオン対形成の為に,その協同効果も認められず,むしろニトリド錯体の抽出を阻害することがわかった。ビス(アセチルアセトナト)ニトリドテクネチウム(V)の塩基加水分解反応をアセトニトリル溶液中で速度論的に検討し,錯体へのアセトニトリルの置換に伴う水酸化物イオンの攻撃によって,アセチルアセトン錯体は分解するという機構を確立し,それぞれの速度定数を求めることができた。テクネチウム(III)錯体合成の出発物質として注目されているヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)イオンの過テクネチウム酸イオンからの生成反応機構を,ジメチルチオ尿素,ジエチルチオ尿素など一連の化合物を用いて速度論的に比較検討した。さらにヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)イオンとジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)との反応を速度論的に検討し,テクネチウム(III)-DTPA錯体の生成機構を確立した。ヘキサキス(チオウレア)レニウム(III)錯体の加水分解反応機構を,分光光度法により検討し,テクネチウム(III)錯体のそれと比較した。この結果からヘキサキス(チオウレア)レニウム(III)錯体のレニウム(III)錯体合成の出発物質としての可能性に関して考察した。これらの結果を基にテクネチウムに関する置換反応について,レビューし,「第1回テクネチウムに関する日ロセミナー」において発表した。
著者
田中 圭 森 拓郎 井上 正文
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2011年3月11 日の東日本大震災では、多くの木造住宅が津波による浸水を受けたものの構造的な被害は免れた。また、東海・東南海・南海連動地震の新しい被害想定では、東海から九州に至る太平洋沿岸で最大36m もの津波到達が予測されている。この地域は、平野部に都市圏を抱えるため、仮設住宅で対応できる規模を大きく上回る住宅が浸水することが予測される。これを踏まえ、数時間から数日間水没を経験した木造住宅が余震の続く状況下で再使用が可能か、学術的に検証した。この結果、壁倍率は、1日養生後にわずかな低下が見られたが、3か月経過後は養生環境にかかわらず、コントロール試験体と同等の値まで回復する結果となった。
著者
大橋 力 仁科 エミ 不破本 義孝 河合 徳枝 森本 雅子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.539, pp.29-34, 1997-02-20
被引用文献数
9 1

26kHzをこえる高周波成分は、それ単独では人間に音としてきこえないにもかかわらず、それをふくんだ音は、それを除外した音にくらべて、脳波α波ポテンシャルを統計的に有意に増大させるとともに共存する可聴音をより快適に感受させる効果をもつことをみいだした。この高周波成分のもつ感性効果「ハイパーソニック・エフェクト」について、研究の経緯、使用したシステム、高周波成分の生理学的・心理学的効果などについて概観する。
著者
尼崎 光洋 煙山 千尋 森 和代
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.53-62, 2014
被引用文献数
4

This study examined the applicability of the health action process approach (HAPA) for determining the prevalence of physical exercise among Japanese workers (<i>N</i>=2,200; 1,100 men and 1,100 women; Mean age=39.89 years, <i>SD</i>=10.44), who participated in the study. They completed a packet of questionnaires that included an assessment of socio-demographic variables, such as gender and age, a modified physical exercise index, and an assessment of socio-cognitive variables, such as risk perception, outcome expectancies, self-efficacy, behavioral intention, and planning. Structural equation modeling using the maximum likelihood estimation method was employed to examine the HAPA. Results indicated satisfactory fit indices (GFI=.997, AGFI=.989, CFI=.997, RMSEA=.031). Moreover, results confirmed the applicability of HAPA, which explained 34% of the variance in physical exercise among Japanese workers. Each path between observed variables in the HAPA model had a significantly positive influence on the corresponding variable, with the exception of the path from negative outcome expectancy to behavioral intention, which had a significantly negative effect. It is concluded that the HAPA is a useful framework for identifying the determinants of physical exercise prevalence among Japanese workers.
著者
馬場 新悟 菅 幹生 大城 理 湊 小太郎 松田 哲也 小森 優 高橋 隆 徳富 義宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.350, pp.23-27, 2000-10-06
被引用文献数
4 1

近年, ロボット手術支援など医療分野で力覚提示技術が注目されている.しかし, そのヒューマンインターフェースに関する性質は必ずしも十分には検討されていない.この研究では, 力覚フィーフォバックディスプレイ装置でペン型ジンバルのインターフェースを利用する場合を対象に, 人間の力覚特性, すなわち, 振動刺激閾値周波数特性とその弁別閾の特性を心理物理的実験によって明らかにした.これらの結果は, 力覚デバイスを用いてVRシステムを設計する際の基礎的データとして利用できる.
著者
君塚 仁彦 王 智新 石 純姫 藤澤 健一 橋本 栄一 大森 直樹
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本共同研究では、2003(平成15)年度から2005(平成17)年度までの3ヵ年の研究期間において、東アジアにおける戦争記憶の保存と表象のあり方に関して、歴史学を中心軸にしながら博物館学・植民地教育史学・言語学・哲学などの学術的視点をも援用し学際的かつ総合的な解明を行なった。特に調査研究の遂行にあたっては、日本のみならず中国・韓国・沖縄の研究者とともに行う国際的な研究体制を堅持した。研究期間内に、中国・韓国・沖縄・日本における戦争博物館・戦争遺跡の調査・研究を各年度の計画に基づいて実施したが、全体として、海外実地調査を5回、国内実地調査を6回、国内研究会を4回、海外での研究報告を3回、海外(中国・重慶)での特別講演会を1回実施することができた。その結果、これまで日本国内では、その存在さえも十分に認知されていなかった戦争遺跡等のいくつかを調査することができ、現地研究者との研究・情報交流を踏まえて、各地域における戦争記憶が、遺跡や博物館という形を取りながらどのように保存され、表象されているのか、またどのような歴史的背景存在するのかなどを具体的に解明することができた。また本研究成果の特色として、中国・韓国など海外、また沖縄などにおいて、日本が起こした近代以降の侵略戦争による加害・被害の史実認識、歴史認識共有化を目的とした現地研究者との学術研究交流を活発に実施したことをあげることができる。戦争記憶に関する歴史認識共有は今後の東アジアにとって極めて重要な課題であり、平和実現への欠かすことのできないステップでもある。研究代表者および分担者・協力者は、その目的達成のため、研究期間内での諸議論を踏まえて、本共同研究の研究成果発表の一環として、君塚仁彦編著『平和概念の再検討と戦争遺跡』(明石書店、2006年)を上梓し、その成果をより広く共有されるようにした。
著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.411-416, 2009-02-24
被引用文献数
3

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,コンテンツごとに人気度が異なり,コンテンツのリクエスト数分布やコンテンツのネットワーク上の存在数分布がべき乗側に近い性質を持っていることが報告されている.これにより,フラッディングを用いてコンテンツの検索を行うと,人気度の高いコンテンツは発見しやすいが,人気度の低いコンテンツは発見しにくいという問題がある.さらに,人気度の高いコンテンツを検索する際に無駄なメッセージが多く発生するという問題が生じる.そこで,本稿では,コンテンツの人気度に応じて検索時のTTL(Time To Live)を制御する方式を提案する.本方式では,コンテンツの人気度を過去にそのコンテンツを検索したメッセージが通過した回数で計算し,人気度の高いコンテンツを検索する際には,TTLを小さく設定し,人気度の低いコンテンツを検索する際には,TTLを大きく設定する.これにより,人気度の高いコンテンツを検索する際に,高いヒット率を維持しながら無駄なメッセージが減少し,かつ人気度の低いコンテンツのヒット率が向上する.結果として,P2Pネットワーク全体で高いヒット率を維持させながら,メッセージ数を減少させる効果が期待できる.また,本稿では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
今西 亜友美 柴田 昌三 今西 純一 寺井 厚海 中西 麻美 境 慎二朗 大澤 直哉 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.641-648, 2008 (Released:2009-11-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

ヒノキ林化した都市近郊二次林をアカマツまたは落葉広葉樹主体の林相に転換させることを目的として,母樹を残した小面積 (0.06~0.09 ha) の伐採を行った。3 つの伐採区 (上部,中部,下部) のいずれにおいても伐採後に消失した種はなく,伐採後3 年目には10 種以上の種数の増加が確認された。中でも,落葉広葉樹林の主要構成要素を含むブナクラスの種が上部と中部では6 種,下部では4 種増加し,林相転換に一定の効果が得られたと考えられた。前生稚樹は伐採後にほとんどの個体が枯死し,伐採後の林相には大きく寄与していなかった。散布種子についてはその大部分がヒノキで占められており,風散布種であるヒノキはプロット内に多量の種子を散布することで伐採後の林相に大きな影響を与えると考えられた。また,伐採後3 年目には新たな種の出現がほとんどみられなかったことから,林相が単純なヒノキ林では周囲からの新たな種の供給は少ないと考えられた。伐採面積の最も大きかった上部の伐採区 (0.09 ha) では,相対日射量が60% 以上あり,ヒノキの発芽と生存率が抑制されたと考えられ,アカマツとヒノキの混交する林相への転換が期待された。一方,中部と下部の伐採区では,全実生個体数のうちヒノキが50% 以上を占めており,今後,選択的除去などの人為的な管理が必要であると考えられた。
著者
福元 雄一郎 師田 信人 塩田 曜子 森 鉄也
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.581-588, 2014 (Released:2014-07-25)
参考文献数
25

ランゲルハンス組織球症 (LCH) は中枢神経晩期合併症をきたし得る比較的まれな疾患である. われわれは, 2005年3月∼2010年9月までの間に当科で手術を施行したLCH 14例の臨床的特徴について後方視的に検討した. 多くは有痛性の緩徐に増大する頭部腫瘤で発症し, 化学療法を施行した13例中2例で再燃した.  LCHには多発・再燃例があるため, 全身検索が必須である. また, 頭蓋病変では中枢神経晩期合併症の防止が重要である. 約半数が多臓器に発症し, 化学療法を行ったにもかかわらず2例で再燃したことからは, 外科単独治療の危険性が示唆される. LCHの治療では小児腫瘍専門医との共同診療が推奨される.
著者
中森 亨
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

沖縄県石垣島、鹿児島県奄美大島、高知県大月町で現生造礁サンゴ群集の観察と写真撮影を行い,そこに生息する造礁サンゴのリストを作成した。同じ海域において,海水を採取し,海水のpH,全炭酸,全アルカリ度と自動センサーを用いて水温と光量子フラックスを測定した。これらの化学成分の変化を元に群集の有機,無機炭素生産速度を計算した。これらの二つの生産を、水深と緯度の関数としてモデル化した。

1 0 0 0 OA かたちの詩学

著者
森川 晃輔 國枝 孝弘
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
研究会優秀論文
巻号頁・発行日
(Released:2013-03-00)

國枝孝弘研究会2012年度秋学期 はじめに 第一節 本研究の意義 第二節 本研究の概要第一章 言語メッセージを芸術作品たらしめるものは何か 第一節 詩的機能 第二節 詩的機能の応用 第三節 ボードレール「猫たち」の分析 第四節 ヤコブソンの詩学の問題点第二章 詩における主体性 第一節 言語における主体性 第二節 詩における主体性 第三節 言葉と沈黙第三章詩のかたち 第一節 詩的言語と意味の弾性 第二節 イメージと記号 第三節 詩のかたち 第四節 他者への呼びかけとしてのかたち結論おわりに謝辞参考文献一覧
著者
青峰 正裕 大和 孝子 西森 敦子 仁後 亮介 松岡 伴実
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ストレスに対しては視床下部-下垂体-副腎系が密接に関与している。しかし、糖尿病患者ではストレスに対する抵抗性の低下がしばしば報告されている。そこで本研究ではラットを糖尿病にし、さらに副腎を摘出してストレス負荷前後の行動や脳海馬神経伝達物質セロトニン放出を調べた。その結果糖尿病では総移動距離の減少傾向を示し、副腎摘出は多少行動の低下を引き起こしたが有意ではなかった。一方、セロトニン放出もストレス負荷前後での副腎除去の有意な影響はみられなかった。糖尿病プラス副腎除去は高い死亡率を引き起こし十分な実験例数を確保できなかったが、少なくとも今回の実験系では副腎の関与の程度は大ではないことが示唆された。