著者
市原 寛 榊原 正幸 大野 一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.12, pp.746-757, 2004-12-15
被引用文献数
1 1

四国北西部に存在する南北系の地形構造の一つ,松山平野"堀江低地"について,重力異常探査および既存のボーリング資料により検討を行った.ボーリング資料より,低地下に東落ちの基盤深度の不連続帯およびこれに向かって急傾斜する堆積層の地層境界面の存在が明らかになった.また,重力探査によると,明瞭な負のブーゲー異常帯が低地とほぼ平行に存在することが明らかになり,その西端部の急変帯は上記の基盤深度の不連続帯によることが解明された.これらのデータより,走向が北北西-南南東で,東落ちの堀江断層が低地下に伏在すると推定される.堀江断層は正断層成分を持ち,堀江低地下に堆積盆を形成しており,南方の中央構造線活断層系の分布域まで延長されると考えられる.堀江断層は,少なくとも更新世には活動していたと推定される.
著者
塩村 耕 高橋 亨 阿部 泰郎 榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本で最重要の文化資産は古典籍であるが、どのような内容の書物が存在するのか、把握し難い状況にある。そこで、記述的な書誌DBを提唱し、そのモデルケースとして、古典籍の宝庫として知られる西尾市岩瀬文庫について悉皆調査とDB作成を行い、2010年11月に公開を開始することが出来た。最大かつ最も詳細な書誌DBで、これにより資料間にある先人未知の連関が判明し、将来にわたり、文庫の活用につながるものと期待される。
著者
榊原 寛
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

二年目の平成21年度は,前年度の成果に加えて3つの研九行よっこ.一つ目は、PBNゲートウェイ間のネットワークを、首藤らによるOverlayWeaverというDHTベースの実装を採用した.昨年度のプロトタイプ実装では、10台程度までしかスケールしない設計であったのに対し、今年度は数万台単位でのPBNゲートウェイの接続も可能としている.今後は、PBNの想定する環境に最も適したDHTアルゴリズムの選定を行なって行く予定である.二つ目は、異種ネットワークノードにより構成されるオーバレイの管理APIの整備である.前年度は単一のオーバレイの利用のみ可能であったが、今年度のAPI整備により、任意の名前を持つ任意個数のオーバレイの作成が可能となった.異種ネットワークノードは、任意の数のオーバレイに参加可能である.今後は異なるオーバレイを結合させる際、どのようにアドレスやルーティングを変更するべきかについて研究を進めて行く予定である.最後は、仮想アドレスに関してである.昨年度のプロトタイプ実装では、仮想アドレスはスタティックなアドレス空間しか利用できなかったが、本年度の実装では、任意のアドレス空間を指定し、オーバレイネットワークのアドレスとして利用可能にした.また、異なるオーバレイが結合した際に発生しうる、アドレスの衝突の回避アルゴリズムについて考案した.
著者
高山 守 榊原 哲也 西村 清和 小田部 胤久 中島 隆博 藤田 正勝 美濃部 重克 安田 文吉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

哲学、芸術、国家の密接な関係が、「家族」、「理性の目的論」、「ケア」、「場所の記憶」、「国民文化」、「日本的な自然」、「自然の人間化」、「世俗化」、「啓蒙」、「近代の超克」、「新儒家」、「家」、「お店」、「かぶき(傾き)-歌舞伎-」、「道理」、「鬼神力(怨霊)」、「観音力」、「まつろわぬもの」等々の概念を媒介に、深層レベルで明らかにされた。
著者
塩村 耕 高橋 亨 阿部 泰郎 榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

人間とは動物の中で唯一死の概念を有する「死を知る人(homo memor mori)」であり、そうであるがゆえに未来へ本を遺し、過去の本を読む「本の人(homo librarius)」でもある。したがって、書物は人類の遺した文化遺産の中で最重要のもので、我々は遺されたそれらの全体像を出来るだけ明らかにすべき責務がある。この研究計画の目的は、古典籍の宝庫として知られる西尾市岩瀬文庫の古典籍全1万8千点について、各書籍の書誌、成立、内容を詳細に書き込んだ、いまだかつて見られないような「記述的(descriptive)」な書誌DB(データベース)を完成・公開し、そのことを通して新たな時代の書誌目録のあり方を全国の所蔵機関や文庫に提案することにある。本研究計画に先立つ事前調査を含めて6年間の集中的調査を経て、現在1万1千点について調査入力が終了した。また、DB公開運用の先行モデルとして、並行して調査を進めてきた名古屋大学附属図書館神宮皇学館文庫について平成17年4月より書誌DBを公開し、新たに判明した問題点を改善した。まだまだ前途は遼遠ながら、岩瀬文庫という豊富にして多彩な内容を含む一大文庫について、DBを完成公開する夢の実現が具体化しつつある。正直に言えば、古典籍にかかわる一研究者として、珠玉の知見に満ちたDBを公開することに躊躇する気持ちは、調査開始以後しばらくの間は強くあった。しかしながら、大量の古典籍-その全ては死者の遺したものである-に触れる中で、書物と人間との関わりについて体感開悟するところがあり、今ではDBの公開が書物の活用に大きく資するものであり、そのことが書物を遺してくれた先人たちに対する報恩となることを確信している。そして、このようなDBが方々の文庫に備わることによって、日本の人文学が新たな局面に一歩を踏み出すに違いない。
著者
榊原 保志
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,都市表面形状が夜間ヒートアイランドに与える影響について検討したものである.まず,都市モデルと郊外モデルを用いたスケールモデル実験とヒートアイランドの調査資料を基に,長波放射収支量の都市内外の違いに関与する天空率が夜間ヒートアイランドとの関係を検討した.スケールモデル実験の結果,都市の天空率が大きいとこの効果は小さく,都市内外の気温差にあまり影響を与えないことが分かった.つぎに,都市表面パラメータによって高層住宅地と低層住宅地を比べると,天空率,緑被率,建蔽率では両住宅地の違いは小さいが,高層住宅地の容積率やラフネスパラメータは低層住宅地よりはるかに大きくなった.そこで,当地域に共存する高層住宅地と低層住宅地の夜間のヒートアイランド強度ΔTu-rと風速の関係を検討したところ,どちらの住宅地でも風速が大きくなるにつれてΔTu-rは少しずつ小さくなるのに対し,その上限値は単純に小さくなるのではなく,ある風速を頂点とする山型になった.さらにこの最大値が生じる風速は高層住宅地では風速1.4m/sであるのに対し,低層住宅地では0.8m/sと小さかった.これらのことから,都市表面の大きなラフネスによる機械的混合が夜間ヒートアイランド形成原因に有力であることが示唆された.小都市における建蔽率,容積率,天空率,ラフネスパラメータ等の地表面パラメータの分布について調べた.その結果によると,いずれの地表面パラメータも都市が高く都市を中心とする同心円状の等値線が得られた.そして地表面パラメータはいずれも0.8程度の気温偏差との相関が見られた.
著者
弓 削繁 美濃部 重克 小林 幸夫 榊原 千鶴 小助川 元太
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

戦国末期は文化が中央から地方へ、公家から武家・町人等へと拡散し、次第に貴族的なものから世俗的なものへと変容を遂げていく時期にあたっているが、本研究は古河公方の重鎮一色直朝(月庵)が編纂・著述した『月庵酔醒記』の注釈・典拠研究に基づいて、この過渡期の文化継承のありようを具体的に明らかにしたものである。注釈・典拠研究の成果は3冊の注釈書(うち1冊は準備段階のもの)に、また注釈・典拠研究から見えてくる文化継承上の諸問題に関する研究成果は1冊の研究書に結実している。
著者
永沼 宙 徳田 功 木村 美和子 今川 博 榊原 健一 田山 二朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.399, pp.5-10, 2007-12-12
参考文献数
6

声帯麻痺による音声障害は声帯の複雑な非線形振動に起因しており,病態との関連については未解明な問題が多い.声帯数理モデルの異常振動解析による音声障害の理解は,音声外科手術に際しても重要な知見を与える可能性がある.声帯モデル研究では,単純な二質量モデルから複雑な多質量モデルに至るまで様々のモデルが存在するが,これまでは,声帯の標準的かつ定性的な性質に着目することが主流であり,実際の声帯計測データの個々の定量的性質を反映したモデル化を目指した例は0少ない.本研究では,高速デジタル撮影法を用いて臨床的に計測された声帯の異常振動データに対して,その定量的性質を実現するために,数理モデルのパラメータ推定を行う.数理モデルには非対称な二質量モデルを用い,声門下圧,左右の声帯張力,声門開口面積などのパラメータを推定する.外科手術前後のデータを用いることにより,手術効果がパラメータの推定結果に反映されているかを判定する.これによって,数理モデルによる音声外科手術のシミュレータが構築可能かを検討する.
著者
岡崎 文明 一ノ瀬 正樹 小浜 善信 伊集院 利明 谷 徹 榊原 哲也 杉田 正樹 日下部 吉信 須藤 訓任 赤井 清晃 柏端 達也 塩路 憲一 古田 智久 三浦 要 菊地 伸二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の課題は<西洋古代から現代に至る二千六百年に及ぶ哲学史の統一的理解・再構築は可能か?>である。我々は共同研究を通じて再構築は可能であると結論することができた。これは「実存的歴史観」(vde.渡邊二郎『歴史の哲学-現代の思想的状況-』講談社、1999)によって支えられる。その具体的な姿は本研究グループの各メンバーによって各に示される。研究代表者の見解を要約すれば、西洋哲学史には2伝統、即ち古代ギリシア哲学(=ヘレニズム=善の優位性の思想)の伝統と西洋中世以降の哲学(=ヘブライズム=存在の優位性の思想)の伝統とが存存する。両伝統における「万有の根源の解釈」は根本的に異なる。しかし両者は新プラトン主義(原型)の第2段階「存在者-生命-知性」(三一)を或る仕方で共有することによって相互影響を受け、中世以降に新たな思想を生む。その結果、中世では存在論が、近世では認識論が、現代では生命論、新たな認識論と存在論がそれぞれ中心となった新しい哲学生まれる。中世から現代に至る諸哲学は1セットとして、ギリシア哲学に対峙し得る。その内容は下記の研究成果に示される。我々の研究成果の一部はまず第1の共同研究成果論文集『西洋哲学史の再構築に向けて』(1999)に示される。この外にもメンバー21人の各の研究論文等においても示される。その成果総数は学術論文209本、國内外の学会・研究会口頭発表87回、図書(単著)9冊である。更に平成15年中に第2の共同研究成果論文集『西洋哲学史観と時代区分』を公刊しようとしている。続く第3の共同論文集『現代の哲学-二千六百年の視野において-』は平成15年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)に申請中である。さらに第4の共同論文集『西洋哲学史再構築試論』も平成16年度科究費(研究成果公開促進費)に申請する予定である。以上が研究成果概要である。
著者
榊原 憲
出版者
日本テレワーク学会
雑誌
日本テレワーク学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
no.11, pp.123-126, 2009-06-20

「子は親の背中を見て育つ」といわれるが,親が集合勤務を行うため出勤する姿を見て育った子供,あるいは集合勤務オフィスを舞台にしたテレビドラマなどを日常的に視聴して育った子供に対して,分散勤務(テレワーク)ではなく集合勤務が当たり前であるという職業観意識の刷り込みが行われている可能性,およびそれが,子供が将来勤務者になる場合の勤務形態希望に影響する可能性がある.そこで現在小学校3年から6年に在籍する合計112人の学童に対して,企業などの組織に就業する場合でもICT技術を用いて在宅で勤務できることの説明を小学校クラス担任教諭からしたうえで,希望勤務場所に関する意識調査を,自由記述を含む質問紙調査法を用いた質的調査として行った.その結果,企業テレワーク実施可能職業を将来希望すると回答した学童のうち,在宅勤務ではなく通勤による集合勤務を希望する者の割合は約77%で,学年があがるにつれ集合勤務を希望する者が増える傾向が見られた.また,自由記述回答の内容には,「在宅では仕事をする感覚が得られずよくない」,「集合勤務なら同僚と楽しく仕事ができる」等の社会心理的意識,または教師の説明をきっかけとした前意識の顕在化と思われる回答が見られた.これらの意識は従来研究による企業テレワーク阻害要因の枠を超えないが,既に学童期に意識形成されていることが判明したので報告する.
著者
佐藤 輝幸 井上 彰 福原 達朗 榊原 智博 太田 洋充 海老名 雅仁 西條 康夫 貫和 敏博
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.257-261, 2009

<b>背景</b>.上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブは,活性型EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者に対して著明な抗腫瘍効果をもたらすが,後に生じる耐性化への対策は十分に検討されていない.<b>方法</b>.2004年6月∼2007年6月の間に,当施設で活性型EGFR遺伝子変異陽性と診断され,ゲフィチニブ治療が開始された進行非小細胞肺癌患者を対象に,増悪形式に関連した臨床的特徴をレトロスペクティブに解析した.<b>結果</b>.51例にゲフィチニブ治療が行われ,奏効率,病勢制御率は各々71%(36/51),86%(44/51)であった.病勢制御できた44例のうち,2008年4月末時点で33例に増悪を認め(無増悪生存期間中央値14ヶ月),21例は胸郭内,12例は遠隔臓器での増悪(うち10例は脳転移)であった.脳転移増悪例の過半数では放射線治療とともにゲフィチニブが3ヶ月以上継続され,生存期間中央値は28.2ヶ月と極めて良好であった.耐性遺伝子変異T790Mは全て原発巣近傍から検出された.<b>結論</b>.ゲフィチニブ治療例においては異なる増悪形式が認められ,それぞれの機序をふまえた治療法の開発が望まれる.<br>
著者
榊原 茂樹
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.41-49, 1989-02-01
被引用文献数
6

北海道大学苫小牧演習林において、動物によるイチイの種子散布機構を明らかにするため、種子の生産と消費について2本の調査木(I、II)を対象にして調査した。調査木Iでは36,628個の種子が、またIIでは2,785個の種子が生産された。生産された種子は、樹上では鳥類により(調査木Iで73%、IIで46%)、地上ではネズミ類により(Iでは14%、IIで34%)高い比率で消費されたが、全生産量の約5%はヤマガラの貯食行動により散布された。この5%のうち、37%は樹皮の裂目や針葉の間などの樹上に貯食され、63%が地上に貯食された。地上での貯蔵の多くは、樹木の根際や急斜面などの比較的特定の場所に集中して行われた。これらの貯食場所はイチイ稚樹の更新場所とほぼ一致していた。さらに、種子の散布距離の頻度と稚樹の分布との間には密接な関係がみられた。これらの結果から、ヤマガラによるイチイ種子の貯食散布がイチイの分散と更新にとって重要な意味をもつと考えられた。ヤマガラ以外の動物も含めて、イチイとその種子散布者の相互関係について論じた

1 0 0 0 OA 秘符深密伝

著者
榊原英海 著
出版者
榊原文吉
巻号頁・発行日
1910
著者
榊原 悠紀田郎
雑誌
齒科學報 (ISSN:00373710)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.501-505, 2000-05-30