著者
江尻 宏泰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.426-434, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
62

ニュートリノは,電子と同じ軽い素粒子で,電荷がなく「弱い力」が作用する.ニュートリノの基本的な性質や反応には,・ニュートリノ(粒子)も反ニュートリノ(反粒子)も中性の粒子だが,ニュートリノは,粒子と反粒子が同じマヨラナ粒子か,あるいは別のディラック粒子か,・ニュートリノ振動の観測から,ニュートリノには質量があることがわかったが,どのくらいの質量があるのか,・超新星爆発によるニュートリノ(超新星ニュートリノ)は,どう原子核と反応し,どのような原子核を生成するか,というような未解決の重要問題があり,現在,各国で研究中だ.これらは,原子核内でニュートリノが関与する崩壊や反応を調べて研究できる.原子核の特殊な二重ベータ崩壊では,原子核内の中性子がベータ崩壊で陽子になり,その際に放出された反ニュートリノが,ニュートリノとして,原子核内の別の中性子に吸収されてベータ崩壊を起こし,陽子に変わる.すなわちニュートリノが放出されない.このような崩壊は,反ニュートリノとニュートリノが同じであるマヨラナ粒子の場合に起こる.崩壊確率T 0νは,ニュートリノの(有効)質量mの二乗と核レスポンスB0νに比例し,T 0ν=kB0νm2である.崩壊確率T 0νを測って質量を求めるには,核レスポンスB0νが必要だ.B0νはこの崩壊で2中性子が2陽子になる核行列要素M 0νを用いてB0ν=|M 0ν|2と書ける.超新星ニュートリノの反応によって原子核内の中性子が陽子になり新原子核が生成される場合,その確率T νはニュートリノの量ϕと核レスポンスBνに比例して,T ν=k′Bνϕである.ニュートリノ量ϕから新原子核の生成率(変換率)を知るには,核レスポンスBν=|M ν|2が要る.M νは反応で中性子が陽子になる核行列要素だ.これらの核レスポンスの正確な値を理論的に計算することは,原子核が核子,中間子,励起核子の複雑な多体系なため,すべてを計算に取り込むことが不可能なので,大変難しい.また,ニュートリノビームを使って直接測定することは,反応率が非常に小さく,実側が極めて困難だ.最近,筆者らのグループは,阪大の核物理研究センターで,荷電交換反応を測定してニュートリノの核レスポンスが調べられることを示した.入射する3Heの荷電交換反応で,原子核内の中性子が陽子になる反応の測定から,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノの反応で,中性子が陽子になる際の核レスポンスを調べた.また,ミュー粒子が荷電交換して原子核に捕獲される反応を測って,原子核内の陽子が中性子に変わる際の核レスポンスを調べた.荷電交換反応による実験のポイントは,反応率が大きく高精度の測定ができることと,プローブの粒子(3Heやミュー粒子)と原子核との相互作用オペレーターが,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノと原子核との相互作用オペレーターと同じ型であることだ.ニュートリノの核レスポンスでは,アイソスピンとスピンと運動量が関与するレスポンスが重要だが,同じ型のレスポンスを荷電交換反応で測定できた.荷電交換反応による核レスポンスの実験研究の知見を基に,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノなどの核レスポンスB0νとBνが求められた.それらの核レスポンスを基に,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノ核生成の研究が進み,ニュートリノの基本の解明が進むことを期待したい.
著者
江尻 愛美 河合 恒 藤原 佳典 井原 一成 平野 浩彦 小島 基永 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.125-133, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
25

目的 本研究は,都市部の地域在住高齢者における社会的孤立の予測要因を縦断的に明らかにし,その予防策を検討することを目的とした。方法 2012年10月1日時点で東京都板橋区の9町丁目に在住する65歳から85歳の高齢者7,015人を対象として,郵送法による質問紙調査を行った。回答が得られた3,696人に対し,2014年に再度質問紙を送付し,2,375人から回答を得た。孤立は,「別居家族や友人等との対面・非対面接触頻度が合計で月2,3回以下」と定義した。その他の調査項目は,2012年の性,年齢,健康度自己評価,現病歴,手段的日常生活動作(IADL),外出頻度,団体参加頻度,家族構成,主観的経済状況とした。孤立の予測要因を検討するため,上記の調査項目と,2014年の孤立の有無との関連を,t検定,カイ二乗検定およびロジスティック回帰分析で検討した。結果 孤立に関してデータが完備した1,791人中,2014年の孤立者は348人(19.4%),非孤立者は1,443人(80.6%)だった。多変量のロジスティック回帰分析の結果,男性(調整オッズ比,95%信頼区間:1.88,1.41-2.50),加齢(1歳増加)(1.03,1.01-1.06),団体参加頻度が週1回以上の者と比較して,月1~3回の者(1.62,1.04-2.53),主観的な経済状況が苦労していない者と比較して,苦労している者(1.67,1.20-2.32),2012年の非孤立者と比較して,孤立者(10.24,7.60-13.81)と,孤立状態不明者(8.15,3.76-17.67)は,孤立の発現率の高まりと有意に関連していた。また,ベースライン時に孤立していなかった者において,男性(2.39,1.57-3.64),健康度自己評価が非常に健康である者と比較して,健康でない者(3.99,1.33-11.94)は,2年後に新たに孤立する可能性が有意に高かった。結論 都市高齢者の孤立を予防するためには,社会活動への定期的な参加が有効である可能性があり,孤立の危険性の高い高齢男性に対して活動への参加促進を図っていくことが効果的であると考えられた。
著者
江尻 一成 谷口 洋 村上 啓治 石原 健造 玉川 正博 傳 秋光 吉岡 正子 馬場 茂明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.1007-1010, 1982-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

Tris (hydroxymethyl) aminomethane (Tris) has been shown to inhibit selectively the Golgi apparatus and Golgi-endoplasmic reticulum-lysosomal system (GERL system) of several kinds of cells including pancreatic B cells. The present study was undertaken to assess the effect of Tris on insulin release and synthesis in pancreatic B cells.Islets isolated from male Wistar rats by the collagenase method were incubated for 60 min at 37°C under 95% O2-5% CO2. In the presence of 8.3 mM glucose, the insulin secretion was 3.45±0.19 neislet·60 min. However, addition of 1 and 10 mM Tris reduced the insulin release to 2.33±0.31 and 1.27±0.19 neislet·60 min, respectively. Furthermore, the incorporation of 3H-leucine into the immunoreactive proinsulin and insulin fraction was lowered in the presence of 10 mM Tris compared to that in its absence in 2-hr incubation studies. The ratio of the radioactivity of the immunoreactive insulin fraction to the sum of that of the immunoreactive proinsulin and insulin fraction was reduced by 10 mM Tris.Thus, Tris inhibited not only insulin secretion but also the conversion from proinsulin to insulin. The present study suggests that the Golgi apparatus and GERL system may play a role in insulin secretion and biosynthesis in pancreatic B cells, and that Tris may represent a useful agent for investigating the mechanism of conversion from proinsulin to insulin.
著者
江尻 愛美 河合 恒 安永 正史 白部 麻樹 伊藤 久美子 植田 拓也 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-155, (Released:2022-06-30)
参考文献数
27

目的 住民主体の通いの場の支援では運営に関わる住民の負担軽減と心理社会的健康の維持が必要である。本研究では,通いの場における役割の違いによる課題認識について把握し継続支援方法を検討すること,役割と心理社会的健康との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2018年に,島嶼部を除く東京都内53区市町村の担当者を通じて住民主体の通いの場活動を行う自主グループへ調査員訪問による自記式質問紙調査への協力を依頼し,40区市町155グループ2,367人より回答を得た。グループの運営における役割は,グループのメンバーをまとめるリーダー,リーダーとともにグループを運営するサポーター,とくにグループの取りまとめに関する役割のない参加者の3種類から選択させた。対象者を,通いの場活動における課題(10種類)を1つでも感じている者とそうでない者に分けた。心理的健康はWHO-5精神的健康状態表を,社会的健康はLubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6)を尋ねた。役割と認識している課題の内容との関連をカイ二乗検定で,役割および課題認識の有無と心理社会的健康の関連を二元配置共分散分析で検討した。結果 有効回答者数は2,096人で,リーダー174人,サポーター296人,参加者1,626人だった。課題を感じていない者は,リーダー8.6%,サポーター27.7%,参加者53.6%であり有意な関連が認められた(P<0.001)。リーダーは運営メンバー不足,グループの高齢化などの課題を参加者よりも多く認識していた。二元配置共分散分析の結果WHO-5とLSNS-6のいずれも役割の主効果のみ有意であり(いずれもP<0.001),役割と課題認識の交互作用は認められなかった(それぞれP=0.729, P=0.171)。役割間の多重比較の結果リーダーとサポーターは参加者よりWHO-5とLSNS-6の得点が有意に高かった。結論 通いの場において運営に関わる役割を担う者ほど活動時の課題を多く認識し,運営に関わる課題は役割間の認識の差が大きく,役割間での課題の認識のされやすさに応じた支援が有効であると考えられた。一方,課題認識の有無に関わらず,リーダーやサポーターは参加者より心理社会的健康が高かった。通いの場で役割を持つことが心理社会的健康に良い影響を与える可能性について今後は縦断研究による検証が期待される。
著者
江尻 桂子 松澤 明美 Keiko Ejiri Akemi Matsuzawa
出版者
茨城キリスト教大学
雑誌
茨城キリスト教大学紀要. II, 社会・自然科学 = Journal of Ibaraki Christian College. I, Humanities, II, Social and natural sciences (ISSN:13426370)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.153-160, 2013

The present study discusses workforce participation and family income of households with mothers who take care of children with disabilities. We collected data from 103 Japanese mothers of children with disabilities using a questionnaire survey. The results showed that they face more difficulties in participating in paid work, and their households have lower family incomes compared to mothers of children without disabilities. On the basis of these results, we discuss the importance of providing financial and other support for families who take care of children with disabilities.
著者
吉田 一也 江尻 廣樹 磯谷 隆介 原 和彦 藤縄 理
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.277-282, 2014 (Released:2014-05-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3

〔目的〕自然立位の脊柱アライメントと肩甲骨位置と肩甲上腕関節外転可動域の関係について検証した.〔対象〕運動器障害のない成人男性40名(25±5歳)とした.〔方法〕測定肢位は自然立位とし,頸部屈曲角,円背指数,骨盤傾斜角,胸郭周径,肩甲骨位置,肩甲上腕関節外転可動域を測定した.統計解析として,重回帰分析で脊柱アライメント,肩甲骨位置,肩甲上腕関節外転可動域の関連性を検討した.〔結果〕胸椎後弯と胸郭周径,肩甲骨位置に特に高い関連性があった.〔結論〕骨盤前傾,腰椎前弯・胸椎後弯・胸郭周径の増大による肩甲骨の外転・上方回旋が示唆された.肩甲骨は胸郭上にあるため,胸椎弯曲・胸郭形状から大きな影響を受けると考えられる.
著者
中島 求 江尻 祐介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp._J053014-1-_J053014-5, 2011

In the previous study, the swimmer mannequin, which reproduces the 3D body shape of an athlete swimmer with high fidelity and can perform three degrees-of-freedom motion, was developed, and the fluid force acting on the swimmer mannequin was measured. In this study, the unsteady fluid force acting on the swimmer mannequin was modeled. The formulation of the swimming human simulation model SWUM, which the authors have already developed, was used for the fluid force model. Three fluid force coefficients in the model were determined using the optimizing calculation so that the discrepancy between the simulated fluid force and experimental one became minimum. Further, the unified coefficients were determined by taking the averages of the values for all the trials. Using the unified determined fluid force coefficients, the comparisons between the simulated fluid forces and the experimental ones were carried out. It was found that the simulation could reproduce the experimental characteristics with respect to the time fluctuation.
著者
江尻 英治 磯野 大樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.852, pp.16-00569-16-00569, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
23

A fuel cell with a simple structure and operating at nearly ambient temperature and pressure is suitable for low cost small-sized generator sets ranging from several to tens Watts for home, outdoor and emergency use. This kind of fuel cell is called passive or self-breathing PEFC. Water management is very important and sometimes crucial for a long term stable operation in the passive type PEFC because control of gas temperature and humidity is inherently not easy for the PEFC. In this paper, various performance characteristics regarding the passive type PEFC were experimentally investigated using a rated 55 W fuel cell module with 20 cells laid out in plane. The properties, such as the output voltage of each cell, the temperature, pressure and humidity of hydrogen and air, were measured with time in the dead-end system and the recirculation system for hydrogen supply. The water balance in the fuel cell module was then calculated and the behavior of generated water, which should cause output power breakdown and voltage fluctuation in certain conditions, was also discussed. Results showed that a sudden power breakdown in a long time continuous operation with dead-end hydrogen supply system was caused by flooding in the anode and that this shortcoming was overcome by introducing a simple hydrogen recirculation system with valves and a water trap. Results also showed that 95% of produced water by the reaction was discharged from the cathode to the atmosphere in the form of vapor and that 5% trapped in the form of liquid in the hydrogen recirculation system.
著者
松田 麗子 マツダ レイコ Matsuda Reiko 江尻 晴美 エジリ ハルミ Ejiri Harumi 中山 奈津紀 ナカヤマ ナツキ Nakayama Natsuki 梅田 奈歩 ウメダ ナオ Umeda Nao 牧野 典子 マキノ ツネコ Makino Tsuneko
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.42-48, 2016-03

本研究の目的は、術後患者の観察場面を設定したシミュレーション演習における学生の体験を構造化して特徴を明らかにし、教育への示唆を得ることである。対象は、看護系大学3・4年次生で、術後患者の観察が未経験の学生24名である。演習の課題は、術後患者の呼吸を観察して、その内容を教員に報告することである。演習終了後、1人20分程度の半構造的面接を1回行った。面接内容は対象者の承諾を得てICレコーダに録音し、逐語録を作成してテキストデータとした。テキストデータはテキストマイニングソフト「KH Coder」を使用し分析を行った。総抽出語数と文章数はそれぞれ288,65語、2,610文であった。頻出語分析、共起ネットワーク分析、階層的クラスター分析の結果「経験から体得する」「観察不足に自ら気づく」「念のために全部観察する」「他者の評価を気にして緊張する」「急性期看護学実習に備える」の5クラスターにまとめられた。内容を検討した結果、この演習は実際に体を使うことで身に付くという経験から体得する演習であったこと、急性期看護学臨地実習に備え必要な演習であったと価値を見出していた。今後の課題として、(1)学生自身が自らを振り返り、課題を見出すためのディスカッションができるデブリーフィングの充実、(2)学生が見出した課題を試す場を設定する必要性、(3)トレーニングを目的としたシミュレーションの演習では、学生が緊張しないための場の雰囲気作りをする必要性などが示唆された。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
大隅 秀晃 江尻 宏泰 藤原 守 岸本 忠史
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

山脈の宇宙線トモグラフィーを得ることに成功すれば、掘削不可能な広い範囲の地質や地層に対する新しい情報(エネルギー損失係数の3次元分布dE/dX(p,A,Z)-つまり地層の密度と構成粒子の原子番号等の関数)が得られ、地質や地層の研究に応用できる。この方法を推し進めれば、宇宙線地学という新しい研究分野開拓の契機となる。この研究をめざして、紀伊半島中部にある山岳トンネル(大塔天辻トンネル、地下約470m(最大)、長さ約5km)内から、そのトンネルを覆う山脈の宇宙線(μ粒子)トモグラフィー(山脈の断層写真)を得るために以下の検出器開発と実験研究をおこなった。1.宇宙線(μ粒子)の方向・強度を測定するためプラスチックシンチレーターホドスコープ(1m×1m)、データ取り込み回路の開発をおこなった。開発したプラスチックホドスコープは、位置分解能と検出効率とコストパフォーマンスを考慮した設計で、シンチレータとウエーブレングスシフタ-を組み合わせて少ない光電子増倍管で、大面積を覆う設計となっている。2.大塔天辻トンネルの地層に対する資料調査を行なった。建設時に地質調査が詳しくなされていることが判明し、地質、地質の境界、断層、破砕帯、風化帯等の資料が得られた。また各地点の弾性波速度の詳細な資料も得られた。したがって本研究で測定できるエネルギー損失係数の3次元分布との詳細な対比が可能となった。3.プラスチックシンチレーターホドスコープの地上(大阪大学理学部)でのデータ取り込みテストを行ない、設計で目標とした、予定通りの性能が得られた。また地上での宇宙線の3次元強度分布の測定を行ない、今まで発表されている、地上での宇宙線強度と矛盾のないことを確かめた。4.大塔天辻トンネルに持ち込み各点での宇宙線の強度および方向の精密測定については、その予備テストを行なったが、核物理センターの大塔コスモ実験室の建設のため、トンネル内への立ち入りが制限されたため、本格的な三次元分布の測定は次年度にひきつづき行なう予定になっている。
著者
伊藤 久美子 河合 恒 西田 和正 江尻 愛美 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-083, (Released:2023-02-10)
参考文献数
11

目的 介護保険法改正により基準緩和型サービスが創設され,地域住民が担い手として介護サービスに参加できるようになったが,その具体的な方法は示されていない。我々は通所型サービス事業所(以下,事業所)に教育機能を付加し,地域住民をサブスタッフ(介護予防の一定の知識・技術と守秘義務を持ち,職員の支援のもと自立に向けたケアを有償で提供する補助スタッフ)として養成する「サブスタッフ養成講座(以下,養成講座)」を開発した。本報告では,養成講座を自治体の介護予防事業等で実施するために,実践例の紹介と調査を通して,実現可能性と実施上の留意点を検討した。方法 養成講座は4か月間のプログラムで,介護予防等の知識の教授を目的とした講義(1時間/回,全16回)と,サービス利用者のケアプランの目標や内容を把握し職員の支援のもと介護サービスを提供する実習(半日/回,全13回)で構成した。修了後の目標は事業所での活動や地域での介護予防活動とした。2015~2017年度に東京都A市,B市,千葉県C市の14事業所にて養成講座を実施した。評価は,修了率,養成講座参加前後の活動の自信・介護予防の理解度の変化と修了後の地域活動状況,サービス利用者が受講生から介護サービス提供を受けることによる精神的影響,事業所職員の仕事量軽減の認識について,受講生,サービス利用者へのアンケート,事業所職員へのインタビューにより行った。活動内容 養成講座修了者は104人中96人(修了率92.3%)であった。受講生へのアンケートの結果,参加前後で事業所での活動の自信や介護予防の理解度が有意に向上し,65.3%が修了後に事業所での活動を含む新しい地域活動の実施に至った。サービス利用者へのアンケートの結果,受講生から介護サービス提供を受けた利用者は受けていない利用者と比べ負の精神的な影響が多くなかった。養成講座を実施した事業所の85.7%が地域住民のサービス参加により仕事量が軽減されたと回答した。結論 養成講座は受講生の活動の自信・介護予防の理解度を向上させ,半数以上が新しい地域活動への実施に至っていた。受講生の介護サービスへの参加は利用者への負の影響が少なく,事業所にとっても仕事量軽減につながることが示唆された。これらのことから,養成講座の介護予防事業等での実現可能性は高いと考えられた。