著者
大家 正太郎 清水 壽一 堀川 芳明 山本 慎一 中村 元二
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学水産研究所報告 (ISSN:09117628)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.129-142, 1984-10-30

本文データはCiNiiから複製したものである
著者
清水 克志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100069, 2015 (Released:2015-10-05)

1.はじめに 近代日本における馬鈴薯(ジャガイモ)の生産地域としては,開拓と西洋農法・作物の推進が図られた北海道が圧倒的な地位にあることは周知の事実である.実際,馬鈴薯の全国生産量における北海道のシェアは,明治30年代(1897~)に過半数を超えて以来,高率を維持し,近年では約80%を占めている. ところが,明治20(1887)年における北海道の同割合は23%に過ぎず,中央高地や東北各県の地位が相対的に高かった.例えば山梨県(旧甲斐国)では,天明の飢饉(1782~88年)を契機に救荒作物として導入され,生産が拡大していった伝承が残っている.また,高野長英が天保7(1836)年に著した『救荒二物考』には,「甲斐国に於て明和年間,代官中井清太夫の奨励によりて早く該地に藩殖し,今に至るまで清太夫薯の名あり,是より信州,飛騨,上野,武蔵等にも伝わりしにや,信州にては甲州薯と呼び,飛騨にては信州薯と唱う」という記述があり,甲斐を起点として周辺地域に伝播していったことが知られている. 本報告では,明治初期に編纂された官庁統計類のうち,郡ごとに集計されている「全国農産表」(明治9~12年)や「共武政表」(明治12年)の分析を中心に,近代初頭時点における馬鈴薯の普及の実態を把握した上で,普及の地域差とその要因について検討する.2.馬鈴薯の郡別収穫量-「全国農産表」の分析- 明治9(1876)年から明治15(1882)年にかけて編纂された「全国農産表」(明治11年以降は「農産表」)には,馬鈴薯が米麦をはじめとする穀類や甘藷(サツマイモ)などとともに,「普通農産」14品目に含まれている.このうち明治9~12年の4年分が郡別に集計されている. 図1は,4年次分の馬鈴薯の収穫量について,明らかに誤記とみられる数値を適宜補正した上で平均値を割り出し,さらに「共武政表」(明治12年)の郡別の人口で除した値を,階級区分したものである.このうち,第1ランク(20斤=12kg以上)に該当する郡は7(図中A~G)であり,阿波郡の160斤が最大である.第2ランク以上の郡の多くが,北関東甲信越から東北地方にかけて集中していることや,東北日本・西南日本ともに,山間部が卓越する地域に属していることが読み取れる. その一方で,約700郡の3分の1にあたる231郡では,4年次ともに馬鈴薯の項目が記載されていないことから,明治前期の時点では,馬鈴薯が導入すらされていない地域が,広範に存在していたことも確認できる.このほか,4年間で収穫量が急増している郡も相当に確認できるが,これらの郡では,この時期が馬鈴薯の本格的な導入期に該当していたとみられる.3.馬鈴薯の大字別生産状況-「共武政表」の分析- 同時期の「共武政表」には,将来の徴用が見込める主要な産物が,郡別はもとより,「人口百人以上の輻輳地」については,大字(旧村)別に記録されている.この記載をもとに,馬鈴薯の生産地の分布をみると,東北日本を中心に山間部の村落に多い特徴が読み取れる.これは,甘藷の生産地が西南日本の沿岸部や島嶼に多く分布していることとは対照的であり,両者は相補分布の関係にあるといえる. 当日の発表では,近世から馬鈴薯の生産が盛んであった地域に焦点をあて,そこでの作物複合や伝統的加工法,在来品種の残存状況などについても報告する.
著者
Randall John E. 清水 長
出版者
魚雑
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.109-115, 1994

モーリシャスで採集した新種<I>Plectranthias pelicieri</I>を記載した.本種は他の種から, 前鯛蓋骨下縁に3本の前向棘があることで区別できる (外見で見にくい場合には触れると分かる).その他に背鰭はX, 16-17で細長い皮弁が数本の中程の長い棘の後端にある, 胸鰭は13軟条で全て不分枝, 側線は完全で側線鱗は29, 赤と黄の地に青から白の横縞の入る体色などの特徴がある.<BR>また生時の色彩が特徴なので, <I>P. gardineri</I> (Regan, 1908) のカラー写真を初掲載した.
著者
谷口 哲也 宮嵜 武 清水 鉄也 姫野 龍太郎
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.257-264, 2006-06-25 (Released:2010-10-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1

高速度ビデオカメラを用いて, 人間とピッチングマシンによって投げられた硬式野球ボールと真球の撮影を行い, その抗力係数と揚力係数を求めた.進行方向に回転軸をもつ「ジャイロボール」を投球する為に, 市販のピッチングマシンを改造した.硬式野球ボールの場合, ストレートの抗力係数は測定されたレイノルズ数 (Re数) 領域 (1×105<Re<2×105) でほぼー定値であったが, ジャイロボールの抗力係数はRe数とともに減少傾向を示し, Re=1. 8×105の周辺で最小値をとることが分った. 真球の場合, ストレートとジャイロボールともに抗力係数が硬式野球ボールのものよりも大きく, ボールの縫い目が流れに影響することが確認された.
著者
佐々木 創 清水 孝太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.63, 2009

わが国の機械情報産業等がアジア諸国へ進出するに伴い、現地の製造プロセスから大量の工程くず・オフスペック品が発生するようになっている。これら工程くず・オフスペック品の多くは、十分な処理・リサイクルをされずに第三国へ輸出されていることが多く、資源流出という点や環境配慮という点から問題になっている。そこで、アジア諸国へ進出するわが国の機械情報産業等を資源戦略の観点から支援し、また新たな環境ビジネスの展開可能性も探るため、技術同友会が提言しているクリティカルメタルの中からタングステンを対象として、アジア諸国におけるレアメタルのリサイクルビジネスのあり方を検討するために、国際資源循環のフローの推計を行った。
著者
山根 京子 小林 恵子 清水 祐美
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.219-229, 2018 (Released:2018-06-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

若者のワサビ離れの実態は不明であり,ワサビや辛味の嗜好性との関係も調べられたことはなかった.そこで全国の農業高等学校15校と老人介護施設3施設を対象に郵送でアンケート用紙を送付し,高校生594人および高齢者65人から有効回答を得て辛味に関する嗜好性を分析した.その結果,高齢者より高校生で,高校生男子より高校生女子で「ワサビ嫌い」が有意に多くみられることがわかった.辛い食べ物やトウガラシでは世代,性別間で有意な差はみられなかった.嫌いな理由として「鼻にツンとくるから」が72%と最も高かった.ワサビ好きと「回転寿司の利用頻度」と「肉の嗜好性」とは無関係であり,「魚の嗜好性」と 「生ワサビの経験値」 と有意な関係性がみられた.一方,「家族のワサビの経験値」とも有意な関係性がみられ, ワサビの嗜好性には家庭環境が影響を与えている可能性がある.今回の結果から,若い人たちが本当のワサビの味を知らず,身近な食材としてトウガラシをより好む傾向になりつつある現状が浮かびあがった.より多くの人たちに生ワサビを食する機会を設けるなど何等かの対策を講じる必要があるだろう.
著者
三瀬 直文 清水 英樹 西 隆博 興野 寛幸 正木 一伸 西尾 恭介 出川 寿一 多川 斉 杉本 徳一郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.65-70, 2004-01-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
31
被引用文献数
3

セリン蛋白分解酵素阻害薬であるメシル酸ナファモスタット (NM) は, 出血性病変または出血傾向を有する血液透析患老の抗凝固薬として多用されている. われわれは, 1999年から2002年の間に経験したNMに対する重篤なアレルギー症状を呈した11例と, 過去の報告例を検討して, NMアレルギーの特徴を分析した.症例は65±6歳 (55歳-76歳) の男性6例, 女性5例, 透析期間は8±6年 (0年-23年) であった. 透析導入の原疾患, 透析膜にも一定の傾向はなかった. 他方, 全例にNMの投与歴があり, さらに10例 (91%) に他の薬剤に対するアレルギー歴が認められた. アレルギー症状は, ショックが4例, 発熱が4例 (1例は喘息様症状を伴う), 全身皮疹が3例であった. ショックは透析開始後15分以内に発現したが, 発熱の出現時間は透析中から透析終了6時間後までと一定しなかった. 全例とも, NMの中止にて症状が消失した. いずれも他の抗凝固薬を投与した血液透析時には, 過敏症状を示さなかった. 臨床検査値では, 好酸球増多が測定された8例中6例で認められたが, 血清抗NM抗体測定検査は3例中2例で陰性であった.過去のNMに対するアレルギー報告例においても, 透析期間, 透析導入の原疾患, 透析膜にも一定の傾向は認めていない. また, ほとんどの症例が再投与時にアレルギー反応を発現しており, 初回投与例はまれであった.NMに対するアレルギー反応は, 過去に投与歴のあるものが多く, 薬剤に感作された症例が再投与時に過敏症状を呈すると考えられる. アレルギー反応の発症を確実に予期する方法はなく, 抗凝固薬としてNMを投与する場合, 特に再投与時は, たゆまぬ注意が求められる.
著者
清水 當尚 宇野 準 伊藤 継孝 増田 義信 黒川 美貴雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.533-547, 1996-07-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
55
被引用文献数
4 8

Zonisamide (1, 2-benzisoxazole-3-methanesulfonamide, AD-810) is a broad spectrum antiepileptic drug which has been launched in Japan and South Korea. It lacks the ureide structure included in most of the existing antiepileptic drugs. Zonisamide was synthesized by the sulfonation and the successive amination of 1, 2-benzisoxazole-3-acetic acid in a very poor yield. After several efforts to optimaize the compound, zonisamide was selected based on the balance of the efficacy and safety. The yield was greatly improved by the development of new synthetic routes. Zonisamide suppressed maximal electroshock seizures in mice, rats, rabbits and dogs. Its therapeutic plasma concentration range between anticonvulsant and neurotoxic effects was much wider than that of the existing antiepileptic drugs. In electroencephalographic studies on animal models of epilepsy, zonisamide, like phenytoin and carbamazepine, restricted the spread or propagation of seizures and, like sodium valproate, it suppressed the epileptogenic focus activity. Zonisamide was effective in several kindling models. In clinical studies, zonisamide exerted the efficacy against partial seizures (simple, complex, secondarily generalized seizures) and some generalized seizures (tonic-clonic, tonic, atypical absence seizures) that were comparable to that of carbamazepine and sodium valproate, respectively. Zonisamide was also effective in monotherapy. The adverse effects related with zonisamide were mainly drowsiness, ataxia, loss of appetite and gastrointestinal symptoms. Serious adverse effects which may be life-threatening have not been reported.
著者
髙清水 康博 永井 潤 岡村 聡 西村 裕一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.1-16, 2013-01-15 (Released:2013-05-08)
参考文献数
61
被引用文献数
5

北海道太平洋沿岸の胆振海岸東部に分布する古津波の復元を,堆積学的解析によって試みた.この津波堆積物は,現海岸線からの距離に対して,層厚と代表粒径が減少し,淘汰は良くなる強い相関関係を持つことが認められた.この津波堆積物の不攪乱定方位試料の粒度組成と粒子配列の解析からは,少なくとも3回の強い津波の浸入が認められる.特に,今回解析した地点1の津波堆積物の粒子配列のデータは,地点1では東北東への流れを示す遡上流のみからなる可能性を示した.これらの証拠から,砂丘の背後に広がる湿原に浸入した津波堆積物の堆積モデルを呈示した.最初に砂丘を乗り越えた津波は,地表面を侵食し,泥炭偽礫を取り込む.津波によって流入した海水のほとんどは,海側にある標高の高い砂丘のために海へ戻らずに,沿岸低地に静水域を形成する.引き続く津波は,この静水域の水底の堆積物を侵食する強い力は持たない.最終的に,海水は地下浸透と蒸発によって消滅する.
著者
清水 敦彦 浅野 良雄
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-19, 2003-03-01

The "dialog method" took out only active listening technique in counseling and simplified it. A principle of the "dialog method" is a thing to "check the main point of a partner wanting to say by a word to a partner before saying a thought and a feeling of oneself." The purpose of this study is to make the standard that judges arrival degree of the "dialog method" skill. The writers made the questions in order to measure the "dialog method" skill and carried out investigation. As a result, a meaningful difference was watched between degree of achievement of the "dialog method" and scores, and it became clear that this standard was effective.
著者
清水 昌 森川 忠則 新田 一誠 坂本 恵司 和田 浩一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.1, pp.1-9, 2002 (Released:2004-03-03)
参考文献数
34
被引用文献数
1

D-パントラクトン(D-PL)は,B群ビタミンのD-パントテン酸やD-パンテノール,D-パンテテイン,コエンザイムAの合成に重要なキラルビルディングブロックである.D-PLの製造は,これまで,化学的合成法により得たラセミ体混合物をキラルアミンによるジアステレオマー塩生成を含む複雑な光学分割法により行われてきた.D-パントテン酸製造におけるこの光学分割プロセスを回避あるいは改良するため,立体選択的な酵素反応の導入を検討した.すなわち,この目的に利用できる幾つかの反応を微生物に探索し,ラクトン環の2位OH基の立体を認識して分子内エステル結合を不斉加水分解し,DL-PLをD-パント酸とL-PLに分割できる反応がFusarium属および類縁糸状菌に広く分布することを発見した.本反応に関与する新規酵素“ラクトナーゼ”の諸性質を解明するとともに,本酵素を高活性で含むFusarium oxysporumの菌体をアルギン酸カルシウムで包括固定化することによって酵素の安定化と再利用を図り,180回以上の繰り返し使用を可能にした.これにより,常温,中性付近の温和な条件下に,副生物をほとんど伴わず,30–35%のDL-PLをほぼ定量的に分割できる実用的方法が確立された.本酵素的光学分割法は,1999年より3000 t/y規模(D-パントテン酸カルシウム換算)で工業化され,従来法に比し,経済性のみならず環境調和型の点でも優れた生産法であることが明らかとなっている.
著者
小林 万里 石名坂 豪 角本 千治 若田部 久 小林 由美 清水 秋子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 = Mammalian Science (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.207-214, 2007-12-30
参考文献数
12

北海道東部から襟裳岬に至るゼニガタアザラシの1970年以来の個体数減少と納沙布岬周辺で混獲され大量死亡する個体の関係を知るために,1982年と1983年に納沙布岬周辺のサケ定置網におけるアザラシ類の混獲数調査が行われた(以下,80年調査).80年調査からちょうど20年後,海洋環境の変化や北海道東部のゼニガタアザラシの個体数が増加傾向にある中,アザラシ類の混獲数や特性の変化を知るために,過去と同じ要領で納沙布岬周辺のサケ定置網におけるアザラシ類の混獲数調査を2002年と2003年に実施した(以下,00年調査).その結果,80年調査と比較して,00年調査の結果では,歯舞漁協管内の15ヶ所の定置網におけるアザラシ類の混獲数は,ほぼ同数(80年調査272頭,00年調査261頭)で,また,アザラシ類がもっとも多く混獲される定置網の位置や混獲されたアザラシ類の種構成[最多がゼニガタアザラシ(<i>Phoca vitulina stejnegeri</i>)で,次いで多いのがゴマフアザラシ(<i>Phoca largha</i>)]に違いは見られなかった.しかし,全アザラシ類の混獲数に占めるゼニガタアザラシおよびゴマフアザラシの割合(80年調査ではゼニガタアザラシおよびゴマフアザラシの割合はそれぞれ77.6%,20.6%,00年調査では91.2%,7.7%)には有意な差が見られた.また,ゼニガタアザラシの混獲時期は,80年調査では9月中旬と11月中旬に混獲数が多くなる2山型を示したのに対し,00年調査では,定置漁業の開始直後の9月上旬に混獲数が多く,定置漁業が終わるにつれ減少する傾向が見られた.千島列島全域におけるゼニガタアザラシとゴマフアザラシの分布の中心は,択捉島以南の,特に歯舞群島・色丹域に集中して分布していると考えられているため,今後の保全管理を考える上には,歯舞・色丹グループと道東グループとの関係が重要と考える.<br>
著者
清水茜著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2015
著者
永田 武 清水 吉雄 Takesi NAGATA Yoshio SHIMIZU
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.661-668, 1960-03

第1次および第3次南極観測隊派遣の際,古地磁気学研究の目的をもって,東オングル島昭和基地附近の先カンブリア紀の片麻岩(biotite horn-blende granodioritic gneiss)を方向をつけて採集してきた.これらの岩石の自然残留磁気(NRMと略す)の測定結果から,岩石生成時の地球双極子の方向を計算すると,Lat.=19°N,Long.=167°Wとなる.また,岩石の片理面が岩石生成時には水平面であったと仮定し補正しても,Lat.=3°N,Long.=107°Wとなる.いずれにしても岩石のNRMの方向から推定される地球双極子軸の方向は,西太平洋赤道地域にあったこととなり,先カンブリア紀以来,地球磁極(すなわち地軸も)および南極大陸相互は,広範な移動および回転をしてきたことが示された.この論文では,以上の結論を確認するため,岩石のNRMが岩石生成時から,そのまま保存されてきたかどうかというテストを実験室で行なった結果についても同時に示されている.
著者
永田 武 秋本 俊一 上田 誠也 清水 吉雄 小島 稔 小林 和男
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-10, 1957-05-30 (Released:2009-08-21)

A palaeomagnetic study has been conducted of the volcanic rocks in the North Izu-Hakone volcanic region, Japan, where the complete succession of lavas has been determined by H. Kuno. By sampling 4∼7 oriented rock-specimens at each of the localities, the period from the very beginning of the Pleistocene to the Holocene has been covered, where the maximum time interval between consecutive samples may probably be not more than several tens of thousands years except that between two samples of middle to younger Pleistocene when the volcanic activity did not occur within the region concerned. Care was taken not to use the rock samples of which natural remanent magnetization may have suffered from any significant disturbances, geologically, chemically, magnetically or otherwise. Selection of proper samples was performed according to the criteria for the stability of remanent magnetization proposed by us previously (Journ. Geomag. Geoelec., VI, No.4). The major findings in this study are: 1) During the whole Quaternary age, the axis of the geomagnetic centred dipole was fluctuating around an axis of which north pole changed from φ=72°N, λ=86°E to φ=81°N, λ=32°W. 2) The direction of polarization of the centred dipole was reversed at a time in the earliest Quat rnary, namely, during the middle period of the formation of the Usami volcano.
著者
清水 肇 中村 友美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1267-1274, 2018
被引用文献数
1

沖縄県読谷村のK集落は、第二次世界大戦末期の沖縄戦による破壊の後、軍事基地建設のための土地接収により強制的な移転を余儀なくされた。旧集落の物的環境の多くは失われたが、集落跡地への関係者の出入りが制約のもとで許されている。 歴史的資産の多くが消失あるいは改変された状況において、戦前に戦後にかけての集落の姿と暮らしに関わる地域の記憶の継承の方法を検討した。記憶の継承に有効な歴史的資産を抽出し、それらの特質を分析することにより、消失や改変を経た歴史的資産の特質に対応した記憶の継承の取り組みが必要であるという認識を得た。 K集落住民による旧集落跡地から現集落の範囲までを対象とする記憶継承活動が企画、実施され、活動を通じて記憶の継承活動の課題を検討した。物が消失して空白に見える場所の扱い、重層的な記憶の扱い、場所への関わりの継続、領域を示す資産の扱いが重要であることを示すことができた。