著者
大田 達郎 寺田 朋子 清水 謙多郎 門田 幸二
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.167-175, 2017-11-10 (Released:2018-12-15)
参考文献数
25

次世代シーケンサー(以下、NGS)データの解析手段は多様である。本連載ではこれまでキーボード入力をベースとしたコマンドライン環境での解析手段を中心に解説してきたが、マウス操作をベースとした GUI 環境での NGS 解析手段の需要も根強い。第 11 回は、GUI 環境でのデータ解析手段として特に海外で広く普及している Galaxy を解説する。Galaxy はウェブブラウザを起動して各種解析を行うため、位置づけとしてはウェブツールである。しかしながら、ワークフローやヒストリー管理といった独特の用語および GUI 画面(見栄え)ゆえ、慣れるまでが大変であることもまた事実である。本稿では、Galaxy の概要、公共サーバの基本的な利用法について述べる。ウェブサイト(R で)塩基配列解析(URL: http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html)中に本連載をまとめた項目(URL: http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html#about_book_JSLAB)が存在する。ウェブ資料(以下、W)や関連ウェブサイトなどを効率的に活用してほしい。
著者
清水 邦彦
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

路傍の地蔵が道祖神との習合から立てられるようになったという通説の見直しを行った。地蔵盆で有名な京都に関しては、六地蔵参りの模倣として立てられたことを明らかにした。なお、地蔵盆には死者供養的面があり、これは道祖神信仰には見られない面である。京都に関しては、江戸時代では町境に立てられることも多かった、現在ではそうではない。東京23区域では死者供養のために立てられたことが多いものを明らかにした。また、初期のものは、庚申信仰との習合が見られた。石川県金沢市では、江戸初期のものは、造立理由不明だが、後には死者供養を目的とするものが幾つか見られた。
著者
清水 一治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.480-483, 1993-06-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
10
被引用文献数
2

民間航空機一次構造材への適用を目標としてPAN系炭素繊維の高強度・高弾性率化への研究が,欠陥減少の追及や結晶サイズの微細化の観点から最近大いに進展した.また従来の糸とは形状の異なるコイル状炭素繊維が新しく登場し機能的な用途が期待されている.
著者
蛯名 雄太郎 前崎 智博 周 立波 清水 淳 小貫 哲平 尾嶌 裕隆 乾 正知
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.640-645, 2018-07-05 (Released:2018-07-05)
参考文献数
16

The grinding wheel is comprised by three elements; abrasive grain, bonding material and pore, which are specified by five factors; type of abrasive grain, grain size, type of bonding material, grade of hardness and abrasive grain volume percentage. Regarding the abrasive grain, it is well known that shape and number of cutting edge significantly effects grinding performance such as surface roughness, grinding force and grinding wheel life. In general, abrasive grain size is determined by mean diameter of abrasive grain. However, the abrasive grains in a grinding wheel are randomly scraggly in size and shape. There is no particular aspect to regulate the grain size variation in JIS (Japanese Industrial Standards). This paper investigates the effect of grain size variation on the ground surface topography by actual grinding on silicon wafers and analysis based on grinding simulation. The results reveal that the standard deviation of grain size is a very important index to characterize the grinding performance of a wheel. Smaller standard deviation leads to larger density of effective cutting-edge under the same volume percentage of abrasive grain contained in the wheel. This fact significantly contributes to not only achieve a better surface roughness and more uniform surface integrity, but also shorten the finishing time.
著者
木村 容子 清水 悟 杵渕 彰 稲木 一元 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.897-905, 2010-11-20
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

緒言:桂枝湯エキスと麻黄附子細辛湯エキスの併用が有効な冷えのタイプを検討した。<BR>症例提示:麻黄附子細辛湯エキスに桂枝湯エキスを追加して,胃もたれの軽快とともに,長年の冷えも改善した一例を挙げた。この症例を参考にして当初より同処方を併用し,症例1は冷え,食欲不振,倦怠感や関節の動きが悪い,症例2は冷え,悪寒しやすい,疲れやすい,胃もたれ,風邪を引きやすいなど,症例3では悪寒を伴う全身の冷えや倦怠感,月経痛などが改善した。<BR>対象と方法:冷えを訴え,随証治療にて桂枝湯エキスと麻黄附子細辛湯エキスを投与した患者43名を対象とした。随伴症状,体質傾向や診察所見など52項目を説明変数とし,冷えの改善の有無を目的変数として多次元クロス表分析により検討した。<BR>結果:「悪風または悪寒」と「全身の冷え」を含む組み合わせが臨床的に最適な効果予測因子となった。<BR>考察:悪寒や悪風を伴う全身の冷えがあり,頭痛を訴え,下痢がない場合に有効な可能性が高い。
著者
立元 一彦 清水 弘行
出版者
群馬大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

アペリンは、1998年に我々がオーファン受容体APJに対する内因性リガンドとして発見した36個のアミノ酸からなる生理活性ペプチドである。アペリンは血管内皮などから分泌され、内皮由来の一酸化窒素(NO)を放出して血圧を降下する。また、アペリンは既知の生体物質の中で最も強力な心筋収縮作用をもち、心不全などの病態生理において重要な役割を担うことが示唆されている。我々は、アペリンが脂肪細胞の産生する新しいアディポサイトカインであることを明らかにし、アペリンが肥満、高血圧症、動脈硬化などの病態生理に重要な役割をもつことを示唆している.本研究では、アペリンの脂肪細胞における生理的役割を検討するため、各種ラットモデルにおけるアペリンの血圧降下作用とマウス脂肪細胞および3T3-L1脂肪細胞におけるアペリンの遺伝子発現とその制御に関する研究を行った。我々は、アペリンが脂肪組織の豊富なラットに対しては強力に血圧を降下させ、脂肪組織の少ないラットに対しては弱い血圧降下作用を示すことを示した。さらに、マウス分離脂肪細胞においてアペリンおよびアペリン受容体の両方のmRNAが発現していることから、アペリンがオートクリンあるいはパラクリン機構を介して作用する可能性を示唆した。また、我々はマウス3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化の過程でアペリンmRNAの発現が増加することを見いだした。分化後の3T3-L1細胞におけるアペリンの発現はインスリンにより増加し、デキサメタゾンにより抑制された。また、インスリンによる発現増加はデキサメタゾン添加によって抑制され、デキサメタゾンによる抑制はインスリン添加によって回復した(1)。これらの結果は、脂肪細胞からのアペリン分泌が低インスリンおよび高グルココルチコイド濃度の条件下で低下することを示唆した。一方、脂肪細胞はアンジオテンシンを産生し、グルココルチコイドはそのアンジオテンシン産生を促進することが知られている。さらに、アペリン欠損マウスではコントロールと比較してアンジオテンシンによる血圧上昇作用が増強される。正常血圧の肥満患者における血中アペリン濃度が、非肥満患者と比較して2倍ほど上昇していることなどから、アペリンが肥満において血圧を正常に保つために抗アンジオテンシン作用物質として重要な役割を担っている可能性が指摘される。しかし、ストレスなどが原因で起る高グルココルチコイド濃度の条件下では、血圧降下作用のあるアペリンの産生が抑制され、血圧上昇作用のあるアンジオテンシンの産生が促進されることが予想される。そこで、肥満高血圧患者においてはストレスなどが原因で起ったグルココルチコイド濃度の上昇によるアペリン分泌機能の破綻が高血圧症の一因となっている可能性が示唆される。
著者
清水 貴史
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.338-344, 2018-06-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
24
著者
清水 亮
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2005

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2094号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2005/7/19 ; 早大学位記番号:新4065
著者
渡辺 満 清水 恒
出版者
[東北農業試験研究協議会]
巻号頁・発行日
no.57, pp.267-268, 2004 (Released:2010-05-10)
著者
鶴卷 俊江 清水 朋枝 石川 公久 江口 清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb0605, 2012

【はじめに】 障害児の就学においては、就学指導委員会にて障害児への特別な教育ニーズを把握し、個々の障害児の教育的ニーズを具体化することが望まれるが、委員会単独で障害を評価し、就学先を決定することに限界があると言われている。今回、重度肢体不自由および知的障害の重複障害のあるに二分脊椎児の特別支援学校への転校を、長期的に関わっている医療者が中心となり、両親・教育委員会・小学校・行政と共に検討する機会を得た。ここに、その経過とともに就学前関係機関の一つである医療者として、就学支援の在り方について考察する。【方法】 9歳女児。普通小学校3年生。第9胸髄から第11腰髄の脊髄髄膜瘤。キアリII型。閉鎖術およびV-Pシャント術施行。身体機能レベルをSharrard分類、改訂HOFFER分類、生活能力レベルをPEDIにて評価。特別支援学校への転校を決定するまでを、両親の思い、学校側の対応、医療者としての対応についてまとめた。【説明と同意】 趣旨、権利保障、匿名性、プライバシー保護について口頭で説明し同意の得られた症例である。【結果】 Sharrard分類I、改訂HOFFER分類はNon Ambulatoryであり主な移動能力は車いすである。生活能力レベルはPEDIの尺度化スコアにて、セルフケア56.8、移動29.0、社会的機能61.5。特にセルフケアで更衣・排泄の後処理で減点を認めた。また社会生活での自立度の低さが明らかとなり、将来を見据え長期的に介入が必要な状況と推察された。進路に対しては、児の希望を尊重した両親は普通小学校入学を決定。介助員の配置、昇降機・スロープ・導尿室の設置など施設・設備面への配慮はなされたが、重度の肢体不自由児の扱いに戸惑い、学校側は医療との連携を模索していた。しかし、主治医から現在の教育環境を配慮するような意見・指導が得られず苦慮していた。また両親も学校側の過剰な対応に不満を抱き、年々学校と家族との関係は混迷を呈していた。このままでは児や家族にとって望ましい療育とならないと考え、リハビリテーション部が中心となり問題を整理することをはじめた。まず、医療者より両親へ身体機能・認知等の障害特性から推察する児の将来像を提示。現在の教育環境での限界、今後の課題等に向け、能力を勘案した上で児に適切な教育が受けられることが望ましいという意見を提案したところ、両親から同意が得られた。そこで、医療者が学校へ訪問し、教育環境へ配慮したカリキュラムの検討、身体機能に合わせた介助指導、福祉用具の取り扱い方などを適宜検討した。また児を中心とした支援体制を構築し、教育的ニーズを具体化した。その結果、小学校での人的・物的環境の限界が再確認でき、児の教育環境整備を主と考え、両親・教育委員会・小学校・行政と共に1年間の猶予を持ち、次年度の特別支援学校への転校を決定した。【考察】 小池は、教育機関選択時の支援として重要なことは、個々の子どもの教育ニーズを適切に評価し、保護者と確認・合意し、就学相談に臨めることが望ましいと述べている。本症例を通して、就学支援における理学療法士の役割を検討する。就学前では、将来を見据えたプログラムを実施、学齢期以降の療育を保護者と相談・検討出来る人間関係を築く、求められれば就学指導委員会への情報を提供する。就学後は、学校集団生活がスムースに行えるよう、介助方法や学校環境整備についての助言を行う、が挙げられる。特別支援学校が中心となる障害児教育に対する地域支援システムは教育では既に実施されている。しかし、今回のように、医療ケア度の高い児では、医療チームによる支援が必要と推察する。そこで、我々は医療チームの窓口に、児の全体像を広く把握しているリハビリテーション部、理学療法士が就くことを提案する。茨城県では地域の中で小児リハビリテーションを普及促進するために県内で当院を含め9施設を小児リハ・ステーションとしている。今回はこのシステムの枠組みもあり院内院外活動を円滑に行うことができた。このような地域小児リハシステムが拡大し、児の将来を見据えた療育が多職種協働のもとで為されることが期待される。【理学療法学研究としての意義】 地域で行われる就学相談においては、多様で複雑な障害像がある重複障害児のニーズを明確にするには多面的・総合的な評価が必要である。理学療法士としての介入意義は大きく、今後の就学支援における当院の役割を小児リハ・ステーションとして、就学前後および地域の小学校に在籍する障害児の支援に向け、児・療育者、教育・行政機関等への支援体制の構築も視野に入れ研究を進めて行きたいと考える。
著者
神澤 佳子 片平 理子 千歳 万里 金坂 尚人 清水 きよみ 河村 美穂 上村 協子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

目的:神戸市のA児童館は、18歳未満の子どもが利用可能な地域住民に開かれた施設であり、放課後児童クラブと一体的に運営されている。ここでは平成21年度より毎年10~12月の3か月間、遊びの一つとして「どんぐり」を通貨とした買い物体験プログラム「どんぐりマーケット」を行っている。このプログラムを消費者教育の視点からとらえなおして特徴を抽出し、今後の内容の広がりの可能性を考察する。 <br>方法:「どんぐりマーケット」の見学と利用児童の観察、職員へのヒアリングを行い(2016年10~12月)、「子どものまち」等の体験型プログラムと内容を比較検討した。 <br>結果:このプログラムで子ども達は、地域でどんぐりを収集し、マーケットの商品を選択・購入する。そのマーケットで販売する商品を製作し、自ら値段をつけ、会社を組織し販売と通貨管理を行い、売上の一部と労働によって給料を得る。消費者・生産者・労働者の立場を体験しながら、主体的な価値選択と意思決定を行っている。これらは、バイマンシップだけでなく、組織の運営とルールを守りプログラムに参画するシチズンシップの要素も含む「消費者市民」教育の具体的な形といえる。さらに、住民参加による「地域社会との共生」、どんぐりを発芽させ植樹する自然循環体験の内容を持ち、日常に溶け込む継続的な消費者教育という特徴がある。今後、子ども達の企画への参加等を加えることで、一層の内容充実が期待される。
著者
寺澤 英夫 清水 洋孝 上原 敏志 喜多 也寸志 島 さゆり 武藤 多津郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001219, (Released:2018-12-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2

症例は48歳男性である.発熱の先行症状の後に急性脊髄炎を発症した.脊髄MRIでは,C6よりTh8レベルまで連続する長大な脊髄病変をみとめ,免疫療法に奏功して脊髄病変は消退し,神経症状も軽快した.血清抗aquaporin-4(AQP4)抗体,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体は陰性であったが,血清と髄液の両者より抗lactosylceramide(LacCer)抗体が急性期に陽性で回復期に弱陽性に低下した.抗中性糖脂質抗体は,脳炎・脳症を欠く急性脊髄炎で陽性になる既報告はなく,急性脊髄炎の病態の鑑別に本抗体を考慮する必要があると考えられた.
著者
國中 均 西山 和孝 清水 幸夫 都木 恭一郎 川口 淳一郎 上杉 邦憲
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 = Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.52, no.602, pp.129-134, 2004-03-05
被引用文献数
4 6

The microwave discharge ion engine generates plasmas of the main ion source as well as the neutralizer using 4GHz microwave without discharge electrodes and hollow cathodes, so that long life and durability against oxygen and air are expected. MUSES-C "HAYABUSA" spacecraft installing four microwave discharge ion engines was launched into deep space by M-V rocket on May 9, 2003. After vacuum exposure and several runs of baking for reduction of residual gas the ion engine system established the continuous acceleration of the spacecraft toward an asteroid. The Doppler shift measurement of the communication microwave revealed the performance of ion engines, which is 8mN thrust force for a single unit with 3,200sec specific impulse at 23mN/kW thrust power ratio. At the beginning of December 2003 the accumulated operational time exceeded 7,000 hours and units.
著者
岩崎 靖士 山田 暢 小熊 潤也 岡本 譲二 清水 壮一 高橋 伸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1181-1185, 2011-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

症例は60歳,男性.左下腹部痛を主訴に当院受診した.腹部超音波検査および腹部CTにて左下腹部直下にS状結腸に接する4cm大の腫瘤影を認め,腹膜垂炎の所見と診断した.保存的に経過を観察したが,疼痛が持続したために腹膜垂切除目的に入院し,腹腔鏡補助下にS状結腸腹膜垂切除術を施行した.手術所見では,S状結腸部の腹膜垂が腹壁と炎症性に癒着しており,鏡視下にこれを剥離し,小開腹創より体外に誘導すると,炎症性に腫大した2cm大の腹膜垂を認めた.同部を結紮切離し,腹膜垂を摘出した.病理組織学的所見にてうっ血,炎症細胞浸潤,脂肪壊死を認め,腹膜垂炎と診断した.腹膜垂炎はまれな疾患で,大腸憩室炎との鑑別が重要となるが,近年の画像診断技術の発達により,CTや超音波による腹膜垂炎に特徴的な所見がえられるようになってきた.今回,術前診断が可能で,腹腔鏡を用いて治療しえたS状結腸腹膜垂炎を経験したので報告する.
著者
早崎 将光 大原 利眞 黒川 純一 鵜野 伊津志 清水 厚
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.225-237, 2008-07-10
被引用文献数
14

2007年5月8-9日に観測された注意報レベルに達するオゾン(O_3)高濃度事例を対象として,全国の1時間平均大気汚染物質濃度測定値を用いた動態調査をおこなった。O_3濃度上昇は,8日の早朝に日本列島西端の五島から観測され始めた。壱岐における日最高O_3濃度は深夜に観測された,日本海沿岸では,日最高O_3濃度は東側ほど遅い時刻で観測された。離島では,二酸化硫黄と粒子状物質もオゾンと同期した濃度変化を示した。後方流跡線解析とライダーによる人為起源粒子の鉛直分布から,汚染気塊はアジア大陸を起源とすることが示された。9日は主に東日本でO_3高濃度を観測した。日本海側では,前日と同様に東側ほど遅い時刻で日最高O_3濃度を観測した。それに対して,関東平野では観測時刻の遅れは内陸側に向かう方向でみられ,O_3濃度も日を追う毎に高くなった。高濃度期間の汚染物質濃度と気象条件の時空間変動から,関東平野では,大規模海陸風循環の継続による都市汚染の蓄積の影響も大きいことが示唆された。以上の結果から,日本列島規模の広範囲では越境汚染がO_3高濃度の主要因であり,都市近郊では国内起源汚染がそれに上乗せされていたと考えられる。