著者
合屋 将 中野 泰 十九浦 宏明 高木 雄亮 渡邊 紘章 松田 能宣 角甲 純 笠原 庸子 小原 弘之 森 雅紀 中山 健夫 山口 崇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.261-269, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
12

【目的】進行性疾患患者の呼吸困難に対する高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)の有効性を検討する.【方法】MEDLINE, Cochrane Library, EMBASE, 医中誌Webを用いて文献検索を行った.適格基準は,呼吸困難に対するHFNCの効果を評価した無作為化比較試験であること,18歳以上の低酸素血症を伴う進行性疾患患者を対象としていること,対照群が通常の酸素療法もしくは非侵襲的陽圧換気であるもの,とした.集中治療室患者,人工呼吸器からの離脱後は除外とした.【結果】6件が採用された.短期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,通常酸素有効1件であった.長期介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.運動負荷時の介入を検討した2件で,HFNC有効1件,有意差なし1件であった.【結論】低酸素血症を伴う進行性疾患患者の呼吸困難に対してHFNCは有効である可能性がある.
著者
渡邊 芳之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.79-97, 2018-03-30 (Released:2018-09-14)
参考文献数
122
被引用文献数
2 5

2016年7月から2017年6月にかけての日本におけるパーソナリティ研究の現状と動向を分析するために,120件の学会誌論文と375件の学会発表をパーソナリティ関連研究として抽出して分類し,いくつかの量的な側面から調べた。日本におけるパーソナリティ関連研究は,この期間に主要な学会誌8誌に掲載された論文のうち48.0%を,2つの学会における発表のうち47.2%を占めている。1年間の研究協力者の総数は222,986名にのぼり,132個の新しい個人差測定尺度や項目が開発されている。こうした研究にはSEMに代表される統計的因果分析の技法が広く用いられている。研究テーマの動向や,パーソナリティ関連研究のこうした動向がパーソナリティ心理学や「個人差科学」に対して持つ含意についても検討した。
著者
二村 吉継 文珠 敏郎 東川 雅彦 南部 由加里 平野 彩 中村 一博 片平 信行 駒澤 大吾 渡邊 雄介
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.34-43, 2017 (Released:2017-02-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Elite Vocal Performers(EVP)は職業歌手や舞台俳優など自身の声を芸術的に用いパフォーマンスを行う職業者である.EVPは声質改善にきわめて繊細な治療も希望する.そこで今回耳鼻咽喉科医,音声専門医に対してどのような意識をもって受診しどのような治療を希望しているのかを明らかにするため,EVPに対してアンケート調査を行った.選択形式の設問28問,自由記載式の設問3問の冊子を作成し,無記名の記入式アンケート調査を実施した.EVP 92名(男性41名,女性51名)から回答を得た.内容は「声の症状」「耳鼻咽喉科診察および歌唱指導について」「沈黙療法について」「ステロイド治療について」「声の悩みの解決方法」「診療に対する希望について」等である.沈黙療法を指示されたことがある者は64%であったが,適切な期間を指示することが重要であると思われた.ステロイド剤による治療を受けたことがある者は68%であり,投薬を緊急時にのみ望む者とできれば望まない者がほぼ半数ずつであった.
著者
渡邊 洋子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.151-160, 2007-06-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6
被引用文献数
17

1) 成人教育においては, 学習者と教育者には「学ぶ/おしえる」関係が成立しており, 両者は「最も望ましい効果的な学習の実現」に向けて, 学ぶ主体・学習援助の主体として協働する.2) 成人学習者は, 「自己概念」「学習の経験」「学習へのレディネス」「学習への指向性」「学習への動機付け」のおのおのにおいて子どもとは異なる特徴を有する.3) 自己主導型学習は, アンドラゴジー (「成人の学習援助の技術と科学」) にもとづく学習モデルであり, 学習者は, 自らの学習プランを能動的・相互的に作成し自ら実践することを期待される.4) 日本の生涯学習はおおむね, 「他者決定型学習」「自己主導型学習」「自己決定・相互変革型学習」の3つのタイプ (段階) に大別でき, おのおのにおいて異なる複数の教育者の役割が求められる.5) 専門職の現場や養成のプロセスにおいては, 学習者と教育者の間に「対等性」「共感性」「協同性」「相互性」「啓発性」などの価値が, 自覚的に共有される必要があると考えられる.
著者
菊地 美帆 境原 三津夫 河内 和直 藤田 ゆかり 渡邊 之夫
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
新潟県立看護大学紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-27, 2013-02-14

分娩のメカニズムに関しては科学的に解明されつつあるが,陣痛発来のメカニズムは未だ明らかになっていない.このため,経験に基づく種々の言い伝えが数多くある.そこで本研究では,人的介入のない自然陣痛発来時刻および前期破水時刻を対象として,自然現象である気圧と月齢,時間帯との関係を検討した.対象は,2010 年1 月1 日から12 月31 日までの1 年間に,茨城県のT 病院で自然陣痛発来後に分娩に至った236 症例と前期破水後に分娩に至った77 症例である.統計学的に解析した結果,以下のことが明らかとなった.1.気圧と自然陣痛発来数・前期破水数に統計学的に有意な差は認められなかった.2.月齢と自然陣痛発来数・前期破水数に統計学的に有意な差は認められなかった.3.自然陣痛発来・前期破水は,夜間帯(午後6 時から午前6 時まで)に多かった.
著者
田嶋 宏隆 久米 学 小川 真由 渡邊 俊 内山 里美 内山 耕蔵 大坪 鉄治 古賀 春美 亀井 裕介 三田村 啓理
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.AA2023-11, 2023-06-01 (Released:2023-06-01)

ニホンウナギ Anguilla japonica はかつて日本全国で豊富に漁獲された。しかし、現在は個体数が激減している。福岡県柳川市の掘割も本種の個体数が減少した場所の一つである。これは、水門の改修に伴い、シラスウナギの川から掘割内への侵入個体が激減したことが要因であると考えられている。現在、地元の高校やNPO法人により掘割へのニホンウナギの放流活動が行われている。しかしながら、野生個体または放流個体が掘割内に定着しているかは明らかになっていない。そこで本研究では、現在、福岡県柳川市の掘割にニホンウナギが生息しているかを明らかにするため、電気ショッカーを用いて本種の採集を試みた。その結果、5回の調査(2021年10月、2022年2月・3月・11月、2023年2月)において、合計47個体のニホンウナギを採集した。採集した個体が放流個体か天然個体かは判断することができなかった。採集された個体の全長は122–623 mmの範囲であった。47個体のうち2個体の銀ウナギが2022年11月の調査時に採集され、残りの45個体は黄ウナギですべての調査時に採集された。砂泥中からは139 mmから558 mmまで様々な全長の個体が採集された。中・大礫から採集された個体に比べ、巨礫や石垣から採集された個体の全長は大きい傾向があった。調査月の違いやウナギの全長に関わりなく本種を採集できたことから、掘割はニホンウナギが生息・成長するための環境を少なからず備えていると推測した。
著者
渡邊 拓哉
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.173-184, 2010 (Released:2020-03-09)

近年の「エンハンスメント」をめぐる主要な争点のひとつに、向精神薬の治療目的外の使用がある。スマートドラッグによる認知増強や抗響薬による感情調整などがこれに該当する。薬理学的な操作にもとづくそうした「精神活性化Jは、米国を中心にいまや社会問題化するまでに至っている。本稿は、薬物による精神活性化の文化的な来歴と、社会的な意味合いの変容を検討することを目的としている。これに向け本論では、1950-60年代の米国で展開されたサイケデリック運動とヒューマン・ポテンシャル運動を参照する。ともにA.ハクスリーから思想的な影響を受けたこの2つ類縁的な文化運動もまた、現代の認知増強や感情調整と同様、精神の薬理学的な操作を積極的に評価したことで知られる。だが、そうしたかつての精神活性化のありようと、現代のそれにはもちろん隔たりもある。その隔たりは、現代の精神活性化が技術的にも心理的にも、より消費社会に根づいたことを示唆している。60年代的な「変性意識」の実験を通じて広まった、精神の薬理学的な改変可能性という認識が消費社会の欲望と結びつくとき、精神活性化は自らの交換価値を高める手段として利用されることになる。
著者
辻 大和 和田 一雄 渡邊 邦夫
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.21, 2012-06-20 (Released:2012-10-21)
参考文献数
246
被引用文献数
14 11

We studied about the non-woody plant diets of wild Japanese macaques (Macaca fuscata), including herbaceous plants, ferns, mushrooms, seaweeds, and animal matter, in order to make clear how many numbers of non-woody plant food items were eaten by the macaques all over across Japan. This is useful information for both fundamental and applied studies of this species. Through a web-searching using "Web of Science" and "Google scholar", we collected 266 data sets from 215 articles from 49 study sites. The macaques fed on 460 species of herbaceous plants (from 258 genus/67 family), 30 species of ferns (from 24 genus/15 family: 15), 61 species of fungi (from 42 genus/19 family), 3 species of moss (from 3 genus/3 family), and 11 species of seaweeds (from 11 genus/7 family), respectively. For the herbaceous plants and ferns, we also studied the parts eaten. Macaques mainly fed on leaves and stems of the herbaceous plants. This was different from that of woody plant diets, for which the macaques evenly fed on leaves, fruits, buds, bark, and flowers. On the other hand, the macaques fed on 136 animal species, mainly insects (108 species, from 103 genus/15 order). They fed on only a few numbers of vertebrates (reptiles, amphibias, fish, and birds). The macaques fed on soil in many study sites. If we add information from Tsuji et al. (2011) about woody plant diets studied most intensively, the macaques in total fed on 1,154 species of plants and animals, and 2,406 dietary items of these plants. We also discussed about the usefulness of reviewing previous descriptive data.
著者
渡邊 圭祐 宮崎 貴志 片山 哲治 菊田 浩一 中村 夏樹 田中 秀幸 木村 龍範 矢埜 正実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.375-378, 2012-07-01 (Released:2013-01-16)
参考文献数
15

症例は62歳,男性。下肢静脈瘤に関連した蜂窩織炎にて過去8回の入院歴があり,今回も蜂窩織炎で入院した。入院後まもなく看護師の目の前で突然意識消失するも短時間で意識が回復し,その後1時間あまりの間に6回の心室細動が出現した。ICUに入室し鎮静薬投与および気管挿管後からは心室細動の出現がなく,第2病日に抜管した。ICU入室時の体温は41℃であり,V1,V2誘導で特徴的なcoved型ST上昇を認めた。その後ST上昇は改善するも,Brugada症候群と診断し,埋め込み型除細動器埋め込み術を行った。平常時の心電図はBrugada型の所見は認めず,過去の発熱時の心電図においても軽度ST上昇が認められたが,Brugada症候群と診断するのは不可能であった。発熱を契機に診断されるBrugada症候群の報告は散見され,発熱患者を診る機会の多い集中治療医も銘記しておくべき病態である。
著者
渡邊 彰 木下 一成 村元 隆行 中井 瑞歩 鈴木 結子 井上 朔実 平田 滋樹
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.395-401, 2020-11-25 (Released:2020-12-12)
参考文献数
45
被引用文献数
3 8

国内で流通しているシカおよびイノシシ肉の品質向上のために,処理施設より胸・腰最長筋を購入して,熟成終了時のpHを測定し変動要因について調べた.調査票から動物種,性別,体重,捕獲方法(箱わな,囲いわな,足わな)を要因とし分散分析により解析した.また,タンパク質の変性程度を測定しPale, Soft, and Exudative (PSE)の発生についても調査した.その結果,調査個体の35%はDark, Firm, and Dry (DFD)が疑われるpH>6.0であり,足わなによる捕獲がpHを有意に高くし,オスがメスより高くなる傾向が認められた.一方,PSEと判定されたのは箱わなおよび囲いわなで捕獲された頭数の52%,足わな捕獲の5.8%であった.以上の結果より,品質の高い野生獣肉を提供するには早期発見によるDFDの回避と,興奮を抑えた止め刺し技術によるPSE回避が重要であることが示された.

6 0 0 0 OA 記憶障害

著者
長田 乾 小松 広美 渡邊 真由美
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.118-132, 2011 (Released:2017-04-12)

記憶は、過去を回想するときの把持時間から、短期記憶と長期記憶に分類され、短期記憶は数十秒程度の記憶、長期記憶は数分から数十年前の記憶とされる。短期記憶には、電話番号を即座に憶えるなどの一時的な情報保持機能である作動記憶が相当する。長期記憶は、記憶内容を言葉で表現できる陳述記憶と技術や無意識の経験など言葉で表現できない非陳述記憶に分類される。陳述記憶には、出来事記憶と意味記憶が含まれる。出来事記憶は、個人的な体験やイベントの思い出に相当し、意味記憶は客観的な事実・知識・情報など学習によって習得される一般的な知識や教養に相当する。出来事記憶は加齢の影響を受け易いが、意味記憶は加齢の影響を受け難い特徴がある。非陳述記憶には、水泳や自転車の運転など必ずしも意図せずに習得した技量や技術に係わる記憶に相当する手続き記憶が含まれる。手続き記憶も加齢の影響を受け難く、認知症でも若い頃に修得した手続き記憶は相対的に保たれることが多い。記憶障害を時間軸で捉えると、脳損傷を受けた時点以降の記憶が欠落する状態を前向性健忘、一方受傷以前の出来事を思い出すことができない状態を逆行性健忘と呼ぶ。逆行性健忘では、新しい出来事から古い出来事へ、複雑なことから単純なことへ、慣れないことから習熟したことへ記憶の解体が進む。
著者
渡邊 衡一郎
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.27-29, 2020-03-30 (Released:2020-03-31)
参考文献数
5

2018年,ついに「公認心理師」が始動した。これまで主であった「臨床心理士」は認定協会による認定資格であり,心理分野における待望の国家資格の誕生である。精神科医は当事者をとかく現症などから横断的に捉えがちである一方で,心理師は心理テストなどの技法を駆使し,縦断的に捉える。心理師からの情報は,我々精神科医が目の前の当事者について,より奥行きを持って捉え,正確な判断を行うための一助となっている。現在の精神医療において,当事者からの精神療法へのニーズは増しているが,限られた時間の中で医師がその全てに応えることは難しい。そこで心理師の出番であるが,認知行動療法が「看護師」が行った場合にのみ保険上算定されて来たことからも分かるように,心理師達の労力に対して,これまで適切な対価が支払われてこなかった。今後,「心理師」が国家資格となったことで認知行動療法を初めとする心理師達が行う精神療法が算定されるようになれば,これまで以上に様々な治療法を呈示することが可能になると考える。認知行動療法などの精神療法の実施,リサーチアシスタントなど,医療施設における心理師の活躍の場は多岐に亘る。国家資格化を機に,これまで以上に精神科医と心理師が密に連携することで,より当事者のニーズに応えることが可能となり,ひいては臨床の質の向上につながることが期待される。
著者
加藤 友人 淺沼 雄貴 中島 光志 井上 浩徳 寺島 肇 渡邊 秀人 本間 英夫
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第23回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.284-285, 2009 (Released:2014-07-17)

近年、電子機器配線の内部配線の独立化が進んでおり無電解めっき法が重要となっている。パッケージ基板端子などの接合部にはAuめっきが施されている。その問題点を改善するために中間層にPdを挟むNi/Pd/Auプロセスの適用が拡大している。現在、リードフレームにはAu膜厚0.005μm, Pd膜厚 0.05μmと、貴金属の低コスト化が図られている。しかしながら、薄膜化によりPd皮膜の耐バリア性の低下が懸念される。そこでPd皮膜を合金化することにより、耐バリア性など皮膜性能の向上を目標とし、その結果を報告する。
著者
今本 成樹 渡邊 將人 射場 満 今本 三香子 梅山 一大
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-5, 2011-03-20 (Released:2012-04-04)
参考文献数
25

犬の毛色には複数の遺伝子が関与している。毛色に関与する遺伝子が複数確認されており,犬種によっては,毛色関連遺伝子の遺伝子検査も実際されている。将来的には遺伝子検査を用いることで,望んだ毛色を高い確率で作り出すことが可能となるであろう。 毛色に関与する遺伝子の一つであるSILV(Pmel17)遺伝子に対して短い分散型核内反復配列(short interspersed nuclear element;SINE)挿入が起こることで大理石模様の個性的な毛色を作り出す。一方で眼疾患,難聴等の身体的異常をしばしば引き起こす毛色であることも知られている。しかしながら外観だけでは判断できない隠れマールと呼ばれる個体がいることが知られている。 隠れマールは意図しない仔犬を作り出す原因となってきた。今回我々は,表現型としてマールの毛色を有していない雑種犬に対して眼底検査を実施し,SILV遺伝子へのSINE 挿入を持つ犬に特有の眼底所見を得た。そこで,この犬から遺伝子を採取し遺伝子検査を実施したところ,SILV 遺伝子へのSINE 挿入が確認された。マール因子を確認するためには,眼底検査と遺伝子検査の併用は強力な診断ツールとなる。