著者
菊地 雅子 渡邊 席子 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-36, 1997-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
46
被引用文献数
20 20

他者一般の信頼性についての信念である一般的信頼の高さが必ずしもその人の騙されやすさを意味しないというRotter (1980) の議論, および高信頼者は低信頼者よりも他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報により敏感であるという小杉・山岸 (1995) の知見を, 情報判断の正確さにまで拡張することによって導き出された「高信頼者は低信頼者に比べ, 他者の一般的な信頼性についての判断がより正確である」とする仮説が実験により検討され, 支持された。この結果は, 他者一般の信頼性の「デフォルト推定値」としてはたらく一般的信頼の高低と, 特定の他者の信頼性を示唆する情報が与えられた場合のその相手の信頼性の判断とは独立であることを示している。すなわち, 高信頼者は騙されやすい「お人好し」なのではなく, むしろ他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報を適切に処理して, 他者の信頼性 (ないしその欠如) を正確に判断する人間であることを示唆している。最後に, 社会環境と認知資源の配分の観点からこの知見を説明するための一つのモデルが紹介される。
著者
高安 肇 田中 潔 武田 憲子 渡辺 栄一郎 渡邊 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.66-70, 2014

女児鼠径ヘルニアにおいて卵管滑脱,卵巣脱出に加えて子宮も脱出しているヘルニア(本症)はまれである.本症3 例を経験したので報告する.症例1:日齢40 に左鼠径部に還納不可能な大小二つの腫瘤を触れた.超音波検査より本症が考えられ,手術所見で確認された.Woolley 法にて手術した.症例2:新生児期に左鼠径部に小腫瘤を二つ触れた.子宮がヘルニア囊後壁を構成していたため,高位結紮できず筋層と横筋筋膜を用いて内鼠径輪を閉鎖した.症例3:7 か月の女児.超音波検査にて左の卵巣と卵管の脱出が疑われた.手術時に子宮も滑脱していることが確認されWoolley 法にて手術した.文献報告17 例と併せて検討したところ本症は生後3 か月以内に発症した例,左側ヘルニア例が多かった.特に3 か月未満の女児において左鼠径部に複数の腫瘤を触れた場合,本症が疑われる.超音波検査にて診断を得,嵌頓の兆候がなければ待機的に手術をすることが可能である場合が多い.
著者
渡邊 忍 山田 麻紗子 小平 英志 橋本 和明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.25-38, 2017-09-30

本研究の目的は,児童虐待における虐待者の特徴と児童相談所職員の対応の困難さとの関連を明らかにすることであった.2012 年度にA 市児童相談所が受理・対応したリスクアセスメントレベルが3 もしくは4 の314 件を調査対象とし,各ケースにかかわりのあった職員45 名に調査票への回答を依頼した.虐待者の特徴を示す39 の項目のカテゴリカル主成分分析の結果,イライラやストレスから子どもに行き過ぎたしつけを行う「過度のしつけ」,育児の放棄や家族の生活の不成立を示す「生活能力の乏しさ」,問題を自覚しつつも精神的な安定が得られずに子どもと関われない「感情不安定」の3 つの成分が抽出された.児童相談所職員の感じる困難さとの関連では,行為は認めるが虐待を否認するケース,感情的で話ができないケースで虐待者の「過度のしつけ」が高く,虐待を認めたり消極的に否定するケース,穏やかで関係が形成しやすいケースで虐待者の「感情不安定」が高くなっていた.また,全面的な解決に至らず長期化するケースにおいて「過度のしつけ」と「生活能力の乏しさ」の両方が高かった.これらの結果をふまえ,ソーシャルワークの観点から効果的な支援について議論がなされた.
著者
仲嶺 真 渡邊 寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.303-305, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
10

The present study examined the relationship between sociosexuality and mating concerns. Sixteen female undergraduates and fourteen male undergraduates participated in the experiment. Participants passed through the right side of an opposite-sex confederate and entered a laboratory. They were asked to answer questions pertaining to sociosexuality and interest in the confederate. The results showed that the relationship between sociosexuality and interest in the confederate was significant among men; no such relationship emerged among women. For unrestricted men, mating may be an important concern in social life.
著者
土居 隆秀 中村 智幸 横田 賢史 丸山 隆 渡邊 精一 野口 拓史 佐野 祐介 藤田 知文 TAKAHIDE DOI TOMOYUKi NAKAMURA MASASHI YOKOTA TAKASHI MARUYAMA SEIICHI WATANABE HIROFUMI NOGUCHI YUSUKE SANO TOMOFUMI FUJITA 栃木県水産試験場 (独)水産総合研究センター 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station Freshwater Fisheries Research Division National Research Institute of FIsheries Science Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.706-713, 2004-09-15
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

イワナ・ヤマメ養殖魚の小型魚と大型魚の釣獲放流後の死亡率と成長を実験池において調査した。餌釣り, 毛鈎釣りともに, 口腔にかかった鈎を除去した場合, いずれの魚種においても死亡率は低かった。餌釣りで口腔より奥にかかった鈎を除去した場合, イワナ小型魚とヤマメ大型魚では死亡率は高かった。口腔にかかった毛鈎を残留させた場合, イワナ大型魚では死亡率は高かった。死亡のほとんどが釣獲放流後14日以内に観察された。釣獲方法, 鈎がかりの部位, 鈎の処理方法は成長と肥満度に影響しなかった。
著者
門脇 佳代子 渡邊 泰伸
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.93-107, 2016-03-18

船形山神社は宮城県北部南端の大和町に位置する。この地域は,古代において色麻柵を中心とした色麻郡の領域に含まれる。船形山神社に御神体として伝わる金銅仏「菩薩立像」は,久野健氏,松山鉄夫氏の紹介によって韓半島由来のものであることが指摘され,多くの識者の検討により百済仏とされてきた。本稿では従来までの美術史的な見方に,考古学的な知見を加味して,本像をこの地にもたらした人々の存在に迫った。古墳の変遷,官衙の成立,生産遺跡の操業などを視座にみると,渡来系の移民の姿が垣間見られる。中でも色麻古墳群より出土する須恵器は湖西窯跡品と考えられ,多数の移民の存在を推定できる。また色麻町土器坂瓦窯跡から出土した雷文縁4葉複弁蓮華文軒瓦によって7世紀末~8世紀初頭に紀寺系の軒瓦を使用した官衙と寺院が成立したことがわかる。古代色麻郡は多賀城以前の7世紀後半代には北進・西進の拠点となり,活発な動きのあった地域でもある。よって,従来まで8世紀~9世紀と考えれていた「菩薩立像」の当地への伝来の時期を見直し,渡来系移民による7世紀後半に位置付けたい。
著者
山口 惠三 大野 章 石井 良和 舘田 一博 岩田 守弘 神田 誠 辻尾 芳子 木元 宏弥 方山 揚誠 西村 正治 秋沢 宏次 保嶋 実 葛西 猛 木村 正彦 松田 啓子 林 右 三木 誠 中野渡 進 富永 眞琴 賀来 満夫 金光 敬二 國島 広之 中川 卓夫 櫻井 雅紀 塩谷 譲司 豊嶋 俊光 岡田 淳 杉田 暁大 伊藤 辰美 米山 彰子 諏訪部 章 山端 久美子 熊坂 一成 貝森 光大 中村 敏彦 川村 千鶴子 小池 和彦 木南 英紀 山田 俊幸 小栗 豊子 伊東 紘一 渡邊 清明 小林 芳夫 大竹 皓子 内田 幹 戸塚 恭一 村上 正巳 四方田 幸恵 高橋 綾子 岡本 英行 犬塚 和久 山崎 堅一郎 権田 秀雄 山下 峻徳 山口 育男 岡田 基 五十里 博美 黒澤 直美 藤本 佳則 石郷 潮美 浅野 裕子 森 三樹雄 叶 一乃 永野 栄子 影山 二三男 釋 悦子 菅野 治重 相原 雅典 源馬 均 上村 桂一 前崎 繁文 橋北 義一 堀井 俊伸 宮島 栄治 吉村 平 平岡 稔 住友 みどり 和田 英夫 山根 伸夫 馬場 尚志 家入 蒼生夫 一山 智 藤田 信一 岡 三喜男 二木 芳人 岡部 英俊 立脇 憲一 茂龍 邦彦 草野 展周 三原 栄一郎 能勢 資子 吉田 治義 山下 政宣 桑原 正雄 藤上 良寛 伏脇 猛司 日野田 裕治 田中 伸明 清水 章 田窪 孝行 日下部 正 岡崎 俊朗 高橋 伯夫 平城 均 益田 順一 浅井 浩次 河原 邦光 田港 朝彦 根ケ山 清 佐野 麗子 杉浦 哲朗 松尾 収二 小松 方 村瀬 光春 湯月 洋介 池田 紀男 山根 誠久 仲宗根 勇 相馬 正幸 山本 剛 相澤 久道 本田 順一 木下 承晧 河野 誠司 岡山 昭彦 影岡 武士 本郷 俊治 青木 洋介 宮之原 弘晃 濱崎 直孝 平松 和史 小野 順子 平潟 洋一 河野 茂 岡田 薫
出版者
日本抗生物質学術協議会
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.428-451, 2006-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
37
著者
渡邊 誠
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.225-234, 2013-06-30

心理臨床家が事例研究から得ているものを明らかすることを試みた。臨床心理学的面接は対人的相互作用の一種であり,通常認識されている以上に幅の広いものと考えられる。そこでは非言語的なものの占める比重が高く,また意識化,言語化の困難な側面が存在する。心理臨床家は関与的観察を行い,被援助者の利益が最大になることを目指す。事例研究の多くが,この複雑な過程の全体を扱おうとする。事例研究に関する先行研究は,主に研究法としての側面に焦点を当て,事例研究により何らかの一般性を抽出することを重視するものが多い。しかし,心理臨床家の実感からすると,事例研究の意義はそれにとどまらない。先行研究は,他の事例へのアプローチに通じる知見の獲得,事例としての質を高める契機などの面を指摘する。筆者はそれに加えて,個人の「絶対性」および実存的側面の実感的理解,そして臨床的姿勢や技法の口伝的伝達機能を仮説として提示し,検討した。
著者
増澤 晃 南野 謙一 渡邊 慶和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.25, pp.19-26, 2007-03-14
被引用文献数
1

近年,ブログやSNS等が流行している.それらは,新聞や雑誌等の大手メディアと対比し,消費者が自ら情報を発信するメディアとしてCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれている.CGMで広く取り上げられている話題は,商品を購入するための有用な情報源となっている.そこで本研究では,アフィリエイト広告を対象とし,CGMから話題を抽出して関連する商品広告の効果的な配信を行う話題連動型広告配信システムを提案する.本システムでは,広告掲載サイトのコンテンツ,CGMの話題,アフィリエイト商品広告とのマッチングを動的に行う.本システムは,利用者の購買履歴等の個人情報を取得しそれをもとに個別に広告を配信するのではなく,CGMから多くの消費者が興味のある話題を取得しそれをもとに広告を配信する.本稿ではシステム開発と評価実験について述べる.Recently, Blog and SNS (Social Network Services) are popular, and are called CGM (Consumer-Generated Media), compared with the mass media (newspaper, magazine, etc.). Hot topics from CGM are useful information for people to purchase goods. We present a Hot topic Match Advertising Delivery System which extract hot topics from CGM and deliver affiliate advertisings matched them dynamically. The system do not acquire personal information such as history of purchasing, but extract hot topics from CGM in which many people are interested. This paper describes the system development and an evaluation experiment of the system.
著者
森田 学 石村 均 石川 昭 小泉 和浩 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.788-793, 1995-10-30 (Released:2017-10-06)
参考文献数
19
被引用文献数
15

本調査の目的は,再治療が必要とされた様々な歯科修復物について,再治療に至った原因と,それまでの使用年数を調べることである。調査は,岡山市と名古屋市の10歯科医院において行われた。対象は,歯科修復処置が施されているにもかかわらず,歯科医師の判断により,再治療または抜歯が適当と診断された3,120歯であった。調査時に,既存修復物の種類,および,再治療が必要であると判断された理由を記録した。また,その修復物の使用年数を,患者への聞き取り調査から求めた。その結果,レジン,インレー,鋳造冠,アマルガムの平均使用年数は,それぞれ5.2,5.4,7.1,そして7.4年であった。レジン,アマルガム,インレーでは,2次齲蝕を原因として再治療される場合が多く認められた。インレーや前歯部で汎用される補綴物では,脱落によって再治療される場合が多くみられた。しかも,その場合の使用年数は,他の原因で再治療された場合の使用年数と比べて短かった。従って,インレーや前歯部で汎用される補綴物については,その脱落を可及的に防ぐことで,使用年数を効果的に延ばせる可能性が示唆された。
著者
渡邊 亙
出版者
関西法政治研究会
雑誌
法政治研究 (ISSN:21894124)
巻号頁・発行日
vol.First, pp.229-264, 2015-03-29 (Released:2017-07-06)

Die in Deutschland unter dem Thema "Selbstverwaltung" behandelte Frage wird in Japan in zwei wesentlich unterschiedlichen dogmatischen Bereichen betrachtet. Die hier zu behandelnde Lehre, welche die Autonomie der nicht kommunalen Korperschaften zum Gegenstand hat, wird in Japan als Lehre der "Teilgesellschaft" bezeichnet. Der Begriff "Teilgesellschaft" stammt urspriinglich aus dem rechtsphilosophischen Kontext. Heute bildet dieser Begriff den Kern der Lehre der Rechtsprechung uber die Autonomie der Korperschaften im offentlichen und privaten Bereich. In der folgenden Untersuchung ist zunachst die Entwicklung dieses Begriffs in Literatur und Rechtsprechung zu beschreiben. Anschliessend soil auf ihre Charakteristika sowie die daraus folgende Problematik hingewiesen werden.
著者
渡邊 淳司 七沢 智樹 信原 幸弘 村田 藍子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.331-337, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)

現代のウェルビーイング研究は,個人の主観的幸福や主観的満足度を対象としたものが多く,それに伴いウェルビーイングに関する情報技術の開発においても,前記のような主観指標の改善・最大化を目標とした「最適設計」がなされる傾向がある。しかし,このようなアプローチは,人間を制御対象として捉える人間観とも通ずる部分があり,その点においては,個人のウェルビーイングの達成と相容れないものである。そこで本稿では,ウェルビーイングの全体性・仮固定性に着目し,ソフトウェア開発の分野で取り入れられている“アジャイル(Agile)”という方法論に則ったウェルビーイングの支援技術の考え方と事例について述べる。
著者
渡邊 慎一 石井 智也 石井 仁 岩井 将行
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.21-27, 2023 (Released:2023-09-28)
参考文献数
16

本研究は、雪洞「かまくら」内の温熱・空気・紫外線環境を明らかにすることを目的とする。測定は、2019年2月12日に岐阜県高山市において実施した。屋外および「かまくら」内において、気温、相対湿度、気流、長短波放射量、CO2濃度、UV Indexを測定した。測定日の昼間(9:30〜16:00)において、屋外の平均気温は2.2℃であり、「かまくら①(出入口が1ヶ所)」および「かまくら②(出入口が2ヶ所)」の平均気温はそれぞれ0.4℃および−1.1℃であった。UTCIの平均値は、屋外が20.4℃、「かまくら①」が2.2℃、「かまくら②」が1.8℃であった。「かまくら」内のCO2濃度は、炭の燃焼や人体の呼気によって上昇した。昼間の屋外におけるUV Indexの最大値は4.61であり、紫外線の強さは「中程度」と評価された。一方、「かまくら」内では最大でも0.05であり、紫外線強度は極めて小さかった。
著者
中道 哲朗 渡邊 裕文 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-21, 2015 (Released:2016-01-06)
参考文献数
4
被引用文献数
6

Single-leg standing is performed in various daily activities such as wearing and removing trousers, stepping into and out of a bathtub, and ascending and descending stairs. Therefore the acquisition of stable and safe single-leg standing is crucial for independent living. Watanabe et al. (Journal of Kansai Physical Therapy, Vol. 9) have reported the importance of the trunk and hip muscle activities of the legs both on and off the ground in the single-leg standing position. Single-leg standing also requires maintenance of the center of pressure (COP) by the foot on the ground. To achieve this condition, the functions of the trunk and hip as well as the functional activity of the foot on the ground have important roles, including the ability to keep COP in the same place, and the ability to flexibly shift COP with the foot on the ground. In addition to the trunk and hip muscle activities, these abilities are attained when the functional muscle activity of the foot activates the medial and lateral longitudinal and transverse arches. This paper describes the assessment methods of the lateral longitudinal arch and the function of the abductor digiti minimi muscle of the foot in supporting the lateral longitudinal arch.
著者
別府 秀彦 渡邊 治夫
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.3-14, 2011-03-10 (Released:2011-03-18)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Human clinical studies have yielded a great number of findings on the suppressive effect of indigestible dextrin on glucose absorption. The suppressive effect tends to be marked in subject groups whose blood glucose is at high levels in blood tests and the degree of suppression may vary depending on the saccharide species used for loading. The following is a summary review of the suppressive effect of indigestible dextrin as reported in scientific papers.1) In starch loading tests, although a significant difference in the degree of blood glucose suppression by indigestible dextrin is seen in groups whose blood glucose values after placebo ingestion are higher than average, no such difference is commonly observed in low-value groups.2) When groups with high and low blood glucose values before testing are classified in the same starch loading study, however, a significant difference is observed even in low-value groups, as the low-value group includes subjects in the placebo group with higher blood glucose values showing higher peak values at testing.3) In sucrose loading tests, the significant difference was observed more clearly not only in high-value groups but also in low-value groups. Since the inhibitory action of indigestible dextrin is strong on α-glucosidase when it binds to sucrose in order to hydrolyze into glucose and fructose, it appears certain that suppression of glucose absorption into the blood takes place.4) When maltose loading was carried out in twelve healthy young subjects (mean age: 21.4±0.51) in a preliminary study, there was a significant difference in the degree of blood glucose suppression in the groups with higher than average blood glucose level. However, no significant difference was found in another test, in which maltose was loaded to 13 adult subjects (mean age: 54.4±5.5). Although the glucose absorption at maltose hydrolysis in α-glucosidase reaction may be inhibited by indigestible dextrin like as that at starch hydrolysis, the results of the maltose loading test were varied.5) Since α-glucosidase is distributed over the small intestine wall, in order to inhibit co-transportation of the glucose into the blood in the hydrolysis of disaccharide by α-glucosidase, it is necessary for indigestible dextrin to also be distributed quickly over the same small intestine wall. If the loaded foods are taken in slowly, blood glucose level will describe a gradually increasing curve over time; similarly, if indigestible dextrin is taken in slowly, the distribution of the indigestible dextrin to the intestinal wall will be slow and inefficient for inhibition of glucose absorption.
著者
内田 さえ 渡邊 一平 矢野 忠 佐藤 優子
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-51, 2004-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
66

脳機能および中枢神経疾患に対する鍼灸の効果と現状を総合テーマとして、当該領域のレビューを行った。基礎研究における動物実験のレビューでは、麻酔ラットへの鍼刺激による大脳皮質および海馬の血流量に及ぼす影響とその機序を中心に紹介した。ヒトを対象とした基礎研究のレビューでは、fMRI、脳磁気図、脳波 (事象関連電位) などを指標とした鍼の効果に関する知見が総括された。また、中枢神経疾患に対する鍼灸の効果に関するレビューについては、脳血管障害後後遺症に対する鍼治療の有効性について総括すると共に、痙性抑制あるいは廃用症候群の改善によるQOL向上の可能性についても考察した。
著者
渡邊 明寿香 仲座 舞姫 石原 綾子 山本 和儀 伊藤 大輔
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.137-147, 2019-09-30 (Released:2020-06-25)
参考文献数
36

本研究の目的は、職場復帰後に生じると想定される問題に焦点を当てた介入コンポーネントを付加した集団認知行動療法の効果を検証することであった。うつ症状を主訴とした休職者21名(男性11名、女性10名、平均年齢40.52±8.45歳)に対して、週1回150分、計8回のプログラムが実施された。プロセス変数として、自動思考、認知的統制、行動活性化、環境中の報酬知覚、被受容感・被拒絶感に関する各尺度と、効果変数として、抑うつ・不安、社会機能、職場復帰の困難感に関する各尺度を介入前後で実施した。分析の結果、プロセス変数の改善がみられ、本プログラムの妥当性が示唆された。また、本研究のプログラムによって、抑うつや不安症状、社会機能の改善とともに、部分的には職場復帰の困難感が改善されたことが示された。さらに本プログラムの参加者の復職率は高く、脱落率は低かったことからも、職場の問題に焦点化した集団認知行動療法の有効性が示唆された。