著者
田中 茂穂
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1013-1019, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
27
被引用文献数
7 1

総エネルギー消費量は、基礎代謝量と食事誘発性体熱産生、身体活動によるエネルギー消費量に分けられる。基礎代謝量は、標準的な日本人において約6割を占めるが、体格・身体組成からある程度推定できる。ただし、ハリス・ベネディクトの式では、若い年代をはじめ、成人全体において、過大評価する傾向がみられる。一方、身体活動、特に運動以外の身体活動によるエネルギー消費量 (NEAT) には、同じ体格でも大きな個人差がみられる。総エネルギー消費量を推定するための方法としては二重標識水 (DLW) 法がベストの方法とされているが、現実的には、それぞれの方法の特徴をふまえた上で、加速度計法あるいは生活活動記録などを用いることとなる。
著者
世古 俊明 隈元 庸夫 高橋 由依 金子 諒介 田中 昌史 信太 雅洋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.857-860, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
15
被引用文献数
4

〔目的〕大殿筋,中殿筋の筋活動量を運動の違いで,股伸展,外転トルク値を肢位の違いで比較検討すること.〔対象と方法〕健常成人男性10名の大殿筋,中殿筋,大腿二頭筋,腰部背筋を導出筋とした.運動は股伸展と外転とし,側臥位での股屈曲90度,0度,伸展15度の3肢位で実施した.また運動時の股伸展,外転トルク値を測定した.〔結果〕大殿筋の筋活動量は伸展15度では伸展運動時に,屈曲90度では外転運動時に高値を示した.中殿筋の筋活動量に,差は認められなかった.股伸展トルク値は肢位の違いで差は認められず,外転トルク値は屈曲0度で高値を示した.〔結語〕大殿筋,中殿筋の解剖学的筋走行の特性が筋電図学的に裏付けられた.
著者
仲本 桂子 渡邉 早苗 工藤 秀機 ノパラタナウォン サム 蒲原 聖可 ラダック ティム 土田 満 宮﨑 恭一 サーシャン ディリープ 田中 明
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.267-278, 2013 (Released:2013-04-18)
参考文献数
36

ベジタリアンの研究によると、ベジタリアンは、ビタミン B 12、 ビタミンD の摂取量が非ベジタリアンより有意に低く、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB 2 、n-3 系多価不飽和脂肪酸(以下、n-3 系脂肪酸)の低摂取が懸念される。そこで、日本人用ベジタリアンフードガイド(JVFG)を用いて、日本人ベジタリアン男性(n=24)と女性(n=60)を対象に、栄養教育を行い、栄養状態の改善を試みた。 JVFG の栄養教育の介入前と後に、食事記録法による食事調査を行った。うち、16 名に対し、身体計測および血糖、尿酸、アルブミン/グロブリン比(A/G)、ナトリウム、カリウム、カルシウム、無機リン、鉄、総コレステロール、高比重リポたんぱくコレステロール、中性脂肪、ヘモグロビン(Hb)、プレアルブミンの血液生化学検査も行った。 結果、ベジタリアンで低摂取が懸念された栄養素のうち、女性において、ビタミンB 2(p<0 . 05)、亜鉛(p<0 . 01) の摂取が有意に増加した。しかし、ビタミンA、ビタミンD、ビタミン B 12、カルシウム、n-3 系脂肪酸の摂取量に有意な増加は見られなかった。身体・血液生化学成績では、女性においてA/G(p<0 . 01)、カルシウム、Hb(p<0.05)が有意に増加し、血糖(p<0.01)、尿酸、上腕三頭筋皮下脂肪厚(p<0.05)は有意に低下した。 以上より、日本人ベジタリアン、特に、女性において、JVFG の栄養教育介入により、栄養状態が変化することが示唆された。
著者
徳田 誠 田中 誠二 川浦 香奈子 軸丸 裕介
出版者
佐賀大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

様々なイネ科植物を摂食するがオオムギは摂食しないというトノサマバッタの寄主特異性に着目し、オオムギ品種Betzesの染色体を1対ずつコムギに導入したオオムギ染色体導入コムギ系統を用いて、トノサマバッタの行動や寄主選好性、生存率や発育期間に影響を及ぼすオオムギ側の要因を解明すべく研究に取り組んだ。コムギを与えて幼虫を飼育したときに比べ、オオムギ染色体導入コムギ系統6Hで生存率が有意に減少し,2Hで1齢および2齢幼虫期間が有意に遅延し。以上より、オオムギの6番染色体および2番染色体には、それぞれトノサマバッタの生存および発育に負の影響を与える遺伝的要因が含まれていることが示唆された。
著者
田中 美樹 布施 芳史 高野 政子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.71-77, 2011-04-01
参考文献数
13

本研究の目的は,父親が「自分は父親になった」と自覚した時期や出来事と,児への愛着や子育て行動にどのように影響しているのかを明らかにすることである。対象者はA市内の保育園に通う3歳未満の子どもをもつ父親で,属性,父親として自覚や子どもへの愛着に関する無記名自記式質問紙法を行った。愛着に関する項目は,大日向により信頼性が確認された愛着尺度を用いた。父親の自覚がある者は97.1%で,自覚をもった時期は「子どもを初めて見たとき」32.9%,「初めて抱っこしたとき」30.0%であった。子どもへの愛着得点が高い父親は低い父親に比べ,父親としての自覚で「強く思う」と答えた割合が高く,父親としての自覚と子どもへの愛着に関連を認めた(P<0.05)。さらに,育児参加への自覚の認識が高い父親は父親としての自覚も高かった(P<0.05)。多くの父親が出生直後の子どもに触れることや顔を見ることで父親としての自覚を感じていた。父親としての自覚と子どもへの愛着,育児参加の自覚とも関連を認め,父親が父親としての役割を果たすとき,その根底にあるものは,父性の芽生えや「父親になった」という自覚であることが示唆された。
著者
田中 佐千子
巻号頁・発行日
no.47, (Released:2013-06-05)
著者
鴨井 幸彦 田中 里志 安井 賢
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.67-80, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
30
被引用文献数
8 12

砂丘の形成年代は, 砂丘砂層や砂丘間凹地の腐植土, および砂丘の基盤層中に含まれる有機物の年代から決めることができる. 新しい年代値とともに, これまでの多くの年代測定値をまとめて整理し, 越後平野における砂丘の形成年代と形成過程を明らかにした. 約8,000年前に縄文海進とともに海水面が上昇すると, 越後平野の内陸部でラグーンを伴ったバリア島システムが成立した. 約6,000年前の海水準高頂期後, 海水準が安定するか, やや低下すると, 信濃川などの流入河川によって堆積物が豊富に供給され, 沖積平野は急速に拡大した. 海岸砂丘の発達は, 海岸線の前進と停止に呼応して断続的に進み, 10列の砂丘が形成された. 砂丘の形成年代は, 新砂丘I-1が約6,000年前, 新砂丘I-2が6,000~5,500年前, 新砂丘I-3が5,000年前, 新砂丘I-4が約4,500年前, 新砂丘II-1が約4,000年前, 新砂丘II-2が約3,500年前, 新砂丘II-3約3,000年前, 新砂丘II-4が2,000~1,700年前, 新砂丘III-1が1,700~1,100年前, 新砂丘III-2が約1,100年前である.
著者
田中 克佳
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.135-147, 2003-03

投稿論文はじめに一. 三田村鳶魚の「江戸っ子」ニ. 西山松之助の「江戸ッ子」結び"Edokko (江戸っ子)" is the unique human image which a newly-established city Edo produced in Tokugawa Japan. Then what is the human image? And what are the social background which produced that image and the concrete substance corresponding to the image? These are questions which should be grappled in advance to research the education in the city Edo in Tokugawa Japan.
著者
田中 麻巳
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.83-92, 2014

<p>大学図書館において,展示への注目の高まりの兆しが見られるにもかかわらず,実際どれほどの図書館が展示を実施しているのか,展示をどのようにとらえているのかは明らかにされていない。いくつかの調査例が存在するものの,さらに広範囲な実態調査が必要である。そこで本研究では,全国の大学図書館1,391館に調査票を送付し,展示の網羅的な実態調査を試みた。</p>
著者
長縄 弘親 熊沢 紀之 斉藤 浩 柳瀬 信之 三田村 久吉 永野 哲志 鹿嶋 薫 福田 達也 吉田 善行 田中 俊一
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.1109220007, (Released:2011-09-27)
参考文献数
7
被引用文献数
5 6

We tried the decontamination of surface soils for three types of agricultural land at Nagadoro district of Iitate-mura (village) in Fukushima Prefecture, which is highly contaminated by deposits of radionuclides from the plume released from the Fukushima Daiichi nuclear power plant. The decontamination method consisted of the peeling of surface soils solidified using a polyion complex, which was formed from a salt solution of polycations and polyanions. Two types of polyion complex solution were applied to an upland field in a plastic greenhouse, a pasture, and a paddy field. The decontamination efficiency of the surface soils reached 90%, and dust release was effectively suppressed during the removal of surface soils.
著者
劔 卓夫 奥村 謙 大西 史峻 金子 祥三 根岸 耕大 林 克英 岡松 秀治 田中 靖章 坂本 知浩 古山 准二郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.113-123, 2021-10-01 (Released:2021-10-10)
参考文献数
20

左脚ペーシング(LBBP)は,His束下流の刺激伝導系を直接捕捉しようとする新しい心室ペーシング法である.LBBPはHis束ペーシングより成功率が高く,心機能やQRS幅はHis束ペーシングとほぼ同等で,閾値上昇を認めないことが報告されている.われわれは房室ブロック30例に対してLBBPを試みたが,全例で左脚エリア心室中隔心筋内へのリード留置に成功した.心室ペーシング後のQRS幅は128±15ms(平均値±標準偏差),ペーシング閾値は0.6±0.2V/0.4ms,心室波高値は11.0±7.2mVで,刺激電極に7例(23%)で左脚電位が認められた.合併症は認められず,平均観察期間6±3ヵ月においてリード脱落,リード位置変更,0.5V以上の閾値上昇はなかった.LBBPはペーシング誘発心筋症の予防のみならず,左脚ブロックを有する両室ペーシング適応症例に対する心機能改善効果も検討されており,今後さらに普及することが期待される.

14 0 0 0 OA 無機物質の色

著者
田中 勝久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.194-197, 2017-04-20 (Released:2017-10-01)
参考文献数
3

無機物質に見られる様々な色は,可視域の特定の波長の光と無機物質との相互作用の結果として現れるものであり,光の吸収と発光が本質的に無機物質の色の違いにかかわる。また,散乱や反射といった現象は色の見え方に影響を及ぼす。光の干渉が独特の色調をもたらす場合もある。無機物質における光吸収や発光の起源として重要なものは,遷移金属イオンのd軌道が関与する電子遷移,結晶におけるバンド間遷移などである。また,金属光沢は光の反射に基づく現象であり,金属中の自由電子がその起源となる。本稿では具体的な例を挙げながら,無機物質における光の振舞いと色との関係を解説する。
著者
藤野 善久 堀江 正知 寶珠山 務 筒井 隆夫 田中 弥生
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.87-97, 2006 (Released:2006-08-15)
参考文献数
18
被引用文献数
23 34

労働時間と精神的負担との関連についての体系的文献レビュー:藤野善久ほか.産業医科大学公衆衛生学教室―労働環境をとりまく厳しい状況のなか,労働者のストレスやうつ・抑うつなどメンタルヘルス不全が増加していると指摘されている.これに伴い,精神障害等の労災補償に関する請求件数,認定件数ともに著しい増加傾向にある.労働時間,対人関係,職場における支援,報酬などは労働者のメンタルヘルスに影響を与える要因と考えられている.平成16年には厚生労働省が「過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会」報告書を発表し,長時間の時間外労働を行ったことを一つの基準として対象者を選定し,メンタルヘルス面でのチェックを行う仕組みをつくることを推奨した.しかしながら,上で示されたメンタルヘルス対策としての長時間労働の基準は,企業・産業保健現場での実践性を考慮したものであり,労働時間と精神的負担との関連についての科学的な確証は十分に得られていない.一方で,労働時間が様々な労働環境要因,職業ストレス要因と関連して労働者の精神的負担やメンタルヘルスに影響を与えることは,過去の研究からも合理的に解釈できる.そこで本調査では,労働時間とうつ・抑うつなどの精神的負担との関連を検討した文献の体系的レビューを行い,労働時間と精神的負担の関連についての疫学的エビデンスを整理することを目的とした.PubMedを用いて131編の論文について検討を実施した.労働時間と精神的負担に関して検討した原著論文が131編のうち17編確認された(縦断研究10編,断面研究7編).それらのレビューの結果,精神的負担の指標との関連を報告した文献が7編であった.また,労働時間の評価に様々な定義が用いられており,研究間の比較を困難にしていた.今回のレビューの結果,労働時間とうつ・抑うつなどの精神的負担との関連について,一致した結果は認められなかった. (産衛誌2006; 48: 87-97)
著者
鹿村 恵明 田中 愛佳 根岸 健一 下平 秀夫 若林 進 塚原 俊夫 野村 香織 出石 啓治 宮崎 長一郎 望月 眞弓 上村 直樹
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.242-250, 2016-02-28 (Released:2017-03-17)
参考文献数
18

Objective: For effective use of over-the-counter (OTC) drugs that are provided as relief supplies during a disaster, we aimed to develop a list of OTC drugs that can be used during a disaster.Methods: We obtained information about OTC drugs useful during a disaster by examining results of previous studies and lists of drugs used during a disaster.  We analyzed this information with the expert pharmacist of disaster support and established a rationale for our list and developed “the List of Useful OTC Drugs During a Disaster” and “the Information Card on Useful OTC Drugs During a Disaster.”Results: We developed our list of OTC drugs based on the following parameters: (1) while people with severe disorders (e.g. renal failure) are treated by medical teams, those with minor physical conditions are treated using OTC drugs and (2) those OTC drugs that can be used as substitutes for prescription drugs were preferably selected.  The List of Useful OTC Drugs ()—During a Disaster (containing 56 items) was developed for use mainly by medical professionals.  Further, pharmacists from disaster-relief medical teams may not always be available in disaster-stricken areas; therefore, the Information Card on Useful OTC Drugs During a Disaster was developed to enable disaster victims to independently make a certain level of decision.  The information card contained pictograms to call the attention of the disaster victims.Conclusion: Our results can provide a common tool for drug suppliers, medical professionals engaging in relief works in disaster-stricken areas, and disaster victims.