著者
田中 美穂
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.1646-1668, 2002-10-20
著者
直江 将司 阿部 真 田中 浩 赤間 亮夫 高野 勉 山崎 良啓 藤津 亜季子 原澤 翔太 正木 隆
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.34-40, 2017-02-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
32
被引用文献数
3

放射性セシウムの空間分布の実態を評価し,空間分布に影響している要因を検討することを目的として,2011年と2012年に茨城県北端の落葉広葉樹林内に61個のリタートラップを設置し,回収したコナラ落葉の放射性セシウム濃度を測定した。落葉の放射性セシウム濃度と落葉採取地点の斜面方位,傾斜度,落葉量の関係を調べたところ,2011年において,コナラ落葉の放射性セシウムの空間分布は一様ではなかった。東向き斜面の落葉の放射性セシウム濃度は西向き斜面の落葉のものよりも高く,また落葉量が大きいほど落葉の放射性セシウム濃度が高かった。2012年においても,空間分布の偏りは小さくなったものの同様な傾向がみられた。これらの原因としては放射性セシウムが原発事故時に大量放出された際の風向きが調査地付近では東風であったことなどが考えられた。
著者
田中 みなみ 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.33-40, 1993-07-25 (Released:2017-07-25)

平安時代から江戸時代にかけて描かれた絵画史料,絵巻物と屏風絵に登場する飲食器を対象として,その性状と用いられ方に着目しながら,歴史的変遷過程を観察・考察した。具体的には,絵画史料に登場する総計466件の飲食器について,(1)性状および使用状況による分類を行って量的データとして処理すること,ならびに,(2)個々の使用状況を観察し古文書の記述と合わせてその特性を考察することを行った。その結果多くの知見が得られたが,以下の3点は特筆すべき事項である。(1)高い高台を有する木椀の発生は器を手に保持して食する作法の確立に呼応しており,その時期は,およそ室町時代中期以降であると考えられる。(2)社会的階層の高低を問わず平安時代から江戸時代まで一貫してケとハレの生活の全面で広く利用されていた木椀は,いわば「飲食器を代表する生活のたの器」であったといえる。(3)「一器多用の器」として木椀が社会的身分を問わず長い時代にわたって使用されてきたのは,木椀が多様な用途に対して優れた対応力を有することを,その使用を通じ,人びとが広く認知してきたためと考えられる。
著者
田中 誠二
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.113-121, 2013-04-05

コガネムシの1種,Lepidiota mansuetaは,インド,アッサム州を流れる大河,バラマプトラ川に形成された世界最大の中州島,マジュリ島において2008年以降に個体数を急増させ,サトウキビをはじめさまざまな作物の根茎を食害し,農作物に深刻な被害をひきおこしている.筆者は2012年11月にこの島を視察し,このコガネムシの生態と被害の状況などに関する情報を収集した.この論文は,L.mansuetaの生活史,被害の状況,防除対策,問題点,今後の計画と展望について報告する.また生活史や行動パターンが,この種に似ている日本の沖縄県宮古島におけるケブカアカチャコガネDasylepida ishigakiensisと比較し,生態や防除対策に関して論議する.
著者
雪岡 聖 田中 周平 鈴木 裕識 藤井 滋穂 清水 尚登 齋藤 憲光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.III_87-III_94, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
20

本研究では,化粧品中のペルフルオロ化合物類(PFCs)の前駆体の把握を主目的とし,一定条件下で酸化分解を行うことで,種々の前駆体をPFCsに変換し,生成ポテンシャルを評価した.さらに精密質量分析により前駆体の化学構造の探索を行った.30製品中の15種のPFCsの総含有量は146~8,170 ng/g-wetであり,PFCs生成ポテンシャルは75~93,200 ng/g-wetであった.一部のファンデーションと化粧下地にPFCsの11~199倍のPFCs生成ポテンシャルが存在した.化粧品成分として「フルオロ(C9-15)アルコールリン酸」を含むファンデーションを精密質量分析した結果,7種のポリフルオロアルキルリン酸エステル類(PAPs)が検出され,それらはPFCsを生成する前駆体である可能性が示唆された.
著者
戸次 大介 峯島 宏次 金子 貴美 田中 リベカ 谷中 瞳 木下 恵梨子 伊藤 友里菜 簗 有紀子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2B3OS07a4, 2017 (Released:2018-07-30)

自然言語の意味論はモンタギュー以来、モデル理論的意味論が主流であったが、ランタらによる証明論的意味論の流れが存在する。特に近年、著者ら自身の研究を含む理論的進展により、証明論的意味論の経験的、計算的優位性が明らかにされつつある。本発表では、証明論的意味論の中心的枠組みの一つである依存型意味論(DTS)を紹介するとともに、その言語学的意義、哲学的位置付け、自然言語処理への応用などについて解説する。
著者
田中 さをり
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.11-24, 2017-12-01 (Released:2018-12-21)
参考文献数
20

In the historical discussions left by philosophers, we can find not a few descriptions about sign language and deaf people. However, it is hard to say that the accurate translations on each description has been done and philosophical debate has been continuing to this day. The description about sign language and deaf people often includes the author’s own opinion associated with the belief how human’s intelligence should be cultivated and the reader also tends to interpret the description with his/her normative consciousness of scandalized body model. For this reason, the erroneous translations and the non-essential discussions were created and each discussion has been consumed as mere a thought, not as a philosophical problem. In this background, this paper focuses on the modern but the controversial interpretations of Aristotle’s literatures and Wundt’s discussions on sign language. In each discussion, the author shows the possible way how we can argue the original philosophical problem from the contemporary point of view.
著者
田中 十志也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.225-230, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
21

肥満,インスリン抵抗性,高脂血症,高血圧といった動脈硬化のリスクファクターが一個人に集積するメタボリックシンドロームを呈する患者が急増している.とりわけ肥満に伴う脂肪細胞の機能異常がメタボリックシンドロームの発症に深く関わっていることから,適度な運動やカロリー摂取制限が有効な治療法の一つである.我々は,持続的な運動時あるいはカロリー摂取制限時に骨格筋で誘導される転写因子に着目して研究している中で,リガンド依存的に遺伝子発現を制御する核内受容体の一つperoxisome proliferator-activated receptorδ(PPARδ)が誘導されることを見いだした.そこで,PPARδの合成アゴニストGW501516を用いてDNAマイクロアレイ解析による標的遺伝子の同定を行ったところ,PPARδは骨格筋の脂肪酸取り込み,輸送,酸化,および脱共役タンパクといった脂肪酸代謝を調節する因子であることが明らかとなった.また,PPARδアゴニストは高脂肪食負荷および遺伝的に肥満を呈するマウスモデルにおいて抗肥満およびインスリン抵抗性改善効果を発揮することが明らかとなった.さらに,PPARδアゴニストは肥満動物の脂肪組織においてNADPHオキシダーゼ経路による酸化ストレスの産生を抑制することによってTNFαやIL-6といった末梢組織のインスリン抵抗性を惹起するアディポサイトカインの産生異常を改善することが明らかとなった.以上のことから,PPARδアゴニストは単剤で肥満,インスリン抵抗性,および高脂血症に対して治療効果を発揮する画期的なメタボリックシンドローム治療薬として期待される.
著者
余郷 嘉明 鄭 懐穎 長谷川 政美 杉本 智恵 田中 新立 本庄 健男 小林 伸好 太田 信隆 北村 唯一
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.19-34, 2003 (Released:2003-11-19)
参考文献数
57
被引用文献数
3 4

JC ウイルス (JCV) DNA の系統解析によりアイヌの起源を解明することを目的として, 北海道の3地域(浦河, 白老, 旭川)に住むアイヌ30名から尿を採取した。尿から検出された JCV DNA (n = 13) は5つのゲノム型 (MY-b, MY-x, MX, EU-a/Arc, EU-c) に分類された。MY-b, EU-a/Arc, EU-cは過去に近隣の人類集団から検出されたが, MY-xとMXは今回初めてアイヌから検出された。得られた知見から, (1) 東北アジアから渡来した複数の人類集団が現代アイヌを築いたこと, (2) ヨーロッパ人に近縁の東北シベリア先住民の祖先集団が現代アイヌの中核を形成したこと, (3) 縄文人を形成した集団や新規な東北アジア系集団も現代アイヌの形成に寄与したことが示唆された。
著者
西川 哲成 和田 聖二 和唐 雅博 田中 昭男 大森 佐與子
出版者
大阪歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

われわれは歯科医療従事者の肺における金属沈着を調べるため,肺癌の歯科技工士の剖検例で得られた肺の各種金属の濃度を熱中性子放射化分析法で測定した.さらに,その他の職種の患者の肺癌剖検例2例および心疾患患者の剖検例3例についても,同様に肺の金属を測定し比較検討した.その結果,歯科技工士の肺には,各種金属(Au,Ag,Co,Cr,Cu)の濃度は他の職種の患者より増加した.これらの金属は歯科用金属としてよく使用されて,またAuやCrはアレルギー,そしてCrは癌の原因物質と考えられていることから,肺への影響が懸念される.つぎに,歯科医療従事者の肺癌リスクとその組織的特徴を調べる目的で,大阪府立成人病センターで悪性腫瘍と診断された60歳以上の男性患者のうち,歯科医療従事者24例を含む4,138例を検索した.癌患者のうち肺癌患者の比率は,歯科医療従事者では41.7%で,歯科医療以外の患者19.7%であった.また,肺癌患者の歯科医療従事者10例の組織型では扁平上皮癌が10.0%,腺癌が80.0%,大細胞癌が0.0%そして小細胞癌が10.0%であり,歯科医療以外の肺癌全患者812名の組織型ではそれぞれ35.3,36.3,5.8および18.0%であった.以上,歯科医療従事者の肺癌発生頻度は高く,その組織型については腺癌が多いことが推察される.また,歯科医療従事者の毛髪に含まれる金属の沈着を調べるため,30歳以上の男性の歯科医療従事者15名(歯科医師9名,歯科技工士6名)と,30歳以上の男性でその他の職業のヒト5名計20名の毛髪を採取し,熱中性子放射化分析法によりAl,Au,Co,CuおよびVの含有量を測定した.その結果,歯科医療従事者の毛髪ではその他の職業のヒトの毛髪と比べ,Al,Au,Co,CuおよびVの含有量は増加した.以上の結果から,歯科医療従事者は肺癌リスクの高い職業であることが推察され,職場環境の改善が望まれる.
著者
田中 司朗
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.35-62, 2019-08-01 (Released:2019-09-18)
参考文献数
37
被引用文献数
1

A central problem in medical research is how to make inferences about the causal effects of treatments or exposures. In this article, we review fundamental concepts for making such inferences in randomized clinical trials or observational studies. The statistical framework consists of potential outcomes, an assignment mechanism, and probability distributions. Randomization-based and model-based methods of statistical inference are illustrated with a series of extracorporeal membrane oxygenation (ECMO) clinical trials, which are thought-provoking in that each trial used different assignment mechanisms.
著者
田崎 由実 伊藤 源太 三浦 直樹 田中 美穂 桃井 康行
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.61-66, 2013-10-10 (Released:2014-03-20)
参考文献数
6

これまでの研究で、我々は鹿児島県においてシリカ尿結石のイヌが多くみられること、及び県内の水道水中のシリカ濃度は他の地域に比べて著しく高いことを報告した[4]。シリカ結石の発生原因として、飲料水との関連性が示唆されたため、今回、国内のいくつかの地域の水道水中シリカ濃度を測定した。その結果、大分県竹田市、茨城県筑西市付近でシリカ濃度が高いことが判明した。また、シリカ結石が好発している鹿児島県霧島地方の水について高速原子衝撃質量分析(FAB-MS)を用いて解析したところ、シリカ濃度が1mM以上であるにもかかわらず、イオン状に溶解しているシリカが少なく、シリカを析出した後にみられる水の特徴と一致していた。シリカ結石予防の方法としてRO膜型浄水器は水道水中のシリカを除去できるが、家庭に普及している家庭用浄水器では、シリカが除去されないことが明らかになった。また、シリカ好発地域以外のシリカ結石症の要因について調べると、特定のフードとの関連が示唆された。
著者
岩佐 和典 田中 恒彦 山田 祐樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.82-92, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
45
被引用文献数
2 6

The purpose of this study was to develop the Japanese version of the Disgust Scale-Revised (DS-R-J). The participants were 1063 Japanese people (mean age = 21.64, SD = 7.33, range = 18–77; 581 males and 482 females) and were separated into three different groups. Participants in samples 1 (n = 481) and 2 (n = 492) provided data for examining the factor structure and validity of the DS-R-J. They completed the DS-R-J as well as questionnaires assessing disgust propensity and sensitivity, anxiety sensitivity, state and trait anxiety, affective state, and obsessive-compulsive symptoms. Participants in sample 3 (n = 90) provided data for estimating the test–retest reliability of the DS-R-J. The exploratory and confirmatory factor analyses confirmed the three-factor structure involving core disgust, animal-reminder disgust, and physical and mental contamination disgust. Internal consistency and test–retest reliability were sufficient, and conceptual validity of the DS-R-J was also supported. The results show that the Japanese version of the DS-R-J is a reliable and valid measurement of disgust sensitivity.
著者
村山 恭朗 伊藤 大幸 浜田 恵 中島 俊思 野田 航 片桐 正敏 髙柳 伸哉 田中 善大 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.13-22, 2015

これまでの研究において,我が国におけるいじめ加害・被害の経験率は報告されているものの,いじめに関わる生徒が示す内在化/外在化問題の重篤さはほとんど明らかにされていない。本研究は,内在化問題として抑うつ,自傷行為,欠席傾向を,外在化問題として攻撃性と非行性を取り上げ,いじめ加害および被害と内在化/外在化問題との関連性を調査することを目的とした。小学4年生から中学3年生の4,936名を対象とし,児童・生徒本人がいじめ加害・被害の経験,抑うつ,自傷行為,攻撃性,非行性を,担任教師が児童・生徒の多欠席を評定した。分析の結果,10%前後の生徒が週1回以上の頻度でいじめ加害もしくは被害を経験し,関係的いじめと言語的いじめが多い傾向にあった。さらに,いじめ加害・被害を経験していない生徒に比べて,いじめ被害を受けている児童・生徒では抑うつが強く,自傷を行うリスクが高かった。いじめ加害を行う児童・生徒では攻撃性が強く,いじめ加害および被害の両方を経験している児童・生徒は強い非行性を示した。