2 0 0 0 OA 藩翰譜

著者
新井白石 著
出版者
吉川半七
巻号頁・発行日
vol.第12上−12下, 1896
著者
白鳥 令
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.64-67, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)

本書は,大学教育において正規のカリキュラムにシミュレーション&ゲーミングを取り入れている立命館大学に関係する研究者たちが,シミュレーション&ゲーミングを大学教育に取り入れた自己の体験を詳細に記述し,評価し,振り返って見た報告である.実施されたシミュレーション&ゲーミングは,徳川鎖国政策を学ぶゲームから,地震の際の防災ゲーム,地方自治のゲーム,国際交渉における合意形成のゲーム,さらには,地球社会全体のグローバル・シミュレーション・ゲームまで,非常に多彩である.自己の体験を振り返って,著者のひとりは「発想」が重要だと言い,別の著者は大学教育にシミュレーション&ゲーミングを取り入れる際は「Simple, Smart, Soft」が眼目だと結論づけている.

2 0 0 0 OA 白蛾叢書

著者
新井白蛾 著
出版者
新井董
巻号頁・発行日
vol.第2冊(明治32年), 1899
著者
田中 貴章 杉田 裕次郎 白沢 竜馬 亀沢 健太 東 剛秀 松下 翔太 小田 健太郎 下園 幸一 山之上 卓
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成23年度電気関係学会九州支部連合大会(第64回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.513, 2011-09-26 (Released:2013-03-05)

本研究では,スマートフォンが持つ加速度センサを利用し端末の移動距離を算出することで,スマートフォンを3次元モデリングツールとして利用可能にする事を目的とする.移動距離の算出は加速度センサの値を積分することで行う.しかし加速度センサの値には重力加速度の値も含まれるため重力加速度の影響を取り除かねばならない為,本研究ではまず,重力加速度が移動距離の算出にどの程度影響するかを調べる為の実験を行なった.実験の結果,重力加速度の盈虚を取り除くことで移動距離の相対誤差を30%まで抑えることが可能だと分かった.今度の課題は,センサキャリブレーション,重力加速度を性格に取り除くシステムの構築をすることである.
著者
板谷 麻美 岩本 久生 小林 亜紀子 金澤 浩 白川 泰山 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.524, 2003

【目的】足関節腫脹の評価は、健側と比較して行われることが多いが、そこに本来左右差があれば比較の対象にならないのではないかと考えた。 そこで今回、健常者の足部・足関節に左右差があるかを明らかにすること、ならびに、腫脹の評価法の客観性を確認することを目的とし、基本的な測定を行った。【方法】対象は、足部・足関節に腫脹を残す疾病及び外傷の既往や現症のない者18名(男性3名、女性15名)36足。年齢(平均±SD)は、25.2±6.8歳、身長は158.1±8.0cm、体重は50.0±5.5kgだった。 (1)水槽排水法(Petersenら、1999)は、排水口まで温水を入れた特製の水槽に足を入れる。この時水槽から溢れ出た水量をメスシリンダーで測定する。 (2)Figure of Eight法(Estersonら、1979)は、代表的なメジャー測定法として用いられている。まず、メジャーをTA腱と外果の中間から内側方向へ伸ばし、舟状骨結節遠位を通り、アーチを横切って第5中足骨骨底の近位を廻り、TA腱に戻る。次に、内果の遠位端からアキレス腱を通り、外果の遠位端を廻り、再びTA腱へ戻し、以上の距離を測定する。 独自の方法として、メジャーを使い(3)内果及び外果の遠位端、(4)舟状骨結節と第5中足骨骨底、(5)第1中足骨骨頭と第5中足骨骨頭を通る値を測定する。 それぞれの測定値の左右差を算出し、差の検定には対応のあるt検定を用いた。また、(1)の測定値と(2)-(5)の測定値の相関係数を算出した。危険率は5%未満を有意とした。【結果】左右差(左-右)は(1)9.54±14.33mL(p=0.01)、(2)0.26±0.54cm(p=0.06)、(3)0.06±0.46cm(p=0.61)、(4)0.03±0.23cm(p=0.64)、(5)0.01±0.37cm(p=0.95)であり、いずれも左が大きかった。 (1)と(2)-(5)の相関係数(r)は、(1)vs(2) 右:0.95、左:0.96、(1)vs(3) 0.91、0.96、(1)vs(4) 0.91、0.92、(1)vs(5) 0.89、0.87で、いずれも高い相関を認めた(p<0.05)。【考察】今回、足関節腫脹の評価法の客観性を確認するため、健常者の足部・足関節に左右差があるかを調査した。 その結果、左足の容積及び周径が大きいことが明らかになった。容積の左右差9.54mLは、対象の足部・足関節の平均容量850mLの約1.1%にあたる。右足の容積にこれを加えたものが、左足の容積になるという臨床的な目安が示された。左足の値が大きい理由は、平沢(1980)が足底面積が左側で大きいことを示していることと関係すると考えるのが妥当であろう。 水槽排水法は足関節腫脹の評価において高い妥当性が示されたが、臨床的にはメジャー測定法が簡便である。今回行ったメジャー測定法は全て水槽排水法と高い相関があり、特にFigure of Eight法は足部・足関節全体を評価できることから、客観性のある方法と考えられた。
著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例,女性15例,25±11歳)に対して,草津温泉療法(40~42℃,1回10分,1日1~2回)を3~28週行った.その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である.32例(70%)で皮膚症状が改善し,さらにそのうち18例で掻痒も改善した.皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた.皮膚症状改善例のうち,温泉療法前に皮膚表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では,温泉療法後に13例で消失,2例で減少した.この草津温泉療法による皮膚症状の改善機序として,皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される.
著者
白坂 善之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.5, pp.599-608, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Although oral drugs account for 80% of the world drug market, many difficulties arise in their development. The drug absorption profile after oral administration may be influenced by multiple factors, including dosing conditions and physiological state of the gastrointestinal (GI) tract. Variability in GI fluid volume may influence the absorption characteristics. Indeed, the contributions of passive diffusion, transporters, and metabolic enzymes depend on GI drug concentration, which is influenced by changes in GI fluid volume. However, this important variable has been neglected in many prediction methods for oral drug absorption and drug interactions, and for convenience it is often assumed that the GI water volume is fixed at a constant value. Major global regulatory agencies such as the U.S. Food and Drug Administration (FDA), European Medicines Agency (EMA), and Japanese Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA) recommend using a constant fluid volume of 250 mL (the fluid volume of a glass of water) to estimate the theoretical GI concentration of drugs after oral administration. However, the actual volume of water in the GI tract is both time- and site-dependent as a result of water intake, absorption, secretion, and GI transit. This review article summarizes our data showing that luminal water volume is influenced by the osmolality of the applied solution, and illustrates how this effect may contribute to changes in GI drug concentration, resulting in altered drug absorption.
著者
白水 浩信
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.162-173, 2011-06-30 (Released:2017-11-28)

本稿は、教育(education)の原義を能力を引き出すこととする語源解釈から福祉との連携を図る言説を批判的に検証するものである。人間をその能力において把捉し、国力の増大、社会的福祉の増進を目指そうとする統治言説の系譜は、西洋では近代ポリス論にまで遡りうる。教育と福祉を接合するこの基本的視座を克服すべく、教育の語源を歴史的に再検討し、それが食に支えられた養生の営みであったことを明らかにする。
著者
白川 優治
出版者
千葉大学国際教養学部
雑誌
千葉大学国際教養学研究 = Chiba University journal of liberal arts and sciences (ISSN:24326291)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.87-102, 2020-03

[要旨] 本稿は、質問紙調査に基づいて、現代日本における大学の学費水準についての社会意識を検証するものである。一般市民、高校校長、自治体首長、大学学長を対象に行った質問紙調査をもとに、現在の日本の大学の学費水準が「高い」と評価されているのか、「安い」と評価されているのかを確認するともに、どの程度の学費水準が妥当であると考えられているのかを検証した。その結果、現在の大学の学費は「高い」と認識されており、その認識は、妥当であると想定されている金額を上回っているためであることが明らかになった。特に、一般市民において、大学の学費水準に対してシビアな評価がされていたことから、一般市民の大学の教育費負担に対する意識がどのように形成されているかを検証した。因子分析の結果、大学の教育費負担の在り方に対する意識には、3つの因子が析出され、特に、公費による教育費の負担軽減に対する評価(賛否)と、学費の自己負担をどのように考えるかが背景にあることが示された。また、重回帰分析により大学の授業料水準に対するの評価を規定する要因を探索したところ、教育費負担の軽減をどのように評価するかが共通して影響していた。また、経済格差や地域格差などの日本社会全体の課題をどのように考えるかなど、日本社会の在り方をどのように考えるかが大学の学費水準に対する評価に影響していることが示された。
著者
佐藤 圭汰 小俣 純一 遠藤 達矢 三浦 拓也 岩渕 真澄 白土 修 伊藤 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0183, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】肩こりは平成22年および25年の厚生労働省国民生活基礎調査において,男女ともに高い有訴率で,改善が急務とされる病態の一つである。その中でも,肩こり患者の僧帽筋の筋硬度は健常者と比較して有意に高値を示すという報告があり,理学療法介入による改善が期待できる一つの因子である。鎮痛効果を目的とした電気刺激療法は,一般的に経皮的神経電気刺激法(TENS)が用いられるが,今回はTENSと比較し皮膚抵抗が少ない高電圧電気刺激法(HVS)に着目した。HVSは鎮痛効果に加え,筋ポンプ作用による血液循環増大効果を持つことが報告されており,肩こり患者における僧帽筋の筋硬度を改善させる可能性がある。しかし,肩こり患者に対するHVSの効果は検討されていない。そこで本研究の目的は,肩こり患者に対するHVSの即時的効果と筋硬度に対する介入の意義を検証することである。【対象と方法】対象は同意を得た肩こりを有する成人女性15名(40.3±8.4歳,155.4±2.6cm,58.7±10.5kg)。HVSはPHYSIO ACTIVE HV(酒井医療社製)を用い,設定を周波数50Hz・パルス持続時間50μsecとして,対象者が不快に感じない電流強度で10分間実施した。筋硬度の測定は超音波画像診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を用いた。測定肢位は両上肢を体側につけた腹臥位として,僧帽筋上部線維の筋硬度を測定した。筋硬度はHVS前・直後・5分後,疼痛(VAS)はHVS前後に評価を実施した。統計的解析は治療前後の筋硬度変化に多重比較法,治療前後のVASに対応のあるt検定を用いた。有意水準は全て5%とした。【結果】僧帽筋の平均筋硬度はHVS前32.9±14.0kPa,直後30.0±11.2 kPa,5分後23.8±6.6 kPaで,HVS前・直後に比べて5分後に有意な低下を示した(p<0.05)。平均VASはHVS前52.6±22.8mm,HVS後31.8±21.3mmで,HVS前に比べHVS後に有意な低下を示した(p<0.01)。また,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与した者10名(66.7%)で,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者2名(13.3%)であった。【結論】結果からHVSは筋硬度を低下させる効果を有し,肩こり患者の疼痛を改善する方法のひとつとなり得ることが示された。疼痛改善に用いる筋収縮後の弛緩期を利用した動的ストレッチは,血流改善による筋痛の緩和が報告されている。土井らは動的ストレッチ効果の持続時間を検証し,血液量が増加し筋温が上昇していくことで筋硬度の低下,筋伸張性が向上すると述べ,介入前に比べ直後,10分後と有意に効果が向上することを報告した。今回,HVSにより筋収縮が繰り返され,動的ストレッチと類似した効果が得られたため,筋硬度の改善,疼痛改善につながったと考える。しかし,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者もみられた。肩こりの原因は多岐に渡るため,筋硬度に対するアプローチはあくまで肩こり患者の疼痛を改善させる方法の一つと考え,実施することが重要と考える。
著者
岡島 聡 東本 有司 本田 憲胤 前田 和成 白石 匡 杉谷 竜司 山縣 俊之 西山 理 東田 有智 福田 寛二
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.246-251, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【背景と目的】慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないことや,自身の動作に固執することをしばしば経験する.慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者で前頭葉機能が低下していると報告はあるが,間質性肺炎(以下IP)患者の報告はない.そこで,IP患者を対象に前頭葉機能を検討し,COPD患者やコントロール患者と比較した.【対象と方法】当院で入院や外来通院しているIP患者20名,COPD患者48名,コントロール患者12名を対象とした.前頭葉機能検査はFrontal Assessment Battery(以下FAB)を用いて検討した.【結果】FAB合計点数はコントロール群(16.8±1.3点)と比較して,IP群(14.2±1.7点),COPD群(14.5±1.7点)ともに低値であった.FAB項目のなかでは,類似性,語の流暢性課題がIP群,COPD群ともに低値で,GO/NO-GO課題はCOPD群で低値であった.【結語】COPD患者と同様に,IP患者の前頭葉機能は低下していた.項目別でも,IP患者とCOPD患者の低下パターンは類似していた.
著者
白神 敬介
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009-01

制度:新 ; 報告番号:甲2728号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2009/3/15 ; 早大学位記番号:新4925
著者
白尾 泰宏 小牧 順道
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100477, 2013

【はじめに、目的】上部体幹の不良姿勢として頭部前方位がある。この不良姿勢は頚部後方組織のメカニカルストレスの増大や、肩甲帯機能不全の主因とされており、その発生機序としてJandaが提唱する上部交差症候群といわれる筋のアンバランスが存在するといわれている。臨床上、腱板損傷やインピンジメント症候群等の肩疾患においてこの頭部前方位の不良姿勢が存在していることをよく経験する。今回の研究は、頭部中間位と前方位における肩甲帯周囲筋の筋活動を分析し肩甲帯機能への影響を調査するものである。【方法】健常成人11名(男性3名女性8名平均年齢31.5歳)を対象に、背もたれ付椅子に坐位となり利き手側肩関節中間位で90°屈曲し1kgの重錘バンドを手関節に乗せ、3秒間保持し頭部中間位、頭部前方位(5cm前方移動)での棘下筋、三角筋前部線維、前鋸筋、僧帽筋上部線維、僧帽筋下部線維の筋活動を調査した。頭部位置は椅坐位にて骨盤中間位としレッドコードを使用して矢状面での肩峰中心と外耳孔の位置を測定しそれぞれの頭部位置を決定した。筋活動分析にはキッセイコムテック社製コードレス表面筋電計MQ-AIRを使用し、測定筋の位置は、棘下筋は肩甲棘の中央下2横指、三角筋前部線維は肩峰前端と三角筋粗面を結ぶ線上の肩峰下2横指、前鋸筋は肩甲骨下角外側2横指、下1横指、僧帽筋上部線維は第7頸椎棘突起と肩峰を結ぶ中間、僧帽筋下部線維は肩甲棘内側と第8胸椎棘突起を結ぶ線上の肩甲棘内側を結ぶ上3分の2とした。測定筋はアルコール綿にて処理を行ないサンプリング周波数1000Hzにて測定した。得られたデータは同社製BIMUTAS-Videoにて解析し、1秒間の実効値(Root Mean Square RMS)を求めた。さらにKendall式徒手筋力テストにて各筋の最大筋力を測定し、1秒間のRMSを求め測定したRMSを最大筋力のRMSで除し%MVCを求め比較した。統計処理は頭部位置別筋活動測定値の級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient ICC)を求め、excel statcel 2を用いて二つの頭部位置間の比較にはpaired-t testを、各頭部位置における各筋の筋活動の比較は一元配置分散分析をおこない有意差を認めたのでBonferroniにて多重比較検定を行なった。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には事前に研究の趣旨を十分に説明し、同意を得た上で実施した。【結果】頭部位置別筋活動測定値のICCは棘下筋0.89、三角筋前部線維0.82、僧帽筋上部線維0.86、僧帽筋下部線維0.90で良好であった。頭部前方位では頭部中間位と比較し棘下筋、前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられた(P<0.05)。また、頭部中間位では前鋸筋と僧帽筋下部線維間に有意差を認めた(P<0.05)が、頭部前方位では各筋活動に有意差は認められなかった。【考察】頭部前方位での前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられたが、これはWeonら先行研究と同様の結果となった。その要因としてMcleanは頭部前方位では肩甲挙筋が過活動し、その拮抗筋である前鋸筋は相反神経抑制されるとしている。また、頭部中間位では前鋸筋が僧帽筋下部線維に比較し筋活動量が大きく有意差があり前鋸筋による肩甲骨安定化作用がみられるが、頭部前方位では僧帽筋下部の活動が増加し頭部中間位とは異なる肩甲骨安定化作用がみられた。したがって、僧帽筋下部線維の筋活動の増大は前鋸筋の代償作用と推察される。頭部前方位での棘下筋の活動性低下は肩甲上腕関節の求心位の低下を惹起し、さらに前鋸筋の活動低下による肩甲帯不安定性からouter muscle優位になり、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化が起こりImpingement症候群の一要因となる可能性が推察される。しかし、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化については筋活動からの推測であり、実際の上腕骨頭偏位の確認にはレントゲン等による比較検討が必要である。また今回の研究では肩関節挙上角度が90°のみであり、その他様々な角度や肩甲面での挙上による筋活動の検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】肩甲上腕関節の障害では肩甲帯の位置異常が臨床場面での問題点としてフォーカスされるが、頭部位置異常も肩甲帯機能に影響を及ぼす要因となること、そして頭部前方位の肩甲帯筋活動を明確にしていくことでImpingement症候群や腱板損傷の発生メカニズムの解明、治療、予防に応用できると思われる。
著者
福岡 講平 柳澤 隆昭 渡辺 祐子 鈴木 智成 白畑 充章 安達 淳一 三島 一彦 藤巻 高光 松谷 雅生 西川 亮
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.387-391, 2015 (Released:2016-02-06)
参考文献数
11

【緒言】脳幹部腫瘍は, 極めて予後不良な疾患であり, 生存期間の延長に寄与したと証明された化学療法は, 未だ存在しない.今回我々は,放射線治療後再進行を来した脳幹部腫瘍に対する低用量持続経口エトポシド療法の投与経験を報告する.【方法】当院で加療した脳幹部腫瘍症例に対し,後方視的に経口エトポシド療法の効果および有害事象に関し検証した.【結果】対象症例は,11例で,診断時年齢中央値5歳(3–10歳),男女比は1:10であった.10例が画像所見のみで診断し,1例が他院にて生検施行され,膠芽腫と診断された.診断から中央値7か月(2–19か月)で放射線治療後の腫瘍再進行を認め,経口エトポシドが開始になっていた.経口エトポシドへの治療反応性に関しては,画像所見が改善,または変化無であった症例は,画像評価の行われた9例中3例であったのに対し,臨床症状は11例中8例で改善または維持,ステロイド投与量は投与中であった8例のうち,2例で中止,2例で減量を行うことができた.エトポシド投与期間は,中央値6か月で,最長24か月投与が可能であった症例も認められた.症例の全生存期間は,中央値19か月(6–38か月)であった.【結語】脳幹部腫瘍,放射線治療後再進行例において,経口エトポシド療法により明らかに臨床症状の改善が得られる症例が認められ,試みるべき治療方法であると考える.
著者
白砂 恭子 渕田 英津子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190716061, (Released:2019-11-08)
参考文献数
26

目的:日本における高齢者が健康に独居生活を送れる条件を検討する。方法:『医中誌Web』で検索し,18件を分析対象文献とした。結果:高齢者自身の条件である〔個人の特性〕〔意図した活動〕〔日常生活活動の維持〕と,高齢者を取り巻く条件である〔孤独との向き合い方〕〔安心できる生活環境〕が抽出された。高齢者が健康に独居生活を送る記述内容は,19の身体的健康,20の精神的健康,27の社会的健康に分類された。結論:高齢者自身の条件は,生活習慣や価値観などは個々で大きく異なるため,高齢者自身が物事を能動的に決定できることが健康な生活の継続に関係していると推察された。また,高齢者を取り巻く条件は,他者との関係性や生活環境が要因になると考えられた。さらに,社会的健康が多く分類されたことから,高齢者が健康に独居生活を送るためには人や社会とのつながりが重要であることが示唆された。