著者
石橋 陽子 松薗 絵美 合田 智宏 横山 文明 菅井 望 関 英幸 三浦 淳彦 藤田 淳 鈴木 潤一 鈴木 昭 深澤 雄一郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.759-768, 2011 (Released:2011-05-11)
参考文献数
24
被引用文献数
2

急性壊死性食道炎の4例を経験した.4例とも初発症状は吐血で,上部消化管内視鏡検査では特徴的な黒色食道を呈した.発症時の基礎疾患は,3例がケトアシドーシス,2例が糖尿病であった.3例は保存的に軽快し,死亡例を1例認めたが死因は急性壊死性食道炎によるものではなく,基礎疾患である敗血症が予後を規定した.急性壊死性食道炎はまれな疾患ではあるが,緊急内視鏡における鑑別診断として念頭に置くべきであると考える.
著者
石橋 正孝
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.139-152, 2008-08-25 (Released:2017-08-04)

ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)の最も有名で最も人気のある作品である『八十日間世界一周』(1872年)には,数多くの先行研究が存在しているが,その大半はメッセージレヴェルの解読が中心になっているように思われる.それに対し,本論では,極めて特異な作品構造に注目した上で,連作『驚異の旅』全体のプロジェクトとして「地球の描写」が浮上する際に,この作品が果たした決定的な役割を示したい.まず第一部で,『八十日間世界一周』以前の小説が二系列に分類可能であり,両者の統合が「地球の描写」というプロジェクトを生んだことを論じる.続く第二部では,この統合が『八十日間世界一周』によって実現された事実を明らかにすると共に,小説版に先立って戯曲版が書かれ,小説刊行後に再度新しく戯曲化されるというその成立過程を通じて,この作品の特異性を再確認する.
著者
鷹見 凌 染宮 聖人 平山 紀夫 山本 晃司 松原 成志朗 石橋 慶輝 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本複合材料学会
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.32-39, 2022-01-15 (Released:2023-02-10)
参考文献数
26

When analyzing the fracture behavior of unidirectional carbon fiber-reinforced polymer (CFRP), it is important to consider the interfacial strength between the reinforcing fiber and the base resin, and the strength of the base resin. Therefore, the adhesiveness of the base material and the compatibility with the sizing material and fibers are important design parameters in the development of CFRPs. However, a quantitative method for estimating the interfacial strength and the strength of the base resin has not been established. In this study, we propose a method to evaluate the interface strength of unidirectional CFRPs by creating learning data through a series of numerical material tests and by constructing a neural network that outputs the interface strength based on a homogenization method from the results of off-axis tensile tests. We adopt a general feed forward neural network whereby parameters are learned by employing a backpropagation method. The interfacial strength and the matrix resin strength is predicted and evaluated from the results of the off-axis tensile test to demonstrate the effectiveness of this system.
著者
柴田 玲奈 宇都 康行 石橋 賢一
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.313-318, 2019-12-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
33

マコガレイの稚魚,未成魚,成魚の分光視感度特性を調べるために,暗順応した供試魚の眼球から網膜電図(ERG)を記録した。得られた ERG のデータを Stavenga et al.(1993)のテンプレートに当てはめ分光応答曲線を求めた。稚魚,未成魚,成魚における最大応答波長はそれぞれ531 nm,524 nm,515 nm であり,すべてのステージで緑に感度が高いことが示された。マコガレイ稚魚は浅瀬に生息し,成長とともに生息水深が深くなる。分光感度ピーク波長が成長とともに短波長側にシフトすることは,生息水深の光環境への適応と推測された。
著者
安部 厚志 若旅 正弘 石橋 清成 岡本 善敬 内田 武正 山本 哲
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
Journal of Rehabilitation Neurosciences (ISSN:24342629)
巻号頁・発行日
pp.222402, (Released:2022-12-28)

This study reports a case of a paraplegic stroke patient who had difficulty walking with an ankle–foot orthosis, but was able to walk independently with a short knee–ankle–foot orthosis (semi-KAFO). A 34-year-old man presented with right hemiplegia due to left putaminal hemorrhage. At 143 days after the stroke onset, he could not obtain sufficient support for the paralyzed leg and required assistance during his walk with an ankle–foot orthosis because the knee joint of the paralyzed side was always flexed due to knee flexor hypertonia. Conversely, he was able to walk with a semi-KAFO under observation. He practiced putting on and taking off the semi-KAFO, standing, sitting, walking, and toileting with a semi-KAFO for three weeks. At 164 days after stroke onset, he was able to walk and toilet independently with a semi-KAFO. This study’s results indicate that a semi-KAFO is useful as a daily living orthosis for hemiplegic stroke patients who have difficulty walking with an ankle–foot orthosis due to increased knee joint flexor muscle tone.
著者
石橋 みゆき 吉田 千文 樋口 キエ子 丸谷 美紀 伊藤 隆子 雨宮 有子 諏訪部 高江 神谷 明美 平野 和恵 林 弥生 木暮 みどり
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、療養の場の移行支援の構築を目指し、退院支援に係る看護技術を体系化することである。計26病院に勤務する協働して退院支援を実施している関係にある看護師ら計48名へ半構成インタビューを実施し、先行研究の枠組みを基盤に内容を分類・統合し計21の退院支援技術が明らかとなった。退院支援に係る21の看護技術は、#0本人の意向を見極めセルフケア能力を高める、#1家族への支援と家族との協働、#2医療福祉専門職との連携と協働、#3退院支援体制発展に向けたシステム構築という4段階で体系化でき、個への支援(ミクロ)から地域への貢献を意図した支援(マクロ)に向かって拡大する方向であると考えられた。
著者
土井 啓行 本間 義治 園山 貴之 石橋 敏章 宮澤 正之 米山 洋一 酒井 治己
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.87-89, 2014-03

日本沿岸には,フグ目ハリセンボン科は4属7種が生息するとされている。そのうち,メイタイシガキフグ属Cyclichthysは,棘長が眼径より短いこと,棘は不動で棘の断面は三角形から扁平状であること,尾柄部に棘がないこと,尾鰭軟条数が通常9本であること,及び各鰭に斑紋がないことなどで他属と区別されるが,日本沿岸からは世界全3種のうちメイタイシガキフグC. orbiculalis(Bloch)およびイガグリフグC. spilostylus(Leis and Randall)の2種が記録されている。これら2種は,前種が頭部に3根の棘を持つのに対し後種の頭部棘は4根であること,前種では体部背面と側面に黒斑が散在することに対し後種では腹面の棘の根元に瞳孔大の黒点があることで識別される。両種ともおもにインド・西部太平洋の熱帯・温帯の珊瑚礁や岩礁域に生息し,幼魚期には外洋で生活する。なお,最近地中海からも記録されているが,紅海からスエズ運河を通じての侵入者と見なされている。日本での採集例は少なく,メイタイシガキフグが佐渡島並びに伊豆半島以南,イガグリフグが富山湾並びに高知県以南より数例報告されていたのみであった。このたび,そのうちの1種イガグリフグ2個体が新潟県佐渡島地先で採捕され,下関市立しものせき水族館において飼育する機会を得た。これは日本沿岸からの稀な採捕例でもあり,しかも本種の北限記録と考えられるので報告する。
著者
石橋 一昴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 43 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.572-575, 2019 (Released:2020-07-31)
参考文献数
12

本研究は,高等学校数学Aの確率における根元事象についての問題の答えが,学問数学による答えとは異なることから,数学教育の確率単元における根元事象には暗黙的な仮定が存在すると考え,それを明らかにすることを目的とした.また,先行研究の知見から,暗黙的な仮定が存在すればそこから指導上の課題が明らかになるとの示唆を得たことから,確率教育の課題の指摘にも取り組んだ.その結果,確率教育の根元事象は,各根元事象が同様に確からしいことを暗黙的な仮定としていることが明らかになった.次に,事象の確率の定義に「根元事象が全て同様に確からしい」という記述があることと,各根元事象が同様に確からしくない問題が扱われていることを,確率教育における自己矛盾として指摘した.さらに,これらの矛盾から,確率教育における根元事象の意味が一貫していないことを指摘し,それを乗り越えるための対応方策を提案した.
著者
石橋 優美 藤村 宣之
出版者
日本家政学会児童学部会
雑誌
児童学研究 (ISSN:24344508)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.51-61, 2020 (Released:2022-02-24)

This present study examined how interventions based on students’ prior knowledge facilitates their conceptual understanding. Individual experiments were conducted on seventh graders (N=39 in Experiment 1; N=38 in Experiment 2), and they solved some problems about oxidation reaction in 3 sessions: pre-test, intervention (2 conditions: experimental or control), and post-test. In Experiment 1, students’ in experimental condition reasoned condition of a thing through time using pictures. On the other hand, students’ in control condition were showed a thing in pictures. The results indicated that (a) three levels were identified, (b) the experimental condition facilitated the understanding, and (c) understanding deepening in the intervention were related to that in the post-test. The purpose of Experiment 2 was to investigate the intervention of Experiment 1, and a real thing was used in place of pictures. The results showed that (a) the experimental condition facilitated the understanding, (b) understanding deepening in the intervention was related to that in the post-test, and (c) Experiment 2 had the more effect on the understanding than Experiment 1.
著者
石橋 璃子 古澤 之裕 本田 裕恵 渡邉 康春 藤坂 志帆 戸邉 一之 高津 聖志 栗原 新 田渕 圭章 長井 良憲
雑誌
日本薬学会第142年会(名古屋)
巻号頁・発行日
2022-02-01

ヒトの腸内には約40 兆個もの細菌が存在しており、腸内細菌の異常が代謝内分泌疾患の発症と関連することが明らかになっている。近年、抗炎症作用や代謝調節改善作用を示すポリフェノールが、腸内細菌叢に影響することでメタボリックシンドロームを改善することが示されており、天然物由来成分の作用メカニズムの1つとして腸内細菌叢の変動が注目を集めている。我々は、甘草由来ポリフェノールであるイソリクイリチゲニン (Isoliquiritigenin: ILG)が、抗炎症・抗メタボリックシンドローム作用を示すことを明らかにしたが、ILGの作用メカニズムについては不明な点が多い。本研究では、ILGが腸内細菌叢の変化を介して抗メタボリックシンドローム効果を示すか検証した。 野生型C57BL/6マウスに高脂肪食(HFD)を摂餌させて誘導される肥満や糖尿病が、0.5% ILGの混餌(HFD+ILG)により改善した。内臓脂肪組織における炎症マーカーについては、ILGによりCD11cやTNFaの発現が減少し、大腸組織において腸管バリア機能関連遺伝子であるTjp1の発現増加が認められた。さらに、ILGにより腸管のムチン産生の増加も確認できたことから、ILGには腸管バリア機能改善効果があると考えられた。16s rRNAシークエンスによる腸内細菌叢解析では、ILGにより腸管バリア機能向上や抗肥満・高糖尿病効果を示すParabacteroides goldsteiniiとAkkermansia muciniphilaの増加が確認された。 ILGによる抗肥満・抗糖尿病効果が腸内細菌叢の変化によるものか調べるため、HFD群およびHFD+ILG群糞便を用いた腸内細菌叢移植 (Fecal Microbita Transplantation: FMT)を行った。ILG群からFMTを受けたC57BL/6マウスは、HFD群からのFMTを受けたマウスと比較して、体重増加の軽減や、移植8週後の内臓脂肪重量と内臓脂肪組織における炎症マーカーの発現の低下や抗糖尿病効果がみられた。以上のことから、ILGが抗メタボリックシンドローム効果を示す機序として、腸内細菌叢が寄与していると考えられた。
著者
坂下 風子 古川 真理江 牧野 州明 中野 聡志 石橋 隆
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2010年年会
巻号頁・発行日
pp.239, 2010 (Released:2011-04-06)

長野県木曽郡南木曽町周辺に分布する苗木-上松花崗岩にはアルカリ長石のひとつである微斜長石の変種であるアマゾナイトが産出する(日本希元素鉱物,長島,1960).本研究では同地区およびアメリカコロラド州に産出するアマゾナイト試料として用い,アマゾナイトの不均質な着色の原因を明らかにすることを目的とした. 研究手法は,顕微分光光度計,偏光顕微鏡および電子顕微鏡観察,X線回折,化学組成分析,赤外線吸収スペクトル法によって苗木花崗岩ペグマタイト中のアマゾナイトの組織と化学成分,カラーリングとの関係を試料の不均質性に対応させて報告する.
著者
津田 英一 藤 哲 石橋 恭之 岡村 良久 小松 尚 佐藤 英樹
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は膝前十字靭帯損傷受傷の危険因子を解明し,それを元に予防に有効なトレーニングプログラムを作成し,その効果を評価することを目的としています.本年度の目標は,本プロジェクトの最も基礎となる危険因子の解明のために,フィールドワークを行いスポーツ選手の身体的特徴,運動能力などのデータを採取することでした.昨年度に行った予備調査によって決定した調査項目1)全身関節弛緩性,2)膝関節前方安定性,3)Q角,4)関節位置覚,5)大腿四頭筋・ハムストリング等尺性筋力,6)バランス機能,7)全身反応時間,8)動的下肢アライメントについて高校生スポーツ選手を対象としてデータ採取を行いました.平成17年度男子106名,女子100名,平成18年度男子118名,女子77名,合計男子224名,女子177各につき調査項目のデータを採取しました.男女間による統計学的比較では,全身関節弛緩性,Q角,大腿四頭筋・ハムストリング等尺性筋力,動的膝関節アライメントで有意差を認め,膝前十字靱帯断裂の危険因子として男女間の発生率の相違に関連している可能性が示唆されました.特に動的下肢アライメントの分析では,女子で有意にknee-inとなることが明らかとなり,危険因子となりうる可能性が示唆されました.その後の追跡調査によって,平成19年4月の時点で男子1名,女子5名に前十字靭帯損傷の受傷が確認されました,しかしながら現時点では対象数が少なく,受傷者に特徴的な所見は得るには至っていません,更なる調査対象の拡大,追跡調査の延長が必要と考えられます.また,独自に予防トレーニングプログラムを作成し,膝関節キネマティクスに対する効果を三次元動作解析法を用いて検討しました.大学生バスケットボール選手を対象とした6週間のトレーニングでは,女子選手でジャンプ着地動作における膝外反の減少が認められ,予防につながる可能性が示唆されました.
著者
村上 卓 塩野 淳子 石橋 奈保子 石川 伸行 阿部 正一 野間 美緒 坂 有希子 堀米 仁志
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【目的】心房中隔欠損症の多くは思春期まで無症状である。心房中隔欠損症が小児期の身体発育に及ぼす影響について検討した。【対象と方法】2005年1月~2014年12月に15歳以下の心房中隔欠損症103例に延べ106件の心臓カテーテル検査を施行し、他の病態が身体発育に関与しうる25例(染色体異常、左右短絡疾患(心室中隔欠損, 動脈管開存)合併、超低出生体重児、側彎合併、肺動脈弁狭窄治療後、成長ホルモン分泌不全、経管栄養、精神運動発達遅滞)を除外した。1)カテーテル検査時の身長SD、体重SDにQp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。2)心房中隔欠損閉鎖術を施行された症例における術前身長SD、体重SD(カテーテル検査時)と術後身長SD、体重SD(術後6~18か月時)を比較検討した。また、Δ体重SD、Δ身長SD(術前と術後の差)に手術時年齢、術前身長SD、術前体重SD、Qp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。【結果】1)81件(80例)(男35:女46、年齢中央値5y3m(範囲5m~14y1m))の体重SD -0.25±1.09、身長SD -0.16±1.18(平均±SD)と身体発育の低下を認めた。体重SDとQp/Qs、身長SD とPp/Psに負の相関(r=-0.26, p=0.02、r=-0.29, p=0.01)を認めた。2)49例(男27:女22、手術時年齢平均5y5m(範囲9m~13y10m))に心房中隔欠損閉鎖術が施行された。術前体重SD -0.30±1.12 vs 術後体重SD 0.06±0.96(p<0.01)、術前身長SD -0.20±1.12 vs 術後身長SD 0.06±1.01(p<0.01)(平均±SD)と術後に体重と身長の増加を認めた。Δ体重SDは術前体重SD(r=-0.48, p<0.01)や手術時年齢(r=-0.40, p<0.01)と、Δ身長SDも術前身長SD(r=-0.43, p<0.01)や手術年齢(r=-0.58, p<0.01)と負の相関を認めた。【結論】心房中隔欠損症は短絡量や肺動脈圧が身体発育障害に影響している可能性があり、低年齢で身体発育障害が強い症例では閉鎖術により身体発育の改善が期待される。
著者
石橋 信彦 鎌田 薩男 石田 和男 片瀬 彬
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-12, 1964-01-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

フッ素化合物中のフッ素と塩化ナトリウム中の臭素を14MeV中性子で放射化分析する研究を行なった。速中性子はCockcroft-Walton型加速器を用い, D-T反応により発生させた.分析すべきフッ素試料にはテフロン (およびテフロンFEP) , フッ化ナトリウム, フッ化カルシウム, およびケイ・フッ化ナトリウムを用い, 臭素試料には臭化ナトリウムと塩化ナトリウムの混合物を用いた。衝撃時間はフッ素試料に対しては120分, 臭素試料は6分とし, 50~70rpmの回転台上で衝撃した。衝撃位置での中性子束は通常約106n/cm2・sec程度であった。128チャネル (またはシングルチャネル) γ線スペクトロメーターおよび減衰曲線で調べた結果, フッ素試料から放射される7線は0.51MeVのγ線だけであり, このγ線は19Fの (n, 2n) 反応で生ずる18Fからのものであることがわかった。純臭化ナトリウムの場合には大きな0.51MeVの光電ピークと小さな0.62MeVのピークが認められた。前者は79Brの (n, 2n) 反応で生ずる78Brからのものである。大量の塩化ナトリウムが臭化ナトリウムと混合した試料の場合は, 0.51MeVのγ線の減衰は通常の片対数プロットを行なうとき直線にならない。この直線からのかたよりは34Clからのγ線によるものと考えられるので, 分析の場合にはこのγ線の放射能を全計数から差引いだ。これには純食塩を放射化させたときの放射能を用いた。0.51MeVの光電ピークの放射能から計算したフッ素および臭素の含量は化学分析値とよく一致した。塩化ナトリウム中の臭素は0.8%程度の含量まで比較的精度よく分析できることがわかった。
著者
佐藤 昭子 寺尾 通徳 石橋 美也子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.63-67_1, 1993-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

液体培地及び魚肉 (アジ, カツオ) ホモジネート中における V. parahaemolyticus に対するニンニク抽出液の抗菌作用を検討した. ニンニク抽出液を20, 10及び5%添加した培地に供試菌を約105/ml個接種し, 経時的に生菌数を測定した結果, 15分, 30分及び1時間以内に供試菌は死滅した. 同濃度のニンニク抽出液を添加した無処理のアジ魚肉ホモジネートに, 供試菌を約105/g個接種した場合, 30分後の生菌数は約102, 104及び104/g個であった. カツオの魚肉ホモジネートを用いて同様の実験を行った結果, アジ魚肉に比べ抗菌効果はやや低下したが抗菌作用が認められた. ニンニク抽出液を-20, 4, 25及び37°で120時間保存し, 抗菌活性を測定した結果, 4°以下では安定していたが, 25°以上では24時間後, 活性は徐々に減弱した.
著者
倉成 由美 石橋 通江 梅﨑 節子
出版者
純真学園大学
雑誌
純真学園大学雑誌 = Journal of Junshin Gakuen University, Faculty of Health Sciences (ISSN:21866481)
巻号頁・発行日
no.7, pp.63-71, 2018-03

【要 旨 】 就 労 継 続 支 援 A 型 事 業 所 を 利 用 す る 統 合 失 調 症 者 の 就 労 継 続 プ ロ セ ス を 明 ら か に す る こ と を 目 的 に 就 労 継 続 支 援 A 型 事 業 所 を1年以 上 利 用 す る 統 合 失 調 症 者5名に 対 し 半 構 造 化 面 接 を 実 施 し た.得 ら れ た 語 り の内容を質的帰納的に分析した結果,18個のカテゴリーを抽出した.さらにカテゴリーは,就労継続のプロセ スとプロセスを支える存在に大きく分けられた.就労継続プロセスとして,統合失調症発症の時期から疾病の 治療への葛藤・疾病をコントロール出来てきた時期,一般就労を諦めて福祉就労に就いた時期,福祉就労を含 めた 日常 生活 が確 立し てき た時 期と3つの 段階 を踏 んで 就労 継続 出来 てい ると 判断 した. また, 就労 継続 プロ セスを支える人々の存在が大きく影響していた.支援者が就労継続プロセスを支える存在となるためには,疾 患の特徴や現在置かれている状況を見極め,信頼関係をつくりながら自己効力感を高めるように支援すること, さらに,生活のなかで就労が習慣化し,日常生活リズムが確立するように支援していくことが重要であるAbstract: This study aimed to clarify the process by which schizophrenic individuals utilize type support offices for continuous employment to seek and participate in continuous employment Semi structured interviews were administered to five schizop hernia patients who had used the services of a type support office for continuous employment for one year or longer, Interview contents were subjected to qualitative and inductive analysis. A total of 18 categories were extracted from the results that could be conceptually divided broadly into ʻ work continuation processʼ and ʻentities supporting the process.ʼ After the onset of their disease, schizophrenic individuals were found to follow a three stage process as they sought and participated in continuous employment these periods were respectively characterized by) personal struggles with treatment and nascent control and management of their disease;2)the a andonment of regular employment and the pursuit of job opportunities via social welfare and 3)the establishment of a daily routine that incorporated their new welfare-related job. Furthermore, the presence of other peple who supported the interviweees during the process was found to be a crucial component of its success. Individuals in support roles needed to ascertain the characteristics of job seekersʼ disease and social circumstances and improve their feelings of self -efficacy.They also built trusting relationships to usefully assist these patients in the work continuation process. Another important function of supporters was to help patients become acclimatized to their jobs as part of their lifestyles and establish a regular routine