著者
芝 真人 鈴木 秀謙 藤本 昌志 川北 文博
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ラット及びマウスの血管内穿通モデルを作成し、くも膜下出血後早期脳損傷の病態におけるマトリセルラー蛋白テネイシンCの役割について調べた。まずくも膜下出血後の脳においてテネイシンCの発現に伴い神経細胞のアポトーシスが誘導されていることを示した。続いてイマチニブがテネイシンCの発現を抑制することによりアポトーシスを軽減していることを確認するため精製テネイシンCの髄腔内投与を行い、アポトーシスが誘導されることを示した。最後に各種阻害薬を用いて、テネイシンCの発現抑制がMAPキナーゼを介したMMP-9の誘導を抑制することによって、早期脳損傷を軽減させることを示した。
著者
鷲谷 徹 藤本 武 木下 武男 FUJIMOTO Takeshi
出版者
(財)労働科学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

初年度においては、労働=勤務時間と生活時間の内的連関構造を明らかにすることを目的として、電機産業の既婚男子労働者を対象とした生活時間調査データの解析を行ない、そこから、1.職業関連行動時間(勤務時間、通勤時間等)の延長が他の諸生活行動時間をいかに圧迫しているかを構造的に分析し、能動的「余暇」活動を行なうためには、まとまったある程度長い時間(「最小必要連続時間」)が必要であり、長時間労働による生活時間の圧迫は量的のみならず、生活の質に大きな影響を及ぼすこと、2.家庭生活の「良好度」、労働者の健康状態等の指標を労働=生活時間の状態と関連づけて分析すると、帰宅時刻との強い連関が認められ、帰宅時刻が21時を超えると、家族関係や労働者自身の健康状態に様々な障害が発生する可能性があることを明らかにした。さらに、第2年度には、異なる2種類の生活時間調査データの分析を行い、初年度の分析結果との比較検討を行なった。そこでは、3.地域や勤務先業種、職種等の違いにも拘らず、帰宅時刻をひとつの基準として、家庭生活の良好さを確保するという視点からの、労働時間の上限の一般的目安を見いだし得ることが明らかとなり、また、4.労働時間短縮の実現に関わる労使関係上の問題解明のための実態調査結果の分析を通じて、所定外労働を行なう理由として、労働者自身は「自己の仕事を消化するため」を挙げるものがとくに多く、見かけ上は、「自発的に」時間外労働を行なっていること。この限りで、時間外労働の削減の方向は、いったん、労働時間制度の枠組みを外部化し、それ自体の遵守を労使関係の基盤と化すべく論理の倒置が要求されていることが明らかとなった。
著者
鈴木 崇文 阪口 泰子 藤本 昌一 山田 久 田中 敦司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.403-410, 2009-08-01
被引用文献数
1

公共図書館における障害者サービスは,少しずつではあるが進んできている。ただ,自治体によってそのサービスの方法や広まりには差がある。名古屋市図書館では,比較的早い時期からこれらのサービスを開始している。その例として,対面読書と郵送貸出を取り上げる。また,試みたもののあまり成果の上がらなかった方策も例示する。これらを通して,公共図書館での障害者サービスの実状を紹介する。ここで,障害者サービスという言葉については,「図書館利用に障害のある人びとへのサービス」ととらえていることをお断りしておきたい。
著者
藤本泉〔著〕
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1980
著者
藤本 高志 德永 光俊 渡邉 正英
出版者
大阪経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

離島経済を対象に,(1)n種類の産業から成る地域経済の所得決定をモデル化し,(2)ノンサーベィ法による地域産業連関表の推計手法を開発し,(3)それらを活用し,離島の地域所得を,中央政府の直接支出・移転支出,地域外からの純所得受取,移出,所得に依存しない消費・投資,が誘発する所得に分解し,離島経済自立の可能性を探るとともに,(4)離島経済の特徴とその形成要因を定量分析した.また, (5)離島の移出基盤産業である砂糖産業が離島地域内に生み出す所得を評価するとともに,(6)国産砂糖を守ることに対する人々の支払意思額を,表明選好法により推定した.
著者
藤本 憲信
出版者
熊本大学
雑誌
国語国文学研究 (ISSN:03898601)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.267-284, 2014-03-06
著者
別府 賢治 藤本 華倫 片岡 郁雄
出版者
香川大学
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.55-58, 2007-02-28

暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布が、甘果オウトウ'佐藤錦'の翌春の花器の発育および結実に及ぼす影響を調査した。9月上旬にホウ素濃度500ppmのホウ酸溶液を鉢植え樹の全葉に噴霧処理した。ホウ素処理により、翌春の胚珠の寿命が延長し、花柱内での花粉管伸長がやや速まった。ホウ素処理区では対照区に比べて結実率がやや高まった。これらのことから、暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布は、翌春の結実性を向上させる効果があることが示された。
著者
藤本 雅清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.8, pp.754-758, 2012-08-01

音声区間検出(VAD:Voice Activity Detection)は,音声信号と音声以外の信号(非音声信号)が含まれる観測信号から音声信号が存在する時間区間を検出する技術である.VADは,様々な音声情報処理技術の入り口に位置することから,それらの性能を大きく左右する極めて重要な技術である.本稿では,VADの基本構成と評価方法,応用先について説明し,音声情報処理技術におけるVADの位置付けを明確にする.また,様々なVAD手法を紹介しつつ,過去10年間の世界的な研究動向を振り返り,今後の研究のあり方について述べる.
著者
藤本 悦子 安藤 詳子 寳珠山 稔 菊森 豊根 福山 篤司 有田 広美 大島 千佳 永谷 幸子 竹野 ゆかり 間脇 彩奈 佐伯 街子 今井 常夫 阿部 まゆみ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

リンパ浮腫を来した患肢のリンパ動態とCDTの効果を明らかにし、その成果に基づいて効果的なケアプログラムを開発する。動物とリンパ浮腫患者を対象とした2つのアプローチで行った。前者ではICG-PDEシステムを用い、in vivoでリンパを追跡した。後者ではMR画像から水分の貯留部位を同定した。両者共にCDTを施行し、CDTの効果を明らかにした。両アプローチから、リンパは特異的な分布を示すこと、CDTには浮腫を軽減する効果があることが明らかになった。さらにラットでは、正常時にはないリンパの排出ルートが出現し、これが浮腫の軽減に寄与していることが示唆された。これまでとは違ったケアが考えられた。
著者
楢崎 正也 藤本 佳子 谷口 浩司 柏原 士郎 横田 隆司 鈴木 克彦
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

阪神・淡路大震災において被災した分譲マンションの復興過程に関して平成9年度から継続して行ってきた調査結果の分析を行い、最終結果としてまとめる作業を行った。これまでの調査結果を一度展開した上で、被災からの時間経過に伴った以下のストーリーで集約し直し、それぞれの項目に関して、調査結果に基づく分析・検討を行った。1.マンションの被災状況2.震災後の居住者の対応行動3.被災マンションの復興過程における事例4.マンション復興における法的諸問題5.被災マンションの管理組合の対応6.被災マンションに対する管理組合の対応7.復興過程における住民の合意形成過程とコンサルタント・設計事務所の役割8.復興過程における住民の合意形成過程とまちづくり協議会9.建替えマンションの建物状況と居住者の生活実態10.被災マンションの復興再生方策特に、本研究の着目している「合意形成過程」に関しては、管理組合自身での合意形成過程の調査のみならず、そこに係わっていたコンサルタント・設計事務所・住民組織への聞き取り調査を行い、行政との橋渡しなど様々な側面でのその役割が大きかったことを明らかにした。また、平成10年度までの研究で不十分であった項目に関する今年度の補足調査としては「9.建替えマンションの生活実態」を行い、震災から5年が経過した現状での生活実態について明らかにした。
著者
藤本 麻依 高本 真志 細見 光一 高田 充隆
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.53-62, 2014 (Released:2014-09-06)
参考文献数
31

Objective: To examine the association between statin use and the risk of sleep disturbances, data mining was performed on a claims database. Methods: Symmetry analysis was carried out to identify the risk of sleep disturbances after statin use during the period from January 2005 to December 2011.  Statin use in combination with hypnotic drugs was examined by prescription sequence symmetry analysis.  In this study, hypnotic drugs that are commonly prescribed for the treatment of insomnia were used as markers of sleep disturbances produced by statins. Likewise, event sequence symmetry analysis was undertaken to evaluate the association between statin use and the diagnosis of sleep disturbances.Results: Significant associations of statin use with short-acting hypnotic drugs were found, with an adjusted SR (sequence ratio) of 1.23 (95%CI: 1.04-1.45) at an interval of 12 months.  Otherwise, significant associations between individual statin use and hypnotic drug use were not found.  Significant associations between use of statins and the diagnosis of sleep disturbances were not also found in this study.Conclusions: Analysis of the claim database demonstrated that statin therapy might be associated with an emergence of sleep disturbances.  Therefore, individuals prescribed statins should be considered as having an increased risk of sleep disturbances.
著者
大谷 毅 高寺 政行 森川 英明 乾 滋 徃住 彰文 柳田 佳子 宮武 恵子 矢野 海児 濱田 州博 池田 和子 鈴木 美和子 鈴木 明 正田 康博 上條 正義 松村 嘉之 菅原 正博 藤本 隆宏 肖 文陵 高橋 正人 韓 載香 金 キョンオク 李 宏偉 佐野 希美子 NAKANISHI-DERAT Emi 雑賀 静
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本のファッション衣料の国際プレゼンスが低い原因は、国境を超えた着用者への製品の提案力の欠如にあった。日本のmodelismeは良好だがstylisme(ことに一次設計)は脆弱だ。スタイルの代替案想起・期待・選択作業は、設計者に対し、グローバルな着用者の行動空間に関する知見を求める。これはまた事業者の決定の価値前提の問題に関係する。大規模なファッション事業者の官僚組織が生み出す「逆機能」とも密接に係る。単にブランドの問題だけではなく、事業規模・裁量・ルーチン・経営資源配分に関わることが判明した。製品展示を半年以上前倒しするテキスタイル設計過程は、衣服デザイナーの決定前提の一部を説明していた。
著者
林田 和也 中尾 慎太郎 石本 浩康 藤本 坦孝 一瀬 孝 小俣 正朗
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1988年にJ.L.Kazdanは彼の論文(Comm.Pure-Appl.Math.vol31)で次の問題を提起した:変分量J_i(v)=∫_Πr|∇u|pdx(p>1)のcritical pointsについて一意接続性がなりたつか?我々はJ_i(v)については出来なかったが,J_i(v)を同等な次の変分量:J_2(v)=Σ^^n__<i=1>∫_Π|∂_iv|pdxについて条件付き乍ら,彼の問題が肯定的であることを示した(J.Math.Soc.Japan.vol,46)。yamabeの問題から派生した楕円型方程式の問題:単位球内正値で、球面上で0になる半線型楕円型方程式の解の存在と非存在について,我々はこの問題を双曲空間で考察し,ある結果を得た(with M.Nakatani,Mathematica Joponica vol,40)。研究分担者一瀬孝によって,負のスカラーポテンシャルをもつ相対論的ハミルトニアンに対して,本質的自己共役性が証明された。又,研究分担者藤本担孝によって,Nevalinna理論が放物型Riemann面をパラメータ空間とする極小曲面の場合に拡張された。
著者
藤本 登
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、学校教育の教科学習の中でエネルギー環境教育を行う方法を示し、温暖化防止の観点から技術評価力や実践力を調べた。その結果、中学校におけるロボット教材を用いた技術科の授業として登坂型省エネルギーロボットの製作が提案された。また照明製作の授業で生徒の地球温暖化防止活動を活発化させるためには、照明比較実験などの体験活動のみならず、ふりかえり活動が有効であることが示された。さらに公立学校の光熱水量を調査し、使用量の多い項目を地球温暖化の授業テーマとする方法を提案した。また水がテーマとして選ばれた学校に対して、節水と省エネルギーの関係を理解させるために開発された水処理実験装置を用いた授業実践を行った結果、最大40%の節水効果が得られた。これに対し、高校生や大学生を対象とした原子力ワークショップから、専門家との対話や関連知識の提供のみではエネルギーや原子力の概念化は困難であることが示され、教師は専門的な知識より、ファシリテーター能力や解説能力が必要であることが連想法によって示された。また電源やエアコンを例として技術評価の能力を育成するための支援教材が、一対比較法を利用して開発された。この中で中学校技術科の授業実践では、2次元動作解析システムを利用した教材が、工具操作(鋸挽き)技能の向上と授業時数の短縮化に寄与したことから、教科に温暖化防止活動を入れることが可能になった。
著者
藤本 浩一 川口 優子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.103-112, 2008-05

本研究は統合失調症であると知った当事者の主観的体験を明らかにし、提供できる看護援助を検討することを目的とした。統合失調症者6名に半構成的面接を行い、その体験を質的帰納的に分析した。分析は1)統合失調症であると知った方法について、2)知ったときの思いについて、3)知ってからの対処について、4)家族との話し合いについて、5)看護師に期待すること、の5つの視点に基づいて行った。結果の分析より、統合失調症であると知った当事者は多様な感情を抱き、それに対する対処を行っていた。また呼称変更後も統合失調症であることを隠したい思いを抱いていた。以上から看護者は個々の当事者を取り巻く環境と対処について理解し、当事者の病いの受容のレベルに合わせた看護実践を行うことが重要であることが示唆された。
著者
山田 孝子 園田 節子 王 柳蘭 藤本 透子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

多文化空間に生きる越境者集団における共同性再構築のメカニズムを、地域間比較のもと、チベット難民、中国系カナダ人、タイ北部の雲南系ムスリム、カザフ人帰還者の諸事例を人類学的・歴史学的視点から実証的に分析した。その結果、越境者の共同性再構築には、越境者ネットワーク、無私/慈悲の精神にもとづく個人や宗教者のリーダーシップの存在、ホスト社会との政策を最大限活用する共生の戦略、祝祭と宗教実践をとおした「伝統」の主張などが重要な道筋となることが明らかにされた。また、あらたな地域空間の創出を理解する上で、「下からの共生」という視点が重要となることが提起された。