著者
卯野木 健 林田 敬 河合 佑亮 對東 俊介 安藤 守秀 飯田 有輝 笠井 史人 川崎 達也 神津 玲 近藤 豊 齊藤 正和 櫻本 秀明 佐々木 信幸 佐浦 隆一 中村 謙介 大内 玲 岡本 菜子 岡村 正嗣 栗原 知己 栗山 明 松石 雄二朗 山本 憲督 吉廣 尚大 矢坂 泰介 安部 諒 飯塚 崇仁 井上 拓保 内山 侑紀 遠藤 聡 大倉 和貴 太田 浩平 大塚 貴久 岡田 大輔 小幡 賢吾 片山 雪子 金田 直樹 北山 未央 喜納 俊介 草葉 隆一 桑原 政成 笹沼 直樹 高橋 正浩 髙山 千尋 田代 尚範 立野 淳子 田村 貴彦 田本 光拡 土谷 飛鳥 堤 悠介 長門 直 成田 知大 名和 智裕 野々山 忠芳 花田 匡利 平川 功太郎 牧野 晃子 正木 宏享 松木 良介 松嶋 真哉 松田 航 宮城島 沙織 諸見里 勝 柳 尚弥 山内 康太 山下 遊平 山本 夏啓 劉 啓文 若林 侑起 渡辺 伸一 米倉 寛 中西 信人 高橋 哲也 西田 修 日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement2, pp.S905-S972, 2023 (Released:2023-12-10)

重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供は,取り組むべき重要課題である。日本集中治療医学会では,2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ―根拠に基づくエキスパートコンセンサス―」を発行したが,系統的にエビデンスを評価したものではなく,あくまでも専門家のコンセンサスに基づくものであった。そこで,日本集中治療医学会では,質が高く,かつ,医療従事者が理解しやすく,その意思決定に資することを目的に,システマティックレビューおよびGRADE(grading of recommendations, assessment, development and evaluation)アプローチを用いた診療ガイドラインを作成した。 重症患者に対するリハビリテーションに特化し,かつ,GRADEアプローチを用いた診療ガイドラインとしては,世界初の試みである。本ガイドラインは日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会を核に,ワーキンググループ,システマティックレビュー班,アカデミックガイドライン推進班から構成された診療ガイドライン作成グループの合計73名からなるメンバーで作成した。リハビリテーションでは多職種連携が非常に重要であることはいうまでもない。本ガイドラインも多職種,かつ多様な専門分野を持つ医師や医療従事者,ICU患者経験者を含む多くのメンバーが作成に寄与した。 本ガイドラインでは,グループメンバーによる議論に基づいて,8領域を注目すべき臨床重要領域とした。その上で,各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question, CQ)を作成した。 パブリックコメントの募集を計2回行い,CQに対する回答としては,10のGRADEによる推奨,4つの背景疑問の解説が示された。また,CQごとに情報を視覚的診療フローとして作成し,各CQの位置付けがわかりやすいように配慮した。多職種が関与する重症患者に対するリハビリテーションにおいて,本ガイドラインが活用されることを期待する。
著者
澤村 匡史 則末 泰博 美馬 裕之 植田 育也 重光 秀信 大野 美香 牧 盾 伊藤 香 植村 桜 上澤 弘美 丸藤 哲 藤野 裕士 西田 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.509-510, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
被引用文献数
2 4

日本集中治療医学会臨床倫理委員会は,日本COVID-19対策ECMOnet(代表 竹田晋浩)(日本集中治療医学会,日本呼吸療法医学会,日本救急医学会)ならびに厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」分担研究班と合同で,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019, COVID-19)流行に際しての医療資源配分の観点からの治療の差し控え・中止の考え方を提言する。提言は,非常事態にあっても臨床倫理の原則を守りつつ,医療資源を公正に配分するために適切な議論を経て行われるべきことを骨子としている。
著者
小松 聖史 矢田部 智昭 栗山 直英 中村 智之 幸村 英文 西田 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸療法医学会
雑誌
人工呼吸 (ISSN:09109927)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.58-62, 2022 (Released:2022-05-30)
参考文献数
18

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の他臓器合併症の1つに、膵臓への直接的な臓器障害が疑われる急性膵炎の報告がある。今回、ICUに入室したCOVID-19患者における膵障害発生頻度および因子を検討するために後方視研究を実施した。2020年3月から2021年6月にICUに入室した30症例を対象とした。膵障害は、アミラーゼまたはリパーゼの正常上限値の3倍以上または、CT上膵臓に急性膵炎に伴う異常所見を認める場合とし、両者を満たしたものを急性膵炎と定義した。膵障害を22例(73%)で認め、このうち3例は急性膵炎を発症した。APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)Ⅱスコア、入室時のP/F比に膵障害群と非膵障害群の両群間で有意差はなかった。SOFA(sequential organ failure assessment)、人工呼吸管理患者の割合、ステロイド使用患者の割合は膵障害群で有意に高かった(8[5,10]vs. 5[1,6],p=0.04;95 vs. 50%,p=0.01;100 vs. 50%,p=0.003)。腹臥位の実施、入室から腹臥位開始までの日数、および施行期間に両群で有意差はなかった。本研究から、集中治療を要するCOVID-19患者の73%で膵障害を有することが明らかになった。
著者
入江 政安 西田 修三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1129-1134, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2
被引用文献数
4 1

A lot of rivers and channels which were cut for water traffic flow through the center of Osaka City. The Dotombori River flows along and across the city's main streets and the landmark of Osaka. However, it is polluted so that it is the target of urban renewal and some measures are carried out. The water quality of this river is controlled by two water gates because more polluted upstream water and saline seawater in which the concentration of dissolved oxygen is very low flow into the river. In the present paper field observation is conducted to clarify the characteristics of the water quality and asses the operation of the water gates in this tidal urban river. The operation is good for the maintenance of the water quality, but the oxygen-deficient seawater intrudes and spreads onto the river bottom and makes influence on the bottom sediment.
著者
篠原 史都 飯田 有輝 森沢 知之 山内 康太 小幡 賢吾 神津 玲 河合 佑亮 井上 茂亮 西田 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.84-90, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
20

【目的】重症患者における入院関連能力障害(HAD)と退院後の介護予防の必要性との関連を調査することである.【対象と方法】2021年9月から2022年3月にICUにて48時間以上の人工呼吸管理を施行した20歳以上の患者を対象とする前向き観察研究である.HADの有無の2群で背景因子,退院3ヵ月後の転帰と生活状況等について比較した.生活状況の調査は基本チェックリストを用いて郵送にて行った.また,多重ロジスティック回帰分析を用いてHAD発生に関与する因子を抽出した.【結果】65例が解析対象者となった.HADは21例に発生した.HAD群で退院3ヵ月後の運動機能低下とフレイルの割合が有意に高かった.また,HAD発生の関連因子としてICU退室時の握力とFunctional Status Score for the ICU合計が抽出された.【結論】HAD群で退院3ヵ月後にフレイルを呈した症例が多かった.
著者
篠原 史都 水谷 公司 加賀谷 斉 幸村 英文 尾崎 祐輔 河合 佑亮 西田 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.521-526, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

【目的】術後管理目的にICUへ入室した患者を対象にし,抜管直前の呼吸機能検査における再挿管の関連因子を検討した。【方法】2016年6月から2018年7月の間に術後管理目的で人工呼吸器装着のままICUへ入室した症例のうち,抜管直前に呼吸機能検査を行えた症例を対象とした。対象者を抜管後72時間以内の再挿管の有無で再挿管群と非再挿管群に分けた。 APACHE Ⅱscore,性別,術式にて1:2でマッチングし,背景因子と抜管直前の呼吸機能検査値を比較検討した。【結果】全324例中再挿管群は9例(2.8%)であった。背景因子はマッチングした非再挿管群の18例との間に差を認めなかった。呼吸機能検査値では最大呼気圧(maximal expiratory pressure, MEP)のみ再挿管群で有意に低値であった。再挿管理由の半数以上が痰の喀出困難であった。【結論】MEPが低値であると再挿管に至る可能性が高いことが示唆された。
著者
河合 佑亮 山田 亨 山川 一馬 西田 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.277-286, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
38

要約:【目的】ICUにおける身体抑制に対する患者・家族,医療者の思いや考え,代替法についての考えを説明する。【方法】MEDLINE,CENTRAL,CINAHL,医学中央雑誌から検索期間の制限を設けずに2019年4月28日に論文を検索した。対象論文をメタ統合し,各レビュー所見の確信性をConfidence in the Evidence from Reviews of Qualitative research(CERQual)アプローチで評価した。【結果】対象は16論文であった。身体抑制について,患者は安全確保のため問題ないとする一方で,人権侵害などのため実施すべきでないと考えていた(エビデンスの確信性:低)。家族は仕方ないと考えながらも,身体抑制を最小限にする配慮をありがたいと感じていた(非常に低)。医療者は有害事象を危惧しながらも安全確保のため実施し(高),代替法として,手厚い人員配置などの体制整備や生活者としての個人を尊重するケアの提供が重要と考えていた(高)。【結語】身体抑制に対する患者や家族,医療者の思いや考えが説明された。より確信性の高い説明のためには,患者や家族を対象にした複数の質的研究が必要である。
著者
村松 恵多 河合 佑亮 恒川 祐太 大森 鮎子 神戸 美樹 山田 幸子 髙井 亜希 眞野 惠好 西田 修
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement, pp.S1-S8, 2022 (Released:2022-06-06)
参考文献数
15

目的:人工呼吸器管理下で長時間腹臥位療法を受ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者に対する包括的褥瘡予防策の効果、褥瘡発生のリスク因子を検証した。 方法:人工呼吸器管理下で1日あたり16時間以上の腹臥位療法を受けたCOVID-19重症患者を対象に、後ろ向き観察研究を行った。包括的褥瘡予防策の効果検証のため、顔面へのドライポリマー製マットと皮膚接触部位への体圧分散ウレタンフォーム製マットなどを使用した介入前期と、それに加えて顔面への保護用ヘルメットシステムと前胸部への低反発弾性ウレタンフォームを追加した介入後期を比較した。リスク因子の検証のため、褥瘡発生の有無で比較した。 結果:介入前期と後期の対象者は各8名であり、Intensive Care Unit(ICU)在室中の褥瘡発生率は75%vs 50%であった。褥瘡発生部位は頬骨部位が3件vs 5件で最も多く、顎部位は2件vs 0件、仙骨部位は1件vs 1件、踵部位は0件vs 0件であった。褥瘡発生患者ではICU在室中の最大Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアが高かった(中央値19.5 vs 14.0、p=0.034)。 結論:本研究の包括的褥瘡予防策は、顔面の褥瘡発生率の改善には影響しない可能性が示された。リスク因子として最大SOFAスコアが明らかになった。
著者
橋本 正治 川野 常夫 西田 修三
出版者
摂南大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

以下に示す計画に従い研究を実施した。(1)3次元曲線の入力法の提案・入力装置の試作・評価実験(2)作業者の特性の検出法の提案・検出装置の試作・評価実験(3)個性や熟練度の検出法・評価法の提案と試作装置による評価実験(4)熟練度に応じて柔軟に対応するインタフェースの提案と評価実験CADシステムに用いるための3次元入力法を提案し、試作装置の精度と入力に要する時間について評価した。その結果、精度に関して300mmの曲線の長さに対して5mm程度の誤差が生じていることと、処理時間に関して作業者が違和感を覚えるとされている0.1sec以内に前ての処理が行われているとが明らかとなった。評価実験を行った結果、本入力装置のように作業者の表現内容を機械が判断し入力情報として用いる方式を用いることで未熟者であっても容易に熟練者と同じ入力処理が行えることが明らかとなった。作業者の熟練度は、作業結果や作業工程などに現れると考えられるが、作業の内容に応じて評価しなければならない。本研究では、未熟者と熟練者では作業の疲労度に差がでることから、疲労度を生理的情報を検出することで熟練度合いを評価する手法を提案した。作業の負担とならない生理情報の検出法の提案と測定装置の試作を行い、生理情報と精神的疲労度との関連を実験により明らかにした。熟練を要する作業のシミュレータを開発し、作業者の熟練度に応じてインタフェースのC/D値を作業中に変化させる実験を行った。被験者が熟練者の場合、作業成績を維持しながら作業時間が短くなった。これは、本手法を用いることによりさらに技能の習熟が進んだことを意味し、有効性が確認されたと考えられる。
著者
河合 佑亮 西田 修
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3-4, pp.377-387, 2022-08-15 (Released:2022-08-15)
参考文献数
33

集中治療領域における短期の生命予後改善の一方で,集中治療後症候群(Post intensive care syndrome:以下,PICS)や,ICU滞在中の療養環境の調整,医療者・患者・家族のかかわりなどに関する課題が浮き彫りになりつつある。「Patient–and Family–Centered Care」は,患者と家族の精神に関連した内容,ICUにおける療養環境や意思決定支援などに関する内容を扱う領域と位置づけ,6つのCQで構成されている。CQ20–1:患者と家族に対する,PICSおよびPICS–Fに関する情報提供の方法は?CQ20–2:敗血症患者あるいは集中治療患者に対してICU日記をつけるか?CQ20–3:集中治療中の身体拘束(抑制)を避けるべきか?CQ20–4:睡眠ケアとして換気補助または非薬物学的睡眠管理を行うか?CQ20–5:ICUにおける家族の面会制限を緩和するべきか?CQ20–6:患者の価値観・考え方等を尊重した意思決定支援の方法は?これらはエビデンスに乏しい領域であるが,今後の敗血症診療,集中治療の質を向上し得る非常に重要な領域である。
著者
中村 智之 西田 修
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.821-826, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
13

血液浄化療法中は、拡散・濾過・吸着の3つの原理で、血液中の栄養素も除去される。その除去効率は、浄化量をはじめとする血液浄化療法の施行条件に依存するため、血液浄化療法の原理の正確な理解が非常に重要である。血液浄化療法中の栄養療法におけるエビデンスやガイドラインの多くは欧米から発信されたものであるが、本邦と欧米では血液浄化療法の浄化量は異なり、その解釈には注意を要す。本邦で一般的に行われている低い浄化効率の CRRT施行時には、クリアランスは透析液流量と濾過液流量に規定され、血液流量の影響は小さい。糖は、本邦 CRRTの施行条件では影響が小さく、通常の管理でよい。蛋白、水溶性ビタミン、微量元素、電解質は、血液浄化療法で除去されるため、適切なモニタリングと補充が必要である。脂質と脂溶性ビタミンは、血液浄化療法の影響を受けない。経静脈栄養は血液浄化療法と相性が悪く、可能であれば経腸栄養の選択が望ましい。
著者
西田 修 佐野 文男 佐藤 直樹 五十嵐 究 木村 純 葛西 洋一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.1758-1762, 1984 (Released:2011-03-02)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

1968年から1982年までに当科で経験した40歳未満の若年者大腸癌23例の病態および治療成績に検討を加えた. 若年者大腸癌は全大腸癌の9.7%で, 平均病悩期間は4.5ヵ月, 腫瘍長径は6.6cmと高年者より発育が速い. 組織学的には低分化腺癌 (17%) と粘液癌 (33%) の頻度が高い. n (+) は若年者49%, 高年者38%, V (+) は若年者48%, 高年者32%, ly (+) は若年者47%, 高年者37%と, いずれも若年者の頻度が高い. 臨床症状は若年者に腹痛および肛門痛が39%と多い. 若年者大腸癌の再発率は60%, 5生率44%とその成績は不良で, 特に, 肝転移再発が38.5%と高いため, 門脈内への化学療法が望まれる.
著者
西田 修三 中谷 祐介 広瀬 太芽
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1039-I_1044, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

港湾など高い閉鎖性を有する都市沿岸海域の水環境再生には,流入負荷の削減だけでなく,浚渫・覆砂などの底質改善や人為的な流動制御による水交換の促進が必要と考えられる.本研究では,高閉鎖性海域である堺旧港を対象に,水質・底質特性の把握と外部擾乱による水質変動の解析を行った. 港内では夏季には密度成層が形成され,表層で過飽和,底層で貧酸素化が生じていた.表層ではCSOの影響により高濃度の有機態窒素・リンが,底層では底泥からの溶出の影響による高濃度の無機態栄養塩が検出された.台風21号来襲時には港内容量に相当する港外水の流入が生じ,暴風と高潮に襲われたにも拘わらず,港内水質の完全混合には至らなかった.この港域の水環境は底質に強く依存しており,水質改善には浚渫や覆砂などの底質改善が最も効果的であると考えられた.
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
2

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>