著者
針谷 大輔
出版者
K&Kプレス
雑誌
月刊日本
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.57-59, 2018-09
著者
新谷 大輔 平田 康洋 磯田 幸一郎 谷口 直也 小嶋 瑞穂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100437, 2013

【はじめに、目的】わが国では、2007年に高齢化率21.5%となり超高齢社会に突入した。当院周辺の高齢化率は34.3%と高く、2025年の予測高齢化率と等しい状況である。回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)入棟患者の現状を後方視的に調査・分析した。【方法】当院で平成23年1月から12月までに回復期退棟患者189名をA群、平成24年1月から10月までに回復期退棟患者164名をB群とした。このうち、死亡、PEGなどの処置による転棟の患者、再入棟患者(A群21名、B群11名)は対象から除外した。カルテデータより(1)年齢(2)性別(3)疾患名(4)脳卒中比率(5)在院日数(6)入棟日数(7)入棟まで日数(8)重症者数(9)重症者改善率(10)入棟時FIM(11)退棟時FIM(12)FIM利得(13)自宅復帰率(14)在宅復帰率について後方視的に調査した。【倫理的配慮、説明と同意】電子カルテよりデータを抽出したが、個人が特定できる形では公表しないことを遵守した。データの解析は外部との通信が行えない電子カルテ端末で処理し、研究者以外がアクセスできないようにセキュリティーをかけアクセス権を制限した。【結果】各項目の平均(A群、B群)を示す。年齢(79.3、77.5)性別(男68女100、男68女85)疾患名(脳卒中95整形72廃用1、脳卒中88整形61廃用5)脳卒中比率(0.57、0.57)在院日数(85.5、74.7)入棟日数(72.8、62.4)入棟まで日数(12.8、12.3)重症者数(50、50)重症者改善率(30、33)入棟時FIM(58.8、62.1)退棟時FIM(87.3、95.3)FIM利得(28.6、32.8)自宅復帰率(0.82、0.82)在宅復帰率(0.87、0.87)であった。このうち対応のないt検定で有意差を認めた項目は(P値)、在院日数(0.009425)入棟日数(0.008201)退棟時FIM(0.024735)FIM利得(0.045278)であり、年齢(0.110849)入棟まで日数(0.333104)入棟時FIM(0.152942)は有意差を認めなかった。【考察】年齢は全国平均75.1歳に比べると高く、最高年齢は102歳であった。入棟日数はB群では62日台と大幅に短縮され全国平均72.8日より早期の退院が行えている。FIMは全国平均72.6(入棟時)88.4(退棟時)15.8(利得)となっているが、当院では入棟時FIMが低く、退院時FIMが平均に追いつく傾向にあり、そのためFIM利得が高い。これは当院には急性期病棟を有し、回復期入棟まで日数が12日台となっており、急性期治療が終了した患者をリハビリテーションへ速やかに繋げることができていると考えられる。その他、当院では週1回、病床管理会議を全病棟・多職種で開催し、対象患者の確認と入棟時期の決定を行っている。この際に病棟の脳卒中比率(60%以内)、重症者比率(35%以内)を管理しており、入院が長期にわたる可能性の高い脳卒中患者の割合が高くなりすぎていないか管理している。回復期でも週1回入棟患者の現況を確認し、調整の漏れの確認や目標・方針の決定を病棟管理者でおこないスタッフに周知している。また、患者・患者家族・ケアマネージャーを積極的にできるだけ早期にカンファレンスに招く試みを行っている。また、リハビリテーション部として平成23年7月より365日リハ体制導入、平成24年4月より回復期病棟スタッフ増員(7人)により、リハビリテーション提供体制も充実してきている。これらにより、入棟日数と在院日数が短縮し、退院時FIMとFIM利得が改善したと分析した。そして、当地域のような現在高齢過疎地域が直面している問題として、家族の断絶(核家族化)、コミュニティーの崩壊(一人暮らし高齢者)が急速に進んできている。病院とコミュニティーを繋いでくれるケアマネージャーとの連携により高い自宅・在宅復帰率を保つに至っているが、低所得高齢者や自己決定ができない患者が年々増えてきており、地域社会の崩壊が現実問題として迫ってきている。行政との調整により生活保護・居住地保証等の社会資源が求められてきている。病院と地域と行政が一体となり患者を見る時代がそこまで来ている。今後も年間データの変遷と問題点を分析していきたい。【理学療法学研究としての意義】この調査により、高齢化率30%を超えることが避けられない日本の回復期の必要性やあり方を過疎地域の現状を見ることで参考にすることができる。また、今後の医療情勢の議論に役立つことを期待する。
著者
荒谷 大輔
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.115-129,24, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)

La notion de l'image bergsonienne est complexe. Il a introduit cette notion en disant:«l'esprit [qui ignorerait les discussions entre philosopher] croirait naturellement que la matière existe telle qu'il la percoit.» Cependant, malgré la simplicité de cette introduction, sa portée est très large.L'image est percipi dans la conscience.«it n'y a pas de perception qui ne soit imprégnée de souvenir».Afin de percevoire quelque chose, it faut avoir par avance des images dans la conscience. D'autre part, Bergson dit en même temps:«une image peut etre sans être percue ».«il n'y a pas une image inextensive qui se formerait dans la conscience et se projetterait ensuite en P». Mais quel est le statut d'une telle image conservée dans la conscience bien qu'elle en existe indépendamment? Sur ce point, le rapport entre l'esse et le percipi de l'image devient compliqué.Pour résoudre cette complication, Bergson dit« il y a pour les images une simple différence de degré, et non pas de nature, entre être et être consciemment percues. »Ainsi la cohérence de la philosophie bergsonienne est gardée provisoirement. En admettant que cette conception soit possible dans son système, est-elle toujours valable en réalité? Il serait difficile d'y croire pour« L'esprit qui ignorerait les discussions entre philosophes ».Dans cet article, nous aimerions mettre en question la détermination de ce concept bergsonien de l'image et constater sa validité. De cette facon, nous trouverons le point d'intersection de l'épistémologie (percipi) et de l'ontologie (esse) dans le discours de Bergson.
著者
熊野 純彦 木村 純二 横山 聡子 古田 徹也 池松 辰男 岡田 安芸子 吉田 真樹 荒谷 大輔 中野 裕考 佐々木 雄大 麻生 博之 岡田 大助 山蔦 真之 朴 倍暎 三重野 清顕 宮村 悠介 頼住 光子 板東 洋介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は、本研究の主要達成課題のうち、「各層(家族・経済・超越)の各思想の内在的理解」を中心とする研究がなされた。近現代日本の共同体論を再検証するにあたっては、2017年度で取り組まれた「和辻共同体論の参照軸化」に加え、家族・経済・超越それぞれの層に関連する思想を巡る形成の背景に対しても、テクストに内在した読解を通じて光を当て直す必要がある。以下、そうした問題意識のもとに取り組まれた、2018年度の関連実績のうち主要なものを列挙する。(1)研究代表者の熊野純彦は、著書『本居宣長』において、近世から現代に至るまでの代表的な思想家たちによる宣長の思想の受容過程を丹念に整理・検証することで、それを近代日本の精神史の一齣として提示することを試みた。それを踏まえたうえで改めて宣長のテクストの読解を行い、今日の時代のなかでその思想の全体像を捉えかえそうとしたところに、本業績の特徴がある。(2)研究分担者宮村悠介は、主に本研究の研究分担者からなる研究会(2018年9月)にて、研究報告「家族は人格ではない 和辻共同体論のコンテクスト」を行い、和辻倫理学の形成過程におけるシェーラーの影響と対話の形跡を、具体的にテクストをあげつつ剔抉した。これは、翌年度の課題である「思想交錯実態の解明」にとってもモデルケースとなる試みである。(3)超越部会では台湾の徐興慶氏(中国文化大学教授)を招聘、大陸朱子学と、幕末から近代に至るまで様々な思想に陰に陽に影響を及ぼしてきた水戸学の影響関係について知見をあおいだ(「「中期水戸学」を如何に読み解くべきか 徳川ミュージアム所蔵の関係資料を視野に」2018年)。これにより、広く東アジアの思想伝統と近世以降現代に至るまでの日本思想の受容・対話の形跡を実証的に検証することの重要性を改めて共有できたことは、本研究の趣旨に照らしても重要な意義を持つと思われる。
著者
中村 敏明 岩尾 岳洋 東 高士 谷 大輔 矢野 良一 政田 幹夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.551-558, 2011 (Released:2012-09-10)
参考文献数
13

Paclitaxel injection [NK] (PTX [NK]) is a generic of Taxol® Injection (Taxol) but no non-clinical study comparing the safety of the 2 drugs has been conducted because the active ingredient is the same.We compared the safety of PTX [NK] and Taxol in rats to see if there were any differences. PTX [NK] and Taxol were intravenously administered to CD (SD) male rats at doses of 2.0 and 4.0 mg/kg/day for 9 days. There were very slight differences in toxicological findings regarding such items as clinical observations, food consumption, gross necropsy, organ weight and histopathology. These differences, however, were generally observed after administration of a cytocidal anticancer drug. Therefore, such differences were not thought to be toxicologically significant and we concluded that the safety of PTX [NK] was no different from that of Taxol in rats.
著者
根來 寛 矢野 良一 谷 大輔 渡辺 享平 塚本 仁 五十嵐 敏明 中村 敏明 脇屋 義文 後藤 伸之 横山 照由 政田 幹夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.320-327, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

During cancer chemotherapy,myelosuppression is a frequently observed toxicity manifestation which may sometimes cause severe infections.In this regard,though leukopenia-induced infections are more closely related to neutrophil counts than leukocyte counts,it is important to evaluate both leukocyte counts and neutrophil counts as markers of myelosuppression.Neutrophil counts,however,are sometimes estimated to be half leukocyte counts without conducting differential leukocyte counts.In the present study,the authors evaluated the necessity of differential leukocyte counts during cancer chemotherapy using pooled laboratory data at the University of Fukui Hospital.Variation in the percentage of neutrophils in leukocytes was observed in each leukocyte range,with the neutrophil count decreasing in pace with decreases in the leukocyte count.As an alternative index to the neutrophil count,the utility of the leukocyte count is thus considered to be low in cancer chemotherapy.There was also a divergence between adverse event grade between neutrophil and leukocyte numbers.In addition,neutrophil counts in 14.8% of the patients (26)were less than 1000/μL in spite of the fact that their leukocyte counts were higher than 3000/μL,and it was noted that 23 of them had undergone a paclitaxel-containing regimen.These results suggested that leukocyte differential counts should be measured during cancer chemotherapy,especially during the nadir period and when receiving chemotherapy containing paclitaxel.
著者
矢野 良一 中村 敏明 谷 大輔 西里 洋平 後藤 伸之 脇屋 義文 政田 幹夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.998-1002, 2007 (Released:2009-09-04)
参考文献数
9
被引用文献数
3 5

The purpose of this study was to evaluate the quality of the original and 3 generic formulations of Iopamidol injection.To do this,the free iodine concentration and osmotic pressure were measured.In addition,impurities were tested for using high performance liquid chromatography-tandem mass spectrometry.There were no major differences between the original and generic formulations as regards free iodine concentration and osmotic pressure measurements,though one lot of the original formulation failed the free iodine concentration test.However,in the HPLC analysis,some substances not present in the original product were detected in the generic formulations.One of them was identified as DM 1/2,a substance related structurally to Iopamidol.
著者
瓜谷 大輔 福本 貴彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A4P2078, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】解剖学や運動学のテキストに書かれている筋の作用は解剖学的肢位における作用である。しかし、いくつかの股関節回旋筋については股関節屈曲角度の増大に伴って、その作用が解剖学的肢位での作用から逆転することが報告されている。股関節回旋筋の筋力を測定する際には股関節90度屈曲位で行うのが一般的であるが、上記のことから考えると股関節90度屈曲位での筋力測定は,テキストに記載されている股関節回旋筋の主動筋の筋力を反映していないのではないかと考えられる。そこで本研究では、股関節の肢位による股関節回旋トルクの変化について調査することを目的とした。【方法】対象者は下肢に外傷等の既往のない健康な大学生20名とした(男性6名、女性14名、平均年齢21.6±1.0歳)。測定前にボールを蹴る方の脚を利き脚として利き脚側を事前に聴取した。対象者はトルクマシン(Biodex System3、Biodex社製)のシートに、シートの前縁が膝窩部に一致するように座らせ、代償動作を抑制するために体幹,骨盤,計測側大腿部をベルトで固定し,シート両側の手すりまたは支柱を把持させた。測定条件は座面に対するバックレストの角度を10度(臥位)、55度(半臥位)、85度(座位)の3条件に設定することにより,股関節屈曲角度を変化させた。運動課題は股関節内外旋0度、内外転0度、膝関節90度屈曲位での最大等尺性股関節内旋・外旋運動とし、両側に対して実施した。各条件下での測定は、5秒間の運動と5秒間のインターバルを反復して内旋、外旋を交互に3回ずつ行った。左右の順番および測定条件の順番については、被験者ごとに無作為に設定した。また各条件での測定間には1分間のインターバルを設けた。各条件で得られたデータについては測定した3回のトルクの平均値を算出し、採用した。統計解析は利き脚か否か(以下、脚要因)とバックレストの角度(以下、角度要因)の二要因での二元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を用いて行った。なお有意水準は5%未満とした。【説明と同意】対象者には事前に研究の主旨について説明し、書面への署名によって同意を得た。【結果】本研究の結果、股関節内旋トルクおよび外旋トルクともに,脚要因と角度要因による交互作用は認めなかった。股関節内旋トルクについては角度要因(p<0.01)にのみ有意な主効果を認めた。多重比較検定の結果,股関節内旋トルクはバックレストの角度55度で10度より有意に高値であり(p<0.01),85度では10度および55度より有意に高値を示した(それぞれp<0.01,p<0.05)。一方股関節外旋トルクについては両要因ともに主効果は認められなかった。【考察】遺体を使用した研究で、Dostalらはモーメントアームの長さの変化から、股関節20度伸展位で股関節内旋筋として作用する11筋のうち、股関節40度屈曲位では5筋で股関節内旋トルクが減少し、さらにそのうちの3筋は外旋筋に転じたと述べている。一方、股関節20度伸展位での股関節外旋筋については16筋のうち9筋は股関節40度屈曲位で外旋トルクが減少し、うち7筋については内旋筋に転じたと述べている。Delpらも同様に股関節屈曲角度の増大に伴い複数の股関節内旋筋で内旋トルクが増大し、股関節外旋筋では外旋トルクが減少すると報告している。本研究結果からも、股関節屈曲角度の増大とともに股関節内旋筋のモーメントアームが長くなり、産生される股関節内旋トルクが増大し、有意な変化を示したものと考えられた。一方、股関節外旋トルクについては、モーメントアームの変化が股関節外旋トルクに与える影響は小さく、また臥位という不慣れな肢位で運動を行った影響がモーメントアームの変化以上に影響を与えていたことが考えられた。本研究では設定した各肢位での股関節の角度について実測値を示すことができておらず、今後の課題である。【理学療法学研究としての意義】今回、股関節の肢位の変化によって股関節内旋の等尺性運動でのトルクは有意な変化を示した。今後は股関節回旋筋力評価や股関節回旋筋の治療やトレーニングを実施するにあたって、股関節の屈曲角度を考慮したうえで実施する必要があり、当該部位の既存の評価や治療については再考すべき点があることが示唆された。
著者
依田 育士 細谷 大輔 坂上 勝彦
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.805-811, 2004-03-01
被引用文献数
9 11

Dozens of people are killed every year when they fall off of train platforms, making this an urgent issue to be addressed by the railroads, especially in the major cities. This concern prompted the present work that is now in progress to develop a Ubiquitous Stereo Vision based system for safety management at the edge of rail station platforms. In this approach, a series of stereo cameras are installed in a row on the ceiling that are pointed downward at the edge of the platform to monitor the disposition of people waiting for the train. The purpose of the system is to determine automatically and in real-time whether anyone or anything is in the danger zone at the very edge of the platform, whether anyone has actually fallen off the platform, or whether there is any sign of these things happening. The system could be configured to automatically switch over to a surveillance monitor or automatically connect to an emergency brake system in the event of trouble.
著者
高田 真秀 戸田 茂 神谷 大輔 松島 健 宮町 宏樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.380-394, 2003-11

第43次日本南極地域観測隊(43次夏隊)は,みずほ高原において地殻構造の解明を目的に,ダイナマイト震源による地震探査を行った.この探査と同時に,探査測線下の基盤地形の詳細な分布を求めるため,アイスレーダーによる測定を実施した.本報告では,アイスレーダー測定の概要と得られた結果について報告する.
著者
熊谷 大輔
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
no.11, pp.33-43, 2015-03-18

少子高齢化・人口減少社会において、財政危機下で増大しつづける福祉需要に対応すべく地域の相互扶助に期待が集まっている。しかし都市・地方問わず、地域の人間関係の希薄化と福祉イメージの悪化が進んでおり、地域や福祉に対する無・低関心層の巻き込みは容易ではない。そうした無・低関心層と地域や福祉を結びつける試みとして注目されているのが「場づくり」である。「場づくり」とは、多様な人びとの自由な相互作用を促すハード・ソフト両面の環境を生み出すことである。そこで本報告では、福祉をめぐる「場づくり」を目指すF団体による、福祉と美容を融合させ参加者どうし対話を促すイベント(2013年11月30日)を取り上げ、参加者に対するアンケート調査をもとに、「場づくり」の効果と参加に至る認知経路を検証した。まず、認知経路としては、認知においてもまた参加の契機においても、「友人・知人」が有意に多かった(認知の7 割、参加の5 割)。とりわけ、組織所属3 年以上の者で、そうした傾向が強かった。効果については、参加前後で福祉イメージの変化が見られた者が6 割を超え、自由回答からその変化はポジティブなものだと推測された。さらに、「友人・知人」を介した参加者においてその傾向が強まっていた。また、福祉イメージがポジティブに変化した者の8 割が、今後地域活動を希望すると回答していた。この結果から、認知・参加を促すうえでも福祉イメージの転換を図るうえでも重要だということが確認された。ただし、「友人・知人」という認知経路の有効性はその後の当事者にとっての有効感に左右されるという知見もあり追跡調査が必要である。また、福祉イメージの転換が福祉を支える「つながり」や主体の形成を現実にどう帰結しうるのかも今後の検証が求められる。
著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。
著者
田村 公江 鍋島 直樹 柿本 佳美 細谷 実 川畑 智子 荒谷 大輔
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、性をめぐる学術的研究を踏まえて現代の日本社会における望ましい性のあり方を検討すること、そして市民を読者対象とする著書を出版することを目的としている。今年度は最終年度にあたるので、青年の性意識調査を手がけるグループAを理論的考察を行うグループBが補佐する形で調査データの分析を行い、調査に協力してくれた青年層の人々に役に立つ情報発信の準備を行った。なおグループAの連携研究者として竹中健(札幌市立大非常勤講師、社会学)が加わった。詳細は以下のとおり。1.インタビューデータの整理合計29本(1本あたり90〜120分)のインタビューデータを、インタビュー協力者のプライバシー保護、及び、公開意志の尊重に留意して整理し、『青年の性意識/インタビュー決定稿』として仕上げた。これは、(1)固有名詞を伏せるマスキングを行い、(2)それに対するインタビュー協力者の本人チェックを要請し、さらに、(3)本人チェックに基づいてデータを書き換えるという3重の作業を経て獲得されたものである。このような厳重な作業を経て獲得されたデータは非常に貴重なものであり、性という領域についてはこれまでに殆ど例がないものである。このデータは『青年の性意識/インタビュー決定稿』というタイトルを付けて保存され、今後の学術的研究、及び出版のために役立てられる。2.研究会年度内に3回の研究会を実施して、アンケート及びインタビューの、(1)データ整理の進め方、(2)考察に関する編集方針について協議した。日程は、1回目が9月1日、2日、2回目が12月18日、3回目が2月16日である。3.出版企画インタビューに基づく図書『インタビュー「大学生の性意識」』(仮題)の出版企画を、出版社に打診しつつ作成した。第一部では10人前後のインタビュー協力者を選んで比較的詳しく紹介し、第二部では、論文及びコラム形式で青年層が抱える諸問題を考察するという2部構成とした。第二部の考察に際してはアンケートデータも取り入れる。この図書は、青年層の多様な現状を伝えると共に、青年層が抱えている困難を抜き出して解決策を提案するものとなるはずである。年度末に執筆分担を決め、執筆を開始した。
著者
渡辺 茂樹 土谷 大輔 金城 利彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.250-254, 2012-03-20
参考文献数
18

自然縮小した髄膜腫3例を報告する.症例は72〜79歳のいずれも高齢の男性で,2例は小脳梗塞で発症,1例はめまいで施行のMRIで無症候性の髄膜腫が傍矢状洞部,中頭蓋窩,嗅窩部に認められた.経時的MRIで4年半,6年,6年半で腫瘍の縮小(それぞれ6.1cm^3から1.1cm^3,7.2cm^3から2.4cm^3,16.0cm^3から4.0cm^3:縮小率82%,53%,75%)が認められた.腫瘍体積はCavalieriの法則Volume=4/3×π×a/2×b/2×c/2(a,b,cは3方向の径)で計測した.これまでに髄膜腫の自然縮小の報告はない.腫瘍縮小の機序は不明であるが,高齢者無症候性髄膜腫では自然縮小する可能性もあり,慎重に経過観察をするべきである.