著者
辻村 真由子 石垣 和子
出版者
文化看護学会
雑誌
文化看護学会誌 (ISSN:18838774)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1_51-1_60, 2018-05-31 (Released:2020-06-26)
参考文献数
20

本研究の目的は,訪問看護師が行う排便ケアに影響を与える在宅高齢者と家族介護者の価値観を明らかにすることである。3年以上の訪問看護経験を有する訪問看護師14名を対象として,個別の半構造化インタビューを実施した。インタビュー内容は,排便ケアを必要とする在宅高齢者(以下,高齢者とする)と家族介護者への支援過程とし,22の高齢者と家族介護者の事例への支援過程が述べられた。得られたデータについて,質的帰納的に分析した。その結果,排便ケアに影響を与える高齢者の価値観として,【便が出ないと大変なことになるので便が出ることは重要だ】【排便という生理的な現象は個人的な営みなので家族であっても手を借りるものではない】【自分や家族の生活を脅かされたくないので,訪問看護師には排便をコントロールしてほしい】などの8のカテゴリーが明らかとなった。また,家族介護者の価値観として,〔便が出ないと腸が詰まって大変なことになる〕〔排便の世話は嫌ではあるが高齢者との関係性があるので断れない〕〔排便の世話は特別に大変であるので訪問看護師に任せたい〕などの8のカテゴリーが明らかとなった。以上より,排便が高齢者の生活の充足感において大きな意味をもつことや,高齢者と家族介護者との関係性に基づいて排便の意思決定がなされていることを踏まえた看護支援の重要性が示唆された。
著者
穂満 高志 辻 義弘 吉岡 正訓 藤堂 敦 人見 泰正 浅川 徹也 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.24-28, 2014-01-01 (Released:2014-01-22)
参考文献数
6

【目的】ネブライザの取り付け位置の工夫が,フロートリガー時の回路内定常流によるエアロゾル損失を抑え,ネブライザ運搬効率を上げると仮説を立て,新たな超音波ネブライザの取り付け位置を提案するために生体外モデルでの検討を行った。【方法】挿管チューブの先端と呼気側回路にそれぞれフィルタを接続し,ネブライザをYピース手前に取り付けた従来法と,Yピースと挿管チューブの間に取り付けた提案法の2種類の模擬回路を作成した。薬液ユニットに10%食塩水10 mlを入れ30分間噴霧させた。噴霧前,噴霧30分後のフィルタの質量を測定し到達率と損失率を求めた。【結果】提案法のエアロゾル到達率は,従来法と比較して有意に高値を示した。また従来法のエアロゾル損失率は,提案法と比較し有意に高値を示した。【結語】提案法は,新たなネブライザ取り付け位置の有用性を示した。
著者
祖父尼 淳 森安 史典 佐野 隆友 藤田 充 糸川 文英 土屋 貴愛 辻 修二郎 石井 健太郎 池内 信人 鎌田 健太郎 田中 麗奈 梅田 純子 殿塚 亮祐 本定 三季 向井 俊太郎 糸井 隆夫
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.199-209, 2015-04-20 (Released:2015-05-08)
参考文献数
18

High intensity focused ultrasound(HIFU)治療は,その超音波発信源を多数取り付けた発信源から超音波を腫瘍の目的部位の1点に集束させ,体外から組織の焼灼を行う治療法である.焦点領域のみを80~100度に加熱し,熱エネルギーおよびキャビテーションの作用により組織を凝固壊死させ,焦点領域以外の介在組織にはほとんど影響を与えないという治療法である.われわれは切除不能膵癌に対するHIFU治療の安全性と有効性を検証するため,Yuande Bio-Medical Engineering社のFEP-BY02 HIFU Systemを用いて臨床試験を2008年12月より行った.膵癌に対するHIFU治療は問題点もあり,さらなる検討や症例の蓄積が必要であるが,われわれの検討では切除不能膵癌に対し安全にHIFU治療を行うことが可能であり,今後,予後不良な膵癌への低侵襲治療のひとつとなりうる可能性が示唆された.
著者
辻 裕樹 宮下 清栄 高橋 賢一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.991-996, 1999-10-25 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

Light Rail Transit (LRT) System and tramways based on it in urban areas have been appreciated again. This paper analyzes comparing forms of cities that have been preserving tramway and have dismantled it. Therefore, the focuses of analysis in cities are characteristics of urbanization and compactness of urban structure. It was found that in cities preserving tramways wall, environmental-destroying urbanization rates are lower than others. Above all, compactness rates of urban structure are unexpectedly high.
著者
阿部 紀之 井手 一茂 渡邉 良太 辻 大士 斉藤 雅茂 近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.24-35, 2021-01-25 (Released:2021-02-25)
参考文献数
49
被引用文献数
1

目的:社会的フレイルはリスク因子として重要だが,評価法が統一されていない.本研究の目的は専門家の評価による内容的妥当性のある社会的フレイルの要素を明らかにすることである.方法:PubMedで検索し入手した社会的フレイル関連26論文から抽出した要素のうち,7名中5名以上の評価者が4条件(負のアウトカム予知因子,可逆性,加齢変化,客観性)を満たすと評価した要素を抽出し分類した.結果:4条件を満たす要素は経済的状況(①経済的困難),居住形態(②独居),社会的サポート(③生活サポート者の有無,④社会的サポート授受),社会的ネットワーク(⑤誰かと話す機会,⑥友人に会いに行く,⑦家族や近隣者との接触),社会的活動・参加(⑧外出頻度,⑨社会交流,⑩社会活動,⑪社会との接触)の5分類11要素が抽出された.結論:先行研究で用いられている社会的フレイル22要素のうち,内容的妥当性が示唆された要素は11要素であった.
著者
辻坂 真也 Shinya Tsujisaka
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-20, 2021-03-31

紀元前4千年紀から、3千年紀末期までの古代メソポタミアにおいて、シュメールの神エンリルは、シュメール人の王権において重要な立場を担っていた。この神はしばしば、王権や、杖、国土などの授与者として現れていた。シュメール人最後の王朝であるウル第三王朝は、王の神格化を行っていたことで知られるが、この時代は王だけでなく、神エンリルと関わりの深い存在も神格化していることが確認できた。特に顕著だった事例が、神エンリルの玉座であり、この玉座は神格化されるだけでなく、神エンリルと並んで神殿に配置され、そして供物を受け取っていた。これはウル第三王朝において、玉座がその所有者の代理を務めるという機能を得ていたためであった。本論の目的は、エンリルの王権神としての役割の発展を分析すること、そしてウル第三王朝期における、神エンリルと関係する事物の神格化と、王の神格化の関係を検討することである。
著者
松下 健 田中 誠也 白川 絢日 宮本 聖也 岡田 麻央 辻本 昌史 鈴木 啓介 中島 浩敦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12256, (Released:2022-08-09)
参考文献数
41

【目的】診療記録を用いて肩関節周囲炎における臨床症状および日常生活動作(以下,ADL)や手段的日常生活動作(以下,IADL)の特徴の性差について検討した。【方法】肩関節周囲炎と診断され理学療法を実施した片側罹患例45名(男性17名,女性28名)を対象として,理学療法開始時点での患者背景情報および身体機能検査,画像検査,Shoulder36(以下,Sh36)について解析した。【結果】夜間痛の有無,患側Range of Motion(ROM)の外転,握力,臼蓋上腕角,上腕骨頭径について男女間で有意差を認めた。Sh36においては,36項目中17項目で女性が有意に低値であった。Sh36のドメインでは,健康感を除いた5項目で女性が有意に低値であった。【結論】肩関節周囲炎の日常生活への影響に性差がある可能性が示唆された。肩関節周囲炎に起因するADL・IADL制限に対しては性別を考慮した評価が必要と考える。
著者
今井 あかね 松田 貴絵 横須賀 宏之 辻村 麻衣子
出版者
日本歯科大学新潟短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、新しい細胞間情報伝達システムとしてエクソソームが注目されている。唾液中にもエクソソームが存在しており、内包されているmiRNAが癌の診断に応用されようとしている。唾液は非侵襲的に得られる検体として、多方面で実用化しようとする動きがあるが、外部環境の影響を受けやすく個人差が大きいため診断材料としてほとんど使用されることがない。また、他の体液に比べ、粘性などの物理化学的特性から安定的にエクソソームを抽出することが容易ではない。本研究では、唾液エクソソームの抽出法を確立し、そこに含まれるタンパク質の基礎的データを収集して、唾液エクソソームの働きや意義を提唱した。
著者
長谷川 千尋 吉次 広如 辻 泰弘
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第42回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
巻号頁・発行日
pp.1-P-A-4, 2021 (Released:2021-12-17)

【目的】COVID-19による世界的なパンデミックを引き起こしているSARS-CoV-2ウイルスの感染プロセスについては、呼吸器感染を引き起こす他のウイルスと類似している一方で異なる点もあげられており、例えばSARS-CoV-2ウイルスの体内での潜伏期間、又はウイルスの放出期間はインフルエンザ等の他のウイルスよりも長いことが知られている [1]。本研究では、SARS-CoV-2のウイルス動態をより理解するため、インフルエンザAを比較対照とし、数理学的モデルによる検討を行った。また、ウイルス動態を踏まえた治療開始のタイミングについても併せて検討した。【方法】数理学的モデルとして、公表されているSARS-CoV-2 [1]及びインフルエンザA/H1N1 [2]のTarget cell-limited modelを選択した。本モデルは、感染の対象となる標的ヒト内皮細胞、ウイルス、そして感染後の非感染性細胞及び感染性細胞の四つの相互関係を表現した数理学的モデルである。本モデルによるシミュレーションには、NONMEM 7.4を用いた。【結果・考察】シミュレーションの結果、SARS-CoV-2ウイルス量の経時推移はインフルエンザA/H1N1よりも緩やかであり、これまでの報告 [1]通り、SARS-CoV-2ウイルスの放出期間が長いことが示唆された。また、モデル構造は両ウイルスについて同じであることから、パラメータ値を直接比較した結果、ウイルスの死滅速度を初めとする多くのパラメータの値は両ウイルス間で同程度(5倍未満)である一方、ウイルスの感染速度はSARS-CoV-2で10倍超、感染性細胞からのウイルス複製速度に至っては1000倍超の値であった。これらの速度の違いが、両ウイルスの放出期間の違いに寄与する可能性がある。また、両ウイルスの動態については異なる点がある一方、治療開始のタイミングについては、いずれのウイルスも感染後2日以内が最も効果的であることが一部のシミュレーション結果(薬効メカニズムとして、多くの抗ウイルス剤でみられるウイルス複製の抑制を想定した場合)から示唆された。【結論】インフルエンザAを比較対照とし、数理学的モデルによる検討を実施した結果、SARS-CoV-2のウイルス動態及び効果的な治療開始タイミングについて定量的な考察を行うことが可能であった。【参考文献】[1] Patel K et al. Br J Clin Pharmacol (2020) Epub ahead of print.[2] Baccam P et al. J Virol (2006) 80, 7590-9.
著者
稲葉 利江子 高比良 美詠子 田口 真奈 辻 靖彦
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.241-253, 2022-05-20 (Released:2022-06-22)
参考文献数
16

2020年度新型コロナウィルス感染拡大防止のため,大学教員は否応なくオンライン授業に取り組むことになった.オンライン授業において授業効力感を得られた場合,多くの授業が対面授業に戻った後も,部分的にオンライン授業やICT ツールを継続的に利用していく可能性がある.そこで,本研究では,大学教員のオンライン授業における授業効力感に着目し,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT 利用量」の3要因からの効果を明らかにすることを目的とした.具体的には,2020年7月〜8月に大学教員向けに実施したアンケート調査を基に,オンライン授業における授業効力感が,「指導方略」,「学生の状況把握」,「学生の活動促進」の3因子からなることを明らかにした.その上で,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT 利用量」の影響を検証するため,階層的重回帰分析を行った.その結果,講義,演習・実習,ゼミ・セミナーという授業形式に依らず,「学生の受講態度」が教員のオンライン授業における授業効力感の向上に全般的に影響を及ぼすことが明らかとなった.
著者
菊地 真実 辻内 琢也
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.81-96, 2015-12-10 (Released:2015-12-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

A questionnaire-based survey was conducted to clarify how community pharmacists recognize the legal validity of acts that involve touching their patients and to determine if the pharmacists had personal feelings of resistance toward particular acts. The questionnaire was sent to 400 community pharmacies that practiced home care and 147 valid responses were analyzed. The survey suggested that there were many pharmacists who had no objection toward measuring vital signs, such as temperature and blood pressure. Additionally, they recognized that it was necessary for doctors, other professionals, and patients to recognize their ability to measure vital signs. The survey also suggested that there were strong feelings of resistance toward invasive acts, such as insertion of an enema tube or a suppository. It was considered that these feelings were due to insufficient knowledge and experience, as well as uneasiness with hygiene issues. The necessity to participate in a practical study session was emphasized. When pharmacists recognized a problem with the legality of an act, their feelings of resistance, particularly toward examining bedsores and applying ointment on them, tended to become strong. Therefore, it was suggested that pharmacists may be able to perform the acts without feelings of resistance if the legality of the acts was clarified. Based on these findings, it is necessary to find a suitable rationale for performing each act, so that pharmacists will be able to perform the acts that involve touching their patients without feelings of resistance.
著者
辻 隆司 宮田 雄一郎
出版者
The Sedimentological Society of Japan
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.45, pp.59-63, 1997-06-25 (Released:2010-05-27)
参考文献数
9
著者
小宮山 美弘 原川 守 辻 政雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.522-529, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
30
被引用文献数
5 6

本邦産果実類14属17種類の成熟期や貯蔵中(20±3℃)における糖含量及び糖組成の変化をHPLCで分析調査し,主要構成糖に基づく果実類の分類と糖組成の変化に対する考察を行った。(1) 果実の主要構成糖はショ糖,ブドウ糖,果糖及びソルビトールであった。(2) 収穫適熟期の果実の糖組成から果実類を分類すると以下のようである。ショ糖型(全糖の50%以上を含む):カキ,モモ,ネクタリン,追熟後のバナナ,完熟期のスモモとメロン;還元糖型(全糖の50%以上を含む):(i) ブドウ糖型(果糖より25%以上多い):オウトウ,ウメ。(ii) 果糖型(ブドウ糖より25%以上多い):リンゴ,ナシ。(iii) 等量型(両者の差が25%以内):イチゴ,ナシ,ウンシュウミカン,トマト;平衝型(ショ糖,ブドウ糖,果糖含量の比が25%以内):イチゴ,スモモ;ソルビトール型:リンゴを除いたバラ科果実全てに含まれ,0.2~1.45%の含量を示す。(3) 成熟期ではイチゴを除いて顕著な全糖分の増加がみられ,なかでもショ糖の増加率が大きいが,完熟期になると減少する果実もみられた。スモモとメロンは他の果実に比較してショ糖の増加は特に顕著であった。(4) 貯蔵中の全糖分は,ウメ,スモモ,メロンのように減少率の大きい果実を除くとその変化は少なかった。構成糖の変化はショ糖の加水分解と思われるブドウ糖と果糖の増加がみられる果実が多く,カキは特に貯蔵後期に顕著であった。ナシ('長十郎')はブドウ糖のみが増加した。ウンシュウミカンではショ糖の著しい増加がみられた。一方ウメは還元糖,スモモとメロンは構成糖の全てが減少した。(5) ソルビトールは成熟期に増加し,貯蔵中で減少した。
著者
辻 三郎 今井 正和 山田 誠二 石黒 浩 徐 剛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

自律的に環境を観測し、そのモデルを作成する知能ロボットを実現するために全方位ビジョンを開発し、その能動的利用方式の確立を研究の目的とする。[1]全方位画像理解の研究 カメラを回転させながら連続的に撮像した画像列から作成する全方位画像は、広い視野を持つが、物体までの距離が得られない欠点があった。本研究では、カメラを円弧上で移動しながら連続撮像し、2本のスリットからサンプルする2枚の全方位画像間の視差から距離情報を算定する方式を考案し、実験で有効性を検証した。[2]全方位画像から環境地図の作成 全方位ステレオの距離情報から粗い環境地図を構成し、それに基づいて次の観測点を計画し、移動して観測を繰り返す。それぞれの場所で得られた全方位ステレオデータを融合して、より信頼性のある地図を作成する方式を提案し、実験で検証した。[3]能動ビジョンによる環境地図の作成 全方位ステレオは、基準線が短く精度の高い計測は難しい。そこで、離れた2点での2枚の全方位画像を用いて計測する両眼全方位ステレオが有効と考えられる。しかし、ロボットが移動するために2点間の距離と、移動前後の回転成分を決定する必要がある。環境内の2個の特徴点を360度の視差に保ちながら移動するアクティブビジョンの方式を利用することにより、回転成分を0とし容易に高精度で環境地図を作成する考えを提案し、実験で有効性を示した。[4]定性的室内地図の作成 ロボットの移動のためには、環境の構造を示す定性的地図が有用である。ロボットが、自律的に環境観測の計画を作り、それに従って全方位パノラマ画像、経路パノラマ画像を撮像し、それらを融合して地図を作成するシステムを試作し、実環境で検証した。
著者
岡本 梢 井上 裕匡 堤 仁勢 才本 由美 石野 真輔 辻 吉郎
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.25-31, 2020 (Released:2020-01-10)
参考文献数
28

回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)は低栄養患者が多いとされ、本研究では当院回復期リハ病棟で提供される食事が栄養学的に適正か否かを検討した。 入院後2週間の食事摂取量から計量した1日平均摂取エネルギー量、たんぱく質量をそれぞれ標準体重で除しEおよびPとした。入院時BMIからUW群(BMI<18.5kg/m²)、NW群(18.5≦BMI<25kg/m²)、OW群(BMI≧25kg/m²)に3分類し、入院2週間後で体重が1.5%以上減少したD群、体重が1.5%未満減少もしくは増加したND群に細分類した6群間のE、P、平均年齢、FIM効率等を比較した。 E、PはOW-ND群で有意に高く、平均年齢はUW-D群で有意に高かった。 FIM効率はNW-ND群で高い傾向を示した。 FIM効率の観点から、肥満傾向の患者には入院直後から標準体重を目標とした減量が望ましい。一方、高齢の患者には摂取量低下を考慮した上で必要エネルギー量を確保する必要がある。