著者
遠藤 瞭太 後藤 春彦 山村 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1083-1088, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

昨今我が国を含めた先進諸国においては、社会の成熟とともに知識重視社会に向かいつつあり、教育インフラの重要性が高まっている。本研究では、サードプレイスで学習をする都市生活者を調査・分析したところ、以下の3点が結果として明らかになった。1)サードプレイスで学習する際の意思決定プロセスには、「学習を目的として場所を選択する場合」と「場所を選択する事を目的とする場合」の2種類がある。居住地や就学先周辺では、前者が多くみられた。2)サードプレイスで学習する理由には、物的な側面の動機と心的な側面の動機がある。このうち、心的な動機は、学習意欲に対して強い影響を与えている。3)サードプレイスで学習する人は「人がいる」「一人になれる」という2つの対極的な欲求を持っている。それを満たし、かつ求める物的環境の快適性を有する場所として、サードプレイスが利用されていた。以上のようにサードプレイスは都市における学習場所として価値を有していた。
著者
遠藤 優 駒形 和典 武村 雪絵 池田 真理 竹原 君江 飯村 大智
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.28-39, 2019 (Released:2019-12-19)
参考文献数
24

本研究の目的は,1)吃音を持つ看護師(吃音看護師)の就業割合,2)吃音がない看護師(非吃音看護師)の吃音に関する知識や吃音者への認識及び態度,3)吃音看護師が感じている困難さや職場環境を明らかにして,吃音看護師の職場環境を改善する資料を得ることである.東京都23区内の200床以下の病院100施設を無作為抽出し,研究協力に同意した10施設に勤務する看護師575名に無記名自記式質問紙調査を実施した.全員に基本属性,吃音の有無,吃音に関する知識,吃音者への認識及び態度を尋ね,吃音看護師には困難の程度や職場環境を尋ねた.290名中13名(4.5%)が吃音看護師であった.非吃音看護師の7割が吃音あるいはどもりという言葉を知っていたが,症状や病態の知識は十分とはいえなかった.これらの知識量は吃音者への認識及び態度とは関連がなく,吃音者との接点の有無が吃音者への認識及び態度の一部と関連していた.吃音看護師13名中8名が吃音当事者への質問に回答した.内4名は職場や生活で深刻な困難を感じていた(深刻群)が,残り4名は困難の程度は軽かった(非深刻群).非深刻群の4名は吃音であることを周囲に伝えておらず,深刻群の4名の方が周囲の理解や配慮を得て,職場に満足している傾向があった.本研究により看護師には一般保有率1%を上回る吃音者がおり,周囲から理解や配慮を十分得られていない者もいる可能性が示唆された.
著者
遠藤 匡俊
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.155-175, 2015 (Released:2015-08-01)
参考文献数
68
被引用文献数
1

1822(文政5)年の有珠山噴火によって火砕流・火砕サージが発生し,多数の人々が死亡した。しかし,具体的な死因や被災地点の噴火口からの距離と熱傷程度との関係は必ずしも明らかではなかった。本研究では,史料に記された被災者の熱傷に関する記述を用いて熱傷の深度,重症度,救命率などを推定した。推定にあたっては1991(平成3)年の雲仙普賢岳の噴火による被災例を参考にした。その結果,火砕流・火砕サージに遭遇して死亡した人々の熱傷の深度は,主にIII度熱傷(皮下熱傷)であった。熱傷の重症度は主に重症熱傷であり,現代であれば熱傷専門施設での入院加療を必要とされるほどであり,それでも救命率は30%以下のレベルに相当していた。死亡者の多くは顔面に強いIII度熱傷を負っており,高度の気道熱傷も生じていた可能性が高い。一方,火砕流・火砕サージに襲われてもすぐに海に逃れて生存した2名は,頭から首にかけてII度熱傷(真皮熱傷)を負った。これは軽症熱傷に相当し,現代の基準によれば外来通院でよい程度であった。被災地点が噴火口から遠くなるほど被災者の熱傷の程度はより弱くなる距離減衰性が見いだされた。
著者
遠藤 佳代子
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2015

元資料の権利情報 : この資料の著作権は、資料の著作者または学校法人中央大学に帰属します。著作権法が定める私的利用・引用を超える使用を希望される場合には、公開者へお問い合わせください。
著者
小美濃 幸司 白戸 宏明 遠藤 広晴 清野 寛
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.164-171, 2006-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 3

これからの列車ブレーキ制御技術が目指すべき最適なブレーキパターンの基礎データ獲得を目的とした実験を実施した. 営業列車のブレーキの特徴を考慮し, 実験では台形状の減速度をもつブレーキパターンを設定した. その台形の高さに当たる定常減速度と斜辺の傾きに当たるジャークの異なる組み合わせの28種類のブレーキパターンに対して, 許容できないとした人の割合求め, これを乗り心地の評価指標とした. 同時に乗り心地に関連が強いと考えられる二つの指標, ブレーキの体感強さの平均値と姿勢を保持できなかった人の割合に関しても評価を行った.許容できない割合, 体感強さおよび姿勢を保持できなかった割合いずれも, 定常減速度とジャークを説明変数とした推定式で表された. また, この実験結果をもとに理論的に最適なパターンについて考察した. その結果, 初速度と停止距離に応じた最適ブレーキパターンの定常減速度とジャークの推定式が示された.
著者
西銘 大喜 遠藤 聡志 當間 愛晃 山田 孝治 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.F-H34_1-8, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
20
被引用文献数
6

Facial expressions play an important role in communication as much as words. In facial expression recognition by human, it is difficult to uniquely judge, because facial expression has the sway of recognition by individual difference and subjective recognition. Therefore, it is difficult to evaluate the reliability of the result from recognition accuracy alone, and the analysis for explaining the result and feature learned by Convolutional Neural Networks (CNN) will be considered important. In this study, we carried out the facial expression recognition from facial expression images using CNN. In addition, we analysed CNN for understanding learned features and prediction results. Emotions we focused on are “happiness”, “sadness”, “surprise”, “anger”, “disgust”, “fear” and “neutral”. As a result, using 32286 facial expression images, have obtained an emotion recognition score of about 57%; for two emotions (Happiness, Surprise) the recognition score exceeded 70%, but Anger and Fear was less than 50%. In the analysis of CNN, we focused on the learning process, input and intermediate layer. Analysis of the learning progress confirmed that increased data can be recognised in the following order “happiness”, “surprise”, “neutral”, “anger”, “disgust”, “sadness” and “fear”. From the analysis result of the input and intermediate layer, we confirmed that the feature of the eyes and mouth strongly influence the facial expression recognition, and intermediate layer neurons had active patterns corresponding to facial expressions, and also these activate patterns do not respond to partial features of facial expressions. From these results, we concluded that CNN has learned the partial features of eyes and mouth from input, and recognise the facial expression using hidden layer units having the area corresponding to each facial expression.
著者
高橋 朋子 遠藤 新
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.60, pp.899-904, 2019-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
10

Under the ordinance on littering and non-smoking in Yokohama city, smoking is not allowed in the “No-smoking areas” designated 8 areas in the city to maintain pleasant urban environments. Even strict conditions for smokers, complaints and requests regarding butts and violation on the ordinance still have been claimed. In this case study, we analysis the complaints and requests which were received bureau of civic affairs using methods of text mining. Then we conducted interview with the department of community environment which is in charge of outdoor smoking. In the consequence, we could suggest two gaps. One is requests from residents and the city’s countermeasures for outdoor smoking, and other is recognition gaps between residents and the city. To challenge such a cross organizational issue, the collaboration of the administration and communities might be effective for coexistence among various residents.
著者
水田 邦博 遠藤 志織
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.15-19, 2017-01-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【診断】耳管開放症の診断において, 耳閉感, 自声強聴, 自己呼吸音聴取などの症状が臥位で改善すれば, 疑い例となる. さらに鼓膜の呼吸性動揺を確認するか, 耳管機能検査で, 1. TTAG 法における鼻咽腔圧と外耳道圧の同期, 2. 音響法における提示音圧が 100dB 未満, 3. 音響法において嚥下などによる耳管の開大が継続しプラトーになる, の3つのいずれかが認められれば, 確実例と診断される. 確実例に至らない場合は, 耳管閉塞処置で自覚症状の改善を確認することが診断に有効である. 菲薄化, 硬化性病変, 弛緩部の陥凹などの鼓膜所見から耳管閉鎖不全が疑われれば, 鼻すすり癖の有無を問う. 以前は鼻をすすって改善していた症状が, 鼻をすすっても改善しにくくなったことが来院のきっかけであることが多い. 【治療】鼻すすり癖のない耳管開放症は鼓膜が正常のことが多く, 体重減少, 妊娠などが発症の誘因となる. まず, 病態の説明, 生活指導を行う. 不十分なら薬物療法を行う. 症例によっては鼓膜へのテープ貼付, 耳管咽頭口ルゴール処置も効果がある. これらの保存的療法が無効な場合, 外科的処置への移行を検討する. 鼻すすり癖のある耳管開放症の場合, 若年で中鼓室が陰圧を示し, 弛緩部の陥凹の進行が懸念される例では, 鼻すすり癖の停止勧告を優先する. 高齢者で長年のすすり癖にもかかわらず弛緩部の陥凹が円滑なら, 鼻すすり癖のない開放症に準じた治療を行う. ルゴール耳管咽頭口処置や耳管ピンで耳管を狭窄として鼻をすすりやすくすれば, 症状を軽減できる. 【まとめ】体重減少や妊娠を契機として起こる耳管開放症も鼻すすり癖をもつ開放症も同一の診断基準で診断され得るが, 病態が異なるため治療は違ったアプローチとなる. したがって, 問診や鼓膜所見で, まずその鑑別を行うことが重要である.
著者
遠藤 佳那子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.78-63, 2013-10-01

明治三十年代頃まで、日本語の文法研究では<命令形>を含めた六活用形を立てる立場は少数であった。本稿では、本居宣長、富士谷成章、本居春庭、鈴木朖、東条義門、富樫広蔭、鈴木重胤など、明治期の日本語の活用研究に影響を与えた近世後期テニヲハ論と活用研究における<命令形>に関する言説を辿り、なぜ活用表に加えられなかったのか、その背景を考察した。<命令形>の語形には、大別すれば(1)エ段音語尾をとるものと(2)語尾「よ」を伴う形式の二種類ある。宣長・成章頃までは両者を<テニヲハ>として論じることもあったが、春庭の活用研究によって、(1)は用言、(2)の語尾「よ」は切り離して<テニヲハ>に位置づけられた。このため、<命令形>は用言と<テニヲハ>両方の領域に跨ってしまい、活用表に入れることが出来ず、用言の一用法として活用表の外に記述され続ける。特に「国学風文典」において<命令形>の定着が遅れたのは、このような背景があったためと考えられる。
著者
遠藤毅
出版者
東京地学協会
雑誌
地学雑誌
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, 2004
著者
田島 公 尾上 陽介 遠藤 基郎 末柄 豊 吉川 真司 金田 章裕 馬場 基 本郷 真紹 山本 聡美 伴瀬 明美 藤原 重雄 稲田 奈津子 黒須 友里江 林 晃弘 月本 雅幸 三角 洋一 川尻 秋生 小倉 慈司 渡辺 晃宏 桃崎 有一郎 北 啓太 吉岡 眞之 山口 英男 金子 拓 遠藤 珠紀 原 秀三郎 神尾 愛子 名和 修 名和 知彦 内海 春代 飯田 武彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

東京大学史料編纂所閲覧室で東山御文庫本、陽明文庫本、書陵部蔵九条家本・伏見宮家本など禁裏・公家文庫収蔵史料のデジタル画像約100万件を公開した。高松宮家伝来禁裏本・書陵部所蔵御所本の伝来過程を解明し、分蔵された柳原家本の復原研究を行い、禁裏・公家文庫収蔵未紹介史料や善本を『禁裏・公家文庫研究』や科学研究費報告書等に約30点翻刻・紹介した。更に、日本目録学の総体を展望する「文庫論」を『岩波講座日本歴史』22に発表し、『近衞家名宝からたどる宮廷文化』を刊行した。
著者
遠藤 芳信
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.147-163, 1976-03-30

The "Military Drill" in this treatise means an education and a drill that the man except for the army enforces the education and drill of the action, technique and knowledge of the battle irfthe army to involve the peculiar object and the educational meaning respectively. What "the man except for the army enforces to involve the peculiar object and the educational meaning" had been enforced, historically, in the sense of the line in the chain of the military preparatory education, first, and the National Education and the Formation of the People, especially, the moral and spiritual building, or the gumnastic, second. As rules for teachiing and a teaching syllabus to come under the category of the above of the "Military Drill" in the school education in Japan, we had had the Particulars of the Army Gumnastic of the Common Middle School in 1886, be for 1910 s, and the Drill in the Teaching Syllabus of the School Gumnastic in 1913 and the Teaching Syllabus of the Drill in 1925, since 1910 s, for example. The "Military Drill" in Japan had aimed at the National Education and the Formation of the People consistently. And, if we analyze the contents and methods of the "Military Drill", firstly we must research into the means of the Formation of the People that the contents and methods of the "Military Drill" involve, and especially we must research into the relation of the combination on the human about the rule and obedience in the contents and methods of the "Military Drill", because, it be able to think that the intentional reletion of the combination on the human about the rule and obedience especially in the social relations is important to the formation of the people and their personalities. So, I will research into the relation of the combination on the human about the rule and obedience in the contents and methods of the "Military Drill". Well, if we begin to analyze the contents and methods of the "Military Drill", first we must investigate the drill regulations for the infantry by way of the base teaching materials of the Drill since 1910s, because, the Drill in the Teaching Syllabus of the School Gumnastic in 1913 had expressed clealy that "the Drill complies with the rules of the drill regulations for the infantry", for example. Namely, the "Military Drill" of the School Education in Japan had been baseed on the drill regulations for the infantry. And, the Drill in the Teaching Syllabus of the School Gumnastic in 1913 had complied with the Drill Regulations for the Infantry in 1909, meanwhile, the Drill Regulations for the Infantry in 1909 had played up the fundamental principle of the editing till the Drill Regulations for the Infantry in 1940. And, the Revision of the Drill Regulations for the Infantry in 1909 had been editied after the Russo-Japanese War. So, it is necessary for us to investigate the precept and battle on the Russo-Japanese War in the Japanese Army to analyze the Drill Regulations for the Infantry in 1909, and the contents and methods of the "Military Drill" since 1910 s. By reason of the above, in this treatise, I investigate some basic problems of the precept and the battle on the Russo-Japanese War in the Japanese Army together with the Drill Regulations for the Infantry in 1909 within the object of the analysis of the contents and methods of the "Military Drill" since 1910 s. At this time, it is exceedingly important for us to criticize the esteem of the mind and spiritual energy as fidtitious form that had been emphasised in the Japanese Army. And, I have tried to clarify that the Japanese Army had never set value on the mind and spiritual energy in their drill and the education in army. It was not the mind and spiritual energy but the force and violence that the Japanese Army had set value on. Namely, the Japanese Army had payed attention to the meanings of the Formation of the People that the contents and methods of the combination on the human about the rule and obedience (the limitless watch and interference toward the mind and thoughts, the control of the specific type of the action, the scorn of the personality in accordance with the force and violence, the distrust toward the soldier, the negation of the originality of the soldier) in the drill regulations for the infantry and the education in army bring to completion. And, the Military Authorities in Japan would have strengthened the poritical power of the domination in accordance with the magnification of the above Drill (and the Education in Army) throughout all the branch of the National Education, intentionally, and systematically, since the Russo-Japanese War.
著者
山本 政儀 星 正治 遠藤 暁 今中 哲二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

旧ソ連核実験場周辺住民の長期低線量率・低線量放射線被曝の健康・リスク評価を行うための基礎研究として、被曝を受けた周辺集落住民の出来るだけ正確な被曝線量を評価することを目的とした。この目的達成のために、最も大きな被害を被ったドロン村を中心に、南の集落、サルジャール村、カラウル村できめ細かな土壌サンプリングを行い、放射性雲の通過したセンター軸の位置,幅、さらに降下量を明らかにし,被曝線量を推定した。