著者
遠藤 隆
出版者
北海道東海大学
雑誌
北海道東海大学紀要. 人文社会科学系 (ISSN:09162089)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.141-161, 1991

永い歴史をもつ中東問題はパレスチナの将来をめぐる紛争が発端であったが国際社会では今日も尚その解決への糸口が模索されている。イギリスの委任統治下にあったパレスチナにおける人口構成は3分の2はアラブ人で3分の1がユダヤ人というものであった。1947年に国連に持ち出されたが, 当時からその主要議題の1つとなってきた。1991年7月, ゴルバチョフソ連大統領とブッシュ米大統領は首脳会談後, 共同声明を発表して同年10月に米ソ共催のもとに中東和平会議を開くことを発表するなど, 中東問題解決への機運が一段と高まった。ゴラン高原やヨルダン川西岸の占領地を手放さないとするイスラエル側とアラブ諸国間にはいくつかの課題が残されている。イスラエルは中東和平会議への東エルサレムのパレスチナ代表問題でも妥協する姿勢をみせていない。ソ連における最近のクーデターによる政変のため中東和平会議の行方が一時危ぶまれたが, その後も, 米ソ間の歩調は崩れず, 両国の和平努力に期待が寄せられている。しかし, イスラエルと米国間の信用保証供与(ユダヤ人入植のための住宅建設資金100億ドルの審議延期をブッシュ大統領は議会に要請した。)の問題もあり楽観できない情勢にあり, 和平会議に微妙な影響を与えることになった。そして, 1991年9月28日アルジェで開かれたパレスチナ民族評議会(PNC)は中東和平会議へのPLO参加で前向きの姿勢を示したが, イスラエル側の反応は依然としてPLOを交渉相手としない態度をくずしておらず難航が予想される。1978年に実現した, エジプト, イスラエル, 米国間での合意(中東和平の枠組み及びエジプトとイスラエル間の平和条約-これに基きイスラエルは82年4月までにシナイ半島をエジプトに返還することになった)とでは事情が異なることは指摘するまでもない。10月30日から3日間マドリードで開催された和平会議では予想どうり占領地返還問題が焦点となったが, 結局, イスラエルの譲歩はみられず, 完全撤退を要求するアラブ側との間に改めて大きな対立を残すことになった。中東地域の和平を模索する動きは今後も続くことは間違いないが, アラブ諸国とイスラエル間に存在する根強い問題の解決がない限り, 大きな進展を期待することはできない。本論はこの問題の歴史的背景を直視し, その政治的解決への可能性について論及するものである。
著者
遠藤 孝一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集
巻号頁・発行日
no.16, 1999-08-09

メガホンは遠くの人に、話をするのに便利な道具です。メガホンを使って話すと、遠くまで声が伝わるのはなぜなのでしょう?また、このメガホンに口ではなく、耳をあてるとどのように聞こえるでしょうか?これがよく聞こえるんですね。遠くでお友達が話してるとき、そのままだと何も聞こえないのに、メガホンを使うとはっきり聞こえてきます。2人ではなれてメガホンを持つと、遠くにいてもないしょばなしができますね。
著者
今井 健男 山本 泰宇 遠藤 敏夫 田浦 健次朗 米澤 明憲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.42-56, 1999-02-15

我々は C++に分散オブジェクトと分散ごみ集め(分散GC)機構を導入した 分散記憶型並列計算機向け拡張言語DisCを開発する. 我々はまず 分散オブジェクトをC/C++上で扱うためのライブラリ(GCライブラリ)を開発する. これは オブジェクトがどのプロセッサ上にあるのかの判定 あるいは遠隔参照の明示的な作成等 分散オブジェクトの基礎的な機能を実現する. そしてこのライブラリに対し 動的にゴミとなった分散オブジェクトを回収する分散ごみ集めの機能を導入する. このごみ集め機構は特定の通信ライブラリに依らないため 広範な環境での動作が可能である. 次に 上記のGCライブラリを暗黙的に呼び出してリモートメソッド呼び出し等の抽象度の高い機能を 構文仕様の変更なしに実現するフロントエンドを構築する. ここでは自己反映言語OpenC++を用いる事により実装を簡便にし 保守性と移植性を確保している. そして このフロントエンドとGCライブラリを既存のC++処理系に組み合わせる事で 既存の処理系に手を加えない形でのC++の拡張を行なう. プログラマは 通常のC++プログラムでのオブジェクトの操作と同様の記述を用いて 分散オブジェクトの機能を暗黙的に使用できる. DisCは 分散GC機構を備えている他に 1)構文仕様の変更が一切なく 通常のC++と同様の記述で分散オブジェクト・プログラミングができ また 2)様々な計算機環境への高い移植性を持つ という特長がある. これにより 分散記憶型計算機上で動くプログラムの開発と保守 及び異なる分散記憶計算機間でのソフトウエア資産の共有が容易になる. 本稿では 上記ライブラリ及び言語処理系の設計及び実装手法について述べ さらに応用プログラムを作成し 実際に分散記憶型計算機上で動かして拡張言語の性能を評価する.We develop DisC, an extension of C++ that supports distributed objects and distributed garbage collection on distributed memory parallel computers. We first develop a library for C/C++, which includes basic functions to manage distributed objects. This library includes a function that tells whether an object is local or remote, functions that explicitly make remote references. It also provides a distributed garbage collection facility that reclaims objects that are no longer used. The facility is portable because of its independency from communication libraries. We also develop an front-end processor that implicitly invokes functions or the library described above, and brings higher abstractions such as remote method invocation, with no changes to the syntax of C++. We use a reflective language Open C++ to implement the processor, we achieve simple implementation and acquire its portability and maintainability. Programmers can invoke methods of distributed objects in our language as if they were normal C++ objects. Besides the distributed garbage collection facility, there are two major advantages in our language: 1)its extension involves no syntactic changes and the users can write programs with distributed objects as if they write programs in original C++, and 2) it is highly portable to various distributed parallel computers or environments, which have diverse interfaces for inter-processor communication. These advantages makes it easier to develop or maintain parallel software that are portable across various distributed-memory parallel environments. We also evaluate our extended C++ with some experiments using several parallel applications.
著者
宮崎 光治 高田 十志和 遠藤 剛 稲永 昭彦
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-18, 123, 1994-06-25
被引用文献数
1 13

スピロオルトエステルを側鎖に持つアクリレート(ASOE)およびメタクリレート(MASOR)を合成し,その重合と得られた重合体の性質について検討した.スピロオルトエステルはイオン重合開始剤(BSS, HPSS)による加熱重合によって良く開環重合した.しかし,得られた重合体には少量の未反応の二重結合が見られた.また,ラジカル重合開始剤(BPO, AIBN, DTBおよびCQ)による重合ではビニール基の重合のみならず開環重合も低調であった.BSS ,AIBNおよびBPO/BSSによる加熱重合によって得られたMASOE重合体はプラスチックス状であった.ASOEおよびMASOEのイオン重合開始剤による加熱重合や紫外線重合における重合収縮は汎用のモノメタクリレートに比べて有意に小さかった.
著者
遠藤 秀紀
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-22, 2002-03
被引用文献数
2

野生動物の遺体が,それ自体で意味ある研究対象として扱われることは,今日,非常に少ない。分子遺伝学と生態学で単純な採取材料として用いられることはあっても,解剖学が衰退する中,遺体そのものは,ほとんど研究されていない。そこで私は,解剖学の古典的問題意識を学界と社会の現実の情勢に合わせることで,新たに遺体研究の活性化を図りつつある。ここでは新たな遺体研究の体系を「遺体科学」と名付けよう。遺体科学の本質は,遺体の無制限収集に始まる。遺体科学においては,遺体から科学的にできる限り興味深い研究成果を残すという観点から,研究者のセンスが問われ続けている。そして遺体の標本化と収蔵,すなわち継承性を満たすことで,遺体科学は完成に近づく。遺体を廃棄物にすることを防ぎ,これを不滅の学術資産に昇華するために,遺体科学の推進を提唱する。
著者
笠間 英彦 加納 武彦 遠藤 次男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.924-932, 1977-12-01

海中など環境条件の異なる領域での放送取材活動には, 機動性と安全性の高い水中リモコン撮像装置が有効である.本文では, NHK放送取材用に技研が試作した"潜水リモコン撮像装置"および日本舶用機器開発協会が多目的カメラとして開発した"水中アイロボット"の概要を紹介するとともに, 耐圧容器, 水中投光器の設計, 試作や深度, 航行などカメラワークに影響をおよぼす運動性, 姿勢の安定化など, 構造と制御に関する諸問題を解説した.
著者
遠藤 裕英 畑田 稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2259-2268, 1998-07-15

本論文では次のような特徴を持つ研究情報サービスシステムを構築し,評価する.(1)紙媒体で入手したニュース系情報を電子化して,ネットワーク経由で遅滞なく配信するシステム.(2)インターネットのホームページの新着記事を収集し,キーワードを抽出して配信するシステム.(3)ウェブ閲覧ソフトでニュース系情報と図書系データベースを統一的に閲覧できるネットワークサービスを提供するシステム.本システムを利用者約600人の職場で評価した結果,ニュース系閲覧サービスで250人/日,図書系サービスで46人/日,プッシュ型(配信型)サービスで50?57人/日の利用者があった.研究情報の伝達迅速化では,次の結果が得られた.(a)従来,約4時間要していた紙媒体情報の配信を約2時間に短縮できた.(b)従来,約1週間遅れで閲覧されていたワールドワイドウェブの新着記事に対し,12時間以内に要約情報を配信できるようになった.(c)従来,図書室に出向く必要のあった図書データの検索を,利用者の端末からウェブ閲覧ソフトで利用できるようになった.This paper reports on the implementation and evaluation of a laboratory information service system that: (1) Digitizes news-oriented information obtained from print media and distributes it without delay over the network; (2) Collects newly arrived articles from home pages on the internet and extracts and distributes key words from these articles;and (3) Provides a network service that enables news and library databases to be read in an integrated manner through a Web browser.Evaluation of this system at a work place consisting of about 600 users revealed that about 250 people/day used the news service,about 46 people/day used the library service,and about 50 to 57 people/day used a distribution service.The following benefits were obtained as a result of speeding up the laboratory information service: (a) Distribution of print-based information that previously took about four hours has been reduced to about two hours; (b) Distribution of summaries with respect to newly arrived articles perused on the WWW can be performed within 12 hours compared to one week in the past; (c) Retrieval of library date that previously required a trip to an actual library can now be performed from a user's terminal using a Web browser.
著者
遠藤 裕英 藤田 義之 上林彌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2534-2543, 1997-12-15
被引用文献数
1

企業の技術情報サービス部門ではWWW (World Wide Web)のホームページから新製品情報や新技術情報を取得し,研究者に迅速に伝達することが重要な課題になってきた.そこで,あらかじめ登録したホームページに毎日アクセスし,新着記事のキーワードを電子メールで配信するプッシュ型の技術情報サービスを開発した.ホームページから新着記事を抽出する方式として,ホームページに現れるアンカーのURL (Universal Resource Locator)の一致を照合する「アンカーを手掛かりとした新着記事抽出方式」を採用した.また,新着記事のキーワードにはホットテキストとホットイメージ代替文を用いた.上記方式を実装したWWW新着記事収集・配信システムを開発し,著者らの研究所で運用した.新着記事のキーワードを毎日配信することにより迅速な技術情報サービスが実現できた.また,「アンカーを手掛かりとした新着記事抽出方式」によって新着記事だけを抽出できることと,画像の新着記事を抽出できることが分かった.An increasingly important topic in the technical information service divisions of large corporations is the obtaining of new product and technical information from homepages on the World Wide Web,and the quick transfer of this to researchers.In this regard,a"push"technical information service has been developed that accesses pre-registered homepages everyday,and delivers keywords of new articles by electronic mail.This system compares and checks the anchor URL(Universal Resource Locator)that appears on the homepages,using this anchor as the key to extracting new articles.Hot text and altenative text to hot image are also used in the keyword of new articles.A World Wide Web new article extraction and delivery system incorporating the said system has been developed,and is operating at our laboratories.By delivering keywords of new articles everyday,a fast technical information service has been achieved.In using this new article extraction system,it has been found that new articles can be extracted regardless of differences in location of articles or exression of articles,and that even keywords of new images can be extracted.
著者
菅藤 哲 平松 正義 竹内 晃 大山 力 佐藤 信 斎藤 誠一 福崎 篤 遠藤 希之 荒井 陽一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.35-41, 2004-01-20
被引用文献数
1

(目的)精巣腫瘍55症例に対し高位精巣摘出術と同時に対側精巣生検を行った.その結果精巣CISと診断された症例はなかったが,そのうち2症例において後に対側精巣に精巣腫瘍を発生した.そこで我々は生検の感度に問題がなかったかどうか,そして我々の結果がスキャケベクの理論に整合性を認めるかどうかを検証した.(症例と方法)後に精巣腫瘍を発生した2症例の生検標本のパラフィンブロックを再度切り出しし,ヘマトキシリン・エオジン染色とPLAP抗体(クローン番号:8A9)を用いて免疫染色を行い,再度評価しなおした.他の53症例の標本も再度評価しなおし,その結果精巣CISが認められた症例の対側精巣の転帰を追跡調査した.(結果)後に精巣腫瘍を発生した2症例の標本うち1症例の標本において精巣CISが認められた.又,残りの53症例の内1標本において精巣CISが認められた.この症例は本人の失踪により対側精巣の転帰は確認できなかった.CISは3.6% (55症例中2症例)に確認され,2症例において偽陰性となったことが確認された.(結論)精巣CISに対する精巣生検の感度を上げるには泌尿器科医及び病理医が精巣CISについて知識を深め,スキャケベクのガイダンスに従った方法で行われるごとが重要と考えられる.
著者
遠藤 薫 檜澤 孝之 吹角 隆之 片岡 葉子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1309-1315, 1999

症例:生後2カ月女児.IgE 62 IU/ml,RAST(ハウスダスト 1.06 Ua/ml, Df 0.03, Dp 0.01,犬皮屑 7.99).母の実家に行くと症状が悪化.実家では室内犬が飼育され,患児は生後1カ月間そこにいた.犬の失踪後,実家訪問後の悪化は徐々に消失した.2歳以下のアトピー性皮膚炎患児368名について,自宅及び自宅外での犬の飼育の有無と皮膚症状,検査所見の関係を検討した.犬皮屑に対するRAST陽性率は,自宅で飼育していれば高かったが,父母の実家で飼育されているときにも高いことがわかった.室内飼育の場合,室外飼育よりも陽性率が高かったが,自宅と父母の実家で有意差はなかった.室内飼育の場合,陽性率は生後3カ月以内に高値となり,それ以後陽性率は有意に上昇しなかった.室内飼育の場合,実家を訪れる回数に比例して陽性率が上昇していた.皮膚症状は,室内で飼育した場合,室外で飼育した場合と飼育していない場合に比して有意に重症であり,室内犬を室外に隔離するだけで症状が改善する可能性があると考えられる.
著者
加藤 邦人 遠藤 利生 村上 和人 鳥生 隆 輿水 大和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.96, no.384, pp.53-60, 1996-11-21
被引用文献数
6

PHT(Probabilistic Hough Transform)にRHT(Randomized Hough transform)のエッジ点消去の機能を加えた、ランダムな投票によるHough変換(Randomized Voting Hough Transform : RVHT)を提案し、その直線検出性能が、ある特別な方式でエッジ点対をランダムに選ぶRHTと等価であり、計算量が多くの場合RVHTの方が少なくなることを示す。次に、この特別なRHTとオリジナルのRHTの関係を考察する。パラメータ平面の各セルの投票度数を様々な値をとる確率変数とみなしたとき、この両者の分散が異なり、この違いはセルの投票度数がしきい値に達するまでに必要な投票回数に影響することが予想される。この予想を基に実験を行った結果、この特殊なエッジ点対選択方式のRHTの方がセルの投票度数がしきい値に達するまでに必要な投票回数が少なくなることを確認したので報告する。
著者
遠藤 隆久 鈴木 康修 桑原 伸明 天池 学
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.285-286, 1990-09-04

多値画像を2値化し、疑似的に中間調画像を作るには、ディザ法、平均濃度近似法、誤差拡散法などの種々の手法が知られている。この誤差拡散法を用いて、原画に近い最適な中間調画像が得られるようアルゴリズムの改善及び最適化を行なったので報告する。
著者
古山 浩志 八塩 仁 江村 恒一 井上 郁夫 遠藤 充 星見 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.183, pp.67-72, 1999-07-15

蓄積された大量の映像データから所望の映像を高速に検索するための方式として、予め音声チャンネルから音声認識によりメタデータを自動生成しておき、このメタデータに対して入力したキーワードの検索、特定シーン映像を頭だし再生する映像検索システムを試作した。メタデータ生成部では、入力音声からCV/VCラティスの時系列データを生成し、メタデータとしてMPEG2-TSストリーム中にPESパケットとしてVideoとAudioのPESパケットとともに多重化する。メタデータ検索部では、DPマッチングを用いてCV/VCラティスを時系列データとし、入力キーワードとの照合処理を行うことにより検索を行う。ニュース番組を想定した文を対象として検索実験を行った結果、約80%の検出率を得た。
著者
吾郷 万里子 佐藤 一石 遠藤 貴士 岡島 邦彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.483-492, 2008 (Released:2008-07-25)
参考文献数
30

結晶性セルロースを水,エチレングリコールあるいはトルエン存在下ボールミル処理し,溶媒との相互作用によって生ずるセルロースの形態変化およびセルロースの分子運動の変化について,NMR 緩和時間,熱刺激脱分極電流(TSDC)法を用いて解析を行った.ボールミル処理後のセルロース粒子の形態は溶媒種によってそれぞれ異なり,水,エチレングリコールを用いた場合は微細繊維状(ミクロフィブリル),トルエンを用いた場合はフレーク状の粒子であり,いずれも結晶性であった.溶媒無添加(ドライ状態)でのボールミル処理では微細繊維状組織が破壊され球状の非晶性粒子が得られた.   溶媒存在下でのセルロース鎖の分子運動性を 1H NMR 緩和時間(T2)により解析した結果,水あるいはエチレングリコールを添加した場合,セルロース鎖の分子運動性は向上し,トルエンを添加した場合には低下した.さらに熱刺激脱分極電流(TSDC)法によりセルロースの局所的なドメイン構造変化について調査した.ボールミル処理による結晶性の低下に伴って,セルロース主鎖のミクロブラウン運動に対応する α 分散付近の温度は大きく低下し,TSDC 値は増加した.また−60℃ 付近の β 分散のピーク温度と TSDC 値も結晶性の低下とともに変動し,β 分散は分子鎖間水素結合性に関連した局所的な緩和モードであることが推測された.またセルロース中に水が存在する場合には TSDC 値が増大したことから,セルロース主鎖の分子運動性が活発化することが示された.一方,トルエンはセルロースの主分散にはほとんど影響を及ぼさず,水素結合性の低い局所的なドメインの分子運動性に対して特異的に作用することが明らかとなった.