著者
吉久 徹 遠藤 斗志也 遠藤 斗志也
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

tRNAの一生における細胞内動態の全貌を明らかにする目的で、出芽酵母より新たなtRNA結合タンパク質の生化学的な単離・同定を行った。Hsp70ファミリーに属すSsa2pが新規tRNA結合タンパク質として同定され、実際、栄養飢餓時に見られるtRNAの核内輸送因子であることが、in vivo、in vitroの実験で明らかとなった。併せて、RNAの3'末端を配列特異的に可視化できる手法を開発した。
著者
伊藤 隆造 Pauly Martin 遠藤 純子 園田 壮史 高橋 弘 田巻 香織 笹谷 知幸
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.8, pp.211-216, 2001

平成12年7月13日から7月24日までの日程で第2回視覚部海外研修旅行を実施した。参加者は学生4名、教官2名、技官1名で、アメリカのニューヨーク州立大学バッファロー校とナショナル聾工科大学を訪問し、様々な施設見学や講義への参加を通じアメリカにおける高等教育の現状や障害者へのサービス、社会自立の状況について理解を深めた。
著者
ディビッド ウルフ 秋田 茂 泉川 泰博 岩下 明裕 遠藤 乾 松本 はる香 横手 慎二 エルドリッジ ロバート ロバート エルドリッジ 金 成浩
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、歴史家と政治学者の連携のもと、冷戦期の北東アジア、特に日本側の役割と視点にたった多くの資料を収集・統合した。この4年の研究期間で研究メンバーは、ワークショップ、カンファレンスや様々な国際イベントにおいて、新たな資料と結論に基づく80回もの発表(半数が英語発表)を行い、約70もの論文・図書を執筆・刊行した。
著者
丸井 英二 JOHNSTON Wil 李 誠國 SOMーARCH Won YAP Sue Pin 田口 喜雄 田畑 佳則 関 道子 遠藤 誉 米山 道男 大東 祥孝 WILLIAM Johnston SUNGKUK Lee SOMARCH Wongkhonton 山中 玲子
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究は留学生にかかわる問題のなかで、長期的な波及効果としての留学生の帰国後に焦点をあてて行われた。その背景として、「留学生10万人政策」に由来する近年の留学生数の著しい増加がある。もちろん、現在わが国に滞在する留学生についての各種支援が必要とされていることは言うまでもない。しかし、こうした現状の延長上にある今後の問題点を考慮すると、帰国後の留学生の生活について研究を行っておくことが必要な時期となっている。その場合、帰国してからの国内的、国際的役割を継続的に把握していくことが必要である。留学生の帰国後に描くことのできる明るい展望がなければ、国内における留学生指導も実効性をもつことがなく、留学生も日本への期待をもつことができなくなり、将来的にわが国への留学そのものを希望しなくなるであろう。今後の健全な留学生政策のためにも帰国後の留学生についての研究が必要とされてきている。本研究では国立大学の留学生センターの留学生指導担当教官が中心となり、留学生の帰国後の社会的活動の動向の量的、質的に把握するための調査を行った。わが国への留学の意義を現地の視点でとらえなおし、さらに今後のわが国との関係をいかに維持していくかについて現時点で研究した。対象国はタイ、マレーシア、インドネシア、韓国であったが、初年度のみ台湾を加えた。研究の実施過程は1)現地での調査研究、2)国内での修了留学生の名簿作成のためのデータベース構築、3)研究ワークショップの開催とに分けることができる。初年度は主として現地での調査研究に焦点を絞った。研究分担者6名が共同研究者のいる対象国における実状を把握するために、アジア地域を中心に担当国を複数ずつ訪問し予備的調査を行った。現地では研究協力者との個別会議を開催し、必要に応じて帰国留学生との面接を行い、現状把握を行った。こうした一連のプロセスにより日本側研究者の現地事情に関する認識を極めて高いものとなった。また、現在では過去に多くの留学生が卒業あるいは修了しているにもかかわらず、なお多くの卒業生の現状が大学で把握できていないことが判明してきた。そのために第2年度には、国内での作業として卒業・修了留学生のデータベース構築のための研究会を開催した。個々の大学の事情に応じて若干の差はあるものの、共通のデータ形式を統一し、入力作業を開始した。すでにいくつかの国では帰国留学生会が設立されているが、そのメンバーは帰国したのちに自らの日本留学を是認し評価している人々が中心となって形成されている。こうした組織に日本留学に批判的な人々が加わっている可能性は小さい。したがって、本来的な母集団としての日本の卒業・修了留学生から出発して追跡することが評価のためのもっとも公平な方法である。現在のところ、データベースの構築は留学生センターの設置されている国立大学の一部から開始されているに過ぎないが、今後はその範囲を拡大していくことにより、留学生が大学から離れた後の動向を把握することが可能となる。今回の3年間の研究では主として帰国後の留学生を対象としたが、われわれのこうしたデータベースを利用することによって、母国に帰国しない人々についても追跡していくことができるという大きな意義が生まれることになる。さらに、第3年度である平成7年9月には、タイのマヒドン大学においてタイ、マレーシア、韓国からかつての日本留学生で現在は本国で活躍している人々を招待し、日本側研究者と合同でのセミナーを開催した。ここでは過去の留学生が日本でどのような経験をしたか、現在何をしているか、現在の日本との関係、さらに現地から日本をどのように見ているかなどについて一日半にわたって討議を続けることができた。3年間の研究期間に参加した留学生センターの日本側研究者ならびに現地の分担研究者にとっては相互理解の基盤を確立し、その上で帰国留学生に関する研究を行うことができたという点で充実した期間であった。また、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国で研究協力者として多くの帰国留学生が参加することができた点も高く評価したい。本研究は単に限定された学術的研究にとどまらず、留学生を媒介とした共同研究の萌芽を各研究者レベルで作り出してきた。今後、この留学生問題に関する分野での多くの研究者によるさらなる研究に期待したい。
著者
大竹 杏奈 浦 正広 久野 秀幸 中 貴俊 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也 安田 孝美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.110, no.35, pp.57-58, 2010-05-07

地域の活性化において観光は重要な要素であり,その集客において広告の果たす役割は大きい.しかし,観光は居住地域や年齢の異なる様々な層を対象とするため,単一メディアによる情報配信ですべての層をカバーすることは困難である.そこで本研究では,複数のメディアを用いることでそれらの層をカバーする,ワンソース・マルチユースのクーポン配信システムを構築する.
著者
中村 伸枝 武田 淳子 伊庭 久江 林 有香 遠藤 巴子 日高 倫子 兼松 百合子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.67-73, 2003-03

本報告では,看護職が養護教諭と連携して,小学校3年生の1クラス31名(男子17名,女子14名)に対し,万歩計を用いた身体活動に焦点をあてた「学童とその親の生活習慣改善プログラム」を作成・実施した内容を報告する.プログラムでは,クラス全体に対するものと従来養護教諭により行われてきた個別指導を合わせて実施した.また,歩数が増えるほどキャラクターが成長する万歩計と,1年間通して使用できる「生活とけんこうを考えよう」と題したファイルを作成して各人に配布し,教材として利用した.1年間の実施の中で,万歩計の歩数が増えキャラクターが成長していくのを楽しむ学童は多く,運動に関することを生活目標にあげ,がんばったとした学童が多かった.1学期と3学期の肥満度は,男子では有意な増加(p<0.05)が認められたが,女子は有意差はなく学期毎にわずかに低下していた.1学期と3学期の間で肥満度が5%以上増加していた学童は,万歩計を用いた身体活動が有意に少ない傾向がみられた(p<0.05).また,自由研究で「万歩計による1日の運動量調べ・食事調べ」を行った中等度肥満の女子では,運動だけでなく食事についての理解も深められていた.従って,万歩計を用いて運動に焦点を当てたプログラムは,小学校3年生に対し効果が期待できると考えられた.看護職と養護教諭が連携して活動していくことで,学童とその親に対する活動を深めることができたと考えられる.
著者
中村 伸枝 林 有香 伊庭 久江 武田 淳子 石川 紀子 遠藤 巴子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,日常生活習慣上の問題の程度に関わらず、より健康な生活をするためのアプローチが可能である学校の場を利用して,養護教諭とともに学童と親を対象とした日常生活習慣改善のために楽しく、親子で、段階的に行うプログラムの試作と検討を行うことを目的としている。研究の対象校は,平成10年度に実施した学童とその親に対する日常生活習慣と健康状態に関する調査で協力が得られた岩手県内の2つの小学校であった。小学校3年生1クラスと小学校5年生1学年(3クラス)で実施の協力が得られ,平成12年度には前回の調査結果と,学校内の協力体制,身体計測や学級活動等のスケジュール,体育や理科,家庭科の学習内容などを考慮して「学童と親の日常生活習慣改善プログラム」を試作した。平成13年度にプログラムを実施し,平成14年度にプログラム前後で行った生活習慣の変化,プログラムの満足度や家族の参加と反応,プログラムで学童が学んだことを視点に評価を行った。その結果,食習慣についてのプログラムを中心に実施した小学校5年生では,「好き嫌い」「野菜の摂取」「夕食時間」「排便習慣」と,「近くに出かけるときには歩く」項目でプログラム前後に有意な改善がみられた。また,学童はブレーン・ストーミングやグループワークを取り入れた学習に積極的に参加していた。運動習慣についてのプログラムを中心に行った小学校3年生では万歩計を用いた学習に学童は強い興味を示し,生活目標や,がんばったこととして運動に関することを最も多くあげていた。また,いずれの学年も,1年間通して使用した「健康ファイル」を家庭に持ち帰り,家族と共に健康目標を立てたり,学校での学びを家族にも伝えていた。健康ファイルは,肥満学童の保護者面談の資料としても用いることが出来た。看護職者と養護教諭の連携による学童と親への健康教育の有効性が示唆された。
著者
佐藤 悦子 遠藤 みどり
出版者
山梨県立看護大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2000

平成14年度研究目標:平成12・13年の研究から「在宅療養者および訪問看護師の在宅でケアされること、ケアすることの体験には『ずれ』が生じている」ことが明らかになった。さらに対象を広げ、その信頼性を高める。研究方法:1)研究対象:本研究の趣旨を了解し協力が得られた在宅療養者9名訪問看護師8名2)データ収集方法:半構成的面接法を用いインタビューを1名に対し2回行なった。在宅療養者には「訪問看護を受けていること」を、訪問看護師には「看護を提供していること」をそれぞれ自由に語ってもらった。承諾を得てメモやテープレコーダーに記録し、それをデータとした。3)データ分析方法:データから体験している世界をできる限り忠実に読み取り、研究者が読み取ったものを再度対象者に返し、それを新たなデータに加え分析することで客観性を高めた。研究結果および考察:在宅療養者全員が、「来てくれることで安心」という体験をし、訪問看護師も「訪問が安心感をもたらしている」という体験をしていた。また、ストーマ造設療養者は「細かなところまで教えてもらっている」という体験や疼痛のある療養者は「痛くないように援助してもらっている」という体験をしていた。訪問看護師は療養者が語った看護ケアを提供している体験に加え、変調を予測した予防的な看護ケアやよりよい生活を思考し提供している看護の具体的なケアについての体験もあったが、在宅療養者から語られることはなく、そこに「体験のずれ」があった。目に見える医療処置や疼痛への専門的看護技術の提供は、両者の体験として語られ、両者の明確な自已決定の一致が存在する。しかし、「体験のずれ」は両者の自己決定のずれを表し、それは、看護職者が提供している自己の看護ケアの意味を在宅療養者に語ることの不足に起因していると考える。
著者
中島 映至 太田 幸雄 竹内 延夫 高村 民雄 沼口 敦 遠藤 辰雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、ほぼ当初予定した計画以上の成果をあげて終了した。主な成果としては、(1)船舶用のスカイラジオメーターが全自動で稼動し、観測船白鳳丸やみらいによる観測のみならず日本-オーストラリア間の2つの商船航路において定期観測を実現できた。それによって幅広い緯度範囲においてエアロゾルの気性積算の光学特性が明らかになりはじめた、(2)エアロゾル気候モデルがほぼ完成し、自然起源と人為起源のエアロゾルの放射強制力がシミュレーションできるようになったことが挙げられる。その結果、エアロゾルの一次散乱アルベドがアジアの広域において0.8から0.9と言う低い値であり大きな太陽放射吸収を引き起こしていること、そのために、産業革命以降の人為起源エアロゾルの直接効果による全球平均放射強制力は今まで言われていたものよりもかなり小さく-0.20W/m2程度であることが明らかになった。人為起源の硫酸塩エアロゾルと有機炭素エアロゾルによる冷却効果(日傘効果)の約半分が黒色炭素エアロゾルによる加熱硬化によって相殺されている。また、人工衛星によるエアロゾルと雲の光学的特性のリモートセンシング手法が確立され、1990年の1,4,7,10月の4ヶ月に適用された。その結果、低層の水雲の光学特性がエアロゾル粒子の気柱総数に依存する「エアロゾルによる間接効果」をはじめて全球規模で確認できた。産業革命以降の人為起源エアロゾルが海上で引き起こした間接効果の大きさは-1W/m2程度であると推定される。
著者
松本 淳 遠藤 伸彦 林 泰一 加藤 内藏進 久保田 尚之 財城 真寿美 富田 智彦 川村 隆一 浅沼 順 安成 哲三 村田 文絵 増田 耕一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

1950年代以前のアジアモンスーン諸国における紙媒体気象データをデジタル化したデータセットを作成し,20世紀全体でのアジアモンスーンと台風の活動や経路の長期変動を解析した。その結果,日本の冬季モンスーンが弱まり,冬の期間が短くなる傾向や,フィリピンで夏の雨季の開始時期が近年遅くなる傾向,東南アジアで降雨強度が強まる傾向,台風発生数の数十年周期変動,台風の低緯度地方での経路の長期的北上傾向等が見出された。
著者
棚部 一成 遠藤 一佳 佐々木 猛智 白井 厚太朗 伊庭 靖弘 守屋 和佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

氷室時代の現世と温室時代の白亜紀の軟体動物(貝類)を対象として、貝殻の成長縞解析と地球化学的分析を行い、海洋環境に対する生活史形質の応答様式を解析した。その結果、北西太平洋の貝類の個体としての寿命が100年以上と長く、全球規模での海洋環境変動の記録を貝殻に保存していることが明らかになった。また、保存のよい浮遊性有孔虫、底生有孔虫、貝類化石の酸素同位体比分析から、白亜紀後期の北米内陸海や北西大西洋の陸棚は温室期の白亜紀中期に比べてやや寒冷化し、低層水温には季節変動があったことが示唆された。また、これら海域の貝類は現世の温暖な海域の貝類と似た生活史形質を持っていたことがわかった。
著者
中村 研一 本田 宏 清水 敏行 佐々木 隆生 遠藤 乾 松浦 正孝 川島 真 宮脇 淳
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、地球市民社会に関する共同研究である。研究の実施過程で、ロンドン大、ケンブリッジ大、ダッカ大、韓国高麗大など各国研究者と研究打合せを実施し、地球市民社会に関する理論枠組をテーマとした研究会を行った。また、地球市民社会研究の基本資料として、市民社会、地球市民社会の二次文献を体系的に収集した。近代史を顧みると、政治的意志を持ち、それを表現する市民/個人、およびそのネットワークと運動体は、国家や地域、そしてそれらの境界を超えた国際的な舞台においても、政治的変革と規範形成の役割を果たしてきた。さらに民主主義が普遍化した今日、市民/個人は、国家や自治体においてのみならず、世界においても、決定的な重要性をもつものである。なぜなら、およそ人間行動に必要とされる統一的な決定や価値配分を正統化しうる主体は、市民あるいは個人の集合としての民衆以外にはないからである。ただし、一九七〇年代頃までは、世界政治は国家政府機構を主体とし、世界経済は営利企業が支配してきた。しかるにこうした趨勢は、二〇世紀末の世界において転換を示し、非国家組織(NGO)および市民運動・社会運動が、政府組織、営利企業に対比し、「第三の力」(アン・フロリーニ)と呼ばれている。さらには、世界政治において、国家アクターからNGOへの「パワーシフトが生じている」(ジェシカ・マシューズ)という大胆な議論まで、現れるにいたった。もはや地球市民社会が無視し得ないことは明瞭である。二一世紀初頭の世界において、市民とその地球的ネットワークが、現実政治のなかでどれほど政治的役割を果たしているのか。また、どれほどの政治的役割を担うことが可能であるのか。さらにどこまで、どのような役割を演じるのが適切なのであろうか。これらの問いに答えることが、本研究の課題となった。また本研究では、韓国、台湾、バングラデシュ、日本など、アジアにおける市民とNGOの考察が、重要な一本の柱となっている。市民という概念が生まれ、また地球市民社会が最初に興隆した西欧と対比して、アジアの政治経済風土においては、市民や個人、そしてNGOの果たす役割は、どこまで類似し、どのように異なっているのであろうか。このような課題に取り組んだ成果の一部である論文と収集資料のリストを報告書にまとめた。
著者
遠藤 博也
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1-2, pp.459-483, 1985-09-30
著者
遠藤 辰雄 田中 教幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の初年度では我々が過去に国内の遠隔地(幌加内町母子里北大演習林)において行なった酸性雪の観測の解析を進めた結果によると、硝酸塩も硫酸塩と同様に長距離輸送物質である可能性が示唆されている。そこで2年次において、これが長距離輸送物質であることを特定するために、充分なる遠隔地として北極圏のニーオルソンを選び、そこで降雪粒子と環境大気中のエアロゾルやガスの成分を調べてみた。その観測は1998年12月16日から1999年1月9日までと同年3月2日から同月18日までの擾乱の到来頻度の高い二期間に行なわれた。酸性雪の採取には地吹雪きの混入を避ける為に大型の防風ネット設置し、その中で蓋付きの受雪器を並べておき、降雪時のみ蓋を開けて受雪して,降雪が止むと蓋をしてドライフォールアウトの混入を辞ける様にした。さらに地上降雪観測として独自で開発した電子天秤方式の降雪強度計とTime-lapse-videoによる降雪粒子の顕微鏡写真の録画システムも防風ネットの中に設置した。まだロ―ボリュムエアサンプラーによる濾紙法で大気試料がそれぞれ採取され、環境大気のガス状成分とエアロゾルの化学成分がそれぞれ分析された。この時期の現地では珍しく比較的風の弱い状態の降雪が多く降雪粒子が長時間に亘って採取された。初めの12月〜1月の期間の分析結果では次のことが注目された。大部分の降雪粒子は風向が東南東で、雲粒付結晶であるが、風向が北西である時の降雪では雲粒の付かない雪結晶が多く観測されている。その降雪粒子の化学成分は、他と比べて、S042-が少なく、逆にN03-が多くなっているのが明らかな特徴である。この結果は、これまでの日本国内での観測結果と一致して矛盾はしていない。この風向から降雪をもたらす気流の起源を、考察してみると、現地から見て、東南東の気流はメキシコ湾流が北上して出きる北限のopen-seaからの気流であり、 水蒸気が豊富で過冷却の雲粒が高濃度で生成されていたもの考えられる。一方、北西の気流は現地から更に高緯度の北極海の結氷している氷原野からの気流であるので低温であることも含めて、水蒸気量はかなり希少であり、過冷却の雲粒はほとんど蒸発し、降雪粒子は気相成長のみで成長するために、雲粒の付かない綺麗な雪結晶が卓越するとが考えられ、その発生源が明確に特定できる。ここで得られた新しい知見は次の事柄である。長期間の降雪の末期では降雪に含まれるN03-が減少して検出限界にまで達してしまうが、その環境大気の成分変化を見るとHNO3ガスより粗粒子のエアロゾルに含まれるN03-が減少していることである。このことからガスの物理吸着機構よりエアロゾルのスキャべンジング効果がより効いていることを示唆している。
著者
松浦 正孝 山室 信一 浜 由樹子 土屋 光芳 中島 岳志 高橋 正樹 宮城 大蔵 WOLFF David 大庭 三枝 吉澤 誠一郎 姜 東局 大賀 哲 酒井 哲哉 後藤 乾一 都丸 潤子 関根 政美 矢口 祐人 高原 明生 遠藤 乾 松本 佐保
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アジア各地における多様なアジア主義のビジョンと構造を解明し相互比較すると共に、アジア主義ネットワークの生成過程を解明した。方法としては、国内外から選ばれた各地域の専門研究者と各事例を議論することで、アジア主義に共通の構造と地域それぞれに固有の特徴とを明らかにした。そうすることで、各地域におけるアジア主義を相対化して民族中心的なバイアスから解放し、アジアにおける共同体の可能性と条件、各民族・国家の共生の可能性を探ろうとした。
著者
宮本 太郎 山口 二郎 空井 護 佐藤 雅代 坪郷 實 安井 宏樹 遠藤 乾 水島 治郎 吉田 徹 田中 拓道 倉田 聡
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は大きく三つの領域において成果をあげた。第一に、日本の政治経済体制、とくに日本型の福祉・雇用レジームの特質を、比較政治経済学の視点から明らかにした。第二に、レジームを転換していくためのオプションを検討し、各種のシンクタンクや政府の委員会などで政策提言もおこなった。第三に、世論調査でこうしたオプション群への人々の選好のあり方を明らかにし、新しい政党間対立軸の可能性を示した。
著者
河野 暢之 勝見 正治 谷口 勝俊 福永 裕充 山本 達夫 岡 統三 尾野 光市 淺江 正純 三木 保史 小西 隆蔵 遠藤 悟 植阪 和修 玉置 英人 児玉 悦男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.12, pp.2436-2440, 1985-12-01

食道静脈癌に食道離断, 血行遮断, 脾適除, 胃瘻造設術を施行した症例に^<99m>Tc Sulfer-Colloid 混入試験食のによる gastroscintigram により術後の胃排出動態をみた, 幽門形成術付加群5例, 非付加群9例の2群の胃排出時間 (T1/2) を経時的に測定したところ, 術後3ヵ月までは幽門形成術付加群に胃排出時間のばらつきがみられたが, 以後は排出遅延例はみられず, 経時的に短縮する傾向がみられた. 3ヵ月以後両群は分時胃排出率もほぼ等しく, 同じ胃排出動態を示し, 幽門形成術の有無による差を認めなかった. また胃形態よりみて術後は牛角胃を呈していた. 胃瘻造設により術直後の胃拡張, 過度の胃内圧上昇を防ぎさえすれば, 幽門形成術は必要でないと思われた.
著者
遠藤 浩子 大八木 規夫
出版者
財団法人深田地質研究所
雑誌
財団法人深田地質研究所年報
巻号頁・発行日
vol.1, pp.73-96, 2000-07-10

鹿児島県出水市針原地区においt,梅雨に伴う大雨により1997年5月10日大規模な崩壊が発生し,21名が亡くなった。この崩壊源の規模は幅79m,奥行185m,深さ20m,体積12.4万m^3であった。崩壊源周囲の地質は矢筈岳火山岩類に属する鮮新世・更新世の火山岩類で,下位から火砕岩,淡灰色安山岩溶岩,暗灰色安山岩溶岩で構成されている。これらの安山岩類は著しく風化しており,崩壊源の側方崖や滑落崖では浅部は粘土質の赤褐色風化帯,その下位は玉葱状構造のよく発達した風化帯となっている。崩壊発生場所は凹状地形を呈し,1982年長崎災害の事例と類似した反復性後退崩壊の特徴をもった斜面であった。移送堆積域では,崩壊源脚部から450m下流右岸側に,玉葱状構造を残存した状態で運搬された高さ1m,幅3mのブロックを発見した。この位置は,他の機関が同様の堆積物を確認した位置よりも140m下流である。上のブロック発見位置は,空中写真判読によって小規模ながら流山の形態を示している。このような流山地形は上述のブロック発見位置よりも55m下流であった。この場所は災害後に土塊が擾乱されたが,玉葱状構造をある程度保存した礫を確認できた。したがって,崩壊源脚部から500m付近までは岩屑なだれの状態を保った部分があったと考える。また,移動体の移送の途中から流動性の高い部分も形成したと推定される堆積物も認められた。