著者
成田 伸 大原 良子 鈴木 幸子 遠藤 俊子 齋藤 益子 吉沢 豊予子 野々山 未希子 水流 聡子 跡上 冨美 矢野 美紀 西岡 啓子 加藤 優子 森島 知子 齋藤 良子 角川 志穂 段ノ上 秀雄 黒田 裕子 工藤 里香
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

望まない妊娠や性感染症罹患の予防を専門的に支援する避妊・性感染症予防カウンセラー育成プログラムを構築した。プログラムは6日間の集合教育と専用のウエブサイトを活用した自己学習からなり、2008年度と2009年度の2回にわたって助産師を対象に開催した。育成プログラムの成果を評価するために、受講者と非受講の比較群で学習成果を比較した結果、受講者に知識の増加や態度の変容がみられた。また受講者のカウンセリング能力が向上した。今後は、育成されたカウンセラーの実践自体を評価する研究が必要である。
著者
遠藤 正浩 高田 佳木 高月 清宣 吉村 雅裕 坪田 紀明 指方 輝正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.191-195, 1999-04-20
被引用文献数
1

極めてまれな縦隔原発の平滑筋肉腫を経験したので,画像所見を中心に報告する.症例は69歳の女性で,労作時呼吸困難と胸部異常陰影を主訴に来院した.胸部X線写真で縦隔影の拡大と右胸水が指摘された.CTとMRIでは,中から後縦隔に中央部がくびれた雪だるま状の圧排性進展の腫瘍を認め,腫瘍内部は不規則に造影され,間葉系の悪性腫瘍,特に悪性神経鞘腫や平滑筋肉腫などを疑った.画像上圧排性発育が主体で,全摘除の可能性が高いこと,さらに呼吸困難が急速に進行しているなどの理由から手術を施行した.腫瘍はほぼ完全に摘出でき,術後は患者の呼吸器症状は完全に消失した.病理学的には,免疫組織化学や電顕的観察の結果より平滑筋肉腫と診断した.
著者
遠藤 辰雄 高橋 庸哉 児玉 裕二
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

世界中の降雨の大部分は、それをもたらす上空の雲に0℃以下の温度領域が十分に含まれており、そこでは酸性雪の形成が支配しているはずである。しかもこの降雪は、採取した時に、降雪粒子の種類・大きさ・結晶形など形成過程の履歴の情報を知ることが出来るので、雨滴の場合より解析的な追跡が可能である。さらに、それらの最も効率のよい成長様式は、霰などの雲粒捕捉成長と雪片などを形成する気相成長とその併合過程の組み合わせによる様式の2つに大別される。しかも、この成長様式は、成長の初期に、いずれかに決定されると、途中で乗換がほとんどできないと考えられるものであり、この研究ではこの2つの様式について降雪試料を化学分析してみた。その結果、雲粒捕捉成長と気相成長による降雪は、それぞれ、硫酸塩と硝酸塩をを他の成分に比べて、顕著に卓越して、含有していることが明らかにされた。しかもそれらをもたらす降雪雲の雲システムから推定すると、前者は、都市である札幌でも郊外の石狩および遠隔地の母子里においても、ほとんど同じ程度の割合で、高い濃度で、検出されることから、いわゆる長距離輸送されて、雲粒に取り込まれて、溶液反応で酸化が促進したものと考えられる。また、後者は落下速度が遅く、かつ下層の風が弱い時に卓越する、降雪様式であること、さらに、札幌や石狩における、下層が陸風で明らかに汚染された気流の中を降下するときに、高い濃度が検出され、母子里では低い値であることから、雲底下の人為起源の汚染質を取り込んだものと判断される。後者の降雪に含まれる硝酸イオンは自動車の排気ガスが主な発生源と考えられるが、さらに、第2、第3番目を常に占める成分は、非海塩性の塩素イオンとカルシュウムイオンであり、発生源として、ゴミの焼却と路面のアスファルトの分散が考えられる。
著者
亀田 温子 池谷 寿夫 遠藤 恵子 入江 直子
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1 公立高校の男女共学進行状況の動向研究・戦後の男女共学制度実施の中で、現在も公立高校の男女別学率が高いのは、宮城県、福島県、群馬県、栃木県、埼玉県など、北関東、東北地方の県である。しかし、1990年代以降15歳人口減少期に入り高校再編成計画のなかで、男女共学化への動きが具体的に進行している。本研究では、その実態をとらえた。・福島県については、1994年から始まった公立高校の男女共学化10年計画により2003年で、すべて男女共学校となった。その背景、実施のプロセス、推進に向けた市民運動の力、を分析。・宮城県、群馬県については、教育委員会の明確な方針と指導により学校再編計画により共学化進行計画が進みつつある。全部ではないが、いわゆるエリート校の共学計画も進んでいる。・埼玉県については、苦情処理委員会への苦情から「共学推進」の勧告が出される形で、問題が顕在化した。同窓会などを中心に強い共学反対運動が展開した。高校再編計画でも実質的に女子高が統廃合になるケースはあるものの、共学方針は出されぬまま、戦後50年を経てもエリート校の男女別学を存続する「現状維持」体制としている。2 大学共学化把握のための資料作り戦後の大学に見る男女共学化、近年共学化の動きをとらえる資料作りをおこなった。3 ドイツ・アメリカの動向研究・ドイツについては、新たな男女共学ついての動きをドイツの男女共学の中心的研究者であるヴィーラントの協力を得、現地調査を行うことから現在の状況をとらえた。・アメリカについては共学大学における女子学生の支援プログラムから、実際の動きを捉えた。
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 相川 広一 桜田 晃 陳 炎 遠藤 千顕 菅間 敬治 佐藤 雅美 佐川 元保 藤村 重文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.875-881, 1994-10-20
被引用文献数
9

症例の寄せ集めといった人為的影響を極力排除するため, 一定地域で一定期間内で, tumor doubling time(DT)の検討可能な原発性肺癌例をいかなるselectionも行わないで収集し, それらを対象としてDTの分布および臨床病理学的特性を検討した.1)DTの対数変換後の分布は, 歪度が0.7204, 尖度が-0.0643と小さくなり, DTは対数正規分布に従がった.2)症例のDTは最小30日, 最大1077日であり, DTの算術平均は163.7±177.5日, 幾何平均は113.3日であった.3)DTの平均値は, 男性例が女性例に比較し, 喫煙例が非喫煙例に比較し, 有症状例が無症状例に比較し有意に短かった.またDTの平均値は, 扁平上皮癌および未分化癌が腺癌に比較し, T2, T3およびT4例がT1例に比較し, III期例がI期例に比較し有意に短かった.DTは密接に他の予後因子と関係していた.
著者
遠藤 和昭 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.53, pp.63-70, 1999-06-24

環境の変化が急速な場合、組織のリーダーのリーダーシップが問題になる。また、リアクティブプランニングを用いたエージェントの行動は、そのエージェントが得る情報によって大きく左右される。通信を行うエージェントの行動は、その通信の内容に行動が左右される。そのため、情報を発するエージェントは、集団に対して大きな影響力を持ち、集団の中で特別な役割を演じていると考えられる。さらに、情報を発する者が相応しくない場合、集団の性能に対して悪い影響を与えると考えられる。本論文では、情報を発し集団をある状態に導く者をリーダーと呼び、RoboCupシミュレーション部門のサッカークライアント(エージェント)を対象としてリーダーの統制によるシステムを作った。その結果、勝率の向上、得点の増加、失点の減少など、集団の性能を向上されることができた。A leadership of the leader in the company is important in dynamic environment. The action of the agent with a reactive planning depends on the messages in the communication. So the agent who sends the message has much influence on the agents who get the information and have a special role in the group. If the agent who sends a message is not suitable, he may give bad influence on the agents. In this paper, we call the agent who leads the agents with the information "Leader" and discuss his role on the RoboCup Soccer client in the simulation league.
著者
山本 正治 渡辺 厳一 中平 浩人 遠藤 和男
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

胆道癌死亡率の高い下越地域の新潟市と死亡率の低い上越地域の上越市で採取した水道水の突然変異原性の差を年間を通して比較検討を行った。水道水の採取は両市の各1給水栓にて行い、夜7時に勢い良く約10秒間排水した後、1日10lずつ採取し、各1サンプルとした。採水日は毎月第4週の水、木、金曜日の3日間とし、これを1年間実施した。更に溶出溶液を濃縮乾固後、DMSOに溶解して突然変異原性試験に供した。突然変異原性試験はAmes法(TA100,TA98)のプレ・インキュベ-ト法を用い、代謝活性化は実施しなかった。これまでに、3〜7月の試料と8〜10月の試料について分析を行った。その結果、フレ-ムシフト型のTA98株に対する突然変異原活性はほとんど試料で確認されなかった。一方、塩基対置換型のTA100株に対しては、新潟市の全試料が1l当たりの復帰コロニ-数が自然復帰コロニ-数の2倍を越えたのに対し、上越市では3月を除くほとんどの試料で2倍に達しなかった。新潟市と上越市の水道水1l当たりの復帰コロニ-数の平均は3月がそれぞれ392【plus-minus】75、253【plus-minus】91、7月が253【plus-minus】50、71【plus-minus】29といずれも新潟市の方が高い結果が得られた。また、その差は3月より7月の方が若干大きくなった。ただし、7月の上越市の試料は自然復帰コロニ-数の2倍に達しなかった。また、すべての月で突然変異原活性が確認された新潟市の水道水の変異原活性の大きさは3月から7月まで暖かくなるにつれて除々に低下していく胆道癌の死亡が多い新潟市の水道水の突然変異原性が、死亡の少ない上越市の突然変異原性より強かった。そこで、原因物質の同定など、胆道癌発生との関わりを、より分析的方法で進める必要がある。
著者
高宮 いづみ 白井 則行 遠藤 仁
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では、エジプト・アラブ共和国南部に位置するヒエラコンポリス遺跡の一角で発掘調査と分布調査を実施し、エジプトの初期国家形成期において、穀物(麦)の調理の専業化がどのように進行したのかを考察するとともに、それらと集落の都市化および文化・社会の複雑化との関係を明らかにすることを目指した。調査と研究の結果、前4千年紀前半から集落の中に家政を遙かに超える規模の穀物調理施設が主に集落縁辺部に存在するようになっており、穀物調理と関連して集落の構造化が進行した可能性を示唆した。
著者
遠藤 愛
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.224-235, 2010-06-30

本研究では,境界領域の知能と年齢に不相応な学力を有する中学生を対象に,算数文章題の課題解決を目指す学習支援方略を検討した。アセスメントの手続きとして,(a)WISC-IIIによる認知特性と,(b)つまずいている解決過程の分析を実施し,それらを踏まえ案出した2つの学習支援方略(具体物操作条件とキーワード提示条件)を適用した。その結果,対象生徒の課題への動機づけが具体物操作条件にて向上し,立式過程におけるつまずきがキーワード提示条件にて解消し,効果的に課題解決がなされた。しかし,計算過程でのケアレスミスが残る形となり,プロンプト提示を工夫する必要性が示唆された。以上から,算数文章題解決のための学習支援方略を組む上で踏まえるべきポイントとして,生徒が示す中核的なつまずきを解消する方略を選択すること,学習支援方略を適用したときのエラー内容をさらに分析して別の過程における課題解決状況を確認することの2点が示された。
著者
大間 知典子 笹部 哲生 小嶋 益子 足立 準 遠藤 薫 吹角 隆之 青木 敏之
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.796-799, 1994
被引用文献数
15

重症アトピー性皮膚炎患者240例の眼疾患について考察を行った. 対象は, 男性120例, 女性120例で平均年齢18.9±7.2歳であった. 気道のアトピー性疾患の合併は, 気管支喘息が27.9%, アレルギー性鼻炎が29.6%であった. 各症例につき眼科的な自覚症状の有無に関わらず, 眼科的検査を施行し, 眼合併症を調査した. 結果は134例 (55.8%)に何らかの眼合併症がみられた. その内わけはアレルギー性結膜炎28.3%, 白内障17.9%, 春季カタル2.1%, 網膜剥離1.3%, 円錐角膜0.8%, 網膜裂孔0.8%, 眼瞼内反症2.5%, 角膜びらん6.3%であった. 症状や病態によっては, 眼科治療が必要とされるものもあり, 眼症状を訴えない患者に対しても, 早期冶療の目的から, アトピー性皮膚炎の患者には, 眼科的な検査を積極的に行う必要があると思われる.
著者
唐沢 栄 矢沢 篤子 遠藤 陽子
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.37-45, 1977-08

1974年1月7日から2月4日まで,東オングル島で採取した16地点の土壌の理化学性に関する分析を試みた.それによれば東オングル島の土壌は,粒径の大きい粗砂あるいは細砂に属し,土壌が置換できる塩基の最大容量を示す塩基置換容量は,1.15〜5.87 me/100 g soil と日本国内の畑地の5分の1程度の値であり,養分保持力が小さく,養分欠乏を起しやすい土質といえた.また全置換性塩基は0.67〜12.7 me/100 g soil, 塩基飽和度は43〜217%であった.島の東部から西南部にかけては,海塩粒子等の影響と思われる水溶性ナトリウムが高濃度で検出された.東オングル島内で作物生育に適する地点は,島の東中央部のごく狭い地域に限られ,コケ類等の生育地点とはかならずしも一致していなかった.
著者
山下 美樹 遠藤 孝夫 池田 幸夫 神山 貴弥
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は、東奥義塾における教育の実態を探る為の基本的資料の発掘、並びにその収集という平成16年度の取組みの上に、さらに下記6項目についての資料収集を行った。1.昨年度収集した外人教師ジョン・イング(JHON ING)以外に、東奥義塾草創期からその衰退期にいたる外人教師に関する資料。2.昨年度からの継続として、弘前第二小学(現和徳小学校)の教員の質を裏付ける履歴書、並びに諸資料の発掘。3.弘前第二小学の教員によって組織された「自他楽会」と称する読書会、勉強会にかかわる諸資料の収集。その中には、約600冊に上る「書物」の一覧表、貸出簿等が含まれている。4.地元新聞「東奥日報」における、学校記事を含む明治期の教育関係関連記事に関する全資料。5.明治10年から18年に西津軽郡山田小学校で学んだ成田らくの授業ノート(算数、理科)。6.藤崎村における外人教師ジョン・イング(JHON ING)の動向。特に青年教育(農業指導)に関する資料の発掘。これらの資料は、直接的に、また間接的に東奥義塾における教育の実態を明らかにするものである。なお、本研究成果は平成18年度中に下記8章で構成される図書として広く公に資する予定である。1.福沢諭吉がめざした日本の近代化-窮理に託した福沢の願い-2.藩校「稽古館」から東奥義塾へ-全国にあった文化の原点-3.東奥義塾での革新的な動き-自然科学の授業はかくあるべし-4.天覧授業(授業再現)-明治天皇を仰天させた5人の塾生-5.東奥義塾生海を渡る(留学の記)-私費による留学-6.文学社会(総合学習の精神ここにあり)-これぞ福沢のめざした近代の精神-7.自由民権運動への流れ(東奥義塾党)-東奥義塾の光と陰-8.東奥義塾が果たした役割-地方には地方の意地があり、それが革新的な教育を生む
著者
遠藤 公嗣
出版者
明治大学経営学研究所
雑誌
経営論集 (ISSN:0387298X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.97-109, 2009-03
著者
清水 嘉子 関水 しのぶ 遠藤 俊子 落合 富美江
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.367-375, 2010-07

本研究では,母親や末子の年齢,子どもの数といった属性が,母親の肯定的情動としての育児幸福感に影響があるかどうか,母親の就労状況別(フルタイム群,パートタイム群,家事従事群)に比較し検討する。参加者は,764名の0〜6歳の子どもをもつ母親である(フルタイム219名,パートタイム234名,専業主婦311名)。育児幸福感の測定には清水らが開発したChildcare Happiness Scale(以後CHSとする)用いた。母親年齢,子ども数,末子年齢を独立変数,8つの育児幸福感の下位尺度得点を従属変数としたモデルを,パス解析で多母集団同時比較を行い検討した。その結果,すべての群において子ども数は,CHSの8つの下位尺度得点に全く影響を与えなかったが,しかし末子年齢は,フルタイム群において「親としての成長」の得点に正の影響,そして専業主婦では負の影響があり,一方パートタイム群では影響がなかった。フルタイム群において,母親年齢は「子どもの成長」尺度得点に正の影響を与えたが,他の群においては影響がみられなかった。この結果より,フルタイムで働く母親にとって,母親や末子の年齢が増すことは「親としての成長」や「子どもの成長」の育児幸福感を高めることが示唆された。さらに,就労形態の異なる母親に対する育児教室における支援について検討した。
著者
加瀬 友喜 田吹 亮一 速水 格 武田 正倫 遠藤 一佳 千葉 聡
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.海底洞窟特有のソビエツブ科巻貝の2新属4新種、クチキレエビスガイ科の1新属2新種、従来全く知られていない殻形態を示す1新属1新種(Pluviostillac palauensis)を発見、報告した。2.海底洞窟のシラタマアマガイ属巻貝の殻体を検討し,2新種を含む6種を識別し,コハクカノコガイ属と単系統群(コハクカノコガイ科)を構成することを明らかにした.また、それらの軟体の解剖学的研究を進め、殻体による結果を支持した。3.マーシャル島の化石種を検討し,この種はシラタマアマガイ属に近縁な新属であることを明らかにし,同類が中新世には既に海底洞窟のような環境に適応していたことを示した.4.海底洞窟のシラタマアマガイ属と河川に生息するコハクカノコガイ類の殻体および軟体の解剖学的研究を進めた。また、両者の環境を繋ぐanchialineやhyporheic環境から多くの未知のコハクカノコガイ類を発見し、それらを分類学的に検討し、2新属を認めた。5.コハクカノコガイ類を含むアマガイ上目の解剖と分子系統学的研究から、同目は複数回地上環境へ進出し、また、コハクカノコガイ類は海底洞窟などの隠生的な環境に適応した後、anchialineやhyporheic環境、さらに地上の河川に進出したことを明らかにした。6.海底洞窟及びanchialine環境の微小甲殻類のカラヌス目Ridgewayia属の1新種を見いだした。この種は北大西洋や地中海の種に近縁であることが強く示唆された.また、アミ目のHeteromysoides属とHeteromysis属の4新種、BochusaceaのThetispelecaris属の1新種を見いだした。Thetispelecaris属の新種は同属の2番目の記録であり、その由来は海底洞窟から深海に進化したことが示唆された。