著者
藤井 壮司 田中 寛 酒井 達也 喜多 由加里 加藤 正貴 土田 隼太郎
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第25回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2009 (Released:2010-04-21)

【はじめに】変形性股関節症に至るケースとして,先天性股関節脱臼の既往や臼蓋形成不全が因子としてあげられる.これら疾患は両側性に発症することが多い特徴があるため両側への治療の必要性が高いと考えられる.今回,臼蓋形成不全と診断され片側股関節痛を訴える症例に対し治療を行ったので報告する.【症例紹介】症例は26歳女性.先天性股関節脱臼・装具治療の既往歴がある.平成16年頃より左股関節に違和感出現.平成18年頃からは右寝返りの際に,左股関節前面に疼痛,脱臼感が出現する.現在は椅子に座り靴を履く時に脱臼感が出現する.【理学・X-P所見】骨盤後傾/前傾(右/左),筋力評価では左股関節周囲筋に低下を認めた.しかし,右外旋筋のみ左より低下.ROMでは股関節外転30°/25°,内転5°/0°,SLR(外旋位)70°/75°.Thomas Test陰性/陽性,片脚立位時の動揺(右<左).歩行では左下肢への重心移動が不十分.CE角23°/21°.臼蓋荷重面に軽度の骨硬化・骨棘がみられる.関節裂隙の狭小化・骨頭の変形はみられない.右大腿骨骨頭が外上方に偏位.【治療・経過】右外側hamstrings stretch,左腸腰筋stretch,左深部外旋筋再教育を施行.結果,骨盤のアライメントの改善,右外旋筋の筋出力向上,左内転可動域拡大,更に歩行でも左下肢への重心移動が改善され,靴を履く際の疼痛も軽減した.【考察】本症例において疼痛側だけでなく,反対側に対しても治療を行い疼痛軽減が図れた.理学・X-P所見から,右内転筋優位により骨頭が外上方に偏位し,さらに骨盤後傾により骨頭の被覆率が下がっていると考え,骨盤のアライメント改善から右大腿骨骨頭のアライメント改善を図った. 右骨盤の前傾が得られ,左股関節屈曲筋群の過緊張が軽減される事で立位歩行時の股関節の伸展が出やすくなる事で,左側への重心移動が改善された.【まとめ】両側性に発症する疾患に対しては,片側のみに症状が出現している症例においても両側を治療することで,疾患の進行を遅らせる効果が大きいと考えられる.
著者
小泉 政利 安永 大地 木山 幸子 遊佐 典昭 行場 次朗 酒井 弘 大滝 宏一 杉崎 鉱司 玉岡 賀津雄 金 情浩 那須川 訓也 里 麻奈美 小野 創 大塚 祐子 矢野 雅貴 八杉 佳穂 上山 あゆみ
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究プロジェクトの目的は,マヤ諸語とオースロネシア諸語のなかのOS言語(特に,グアテマラのカクチケル語と台湾のタロコ語)を対象に,談話内での1.文理解過程,2.文産出過程,3.言語獲得過程,ならびに4.言語の語順と思考の順序との関係を,聞き取り調査やコーパス調査,行動実験,視線計測,脳機能計測などを用いて,フィールド心理言語学の観点から多角的かつ統合的に研究することである。より具体的には,1~4における個別言語の文法的要因と普遍認知的要因が文脈に埋め込まれた文の処理に与える影響を明らかにし,脳内言語処理メカニズムに関するより一般性の高いモデルを構築することを目指す。本年度は特に以下の研究を実施した。[文法理論部門]タロコ語の文法調査を行った。[理解部門・神経基盤部門]文脈と語順が文処理に与える影響を調べるために事象関連電位を用いたタロコ語の実験を実施した。[産出部門・思考部門]タロコ語の文散出時に動詞のレンマがどのようなタイミングで活性化されるかを調べる実験の準備(予備実験を含む)を行った。また,タロコ語話者の思考の順序やタロコ語の文産出に与える非言語的文脈や話者自身の動作の影響を調べるためのジェスチャー産出実験と文産出実験を行った。[全部門共通]トンガ語の調査・実験の実行可能性を調べるためにトンガ王国で現地見分を行った。また,ジャワ語の専門家を招いて,ジャワ語の調査・実験の実行可能性についての検討会を開催した。
著者
末宗 洋 明石 アイリ 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.1055-1061, 1985-03-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
4 7

Chemical synthesis of platelet-activating factor (PAF, 1) and its enantiomer was studied. Several alkoxymethyl alkenyl ketones (5a-c, n=14 or 16) were synthesized from Wittig-Horner reagents (4, n=14 or 16) with cyclohexanecarboxaldehyde, octylaldehyde, and benzaldehyde, and subjected to asymmetric reduction with BINAL-H1) which is known to show high enantioselectivity in the reduction of enones. Optical purities of the reduction products (6) were determined from the 400 MHz proton nuclear magnetic resonance spectra after conversion of 6 to the esters (9) of optically active α-methoxy-α-trifluoromethyl-phenylacetic acid (MTPA). The MTPA ester of (+)-6b showed high optical purity (80%ee). Upon oxidative cleavage of the double bond with ozone followed by reduction with NaBH4, the acetate of (+)-6b afforded two known compounds (11 and 12), which have previously been transformed into natural PAF (1).
著者
糸数 健 柴 喜崇 大渕 修一 上出 直人 酒井 美園
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.7, 2003

【はじめに】 固有受容器強調トレーニング(Enhanced Proprioception Training: EPT)は動作時のバランス機能向上を目的としているにもかかわらず静的バランスについてのみが報告されてきた。そこで我々は歩行時のバランス機能を測定する装置を用いて、EPTが動的バランス機能に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。【対象】 下肢に整形外科的疾患の既往がなく、日常的に運動習慣のない健常大学生20名(平均年齢19.1±0.55歳,男性10名,女性10名)として事前に実験協力に同意を得た。【トレーニング内容】 5段階の異なる難易度の不安定板を用意した。被験者が遂行可能なレベルに応じて不安定板を選択し難易度レベルを上げた。板上で1分間5セット、片脚立位制動を左側のみをトレーニングさせた。【方法】 対象者を無作為にEPT群と対照群に分け、EPT群(n=10)にのみEPTによる介入を週3回の頻度で1ヶ月間の計12回実施した。対照群には研究期間中運動習慣を変えないように指示した。EPT群、対照群ともに介入前,介入後,介入終了3ヵ月後の計3回評価を行った。評価項目は足関節背屈最大等尺性筋力、歩行時の外乱刺激から前脛骨筋(Tibial Anterior; TA)が反応するまでの時間をTA反応潜時とした。外乱刺激は、左右の歩行ベルトが分離したトレッドミルを用いて2km/hで歩行中に片側ベルトのみを急激に停止させ、500msec後に2km/hに戻すことで発生させた。左ベルト停止時の左TA反応潜時と右ベルト停止時の右TA反応潜時をそれぞれ測定した。統計処理は、EPT群、対照群の介入前における潜時、足関節背屈筋力の検定には対応のないt検定を用い、EPT群、対照群それぞれに対して被験者と評価時期の2要因による分散分析を用いた。【結果】 EPT群は非トレーニング側TA反応潜時、足関節背屈筋力における介入前、介入後、3ヶ月後の間に有意な差はみられなかったが(n.s.)、その一方でトレーニング側TA反応潜時においては介入前と比して介入後に反応時間短縮され(P<.01)、3ヶ月後でもその効果が有意に持続していた。対照群においては左右ともにTA反応潜時、足関節背屈筋力における介入前、介入後、3ヶ月後の間に有意な差はなかった(n.s.)。尚、EPT群、対照群の介入前のTA反応潜時、足関節背屈筋力には差がなかった(n.s.)。【考察】 トレーニング側の足関節背屈筋力に有意な差はなかったが、トレーニング側のTA反応潜時には即時効果が認められた。さらに即時効果だけでなく3ヵ月後も効果が持続することが明らかになった。 我々は外乱刺激側にみられるTA反応潜時は、動的バランス機能である立ち直り反応と相応することを報告している。EPTは立位、歩行における立ち直り反応に関与する神経回路に特異的に作用し、即時的かつ長期的な効果を及ぼすトレーニングであることが明らかになった。
著者
末宗 洋 肥塚 美千代 鎌下 知子 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.1379-1381, 1989-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
15 21

γ-Hydroxyethyl α, β-unsaturated γ-lactone (2) is a promising intermediate for the synthesis of eldanolide and cis, cis-1, 2, 3-trisubstituted cyclopentane, which could be converted to 11-deoxyprostaglandins. In order to prepare optically active 2, enzymatic hydrolysis of (±)-trans-cyclohexene-4, 5-diacetate with Pseudomonas fluorescens lipase was examined, and the monoalcohol ((-)-6, >99%ee)with R-configuration was obtained in accored with prediction based on the three-site model proposed by us. Compound (-)-6 could be converted to the chiral lactone ((-)-2) via a sequence of reactions involving ring cleavage.
著者
肥塚 美千代 方 成林 末宗 洋 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.1185-1187, 1989-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
9 12

1, 4-Addition of organocopper reagents to γ-substituted α, β-unsaturated γ-lactones followed by intramolecular trapping of the resulted enolates afforded cis, cis-1, 2, 3-trisubstituted cyclopentanes and cyclohexanes in a stereocontrolled manner. This new cyclization reaction to cyclopentanes provides a new synthetic route to the key intermediate in the synthesis of 11-deoxyprostaglandins.
著者
肥塚 美千代 林 教行 鎌下 知子 末宗 洋 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1550-1553, 1988-04-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
13 14

2, 6-Dioxabicyclo[3.3.0]octan-3, 7-dione seems to be a promising compound for the synthesis of natural products such as epoxyeicosatrienoic acid, laurediol, and eldanolide. This compound, consisting of two γ-lactones, could be prepared by double lactonization of the silver salt of trans-3-hexenedioic acid using iodine. Starting with this bis-lactone, (±)-eldanoide could by synthesized in a stereocontrolled manner.
著者
末宗 洋 林 教行 舟越 和久 秋田 弘幸 大石 武 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.2168-2170, 1985-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
24 29

(S)-13-Hydroxy-9Z, 11E-octadecadienoic acid, a defensive substance in rice, was synthesized with high enantioselectivity by the reduction of the corresponding ketone with yeasts.
著者
太田 彩子 森長 真一 熊野 有子 山岡 亮平 酒井 聡樹
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.234, 2004

これまでの研究では、集団間では送粉者が異なることによって、花の香りが異なることが知られている。しかし、花の香りは以下の要因でも変化しうるのではないだろうか。<br>1. 個体サイズ:個体サイズによって繁殖形質(花冠の大きさ等)が変化することがあるため。<br>2. 花齢:訪花要求量が変化するため。<br>3. 昼夜:送粉者が変化することがあるため。<br>そこで本研究では、花の香りが個体サイズ・時間(花齢・昼夜)に依存して変化するのかどうかを調査した。今回は、香りの強さに特に着目して解析を行った。<br>・ 実験方法<br>ヤマユリ(ユリ科・花寿命約7日)を用いて以下の調査を行った。<br>1. 香りの個体サイズ依存変化<br>2. 香りの時間依存変化<br>3. 送粉者の昼夜変化<br>4. 繁殖成功(送粉者の違いの影響をみるため、昼/夜のみ袋がけ処理を行い、種子成熟率・花粉放出率を比較)<br>・結果<br>1. 個体サイズが大きいものほど花の香りは強くなる傾向にあった。<br>2. 昼に比べ夜の方が香りは強くなるが、花齢が進むにつれて香りは弱くなる傾向にあった。<br>3. 昼にはカラスアゲハ、夜にはエゾシモフリスズメが訪花していた。<br>4. 種子成熟率・花粉放出率共に、昼夜での違いはなかった。<br> 今後はGC-MSを用いた香りの成分分析を行う予定である。これらの結果を統合することにより、個体サイズ・時間に依存した花の香りの適応戦略を明らかにしていきたい。
著者
酒井 智宏
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.131-151, 2015-09-30

この論文の目的は、固有名に関する記述主義をサポートする証処とみなされてきた非存在言明のパズルが、実は、記述主義と相反する立場である単称主義をサポートするものであることを示すことである。固有名に関するもっとも素朴でもっとも直観にかなった考え方は、「固有名=個体につけられたラベル」というJ.S.ミルに代表される考え方である。ところが、この考え方のもとでは「ペガサスは存在しない」のような非存在言明がパズルを引き起こすことが知られている。「ペガサス」によって指示される個体についてそれが「存在しない」と述べるのは矛盾でしかないからである。そこで、ラッセルは、自然言語の固有名が実は固有名ではなく偽装された記述であるとする記述主義を唱えた。しかし、クリプキが指摘したように、固有名に関する記述主義には問題が多い。それゆえ、もし可能であれば、ミル説と非存在言明の問題とを両立させることが望ましい。この論文では、非存在言明を文法的注釈とみなす野矢(2002/2006)の考え方と、「切り裂きジャック」のような記述名を「いずれ記述を介さずに対象を指示できるようになることを期待された名前」とみなすRecanati(1993)の考え方を統合し、「PNは存在しない」が「『PNはQだ』は単称命題ではない」(Qは任意の述語)を意味すると考えることで、ミル説と非存在言明の両立が可能であることを示す。「『PNはQだ』は単称命題ではない」という意味記述は単称主義を前提とするため、この意味記述を採用すれば、単称主義のもとで非存在言明のパズルが自動的に解決されることになる。The purpose of this paper is to show that the puzzle of non-existential statements, which has long been considered to support Descriptivism, can in fact be accounted for within Singularism as suggested by J.S. Mill. The Millian view on the semantics of proper names regards proper names as labels for individuals. This view, however, is known to give rise to a puzzle when confronted with a non-existential statement such as "Pegasus does not exist", to the extent that the statement denies the very existence of Pegasus denoted by the subject NP. According to Descriptivism as defended by Russell, this puzzle suggests that alleged proper names in natural language are not proper names in the true sense of the term, but disguised descriptions. Since Descriptivism raises more problems than it solves, however, it is better to find a solution for the puzzle within the Millian framework. By drawing on Noya's (2002/2006) idea that non-existential statements are nothing but grammatical statements on the use of proper names, as well as on Recanati's (I 993) view that de Jure any proper name demands that its referent be thought of non-descriptively, this paper argues that the statement "PN does not exist" means that for any predicate Q, "Q (PN)" fails to express a singular proposition. The fact that this semantic description presupposes Singularism as opposed to Descriptivism suggests that, as against the traditional conception mentioned above, non-existential statements raise no puzzle for the Millian view on proper names.論文 Articles
著者
上島 通浩 柴田 英治 酒井 潔 大野 浩之 石原 伸哉 山田 哲也 竹内 康浩 那須 民江
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1021-1031, 2005 (Released:2014-08-06)
参考文献数
36

目的 2-エチル-1-ヘキサノール(以下,2E1H)は,我が国で室内空気汚染物質として注目されることがほとんどなかった揮発性有機化学物質(以下,VOC)である。本研究では,2E1H による著しい室内空気汚染がみられた大学建物において,濃度の推移,発生源,学生の自覚症状を調査した。方法 1998年に竣工した A ビルの VOC 濃度を2001年 3 月から2002年 9 月にかけて測定した。対照建物として,築後30年以上経過したBビルの VOC 濃度を2002年 9 月に調査した。空気中カルボニル化合物13種類はパッシブサンプラー捕集・高速液体クロマトグラフ法で,その他の VOC41 種類は活性炭管捕集・ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法で測定した。2002年 8 月に床からの VOC 放散量を二重管式チャンバー法で,空気中フタル酸エステル濃度をろ過捕集・GC-MS 法で測定した。講義室内での自覚症状は,2002年 7 月に A ビル315名および B ビル275名の学生を対象として無記名質問票を用いて調査した。結果 2E1H だけで総揮発性有機化学物質濃度の暫定目標値(400 μg/m3)を超える場合があった A ビルの 2E1H 濃度は冬季に低く,夏季に高い傾向があったが,経年的な低下傾向はみられなかった。フタル酸エステル濃度には 2E1H 濃度との関連はなかった。2E1H 濃度は部屋によって大きく異なり,床からの 2E1H 放散量の多少に対応していた。床からの放散量が多かった部屋では床材がコンクリート下地に接していたが,放散量が少なかった部屋では接していなかった。講義室内での自覚症状に関して,2E1H 濃度が低かった B ビル在室学生に対する A ビル在室学生のオッズ比の有意な上昇は認められなかったが,鼻・のど・下気道の症状を有する学生は A ビルのみにみられた。結論 2E1H 発生の機序として,床材の裏打ち材中などの 2-エチル-1-ヘキシル基を持つ化合物とコンクリートとの接触による加水分解反応が推定された。両ビル間で学生の自覚症状に有意差はなかったが,標本が小さく検出力が十分でなかった可能性もあった。2E1H 発生源対策とともに,高感受性者に注目した量反応関係の調査が必要である。