著者
金 鳳庸 磯貝 明 尾鍋 史彦 臼田 誠人
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.242-248, 1990-02-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
16
被引用文献数
2

In the previous papers, we have studied the influence of UV treatments on physical and optical properties of paper, and several characteristic results for UV treatments were obtained. In this paper, therefore, the mechanisms of the changes on physical properties, especially such as double folds, Young's modulus and water absorption values, by UV treatments of paper were examined in terms of molecular-order analyses of pulp and rosin chemicals.Cellulose in amorphous regions and hemicellulose are depolymerized through oxidative and/or radical reactions by UV treatments. This depolymerization leads to the formation of stable intermolecular hydrogen bond by molecular rearrangement, and thus the decrease in hydroxyl groups, which can interact with moisture or water, causes the decrease in hydrophilic properties of paper. This new hydrogen bond formation brings about the increase in Young's modulus, and even the slight decrease in moisture contents of paper probably causes the drastic decrease in double folds. On the other hand, porous structures of paper were found to be unchanged by UV treatments, and cross-linking reactions between cellulose chanis were not likely to form during the treatments.Rosin chemicals are degraded to form hydrophilic groups such as carboxylic acid from their double bonds by UV treatments. This causes the decrease in sizing degrees of rosin-sized paper, while the UV treatments bring about the increase in sizing degrees for rosin-free paper such as neutral paper owing to the formation of the stable hydrogen bond, as described above.
著者
畠山 金太 浅田 祐士郎
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.265-273, 2012-06-01 (Released:2012-07-04)
参考文献数
33

粥状動脈硬化症の発生および進展の鍵を握っているのは血管壁における慢性炎症である.その原因は完全には解明されてないが,糖尿病,高血圧,脂質代謝異常などの危険因子の集積が重要であると考えられている.また慢性炎症反応の誘導に関して自然免疫系分子の関与も明らかとなってきた.このような炎症性刺激によるマクロファージの活性化はプラーク不安定化と破綻に深く関与する.さらにイベント発症を決定する重要なプロセスである血栓の形成・増大においても炎症性因子が関与する.動脈硬化の進展とその合併症である血栓症の予防および治療戦略を考える上で,基盤病態としての慢性炎症の制御機構の解明が重要である.
著者
金谷 美和
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.403-424, 2000-03-30 (Released:2018-03-27)

本論では, 日本民芸運動を事例にして, 日本の植民地という状況下において支配する側にいた人々が, 他者をどのように概念化し, 記述し, 理解しようとしたかを検討することで, 文化表象, ことに物質文化の表象について考察する。「民衆的工芸」=「民芸」という概念は, 大正時代末に柳宗悦を中心とする民芸運動によって作られた。流通機構の変化や機械生産の導入などにより衰退していた, 地方の手工芸による日用生活用品を取りあげて「民衆的工芸」=「民芸」と名付け, それらのもつ美的価値と, 「地方性」, 「民衆性」という性質から, 真正なる日本文化を示すものであると主張した。民芸運動の活動は, 日本が植民地支配下においていた中国北部においても行われ, その言論は, 日本の中国支配, さらには「満州国」や「大東亜共栄圏」を支持するものとなっていった。ここでは, 中国北部の民芸運動の中心人物であった吉田璋也と, 中国での運動から距離をおいていた柳宗悦の言説を比較し, 異なる文化を尊重することから始まった民芸運動が, 日本の植民地支配を支える方向に向かっていった原因が, 柳の民芸論に内包されていたことを明らかにする。そして, 文化表象には創造性と支配の2つの側面があること, 異文化表象の政治性を批判するだけでなく, 文化表象の創造性を問うことで文化表象についての議論が新たな方向に向かう可能性を示唆する。

2 0 0 0 OA 袖珍六法全書

著者
山野金蔵 編
出版者
有斐閣
巻号頁・発行日
1909
著者
福原 淳示 住友 直方 谷口 和夫 市川 理恵 松村 昌治 阿部 修 宮下 理夫 金丸 浩 唐澤 賢祐 鮎沢 衛 麦島 秀雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement4, pp.28-33, 2008-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
10

15歳,女性.3歳時にWPW症候群と診断され,6歳時より動悸を自覚,7歳時に当院でカテーテルブレーション(RF)を行い,顕性の右室後中隔ア副伝導路(RPSAP)を介するorthodromic房室回帰性頻拍(AVRT)で,RFに成功した.13歳時に再度動悸を訴えた.心臓電気生理学的検査(EPS)ではISP1μg/分投与下の右室高頻度刺激で頻拍が誘発された.頻拍は減衰伝導を有するRPSAPを順伝導するantidromic AVRTであり,頻拍中の心室最早期興奮部位への通電でRPSAPの途絶に成功した.通電直後一過性に2:1房室ブロックを認めたが1:1伝導に回復したため,1分間の通電を加えRFを終了したが,その後II度房室ブロックが再出現した.約3カ月後に房室ブロックは自然に消失した.Antidromic AVRTを起こした機序として副伝導路に対する通電により,副伝導路もしくはその周辺組織に減衰伝導特性を与えた可能性が示唆された.房室ブロックを起こした機序としては,後中隔部位への通電がcompact AV nodeに影響を与えたことが考えられた.同部位へのRF時には,His束との距離のみならず,わずかな心電図変化にも細心の注意が必要と思われる.
著者
仁科 有美子 土屋 貴彦 青木 正紀 山上 賢治 早川 純子 金子 菜穂 西成田 進
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.169-173, 2009-06-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
11

We report a case of 79-year-old woman with an inflammatory aneurysm occurred in a thoracic aorta. The patient was admitted to our medical center because of continuous pyrexia of unknown origin. A marked elevation of serum C-reactive protein level was observed. Infections, collagen vascular diseases and neoplastic disease including malignant lymphoma were found to be unlikely by hematologic, serologic and radiographic examinations. Autoantibodies including antineutrophil antibodies were undetectable. Only enhanced-computed tomography revealed an abnormal finding, so-called mantle core sign, in thoracic aorta, which is specific for inflammatory aortic aneurysm. In general, the disease occurs in abdominal aorta, and the involvement of thoracic aorta like this case is rare. Usually, an aortic aneurysm occurs based on atherosclerotic change of blood vessels, and the aspects of an inflammation of large vessels have been focused recently at the pathological findings, the cytokine profiles and the immunological abnormalities. Thus, the differential diagnosis of the disease from Takayasu arteritis, a prototype of a large vessel vasculitis, is often difficult. The diagnostic procedure to differentiate from the other large vessel vasculitis, Takayasu arteritis and atherosclerotic diseases in abdominal aorta, is discussed. The patient was given oral prednisolone which lead to favorable outcome.
著者
佐藤 浩平 金原 数
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.219-223, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
12

膜貫通タンパク質の構造を模倣した分子として,親水性ユニットと疎水性ユニットを交互に連結したマルチブロック型オリゴマー分子を設計し,これらの分子が二分子膜中でイオンチャネルを形成することを見いだした.さらに,張力応答性,リガンド応答性,電位応答性など,多様な刺激応答性を付与できることを明らかにした.
著者
西 隆一郎 金子 有理 福永 和久 鶴成 悦久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_941-I_946, 2020 (Released:2020-09-28)

2014年10月に来襲した台風1418号と1419号により,鹿児島県奄美大島の南南東側で太平洋に面する瀬戸内町嘉徳集落前の嘉徳海岸で顕著な侵食被害が生じた.この時,後浜の侵食に加えて,嘉徳集落の墓地や民家の数m近くまで海岸砂丘が侵食され,砂丘としては20m程度後退した.台風銀座とも呼ばれる地域でもあり,台風は毎年来襲する可能性が高い.加えて,海岸砂丘上にある集落を護るために海岸保全の要望が地域住民からあった.一方,海岸保全だけでなく,絶滅危惧種オカヤドカリを含む海岸生態系への影響や景観および世界自然遺産登録への影響を考慮する必要性のある海岸でもあった.そこで,本論文では,台風1418号と1419号に伴う本海岸の海岸侵食機構の解明と,経年的な海岸過程について明らかにし,その後,海岸保全,環境保全,海岸利用が適切に調和した海岸保全の方向性に関し検討することにした.
著者
宗澤 岳史 伊藤 義徳 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-132, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

入眠困難にかかわる認知的要因のひとつとして、入眠時認知活動(pre-sleep cognitive activity:PCA)は重要な役割をもつとされる。本研究は、PCAの程度を測定する指標として、入眠時認知活動尺度(the Pre-Sleep Cognitive Activity Scale:PCAS)の作成と信頼性、妥当性の検討をおこなったものである。PCASは、因子1:ネガティブな考え事・感情、因子2:眠れないことへの不安、因子3:眠れないことがもたらす影響への心配、の3因子で構成されており高い信頼性が認められた。また、他尺度との相関を検討することにより妥当性の確認をおこなった。本研究結果は、PCASの信頼性と妥当性を示すものとして十分なものであった。本研究で作成されたPCASは、今後の入眠困難の認知的側面の研究に、その有用性が期待できる。
著者
古屋 英治 名雪 貴峰 八亀 真由美 古海 博子 篠原 隆三 二村 隆一 金子 泰久 坂本 歩
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.553-561, 2002-11-01 (Released:2011-08-17)
参考文献数
14
被引用文献数
8 7

【目的】肩こりに及ぼす円皮鍼 (PTN) の効果をプラセボ円皮鍼 (P) を対照とした臨床試験 (CCT) で検討した。【対象及び方法】肩こりを有するボランティア男女合計53名を対象にした。PTNもしくはPの施術部位は後頚部、肩上部、肩甲間部の圧痛点で、3日間継続留置した。評価は3日後の肩こりの自覚及び施術前、施術直後、3日後の肩こり程度のVAS値とした。【結果】「肩こりがある」はP群25名中23例に対しPTN群は28名中12例に減少 (p<0.01) した。肩こりのVAS値はP群の施術前55.2±17.5、直後46.5±19.7、3日後45.9±21.7に対しPTN群の施術前52.5±20.7、直後40.5±22.4、3日後34.2±19.7となり、PTN群の直後 (P<0.05) 、3日後 (P<0.01) で減少した。【結論】円皮鍼の継続留置は肩こりを改善することが示唆された。
著者
東 淳一 新谷 奈津子 仁科 恭徳 小泉 利恵 金丸 敏幸 山下 仁司
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、英語のスピーキングの学習を促す教具としての人工知能の有効性と、英語スピーキング力測定の際の学習情報収集用教育ツールとしての人工知能の有効性の両方を検証するために実証実験を行うことである。 1年目の研究準備段階では、まず米国AKA社の英語学習用人工知能ロボット「Musio」を導入してその動作確認を行い、研究計画を立案した。2年目には、Musioとの対話を通じて特定の問題の回答を導くためのタスクを構築することとしたが、実際のMusioとの対話ではタスクベースの会話が想定通り機能しなかった。このため、急遽実験方法を変更し、大学生の実験協力者とMusioの間で自由会話を行ってもらい、その会話記録の分析を行った。実験後に会話記録分析を開始し、実験協力者にはMusio使用の会話練習についてのアンケートを実施し、いわゆる人工知能ロボットの導入が学習者に与えるインパクトを調査することとした。3年目の2020年度については新型コロナ感染拡大により、実験等ほとんどの事業が不可能となった。このためMusioとは別に人工知能的なエンジンをもつ対話システムであるAmazon Lexを用いた音声ベースの対話システムの構築実験を実施し、さらにこのような音声対話システムに用いられる最新のTTS合成音についても調査した。
著者
久保 仁美 今井 彩 阿久澤 智恵子 松﨑 奈々子 金泉 志保美 佐光 恵子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.18-26, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究の目的は、NICU入院児の母親への退院支援に対する熟練看護師の認識を明らかにすることである。5年以上のNICU勤務経験を有する熟練看護師12名を対象に、退院支援の認識について半構成的面接調査を行い、Berelson. Bの内容分析を行った。結果238コードから、49サブカテゴリー、15カテゴリー、6コアカテゴリーが生成された。6コアカテゴリーは、【母子関係・母親-看護師関係を構築し深める】、【出産後のプロセスを支える一貫した支援】、【退院後の育児を見据える】、【退院調整に多職種でかかわる】、【退院後の母子の生活を知りNICUでの退院支援を評価する】、【妊娠中から退院支援が始まる】であった。熟練看護師は、出産後のプロセスを支える一貫した退院支援の認識を基盤とし、各時期における退院支援の認識を相互に補完し合い、母親への退院支援に結びついていることが示唆された。
著者
金 凡性
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.225, pp.11-19, 2003 (Released:2021-08-13)

This paper investigates a feature of early modern Japanese seismology from the viewpoint of what I call "meteorological seismology." Fusakichi Omori (1868-1923) is one of the founders of Japanese modern seismology. The seismological research of his period has been described by scholars such as Yoichiro Fujii(1967) and Takahiro Hagiwara (1982) as "statistical seismology." In this paper, I would like to focus on the meteorological studies of earthquakes from the late 19^ <th> century to the interwar period, which are not well known. Hoping to contribute to the question of "when do the earthquakes break out," Omori, with some knowledge in meteorology, analyzed the relationship between earthquakes and meteorological phenomena, using atmospheric pressure in particular. His "meteorological approach" had its origin in his instructors' era since they regarded meteorology as their model in both disciplinary aim and methodology. Some of Omori's colleagues followed his tactics seriously even after the Great Kanto Earthquake of 1923, although it is said that after this earthquake there was a methodological turn to basic (geo) physics. I argue that the desire to predict when the earthquakes occur manifested itself in "meteorological seismology" and would like to shed some light on the environment in which this research program subsequently evolved.