著者
金 栄鎬
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.177, pp.177_42-177_56, 2014-10-30 (Released:2015-11-13)
参考文献数
47

This paper examines South Korea’s change of foreign policy toward Japan due to its changes of government since democratic transition in 1987 by taking into account the three points of view: First, I focus on the policy makers’ ideal inclination, conservative or progressive, as well as on power relations among ruling party, opposition party and public opinion; Second, South Korea’s policy toward Japan have to be analyzed in connection with ones toward North Korea and US; Third, I take the 1965 regime, under which diplomatic relations between South Korea and Japan was established with containing not merely communism but also post-colonial issues, as an indicator to classify continuity and change of the policy. The two conservative governments after the 1987 transition, Roh Tae-Woo and KIM Young-Sam administration, showed continuity of foreign policy toward Japan as seen from the perspective of the 1965 regime. The two administrations cooperated with Japan when Japan kept adopting hard-liner policy toward North Korea. The two also continued containing post-colonial issues although South Korea instead confronted Japan when Japan tried soft-liner policy toward North Korea. The change of power on election in 1997, unprecedented in the South Korean political history, brought about a significant change. Kim Dae-Jung’s “National Government” developed reconciliation and cooperation with North Korea and simultaneously maintained cooperation with Japan. Roh Moo-Hyun’s “Participatory Government” forged ahead with such a change. It pursued peace and prosperity with North Korea despite confronting US because a fear of entrapment was mounted among South Korean public opinion. Roh, moreover, promoted policy toward Japan to overcome the colonial past, which have had been contained under the 1965 regime. Lee Myung-Bak’s “Practical Government”, inaugurated in return of power to conservatives after 10 years’ progressives. Lee administration adopted again hard-liner policy toward North Korea and reintensified the alliance with US while adhered to the 1965 regime with Japan. Lee, however, confused coherence of policy and strategy toward Japan by sudden landing on Takeshima/Dokdo in just before his term expired. The present Park Geun-Hye administration, irrespective of her conservative ideal inclination, couldn’t but tackle with the post-colonial issues from the beginning of the term, as well as is trying a kind of soft-liner policy toward North Korea.
著者
木下 学 金村 米博 成田 善孝 貴島 晴彦
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.4-10, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
15

神経膠腫診療における放射線画像の役割は大きく, 放射線画像で神経膠腫の分子診断を行おうとする研究は年々盛んになっている. 本稿では直近10年でこの分野においてどのような研究成果があったのかを①神経膠腫のradiomics研究, ②T2-FLAIR mismatch signの発見, そして③定量的MRIへの期待という3項目に分けて説明し, 神経膠腫の放射線画像による質的診断がどのように発展してきたか, あるいは現状ではどのような問題点が指摘できるのかについて理解することをめざす.
著者
金森 敬文 藤澤 洋徳
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-18, 2017-11-14 (Released:2018-04-06)
参考文献数
23

経験推定可能なダイバージェンスに基づいた統計的推論の研究が盛んになっている.本論文では,経験推定可能性に加えて,相対アフィン不変性を課した場合に,主に焦点を当てている.その二つの性質をみたすダイバージェンスは,ある種の仮定の下ではヘルダー・ダイバージェンスだけであると証明することができる.そして,そのダイバージェンスと良く知られたブレッグマン・ダイバージェンスとの共通部分を考えると,たった二つのパラメータをもつ簡単なダイバージェンスを得ることもできる.また,ヘルダー・ダイバージェンスの上で,拡大された統計モデルを利用したパラメータ推定も考えている.それによって,通常の統計モデルと同時に外れ値の割合をも推定することを可能にしている.加えて,通常の統計モデルのパラメータ推定は,ロバスト統計で有効とされているガンマ・ダイバージェンスに基づいた推定となり,そのダイバージェンスが内在している様々な有効な性質を,そのまま使えることになる.
著者
金 甫榮
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.383-388, 2022-12-18 (Released:2023-01-27)
参考文献数
9

本発表では,『渋沢栄一伝記資料』の別巻第1,2に収載されている渋沢栄一の日記および予定表である「集会日時通知表」のテキストデータを,TEIを用いて再構築した事例研究の成果について論じる.『渋沢栄一伝記資料』は,日本近現代史研究において重要な資料とされているが,そのテキストデータが可視化・分析されたことはまだない.本研究では,テキストデータの信頼性向上と多様なデータ分析を可能にするための構造化を行い,その成果をウェブサイト「渋沢栄一ダイアリー」で公開した.この研究過程で,TEIによるテキストの構造化が何をもたらしたかを考察する.
著者
金澤 雄記
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.661, pp.681-688, 2011-03-30 (Released:2011-03-31)
参考文献数
9

Honmune style houses were built since late 17th century to late 19 th century, especially 209 houses still exist in Iida City. This paper reports about result of hearing investigation at 198 houses and measurement survey at 85 houses, explains architectural evaluation of Honmune style houses based on the research about the realities and change of living spaces and structures. Living space of Honmune style houses became gloomy and closed, because expansion the second floor since the middle of 19 th century and renovation it since mid the MEIJI era to sericultural works.

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著者
金井 崇
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.323-327, 2018-04-05 (Released:2018-04-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
山田 幸樹 金野 倫子 内山 真
出版者
NIHON UNIVERSITY MEDICAL ASSOCIATION
雑誌
日大醫學雜誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.137-141, 2013-06-01
参考文献数
13

Gender identity disorder (GID) is defined as a sexual disorder characterized by strong self-identification with the opposite gender, followed by unpleasant feelings due to the birth-given gender. This paper examines the current diagnostic criteria and treatment for GID. While the etiology of GID remains unknown, several hypotheses have been proposed. We describe the evolution of the hypotheses on the etiology of GID. The possible biological pathogenesis of GID is also discussed mainly from the viewpoint of brain science. Similar to animal studies, it has been reported that fetal or neonatal gonadal steroids are responsible for sexual differentiation of the human brain, which might be related to gender identity and sexual orientation. Based upon the findings of investigations into the biological basis of GID, valuable insights into GID are suggested.
著者
金田 吉弘 西田 瑞彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.242-249, 2018-07-05 (Released:2018-07-28)
参考文献数
25

有機栽培水稲において,収量550~600 g m–2を目指す目標生育を設定した.また,有機肥料の窒素肥効率と窒素無機化特性を明らかにし,生育診断による追肥が収量に及ぼす影響を検証した.その結果,有機栽培の茎数はいずれの時期においても慣行栽培に比べて少なく推移するものの有効茎歩合が高い生育となり穂数はほぼ同等であった.有機栽培の葉色値は7月上旬までの生育初期は慣行栽培に比べて低いが,幼穂形成期以降は慣行栽培を上回った.5種類の有機肥料の窒素肥効率は,約40から80%で平均では69%であった.反応速度論的手法により求めた有機肥料の窒素無機化率は約20から60%であり,窒素肥効率との間には有意な正の相関が認められた.生育診断に基づき追肥を実施した結果,ほぼ目標値に近い穂数と葉色値に接近し,550~600 g m–2の目標収量が得られた.以上のことから,有機栽培水稲において,目標生育と生育診断に基づく追肥により550~600 g m–2の収量が得られることが明らかになった.
著者
日野 幹雄 片岡 真二 金子 大二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学講演会講演集 (ISSN:04194918)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-9, 1968-11-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16

水面に浮ぶ油膜の消波作用は古くから人々の注目した現象であり, これに関する実験もいくつかみられる。しかし風波の発達と特性に対する油膜効果に関するものは意外に少ない。この論文は小型風胴の測定部に水槽部をもうけて, 表記の点について行なった室内実験の報告である。油としては水に溶解性のヤシ油 (ラウリル硫酸ナトリウムC12H25・O・SO3Na) を用いた。油の表面活性作用による表面張力の変化 (減少) と風波発生の限界風速・波高・fetch graph・spectrumなどの関係について種々興味ある結果が得られた。
著者
中村 好一 伊東 剛 千原 泉 定金 敦子 小谷 和彦 青山 泰子 上原 里程
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.807-815, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
25

目的 警察のデータを用いて栃木県の自殺の実態を明らかにし,自殺対策を進める上での要点を示すと共に,警察データの利点と問題点を検討する。方法 栃木県警察本部から提供を受けた2007年,2008年 2 年間の自殺データ(小票)を集計解析した。結果 栃木県における観察した 2 年間の自殺は1,166件(男865件,女301件)であった。人口あたりの自殺件数は全国と比較して高い傾向にあった。男では50歳代が最も多かったのに対して,女では30歳代から70歳代までほぼ同じ人数であった。20歳代,30歳代で人口あたりの件数が全国よりも高い傾向が観察された。平日の早朝や午前10時台に多い傾向が観察された。自殺場所は自宅が最も多く,手段は縊死が最も多かった(いずれも全体の約 6 割)。自殺の原因・動機(1 件の自殺について 3 つまで選択)では健康問題が最も多く(61.3%),次いで経済・生活問題(22.7%),家庭問題(17.3%)であった。健康問題では身体疾患と精神疾患がほぼ半数ずつを占めていた。経済・生活問題は20~60歳代の男で圧倒的に多く,中でも多重債務が多かった。約 3 分の 1 の者が遺書などを残していた。15.9%は自殺未遂の経験があった。以上のような結果をもとに検討した結果,栃木県の自殺対策を推進する上で,(1)学校保健や職域保健のさらなる充実,とくに20歳代および30歳代男への対応,(2)自殺のリスクが高い者に対して,家族への指導などにより常に他者の目が届くようにしておくことの重要性,(3)自殺未遂経験者へのハイリスク者としての対応,(4)相談窓口(とくに多重債務)の充実と住民への周知,(5)身体疾患をもつ患者の心のケアの充実,(6)精神疾患をもつ患者の治療を含めた管理の充実,の 6 点が重要であることを示した。さらに,警察データにおける原因・動機は,現場を捜査した警察官が判断しているために,心理学的剖検と比較すると情報の偏りが大きく妥当性は落ちるが,全数を把握しているために選択の偏りはなく,この点は心理学的剖検に勝るものであることを議論した。結論 警察のデータを用いて栃木県の自殺の実態を明らかにし,栃木県での自殺対策を進める上での要点を提示した。利点と問題点を理解した上で利用すれば,警察のデータも自殺予防対策に有用な情報を提供することを示した。
著者
金泉 則天 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.4I3OS26b02, 2022 (Released:2022-07-11)

多人数不完全情報ゲームである人狼は、人工知能の様々なテーマを含んでいるため、近年注目を集めている。人狼をプレイするAIの研究は、人狼知能プロジェクトとして進んでいるが、人間の高度な意思決定のプロセスについては、わかっていないことが多い。本研究の目的は、人狼における熟達者の意思決定方法を明らかにすることである。 人狼は勝敗を競うだけでなくプレイを楽しむというパーティーゲームとしての特徴を持つので、必ずしも強さを競うだけのプロプレイヤは存在しない。しかし演劇として人狼をプレイする「人狼TLPT」と呼ばれるプロのプレイヤ集団がいる。彼らは、役者としての能力だけでなく、人狼プレイにも長けており、観客に高度なプレイを見せることを生業としている。彼らのプレイは観客から見ても卓越したものであり、高度な思考過程が見られる。 本研究では、このTLPTプレイヤに5人人狼をプレイさせ、そのプレイの発話を記録し、彼らの思考過程を分析した。結果として、熟達者ならではの状況を素早く理解し、的確な意思決定を行っている過程を確認した。それらの思考過程を他のゲームの熟達者の思考と比較することで、その特徴を明らかにしていく。
著者
金坂 成通 倉本 宜史 赤井 伸郎
出版者
財務省財務総合政策研究所
雑誌
フィナンシャル・レビュー (ISSN:09125892)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.137-157, 2022 (Released:2023-02-10)
参考文献数
45

汚職は,予算権限を持った個人主体が,ある特定の団体に利益(資金)を誘導・配分する代わりに,個人での利益を得る仕組みであり,公益とは乖離し,社会全体での効率的な資源配分を歪める要因となる。新たな資金を配分する場合には,歳出総額は拡大し,また,資金配分が非効率になる場合には,特定分野の資金が拡大し,歳出の無駄が発現すると考えられる。本稿は,汚職の存在と歳出の増加との関係について,汚職は発覚するまで存在がわからないという点に注意しながら,統計データを用いて明らかにする。 先行研究の多くがクロスカントリーデータを用いており,国家間の財政制度の違いを考慮できていないという限界を踏まえ,日本国内のデータを用いたことが,本稿の新規性である。本稿では,初めて日本の都道府県データを用いて,汚職発覚が歳出(歳出総額,土木費および落札率)に与える影響を検証している。 推定結果から,汚職の発覚後に歳出を抑える可能性がある事が示された。加えて,政治的状況による汚職発覚の影響を分析した結果,選挙において得票率が高かった知事のいる地方自治体ほど(競合する他候補者の得票率が低いほど),汚職発覚による歳出削減の効果は抑制されることを示唆する結果となった。この結果より,政治構造次第では,汚職発覚が直ちに歳出削減に繋がるわけではなく,知事の行動についても注視するべきという含意も得られる。
著者
佐藤 文彦 金今 直子 四方 庸子 松居 辰則
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.415-424, 2022 (Released:2022-12-26)
参考文献数
15

In this study, we conducted interview surveys and observational surveys for understanding the characteristics of counseling skills possessed by expert hairdresser, and developed an integrated model of activities and thought processes in counseling. As a result, the following three characteristics were suggested: (1) The counseling process is proposal-based rather than listening-based, (2) The thoughts in the observation phase are based on abstract cognitions about clothing, and (3) The decision-making in the observation phase are more frequently in line with the customer’s wishes. These are expected not only to explain the skills possessed by expert hairdressers but also to provide clues for discussing counseling by novice. Therefore, this study is expected to contribute to the expertise of hairdresser. In constructing the model, we developed a method for integrated visualization of activities and thought processes. This method is considered to be novel and useful in skill analysis.