著者
石橋 孝昭 金田 圭市 古屋 武志 五反田 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.142, pp.7-12, 2003-06-19

本論文では,周波数領域ICAの成分置換問題について分割スペクトルのパワーと位相に基づく解決法を提案する.具体的には,2音源2マイクの場合を考え,音源の一つは第1マイク側に,もう一つは第2マイク側にあるという仮定の下で,分割スペクトルのパワー差と位相差を用いた成分置換の判定則を導出する.そして,この判定則に基づいて成分置換を修正する方法を提案する.この修正則は,通常のように音源が話者音声と雑音の組み合わせのときだけでなく,雨音源とも話者音声のときでも成分置換を高精度で解決し,しかも音源を順序通り正しく推定する特徴を持っている.そのため,目的音声のみを簡単に抽出することができる.提案法の有効性は実環境下での分離抽出実験によって確認した.この実験から,同時に,マイク間隔が広い場合にはパワーに基づく成分置換の解決法が有効であり,マイク間隔が狭い場合には位相に基づく成分置換の解決法が有効であることが分かった.
著者
金森 悟 金森 暢子 渡辺 興亜 西川 雅高 神山 孝吉 本山 秀明
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.291-309, 1997-03
被引用文献数
1

南極昭和基地の大気エーロゾルを1988,1989,1990年の3年間にわたり連続観測した。エーロゾル粒子に含まれる化学成分の内, exSO_4^<2->, MSA, NH_4^+等の成分が夏に高く冬に低い季節変化をする事を明らかにした。またガス状のHCl, SO_2,HNO_2,HNO_3の季節変化を明らかにし, 非常に高濃度のHClガスが夏期に出現し, 他の成分もエーロゾルに近い濃度になる事を示した。みずほ高原内陸および海上の大気エーロゾルの粒径分布を明らかにした。exSO_4^<2->とMSAは共に0.35μmに極大粒径を持ち, ガス体から生じた2次粒子であると思われる。ほとんどの大気エーロゾルは海塩に比較して負のexCl^-を示し, Cl^-がNa^+に対して欠損していることが認められた。みずほ高原内の5点における積雪ピットの観測から, 化学成分の季節変化は内陸の観測点でδ^<18>O, Cl^-およびNa^+につき見いだされた。飛雪では, Cl^-, Na^+, exSO_4^<2->, NO_3^-, MSA等の成分が海側で高く, 内陸に向かって減少し, 更に内陸で反転上昇し, 内陸に別の供給源があることを示唆した。ほとんどの雪は正のexCl^-を示した。みずほ高原の大気エーロゾルと対応する雪の間には, 化学成分濃度の比例関係がほぼ認められ, 積雪は大気エーロゾル中の濃度を大まかに反映している。しかしexCl^-, Ca^<2+>, K^+などはこの関係を満足しない場合が多いので, 地表の大気エーロゾル以外に高層大気からの寄与も考慮する必要がある。
著者
金田 清志 白土 修 但野 茂 伊福部 達
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

1)平成5年度にひきつづき、寒冷暴露下での脊髄損傷者の自律神経系に及ぼす影響を調査するため、人工気象室を利用し、常温(気温24℃、湿度50%)の前室から低温(気温5℃、湿度50%)の環境下に被験者を移動させ寒冷に暴露し、血圧、麻痺のある下肢の血流・皮膚温の変化を測定し解析した。健常者では寒冷暴露と同時に下肢血流量は急激に減少、下肢の体表温度も低下した。血圧の上昇も認められた。再度常温に暴露すると徐々に血流・体表温度とも回復する経過を示した。しかし、脊損者においては寒冷暴露によっても下肢血流量は減少せず、外部環境の影響を受け体表温度は低下した。血圧の変化もなかった。麻痺のレベルが下位胸髄以下では、健常人と類似した変化が認められたが、その変化はわずかであった。従って、脊損者では放射・伝導・対流により体表面からの熱放散が容易に生じることが判明した。冬期間用車椅子試作者と,従来型電動車椅子の走行試験とデータ解析を行った。過酷なアイスバーン状態を想定し、室内に仮設した斜度1/10のスロープに氷板を張って走行試験を実施した。登坂性能および発進性能は、試作車に明らかな優位性が確認された。走行時の加速度を測定し駆動輪スリップ度を評価した。ここでスリップ度Kは、進行方向の加速度を積分して得られる実走速度(La)とモータパルスカウントから得られる理論速度(Lp)の比率(La/Lp)で表わした。K=0で駆動輪がスリップしていない状態、K>0で駆動輪の空転度合、K<0で慣性力によるすべり度合がわかる。雪路の低速モード(3.0Km/h)走行では、市販タイプは、発進時からスリップしているが、試作車はスリップなく安定した走行をしている。高速モード(6.0Km/h)走行では、各車一定のスリップ度を示しながら走行している。しかし、制動時には,試作者はほとんどスリップなく停止した.
著者
金山 権 座間 紘一 座間 紘一 小松 出 任 雲 金山 権
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本調査研究が目指したことは、中国の内陸地域、沿海地域、外国の三極関係の枠組みの中で、(1)地域間の商品、労働力、資本の流れ、(2)地域開発の波及効果および開発後の地域間経済関係の変化と地域経済構造の変化、(3)地域開発に対する中央政府、地方政府の対応、(4)外資、沿海部企業の内陸部地域への進出のあり方などを分析することを通じて、中国の地域格差是正と統一市場形成のあり方を占おうとするものであった。成果では、西部地域と国内・国際経済ないし企業とのリンケージに関する研究として最初の1,2、3章がそれに当てられている。第1章は、マクロ指標の分析を通じて、西部地区経済は全体としてはまだその国内・国際的リンケージは弱く、それは、西部経済の発展が遅れた結果であると同時に、西部経済発展の阻害要因にもなっている事を明らかにしている。2,3章は,それは自動車、ミシンの個別企業と紡織産業での産業と個別企業におけるリンケージのあり方を取り上げている。その他の研究は西部地域や四川省の産業開発、産業集積、農業の産業化、農村の近代化、少数民族地区の開発、生態建設など、西部地区開発をめぐる多様な問題を取り扱っている。中国側の強力研究者の論攷も含めて、多様な側面を多角的に、深く掘り下げたものとなったと思われる。成果は以下の10編の論文から構成されている。(1)西部地域と国内・国際経済とのリンケージ、(2)中国進出日系企業の沿海地域と西部地域のリンケージ、(3)東部地域紡績企業の西部地域進出の展開と問題点、(4)中国西部地区工業化の若干の問題、(5)資金投入と経済成長、(6)西部地域における産業集積の形成と発展、(7)四川省少数民族地区での西部大開発効果、(8)「社会主義新農村建設」と「三農」問題の解決、(9)四川省農業産業化の発展、(10)四川省の生態建設、である。
著者
黒柳 米司 浅野 亮 稲田 十一 小笠原 高雪 金子 芳樹 菊池 努 佐藤 考一 玉木 一徳 吉野 文雄 山田 満
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)米国の対ASEAN政策の積極化、(2)中国の存在感の顕著な増幅、(3)日本の存在感の長期的凋落、および(4)「地域としての東アジア」の顕在化などという方向で変容する地域国際環境の下でASEANは、(1)「ASEAN憲章」の採択・発効、(2)インドネシア民主主義の確立などの成熟を示したものの、(3)タイの軍事クーデター、(4)タイ=カンボジア武力衝突、(5)ミャンマー軍政の民主化停滞など、後退局面がこれを上回りつつある。
著者
西村 信弘 土井 教雄 上村 智哉 竹谷 健 林 丈二 葛西 武司 金井 理恵 山口 清次 岩本 喜久生 直良 浩司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.759-766, 2009 (Released:2009-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4 5

A traditional Chinese herbal medicine, Kampo medicine, maoto, has been widely used in the treatment of febrile symptoms caused by viral infection. This herbal extract granule for oral use, however, is not well accepted by infants or young children due to its unpleasant taste and odor. Therefore, we prepared Kampo medicine, maoto, suppository and investigated the pharmaceutical and clinical efficacy of the suppository. Kampo medicine, maoto, granules were micro-pulverized and homogeneously dispersed into Hosco-H15 to prepare suppositories containing 0.25 to 1.0 g herbal extract by the conventional fusion method. Content of l-ephedrine, an index compound of Kampo medicine, maoto, in the extract granules and suppositories was determined by using a high performance liquid chromatographic method. Physicochemical experiments revealed that the suppository containing 0.5 g herbal extract had the most suitable melting point of 34°C. Contents of l-ephedrine in the suppository were constant, 93-96% of those in the same amount of the extract granules in different three lots. Upper and lower portions of the suppository had the same content of l-ephedrine. The suppository maintained more than 95% of l-ephedrine content through 6 months at 4°C, room temperature and 40°C, although maldistribution of the extract constituent was observed after storage at 40°C. The suppository was administered to 21 pediatric febrile patients at a dose of 1/3 to 2 full pieces depending on their body weight and physical status. Significant reduction (p<0.001) of body temperature from 39.5 to 37.5°C without serious adverse effects was observed in 17 patients who were monitored the clinical effects on the febrile symptoms. In conclusion, Kampo medicine, maoto, suppository was found to satisfy the physicochemical quality and quantity standards as well as to be clinically applicable to neonates, infants and children with viral febrile symptoms without any adverse effects.
著者
石川 昇 前田 克彦 亀井 修 岩崎 誠司 田邊 玲奈 木俣 美樹男 金子 俊郎
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.研究代表者、研究分担者、地域の博物館等職員から構成する研究協議会を設置した。博物館・大学に蓄積されている環境学習に関する学習資源(情報・機器)と地域の環境課題について検討を行い、カリキュラムの研究開発、実践方法、評価について協議した。2.環境学習カリキュラムの実施モデル地域において、地域の博物館等職員と学校教員が協力しワーキンググループを設け、継続的に環境学習カリキュラムの開発・運営を行った。3.研究代表者・研究分担者は、博物館・大学のもつ学習資源(研究や教育普及活動の蓄積・情報・機材)を検討し、「総合的な学習の時間」で活用可能な環境学習カリキュラム(教材・プログラム)を開発した。児童・生徒の環境観を形成する環境学習カリキュラムとして研究代表者・研究分担者の専門領域から水、土壌、地形、気象、地質、植物・動物、民俗、美術を取り上げ、組み合わせることで地域の環境を総合的に理解できるカリキュラムの開発に努めた。4.研究代表者、研究分担者は博物館等を中心に5地域の学芸員・研究者・教育者等と共に学習方法を学校の「総合的な学習」等で試行を重ねることにより実践的に研究開発し、地域の環境を学ぶ教材、教具などを成果物として制作した。研究開発に当たっては、(1)主に環境の調査、資料整理と考察、成果の発表方法、(2)ワークショップの中で参加者が共有する方法、(3)多機関の継続的な連携・プログラム開発などに焦点をあてて開発した。
著者
市場 みすず 金沢 一 清水 昶幸 幸保 美枝子 千賀 慶太郎 田村 善藏
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.157-160, 1986-03-05

調剤室における落下及び浮遊粉じん中の薬物を光学,蛍光及び偏光顕微鏡を用いて非破壊的に同定することを試みた.粉じん捕集は1985年2月5日(火曜日)午前9時から午後5時まで行った.落下粉じんは,床上120cmに設置したメンブランフィルター上に捕集し,浮遊粉じんは,床上150cmにメンブランフィルターを装着したホルダーを設置して,550mmHgで吸引捕集した.捕集した粉じん(落下粉じん:0.36mg,浮遊粉じん:1.34mg)は,それぞれ光学,蛍光及び偏光顕微鏡の順に観察し,粒子の形状や色調などを別途に作成した標準標本と比較対照した.その結果粉じんから,中枢神経系用薬3種(アレビアチン,ネオフィリン,フェノバール),消化器官用薬3種(M.M.,S.M散,ペクシー),ビタミン剤2種(ハイボン,メチコバール)及び賦形剤3種(CMC,トウモロコシデンプン,バレイショデンプン)の計11種の薬物を同定することができた.賦形剤を除くすべての薬物は,化学イオン化質量分析において,標準標本に合致する分子イオン又はフラグメントピークが観測された.
著者
金子 昌彦 長谷部 聡 比企 豊 西村 敦志 佐藤 敏朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.153, pp.109-112, 2010-07-22

オープン・メッシュネットワークは、レイヤ3でメッシュを構成するため、異種の無線方式を統合してネットワークを構築できる。新潟大学と共同でオープン・メッシュネットワークに有用な物理層の機能を研究してきた。また、ウィビコム製OFDM IPコアを応用したFPGA無線モジュールの適用可能性を検討している。本OFDM IPは、MATLABシミュレーションからFPGA実装まで一貫した開発環境であり各種の無線方式に対応できる。なお、本研究はSCOPE補助金を得て実施した。【研究開発課題名 オープン・メッシュネットワークの研究開発,研究代表者 間瀬憲一(新潟大学大学院自然科学研究科)】
著者
金嶋 聰 川勝 均
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

阿蘇火山広帯域地震計ネットワーク観測(ASO94)の実施中の阿蘇火山は、表面活動サイクル(数年程度の周期を持つとされている)中の『湯溜り』と『土砂噴出』のステージにあった。観測期間中においては、15秒に及ぶ長周期の微動の発生と爆発的な土砂噴出が顕著な現象であった。これまでに短周期の微動の起こり方や土砂噴出などに対応して、数種類の長周期微動が観測されている。これら長周期微動は、継続時間20〜30秒を持つ1〜2サイクルの孤立したイベントとして観測されることが多い。また周期15秒を基本モードとし、7.5秒や5秒程度の高次モードを持ち(川勝ほか、1994)、震源は中岳第一火口の南西深さ1から1.5kmである点(松林ほか、1995)で共通している。さらに、基本モードの波形を用いてモーメント・テンソル解を推定すると、等方震源成分と火口列に平行(北北西-南南東)な鉛直クラック成分の混合と解釈できる解を持つ。以下にこれまでに分類できている2種類の長周期微動についてその特徴をまとめる。(1)連続的な短周期微動発生が無い“静穏"期(1994年4、11月):引きで始まり、最初に短周期(2Hz程度)の振動を伴う。基本モードが卓越する場合や高次モードが優勢な場合がある。(2)土砂噴出が頻発している時期(1994年9月):押しパルスが卓越するが、小さい引きで始まる事が多い。短周期振動は伴わない。高次モードに対応する周期(5-7秒)が卓越する。爆発的な土砂の噴出の100秒程前に、超長周期の押し(膨張)の変位が生じる。この変位に伴い、長周期微動と同じ震源位置を示すパルスも発生する(松林ほか、1995)。このパルスは長周期微動(2)に類似した特徴を備えているが、多くの場合卓越する周期はより長く、長周期微動の基本モードの周期(15秒)程度である。噴出の直前には長周期微動(1)と酷似したシグナルが現れ、小さな短周期振動がはじまる。この短周期振動が30〜40秒継続した後、大きな引きの長周期パルスに伴い短周期振動の振幅が急増する。この時刻が概ね火口湖からの土砂噴出に対応する(川勝ほか、1995)。噴出開始後、超長周期変位は収縮に転じ、長周期パルスの振幅は小さくなる。収縮が止まると短周期振動も終了する。長周期微動(1)は、始まりが引きであること、および土砂噴出直前の波形に似ていることから、震源での減圧による収縮とそれに続く振動と考えるのが自然である。最初の短周期微動は水蒸気の移動など圧力解放のきっかけに対応している可能性が考えられる。長周期微動(2)は、押しが卓越すること、土砂噴出直前の膨張に伴うパルスに類似すること、から高温ガスとの接触による地下水の突発的蒸発がもたらす震源での圧力の増加に対応する可能性が考えられる。
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 竹内 惠行 椎葉 淳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.定量的類型化作業「組織資本の測定」の観点から定量的類型化の基本仮説を構築した。本来この作業は,最終年度で実証に移るはずではあったが,基礎理論構築に手間取り,仮説構築にようやくこぎつけることできた。Lev and Radhakrishman(2003),蜂谷(2005)などの知見を参照しつつ,金融・保健を除く,日経225のサンプル企業のうち,条件に合致する企業数として86社,8年間のデータをもとに,仮説のフィットネスを確認しており,より頑健な理論にまで仕立てなければならない。(目標達成率60%)2.技術・知財戦略技術・知財戦略を聞き取り調査等から調べていけばいくほど,オープンさとクローズドさのバランス問題に横着することが確認される。ITの雄インテルにしても,PCIバスイニシアチブを充実させていた頃は,オープン路線で突き進み,バスやメディア等でデファクトの地位を取ると,今度はクローズドに振れ,それが結局,係争を引き起こし,会社としの業績に暗雲を漂わせ始めている。このバランスを決定づける要因分析の一般化を試みたが,個別ケース記述に留まった。(目標達成率70%)3.提携戦略次の「4」との兼ね合いから,ベンチャー企業における提携戦略について,聞き取り調査を中心に仮説を改良した。成長ステージ管理の重要性を認識するとともに,それぞれのステージにおける管理項目を洗い出した。具体的には,製品開発ステージにおいても,商流ステージであるB2BおよびB2Cを意識した開発管理とマーケティング管理が必要となり,ステージが進むに従い,パートナーシップの重要性が高まる。ただ闇雲なパートナーシップではなく,ビジネスモデルすなわち成長戦略に応じた提携が求められ,その機軸をなすのが,「時間切迫」と「資源の希少性」に他ならない。(目標達成率85%)4.地域産業集積「産業プラットフォームとしての大学」という観点から調査報告をまとめた。大学が有する国・地域としての研究所機能に加え,新産業の担い手としての大学発ベンチャービジネス創出の「場」,という観点を持つことによって,大学を観察することが,産業集積の実際を知る手がかりになる,ということが明らかになった。すなわち,日常的産学連携が活発でない地域では,大学発ベンチャービジネスも起こりにくく,また成功もしづらく,その「場」的取り組みが盛んな地域・大学が産業集積(新規事業創造)においてもリーダーシップを発揮している,ということである。理論的には「場」の概念の援用である。(目標達成率75%)
著者
三浦憲二郎 王國金
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.436-446, 1993-03-15
被引用文献数
1

C2Gregoryパッチは,曲率が連続となる曲面を生成する目的でMiuraらによって開発された自由曲面表現式である。Gregoryパッチの部分領域がGregoryパッチで表せないのと同様、C2Gregoryパッチの部分領域もC2Gregoryパッチにならず、分割法によってパッチと直線やパッチと平面、パッチ同士の交点、交線等を算出することができない。そこで本研究では、それらのパッチの部分領域に対する境界額を提案し、それを用いてパッチと直線との交点を算出する薪しいアルゴリズムGregoryクリッピングを開発した。その応用例としてC2Gregoryパッチに対してレイトレーシングを行い本研究で提案した境界箱の有効性を示した。
著者
金城 明美 浦崎 武 Kinjo Akemi Urasaki Takeshi
出版者
琉球大学教育学部附属発達支援教育実践センター
雑誌
琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 (ISSN:18849407)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-106, 2009

大人による子どもに対しての一方向の指示が多く存在しがちな学校や家庭への警鐘は、教育に携わる筆者にとっても重要な論点である。巻き起こる子ども側の指示待ちが、自分を出せない状況であって、創造性にもかかわるこのことは教育の在り様を問われていると考える。特別支援教育においても同様で、かかわりを困難とする特性をもつ発達障害の子ども達への支援の在り方は看過できない。「遊戯療法」は「非指示的」「指示的」な視点で論じられ、それぞれが「子ども中心療法」「認知行動療法」という技法として有益さが示されてきた。発達障害の子ども達には、両者の技法を組み合わせた方法が有益であることも示唆されてきた。琉球大学における集団トータル支援においても両者の視点における有益さが検討されてきた。その具体的な事例として、「非指示的アプローチ」と「指示的認知的アプローチ」を取り入れた沖縄絵本の読み聞かせを行う場面としゃぼん玉の活動を行う場面についてビデオ記録に基づくエピソードを分析する。支援者と子ども達に巻き起こるかかわりの言葉やふるまいから「非指示的アプローチ」「指示的認知的アプローチ」を考察する。結果、一緒に活動する「非指示的アプローチ」では、支援者や子どもに肯定感が生じ一緒に活動する様子がみられ、自分の想いを表現する言葉となり、相手をいたわる言葉となる。支援者に対する事前指示や子ども達へ対する内容への指示にみる「指示的認知的アプローチ」では、支援者や子どものそれぞれに理解が生じ、それぞれが素材を認める言葉や、客観的な視点からの自分に気づいた言葉になり、気分を落ち着かせるクールダウン等の動きとなっていた。今後、「指示命令的なアプローチ」が多くを占める場合、子ども達の感情表現の不整合さが表出すると予測を立てた分析を要すると考える。
著者
前田 和子 譜久山 民子 宮城 雅也 山城 五月 上原 梨那 伊波 輝美 砂川 恵正 佐久川 博美 上原 真理子 金城 マサ子 鈴木 ミナ子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.31-38, 2010-03

背景:沖縄県では発達障害児の早期発見・早期支援の充実が急務となっており、その療育体制が整備されつつある。発達障害児の多くが保育園を利用しており、早期療育の重要な担い手として保育士の質向上が課題である。目的:本研究の目的は保育士が発達障害または疑いのある子どもをどのように発見しているか、また彼らにどのように支援しているかを年齢別に把握することであった。方法:対象は沖縄県南部3市にある保育所90ヵ所に勤務する保育士878名であった。郵送による自記式質問紙法であり、内容は保育士の基本属性、障害児保育の有無、担当事例の特徴、療育支援の内容等であった。結果と考察:546名から回答を得た。現在発達障害児(疑い含む)を保育している者は約4割であり、保育士から特別支援を受けているのは170事例中7割であった。保育士が挙げた1~3歳児の早期発見に役立つ子どもの行動特徴は53項目と多数であったが、重要な指標の不足も明らかになった。また、早期支援は子どもへの支援、親への支援、社会的支援など多様であったが、記述数は早期発見の3割にとどまり、各問題行動に対応できてないことが明らかになった。結論:早期発見と早期支援の重要性から保育士の質向上のために、子どもの年齢を考慮に入れた実用的で継続的な研修の必要性が示唆された。Background: It is now recognized that early detection and intervention for children with developmental disorders (DDs) should be improved, and the developmental disorders system is building to provide the comprehensive services and supports these children and their families require in Okinawa. Because many of children with DDs are cared by day care workers in day care centers, improving the quality of day care workers is a priority matter. Purpose: Our goal was to determine by age of children how day care workers identified children with DDs and suspected children, and what early interventions they provided in day care settings. Method: Eight hundred seventy-eight day care workers in 90 day care centers at 3 cities in southern Okinawa were asked to complete self-report questionnaire. Result: The data was obtained from 546 day care workers. Approximately 40% of them were taking care of 170 children with DDs including suspected children. Seventy percent of those children were provided special interventions by them in day care settings. They gave 53 behaviors or characteristics of children one to three years of age as the warning signs that they were concerned, but they didn't notice any critical warning signs of DDs. They provided a variety of therapeutic and supportive services to eligible children and their parents, but the number of early intervention they described was a mere 30% of those about early detection. Conclusion: It was suggested that day care workers needed to be given practical and continuous training so as to assure their adequate capacity to detect the DDs by the Age of 3 years and deliver early intervention services to children with DDs and their families.
著者
田中 康雄 内田 雅志 久蔵 孝幸 福間 麻紀 川俣 智路 伊藤 真理 美馬 正和 金井 優実子 松田 康子
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター = Research and Clinical Center for Child Development, Faculty of Education, Hokkaido University
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-9, 2010

2009年に行ったわれわれの「発達障害のある方々への生涯発達支援の実践研究」について報告した。まず、発達障害は生活障害である。その視点に立つことで、われわれの実践研究を(1)養育者支援に関する研究、(2)保育・教育現場における支援研究、(3)特殊な生活環境における支援研究、(4)ADHDに関する調査研究と分類して、生活環境を中心に包括的な検討をした。われわれが向き合う「あなた」は、当初は養育者、次に当事者、さらにかれらを取り巻く関係者となる。同時に、われわれには、関係者といかに手を携えて総合的な支援策を構築するか、ということも求められる。最後に連携・ネットワーク作りからノットワーク作りへという移行を提案した。
著者
金子 幸司 村上 馨 西村 格 杉信 賢一 小島 昌也
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.179-188, 1967-10-20

本試験は場所および草令を異にした採種によりアカクローバ品種の諸形質がどのように変化するかを調査した試験であるが,その結果を要約すると次のとおりである。1.アメリカ,カリフォルニア州で冬,(1月)播き2年目採種したものは道内春播き2年目採種のものに比べて早生化し,播種初年目および2年目における草勢,草丈および収量などは大であったが,3年目以降になるとその関係はむしろ逆となった。2.アメリカ,オレゴン州およびアイダホ州で春播き2年目採種したものは道内採種のものに比べて生育型構成割合がnon-flowering typeのほうに移動する傾向がみられ,それに応じて開花が若干晩生化したが,収量などについては上記のカリフォリニア州採種のものほど顕著な差は認められなかった。3.道内各地域採種の場合,札幌と上川北部地方で数世代採種しても両者間には諸形質に大きな差異を生じなかったが,日高地方で1世代選抜操作を加えることによってその集団は早生化し,原品種と諸形質を異にする集団を生じた。4.札幌地方で早生種を播種1,2および3年目と異なる草令別に採種をした場合,それらの種子区間にはほとんど形質の変化は認められなかった。本試験の実施にあたりハミドリ種子の御提供を賜わった雪印種苗株式会社上野幌育種場長三浦梧楼氏に深く謝意を表します。