著者
阿部 茂 金子 裕良
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.「避難救出運転方式」とその輸送能力計算方式の開発エレベータを併用した場合の避難時間短縮効果を明らかにした。非火災時の全館全員避難の場合、ビルを縦に(ゾーン数+1)の区画に分け、最下区画の人は階段だけで避難し、残りの区画の人は各区画の最下階まで階段で下り、その階で玄関階との間を往復運転するエレベータに乗り避難する方式が、最適なことを示した。高層ビルほど短縮効果は大きく、16階ビルでは約1/3の15分程度で避難でき、避難用エレベータの有効性を確認できた。2.停電でも避難運転ができるエレベータの電源方式と運転方式火災時は停電の危険があり、ビルの非常電源では1台程度しかエレベータを運転できないため、停電時に全エレベータを運転できる電源方式が不可欠である。避難時は下方交通のため避難乗客の位置エネルギーを利用すれば、エレベータに小容量の回生電力蓄電装置を設置するだけで、停電時でも運転継続できる可能性がある。このための最適なエレベータ運転方式と電気二重層コンデンサを用いた省エネ率の高い電源方式を明らかにした。3.避難者行動ミクロモデルとそれを用いた避難シミュレーション手法避難時の階段歩行のイベントシミュレーション手法を開発した。エレベータのシミュレータと統合すれば、様々な状況における避難シミュレーションが可能となる。4.避難用エレベータの乗場における車いす利用者の画像認識避難時には身障者を特別に誘導する必要がある。エレベータ乗場の車いすの人を健常者と識別可能な画像認識手法を開発した。移動体の輪郭線と速度を求める性能の良いアルゴリズムで特許を出願した。
著者
金子 隆之 安田 敦 青木 陽介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東アジアにおける噴火監視と噴火研究の基礎となる活動データの大規模収集を行うために,MODISとMTSATデータを利用した「複数の衛星を利用した準リアルタイム東アジア火山観測システム」の構築を行い,主要147活火山の常時監視を行った.これらのデータの解析結果に関して,ウェッブサイトを通じて広く公開すると共に,より詳しい噴火状況を知るため,高分解能衛星データや地上観測データを組合せて,統合的解析を試みた.
著者
島村 英紀 SELLEVOLL Ma EINARSSON Pa STEFANSSON R 末広 潔 金沢 敏彦 塩原 肇 RAGNAR Stefansson MARKVARD Sellevoll PALL Einarsson MARKVARD Sel PALL Einarss RAGNAR Stefa 岩崎 貴哉
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

大西洋中央海嶺は、いまプレ-トが生まれている場所である。アイスランドは、その海底山脈がたまたま島になったところである。海嶺については、いままで精密に地下構造が調べられたり、地震活動が詳しく調べられたことはなかった。たとえば地震活動については、何千キロメ-トルも離れた陸から中央海嶺に起きる地震を研究するのが唯一の手段だった。一方、日本の海底地震計は小型軽量で高感度に作られており、数十台という多数の海底地震計を投入する結果得られる、従来よりもはるかに精密な微小地震活動の研究と、精密な三次元地下構造の透視など、地下構造の研究についても、他国をリ-ドしている。このように中央海嶺付近は、その地球科学的な重要性にもかかわらず、いまだ、精密な観測のメスがはいっていなかった。今回の研究は中央海嶺上にあるアイスランドという希有な場を足がかりにして、世界でも初めて成功裏に行われた海底地震研究である。大量のデ-タが得られたために現在まだ解析が続いているが、画期的な成果が得られつつある。具体的には1990、1991の両年とも日本から約20台という大量の海底地震計を運び、アイスランド近海で高感度の海底地震群列観測を行った。同時にアイスランド陸上には臨時に十数点の高感度地震観測点を設置して海と陸、双方から地震を追った。1990年夏には、アイスランドから南西に伸びるレイキャヌス海嶺で長さ150キロ、幅40キロにわたる海域に18台の海底地震計を展開した。観測にはアイスランド気象庁とレイキャビック大学の全面的な協力が得られ、また海底地震計の設置と回収にはアイスランド側の全面的な協力を得て、同国の海上保安庁の船が借りられた。また設置した海底地震計の近くでは、同国のトロ-ル漁業を一カ月の観測期間中、遠慮してもらった。このため海底地震計すべてを順調に回収出来た。この観測の結果、微小地震は海嶺軸に沿ってだけ分布しており、その幅はわずか5キロメ-トル以下であることが分かった。海嶺の両側では全く地震は発生していないことも分かった。そして微小地震は海嶺軸に沿って一様に分布しているのではなく、地震活動の高いところと低いところが発見され、しかも過去の海底火山地震活動との関連が明らかになった。一方、微小地震の震源の深さは、海嶺軸から鉛直下方に伸びているのが分かり、しかもその深さは地下12キロメ-トルまで伸びていることが分かった。従行、海嶺軸下でプレ-トを生むマグマ活動がどのくらいの「根」の深さを持っているかはナゾであり、漠然と2、3キロメ-トルに違いないと考えられていたが、今回の研究によって、海嶺の「根」はずっと深いことが初めて明らかにされたことになる。また一カ月の地震観測期間中、二度にわたって群発地震が捉えられ、そのいずれもがごく細い煙突状の筒の中を震源が移動したことも確かめられた。このような海嶺の群発地震の詳細が捉えられたのも世界で初めてである。1991年にはアイスランドの反対側、北側で海底地震観測を行った。この海域は新しいプレ-トを生んでいる大西洋中央海嶺が、複雑で百キロメ-トル以上もの幅にひろがったトランスフォ-ム断層をなしているところで、世界的にも地球科学の大きなナゾを残している場所である。このアイスランド北側から北大西洋にかけての大西洋中央海嶺で21台の海底地震計と約15台の陸上地震観測点が連携した微小地震観測に成功した。全ての地震計は無事に回収された。また、地下構造を研究するための人工地震実験も行って、従来ナゾだった地下構造を調査した。デ-タは現在、解析中である。この両年度の研究で、従来の地震観測では把握することのできなかったアイスランド周辺の大西洋中央海嶺で何百個という微小地震を捉えることが出来て、地震活動がはじめて精密に分かり、また未解明だった地下構造が知られた。捉えた地震のマグニチュ-ドは1とか2とかの微小地震である。また、アイスランドの南北で明瞭に違う大西洋中央海嶺のそれぞれの活動について、世界でも初めての詳細な知見を得ることが出来た。
著者
猪原 健弘 木嶋 恭一 出口 弘 今田 高俊 桑子 敏雄 蟹江 憲史 金子 宏直 中丸 麻由子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、人文学、社会科学、理学、工学を横断するアプローチにより、参加型合意形成メカニズムについての理論・方法・実践に関する知識体系を整備した。特に、(1)合理的な主体の集団の中に協力が生まれるメカニズムを、コンピュータ・シミュレーションを用いて解明した。(2)合意と合意形成が満足するさまざまな性質、特に、合意の達成のされやすさや、合意の崩れにくさについての理論的成果を集約し、可視化した。(3)合意形成の支援のモデルを構築した。という3点が研究成果として得られた。
著者
金保 安則 横関 健昭 船越 祐司 長谷川 潤 杉本 里香
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

低分子量G蛋白質Arf6を介するシグナル伝達機構とその生理機能、およびそのシグナル伝達の破綻に起因する疾患との関連の解明を目的として、分子・細胞・個体レベルで解析を行った。その結果、(1)Arf6はリン脂質キナーゼPIP5K・を活性化して神経スパインの退縮を制御していること、(2)Arf6は、肝臓の発生と腫瘍血管形成に重要であり、Arf6をターゲットとした抗ガン剤の開発が可能であること、(3)Arf6はJNK相互作用蛋白質を介して神経突起の伸長とブランチングを制御していることを明らかにした。
著者
金崎 雅之
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.113-128, 2006-06
著者
中井 滋 政金 生人 秋葉 隆 井関 邦敏 渡邊 有三 伊丹 儀友 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 勝二 達也 庄司 哲雄 鈴木 一之 土田 健司 中元 秀友 濱野 高行 丸林 誠二 守田 治 両角 國男 山縣 邦弘 山下 明泰 若井 建志 和田 篤志 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-30, 2007-01-28
被引用文献数
19 7

2005年末の統計調査は全国の3,985施設を対象に実施され, 3,940施設 (98.87%) から回答を回収した. 2005年末のわが国の透析人口は257,765人であり, 昨年末に比べて9,599名 (3.87%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は2,017.6人である. 2004年末から2005年末までの1年間の粗死亡率は9.5%であった. 透析導入症例の平均年齢は66.2歳, 透析人口全体の平均年齢は63.9歳であった. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が42.0%, 慢性糸球体腎炎は27.3%であった.<br>透析患者全体の血清フェリチン濃度の平均 (±S.D.) は191 (±329) ng/mLであった. 血液透析患者の各種降圧薬の使用状況では, カルシウム拮抗薬が50.3%に, アンギオテンシン変換酵素阻害薬が11.5%に, アンギオテンシンII受容体拮抗薬が33.9%に投与されていた. 腹膜透析患者の33.4%が自動腹膜灌流装置を使用していた. また7.3%の患者は日中のみ, 15.0%の患者が夜間のみの治療を行っていた. 腹膜透析患者の37.2%がイコデキストリン液を使用していた. 腹膜透析患者の透析液総使用量の平均は7.43 (±2.52) リットル/日, 除水量の平均は0.81 (±0.60) リットル/日であった. 腹膜平衡試験は67%の患者において実施されており, D/P比の平均は0.65 (±0.13) であった. 腹膜透析患者の年間腹膜炎発症率は19.7%であった. 腹膜透析治療状況に回答のあった126,040人中, 676人 (0.7%) に被嚢性腹膜硬化症の既往があり, 66人 (0.1%) は被嚢性腹膜硬化症を現在治療中であった.<br>2003年の透析人口の平均余命を, 男女の各年齢毎に算定した. その結果, 透析人口の平均余命は, 同性同年齢の一般人口平均余命のおよそ4割から6割であることが示された.
著者
上山 邦雄 かく 燕書 呉 在〓 張 淑英 王 振中 王 保林 金 基燦 金 顕哲
出版者
城西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日中韓研究者による本格的な研究体制を構築した上で、主として、日中韓3国の自動車および電機産業の工場や研究開発拠点を訪問し、競争力構造の現状を解明した。日本企業は、特に技術面では、依然として競争優位を保っているものの、ますます重要性を増している途上国市場への戦略構築に成功したとはいえない。それに対し、韓国企業はウォン安もあり確実にグローバル市場で存在感を高めており、中国企業は国内市場を中心とした競争力強化に成功しつつある状況を明確にした。
著者
金子 勇 稲月 正 町村 敬志 松本 康 園部 雅久 森岡 清志
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

現代都市で高齢化が進むにつれて、そこに生きる高齢者の多くかできるだけ長く社会との関わりを持とうとしている。それが自分自身の近未来の幸せであるという意識である。年金が遅く支給されることが高齢者を仕事に駆り立てるのではなく、主な理由は生きがいと健康のためにある。社会参加のキッカケとしての仕事から離れると、高齢者がそれを見付けることは困難なので、できるだけ自分を生かせるものならば何でも行なっているのが現状である。それは高齢者が「後期高齢者」の介護をすることまでも含む。調査結果からみると、高齢者のほとんどがとにかく熱心に社会との関わりを探すライフスタイルを採っていた。だから、退職の年齢になっても、高齢者はできるだけさまざまなルートで社会参加の道を探し、公的な雇用や伝統的な雇用関係にとどまらない。たとえその仕事が自分の現役時代のそれより評価が低くても、十分な満足が得られない報酬であっても、高齢者は一生懸命に探しだした仕事に取り組む。日本の都市では、自営業の経験は地域社会との関わりを必然的にもたらすので、この特徴を生かすことから地域社会での参加の方向を考え直すことができる。なぜなら、地域社会での役割活動の評価は特に高くはないが、ゆるやかで融通がきくことも長所に数えられるから。今回の高齢者ライフスタイル調査研究からは、その興味深い生活史に支えられたさまざまの人生観から多くの生き方が学べた。そのうえで、高齢者にとって、経済的な理由からの社会活動としての職業参加を超えて、健康の維持や生きがいさらには残り20年の積極的な人生のためにも、働く、役割をもつ、経験する、一緒に何かを行なうことなどの一連の行為の重要性が解明された。
著者
平良 勉 金城 昇 Taira Tsutomu Kinjo Noboru
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.48, pp.293-301, 1996-03

The purpose of the present study was to estimate exercise intensity and energy expenditure in marathon running.The subjects were seven male and six female students of physical education major. Heart rate were recorded by heart rate monitor. Exercise intensity and energy expenditure were estimated by HR-V^^・o2 method during marathon running. The blood lactate accumulation were analyzed to determine anaerobic threshold (OBLA:4mmol).The results were as follows:1) Mean maximum oxygen uptake of male was 43.9ml/kg・min and that of female was 48.0ml/kg・min.All subjects exceeded the desirable fitness level.2) Oxygen uptake in the race was corresponded to 73.6% of V^^・o2max for male and 67.7% of V^^・o2max for female. Heart rate was also corresponded to 77.4% of HRmax for male and 78.0% of HRmax for female.3) Heart rate and oxygen uptake during the race were within the OBLA level.4) Marathon performance was estimated to cost male subjects 3632.4kcal and female subject's 2759.0kcal.市民マラソンの運動強度とエネルギーの消費を検討するため、13名の被験者について実験室のall-out実験からHR-V^^・o2関係式を作成、マラソン走行中の心拍記録を代入して酸素摂取量を推定、消費エネルギーを算出した。all-out実験で同時に血中乳酸濃度を分析、OBLAを測定、マラソンの運動強度を推定した。結果は以下の通りである。1)最大酸素摂取量(相対値:ml/kg・min)は男子平均43.9ml/kg・minで一般日本人成人の"Average"、女子の平均は48.02ml/kg・minで"Very good"の判定であった。女子の日常の身体活動水準が部活動などで高くなったことが原因と思われた。2)レース中の心拍数は男子平均151.1beats/min,77% of V^^・o2max,女子の平均は155.2beats/min,76.0% of HRmaxであった。酸素摂取量については男子平均32.2ml/kg・min,67.7% of V^^・o2maxの成績であった。いずれも競技選手と比較すると低い強度であり、記録にこだわらず、制限時間内の完走を目指したためと考えられた。3)OBLAレベルでの心拍数は男子平均155.8beats/min,78.7% of HRmax、女子平均は166.4beats/min,83.5% of HRmaxであった。酸素摂取量については男子平均は36.0ml/kg・min,81.2% of V^^・o2max、女子平均は36.9ml/kg・min,76.0% of V^^・o2maxであった。走行中の心拍数、酸素摂取水準を越えず、無酸素性作業閾値以下であり、時間内完走のためには良好なペース水準であった。4)男子は平均3632.4kcalを消費、女子の平均は2759.0kcalであった。競技選手の消費エネルギーを比較すると高い傾向を示したが、これはレースにかかった時間が長いことが原因と考えられた。本報告の一部は日本民族衛生学会第23回沖縄地方会で発表した。
著者
岩坂 泰信 金 潤ソク
出版者
金沢大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

韓国で、2005年3月に、韓国気象研究院の協力を得て、エアロゾルゾンデを使い大気中のエアロゾル数密度と粒径の計測を行った。地上付近から、成層圏まで順調に観測され、その初期的な結果は、国際的なプロジェクトであるABC(Atomospheric Blown Cloud)プロジェクトのもとで運営されているホームページ上で公開した。韓国において、開催されたABC国際シンポジュームでもその成果は発表されている。インドで2005年12月に開催されたアジアエアロゾル会議および金沢大学21COEが主催した2006年3月の国際シンポジューム、においても、観測結果の解析・吟味の進捗に合わせて上述の結果を発表した。観測された高度分布は、エアロゾル濃度の高い層が何層か重なっており、これまでにACE-Asiaプロジェクトなどで観測された結果と極めてよく似た様相を呈している。上空の水蒸気分布(客観解析データより推定されたもの)などと比べてみると、性質が大きく異なった空気が何層にも重なっていることが示唆される。現在、詳細な解析結果を雑誌投稿準備中である。2005年8月には、中国科学院の大気研究グループと長白山系の予備調査を実施した。予備調査の結果、中国科学院が生態研究や二酸化炭素の濃度モニタリングを行っている長白山のふもとの施設に大気観測用の諸施設を設置し、長期大気モニタリング基地を建設するのが至当と判断された。同地域は、韓国の関係研究者も予備調査を実施しほぼ同様の結論を得ている。また、これを機会に中国の延辺大学およびその他の機関との共同研究体制が出来つつあり、今後の研究の発展の準備が出来上がった。この観測施設は、広い分野の研究者にも利用可能にするべく準備中である。引く気球実験は、2006年4月に放球の予定で、それに向けて種々の準備を行ってきた。中国のチンタオよりエアロゾルゾンデを放球し東シナ海あるいは日本海上空をゆっくりとした速度で上昇させながら横断するコースを取ることによって、大陸の空気がどのようにして海洋の空気を混合し性質を変えてゆくのかを明らかにする計画である。
著者
阿部田 聡 豊泉 茂 金田 史香 神山 政恵 小池 秀海 吉野 佳一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.89-95, 1999

症例は47歳男性。1996年5月16日,ボリビア(標高4,200m)へ出張した翌日より頭痛,悪心,呼吸困難,意識障害を呈し,急性高山病と診断され,現地の病院で治療を受けたが,意欲低下,意識不鮮明,運動緩慢が残存した。6月3日帰国し,翌日当科に入院した。知能障害と錐体外路症候を認め,発症20日目のMRIで両側淡蒼球に病変がみられた。SPECTでは両側前頭葉,側頭葉,基底核の血流低下を認めた。発症29日目より高圧酸素療法を行い,自覚症状,神経心理学的検査成績およびSPECTの改善がみられた。急性高山病で淡蒼球病変を呈した報告は本例を含め4例と稀である。ごく早期を逸しても高圧酸素療法は試みるべき治療法と思われる。
著者
松永 宣明 藤田 誠一 金子 由芳 駿河 輝和 香川 孝三 河村 有教 河村 有教
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

経済発展にとって制度的インフラの整備は決定的に重要であり、とりわけ法整備は市場経済の発展にとって不可欠の要素である。本研究では、アジア市場経済化諸国を対象に法整備支援の現状と問題点、さらには今後の課題について学際的研究を行ない、その成果の一部は『法整備支援論-制度構築の国際協力入門』として出版した。調査結果は現在とりまとめ中であるが、各国のコーポレート・ガバナンスのありようが市場経済化の成否に大きく関わっているという暫定的な結論を得ている。
著者
名塚 雄太郎 安室 千晃 井上 貴仁 横山 浩 平野 貴之 金丸 正剛 伊藤 順司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.404, pp.39-44, 1994-12-15

走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM)は,探針と試料表面の間に働く微弱な電気力を測定する走査型プローブ顕微鏡である.特徴は,非接触で表面電位と形状の2次元イメージを同時にしかもナノスケールの分解能で測定できる事である.電界放射エミッタの高機能化を図るひとつの手段として,その表面状態の高精度な制御技術の開発が考えられる.そこで,このSMMを用いて各種エミッタ材料の表面状態(表面電位,形状)の観察,評価を行い,エミッタ高機能化への手がかりを得るのが本研究の目的である.本稿では,SMMの原理や使用したカンチレバーについて述べるとともに,Al,Mo,Nbなどの表面電位の測定結果を議論する.
著者
中村 紀子 鈴木 康江 田中 政枝 五十嵐 直美 加藤 満利子 金丸 智子 加藤 貞春 中西 祥子 杉野 信博
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.388-388, 1987-05-25

東京女子医科大学学会第269回例会 昭和62年2月19日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室
著者
金元 敏明 服部 裕司
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本風力発電機は,(1)低風速下では前後段風車ロータが互いに逆方向に回転し,(2)後段風車ロータの最高回転速度付近で定格運転に達し,(3)その後は雨風車ロータが同方向に回転して出力一定運転となる.これを実現させるため,二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機を試作して特性を把握するとともに,風洞と数値実験により,風車ロータ形状の好適化を図った.1.発電機風車ロータとの連携運転が可能なことを確認し,同期回転速度以上では入力側からも出力が取り出せることを明らかにした.2.好適な前後段風車ロータ径比前段ブレードの形状によらずD=(後段径/前段径)=1までは後段風車ロータ径の増加とともに出力は増大するが,D=0.84以下では相対回転速度が遅い領域で後段風車ロータが前段風車ロータと同方向に回転する能力があるのに対し,D=0.84以上になると前段風車ロータが後段風車ロータと同方向に回転する.本着想に沿いかつ高出力が得られる直径比はD=0.84付近となる.3.前後段風車ロータの好適な軸間距離前後段ブレード形状によって出力と回転トルクに違いはあるものの,前後段風車ロータの軸間距離が近いほど高出力が得られる.4.風車ロータ周りの流れ軸方向速度成分は風車ロータを通過する毎に遅くなるが,前後段風車ロータが同方向に回転すると後段風車ロータのハブ側で上流側に向かう流れが生じ,前段風車ロータの過回転を抑制する.5.好適ブレード形状の提案後段風車ロータに流入する流れを考慮し,前段風車ロータ径の50%内側では,前段風車ロータに流入する流れをそのまま後段風車ロータに流すため,無作用翼素の採用を提案した.6.空力騒音の把握単段風車ロータのみの場合に比べてタンデム風車ロータの等価騒音レベルは高く,相反回転時のほうが同方向回転時より高い.しかし,後段風車ロータ径が小さいと騒音が低くなることは喜ばしい.