著者
國本 あゆみ 菊永 茂司 岡崎 勘造 天野 勝弘 佐川 和則 新宅 幸憲 積山 敬経 井上 裕美子 成山 公一 山崎 先也 岡本 啓 石井 信子 田子 孝仁 土岡 大介 福田 隆 林 恭輔 小倉 俊郎 東條 光彦 三村 由香里 松枝 睦美 上村 弘子 津島 愛子 加賀 勝 酒向 治子 土井 真由 鈴木 久雄
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.74-84, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
35

目的:本研究は大学生男女個々および交互,相互におけるBMIと体型不満の関連について検討することを目的とした.方法:対象は全国14大学に在籍する18-22歳の男性学生4,118名,女性学生2,677名であり,体組成測定およびボディーイメージに関する質問紙調査を用いた横断研究を行った.体組成は健康診断の結果もしくは実測した.結果:対象の平均(SD)BMIは男性21.7(3.3)kg/m2,女性は20.9(2.7)kg/m2であった.BMIが18.5未満の者の割合は男性11.1%,女性14.6%であり,BMIが18.5-24.9の範囲の者の割合は男性76.1%,女性78.9%であった.BMIに対する理想不満度(理想のシルエット-現在のシルエット)と健康不満度(健康的なシルエット-現在のシルエット)の間に男性は交互作用が認められなかったけれども,女性では有意な差が認められた(p<0.001).魅力的な男性のシルエット値は,男女間に有意な差はみられなかった(t=1.231,p=0.218,d=0.04).一方,男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均4.65,女性が思う男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均3.97であり,女性は男性に比べ有意に低い値を示した(t=25.08,p<0.001,d=0.70).結論:女性大学生の考える健康的な体型は理想体型より太い体型であった.魅力的な男性のシルエットは男女間に差がみられなかった.しかしながら,魅力的な女性のシルエットは男性より女性においてより細い体型と考えていることが示唆された.
著者
原田 勇希 鈴木 誠
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41049, (Released:2017-08-31)
参考文献数
64
被引用文献数
3

本研究の目的は,中学校理科に苦手意識を持ち,動機づけ,とりわけ期待信念が低下しやすい個人特性を明らかにすることである.先行研究の知見を受け,理科学習でのつまずき経験と関連する個人差変数として心的イメージ処理特性に,つまずきが期待信念に与える影響を調整する変数として能力観に着目して理科4分野の期待信念に及ぼす影響を検討した.その結果,空間イメージ処理に苦手さのある生徒は理科に苦手意識を持ちやすいことが明らかとなり,特に物理分野でこの傾向が顕著であった.また物理と化学分野では能力観によってその影響は緩衝され,拡大的能力観を保有していれば,空間イメージ処理に苦手さがあっても統制感が比較的維持される傾向にあった.さらに生物分野の統制感には物体イメージ処理の影響が強く,分野によって要求されるイメージ処理の特徴が異なることが示唆された.
著者
高木 繁 中村 善久 鈴木 元彦 伊藤 博隆 村上 信五 西村 穣 植田 恭弘
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.879-885, 2000-10-01
参考文献数
17
被引用文献数
7 1

The clinical effect of cetirizine hydrochloride on Japanese cedar pollen allergy patients was analyzed by compairing treatment before the start of the pollen season and treatment after the pollen had been scattered.<br>1. Based on the symptom-medication score method, treatment before the pollen season shows a significantly lower value than that of treatment within one or two weeks after the pollen had been scattered.<br>2. Analysis also revealed that this medication relieved nasal symptoms, even in cases, occurring after the season had started.<br>3. Cetirizine hydrochloride was an effective initial treatment for the clinical effects of Japanese cedar pollen allergic reactions.<br>These results suggest that cetirizine hydrochloride is useful for the treatment of Japanese cedar pollinosis.
著者
上馬塲 和夫 仲井 培雄 許 鳳浩 王 紅平 大野 智 林 浩孝 新井 隆成 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会 = The Japanese Society for Complementary and Alternative Medicine
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.119-126, 2007

西洋ではすでに広く家庭で活用され安全性と有効性がわかっている,特に不眠に用いられるバレリアンやレモンバームなどを含むハーブティーの睡眠への効果と安全性の検証を試みた.不眠で悩む病院職員志願者女性 14 名(年齢 21&ndash;62 歳:35&plusmn;11 歳,BMI 21&plusmn;3 kg/m<sup>2</sup>)を対象として,文書による同意を取得し,オープン試験によって 1 週間の対照観察期間の後 1 週間,ハーブティーを夕方 2 回摂取させた.睡眠の質の変化を,OSA 睡眠調査表とVAS (Visual Analogue Scale) で評価した結果,摂取開始の翌日の夜において,対照期間より入眠と睡眠維持について睡眠の質が向上する傾向を認めた.また睡眠の質の悪い群で効果が高く,眠気や胃腸症状を認める例も 19%程度は認めたが継続しても全例自然消失したことから,安全性には問題がないと思われた.<br>
著者
横山 稔之 坂本 祥駿 関 真秀 鈴木 穣 笠原 雅弘
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.40, no.156, pp.14-18, 2020 (Released:2021-02-04)
参考文献数
12

ゲノムの個体間の差異に着目し、数学的なグラフ構造としてゲノムを可視化するためのツールであるグラフゲノムブラウザを開発した。ゲノム科学の研究において、遺伝情報の総体であるゲノムを可視化することは、その差異を検証し、解釈する上で重要である。このとき、複数のゲノムを数学的なグラフ構造で表現するグラフゲノムをデータ構造として用いることで、ゲノム間の様々な差異をより自然に表現することが可能となる。ここでは、グラフゲノムの可視化をするためのゲノムブラウザであるグラフゲノムブラウザとして、MoMI-Gを紹介する。このツールでは、差異の可視化に必要となる様々な情報を表現するための可視化モジュールを実装した。またこれを用いて、がん培養細胞において発見されている融合遺伝子の可視化を行った。グラフゲノムブラウザは、複雑な差異に対し、可視化を通した探索的な解析を可能にする。
著者
國友 宏渉 江上 いすず 長谷川 昇 鈴木 真由子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-79, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

日々の生活習慣が健康に与える影響は大きいといわれる.誤った生活習慣は年齢に関わらず, 生活習慣病と呼ばれる厄介な病気につながることがある.このことは大学生の学生生活, とりわけ不規則な生活スタイルに陥りやすい学生にとっては重大な問題である.そこで本研究は, 学生の生活習慣と健康状態との関係に着目し, どのような生活習慣が健康に対してどれだけの影響力をもつのか, また各生活習慣要因の相対的な影響力の位置関係がいかにあるのかについて明らかにしようとした.本調査によって得られたデータを分析した結果, 学生生活において日常的かつ基本的な生活習慣, 特に食生活に関わる習慣が健康状態を大きく左右する要因として浮かび上がった.中でも, 「食事の規則性」, 「睡眠時間」, 「欠食」などの要因が相対的に大きな規定力をもって現れた.また, 毎日の食品摂取の在り方においても, 「清涼飲料」, 「インスタント麺」, 「菓子類」等の過剰摂取が健康状態にマイナスの因子として働いていることが示唆された.
著者
鈴木 厚 大曾根 康夫 美田 誠二 小花 光夫 松岡 康夫 入交 昭一郎
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.21-29, 1997-02-28 (Released:2009-02-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

膠原病,感染症,悪性腫瘍など様々な疾患が不明熱の原因として知られているが,不明熱の中には最後まで診断が不明のままである症例を経験することはけっして希ではない.不明熱における診断不明例,つまり様々な検査をおこなっても最終診断がつかない症例は不明熱患者全体の7~35%を占めるとされ,過去30年の医学の進歩にも関わらず減少していない.今回,われわれは1991年9月より3年間に当院内科に入院した4596例を調査し,ステロイド剤が著効を示した診断不明の不明熱例について検討した.まず4596例の中でPetersdorfの不明熱の定義を満たした症例は25例(0.5%)であった.この25例の中には膠原病6例,感染症5例,悪性新生物2例,その他2例が含まれており,最終診断不明例は10例であった. 10例にはウイルス感染を思わせる自然寛解例が3例,原因不明のまま死亡した例が1例含まれており,残り6例が診断に難渋しながら平均30.8病日目にステロイド剤を投与し発熱の改善を認めた診断不明の不明熱例(steroid responsive undiagnosed fever of unknown origin: SR-FUO)であった. SR-FUOは高熱とともに重症感を認めること,著明な炎症所見を示し各種検査にても原病不明であること,成人発症スチル病やリウマチ性多発筋痛症など既知の疾患を示唆する所見がないこと,発症年齢が58歳から77歳(平均67歳)と高齢であること,抗生剤,抗結核剤,抗真菌剤の投与にて改善がみられないこと,臨床的に非ステロイド性消炎鎮痛剤が無効であること,薬剤によるものを否定し得た症例であること,ステロイド剤の投与により自他覚所見の著明な改善を認めること,ステロイド剤の減量,中止により再発を認めず比較的予後良好であること,などの特徴を有していた.不明熱の診断には医師の診断能力に差があること,安易なステロイド剤の投与は診断をさらに困難にしてしまうこと,感染症が原因である場合症状の悪化をきたすことなどよりステロイド剤の投与は慎重でなければいけない.しかし,不明熱の診断および治療に難渋する症例の中には,既知の疾患では説明のつかないステロイドが著効を呈する疾患群SR-FUOがあると考えられた.
著者
鈴木 敦子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.29-53, 2017 (Released:2019-09-30)

Naraya (the Sugimoto family), who were kimono fabrics dealers, purchased kimonos in Kyoto, and sold them in the Kanto region during the Edo period, while the major dealers purchased kimonos in Kyoto, and sold them in Edo city. This study examines the Naraya pricing process, using their settlement of accounts statement as well as the statements of Daikokuya (the Tomiyama family) and Echigoya (the Mitsui family).Two important aspects are discussed in this study: the markup pricing method of kimonos, and the convention of changing the price in price tags. Kimono retailers used two markup pricing methods in the Edo period: uchi-mashi and soto-mashi.[1] Uchi-mashi: Cost/(1 - Markup) = Selling price[2] Soto-mashi: Cost × (1 + Markup) = Selling priceThe main store of Naraya in Kyoto purchased kimonos (kudari-mono), priced them at the uchi-mashi, and then sent them to the Kanto branches. More specifically, they classified kimonos and applied a set percentage for each category. That is, using the markup pricing as a standard, Naraya priced each kimono according to aspects such as its quality and mode.However, the price on the tag was not the selling price. The main store priced the purchased kimonos by doubling the selling price, while the branches sold them at the selling price. For example, 200 monme on the tag in Kyoto was sold at 100 monme in the Kanto branches. Thus, the double pricing on the tag in Kyoto by the Naraya was the conventional pricing style, which the Echigoya had established earlier.This study is significant because it is the first in the literature on the economic history of Japan to discuss the above-mentioned aspects.