著者
脇水 健次 西山 浩司 遠峰 菊郎 真木 太一 鈴木 義則 福田 矩彦
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第21回(2008年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.9, 2008 (Released:2008-11-28)

地球温暖化の影響下では,極端な多雨か極端な少雨の発生頻度が増加すると言われている. 従来,わが国では,干ばつ(渇水)防止のために,度々,ヨウ化銀(AgI)やドライアイスを用いた人工降雨法が,実施されてきた.しかし,これらの方法では問題点が多く,雲内の多量の過冷却液体雲水を効率良く降水に変換できなかった.そこで,この問題を解決するために,1999年2月2日から「液体炭酸を用いた新人工降雨実験」を実施し,良い結果を得ている.しかし,これらの実験やシミュレーション結果から,どうしても「雲の厚さが2000m以上」必要であった.しかし,2007年と2008年の実験から,雲の厚さが,1000m程度の「非常に薄い冬季過冷却積雲」からも地上に降水をもたらすことにも成功したので,本稿では,最近の2例{実験A(2007年2月4日)と実験B(2008年1月17日)}の実験結果を報告する.
著者
吉崎 もと子 渋谷 岳造 鈴木 勝彦 清水 健二 中村 謙太郎 大森 聡一 高井 研 丸山 茂徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.58, 2011 (Released:2011-09-01)

様々な分野の研究から、初期地球の熱水系にはメタン生成菌のような水素をエネルギー源とする化学合成独立栄養細菌を一次生産者に持つ生態系が繁栄しており、水素は生命誕生・進化の重要な鍵であったと考えられる。本研究では、初期地球熱水系では当時の表層にあったとされるAl枯渇型コマチアイトが水素発生を担っていたと考え、熱水実験を通して初期地球のコマチアイト熱水系における水素発生量とその反応過程を検証した。その結果、コマチアイトの熱水変質による顕著な水素発生量を確認した。また、実験生成物の分析を行った結果、かんらん石では従来提唱されてきたように蛇紋石化反応に伴う磁鉄鉱生成によって水素が発生しているのに対し、コマチアイトでは別の水素発生プロセスが進行し、それは、粘土鉱物への?V価鉄の分配によるH2Oの還元であると推定した。コマチアイトの熱水変質による水素発生量は、現生のかんらん岩熱水系で観測される水素濃度に匹敵し、現世のかんらん岩熱水系と同様に、初期地球熱水系の生態系に豊富な量の水素を供給していたことが示唆される。
著者
杉田 精司 巽 瑛理 長谷川 直 鈴木 雄大 上吉原 弘明 本田 理恵 亀田 真吾 諸田 智克 本田 親寿 神山 徹 山田 学 早川 雅彦 横田 康弘 坂谷 尚哉 鈴木 秀彦 小川 和律 澤田 弘崇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

リュウグウの近接観測の本番が目前に迫っている。これに備えて、我々は3つの重要な準備を進めている。1) 低アルベド小惑星の可視スペクトルの見直し。2)リュウグウの地上観測スペクトルの解析とメインベル小惑星との比較。3)可視分光カメラONC-Tのスペクトル校正観測。本講演では、これらについて簡潔に紹介する。 まず、メインベルトの低アルベド小惑星のスペクトル解析である。先駆的な小惑星のスペクトルのサーベイ観測であるECAS(Tedesco et al.,1982)の後、地上望遠鏡による多バンド分光のSDSS(Ivezic et al. 2001)、地上望遠鏡のよる連続スペクトルのデータベースであるSMASS2の整備(Bus and Binzel, 2002)、天文衛星WISE/NEOWISEによる多バンド分光のデータベース(Masiero et al. 2011)など多数の強力な小惑星のスペクトルのデータベースが整備されてきた。特に、SDSS やWISE/NEOWISEによって膨大な数がある小さな小惑星のスペクトルアルベドの分布が定量的に計測されたおかげで、RyuguやBennuが由来するメインベルト内帯の低アルベド族の分布については最近に大きな理解の進展があった。まず、以前にNysa族と言われていた族は、E型スペクトルのNysa族の中にF型(or Cb~B型)のPolana族とEulalia族が隠れていることが明らかになった。さらにPolana族とEulalia族は形成時期が古くて広範囲に破片を分布させており、ν6共鳴帯にも多くの1kmクラスの破片を供給していることが分かった。その一方で、より若いErigone, Klio, Clarrisaなどのぞくはずっと若いため、ν6共鳴帯への大きな破片の供給は限定的であることが分かってきた。この事実に基づいて、Bottke et al. (2015)はRyuguもBennuもPolana族由来であると推論している。 このようにSDSS やWISE/NEOWISEのデータは極めて強力であるが、0.7μmのバンドを持たないため、広義のC型小惑星のサブタイプの分類には適さない。その点、ECASは、小惑星スペクトル観測に特化しているだけあって0.7μmのバンドの捕捉は適切になされている。しかし、ECASではあまり多くのC型小惑星が観測されなかったという欠点がある。そのため、現時点ではSMASS2のデータが広義C型のスペクトル解析に適している。そこで、我々はSMASS2の中の広義のC型の主成分解析を行った。紙面の関係で詳細は割愛するが、その結果はCg, C, Cb, Bなど0.7μm吸収を持たないサブタイプからなる大クラスターと、Ch, Cghなど0.7μm吸収を持つサブタイプからなる大クラスターに2分され、両者の間にPC空間上の大きな分離が見られること、またこの分離域はPC空間上で一直線をなすことが分かった。この2大クラスターに分離する事実は、Vernazza et al. (2017)などが主張するBCGタイプがCgh, Chと本質的に異なる起源を持っていて水質変成すら受けていない極めて始源的な物質からなるとの仮説と調和的であり、大変興味深い。 これに引き続き、世界中の大望遠鏡が蓄積してきた23本のRyuguの可視スペクトルをコンパイルして、SMASS2と同じ土俵で主成分解析に掛けた。その結果は、Ryuguの全てのスペクトルがBCGクラスターに中に位置しており、その分布は2大クラスターの分離線に平行であった。これはRyuguが極めて始源的な物質であることの現れかもしれず、BCGクラスター仮説の検証に役立つ可能性を示唆する。 しかし、現実は単純ではない。Murchison隕石の加熱実験で得られたスペクトルもPC空間ではRyuguのスペクトルの分布と極めて近い直線的分布を示すのである。これは、Ryuguのスペクトル多様性がMurchison隕石様の物質の加熱脱水で説明できるとの指摘(Sugita et al. 2013)とも調和的である。この2つの結果は、Ryuguの化学進化履歴について真逆の解釈を与えるものであり、はやぶさ2の試料採取地の選択について大きな影響を与えることとなる。 この2つの解釈のどちらが正しいのか、あるいは別の解釈が正しいのかの見極めは、0.7μm吸収帯の発見とその産状記載に大きく依存する。もし、Murchison隕石様の含水鉱物に富む物質がRyuguの初期物質であって加熱脱水で吸収帯が消えただけの場合には、Ryugu全球が表面下(e.g., 天体衝突などで掘削された露頭)まで含んで完全に吸収帯を失ってしまうことは考えにくい。したがって、0.7μm吸収帯が全く観測されない場合には、VernazzaらのBCG仮説やFやB型の水質変成によってCh, Cghが生まれたと考えるBarucciらのグループの仮説(e.g., Fornasier et al. 2014)が有力となるかも知れない。しかし、0.7μm吸収が見つかって、熱変成を受けやすい地域ではその吸収が弱いことが判明すれば、スペクトル多様性は加熱脱水過程でできたとの考えが有力となろう。 最後に、はやぶさ2ONCチームは打ち上げ後も月、地球、火星、木星、土星、恒星など様々な天体の観測を通じて上記の観測目標を達成できるための校正観測を実施している。それらの解析からは、0.7μm帯および全般的なスペクトル形状の捕捉に十分な精度を達成できることを示唆する結果を得ており(Suzuki et al., 2018)、本観測での大きな成果を期待できる状況である。引用文献:Bottke et al. (2015) Icarus, 247 (2015) 191.Bus and Binzel (2002) Icarus, 158, 146.Fornasier et al. (2014) 233, 163.Ivezic et al. (2001) Astron. J.、 122, 2749.Masiero et al. (2011) Astrophys. J. 741, 68.Sugita et al. (2013) LPSC, XXXXIII, #2591.Suzuki et al. (2018) Icarus, 300, 341Tedesco et al. (1982) Astrophys. J. 87, 1585.Vernazza et al. (2017) Astron. J., 153,72
著者
藤堂 浩明 齋藤 美幸 鈴木 宏宙 井上 裕 高山 幸三 杉林 堅次
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.111-120, 2021 (Released:2021-01-01)
参考文献数
6

It is important when developing effective and safe pharmaceutical products to select adequate active components and formulations as well as to design their containers and devices. Minoxidil was developed as a direct over-the-counter (OTC) drug in 1999 and has long been marketed only by one original company. Recently, many generic products have been marketed. However, the shape and type of the containers for these generic products differ from that of the original product, leading to a possibility that the amount of minoxidil applied by patients may differ. In the present study, the original and three typical generic products with 5% minoxidil external formulations were evaluated for their filling amounts, single application amounts, extent of distribution on application, ability to reach the scalp, and dripping properties. As a result, statistically significant differences were found in the filling amounts and ability to reach to the scalp between the products due to differences in the nozzle shape of the container. In addition, a large variation was observed in some of the generic products in terms of the drug liberation. These results indicate that it is important to suitably design and adequately evaluate the container for OTC products such as minoxidil formulations, which can exhibit toxicity from overuse, and that are easily purchased by consumers.
著者
河合 駿 鉾碕 竜範 鈴木 彩代 若宮 卓也 中野 裕介 渡辺 重朗 岩本 眞理
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】動脈管早期収縮は胎生期に動脈管が狭小化することにより出生後から遷延性肺高血圧や右室壁肥厚を来す疾患である。母体が摂取する様々な物質が本疾患を誘起することが報告されている。今回我々は妊娠中の食生活が影響したと推測される動脈管早期収縮の一例を経験したので報告する。【症例】日齢6の女児。在胎39週3日、体重3792g、APS8/9、自然分娩で出生。出生3時間後からチアノーゼ(体動によりSpO2が80~95%で変動する)を指摘されて前医NICUに入院した。日齢1より酸素投与(鼻カヌラ1.0L/min)開始したがその後もチアノーゼは改善せず、日齢6で当院NICUに新生児搬送となった。心エコー検査で右室求心性肥大と右室圧上昇、卵円孔での両方向性短絡を認め、わずかに開存している動脈管を確認した。動脈管は前医での出生直後の心エコー検査でも同様に細かったことが確認されており、遷延性肺高血圧の原因となる他の疾患を認めないことから、動脈管早期収縮を疑った。転院後も酸素投与のみで経過観察を継続し、日齢13で肺高血圧の改善を確認し酸素投与を中止、再増悪なく日齢18で退院した。母からの聴取により、妊娠中は毎日プルーン3個と種々のドライフルーツ、1日1杯市販の青汁を積極的に摂取していたことが判明した。【考察】プルーンに多く含まれるアントシアニンなどのポリフェノールにはMAP kinaseやPI-3 kinaseの作用を阻害することによるCOX-2発現の抑制作用が報告されている。胎児の動脈管は胎生期後半に増加するPGE2によりその開存が維持されるが、COX-2阻害によりPGE2の産生を抑制されると、妊娠後期に動脈管狭小化を引き起こす。本症例では胎児期の動脈管は評価できていないが、経過より妊娠中のポリフェノール過剰摂取が関与した可能性が疑われた。【結語】ポリフェノールは様々な健康食品に含まれる。妊娠中の過剰摂取は動脈管早期収縮の原因となる可能性もあるため、その危険性を周知する必要がある。
著者
伊藤 陸 藤本 将志 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.33-40, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
25
被引用文献数
2

The activity of the gluteus maximus is said to change with exercise, the hip joint position, and muscle fiber. Therefore, it is important for physical therapy to deepen the understanding of the muscle activities of the upper and lower gluteus maximus in basic movements. In this paper, we examined the muscle activity patterns of the upper and lower gluteus maximus in basic movements using electromyography. The activities of the upper and lower gluteus maximus were different in timing and size of muscle activity in each basic movement, and we describe them using electromyograms.
著者
福水 健次 鈴木 大慈 小林 景
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

H29年度はカーネル法の効率的計算アルゴリズムの課題を中心に研究を遂行した.まず,カーネル法を用いた分布間の距離尺度としてよく用いられる Maximum Mean Discrepancy (MMD)の効率的計算に関して研究を行った.MMDの計算は,そのまま実行するとサンプル数 n に対して O(n^2) の計算量がかかるため大規模なデータに使うことが難しい.これに対し,MMDをU統計量として表現して,データからのランダムサンプリングを行う不完全U統計量の計算を行うと,計算量が削減されるだけでなく,分布の均一性検定の帰無分布が漸近正規性を満たすという非常に良いよい性質を持つことが分かった.この結果に基づいて,MMDの効率計算を従来から研究を行っていた事後選択推論(Post Selection Inference)に応用した論文をまとめて投稿準備を行っている.また,カーネル法を用いた自然言語処理における共起尺度に関して共同研究を行い,低ランク近似の方法を用いることによって比較的少ない計算量で尺度を構築することが可能で,巨大なコーパスからでも学習が可能であることを示した.さらに,カーネル法による分布埋め込みに関するサーベイ論文を出版した.このトピックは本課題においても大きな役割を果たす技術であるが,まとまって書かれた教科書などは存在していなかった.本サーベイ論文は技術を普及するうえで重量な役割を持つと考える.
著者
鈴木 恵輔 加藤 晶人 光本 (貝崎) 明日香 沼澤 聡 杉田 栄樹 中村 元保 香月 姿乃 井上 元 柿 佑樹 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.35-38, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬であり過量内服により多彩な中毒症状を呈するが, 重症例では最悪死に至ることがある。近年インターネットなどで取り上げられ, 自殺目的での中毒症例の増加が懸念されている。今回, 市販の抗ヒスタミン薬の大量服薬により心肺停止に至った症例を経験したので報告する。17歳女性。公園内で倒れているところを通行人が発見し救急要請。ジフェンヒドラミン12,000mg内服したと推定され, 救急隊現着時には心肺停止状態であった。当院救命救急センター来院時も心肺停止状態であり蘇生することはできず永眠となった。後日ジフェンヒドラミンの血中濃度を測定したところ, 来院時の血中濃度は26.73µg/mLと過去に報告されている心肺停止症例と比較しても高値であった。OTC医薬品として簡単に手に入る薬剤での死亡症例のため治療側も販売側も十分に注意していく必要があると考えられる。
著者
鈴木 直恵 岡田 宣子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.835-842, 2000-10-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
12

衣生活行動の自立へ向かう小学校3~6年生女子1, 311名を対象に, 心身の発達を考慮した, 子供服の設計並びに子供の衣環境整備・被服教育のための基礎資料を得ることを目的として, 質問紙調査法により衣生活行動の現状および問題点をとらえた.主な結果は次の通りである.1.通学服の組み合わせを, 3年生では約70%, 6年生では90%以上が自分で決定しており, 主に色の調和を考えて組み合わせを行っている.2.体育のある日には更衣に配慮して, 約40%がかぶり式上衣で登校する.また学年が進むにつれ家からブルマーをはいて行く人が増加する.3.5, 6年生になると, 自己の体つきに対する意識が強まり, 大腿部が見えるミニスカートやブルマーを嫌う傾向がみられ, スカート丈を気にするようになる.4.5, 6年生では, 生理時に濃い色の服を着たり, ブラジャーが目立たないよう透けない服を着ようと配慮している.
著者
鈴木 雄 日野 智
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.690-696, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
9

本研究では,地方都市中心市街地にある駐車場の無料時間について取り扱った.駐車開始からの駐車無料時間の長さによる中心市街地への訪問行動や,中心市街地での滞在特性について分析を行っている.分析のため,中心市街地の訪問者に対しての意識調査と,追跡調査を実施した.追跡調査の結果,駐車無料時間が30分から45分に延長されても,滞在時間や訪問店舗数が増えない結果となった.これは,駐車無料時間が延長されたことの周知不足と,駐車無料時間が15分しか延長されていないことが原因と考えられる.意識調査の結果,駐車場選択における駐車無料時間の効用値が最も高くなった.また,駐車無料時間が60分に拡大されると大幅に訪問意識が増える結果となった.これらのことから,中心市街地への訪問回数や滞在時間を増加させるためには,駐車無料時間延長の周知を増やすとともに,駐車無料時間の60分への延長を検討することが望ましいと考えられる.
著者
前田 玲佳 門前 達哉 蛯谷 征弘 鈴木 大貴 伊澤 和三
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.86-89, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
5

The case was a 35-year-old man. Mandibular foramen conduction anesthesia using lidocaine was performed at the dental office. After anesthesia, he developed convulsions, stopped breathing, and underwent cardiopulmonary resuscitation by a dentist. Mandibular foramen conduction anesthesia causes the tip of the injection needle to reach the mandibular foramen, or mandibular nerve groove, from the oral cavity where the inferior alveolar nerve enters the mandible. The inferior alveolar nerve accompanies the inferior alveolar artery, which is a branch from the maxillary artery. If a local anesthetic is erroneously injected into the inferior alveolar artery, even a small amount of lidocaine may cause immediate poisoning as in this case.
著者
鈴木 康平
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-19, 2021-11-25 (Released:2021-12-02)

Controlled Digital Lending(CDL)とは、図書館によるデジタル貸出を米国著作権法のフェア・ユースにより可能とするために考案されたモデルである。CDLは、物理的な所有数と1対1対応でDRMを施したデジタル化した書籍の貸出を行うというものであり、CDL擁護者は、CDLはフェア・ユースに該当すると主張している。本稿では、CDL擁護者の主張を概観した上で、フェア・ユース該当性について、市場の失敗理論およびその修正理論をベースに検討を行った。その結果、いずれの理論の下でもCDLはフェア・ユースに該当すると考えられるとの結論に至った。日本においても、CDLは図書館の物理的な要因による情報アクセスの格差を解消するという、公益に資するものであるため、CDLを認める制度を設けることが望ましく、CDLの要件を踏襲した権利制限規定を設けることを提案した。