著者
鈴木 賢一郎 坂野 鋭 大塚 作一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.740, pp.7-10, 2005-03-11

本報告において, 我々は日本語テロップの縁取りに着目した文字認識手法を提案する.日本語テロップには可読性の向上のために黒い縁取りがなされている.この縁取りと文字領域の輝度勾配は比較的安定していると考えられることから, このエッジをSobelフィルタで検出し, 加重方向ヒストグラム特徴と同様の方法でヒストグラム化する特徴抽出系を設計した.認識実験の結果, 位置, サイズが完全に正規化された人工データでは100%, また, 評価用映像データベースに現れるテロップでは約70%の認識率が得られ, 提案手法の有効性を確認した.
著者
前田 智雄 前川 健二郎 戸田 雅美 大島 千周 角田 英男 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.83-89, 2008-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
25
被引用文献数
4

種々の光源の組合せによる補光がブロッコリースプラウトの生育およびポリフェノール含量に及ぼす影響を効率的に検討することを目的として,商業生産システムを模した実験装置を設計,製造した.ブロッコリースプラウトの胚軸長,生重,乾物重および総ポリフェノール含量に及ぼす種々の波長の蛍光管の組合せによる補光の影響を検討した結果,48時間の補光後に,1)白色蛍光管とブラックライト(UV-A);2)赤色蛍光管とブラックライトの組合せにおいて総ポリフェノール含量が暗黒や商業生産レベルの光強度に対して有意に高まった.一方,胚軸長はやや短くなったが乾物重には有意差は認められなかった.このことから,ブラックライトを組み合わせて補光を行うことで,抗酸化能を高めたスプラウトを収量や外観品質を損なうことなく生産できるものと思われる.
著者
宮狭 和大 坂内祐一 鈴木 雄士 玉木 秀和 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.134-147, 2007-01-15
被引用文献数
1

実物体に基づいた遠隔コラボレーションでは,遠隔の実空間の間に存在する空間構造の差異を考慮する必要がある.特に既存システムではそれぞれの空間にシンタックスの異なる実物体を配置し,作業対象としてコラボレーションするものが存在しなかった.そこで本研究では,物体の表面に柔軟に貼り付けることができる「シール」の性質に着目し,これを複合現実感(MR)技術と組み合わせた手段として,仮想のシールを遠隔のそれぞれの実物体に基づいて貼り付けることで,実物体の間に存在するシンタックスの違いを吸収してユーザによる作業のセマンティックスを共有する手法を提案する.そして,実物体に対するポインティング機能を有したプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った結果,シンタックスの異なる実物体間で,作業の情報をその意味を損なわずに共有できることが確認された.In remote collaboration based on real objects, the difference of the space structure between the remote real spaces should be considered. In conventional method it is difficult for users to collaborate based on the real objects which differ in syntax each other. To address this issue, we focus attention on a sticker or a sheet which can be attached on a physical object according to its surface. And as a method which Mixed Reality (MR) technology is combined with it, we propose an information sharing method of semantics which each remote user interacts with a real object, by using virtual sheet which can be attached to each real object according to its surface and can absorb the difference in syntax between these real objects. Then we implemented a prototype system which has pointing function and conducted experimentation. As a result it proved that it is possible to share the information of the interactions without losing the meaning between the real objects which differ in syntax each other.
著者
鈴木 和夫 奈良 一秀 山田 利博 宝月 岱造 坂上 大翼 松下 範久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

マツ材線虫病の病徴発現原因物質と宿主細胞との相互関係を明らかにする目的で、材線虫-宿主細胞間で引き起こされる反応について調べた結果、以下の諸点が明らかにされた。(1)感受性の異なる針葉樹5樹種を用いて、宿主の病徴進展とキャビテーション発生との関連についてみると、マツ材線虫病感受性が高い樹種ほど病徴進展にともなって、表面張力が大きく低下することが明らかにされた。このことは、表面張力に関与する物質が病徴進展と密接な関係にあることを示唆している。(2)感染後に産生される異常代謝産物の樹体に及ぼす影響についてみると、材線虫感染によって表面活性物質および蓚酸が産生され、これらの物質によってキャビネテーションの発生が促進されるものと考えられた。(3)表面張力の低下に関与する物質として蓚酸およびエタノール投与では、顕著な影響が認められずエスレル投与によって表面張力は低下した。このことから、病徴進展とエチレン生成が密生な関係にあることが示唆された。(4)キャビテーションの発生は、70%の壁孔閉塞が木部含水率の著しい低下を引き起こすことから、このことが樹体内のランナウェイエンボリズムの発生と密接な関係にあるものと考えられた。(5)光合成阻害処理によって、当年生葉の黄化・萎凋が他処理に比べて促進されたことから、光合成阻害による低糖類の減少が材線虫病の病徴進展と密接な関係にあるものと考えられた。以上の結果から、いままでブラックボックスとされてきた病徴発現原因物質と宿主細胞の相互関係が、病徴進展やキャビテーション発生の観点から明らかにされた。
著者
鈴木 誠
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成21年度は平成20年度の検討をさらに推し進めるとともに,時刻同期機構の開発,無線センサノード向けマルチコアCPUの設計,地震モニタリングシステムの開発を行った.1.時刻同期機構の開発これまでの無線センサネットワーク向けの時刻同期機構は,時刻同期誤差の確率的な相関を考慮しておらず,誤差がホップ数に対して指数関数的に増大してしまうという問題があった.本研究では,時刻同期補正手法をFIRフィルタとしてモデル化し,誤差を増幅させる原因を特定し,新たな誤差補正手法を開発することで,ホップ数に対する誤差の増大を線形に抑えることを可能とした.また,誤差分布について検討を行い,ホップ数と時刻同期間隔の情報のみから時刻同期誤差を推定する手法を開発した.2.無線センサノード向けマルチコアCPUの設計現存する無線センサノードは,無線通信,計算処理,サンプリングなど,複数のタスクを1つのCPUで並列実行しており,スケジューリングの不確定性に伴う測定誤差の増大,パケットロスの発生などの問題が生じる.この問題の解決に向けてはマルチコアCPUによってタスクを分散させることが必要となる.本年度はマルチコアCPUの設計において重要となるコア間通信アーキテクチャの初期的設計を行い,無線センサネットワークの実際のアプリケーションにおいてコア間のデータ通信量を評価することで,設計の妥当性を示した.3. 地震モニタリングシステムの開発平成20年度および今年度に開発したネットワーク基盤技術を利用して,地震モニタリングシステムの開発を行った.ルーティングプロトコルなどの実装を行い,秋葉原ダイビルに8台構成で設置し,20個程度の実地震の取得に成功した.
著者
鈴木 郁郎
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

神経回路システムの動作原理の理解を目指して、1神経細胞単位で任意の回路パターンを作り、その活動を評価する構成的アプローチによる研究を行ってきた、今年度は昨年度までに開発した技術に改良を加え以下のことを行った。(1)<光学計測可能な多電極アレイ基板の開発>既存の電極では、電極上の細胞が可視化できないという問題があったため、白金黒付を薄くして光学計測可能な電極基板を作製した。電極インピーダンスは、従来電極より20倍高かったが、細胞と電極のコンタクトを増すことでS/N比が高い活動記録ができることがわかった.(2)<1神経細胞の発火特性の検出>上記電極を使って、電極上に1細胞単独で培養し、長期自発活動計測を行った。活動が記録されたサンプルの多くは、培養2週間前後から自発活動が観察され、培養1カ月以上の問、長期計測することができた。記録された1神経細胞が示す発火パターンの性質は、計測期間中保たれていたことから、1神経細胞は固有の自発発火パターンを持っていることがわかった。(3)<2神経細胞系からの発火特性の検出>電極上に2神経細胞系を構築し、活動特性を調べた。Burstする神経細胞とsingleスパイクで高頻度発火する細胞(GABA neuron)の共培養した系で計測した結果、burst神経細胞の発火によってGABA neuronが誘発応答を受ける様子が観察され、誘発を受けることによって、自発活動リズムが乱され、時間と共に元のリズムに戻って行く現象等(細胞間相互作用)が観察された。これらの結果により、1細胞単位で構成的に回路を構築することによって、細胞数や発火パターンの組み合わせに依存した神経回路システムの挙動を評価してゆくことが可能となった。この系を使って、高頻度刺激を与えたLTP実験や、医療への応用としてアミロイドβ投与による実験を行い、現在解析中である。
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.
著者
鈴木 潤 元橋 一之 Thoma Grid
出版者
研究・技術計画学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.829-832, 2010-10-09

一般講演要旨
著者
鈴木 隆 木村 隆良 枝 和男 曽谷 紀之
出版者
近畿大学工業高等専門学校
雑誌
近畿大学工業高等専門学校紀要
巻号頁・発行日
vol.18, pp.57-60, 2002-12-01

The alkali metal decamolybdate of ideal formura, A_2O・10MoO_3・nH_2O, form a structurally related family.[1] The complete crystal structures of two members of which, A=K, Na, have been determined.[2, 3] For both, the framework structure consists of double chains of edge-sharing MoO_6 octahedra linked by common corners which form wide (0.29nm diameter) tunnels occupied by the alkali metal ion (Fig. 1). For all these compounds the presence of wide one-dimensional tunnels suggest that there should be a rich intercalation chemistry and related properties to investigate. In this report, There are no published quantitative active energy data of decomposition available for Li and Na-decamolybdates and we present the determination of their active energies of decomposition here.
著者
厚地 淳 田村 要造 鈴木 由紀 安田 公美 相原 義弘 田村 要造 鈴木 由紀 安田 公美 相原 義弘
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ネヴァンリンナ理論は、有理形関数の除外点の個数を評価するなどの有理形関数の値分布の研究に使われる基本的な理論である。古典的なネヴァンリンナ理論が確率論を使って記述できることは研究代表者などの研究により知られている。本研究は、この確率論との関係をより深く研究することにより、一般のケーラー多様体上で定義されている有理形関数に対するネヴァンリンナ型理論を構築する。さらにそれを応用して、ケーラー多様体上の有理形関数の値分布、特に除外点の個数の評価への応用を研究した。
著者
鈴木 孝治 小松 広和
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、元来、最も高感度な分析の一つと位置付けられる質量分析(MS)の感度をさらに増大させると同時に、より確実な定量分析法とするため、LC-MS向きの最適なラベル化試薬を多数開発した。こようなラベル化試薬(MSプローブ)はすでにいくつかを開発していた。しかしながら、本来、MSプローブはもっとポテンシャルがあり、その応用展開はもっと広いはずべきものであり、基礎研究に戻り、さまざまな物質の質量分析に有用なMSプローブの設計を、応用を見据えて検討した。主なMSプローブに関する研究は、以下のようである。1)低分子(イオン)測定用MSプローブの開発研究金属イオン分析用質量分析試薬として、多価重金属カチオン用の配位分子の構造とMS用ラベル化試薬としての性能の相関を詳しく調べた。この場合、KHM1〜10は再合成し、KHM11-36は新たに設計した。また、ヘテロ分子構造のジュエルペンダントリガンドや、フルオロイオノフォア(KMG/KCM分子など)の質量スペクトルを検討して、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、チアクラウンエーテル、その他非環状のヘテロ原子を含むポリエーテルなどの金属配位に富む10種を超える金属カチオン用の質量分析試薬を開発した。さらに、対イオンとして存在するアニオン測定用MSプローブKHM11〜15も検討した。2)高分子(主としてタンパク質)測定用MSプローブの開発研究高分子用のLC-MS用ラベル化試薬として、光解裂型MSプローブを合成し、分子構造と質量スペクトルの関係を詳細に検討した。この場合CREST研究で開発したエステル型分子のMSプローブではなく、エーテル型分子のMSプローブを新たに合成した。これは前者では光解裂により、アニオン性のカルボン酸型になってしまうが、後者の新プローブでは,その問題を解決でき、その結果感度の増加が図れた。このプローブは、光解裂後、ESI-MSで測定できるほか、MALDI法でも十分な再現性や定量性がみられた。このMSプローブは、さまざまな高分子化合物の分析に適するラベル化試薬であり、質量スペクトルを活用して生体、環境などのあらゆる物質情報を入手するのに効率のよい手段を提供するものである。
著者
鈴木 たね子
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.732-735, 2008-07-15
著者
前野 正夫 鈴木 直人 田中 秀樹 田邊 奈津子 田邊 奈津子 田中 秀樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ニコチンとLPSが,歯肉上皮を浸透して骨芽細胞および破骨細胞前駆細胞に作用することを想定し,本研究を企図した。ニコチンとLPSは,骨芽細胞に対して破骨細胞形成を促進する種々の因子の発現を増加させるとともに,骨芽細胞による類骨層のタンパク代謝を分解系に傾けた。破骨細胞前駆細胞に対しては,骨基質タンパク分解酵素の発現増加を介して骨吸収能を上昇させた。これらの結果,歯槽骨吸収が促進されて歯周病が増悪する可能性が示唆された。
著者
鈴木 明子 一色 玲子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生活実践への自己効力感の下位項目「数的処理」「分析的思考」等 と家庭科布ものづくり学習への好意度との間に小中学生で相関がみられ,小学生では一般性自己 効力感の因子項目と同好意度との間にも相関がみられたことから,布ものづくり学習への好意度 が増せば,生活実践への自己効力感や一般性自己効力感の向上につながることが示唆された。ま た中学校の二つの授業を分析することによって,製作過程で思考を深める場面を設定することが,「技能への自信」等の生徒の自己評価を高め,製作活動への好意的意識をもたせることに効果的 であることが明らかになった。
著者
鈴木 孝明
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、MEMS製造システム技術のフレキシブル化・ハイスループット化を目的として、駆動機構を有する複数の機能を集積化したマイクロシステムを単一マスクパターンからアセンブリフリーで作製する方法を開発した。本技術の特徴は、複雑に流路が入り組んだマイクロ流体システムの作製と、さらにその内部に磁気駆動素子を組み込むことをアセンブリフリーでできる点にある。作製方法として、独自の加工技術である単一マスク回転傾斜リソグラフィにより、(1)フォトレジストを塗布して流路構造を作製し、(2)さらに(1)とは逆型のフォトレジストに磁気微粒子を懸濁し、流路内に導入して同じマスクを用いて露光することによって、磁気駆動素子をマイクロ流路内に作製・同時設置する方法を提案した。
著者
渡辺 裕子 鈴木 和子
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.15, pp.149-154, 1993-03

家族成員間の介護労働の分散化とは何かを明かにするため,要介護老人を介護している18家族について,家族の介護労働に関するデータを収集し分析した。その結果,介護労働の分散化を構成する因子として,(1)家族成員(2)介護労働(3)人間関係を抽出し,この構成因子の特徴の組み合わせにより,介護労働の分散化の分類を試みた。また,影響因子の作用としては,(1)促進(2)阻害が,影響因子の内容としては,(1)情緒,(2)コミユニケーション,(3)手段,(4)認識を抽出した。これにより,家族の介護労働の分散化を総合的に捉え,誰にどのような援助が必要かを導き出す援助アセスメントに有効な示唆が得られた。
著者
宮堀 真澄 澤井 セイ子 佐藤 怜 鈴木 圭子 三浦 正樹 Masumi MIYAHORI Seiko SAWAI Satoru SATO Keiko SUZUKI Masaki MIURA 介護福祉学科 秋田大学教育文化学部 秋田大学 介護福祉学科 介護福祉学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.31-39, 2003

本研究は、特別養護老人ホームに働く介護職員を対象に行った社会的スキルの結果から、今後の介護福祉士現任教育のあり方を考察したものである。調査の結果、(1)介護職員は総体的に利用者の表出行動などから、感情や態度を判断するスキルを高く評価していた。しかし、自分から表現をすることは総体的にできていないといえる。(2)若い世代の介護職員は比較的、社会的スキルの評価は低い結果であった。(3)資格では、訪問介護員が「感情コントロール」において介護福祉士より高く評価していた。(4)介護職員の社会的スキルの構造を明らかにするため因子分析をした結果、『伝達因子』・『解読因子』・『表出因子』・『感情統制因子』の4因子が抽出された。これらのことから、人間関係の学習は、継続して教育され、実践の場において活用されてこそ意義があると考える。したがって、介護福祉士の専門性を高める意味でも社会的スキル・アップの研修の場が必要であると考える。
著者
鈴木 良雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.46-51, 2006
参考文献数
8
被引用文献数
1

神奈川県立川崎図書館は公立図書館でありながら, 自然科学, 工学, 産業関係の専門的資料を有する図書館として知られている。昭和33年の図書館設置時に図書館の目的として, 「自然科学および工業」に関する資料の収集を位置付けられた。開館後は自然科学・工学・産業関係資料の重点を置いた収集を進めた。これがアイデンティティの基本としてその後も大いに影響を与えた。ユニーク資料として特許資料を整備するとともに, 社史などを鋭意収集し全国的なコレクションを構築した。平成10年には「科学と産業の情報ライブラリー」としてリニューアルを実現し, 発展を続け, 平成17年には「ビジネス支援室」を開室させ公立図書館を取り巻く環境変化の中, 新たな時代への挑戦を続けている。
著者
木村 聖路 工藤 育男 鈴木 秀和 福士 道夫 坂田 優 菅 三知雄 相沢 中
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.422-427, 1995-06
被引用文献数
3 3

症例は49歳,男性.平成4年8.月15日,突然の左下腹部痛が出現し,当科入院.諸検査にて腸間膜腫瘍と診断した,血中CEA値が高値を示し,CT像は左側骨盤内に隔壁を有する嚢胞性腫瘍を示した.11月9日に手術を施行.S状結腸間膜に原発腫瘍があり,ダグラス窩から左下横隔膜腔にかけて粟粒大の粘液様分泌物が散在していた.摘出した腫瘍は内腔に粘液を多量に含んだ鶏卵大の嚢胞で,嚢胞壁の組織学的所見は隣接する大腸と同一の粘膜層,粘膜下層,筋層を有しており,重複腸管と診断された.さらに嚢胞内壁に配列する高円柱状細胞が低悪性度の粘液嚢胞腺癌に変化しており,重複腸管の腫瘍化と考えられた.粘液は嚢胞壁を破壊して壁外へ進展しており,腹腔内粘液にも同様の腫瘍細胞を確認した.S状結腸に隣接する重複腸管を原発巣とする腹膜偽粘液腫のきわめて稀な1例と考えられた.