著者
鈴木 達治郎 城山 英明 武井 摂夫
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.161-168, 2006 (Released:2008-02-29)
参考文献数
3
被引用文献数
3 2

安全規制に対する社会的信頼の確保を目的として,安全規制体制に一定の「独立性」を付与する試みが行われる.独立性は,様々な文脈における政治的独立性と技術的独立性に分けて理解することができる.本研究では,米国における原子力規制委員会における独立性の制度設計とその運用を分析し,我が国における原子力安全規制体制と比較することを通して,社会的信頼を確保するためには政治的独立性だけではなく技術的独立性が重要であるという示唆を得た.
著者
鈴木 一郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ヒドラジン、ヒドラジド型不斉有機触媒を用いた不斉Biginelli反応に関して検討を行った。ピラゾリジン塩酸塩が高活性を示したことから、これを元にアザプロリン型不斉触媒を合成し、Biginelli反応に応用した。しかしながら、ピラゾリジンに比べ、触媒活性が大きく低下したほか、不斉収率は低いことが解った。このほかにジアミイミダゾリジノン、アミノオキサゾリジノン型触媒を検討した。これらの触媒はDiels-Alder反応においては高活性を示し、不斉収率も極めて高かった。
著者
鈴木 啓之
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

研究成果の総括1) UVA照射による実験結果についてマウスの背部皮膚を用い、UVA照射群ならびにPUVA施行群の2群に分けて実験を行った。その結果、PUVA施行群の一部の表皮にヘマトキシリン・エオジン染色でエオジン好性の顆粒の出現が見られ,epidermolytic hyperkeratosis(EHと略す)によく似た所見が認められた。この好酸性顆粒の性状につき、ケラチンを主とした免疫組織学的検討を行ったが顆粒の性状を同定するには至らなかった。ケラチンの凝集塊と思われるが、その他の物質である可能性も否定できないといった段階である。2) Persistent actinic epidermolytic hyperkeratosis(PAEH)のケラチン凝集塊についてPAEHはケラチンの凝集塊の形成が特徴的である。病巣部のケラチン凝集塊につき、どのようなケラチンの凝集塊なのか光顕ならびに電顕レベルで免疫組織化学を用いて検討した。その結果、ケラチンの凝集塊はケラチン1とケラチン10から成ることが判った。3) PAEHの病因病態ならびに分類に関する考察PAEHの病巣部のケラチン凝集塊がケラチン1とケラチン10から成ることが判った。研究期間内には遺伝子レベルでの検討にまでは至らなかったが、PAEHも先天性のEHと同じくケラチン1とケラチン10の遺伝子のmutationによる可能性が考えられ、誘因は強い太陽光線の照射であろうと推測した。分類に関しては、PAEHは強い日光照射により発症すると考えられ、後天性のEHを来す疾患のなかで独立した位置に置かれるべきと考える。
著者
米田 浩久 鈴木 俊明
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-89, 2002-09-20

今回,右大腿骨骨幹部骨折症例に対し動作分析を重視したトップダウン過程の評価を基に運動療法を施行し,良好な結果が得られたので報告する。患者は43歳の男性である。 2001年3月4日,交通事故により右大腿骨骨幹部骨折と診断され,2001年7月26日,関西鍼灸短期大学附属診療所(本学)において理学療法開始となった。それまで,複数の医療機関がこれらの障害の改善を目的とした運動療法を実施し改善したが,著明な歩行の改善は認められなかった。本学における初期時理学療法評価では右下肢に関節可動域制限と筋力低下を認めた。また,歩行動作観察において,左立脚相では支持脚への充分な体重負荷が困難であり,その為,患者は右下肢の前方振出しに右骨盤挙上を要した。一方,右立脚相でも骨盤の支持脚側への移動が認められず支持脚で体重支持が不十分であった為,左下肢の前方振出しに体幹右側屈・左回旋と左骨盤挙上を伴った。このことから,我々は,両立脚相における体幹筋の非協調的な筋活動が症例の問題点であると考えた。これらの問題点に対して,両立脚相での十分な体重支持を得る事を目的に正常動作時の立脚相の動作を基にした運動療法を行った。訓練は1回当たり40分とし,週1回の頻度で3週間継続した。その結果,患者は両立脚相において安定性が向上し効率的な歩行が可能となった。以上のことから,動作分析を重視した評価は骨関節疾患に有効であることが示唆された。
著者
田中 康夫 井上 庸夫 鈴木 雅一
出版者
独協医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

誘発耳音響放射(OAE)に関する私共の行なってきた研究(Tamaka et al.,1988他)からこの音響現象が騒音難聴などの内耳障害程度の指標として役立つことや,更にそれがdip型聴力障害の易傷性と関係を有していることが示唆されてきた。本研究では実際の騒音環境にある対象で耳音響放射の測定を行ない,音響易傷性の個体差について検討を行なった。対象としてF中学校女子吹奏楽部員33名およびS自動車部品工場勤続2年従業員16名を選び,聴覚検査とOAEの測定を行なった。騒音測定装置を用いて解析した作業場の騒音レベルは90.0〜97.0 dBLcegであった。1). 中学吹奏楽部員33名64耳のうち,41耳(63.5%)に自記オ-ジオグラム上のdip型聴力損失を認めた。OAEの持続が6ms以上であった。cーOAEは36耳(56.3%)に認められた。cーOAE(+)耳群のうちdip損失のあった耳は80.6%なかった耳は19.4%であった。dip損失のあった群のうちcーOAE(+)耳は70.7%,cーOAE(-)耳は29.3%であった。2). 工場従業員16名32耳のうち,16耳(50.0%)にdip型聴力損失が認められ,20耳(62.5%)にcーOAEが観察された。cーOAE(+)20耳のうち,13耳(65.0%)にdip型損失あるいは高音急墜がみられたが,7耳(35.0%)には障害が認められなかった。cーOAEが(+)であり,かつdip損失を伴っていた耳群のうち8耳は,22ケ月前の調査で,全例がcーOAE(-)であり,そのうち7耳はdip損失も伴っていなかった。今回の中学校における調査結果は以前に行ったH中学校で得られた成績と同様に,OAEの持続する耳と音響易傷性の関係を支持するものであった。工場における調査では,両者の関係を実証する統計的に有意な結果は得られなかった。工場の調査ではcーOAEが素因ではなく結果である可能性が示唆され今後,作業環境,耳栓装用,および検査前休養時間などの条件をさらに厳密に一定化して検討する必要があると考えられた。
著者
原 美弥子 林 陸郎 鈴木 牧彦 飯田 苗恵 小林 万里子
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は1)在宅心臓病患者を対象に気功(採気体操)・太極拳による運動プログラム介入の安全性および有効性を検証する、2)地域支援型心臓リハビリテーション展開の基盤として運動継続の場を地域に設定することを目的とした。目的1)では調査研究機関の前橋赤十字病院研究倫理委員会において研究許可を得て、調査を開始したところである。研究対象者は急性心筋梗塞で、入院期間に不整脈等の合併症がなく200m歩行負荷を終了した患者を選定基準とした。退院後12週間の介入前後に心循環応答、ホルター24時間心電図による自律神経活動、包括的健康度(健康関連QOL尺度:SF-36)等を評価する。平成21年5月現在、研究協力者1名(68歳、男性)を調査介入中である。今後の研究継続により研究参加数を増やし、非監視型心臓リハビリテーションとして本研究運動プロブラムの有用性を明らかにしていく。目的2)では群馬県立県民健康大学および前橋市商工会議所との共同企画事業の一環として平成19年より地域住民を対象に「気功・太極拳教室」を開始した。平成20年は12回開催し、その教室卒業者を母体に地域住民が主体的に気功・太極拳を行う場を地域の自治会館内に設定し、グループ活動(1回90分/週)を開始した(平成20年7月発足)。その中で研究協力者16名に採気体操ビデオ(DVD)を配布し自宅での12週間継続状況を調査した。研究協力者は平均年齢64.9歳、男2名、女14名、服薬加療中は8名(高血圧・心臓病・糖尿病・高脂血症・メニエール病)、運動習慣ある5名、運動習慣ない11名であった。グループ活動中断者2名(腰痛悪化、仕事の都合)を除く参加者14名の体操実施は84日に対して平均36.4日実施率43%で、100%、98%実施者が各1名だった。今後は実施率の低い者に対する認知行動科学的介入方法を検討する必要がある。
著者
鈴木 有 青野 文江 後藤 正美
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.185-192, 1995-11

本論では、1994年12月28日に発生した三陸はるか沖地震地震で主要な被災地となった青森県八戸市を対象に、市の健康福祉部と八戸市域消防本部がまとめた負傷者の資料に基づいて、若干の統計分析を行い、1993年釧路沖地震の場合と比較しながら、人身被害の発生状況と発生原因、建物被害の地域分布との関連等を、特に高齢者の被害に注目しながら考察した。本論での検討結果をまとめると、次のようになる。(1) 本地震は、2年前に発生した釧路沖地震と発震の季節や日時、主要被災地の環境条件が似通っており、人身被害の発生にも共通する傾向が認められた。(2) 女性の被災率が男性を上回ること、災害弱者となる高齢者(特に女性)に負傷の発生率が高いこと、がまず指摘できる。(3) 最近の地震による人身被害の発生過程と同様に、重量のある家具や設備機器の転倒や落下で身体の各部位に挫傷・打撲・捻挫等が、散乱した落下物の割れ物で下肢や手部に切傷が、被震中や直後の対処行動時の転倒・転落・衝突で各部位に打撲・捻挫・骨折等が、そして石油ストーブ上の熱湯による下肢の熱傷が著しかった。釧路沖地震の場合と比べると、熱傷の発生比率が半減し、挫傷系列の占める割合が多いこと、ガス中毒の発生が少なかったことが今回の特徴である。(4) 今回の地震は本震の10日後に強い余震を伴った。両者の震源が異なるため、地動分布に差を生じ、負傷者発生の地域分布も相当に変わったが、余震時の人身被害の発生は本震の体験を経て抑制されたと評価できよう。(5) 高齢者は心因性による内科性や神経性の発症割合が他の年代よりも多く、非常時の精神的ダメージの影響が大きいことが現れている。また外傷性では、骨折・捻挫が多くを占め、特に女性に目立っている。これは高齢に伴う身体全体の老化に加えて、骨粗鬆症など骨の老化が起こりやすい女性の特性を反映していると考えられる。(6) 釧路沖地震の場合も含めて、重傷は骨折・捻挫と熱傷から多く発症している。また年代別では、高齢者に重傷の発生割合が高く、身体機能の低下により、軽傷で防ぎ切れない場合が多いことをうかがわせる。(7) 震度6程度の揺れでは、建物の大きな被害が起こる以前に、生活空間中の多様な存在物が危険物と化し、在室者の対処行動の混乱も加わって、負傷発生の原因となる。寒冷地における熱傷防止には、暖房用火器への作用度の高い対震自動消火装置の装備普及に加えて、湯沸かしや加湿のための容器を直上に置かないこと、本体の転倒抑制を工夫することが必要となる。打撲や挫傷の防止には重い家具の転倒・落下対策が、切傷の防止には割れ物の破損対策が基本で、安全空間の事前確保が肝要である,特に高齢者を含めて弱者への配慮を心がけたい。こうした一連の備えが重度の被害防止に役立つはずである。
著者
鈴木 治
出版者
鳥羽商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アナログ放送にかわるデジタル放送を船舶で受信し、船舶でも家庭用の受信装置と市販のアンテナでハイビジョン放送が受信可能であることを確認した。日本のデジタル放送は、十分な電界強度を得られれば、陸上と同じ画質を得られることがわかった。しかし、既存の無指向性アンテナを使用する場合、アナログ放送に比べると、受信可能範囲が狭く、本研究で開発した受信系のシステムが必要となることがわかった。
著者
鈴木 孝昌
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.179-184, 2002-11-13
参考文献数
10
被引用文献数
3

この原稿は,今年の7月に淡路島で開かれたMMS研究会第31回定例会での特別講演をもとに作成したものです.これまで,10年以上にわたり国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部において,環境変異原研究に携わってきましたが,この4月に部を移動になり,環境変異原研究とは今後少し距離を置かざるを得なくなりました.この機会に自分としても一歩離れた立場からこれまで歩んできた道を振り返り,少し大胆に提言をさせていただきたいと考え,「環境変異原研究の光と陰」というタイトルで講演をさせていただきました.講演後の反響もあり,内容に関する問い合わせもいただいたことから,今回環境変異原研究の原稿として,まとめ直させていただきました.これがきっかけとなり,環境変異原研究の方向性に関する議論が盛り上がることを期待します.
著者
庄子 習一 竹山 春子 水野 潤 関口 哲志 細川 正人 尹 棟鉉 鈴木 美穂 福田 武司 船津 高志 武田 直也 モリ テツシ 枝川 義邦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、微小発光サンプルの光学的超高感度定量計測を可能とすべく、以下の新規マイクロ流体デバイス要素技術を開発した。1)自由なサイズの液滴作製技術の構築,2) 自由な流れのコントロール技術の構築,3) 液滴のパッシブソーティング技術の構築。次に要素技術をシステム化することにより、微小発光サンプルの計測を実現した。1)液滴に生体サンプルを個別に抱合して環境微生物個々の遺伝子を解析,2) 個別に抱合された細胞の成長を観察して酵素反応活性を評価。本研究の遂行により、従来定性的観察のみ可能であった光学信号が高感度な定量的計測結果を得るのに十分なレベルに増幅され、光学的定量計測が実現された。
著者
鈴木 玲子 常盤 文枝 山口 乃生子 大場 良子 横井 郁子 高橋 博美
出版者
埼玉県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、批判的思考力の育成が養われるWeb 版でのPBL 教育プログラムを開発・実践し、開発したプログラムの有用性を批判的思考力などから検証することである。研究Iは、看護教育独自な批判的思考を支えるCT 尺度の信頼性と妥当性を検討し、5 つの下位尺度、15 項目からなる看護版の「批判的思考態度尺度」を開発した。下位尺度は、「懐疑的態度」「協同的態度」「根気強さ」「探究心」「論理的思考への自信」と命名し、Cronbach'α係数は全体で0.79、外的基準尺度と看護基礎教育用批判的思考態度尺度との間には有意な正の相関が得られ、この尺度をWeb 版でのPBL 教育プログラムの検証に使用した。研究IIでは、看護診断学習に対して、Web を活用した場合のPBL 学習とPBL テュートリアル学習の教育前後での批判的思考力評価を比較し、Web 版PBL 教育の効果を検証した。その結果、批判的思考態度や対人技能態度評価の比較では、二つの教育方法による有意な差はみられず、同等の教育効果を示す傾向が得られた。しかしながら、対象者数が少ないこともあり、さらなる検証を必要する課題が残る。また、ICT の教育への運用面についても検討が必要である。
著者
津田 敦 道田 豊 齊藤 宏明 高橋 一生 鈴木 光次
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、DMSなどの生物起源ガスを計測するグループに海域の生物学的な情報を提供し、その変動機構を推測する一助となった。また、台風通過を再現する培養実験により、台風通過時には大型植物プランクトンである珪藻が卓越し海域の炭素循環や食物網構造を変えることを明らかにした。クロロフィルセンサー付きアルゴフロートは、台風には遭遇しなかったが幾つかのアノマリーを観測している。知見の少なかった亜熱帯の動物プランクトンに関しては、極域で特徴的にみられる、季節的な鉛直移動が亜熱帯種においても多く観察され、台風など時空間的に予測できない高い生産が、亜熱帯の生物生産を支えている可能性を示唆した。
著者
永崎 研宣 鈴木 隆泰 下田 正弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.57, pp.33-40, 2006-05-26
参考文献数
9
被引用文献数
2

大正新脩大蔵經テキストデータベースは、すでにすぺてのテキストの入力を終了し、その正確性を高めるという次の段階に入っている。これを効率的に行っていくためには、より効率的かつユーザフレンドリーなコラボレーションシステムの開発が有効である。コラボレーションシステムは、それまでの作業のルーティンを損なうことなく、その問題点を解消できるものでなければならない。そのため、Webベースのシステムを基本としつつ、コア部分では、作業者のスキルの格差を考慮し、ローカル側での作業に比重を置くインターフェイスと、Web上ですべての作業を行うインターフェイスの二種類を併用する形とした。The text-database of the Taisho Tripitaka has entered a correction phase since inputting of all texts has been finished. It is useful to develop a more efficient and user-friendly collaboration system to solve previously experienced problems without disturbing the routine of the work. Therefore,we developed a Web-based collaboration system which has two interfaces accomodating the differences of workers,skill levels. One is based on the work done on the local computers and the other is carried out entirely on the Web.
著者
渡辺 幹男 中川 潤 鈴木 峰男 西村 允
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.99, pp.27-32, 1994-06-17
被引用文献数
2

人工衛星には、衛星本体と太陽電池パドルの間ですべり摩擦をしながら電気信号や電力を伝達するスリップリングが用いられている。宇宙用スリップリングには、超高真空中においてトライボロジ及び電気特性に高い信頼性が要求される。ホットプレス法で作製した4種類の銀系複合材の摩擦、摩耗、通電特性をピン, 円板摩擦試験機とスリップリングモデル機を用いて真空中で評価し、宇宙用スリッピングへの適用性を検討した。試作したAg-MoS_2-NbSe_2系複合ブラシ材と銀系リング材の組合せは、通電量1〜20A、通電密度4〜800A/cm^2の全領域にわたって、現在人工衛星で使用されているスリップリングよりも優れた摩擦、摩耗、通電特性を保持しており、電気信号伝達用、電力伝達用、さらには今後の大電力伝達用のいずれのスリップリングにも適用可能である。
著者
鈴木 秀美 山田 健太 砂川 浩慶 曽我部 真裕 西土 彰一郎 稲葉 一将 丸山 敦裕 杉原 周治 山本 博史 本橋 春紀 岩崎 貞明 笹田 佳宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本の放送法は, 放送事業者の自律を前提としているため, 放送事業者が政治的に偏った番組や虚偽の事実を放送して番組内容規制(番組編集準則)に違反しても, 放送法には制裁がなく, 電波法による無線局の運用停止や免許取消は強い規制であるためこれまでに適用されたことがない。結果として, 違反があると, 行政指導として, 実質的には行政処分である改善命令に近い措置がとられているが, このような手法には表現の自由の観点からみて重大な問題があることが明らかになった。日本では現在, 通信・放送の融合に対応するため通信・放送法制の総合的な見直しが行われている。本研究は, 現行法制が内包している憲法上の問題を新しい法制に積み残さないために, 問題点を整理・分析したうえで, ありうる改善策を提示した。
著者
鈴木 幹雄 堀 典子 長谷川 哲哉
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本科学研究費補助金研究では、事例カッセル・ドクメンタを手掛りに、芸術学校バウハウス第二世代が第二次世界大戦後ドイツにおける文化的・芸術的な文化創出システム《ドクメンタ》にどのような貢献を行ったかについて研究した。その為に、まず第一に、バウハウスを改革史的な文脈に生まれた学校と位置付け、戦後ドイツの教育界、芸術学校の世界の中でバウハウス第二世代がどのように活躍したかを明らかにした(対象:ハンブルク芸術大学、ベルリン芸術大学、デュッセルドルフ芸術大学)。当該研究の研究経過は次の通りであった。課題設定・分析・調査(平成14-15年度):(1)カッセル・ドクメンタの展開とA・ボーデの構想、(2)戦後ドイツにおけるバウハウス第二世代の教育思想と造形芸術観の形成過程・展開過程について(モティーフ:ハンブルク芸術大学長ハッセンプフルークの教育理念、同芸術大学「自由芸術」コース招待講師講義(1953-55年))、(3)デュッセルドルフ芸術大学の戦後改革とその学長代行E・マタレの芸術学校改革について、(4)ベルリン芸術大学の戦後改革について(モティーフ:同芸術大学教授G・フィーツの教育実践)。当該研究の成果(平成14-16年度):ドクメンタ参加芸術家と戦後の芸術運動団体Zen 49グループの活動を糸口に、ハンブルク芸術大学、カッセル芸術大学、デュッセルドルフ芸術大学、ベルリン芸術大学へ在職していた「バウハウス第二世代」教授達が、カッセル《ドクメンタ》の発展に重要な貢献を行ったことを解明した。
著者
村上 かおり 鈴木 明子 一色 玲子 藤井 志保 林原 慎
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.225-230, 2010

2012年から全面実施される中学校新学習指導要領技術・家庭, 家庭分野では, 浴衣など和服について調べたり着用するなどして, 衣生活文化に関心をもたせたり, 和服の基本的な着装を扱うことが有効な手だてとなり得ることが述べられている。そこで本研究では, 衣生活題材における製作教材をカジュアルベストから甚平に代えて, 衣生活文化に着目した題材を提案した。本題材は広島大学附属三原中学校にて平成22年度中学3年生を対象として行った。指導にあたっては, 幅広く衣生活に関心を持ち, 学んだことを生かせるように, 個性に応じた着装の工夫という視点に加え, 甚平をなぜ作るか, どのように作るか, どう活用するかの道筋を示し, 課題を解決しながら学ばせた。また和服についての調べ学習を行わせ, 身近な衣服や技術が我が国の伝統や文化の中で受け継がれていることに気付かせることをねらった。その結果, 甚平製作を通して, 生徒は和服の特徴や衣生活文化について多くの気付きを示した。このことから, 甚平製作が衣生活文化の題材として有意義であることが示唆された。しかし実習時間の不足という課題も改めて認識できた。
著者
鈴木 隆史
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

勾配を持つポテンシャル中に閉じ込めたボーズ粒子系で現れる有限温度下の秩序状態について調べた。まず調和ポテンシャル中の擬2次元希薄ボーズ気体の有限温度特性についてProjectedグロスピタエフスキー方程式を数値的に解いて調べた。その結果、位相相関関数の減衰冪がポテンシャル中心付近で現れるコヒーレント(凝縮)領域とその周囲に現れるインコヒーレント(非凝縮)領域の境界でコスタリッツ-サウレス型の臨界特性を示すことがわかった。続いて一軸方向にのみポテンシャル勾配を持つハードコア2次元拡張ボーズハバードモデルで現れる秩序状態の空間分布について量子モンテカルロ法を用いて調べた。この系は一様ポテンシャル下で化学ポテンシャルを変化させた場合に固体状態から超流動状態へ一次転移を示す。ポテンシャルの勾配を変えた場合に固体状態と超流動状態の境界付近で現れる秩序状態に注目した。その結果ポテンシャル勾配の形を変化させても両者は相分離し、局所密度近似の結果、すなわち一様系で観測される一次転移の振る舞いが相境界で見られることが分かった。