- 著者
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田中 景子
飯島 洋一
高木 興氏
- 出版者
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会
- 雑誌
- 口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.2, pp.215-221, 1999-04-30
- 被引用文献数
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エナメル質ならびに象牙質の脱灰病変に,重炭酸イオンを作用させることによって,再石灰化の過程にどのような影響を及ぼすかをin vitroで検討した。試料には50歳代の健全小臼歯を用いた。脱灰は0.1M乳酸緩衝液(Ca 3.0mM, P 1.8mM, pH 5.0)で7日間行い,続いて再石灰化溶液(Ca 3.0mM, P 1.8mM, F 2ppm,pH 7.0)に7日間浸漬した。この再石灰化期間中,8時間ごとに再石灰化溶液から取り出し,30分間,4種の異なった重炭酸イオン溶液(0.0, 0.5, 5.0, 5O.OmM)に浸漬した。薄切平行切片を作成し,マイクロラジオグラフによってミネラルの沈着を評価した。エナメル質では重炭酸イオン濃度の増加に伴って,病変内部に再石灰化が発現する傾向が認められたが,統計学的な有意差はなかった(p=0.09)。一方,象牙質では表層に限局した再石灰化が認められた。特に5.0mM群では著明であったが,エナメル質と同様,統計学的な有意差は認められなかった(p=0.08)。エナメル質と象牙質で異なる再石灰化の所見が発現した理由は,重炭酸イオンの浸透性の違いによるものであると推察される。