著者
田畑 惣太郎 岩崎 慶 高木 佐恵子 吉本 富士市
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.668, pp.1-6, 2005-02-18

現在, 多くの情報検索システムがあるが, モバイル環境で利用できるものは少ない.本稿ではモバイル環境で簡単に利用できる花の画像検索システムについて述べる.本システムは, 携帯電話を用いて撮影した花の画像とその位置情報, および花の簡単な特徴を花の画像検索サーバに送り, 検索した結果を携帯電話で確認するシステムである.特徴量の和による順位付けと, 各特徴量の順位を用いた順位付けの2種類について, 特徴量の重みを変化させて, 検索方法の評価を行った.その結果, 目的とする花が第1位から第10位までに入ったものが最も高かった組み合わせにおける検索率は, 前者で89%, 後者で87%であった.
著者
和田 修二 高木 英明 田中 昌人 坂野 登 柴野 昌山 岡田 渥美
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

今年度において特に明らかになった重要な知見として次のようなものがある。1.今日の大学教育のあり方を考える上で、最も重要な論点の一つは、大学教育におけるいわゆる「一般教育」の位置づけにあると思われる。しかし、戦後の大学改革の経過においても「専門教育」と「一般教育」との接続の仕方は未だ十分に改善されているとは言い難く、その結果「一般教育」の必要性すら疑問に付されている。しかし、一方で専門的な学習・研究にとって「一般教育」は依然として不可欠であり、また他面、現在ではむしろ大学が融通の効かない専門家ではなく、「一般教育」を十分に身につけ広い視野をもった人材育成の場となることも各界から望まれているという事実もあり、この点に鑑みれば、「専門教育」の準備段階としてのみならず、それをより高い次元で総合し、広め深めるもっと積極的な意義と位置を「一般教育」に与えることが、今後の大学改革にとって必要な視点と思われる。2.今日の大学のあり方の問題に関わって、企業による新卒学生の選抜過程や、学生生活の実態の調査から次のような新しい観点も提出された。従来大学の機能は専ら専門的な技能や知識の習得にあると考えられてきたが、しかし現実には、大学は各学生の一種の社会化をフォ-マル・インフォ-マルに促進する「かくれた」機能ももっており、この点も明確に考慮にいれた大学の改革が必要である。3.近年社会人の再教育・継続教育の場として大学が注目されているが、大学入試制度の一環たる社会人入学の選抜方法は未だ模索中であると言える。わが国の選抜方法は、諸外国に比べ入学希望者にとって比較的条件の厳しいものであり、この点では更に多様で開かれた選抜方法の可能性が検討される必要がある。
著者
佐藤 仁 小西 史一 山本 泰智 高木 利久 松岡 聡
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2009-HPC-123, no.6, pp.1-7, 2009-11-23

TSUBAME 上で Hadoop を実行するためのツール 「Tsudoop」 を開発した.Tsudoop は,既存システムの構成や運用方針の変更をすることなく,TSUBAME 上のジョブスケジューラである n1ge や Lustre ファイルシステムなどと協調して動作して Hadoop 実行環境を構築し,ユーザの MapReduce アプリケーションを実行する.予備実験として,このツールを用いて,生物医学系の学術論文を対象にした書籍情報データベースである MEDLINE に対してテキストの全文検索を行うアプリケーションを実行した.その結果,1 ノード (16 コア) での実行と 32 ノード (512 コア) での実行とを比較して 14 倍の性能向上を示し,TSUBAME のような高速な共有ファイルシステムやジョブスケジューラが存在するような計算環境でも,MapReduce アプリケーションの実行が可能なことを確認した.
著者
宮城 新吾 豊田 輝 寺村 誠治 脇元 章博 高木 康臣 吉葉 崇
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】<BR>人工股関節全置換術(以下THA)後の靴下着脱動作方法には,一般的に臨床で用いられている股関節屈曲・外転・外旋を伴う方法(以下外旋法),長坐位で体幹屈曲し行う方法(以下長坐位法),立位で膝を屈曲し行う方法(以下立位法)などがある.THA後にこれらの靴下着脱動作方法を指導する際,短期間に複数の方法を試し,安楽に動作可能な方法を理学療法士が経験的な要素から選定しているため,理解力に欠けている患者では困惑し,誤って危険な方法をとろうとしてしまうことがある.そこで本研究では,靴下着脱方法の外旋法,長坐位法,立位法の3つの動作方法の指標となる股関節関節可動域(以下ROM)を明らかにし,臨床における指導方法選定の参考角度を求めることを目的とする.<BR>【対象および方法】<BR>対象は,当院整形外科にて初回片側THA(全例セメントレス,進入方法は後側方アプローチ)後に理学療法を施行した52例.なお,関節リウマチ患者は対象から除外した.<BR>方法は,術後14病日の時点で,股関節屈曲・外転・外旋のROMを測定した.また,担当理学療法士が外旋法・長坐位法・立位法を指導後,対象がそれぞれの動作方法を実施し,最も安楽に靴下着脱可能と答えた動作を獲得方法として選定した.選定された動作方法ごとに,測定で得られた3方向の股関節ROMの各平均値を算出し,靴下着脱動作における必要可動域について検討した.併せて,選定された動作方法ごとに,3方向の股関節ROMの総和の最低値と最高値,平均値を算出した.<BR>【結果】<BR>術後14病日の時点での靴下着脱動作獲得率は100%であった.動作獲得方法別にみると,外旋法67%,長坐位法8%,立位法25%であった.外旋法における股関節屈曲角度の平均値は86.8度,外転27.1度,外旋28.2度であった.総和の最低値は105度,最高値は170度,平均値は137.5度であった.長坐位法における股関節屈曲角度の平均値は88.8度,外転20.0度,外旋16.3度であった.総和の最低値は120度,最高値は130度,平均値は125.0度であった.立位法における股関節屈曲角度の平均値は71.9度,外転17.3度,外旋20.0度であった.総和の最低値は95度,最高値は125度,平均値は110.0度であった.<BR>【考察】<BR>今回の対象においては,術後14病日の時点で,上記のような股関節ROMの参考角度が示された.外旋法や立位法では,総和の最低値と最高値の差が大きく,股関節ROM以外の要因の関与が予想された.複合動作である靴下着脱動作には,肩甲帯や体幹の柔軟性,腹部と大腿部の軟部組織量などの股関節ROM以外の身体的要因が靴下着脱動作獲得に与える影響は大きいことが推察される.今後は,身体的要因を含めた指導方法選定の検討を行っていく必要があると考えられた.<BR>
著者
川崎 浩二 高木 興氏 飯島 洋一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

目的:1)小・中・高校生における顎関節症状の実態を明らかにする。2)生活習慣・習癖などの諸要因と顎関節症症状との関連性を明らかにする。3)定期的な習慣習癖の改善を目的としたカウンセリング等の指導によって,顎関節症状がどのように改善するかを把握する。調査対象と方法:1)長崎市内の小・中・高校生4502名を対象に,Helkimoの顎関節問診をベースにして習癖の実態も含めたアンケートを実施した。2)中・高校生を対象に実施した顎関節症の7自覚症状ならびに習癖等に関するアンケートから,各自覚症状の有無を目的変数に習癖等の18項目を説明変数として多重ロジスティック分析を用いて自覚症状に関わる要因分析をおこなった。3)某女子中学校生徒全員291名を対象に,4月に顎関節に関するアンケートを実施し,自覚症状を有する合計53名に対して7月,10月,2月の年3回,顎関節に関する保健指導を実施しながら,症状の経過を経時的に評価した。結果:1)顎関節に自覚症状を有している者の割合は,小学校低学年で3.5%,小学校高学年で7.7%,中学生で19.8%,高校生で22.8%であった。2)顎関節症の7自覚症状のうち6つが「顎を動かして遊ぶ」という習癖と有意な関連が認められた。中学生においては4自覚症状が「くいしばり」と有意な関連が認められた。3)調査開始の4月における顎関節自覚症状を有する者の割合は中学1年生:13.1%,2年生:16.1%,3年生:29.3%であった。1年間の指導後の予後は治癒,改善,不変,進行の順で1年生:54.5%,27.3%,9.1%,9.1%,2年生:18.8%,62.5%,18.8%,0.0%,3年生:61.5%,15.4%,15.4%,7.7%であった。指導による治癒・改善率は約75%〜80%であった。
著者
高木 繁光 諫早 勇一 松本 賢一 メーリニコワ イリーナ 銭 〓 大平 陽一 宮崎 克裕
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文学作品ではナボコフの小説『絶望』、ドストエフスキイの小説『おかしな男の夢』、マラルメの『イジチュール』、中国の『紅楼夢』を、映像関係ではアレクセイ・ゲルマンなど50年代のソ連社会を舞台とした近年のロシア映画、エイゼンシュテインの映画理論、30年代から50年代のドイツ映画と親近性をもつ近いマキノ雅弘作品などを主たる分析対象として、各研究者がそれぞれの分野で、「二重世界」、「二重文化性」、「二重の知覚」といった二重性を生きる分身的主体のあり方について考察したものである。ここで分身的主体とは、ジギルとハイドのような<病的>現象としてではなく、あれでもありこれでもあるという複数的存在様態を肯定してゆく創造的エネルギーを備えたものとして捉えられている。あれかこれかという単一的世界像の見直しを促すこのような分身テーマは、複製技術時代における文学と思想と映像の相互関係を理解する上できわめて有効な手掛かりとなりうるものである。
著者
田村 孝之 中村 稔 喜連川 優 高木 幹雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.189-190, 1992-09-28

スーパーデータベースコンピュータ(SDC)は,現在我々が開発中の高並列関係データベースサーバである.SDCは,数台(4~6台)のマイクロプロセッサと磁気ディスク装置とを共有バスで密結合して処理モジュールとし,さらに複数の処理モジュールをネットワークで疎結合したハイブリッドアーキテクチャをとる.また,結合演算に対するアルゴリズムとして,"バケット分散GRACEハッシュ"法を採用し,これをハードウェアで支援するために,"バケット平坦化機能"を有するオメガネットワークの提案がなされている.このネットワークは,各スイッチ素子自体が局所的な履歴に基づいて適応的なルーティングを行ない,競合によるスループットの低下と処理モジュール毎の負荷の偏りに起因する性能向上の限界とを同時に解決することを目指したものであり,その有効性はすでにシミュレーションにより確認されている.また,バケット平坦化機能にはこれまでにいくつかの拡張が施されてきたが,処理モジュール数はネットワークの大きさに等しいと仮定され,ネットワークの性質から2^nに限られてきた.しかし,各処理モジュールの故障に対するロバスト性を向上させ,また,処理の規模に応じて徐々にシステムを拡張できるようにするには,任意のモジュール数が許されることが望ましい.そこで今回,これまでの制限を除き,ネットワークの大きさと異なる任意数の処理モジュールの間で負荷分散を可能にするアルゴリズムを開発した.本論文では,この新たなアルゴリズムを用いた時のネットワークの動作特性を,シミュレーションによる解析結果に基づいて述べる.
著者
高木 孝幸 早稲田 篤志 双紙 正和 宮地 充子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.597, pp.185-190, 2007-03-09

量子秘密分散法とは量子暗号技術を用いて秘密情報を複数の意味のない分散情報に分割して管理する方式である. Feng-Li YanとTing Gaoは2005年にエンタングルメント状態を用いずに共通の古典情報を2つのグループのそれぞれが秘密分散(満場一致法)の状態で共有できる量子秘密分散プロトコルを提案した.量子暗号の実現に向けての問題のひとつとして,量子状態の保存が困難であるというものがある.量子状態の保存が可能な量子メモリの存在を仮定するとYanらの提案したプロトコルは最大の効率を発揮できるのだが,量子メモリを仮定しないときにはプロトコルの効率が落ちてしまう.本論文では,この点を改善した量子秘密分散プロトコルを提案する.また,提案した方式に対するいくつかの攻撃に対しての安全性の評価を行う.
著者
高木恭造著
出版者
「北」編輯所
巻号頁・発行日
1931
著者
丹羽 俊朗 本田 真司 白川 清治 今村 靖 大崎 定行 高木 明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.93-103, 2006 (Released:2006-08-31)
参考文献数
144
被引用文献数
2 2

選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用に関するin vitro阻害試験および臨床試験の報告を総説としてまとめた.まず,各cytochrome P450(CYP)の代表的な基質であることが知られている薬物に対するin vitro阻害試験および臨床試験結果を整理した.In vitro阻害試験において,フルボキサミンはCYP2A6,CYP2C9,CYP2D6,CYP2E1およびCYP3A4に比べCYP1A2およびCYP2C19を強く阻害し,臨床試験での阻害効果はCYP1A2>CYP2C19>CYP3A4>CYP2C9>CYP2D6(阻害無し)の順である.次に,国内にてフルボキサミンと併用される約80種の薬物(特に血糖降下薬および高血圧治療薬)とフルボキサミンとの薬物相互作用のin vitro阻害試験および臨床試験の報告を調査したが,いずれも一部の薬物で検討されているのみであった.そこで,それぞれの薬物の代謝に関与する薬物代謝酵素および尿中未変化体排泄率を調査したが,主にフルボキサミンにより阻害されるCYP(特にCYP1A2およびCYP2C19)で代謝される薬物ではフルボキサミンとの併用の際には注意を要し,代謝を受けにくく尿中未変化体排泄率が高い薬物ではフルボキサミンによる薬物相互作用を受けにくいことが推察される.したがって,フルボキサミンとの併用治療を行う際には,併用薬の薬物動態を考慮し,CYP阻害による薬物相互作用を起こしにくい併用薬を選択する必要があると考えられる.
著者
和田 正義 高木 昭 森 俊二
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.1166-1172, 2000-11-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
11 16

In this paper, a new wheel mechanism for holonomic and omnidirectional mobile robots is presented. The caster drive technique is one of the feasible solutions to allow a vehicle to have holonomic and omnidirectional mobile capability with standard wheels. The caster drive is applied to a differential drive mechanism. A drive unit equips with two drive wheels driven by individual motors. The rotational stage, driven by the third motor, is mounted on the drive unit with its rotational center locating at the off centered position from the mid point of the two driving wheels. The translational position and velocity of a mobile base are controlled by the differential-drive mechanism executing a caster like behavior. The orientation of the mobile base is controlled by the rotational stage decoupled with the translational motion of the drive unit. The vehicle 3DOF are controlled by the three motors, hence the system includes no over constraint problem. In addition, the drive mechanism is very simple and could be implemented by using a traditional differential-drive mechanism.
著者
岩本 奈織子 鈴木 瑞佳 高木 康伸 堀口 慎一郎 有賀 智之
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.114-118, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
22

BRCA1/2遺伝学的検査は,PARP(Poly ADP-ribose polymerase)阻害薬のコンパニオン診断から遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)の診断まで広く晋及しつつある.今後,BRCA1/2遺伝学的検査数の増加と,それに伴いBRCA1/2病的バリアント保持者の増加が見込まれる.BRCA1/2病的バリアント保持者では,年に1回の乳房造影MRI検査でのサーベイランスが推奨されている.MRIでのみ描出される病変に対しては,MRIガイド下生検(MRI-guided vaccuum-assist biopsy;MRI-VAB)が必要となるため,MRIを行う際にはMRI-VABが可能な施設との連携が望ましいとされている.しかしながら,実際に保険診療でMRI-VABを行っている施設は少ない.当院では2022年6月からMRI-VABを開始し,2023年5月までの期間においてMRI-VABを6例に施行した.患者の年齢は30~60代であり,半数は悪性であった.1例は,BRCA2病的バリアント保持者で非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)と診断されたHBOC症例であった.今回,われわれはMRI-VABの導入時に必要であった準備と過程を報告する.
著者
高木 信一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.1158-1170, 2005-09-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
122
被引用文献数
4

微細化に伴う種々の物理限界要因により,従来のスケーリングのみでは難しくなっているSi MOSFETの性能向上を実現する技術として,近年注目が集まっている,高移動度・高速度チャネルを用いたCMOSデバイス技術について紹介する.微細チャネル下での駆動力向上手法について,反転層中の電子状態,特にサブバンド構造の最適設計の観点から,その物性的背景を総括するとともに,ひずみSi,Ge,超薄膜チャネルなどに関する最近の実験結果を述べることにより,今後のMOSデバイス技術を牽引していくと考えられる,高移動度チャネルMOSトランジスタ技術を展望する.
著者
入江 健介 中田 俊史 中岡 伊織 李 林甫 高木 英行
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.48, 2006 (Released:2007-05-30)

マルチメディア視聴者の情動生理に影響を与える物理特徴量候補を生理計測なしで抽出する方法を提案し,映像メディアから抽出した.マルチメディア視聴者の生理状態を制御しメディア効果を強調するためには,第1段階として,生理反応に影響を与えるであろう物理特徴量を抽出する必要があるが,考えられる限りの物理特徴量を1つずつ生理計測しながら特定することは現実的ではない.そこで,生理反応に直接対応すると思われる緊張_-_弛緩軸と爽快_-_鬱屈軸からなる情動平面を考え,心理評価によって60の映画シーンを情動平面に割り付ける.76個の物理特徴量を考え,これらの特徴量と2軸との相関係数を求め,危険率1%で有意に相関がある場合,生理反応に影響を与える物理特徴量候補として抽出した.このように時間のかかる生理計測なしで,生理反応に影響を与える物理特徴量候補を26+2個特定したので,今後の生理実験で検証していく.