著者
太田 啓介 冨田 佳孝 高木 翔太 中村 貴久 中島 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00236, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
13

流動化処理土は,従来より土木材料として幅広く使用されているが,鉄道盛土としては列車荷重の繰返し作用に対する累積変形特性や乾燥に対する長期的な安定性が明確になっておらず,限られた箇所での適用となっている.本研究では,列車荷重作用下での流動化処理土について,保護層を設けた盛土の提案構造における変形特性,施工時の転圧荷重の影響,保護層の乾燥対策効果について検討を行った.その結果,細粒分質砂を母材とした流動化処理土について,本提案構造において,流動化処理土への作用応力を応力比で 0.15 以下,かつ処理土密度を 1.60 kg/cm3以上とすることで,列車荷重の繰返し作用に耐えうる盛土となること,若材齢時であっても転圧荷重が強度発現を阻害することはないこと,粒調砕石による保護層を施すことで乾燥を防止できることを把握した.
著者
高木 均 田倉 隆輝 一原 洋平 越智 真治 三澤 弘明 仁木 龍祐
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.353-356, 2003-04-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
15
被引用文献数
11 11

In recent years there has been an increasing interest in using natural fibers as reinforcements for biodegradable plastics from the environment-friendly viewpoint. In this study the mechanical properties of bamboo fibers extracted by a steam-explosion method has been investigated by means of the tensile test. From the experimental results it was found that the tensile strength of bamboo fibers depended on the steam-explosion conditions and that the strength of the bamboo fibers extracted at relatively low temperatures and for a short period was high but the scattering of the strength also became large, thus optimum steam-explosion conditions were at 190°C for 1.8-3.6ks. Finally we found that the tensile strength of bamboo fiber extracted by the steam-explosion method was larger than that of bamboo fiber cut out from a raw bamboo indicating the steam-explosion is suitable extraction method for bamboo fibers. In addition, the tensile strength of bamboo fibers also depended on their height sampled. The bamboo fibers sampled from relatively high position had low tensile strength and these weak fibers were not suitable as reinforcements for high-strength composites.
著者
根本 学 京谷 圭子 菅野 壮太郎 高木 正人 北山 勝博 水村 勝
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.792-800, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
15

日本は高齢社会を迎え,救急現場においてもその影響は避けられない。今回,人生の最終段階にある傷病者の意思に沿った救急現場での心肺蘇生などのあり方に関して,日本臨床救急医学会の提言を参考に地域メディカルコントロール協議会のワーキンググループにより指針を策定し,運用を開始したので報告する。現場の救急隊員からの要望に応え,「救急救命処置についての説明と同意書」と「心肺蘇生に関する医師の指示書」を策定し,2017年12月1日より運用を開始した。運用開始から2018年11月30日の期間における内因性心肺停止525件中,心肺蘇生を望まなかったのは23件(4.4%)であった。救急隊員へのアンケート調査では,不安や精神的ストレスを感じている者がいることが判明した。人生の最終段階にある傷病者の意思に沿った救急現場での心肺蘇生などのあり方に関しては,地域メディカルコントロール協議会を中心とした活動指針の策定と事後検証が重要と考える。
著者
首藤 一幸 阿部 洋丈 亀井 聡 塩澤 一洋 高木 浩光
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.3_1-3_7, 2005 (Released:2005-09-30)

2004年9月14日(火),ソフトウェア科学会第21回大会の併設企画として,チュートリアル「P2Pコンピューティング―基盤技術と社会的側面―」が開催された.チュートリアル最後のパネルディスカッションでは,技術者として,今後P2Pソフトウェアを構築するにあたって,何を踏まえ,どのように取り組んだらよいのかを議論した.本稿ではその議論を報告する.
著者
高木 健 山崎 透 石井 抱
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2011 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1A1-J04_1-_1A1-J04_4, 2011-05-26 (Released:2017-06-19)

This paper describes an oblique feed screw which can be used as load-sensitive continuously variable transmission (CVT). This CVT consists of a screw, spring, and bearing, and is remarkably simple and compact. Its reduction ratio change automatically in response to the load. We have developed the CVT of 13.8 [g]. We have experimentally verified that it can exert a very strong force of more than 100 [N], and the CVT can increase its reduction ratio form 20 to 45.
著者
大山 博司 大山 恵子 諸見里 仁 高木 宜史 田代 優輝 大山 高史 山田 美紀 江戸 直樹 藤森 新
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.123-130, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)

健常者3名と高尿酸血症患者6名を対象に,有酸素運動,低強度(20RMで10回を3セット)レジスタンストレーニング,高強度(10RMで10回を3セット)レジスタンストレーニングの3段階の運動を実施して血清尿酸値への影響を検討した.健常者,高尿酸血症患者とも有酸素運動では血清尿酸値は変化しなかったが,高尿酸血症患者では低強度,高強度いずれのレジスタンストレーニングでも運動翌日に血清尿酸値の有意な上昇がみられ,高強度レジスタンストレーニングでは運動直後にも血清尿酸値の有意な上昇が観察された.レジスタンストレーニングは解糖系をエネルギー源とする嫌気性運動筋である速筋を使用するトレーニングであり,運動直後の血清尿酸値の上昇には筋肉活動によって生成された乳酸による尿酸排泄障害が関与する可能性が疑われた.また,有意差はついていないが,健常者,高尿酸血症患者いずれにおいても運動翌日に血清CK値が運動前の数倍上昇しており,運動翌日の血清尿酸値の上昇には筋線維の断裂・破壊などに伴う,筋肉内に含まれているプリンヌクレオチドの溶出の影響も可能性として挙げることができるかもしれない.レジスタンストレーニングは強度によっては血清尿酸値上昇をもたらす可能性があり,その機序に関しては今後さらなる検討が必要と考えられた.レジスタンストレーニングはインスリン感受性やHDLコレステロールを上昇させる効果や筋肉量の増加,基礎代謝の亢進などにより生活習慣病の予防に有効なことが報告されており,痛風・高尿酸血症患者に運動を実施する場合は,痛風関節炎の有無や尿酸値の推移に注意しながら有酸素運動と無理のない程度の低強度レジスタンストレーニングを組み合わせた運動を推奨することが望ましいと考えられた.
著者
高木 健 巻 俊宏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

水中浮遊式海流発電装置は、流速変動により生じる動揺運動を回避して安全性を確保する制御が実施されているが、将来はこの安全性確保と変動流中での出力増加・品質向上による経済性向上を両立させなければならない。本研究では制御システムが安全性を担保しつつ経済性向上が可能かを明らかにすることと、どのような評価関数による最適制御が単位発電出力当たりのコスト削減に適しているのかを明らかにすることを目的として実施する。この目的を達成するため、制御シミュレーションコードを確立するとともに、このシミュレーション結果と海流の長期予測結果を利用してライフタイムの経済性を考慮したLCOEを算出する方法論を構築する。
著者
菊池 太朗 中村 孝文 池田 天史 藤本 徹 坂本 吉弘 成尾 政一郎 高木 克公
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.515-519, 2000-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Many authors have reported that disc herniation can be resorbed by monocytic phagocytosis. However, how the recruitment of monocytes is triggered is still unknown.We investigated monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1) by using the experimental rat model in vivo and rabbit model in vitro to ascertain the precise mechanism of macrophage recruitment in the early phase of disc resorption.The autologous intervertebral discs from tails of Wister rat were subcutaneously implanted into the abdomen. These discs were used for immunohistochemical study. Additionally, we employed tissue culture models of rabbit's discs, and the quantification of MCP-1 in these media was performed.MCP-1 positive disc chondrocytes were observed in the nucleus pulposus and the inner annulus fibrosis on the third day. Monocyte derived macrophages were considerably observed around the intervertebral disc by the seventh day. The MCP-1 induced by rrlL-1β or rrTNFα indicated its peak volume at 12 hours and at 18 hours after incubation.Our study suggests that intervertebral disc chondrocytes have chemotactic properties and play an active role in the recruitment of monocytes involved in disc resorption. Moreover, inflammatory cytokines induce and regulate the production of MCP-1 in the intervertebral disc cells.
著者
松本 直司 高木 清江 三輪 真裕
出版者
日本インテリア学会
雑誌
日本インテリア学会 論文報告集 (ISSN:18824471)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17-22, 2006 (Released:2022-06-01)

本研究では,住宅居室を対象に,吹抜け空間形状と空間形状意識,印象評価の3つの関係性を求め,上層居室からと下層居室からでそれらがどのように異なるかを明確にすることを目的とする。 実験は,1 /10縮尺模型を用い,居室の印象を11評価尺度による SD 法で評価した。 分析の結果,吹抜け空間を評価する尺度は,上層・下層居室ともに「スケール性」「快適性」「関係性」「特異性」の4軸であった。空間形状意識では,下層居室からは上層居室からに比べ,レベル差に大きく影響された。上層・下層居室からの空間形状意識は,ともに「空間重複型」が最も快適な空間となった。吹抜け空間においては快適な居室を計画するためには,一体的であるより,ある程度の分離感をつくる必要がある。
著者
高木 正則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.e32-e44, 2023-01-15

本稿では,情報Iの「3.コンピュータとプログラミング」で学ぶことになっている「モデル化とシミュレーション」分野の問題として,2020年11月に公開された「情報」試作問題(検討用イメージ)の第4問「交通渋滞シミュレーション」について解説する.
著者
高木 智世
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.348-363, 2018-09-30 (Released:2018-12-26)
参考文献数
29
被引用文献数
3

本稿では,高機能自閉症と診断された男児と支援者の相互行為場面を会話分析の方法を用いて緻密に分析し,両者のコミュニケーション上の「すれ違い」やトラブルが生じる過程を記述する.この作業を通して,一見不可解で,支援者に混乱をもたらしている男児のふるまいが,相互行為状況に対する敏感さや相互行為上の問題への対処を志向するものであり,定型発達者と同様,一定の記述可能性を含むことを検証する.とりわけ,自閉スペクトラムに特徴的な症状とされる「独語的ふるまい」にも見える,室内の鏡に向けての語りかけが,すでに生じている問題を解決するための仮の参加枠組みを構築するふるまいとして捉えられることを示す.緻密な分析を通して自閉スペクトラム症児のふるまいの「不可解さ」に対して相互行為現象としての記述可能性が与えられたことを踏まえ,そうした事例研究の積み重ねが,自閉スペクトラム症者/児のふるまいが定型発達者のそれとは必ずしも一致しない「合理性」に支えられている可能性について理解を深めることになることを主張する.
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.395-398, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
4

内部被ばくが発生した可能性がある場合,バイオアッセイ(尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(WBC:Whole Body Counter),肺モニターによる測定値と動態モデルを用いて,摂取した放射性核種の量が評価される。本稿では測定値と放射性核種の動態モデルを用いた摂取量評価法として有用な統計モデリング手法の概念である最尤推定法とベイズ推定法について解説する。
著者
林 政彦 間中 祐二 高木 秀雄
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1-4, pp.27-32, 1996-12-31 (Released:2017-01-16)
参考文献数
4

鑑別が最も困難な宝石の一つに数えあげられる水晶をFT-IRによって、400〜7000cm^<-1>の領域における吸収を調べたところ、ブラジル産、川端下産、玄倉産および竹森産の水晶に共通して、3595cm^<-1>に特徴的な吸収が見られるのがわかった。一方、アメリカ製や日本製合成水晶には3585cm^<-1>に見られる吸収がそれに相当するものと思われるが、明らかに天然水晶より短波数側にシフトしていることがわかった。また、CL像では天然特有と思われる成長模様の相違が見い出されている。アメシストも同様に区別が可能である。しかし、シトリンについては、今回の分析結果から天然と合成の違いは見い出されなかった。以上のことから、水晶における天然と合成の鑑別はその生成環境の違いからFT-IRやCL像の観察によって可能と思われる。
著者
森 智也 高瀬 英希 高木 一義 高木 直史
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLDM-183, no.27, pp.1-6, 2018-02-28

我々は,Linux を搭載できない消費電力の小さな組込みデバイスのための ROS ノード軽量実行環境である mROS の開発に取り組んでいる.本研究では,mROS におけるデバイス内のノード間通信を高速化する手法を提案する.従来の TCP ソケットを使用したデバイス内ノード間通信は効率が悪いため,タスク間で共有メモリを介したデータ通信を実現する.mROS 内のノード間通信を効率化することで,エッジデバイスにおける処理の高速化が実現できる.提案手法を mROS に実装し,ノード間通信時間について評価することで,提案手法の有効性を示した.さらに本稿では,分散ロボットシステムの開発事例を示し,mROS の有用性を考察した.
著者
高橋 克伸 徳久 銀一郎 前川 正幸 高木 一広 清田 幸宏
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1770-1774, 1992-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
28

We observed a nine-year-old boy who suffered from a so-called Brodie's abscess involving the adjacent metaphysis and epiphysis of the distal tibia, communicating through the growth cartilage of the epiphyseal plate. The patient presented himself with the mild symptoms and subtle clinical findings that are characteristic of Brodie's abscess, which is usually confined to the metaphyseal, and occasionally to the epiphyseal, bone. Initially, he was treated by surgical evacuation of the abscess and with intravenous antibiotics, and then by oral andtibiotics. The pathogenic organism was Staphylococcus aureus. At follow-up 10 months after treatment, he had normal results without any evidence of a growth disturbance. As far as we know, there have been 27 previously reported cases of Brodie's abscess traversing the epiphyseal plate. We believe that surgical evacuation of the lesion, followed by antibiotics, is an appropriate treatment for some children presenting themselves with this condition.
著者
土居 秀幸 菊地 永祐 日野 修次 伊藤 丈 高木 茂人 鹿野 秀一
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集 日本陸水学会第68回大会 岡山大会
巻号頁・発行日
pp.141, 2003 (Released:2004-11-26)

潟沼は平均pH 2.2の強酸性湖である.潟沼において,炭素安定同位体比を用いて堆積有機物起源の解析を行った.また,潟沼はその生物相が単純であることから,堆積有機物起源の詳細な解析が可能である.一般に酸性湖沼は非調和型湖沼であり,堆積有機物の起源は周りから供給される有機物が多い.しかし炭素安定同位体比解析の結果,潟沼の堆積有機物は周りの森林からの有機物由来のものは少なく,その多くは底生珪藻と植物プランクトン(内生産性の有機物)に由来することが分かった.この要因としては,潟沼が流入河川を持たないこと,珪藻と植物プランクトンの生産が大きいことが考えられた.