著者
能美 亜衣 高橋 正樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.826, pp.14-00297-14-00297, 2015 (Released:2015-06-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

This paper proposes a design method of the fault-tolerant attitude control system for spacecraft. In recent years, there has been requirement for accurate and agile attitude control of spacecraft. To meet this demand there has been an increasing use of Control Moment Gyros (CMGs), which can generate much higher torque than reaction wheels that are used as conventional spacecraft actuators. Furthermore, it is important for attitude control systems to be fault-tolerant. In a conventional 4 CMGs system, the CMGs are placed in a pyramid mounting arrangement with a skew angle set to 54.74 degree. The maximum angular momentum of the CMG system is changed according to the skew angle. A suitable skew angle should be designed to consider normal and failure situations. Moreover, the suitable parameters of spacecraft attitude and CMG control systems are changed according to the skew angle. In the proposed method, the skew angle and the parameters of the control system are tuned simultaneously using a genetic algorithm. To verify the fault-tolerance of the proposed method, numerical simulations for the case when one CMG has failed are carried out.
著者
高橋 浩 風早 康平 高橋 正明 稲村 明彦
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

トリチウムを指標として深部流体の化学組成を求めるための解析をシオワッカ、鹿塩、有馬・宝塚、津和野において実施した。推定された深部流体の化学成分は、どの地域もNa-Clが主要成分であるが、宝塚や有馬でCaに富み、津和野やシオワッカでMgに富む傾向があった。さらに、炭素成分にバリエーションが見られた。深部流体に特徴的な成分であるCO2、ClとH2Oについて見てみると、有馬、宝塚、津和野におけるC/Cl比はおおよそ一致し、H2Oとの比が変化している。全炭酸-Cl-Liの比では、有馬・宝塚の方が津和野よりもわずかに高いLi/Cl比を示すものの、非常に似た組成を示した。このことは、有馬・宝塚と津和野では共通した深部流体端成分を示唆し、トリチウムを含まない淡水による希釈の影響を示す。一方、鹿塩地域では、Li/Cl比も有馬・宝塚・津和野より高かった。これは、深部流体の上昇過程において、地層との反応が起きているためと考えられる。
著者
佐藤 尚毅 高橋 正明
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.1199-1220, 1999-12-25
被引用文献数
3

関東平野では、夏の晴れた日の午後に積雲対流が生じる。雲量データを調べることによって、ある日の午後の雲量と次の日の午後の雲量は独立ではないことが分かった。雲量が少なかった日の次の日には、雲量が多くなりやすく、雲量が多かった日の次の日には、雲量が少なくなりやすいのである。したがって、関東平野が亜熱帯高気圧に覆われていて、天候が安定している場合には、「晴れた日の次の日は晴れにくい」と言えよう。 この日々変化は、2次元の数値実験によって再現された。海陸風に対応した1日周期の境界条件を与えたにもかかわらず、積雲対流の強い日と弱い日が準周期的に現れた。数値実験の結果を調べることによって、この日々変化は、下層での温位や水蒸気混合比の鉛直分布の違いによって生じていることが分かった。積雲対流の日々変化には、より積雲対流に適した条件を与えると、より強い対流が生じ、その結果、次の日には積雲対流が生じにくい条件になってしまうという、「過剰調節」の効果が本質的に重要である。 さらに、これらの鉛直分布の違いを高層気象観測データと比較して、数値実験の結果を確かめた。温位の鉛直分布の違いは統計的には十分に有意とは言えないが、これらの鉛直分布の違いは、高層気象観測データに見られる違いと定性的に一致した。
著者
佐藤 大輔 黒須 正明 高橋 正明 高橋 秀明
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.269-281, 2005-10-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
14

本研究では, 業界の機運として高まりつつあるユーザビリティ担当者の人材育成への関心を踏まえ, ユーザビリティ担当者に求められるコンピタンスの明確化を目指し, 現在のユーザビリティ業界で実際に広く要求されている経験的なコンピタンスを実証的に明らかにすることを目的とした. まず, ユーザビリティ業界のマネージメント層を中心に半構造化インタビューによる2度のデータ収集および分析を実施し, コンピタンスリスト (第1版) を作成した. 続いて, 質問紙調査によって検証と分析を行った. その結果, 大きく五つの分類からなり3段階に重要度分けされる, ユーザビリティ担当者に求められる54項目のコンピタンスリスト (第2版) をまとめた. また, マネージャとエンジニアで求められるコンピタンスに違いがあること, 活動している業種や職種などにかかわらず同一のコンピタンスリストを適用できることが明らかにされた.
著者
高橋 正樹
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.191-206, 1994-09-20
参考文献数
66
被引用文献数
6

Late Quaternary polygenetic volcanoes in Japanese islands can be classified into two types based on the distance of vent migration : the stable and unstable vent types. The eruptive center of unstable vent type has migrated longer distance (exceeding 1.5 km within 10,000 years) than that of the stable one. The stable vent type constructs a symmetrical cone, contrarily the unstable vent type shows an elongated cluster of small stratovolcanoes. The unstable vent type is generally present in the regional or local extensional stress field, because independent open fractures are easily developed under the extensional stress regime ; the occurence of each type also depends on the crustal strain rate and/or strength of the basement. The eruption rate of stable vent type is larger than that of the unstable one ; it is probably because the high efficiency of magma transport to the surface can be realized by the stable vent.
著者
大谷 毅 高寺 政行 森川 英明 乾 滋 徃住 彰文 柳田 佳子 宮武 恵子 矢野 海児 濱田 州博 池田 和子 鈴木 美和子 鈴木 明 正田 康博 上條 正義 松村 嘉之 菅原 正博 藤本 隆宏 肖 文陵 高橋 正人 韓 載香 金 キョンオク 李 宏偉 佐野 希美子 NAKANISHI-DERAT Emi 雑賀 静
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本のファッション衣料の国際プレゼンスが低い原因は、国境を超えた着用者への製品の提案力の欠如にあった。日本のmodelismeは良好だがstylisme(ことに一次設計)は脆弱だ。スタイルの代替案想起・期待・選択作業は、設計者に対し、グローバルな着用者の行動空間に関する知見を求める。これはまた事業者の決定の価値前提の問題に関係する。大規模なファッション事業者の官僚組織が生み出す「逆機能」とも密接に係る。単にブランドの問題だけではなく、事業規模・裁量・ルーチン・経営資源配分に関わることが判明した。製品展示を半年以上前倒しするテキスタイル設計過程は、衣服デザイナーの決定前提の一部を説明していた。
著者
高橋 正和 津田 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2869-2879, 2004-12-15
被引用文献数
6 1

医薬品の製造では,設備運用の自動化が進んでいる.これにより,設備の頭脳たる制御ソフトウェアは,製造する医薬品の品質に大きな影響を与える.そのため,医薬品製造の管轄機関は,医薬品製造会社に対して,制御ソフトウェアが要求仕様と適合しており,適切な品質の医薬品を製造できることの保証を義務付けている.これをコンピュータ・バリデーションと呼ぶ.実務的には,制御ソフトウェアの各種仕様書の整備と網羅的な検証の記録により健全性を立証する.しかし,その作業が医薬品製造会社の大きな負担となっており,効率化が叫ばれている.本論文では,以下を実施することで効率的なコンピュータ・バリデーションの実施を可能にする.(1) 制御ソフトウェアの開発に適用可能なソフトウェア部品を準備する.(2) 設計仕様書間の関係をデータベース化して設計情報の展開を追跡できるようにする.(3) ソフトウェア部品に対応するテスト仕様書を事前準備して効率的な検証を実施する.上記手法を適用した結果,コンピュータ・バリデーションに要する時間が約50[%] に削減された.Recently, automatic operations of pharmaceutical facility have become popular. Consequently, Control Software (below CSW) create a negative impact to the quality of pharmaceutical products. Regulating authority forced validation to the pharmaceutical companies that CSW was developed according to the requirements and could produce appropriate quality drugs. This is called Computer Validation (CV). CV validates the CSW's soundness based on the development of the documents related to the CSW and exhaustive tests of CSW. But those works, especially development of documents and test results, have become a large work load. This paper proposes below effective CV processing. (1) Develop design specification templates, and software components that are applied to CSW development. (2) Create Database that defines relationship between design specifications, and enable to trace design information deployment. (3) Test CSW efficiently according to pre-established test specifications corresponding to software components. As the result of applying above the method to actual CSW developments, CV time lessens by 50[%] in comparison with conventional CV method.
著者
壷井 彬 高橋 正子
出版者
日本経営分析学会
雑誌
年報経営分析研究 (ISSN:09110747)
巻号頁・発行日
no.28, pp.70-82, 2012-03-31
被引用文献数
1

企業の環境経営活動に対する定量的研究は,とくに内部管理活動の分野において発達した。一方で,企業の開示情報を外部から分析・評価するという立場からの定量的な環境経営分析は必ずしも進んでいるとは言えない。本研究では,環境会計情報を有効に活用して企業の環境活動を分析する方法を提案する。特に事業エリア内の活動について,環境会計情報として開示される投資額とその効果の分析方法を研究対象とする。環境保全効果を貨幣尺度で認識し,過去の環境保全コストと環境負荷物質排出量データの蓄積を利用することで,企業ごとの環境保全活動の進捗状況を表す「環境経営ステージ」を考慮した新たな分析モデルを提案し,検証する。これにより,環境会計情報を基軸とした各社の環境経営の分析を,より現実に即した,個別の状況を反映した形で行えるようになる。
著者
長友 康行 高橋 正郎 古賀 勇 Oscar Macia
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

グラスマン多様体への調和写像に関する一般化されたdo Carmo-Wallch理論のさらなる一般化を定義域がコンパクトリーマン多様体の場合に達成できた。これにより、インスタントンのADHM構成法と類似の調和写像のモジュライ空間の記述が可能となった。例として、複素射影直線から複素射影空間の複素2次超曲面への正則等長写像のモジュライを記述できた。さらに、モジュライが葉層構造を持つことが示され、その葉体はケーラー商で与えられる。また、複素射影直線から2次元部分空間のなす複素グラスマン多様体への正則同変写像の分類にも成功した。いずれの場合もモジュライのコンパクト化には幾何学的な解釈が与えられる。
著者
久保岡 俊宏 高橋 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.530, pp.5-9, 2004-12-17

小口径の望遠鏡を中心としたシステムでも静止衛星の撮像は可能なのか,さらには軌道決定に活用できる定量的なデータを取得できるのかを確かめるため,冷却CCDカメラを装着した10cm F5及び6cm F6の屈折望遠鏡を可搬型の赤道儀に搭載して静止衛星の撮像を試みた.その結果,画角内への衛星の導入精度には問題があるものの,いずれの組み合わせでも静止衛星の検出が可能であることが分かった.また,10cm望遠鏡を用いたシステムと鹿島宇宙通信研究センターにある口径35cmの据置型の望遠鏡で同時観測を行い,背景に写っている恒星の位置から各時刻における衛星の赤経・赤緯を求めた.2つのシステムから求められた赤経・赤緯の差はRMSで1/1000度程度であり,小型望遠鏡から得られたデータも静止衛星の軌道決定に十分利用可能であるものと考えられる.
著者
安藤 寿男 長谷川 卓 太田 亨 山本 正伸 長谷部 徳子 高橋 正道 長谷川 精
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル南東部の白亜紀中期(シネフダグ層)とジュラ紀中期(エーデムト層)の湖成層を対象に,(1)炭素同位体比,カイエビ化石,凝灰岩のF-T年代などに基づく年代層序の構築と,(2)岩相変化(頁岩・ドロマイト互層)から復元した湖水位変動の周期解析,鉱物・主要元素組成による化学風化度変動,有機化学指標(TEX_<86>)による湖水温復元などに基づく古環境変動復元を行い,モンゴル湖成層には,白亜紀中期温室期に頻発した海洋無酸素事変期(OAE1a~1b)の,地球軌道要素を反映した降水量および古気温変動が記録されている.
著者
木村 百合香 加藤 智史 高橋 正時 岸本 誠司
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.551-555, 2008-12-10 (Released:2008-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

今回われわれはアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与と血管再生治療後に生じた喉頭浮腫治療後,nasogastric tube症候群による両側声帯麻痺を発症した1例を報告した。症例は76歳男性,主訴は吸気時呼吸困難であり,喉頭内視鏡検査にて著明な喉頭浮腫を認めたため同日緊急気管切開術を施行した。3カ月前より高血圧に対しARBであるカンデサルタンシレキセチル(ブロプレス®)を使用し,また閉塞性動脈硬化症に対し末梢血幹細胞移植による血管再生治療後7日目であった。喉頭浮腫の改善後,両側声帯正中固定が明らかとなった。多系統萎縮症等は否定的であり,経鼻胃管を挿入中であったことからnasogastric tube症候群による両側声帯麻痺と診断した。発症後10カ月現在も両声帯は正中位固定のままカニューレ抜去困難状態が続いている。アンギオテンシン変換酵素阻害剤とARBの重要な副作用に血管性浮腫があり,時に重篤な気道狭窄をきたすことがある一方,再生医療のさきがけとして血管再生治療が臨床導入されているが,移植された幹細胞から放出されるサイトカインにより血管性浮腫をきたす可能性も指摘されており,両者が本症例の喉頭浮腫に関与したものと考えた。また,経鼻胃管の留置による重篤な合併症であるnasogastric tube症候群にも留意が必要である。