著者
高橋 礼子 近藤 久禎 中川 隆 小澤 和弘 小井土 雄一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.644-652, 2017-10-31 (Released:2017-10-31)
参考文献数
11

目的:大規模災害時には巨大な医療ニーズが発生するが,被災地内では十分な病床数が確保できず被災地外への搬送にも限界がある。今回,実際の地域での傷病者収容能力の確認を行うべく災害拠点病院の休眠病床・災害時拡張可能病床の実態調査を行った。方法:全災害拠点病院686施設に対し,許可病床・休眠病床・休眠病床の内すぐに使用可能な病床・災害時拡張可能病床についてアンケート調査を実施した。結果:回収率82.1%(許可病床258,975床/563施設),休眠病床7,558床/179施設,すぐに使用可能な休眠病床3,751床/126施設,災害時拡張可能病床22,649床/339施設であった。考察:いずれの病床使用時にもハード面・ソフト面での制約はあるが,被災地外への搬送に限界があるため,地域の収容能力を拡大するためには,休眠病床・災害時拡張可能病床は有用な資源である。今後,休眠病床の活用や災害拠点病院への拡張可能病床の普及を進めると共に,各種制約も踏まえた医療戦略の検討が課題である。
著者
高橋 美知子 TAKAHASHI Michiko
巻号頁・発行日
2008-03-25

本論文の目的は,Kohut 理論に基づいた自己愛の2側面に視点をおき,高校生の自己愛傾向の下位側面と親子関係との関連が,学校生活への適応状態にどのような影響を及ぼすのかを解明することである.このKohut 理論における自己愛障害の特徴とは,自己顕示的で共感性を欠き,他者から批判的・無視的に扱われた場合に憤怒が生じるという誇大的な側面と,心気的で,自己のまとまりの脆弱化・断片化,他者への過敏反応,傷つきやすさと抑うつが認められる側面である.この本質は,心理的安定性の欠如や自己評価を維持する心理的機能の脆弱さから生じるところの傷つきやすさであるとされている.ゆえに,自己愛者は,他者からの肯定的な評価を強く求め,他者を理想化するのである.この自己愛障害に至る要因として,早期幼児期における母親からの応答の不十分さがあると考えられている.まず,本論文の第1章では,自己愛の理論的概念としてFreud の自己愛を系統的に論じ,Freud からFreud 以後へ,そして,Kernberg の対象関係論における自己愛とKohut の自己心理学からの自己愛を論じている.これらの自己愛の諸理論を概観して明らかとなったことは,現行の自己愛人格障害は,過度に強調された誇大性,傲慢さ,搾取性,共感性の欠如などとして定義づけされていることである.だが,近年,問題視にされている2種類の自己愛人格障害を探るには,この定義では困難さがあると思われる.最近は,DSM-Ⅳ(APA)の診断基準マニュアルによってその診断は可能となったといわれるが,自己愛の障害が対象関係における障害ならば,その自己愛の障害も異なると考えられる.つまり,過敏な対人関係を持つならば,自己の能力や力を抑制することが,対人関係における挑戦や傷つきからの防衛方策となっているはずである.その反面,抑圧された自己顕示や承認・賞賛への欲求は,他者評価に大きく依存することになり,自己への幻想的な全能感という自己イメ-ジをもたらしている.さらに,彼らは理想自己像と現実自己像のずれも感じ取っているので,自己への不信感も強く持っている(鑪,2003).この過敏なタイプの自己愛が生じる要因として過保護で密着型の養育態度が指摘されている(町沢,1998).また,最近は希薄な対人関係も問題視されている.そして,彼らは,傷つきやすい自己愛的な万能感を維持するために,外界との現実的な接触をなるべく避けるという行動をとることになる.このようなことから本論文では,Kohut 理論を基にして,自己愛が高揚する時期であるとされる高校生を調査対象として高校生の自己愛傾向と関連要因を実証的に研究する.第2章では,本論文の全体的な目的としては,Kohut 理論に基づく自己愛障害の中核的指標は,自然な自己顕示性を表出できないことや傷つきやすさを伴うことである.そこで2種類の自己愛からなる自己愛尺度を高校生用に再構成し,高校生用自己愛尺度の信頼性と妥当性を検討する.さらに,高校生における自己愛傾向の下位側面の特徴を明らかにし,自己愛傾向と自己および他者との関係を検討する.すなわち,自己愛傾向の諸特徴が学校生活へ及ぼす影響について検討することで,学校不適応に至る一つの要因を探る.最後に,先行研究では,自己愛の障害に至る関連要因として親の養育態度が論じられており,親の養育態度が学校生活の適応に及ぼす影響について検討する.第3章の[研究1]では,Kohut 理論を基に作成された鈴木(1999)の自己愛尺度を再検討した結果,誇大的な側面と過敏な側面を意味するものであった.さらに[研究2]では,一部の項目内容を平易なものにするとともに傷つきやすさの項目を加えて再構成し,高校生336 名(男142 名,女194 名)の自己愛傾向を調査した.そして探索的因子分析の結果,「対人過敏性」「回避性傾向」「自己愛的な怒り」の3因子構造が確認された.これらの因子は,内的整合性も十分に示されていた.また,MPI の下位尺度との有意な正の相関も見られ,傷つきやすさを伴う2種類の自己愛傾向を測定するうえで一定の妥当性があることが確認された.この自己愛傾向の下位側面が意味するものとして,「対人過敏性」は他者からの批判や嫌われることを恐れる内容を表し,「回避性傾向」は感受性の鋭さから人とのかかわりを避けようとする内容で,これらはともに対人関係における過敏さを示す自己愛傾向であった.また,「自己愛的な怒り」は,自己愛が満たされないときの怒りを表し,誇大的で傲慢な自己愛傾向を示していた.第4章の[研究3]では,高校1年生593 名(男子229 名,女子364 名)の自己愛傾向と承認欲求,学校生活満足感との関連を検討している.[研究2]で作成した自己愛傾向尺度に確認的因子分析を行った結果,3因子構造になることが認められた.相関関係の結果として,男子では,「対人過敏性」得点が高いほど,学校生活での不安や緊張などの不適応感が高くなることが示された.女子では,「自己愛的な怒り」得点が高くなるほど,学校生活で不安や緊張感が高くなることが示された.また,男女とも,「回避性傾向」得点が高くなるほど,学校生活での承認感は低く,不安や緊張感が高くなることが明らかにされた.パス解析の結果からは,自己愛者の他人に認められたい,評価されたいという強い欲求は,誇大的な自己愛から過敏な自己愛を介在することによって,恥や傷つきやすさの意識を伴うのか,男女ともに,「学校生活における満足感」を抑制する要因になることが示された.さらに,過敏な自己愛傾向の男子は,小塩(1998b)の結果と同様に,賞賛・承認欲求が強く,自分への肯定感覚とその感覚を維持したい欲求を持っていることが示唆された.第5章の[研究4]では,高校生300 名(男子104 名,女子196 名)を調査対象として,学校への強い忌避感情に焦点をあて,自己愛傾向と基本的信頼感との関係について検討した.学校嫌い感情の3群別(高群,中群,低群)で多母集団の同時分析を行った結果,「学校嫌い感情」の高群や中群では,誇大性を伴う過敏で傷つきやすい自己愛傾向と基本的信頼感に強い負の関連があることが明らかとなった.したがって,学校忌避感情が強くて自己愛傾向の高い生徒が持つ自己への信頼感と他者に対する信頼感は,安定性を欠いたものであることが示唆された.このように自分自身の主体性が動揺しやすいことは,いつも不安を感じる状態であり,これが学校生活への適応に負の影響を与えることになると考えられる.第6章の[研究5]では,高校生700 名(A高校259 名:男子103 名,女子156 名;B高校441 名:男190 名,女251 名)の自己愛傾向と親の養育態度,学校生活満足感がどのように関連しているのかを検討した.相関関係の分析から,両親の受容的な養育態度は,直接的には学校生活での満足感へ正の影響を及ぼすことが明らかになった.そして,各尺度を学校群(A 高校とB 高校)と男女の4群別にして多母集団の同時分析を行ったところ,両親の受容的な養育態度が,誇大的な自己愛傾向から傷つきやすさを伴う自己愛傾向を介在する場合には,学校生活での満足感へ負の作用をすることが明らかとなった.また,両親の受容的な養育態度が直接的な影響を及ぼす場合には,学校生活満足感へ正の影響を及ぼすことが示された.さらに,回避的な自己愛傾向を抑制し,学校生活へ適応させるには,女子では父親の受容的な養育態度が重要であることも示唆された.第7章では,本論文の総括的討論を行った.[研究1]から[研究5]までで検討された高校生の自己愛は,自己愛の2側面の特徴を示すことが明らかとなった.そして,これらの自己愛は表裏一体であり,その表面化している側面の裏に,もう一方の側面が潜んでいることが推測された.したがって,妥当な「自己評価」として自己を肯定的に捉えることができないために,自己評価を保証してくれる他者を必要として,承認欲求が強いことが示されたのである.さらに,本研究における自己愛傾向者は,親から情緒的で共感的な養育をされていないことも考えられた.それは自己評価を安定させるために,他者からの肯定的な評価をいつも求めているからである.すなわち,彼らのなかに誇大性としての優越感や特権意識があるからこそ,周囲からの特別な配慮を求めるのである,これに対して他者が否定的・無視的な態度をとった場合には,過剰な怒りを生じさせることになる.ところがその一方で,自尊心の低さ,空虚感,心気的傾向などが存在するのか,他者に対する過敏反応や傷つきやすさとして表されていると考えられた.以上のようなことが学校生活への適応を抑制するように作用していることが示唆されたといえるのである.本研究の今後の研究課題としては,調査対象者が特定地域の高校であったために,これらの結果をすぐに一般化することはできない.そのため,今後は,大規模なサンプリングと発達段階的な調査を実施することが求められる.また,基本的信頼感と親子関係の結果は,一定の範囲で支持されているが,一方向からの検討であるために十分とはいえないであろう.双方向からの検討は,他の関連変数の究明も含めて今後の課題である.さらに,教育現場では,自己愛傾向が高く,学校不適応に陥っている生徒に対する具体的な援助方法を明らかにすることが必要となる.
著者
高橋 則子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.31, pp.277-293, 2005-02-28

国文学研究資料館蔵黒本『〔四天王〕』は、『補訂版国書総目録』・『古典籍総合目録』・国文学研究資料館「マイクロ資料・和古書目録データベース」に未載である。これは、宝暦六年(一七五六)刊黒本『頼光 金臣 本未記』ではないかと思われ、現在のところ他での所蔵を見ない。本書の内容は、源頼光の四天王の一代記であり、『前太平記』から直接取材したものと思われる。It is impossible to find the kurohon called Shitennô owned by N.I.J.L in Kokushosômokuroku, Kotensekisôgômokuroku and in the Database of Microfilm and classical books of N.I.J.L. I thought that this book corresponds to the kurohon called Ichidaiki published in 1756 that cannot be found in any other place. The content of this book is the biographies of Minamoto Raikô’s Shitennô, directry taken from Zentaiheiki.
著者
高橋 丈博 田中 利和 渋谷 昇 伊藤 健一 高橋 康夫
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.314-319, 1992-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

プリント配線板における配線設計を行う上での設計指針を与えることを目的とし, ビアをもっ配線板で信号伝送測定を行い, 配線ビアの信号伝送波形への影響を調べた。この結果, 立ち上がり1ns程度の波形に対して, 伝送波形はほとんど変化せず, ビアの個数やクリアランスの大きさを変えても波形はほとんど変化しなかった。ビア部分の特性インピーダンスを測定したところ, 特性インピーダンスはクリアランスの大きさに依存し, 配線部の特性インピーダンスから20%程度違っていた。しかし, 伝送波形の計算を行い, ほとんど影響を与えないことが計算でも確認された。つぎに, 信号の立ち上がり時間, ビアの特性インピーダンスとの波形歪と関係を計算し, 立ち上がり時間が速くなってくるとビアの影響が波形に現れてくることを明らかにした。
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 高橋 弘毅 和佐 勝史 平野 賢一
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-102, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
41

リフィーディング症候群は,飢餓状態にある低栄養患者が,栄養を急に摂取することで水,電解質分布の異常,心合併症を引き起こす病態であるが,低血糖との関連は明らかではない.BMIが14未満の低血糖を伴うリフィーディング症候群を発症した12例の本邦報告例を検討したところ,たこつぼ型心筋症や心停止を含む致死的な心合併症を10例に発症していた.機序は不明な点が多いが,低栄養状態でのエネルギー供給による過剰なインスリン分泌が低血糖を生じ,低血糖によるカテコラミンの過剰分泌がたこつぼ型心筋症をひきおこすことが推察された.また,心筋への不十分なエネルギー供給が心合併症の要因と考えられた.この病態は重症化する可能性があるため,極度の低栄養患者には心電図モニターや血糖値および電解質管理等の全身管理を要する.目標投与エネルギー量を適切に設定し,リフィーディング症候群およびそれに伴う合併症を予防しつつ厳密な栄養管理が必要である.
著者
高橋 祥友
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.8-14, 2008-03-01 (Released:2012-10-30)
参考文献数
14
著者
高橋,盛孝
雑誌
日本西蔵学会々報
巻号頁・発行日
no.15, 1968-10-30
著者
高橋 康史
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.100-114, 2015-10-30 (Released:2017-04-30)

本稿の目的は,犯罪者を家族にもつ人びとが,いかにして自己の体験を語るようになるのかを描き出し,彼/彼女らが実践するスティグマ対処の手段の1つとしての役割距離とそのメカニズムを明らかにすることである.したがって,犯罪者を家族にもつ人びとへの支援に関する研究と異なる視点から,彼/彼女らの経験に接近する.具体的には,これまでの研究で議論されていない犯罪者を家族にもつ人びとの体験の語り得なさを乗り越える過程を捉えることを目指し,彼/彼女らの語りを事例として役割距離の観点から検討した.その結果,彼/彼女らは,加害者の家族として自己を振る舞えるようになるというスティグマの受容を経ることで,沈黙の状態から脱却していたことが明らかになった.彼/彼女らは,異質な他者や同じ属性をもたない他者との同質性の発見や,同じ属性をもたない他者との関係性を通じた自己の内にある普通さの想起によって,加害者の家族としての自己との距離化を実践し,スティグマが自己の役割の一部でしかないことを自覚していた.以上のことから,彼/彼女らの「回復」において,同じ属性をもたない他者との出会いや相互作用が重要な意味をもつことがわかる.
著者
新井 和吉 高橋 秀明 浦澤 俊介 長谷川 直
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.117-122, 2012 (Released:2012-10-10)
参考文献数
23

A space debris shield for use with spacecraft and satellites was designed. A space debris shield is required to have high defense performance and be lightweight. In this paper, the pressurized wall in the shield composition was made into a double wall structure, and we considered inserting a liquid layer into the shield between these walls. First, the numerical analysis conditions of aluminum alloys of shield composition materials were established from reverse analysis using the ballistic limit equation of a Whipple shield. Using the scaled-down liquid shield, the liquid layer thickness was investigated by comparing the numerical analysis and impact tests that used a two-stage light gas gun. Next, the ballistic limit curve of a real-size liquid shield was examined using the numerical analysis. From these results, it was found that the liquid layer in the debris shield substantially slowed the velocity of incoming debris fragments.
著者
高橋 悌蔵 小菅 貞良 松原 弘道 永田 幸雄 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.887-891, 1986

高農めぐりをして気の付いたことだが,高農での教育・研究に一生を捧げ,現在もなおカクシャクとして当時のお弟子さん方の尊敬を受けておられる,いわばその高農の歴史を一身で示しておられる先生方が多い.今日座談会の中心となって下さった高橋悌蔵先生もまさに岐阜高農そのものと申し上げてもおかしくない.90歳を越えられても記憶力も抜群で,よどみな答えられるのにはただ恐れ入るばかり,すでに岐阜大を退官されておられる,高農卒業生としては大先輩格の小菅・松原の両先生も,恩師の高橋先生から「あんたたちも皆ったんでしょ」などといわては,ひたすら「ハイ,ハイ」.誌面では伝えにくい,師弟のなこやかな交歓のなかに話題がはずみました.座談会の準備・進行に蔭の主役としてご助力をいただいた永田幸雄先生,農場や実習工場をご案内くださった上野良光先生にも心から御礼申し上げます.
著者
高橋 識至 三塚 由佳 飯田 聡美 安達 哲也
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.186-192, 2012-10-31 (Released:2016-04-25)
参考文献数
9

自己管理教育の主要項目としてアクションプランを用いた増悪への対処法を指導した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者45名(77.5±6.5歳,%FEV1.0 45.6±15.3%)のアウトカムを検討した.アクションプラン設定前後1年間の療養日誌が検討可能であった33名においては,増悪回数に有意な変化はなかったが,予定外受診回数(1.1±1.4→0.4±0.7/年)および入院回数(0.7±1.0→0.3±0.5/年)の有意な減少を認めた.療養日誌の検討不能であった12名においては診療録から検討をしたところ,有意な変化はなかった.アクションプラン設定前後ともに増悪がみられた18名において,治療開始までの日数(4.2±1.9→2.4±1.2)および回復までの日数(11.5±3.3→7.2±2.1)ともに短縮効果を認めた.アクションプランを指導強化した自己管理指導は,COPD増悪への早期対応を可能とし,早期回復および重症化の予防効果を期待できると考えた.
著者
関谷 芳正 松田 太志 高橋 真理子 村上 信五
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.639-646, 2002-06-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

Although Tinnitus Retraining Therapy (TRT) is becoming very popular all over the world, it is still not well known in Japan. In this paper, we will introduce and discuss the theory and practice of TRT.TRT is based on the theory of Jastreboffs neurophysiological model, which postulates that a number of systems in the brain are involved in the emergence of Tinnitus and the auditory periphery plays only a secondary role. The purpose of this method is habituation by using low level sound and directive counseling.Though this therapy is thought to be a powerful methods for Tinnitus, there are some uncertainties regarding the roles of sound and counseling.Larger scale control studies are nescessary to conform its effectiveness and rationalize the theory.
著者
堀川 恵美 新谷 義弘 長坂 篤 高橋 順一 五味 弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.7-8, 1993-03-01

Lisp言語は,その誕生以来、言語の持つ柔軟性/拡張性により多くの方言が存在したが,仕様の共通化や可搬性などを目的としたCommon Lisp(以下,CLtL1)の登場により統一が進み,Common Lispは業界標準として定着した.その後,第1版の持つ言語仕様の不完全な部分を修正し,ANSI規格とするための作業がANSI X3J13において進められた.この作業の成果をを反映した形で,オプジェクト指向機能(MOPを除くCLOS)等を付け加えたCommon Lisp第2版(以下,CLtL2という)が出されたが,これはまた,ANSI Common Lisp(以下,ANSI CLとうい)へのつなぎ役もかねていた.現在,ANSI CLは,public reviewが終了し,早ければ今春にも制定される予定である.CLtL2とANSI CLでは,残念ながら仕様が異なる点がある.Tachyon Common Lispは,CLtL2に基づいた処理系であり,ANSI CLに基づく仕様に変更する必要があるが,ANSI CLの制定時期に不明確な所があり,また,CLtL2で書かれたプログラムの継承のためにも当面2つの仕様を両立させておくべきだと考えている.本稿では,この新しいANSI CL仕様とCLtL2仕様との言語仕様の違いに対するために採用した方法およびこのために新たに開発したコンパイラの拡張方式について述べる.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
中島 圭一 小野 正敏 佐伯 弘次 住吉 朋彦 高木 徳郎 高橋 一樹 藤原 重雄 大澤 研一 池谷 初恵 栗木 崇 佐々木 健策 鈴木 康之 関 周一 佐藤 亜聖 村木 二郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

中世における生産技術の変革を示す事例として、新たに製鉄や漆器などを見出した。そして、10世紀の律令国家解体によって官営工房の職人が自立し、12世紀までに新興の武士を顧客とする商品生産を軌道に乗せたが、14世紀の鎌倉幕府滅亡と南北朝内乱による武士の勢力交代の中で、より下の階層を対象とする普及品に生産をシフトさせたことが、15世紀の「生産革命」を引き起こしたという見通しを得た。