著者
佐藤 明子 高橋 治 菊地 洋一 村上 祐
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.21-27, 2006-01-31
被引用文献数
8

原子の構造やイオンを初めて学習するのは何歳で,どのようなレベルの内容を学習しているか,海外の教科書の比較研究を行った。調査した教科書は英国,フランス,ドイツ,イタリア,スロバキア,インド,中国,台湾,インドネシア,アメリカの計10か国の中学のものである。その結果,内容のレベルは国によって様々であるが,原子の構造やイオンは13〜14歳で初めて学習する国が多いことがわかった。そして,多くの場合,イオンは基本粒子として,原子の構造の直後に学習されている。また,周期表もほとんどの国で13〜14歳で扱われ,原子の構造,イオンの学習に活かされていることもわかった。原子の構造,イオンは,中学段階の学習で大きな役割を果たし,この段階でそれらを学習することが適切であることがわかる。
著者
小関 純一 高橋 達児
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.308-316, 1975-12-25

寒地型牧草6草種を6年間にわたって,一応放牧条件を想定した刈取管理のもとで多・少肥の2段階の施肥処理を設けて栽培した。その結果について草生の変化を,主として夏がれ現象の点から解析し,つぎの知見が得られた。1)夏期前回再生期間中の平均気温上昇および梅雨期雨量の増大と夏がれ発生との間に密接な関係が認められた。2)多肥区の場合に各草種とも,上記の関係はとくに明らかであり,これら二つの要因の影響の度合は,オーチャードグラス>ペレニアルライグラス>レッドトップ>トールフエスク>ケンタッキーブルーグラスの順に小さくなった。少肥区では,夏がれに弱いペレニァルライグラスとオーチャードグラスのみ同様な関係はみられたが,その影響度合は多肥区に比して,著しく小さかった。3)これら気温と雨量の各要因別の影響度合はそれぞれ草種により異なる。たとえば,ペレニァルライグラスは両者とも大きく影響するが,レッドトップは気温により大きい影響をうけ,雨量の多少はあまり関係しない。4)以上のように,従来から夏がれ発生の原因として挙げられていた気温,干ばつ,病虫害などに,本邦においてはモンスーン地帯の特徴である梅雨の影響を加える必要が認められた。
著者
渡辺 潔 高橋 佳孝
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.291-296, 1981-10-30
被引用文献数
1

刈取りの早晩が牧草無機成分の含有率と吸収量に及ぼす影響を明らかにするため,オーチャードグラスの2,3番草の再生に伴う無機成分含有率の推移を,追肥量を変えて週1回の間隔で各8週間追跡調査した。2番草と3番草への追肥量は,それぞれ多肥区ではN 0.8,P_2O_5 0.4,K_2O 0.7kg/a,中,少肥区ではその1/2と1/4にした。無機成分含有率は,刈取り追肥後の経時的変動が大きいが,3番草のP含有率を例外にすれば,追肥量による差は比較的小さく再生に伴って各区ともほぼ平行に変化した。すなわち,2,3番草のN,K,Mg含有率と2番草のP含有率は刈取追肥後1〜2週で高くその後は徐々に低下して約6週で最低になり,2,3番草のCa含有率は3〜4週で高い中高の推移になったが,3番草のP含有率だけは追肥量により異なる推移を示した。再生に伴う無機成分含有率の変化は,N(1.6〜5.1%)で大きく,K(2.2〜4.2%)でやや大きく,P(0.38〜0.51%)Ca(0.34〜0.47%)で小さく,Mg(0.23〜0.28%)でとくに小さくなった(数値は2番草と中肥区の例)。枯死部では,生体部より,N,P,K含有率は低いがCa含有率は高く,Mg含有率も高い場合が多くなった。生体部のN吸収量は平均生産力(乾物収量/再生期間)最大期すなわち刈取追肥後4〜5週で最大になり,生体部のP,K,Ca,Mg吸収量は約6週で最大になった。生体部のN含有率がほぼ最低になる刈取追肥後6週では平均生産力最大期に比較し,乾物収量は多いがN含有率が低いのでN吸収量はほとんど変らず,Nの乾物生産効率(乾物収量/N吸収量)は大巾に高まった。したがって,過繁茂になりにくい少,中肥条件では,平均生産力よりNの乾物生産効率を重視し,刈取追肥後約6週で刈り取るのが適切と考えられる。
著者
池尻 宏 早川 栄一 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.245-246, 1992-02-24

OS/omicronは日本語情報処理のためのアプリケーション指向のOSである.我々の研究室では,このOS/omicronを用いてOSや各種のアプリケーションの研究開発を行っている.また.システムプログラミングの教育用にも利用している.OS/omicronの特徴はシングルユーザー,マルチタスク,マルチスレッド,JIS2バイトコードの採用,パーソナル指向,アプリケーション指向などである。近年,EWSやPCのLANの世界では,分散システムや分散環境といったことがいわれるようになってきている.しかしながら,一般的に使われている通信システムはネットワーク内に含まれる信頼性の低さから,また速度の遅い通信媒体をサポートするためにパーチャルサーキットのような複数なプロトコルが採用されている.また,通信システムが高度に仮想化されているためにブラックボックス化してしまい,通信システム全体を見通すことが難しい.これはシステムプログラミングの教育に好ましいこととはいえない.本稿ではこのような問題を解決するための軽量でシンプルな通信サービスについて述べる.
著者
大久保 つや子 柴田 学 高橋 宏 山田 恭央 栢 豪洋 本田 武司 青野 一哉 川越 昌宜 長岡 成孝 武田 康男
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.1116-1121, 1988-12-28
被引用文献数
3

歯科領域でのカートリッジ方式による局所麻酔において,血液の逆流現象を調べ,注射に際して特別な吸引操作を行わずとも,血液が容易にカートリッジ内に逆流し,残液を汚染することをつきとめた。1. 1.25%ポンタミンブルー液中に,注射針の先端を浸漬した状態でカートリッジ局麻液0.8mlを一定速度で押し出し,加圧を停止し指先をハンドルから浮かせた状態にしたとき,カートリッジ内に逆流してくる色素を定量する逆流模擬試験を行った。市販カートリッジ用注射器7種について比較した結果,7種すべての注射器に逆流が認められた。逆流色素量と頻度からしてFujisawa aspirating syringe>Citoject>Fujisawa type II>JM syringe>Trixylest>BDN carupule syringe>Peri-pressの順であった。また,市販4種のカートリッジについても,逆流現象を比較した。この場合も,1種を除くすべてに高頻度,高濃度の色素逆流を認めた。2. 歯科診療3機関より回収した,使用済カートリッジの残液について,色素結合法による蛋白の定性,定量を行った。324サンプル中85例(26.2%)に蛋白陽性を認めた。3. 使用済カートリッジ残液について,ヒトヘモグロビンを,酵素免疫測定法によって定性定量した。99サンプル中24例(24.2%)に陽性を認めた。以上のことから,局所麻酔用カートリッジでは,注射時に血液が高濃度,高頻度に逆流することが確認されたので,残液を他患者に再使用することは,エイズ,B型肝炎感染防止の立場より,厳禁すべきことが示唆された。
著者
高橋 理喜男 大沢 孝也 赤土 攻 菅原 岩雄
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.14-18, 1968-12-29

1.植物に対する大気汚染の影響を調査する一方法として、1966年に大阪地方の樹木の葉中硫黄音量と大気中のSO_2濃度との関係を調べた。2.調査地点として大阪市内に7ケ所、市外に5ケ所を選定し、各地点でサクラ、イチョウ、サンゴジュ、クス、クロマツの葉を5月、9月の2回(サンゴジュでは12月を加えて3回)にわたつて採集し、葉中硫黄含量を測定した。3.時間の経過につれて、各樹種とも葉中に硫黄が蓄積されたが、そのていどは大阪市内(大気汚染地区)の方が市外よりも著しかつた。4.調査地域を大阪市内、大阪市外とに分けて、それぞれの葉中硫黄含量の平均値を比較すると、どの樹種についても、前者の方が高かつた。5.大阪市内で、とくにSO_2濃度の高いと思われる地点の葉中硫黄含量は著しく高く「津守処理場」ではイチョウ(9月)が1.5%をこえた。しかし汚染度が低い郊外地、たとえば河内長野市では、すべての長種について低い値を記録した。6.以上の結果から、葉中硫黄含量は大気中のSO_2濃度とかなり密接な関連があるものと考えられる。また大気汚染度の高い大阪市内などでは、SO_2を主体とする大気汚染による植物の生育障害に注意する必要があると思われる。
著者
只木 誠 高橋 直哉
出版者
中央経済社
雑誌
ビジネス法務
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.112-119, 2009-03
著者
石川 哲也 山本 照子 佐々木 真一 高橋 賢次 藤山 光治 三谷 清二
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.65-75, 1999
被引用文献数
10

不正咬合や矯正治療が患者に与える心理的・機能的影響を知ることを目的として岡山大学歯学部附属病院矯正科における患者および保護者にアンケート調査を実施し, 回答不備, 口唇裂・口蓋裂, 外科的矯正治療, 特殊疾病を伴わない患者719人(男子233人, 女子486人), 保護者555人(男子患者199人, 女子患者356人)から以下のような結果を得た.1. 「矯正治療前, 歯並びや口元のことでからかわれたりいじめられたことがあった」と答えたのは男子9.4%, 女子12.1%であった.また, 「歯並びが気になり消極的な性格だったと思う」と答えたのは男子1.7%, 女子6.8%であったが, その中で「治療後積極的になった」と答えたのは58.8%であった.2. 「歯並びや口元が悪いと将来何か損をする」と思っている患者は, 男子27.9%, 女子38.7%で, 「将来子供の歯並びが自分と同じようになるか心配している」患者は, 男子16.7%, 女子32.7%であった.またともに男女別, アンケート調査時の年齢別において有意差がみられた.3. 装置装着を「はずかしい」と答えたのは金属ブラケット使用者では男子40.0%, 女子56.9%, 白色又は透明ブラケット使用者では男子26.8%, 女子42.8%であった.4. 「矯正治療して良かった」と答えたのは男子患者89.0%, 女子患者88.6%, 男子患者の保護者96.2%, 女子患者の保護者94.2%であった.5. 「矯正治療前, 前歯または奥歯で良く噛めなかった」と答えたのは全体の18.5%であったが, その中で70.3%が「もっと噛むるようになりたい」と望んでおり, 79.6%が「治療後良く噛めるようになった」と答えた.
著者
工藤 誠治 稲積 秀一 鈴木 唯司 森田 秀 高橋 信好
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1063-1066, 1989-07-20

患者は,28歳の男性で,1987年10月,腰痛を主訴に,某医受診し,精査目的にて同年11月11日,当院紹介入院となった.入院時の検査成績では,著明な腎機能低下が認められた他,超音波検査並びに,胃部CT撮影にて,両側腎皮質の厚い石灰化が認められた.腎生検では,一部に骨髄細胞を伴った骨形成の病理所見が得られた.その後,外来にて経過観察中であったが,1988年6月3日,再入院となり,現在,血液透析施行中である.腎における異所性骨形成は,比較的稀な疾患であり,しかもこれまでの報告例は,全て片側腎に限られていた.今回,我々は,両側腎における異所骨形成を認め,同時に慢性腎不全を呈する1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.両側腎における異所性骨形成は,我々の調べ得た限りでは本邦での他の文献発表は,認めなかった.
著者
高橋 桂太 久保田 彰 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.573-584, 2005-03-01
被引用文献数
25

Light field rendering (LFR)とは, あらかじめ取得された多視点画像から自由視点画像を合成する, イメージベーストレンダリングの基本的な手法である.この手法では, 合成画像において焦点ぼけのような現象が現れることが知られている.現実のシステムでは, この"焦点"が合う範囲が非常に狭い場合が多いという問題点がある.本論文では, LFRの合成画像における"合焦"の度合を, 安定に判定する新しい尺度を提案する.また, この尺度を用いて, "合焦"距離が異なる多数枚の画像から, "焦点"が合っている領域を統合することで, シーン全体を鮮明にとらえた"全焦点"画像を合成する手法を提案する.更に, 画像合成の実験を行い, 提案手法によって, 最終的な合成画像の品質が向上することを確認した.
著者
渡邊 亨 高瀬 恵一郎 小嶋 徹 笠倉 尚人 板井 典朗 栂 博久 高橋 敬治 大谷 信夫 湯浅 幸吉 上田 善道
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.75-79, 1998
被引用文献数
1

症例は31歳, 女性。上気道炎に罹患しやすく, 25歳時には喀血の既往歴があった。平成8年3月に湿性咳嗽と黄色痰を生じ, 以降, 乾性咳嗽が続いていた。5月28日, 突然約100mlの喀血を生じ, 以後も喀血を繰り返すため近医受診し, 同日当院に紹介入院となった。気管支鏡により, 右B^<10>から鮮紅色の出血を認め, 胸部CT検査では右S^<10>領域に気管支拡張像と一部造影効果のある腫瘤状陰影を認めた。また, 大動脈造影では右下横隔膜動脈から肺静脈へ灌流する異常血管を認めた。異常の結果から肺分画症と考え, 喀血を繰り返していることから手術適応と考えて, 病変部分右S^<10>の肺部分切除を行った。切除標本にて, 拡張した気管支内に異物を認めた。本例は, 胸部CT, 右下横隔膜動脈造影により肺葉内肺分画症が疑われたが, 気管支内異物のため感染を繰り返し, その結果新生血管が発育し, 喀血を繰り返した症例であると考えられた。