著者
島田 瑞穂 土井 寛大 川端 寛樹 山内 健生 安藤 秀二 小林 由美江 廣瀬 芳江 周藤 史憲 藤原 由佳子 齊藤 美穂 菊池 広子 小松本 悟 室久 俊光 島野 智之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.53-56, 2023-06-25 (Released:2023-06-30)
参考文献数
18

During the 3-year period (2020–2022), 49 cases of tick bites were presented to the Japanese Red Cross Ashikaga Hospital in Tochigi Prefecture, Japan. More than 60% of all tick bites between March and September occurred within two months (May and June). Amblyomma testudinarium was responsible for 40 cases among all the tick bite cases. Specifically, 41 individuals of this species (39 nymphs/2 adult females) were linked (The point estimate was 0.79 with a 95% confidence interval of 0.67–1.00). There were 38 cases of tick bites in Ashikaga City, and 23 of which occurred in the vicinity of the patients’ houses (gardens and fields). Suspected cases of Tick-associated rash illness (TARI) were first recorded in the Japanese Red Cross Ashikaga Hospital in May 2020, in a total of five cases ( i.e., the patients were aged 50 years or older). TARI is indicative of repeated tick bites, which points to the permanent settlement of the A. testudinarium in and around Ashikaga City. Therefore, we believe that greater efforts should be implemented towards the detection of tick-associated infections in this area, including Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus for which A. testudinarium is considered as a major vector.
著者
栗栖 聖 齊藤 修 荒巻 俊也 花木 啓祐
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.307-324, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
31

東京都八丈島を対象に,島への訪問意図を規定する因子の構造をモデル化を通して検討した。特に自然および旅行への態度が,自然環境や地熱発電所といった島の各地域資源への訪問意図を通じて,どのように島への訪問意図に影響を与えているかを明らかにすることを研究目的とした。東京都民を対象にオンラインアンケートを実施し,29,616名のサンプルを得た。八丈島を訪問したいと思うかを尋ねた「八丈島訪問目標意図」では,全体として「やや思う」を少し超えた値となった。同意図は男性の方が女性より有意に高く,50代以上になると年齢とともに有意に意図が上がっていた。同意図へ影響を与える意図としては,自然環境探索意図と温泉訪問意図が高く,また島全般への訪問意図も大きく影響していた。自然への態度としては,「脅威をもたらす存在」「癒しを得る存在」「人により支配される存在」という自然観の3因子が抽出された。また,旅行への態度としては,「健康回復欲求」「文化見聞欲求」「自己拡大欲求」「意外性欲求」の4つの因子が抽出された。これらの因子得点は,性別および年代によって大きく異なっていた。これらの中で,八丈島への訪問意図へ影響を与えるものとしては,自然への態度の中では,「脅威をもたらす存在」および「癒しを得る存在」としての自然観がモデル内に組み込まれたが,その影響は大きくはなかった。一方,旅行に対する態度の中では,「健康回復欲求」と「文化見聞欲求」がモデルに組み込まれ,特に後者が訪問意図に与える影響が大きかった。
著者
藤川 太郎 白倉 聡 畑中 章生 岡野 渉 得丸 貴夫 山田 雅人 齊藤 吉弘 別府 武
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.8, pp.1046-1052, 2015-08-20 (Released:2015-09-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

癌治療において低ナトリウム血症はしばしば遭遇する電解質異常である. 今回われわれは, 中咽頭癌進行症例に対してシスプラチン (CDDP) 同時併用放射線治療を行い, 計3回の grade 4 の低ナトリウム血症を経験したので報告する. 初回および2回目の低ナトリウム血症は CDDP 投与後に出現し, 脱水と多尿を伴い, 輸液と塩分の補充により1週間程度で改善した. ナトリウムの排泄過剰の所見から塩類喪失性腎症が原因であると考えられた. 3回目の低ナトリウム血症の原因であった抗利尿ホルモン不適合分泌との比較から, 細胞外液量とナトリウムバランスの評価が低ナトリウム血症の鑑別と適切な治療において極めて重要であると考えられた.
著者
棚町 千代子 吉永 英子 水島 靖子 齊藤 祐樹 天本 貴広 井上 賢二 中島 収 山口 倫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.447-452, 2016-07-25 (Released:2016-09-10)
参考文献数
7

2012年9月より,当院の手術室の手洗い水は滅菌水から水道水へ変更となった。これに伴い,2箇所の手洗い場の7つの蛇口から採取した水道水の細菌汚染調査を行い,適切な管理方法について検討した。以前は一般細菌と大腸菌について検査されていたが,従属栄養細菌を追加し調査した。手洗い水から一般細菌と大腸菌については検出されなかった。しかし,従属栄養細菌は目標値とされる集落数2,000 CFU/mLを超えていた。優勢菌種はSphingomonas pausimobilisとMethylobacterium sp.であった。対策として,まず蛇口の清掃,使用前の流水の確認,塩素濃度の測定を行った。これらの結果では塩素濃度は十分であったにもかかわらず,従属栄養細菌が多く検出された。すなわち塩素に対し耐性を示す細菌が存在することから,塩素以外の熱水殺菌が有用であると思われたため,次に65℃の熱水による処理を実施した。この対策後,現在まで従属栄養細菌は2,000 CFU/mL以下となっている。これまでの管理を見直し,徹底することで手洗い水の改善に至った。今後も手洗い水に含まれる従属栄養細菌を検査することにより,清浄度が保たれると思われる。
著者
齊藤 国靖
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.170-175, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
10

We study non-local effects on inhomogeneous flows of soft athermal particles near the jamming transition. We employ molecular dynamics simulations to demonstrate Kolmogorov flows, where a sinusoidal flow profile with fixed wave number is externally imposed, resulting in a spatially inhomogeneous shear rate. We find that the rheology of soft athermal particles is strongly wave number-dependent and particle migration is not sufficient to explain the resulting stress profiles within conventional local constitutive relations. We show that stress profiles can be described by non-local constitutive relations that account for gradients to fourth order.
著者
齊藤 仁弘 大木 裕玄 臼井 伸行 笹尾 道昭 河西 宗一郎 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.38-45, 1999-01-25 (Released:2018-04-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1

寒天・アルジネート連合印象法に用いられる寒天印象材およびアルジネート印象材と,歯科用硬質石こうおよび超硬質石こうとの組み合わせから得られたそれぞれの石こう模型の細線再現性および表面粗さを測定し,それらの適合性について検討した.その結果,以下の事柄が明らかとなった. 寒天印象材との組み合わせについては,細線再現性および表面粗さの両者で評価Aとなったのは,硬質石こうでは24組中4組,超硬質石こうでは30組中0組であった.アルジネート印象材との組み合わせについては,20組中10組,超硬質石こうでは25組中2組であった。したがって,両印象材には,硬質石こうのほうが超硬質石こうよりも適合性が良好であった.また,寒天およびアルジネート印象材と石こう模型材とのそれぞれの適合性を比較すると,アルジネート印象材との組み合わせのほうが寒天印象材との組み合わせよりも適合性が良好であった.
著者
齊藤 佳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.285-296, 2016 (Released:2016-05-21)
参考文献数
77

In the present paper we analyzed factors of the social background responsible for the rise and decline of dressmaking schools, which played a major role in the westernization of clothes in postwar Japan. Our analysis was based on statistical data arranged in chronological order, from which we obtained new knowledge and insight.   In connection with the rise of these schools, we clarified the influence of various factors on the dressmaking boom. These factors were: (a) the supply-demand structure such as the production volume of the textile industry and the household spending situation; (b) the popularization of fashion; and (c) various mass media.   In connection with the decline of dressmaking schools, we also clarified the influence of various factors on the boom convergence. These factors were: (a) the commercialization of synthetic fibers and automation of the manufacturing process; (b) the rise of the apparel industry by mass production and development of distribution sales channels; (c) the spread of ready-to-wear through marketing; and (d) the increase of students receiving higher education.
著者
齊藤 奈英 板倉 誠 田井中 一貴 Tom Macpherson 疋田 貴俊 山口 瞬 佐藤 朝子 大久保 直 知見 聡美 南部 篤 笹岡 俊邦
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.100-105, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
32

ドーパミン(DA)作動性神経伝達は,運動制御,認知,動機付け,学習記憶など広範な役割を持つ。DAは大脳基底核回路において,D1受容体(D1R)を介して直接路を活性化し,D2受容体(D2R)を介して間接路を抑制する。さらに詳細にD1RおよびD2Rを介したDA作動性神経伝達を理解するため,筆者らは,D1R発現を薬物投与により可逆的に制御できるコンディショナルD1Rノックダウン(D1RcKD)マウスを作製した。このマウスを用いることにより,D1Rを介する神経伝達が,大脳基底核回路の直接路の情報の流れを維持し,運動を促進することを明らかにした。また,D1Rを介したDA伝達が少なくとも部分的に大脳皮質ネットワーク内の神経活動を増加させて嫌悪記憶形成を促進することを明らかにした。本稿では筆者らのこれまでの取り組みも交えD1RcKDマウスを用いた運動制御と嫌悪記憶形成に関する研究を中心に紹介する。
著者
土岐 典子 齊藤 泰之 入澤 寛之 佐倉 徹 宮脇 修一
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.393-396, 2003-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
10

症例は34歳, 女性.急性リンパ性白血病のため, 2002年5月当院入院.寛解導入療法にて寛解となったが, 1回目の地固め療法後に再発.化学療法にて2回目の寛解となったが, 予後を考慮し, 幹細胞移植を行うべくドナー検索を行った.しかし, HLAmatchドナーは家族内, 骨髄バンクでも見つからなかった.このため2002年10月, 非血縁者間臍帯血移植を施行.前処置は, TBI (total body irradiation) +CY (cyclophosphamide) で, GVHD予防にはFK506+短期MTXを使用し, 細胞数は3.02×107/kgで, HLAは3座不一致 (A locus 2座不一致, Blocusl座不一致) であった.Day22に生着し, 急性GVHDは発症せず, day100で免疫抑制剤を中止した.8ヶ月たった現在, 再発なく外来通院中である.臍帯血移植は, 小児のみでなく, 成人においても有用な治療手段である.
著者
齊藤 孝弘
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-14, 2015-12-25 (Released:2015-12-30)

This paper will ask how Japan should go about establishing a favorable national security environment, and Will consider this through an analysis of Japan’s role in the process. First of all, it will focus on the East China Sea’s Senkaku Islands, while examining China’s maritime expansion and shifting American strategies. From there it will analyze the transformation of the security environment. Next, Japan’s response to the changing security environment in East Asia will be considered, along with the government’s approval of recourse to the right of collective defense. And Finally, attention will be paid to the influence Japan has had on setting up the Security Consultative Committee (known as 2-puls-2) with other major world powers, paving the way to establishing a new security environment.
著者
齊藤 陽花 金松 萌々花 南條 優 下﨑 高 小泉 遥香 佐藤 和紀 森下 孟
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.96-101, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,X大学の教員養成学部1年生を対象に,高校時のオンライン授業の経験の有無が,ICT活用指導力にどのような影響を及ぼすのか検討することを目的として,それらに関するアンケートを実施した.その結果,①オンライン授業の経験をしていた学生の割合は,高校2年次が最も高く,次いで高校3年次,また,高校1年次はオンライン授業の経験はほとんどなく,②オンライン授業の経験により,オンライン授業に対する肯定的な意見や情報モラル指導に関する意識を持つことができると示唆された.
著者
堀江 秀樹 安藤 聡 齊藤 猛夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.661-664, 2013-11-15 (Released:2013-12-31)
参考文献数
13
被引用文献数
4 8

γ-アミノ酪酸(GABA)にはストレス緩和効果が期待されている.ナス8品種果実のGABA含量を比較したところ,品種間の差は大きいものではなく,平均値は果実100gあたり24mgであった.60℃で加熱すれば,果実中のGABA含量が増加し,グルタミン酸塩を外部から補って加熱することにより,GABA含量を倍増することができた.GABAを含む野菜として,ナスの消費喚起が期待される.
著者
齊藤 紅 簑島 良一 椎葉 究
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.170-175, 2016-04-15 (Released:2016-05-31)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

ミョウバン中の硫酸アルミニウムカリウム(PAS)やグルコノ-δ-ラクトン(GDL)がパンケーキなど膨張剤として使用されているが,それらのタンパク質への影響について,オズボーン分画変法によりタンパク質を分画しその構成比の違いから評価した.その結果,PASやGDLの添加量を増やすと,パンケーキ中の水溶性タンパク質(アルブミン区分)の比率が減少し,代わって水不溶性の区分,特に70 %エタノール可溶性タンパク質(グリアジン区分)や酸可溶性タンパク質(可溶性グルテニン)および不溶性グルテニン区分が増加する傾向にあり,全体的にタンパク質の水不溶性が増加する傾向があった.このタンパク質の構成の変化の原因を探るため,いろいろな化合物を添加して効果を比較した中で,過酸化水素水の添加は,パンケーキの膨張にたいへん効果的であり,PASやGDL添加時と同様なタンパク質の水不溶化傾向を生じた.一方,増粘多糖類であるアルギン酸ナトリウム(SAA)の添加は,そのような効果が認められなかった.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)