著者
Mustafa M. Sami Masahisa Saito Shogo Muramatsu Toshihiko Mikami Kamal Al-Eryani Faleh A. Sawair Rasha Abu Eid Jun Cheng Hisakazu Kikuchi Takashi Saku
出版者
The Japanese Society of Oral Pathology
雑誌
Oral Medicine & Pathology (ISSN:13420984)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.89-97, 2010 (Released:2010-03-30)
参考文献数
28
被引用文献数
4 4

Epithelial dysplasia and carcinoma in-situ (CIS) of the oral mucosa are two different borderline grades similar to each other, and it is difficult for pathologists to distinguish these two lesions on hematoxylin and eosin-stained sections only. To support objective differential diagnoses, we have developed a new computer-aided analysis system. The method was based on a comparison of the elevation levels in the drop shape between twin-pairs of neighboring rete ridges. The dissimilarity of the drop shape was defined by the roundness difference between a pair of rete ridge units. All the steps were performed using a graphical user interface. The similarity levels in epithelial dysplasia were higher than those in CIS, whose histopathological diagnoses were conventionally made by experienced pathologists. The developed image processing method showed good promise for the computer-aided pathological assessment of oral borderline malignancies in clinical practice.
著者
松浦 正孝 SKABELUND A.H
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

第二次世界大戦後、日本では、軍隊の役割及び「兵士」の意味が大きく変わった。「平和憲法」の制定、教育改革、また強い平和精神の定着により軍への支持は薄れていった。軍隊及び軍隊の理念は、20世紀の後半、世界中で、大きな不信感を持たれるようになったが、日本ほどこの傾向が強く、また永続的だった国はない。この研究は、「日本軍」の戦後の社会史に着目するにあたり、3つのテーマを提示する。第一に、帝国軍と自衛隊の間の組織的、思想的な連続性と断絶性である。第二に、米軍と自衛隊の対等でない同盟関係である。第三に、自衛隊と社会の関係である。自衛隊において目に見える大きな組織的な変化と目に見えない人事的あるいは思想的な連続性が存在したという視点は、今まで論じられてきた日本戦後の政治史と経済史とは異なった新たな歴史的文脈を提示するものと考えている。本研究実績として、自衛隊と米軍と地域社会との関係を探るために次の二つの研究手段をとった。第一に、自衛隊と米軍のやりとりを回顧録、口述歴史、また基地周辺地域でのインタビューによって見直した。この米軍のプレゼンスこそが、自衛隊の存在が不透明である理由の一つであると考えるからである。第二に、地域社会との関係を探る為に、北海道や他の地域で資料収集や隊員および自衛隊関係者とのインタビューを行った。半世紀の間、自衛隊は社会から敵意を受けることなく、関心を持たれず、殆ど尊敬されなかったのが実情であった。組織として、それに対して自衛隊はどういう対策を取ってきたか、また隊員はどういう経験をしてきたか調べた結果、特に災害援助と地域社会への貢献(札幌雪祭りなど)の経過に注目した。
著者
長谷部 信行 BEREZHNOI A. A.
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

月・惑星研究において、ガンマ線と中性子による核分光法を利用して天体表面全域の元素の濃度分布や平均質量を求め、月・惑星の形成と進化の研究を進めている。主な研究成果を以下に示す。1)月表面から放出される核ガンマ線のシミュレーション2)月表面における揮発性元素H,CO_2,SO_2の存在可熊性3)流星群衝突と月震による月からの電波放出1)月表面におけるガンマ線及び中性子の発生と輸送機構を実験的及び数値計算的にシミュレートし、元素濃度の評価方法の基礎過程を構築した。それに基づけば、ガンマ線分光計のエネルギー分解能が5keV以下の場合、水素及び硫黄の検出が可能であるという結論を得た。従って、月の極域にそれらの揮発性物質が存在すれば検出できることを示した。2)月面揮発性元素の彗星起源説について評価を行った。その結果、炭素に富む彗星では現在までに推測されている揮発性元素の存在量を説明することはできず、酸素に富む彗星であれば、十分に存在量を説明することができるとの結論に至った。水、二酸化酸素及び二酸化硫黄が安定に存在できる極域内の面積を算出し、それら元素の注入率に制約を与えた。SELENEで水、イオンの検出ができることを可能性を示した。3)1999年から2001年までのしし座流星群到来時の電波観測データの解析を複数の波長を用いて行った。1999年のデータからは月からの信号を見出すことはできなかったが、2000年、2001年においては流星群によると思われる信号を発見した。また、数分にもおよぶ振動の存在を確認した。
著者
鈴木 文彦 堀田 光生 青木 孝之 土屋 健一 Francioni J.M. Lattanzi A.R. 本間 善久
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

ダイズ急性枯死症(SDS)の病原菌であるFusarium solani f.sp.glycinesのPCR検出をアルゼンチンにおいて検討した.プライマーには同菌のrDNA領域の配列に基づきO'Donnellらが設計したFSPF,FSPRを用いた.現地で採集したSDS病原菌と非病原性Fusarium属菌からそれぞれ抽出した全DNAをテンプレートにしてPCR反応を行った結果,前者からのみ特異的バンド(約950bp)が増幅されることを確認した.次に人工接種により感染したダイズ(播種後約4週間)を供試し,SDS病原菌の検出を試みた結果,発病した全ての個体において主根および側根から特異的なバンドが検出されたが,葉からは全く検出されなかった.-方,圃場から採取した自然発病ダイズについて根部からの検出を試みたが,常法のPCR反応では増幅産物はほとんど得られなかった.そこで上述の検出用プライマーとそれらの外側のプライマー(ITS5,NL4)とを組み合わせたNested PCR法で再検討した結果,主根上部からは58.8%の検出率で明瞭なバンドが増幅できた.
著者
池田 隆 RAOUF A. Ibrahim
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,自由液面を有する正方形断面の剛体容器が水平方向に正弦励振またはランダム励振を受ける場合,容器内に二つの振動モードが同時に発生する液面スロッシングの内部共振現象について,非線形性を考慮した数学的モデルを構築し,数値計算と実験によりスロッシング挙動を明らかにするとともに,スロッシング波高を精度良く予測できることを示した.また,液面スロッシングの内部共振現象を利用した正方形断面容器が構造物の制振装置として有効であることを示した.
著者
渡邊 公一郎 今井 亮 横山 拓史 板谷 徹丸 三谷 泰浩 小林 哲夫 本村 慶信 セティジャジ ルーカスドニィ 高橋 亮平 米津 幸太郎 糸井 龍一 池見 洋明 実松 建造 HARIJOKO Agung SHERSTEN Anders IDRUS Arifudin WARMADA I Wayan DUNCAN Robert A.
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インドネシア及びフィリピンの金・銅鉱徴地と地熱資源、タイ及びマレーシアの含REE花崗岩風化殼、フィリピンの斑岩銅鉱床および浅熱水性金鉱床についての地質調査を行い、鉱床生成条件の解析に基づく資源量と開発可能性の評価を行った。また、地質試料と室内実験データについて、地理情報システムとデジタルデータベースを併用した統合管理システムを構築した。
著者
神谷 充伸 WEST John A.
出版者
公立大学法人福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

世界各地から単離された広塩性紅藻セイヨウアヤギヌについて遺伝子解析と交雑実験を行った結果、以下のことが明らかになった。(1)異なる系統群で何度も無配生殖化が起こった;(2)解析した無配生殖株の7割以上はヘテロ接合体(フロリダとオーストラリアの株は異質3倍体);(3)遺伝子型がホモの無配生殖株は有性生殖を行うことがある;(4)遺伝的に分化した有性生殖株の間で交雑を行った場合、F_1胞子体が無配生殖化する場合がある。
著者
川手 竜介 早川 正士 Molchanov Oleg A.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.190, pp.1-8, 1995-07-27

地震前兆電磁気現象のうちULF電磁放射が注目されている。即ち、スピタック地震及びロマ・プリータ地震の前に明瞭にULF電磁放射が観察されているからである。本報告では1993年8月8日のグアム地震に対してグアム地磁気観測所でのULFデータに基づいた解析結果を報告する。磁界のH(水平)成分とZ(鉛直)成分との比(即ち偏波)を最大限に活用し、スペース波動と地震電波との分離に成功し、地震の1〜2週間前に1度目の強度増大があり、又数日前から再度の上昇があるという特性を明らかにした。これらの諸特性は予知への大きな指針を与えよう。
著者
齋藤 宏文 MASUMOTO Y. MIZUNO T. MIURA A. HASHIMOTO M. OGAWA H. TACHIKAWA S. OSHIMA T. CHOKI A. FUKUDA H. HIRAHARA M. OKANO S
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.465, pp.39-48, 2000-11-17

本論文は、オーロラ微細構造の観測と先端衛星技術の軌道上実証を目的とするピギーバック衛星INDEXの概要について紹介する。INDEX衛星は2002年にH2Aのピギーバックとして打上げられる事を目標に、開発中の50kg級の衛星である。フォールトトレラントな3重多数決高速CPUシステム(SH-3, 60MHz)によって、コマンド・テレメトリ処理、姿勢制御、理学データ圧縮等、衛星のほとんどの機能が制御される。姿勢制御は、0.2°以下の制御精度を目標とする3軸姿勢安定方式である。SOI宇宙用デバイス、太陽集光型高効率パドル、リチウムイオン電池、全方位アンテナGPS受信機、可変放射率素子等の、先進技術の軌道上実証を合わせて行う。
著者
河本 満 Barros A.K. Mansour A. 松岡 清利 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1320-1328, 1999-08-25
被引用文献数
21

ブラインド信号分離とは, 信号が複数の信号源から流れていて, それらの混合信号を複数のセンサで観測できるとき, その観測信号のみを用いてもとの信号を分離して取り出す信号処理技術である. 本論文では, 信号源からの信号は, 非定常信号(例えば, 音声, 音楽)であるとし, それらが時空間的に混合している観測信号からもとの非定常信号を分離することができるブラインド信号分離の方法を提案する. 提案する手法は, 観測信号の2次の相互相関値が零になったときのみ最小値(零)をとる非負関数を最小化することによってブラインド信号分離を実現する. 本手法の有効性は, 計算機シミュレーションと普通の部屋で観測される音声の混合信号を用いて行う実 験で確かめられる.
著者
下田 博之 パワー A.P.
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.242-250, 1992-09-01
被引用文献数
5

前報に続いて本報では, パプアニューギニア東セピック河下流域に分布するサゴヤシ林でのサゴヤシの繁殖, 並びにサッカー移植後幹立ち期までのロゼット期における生育状態について報告する.野生林の林床では落下した野生種のサゴヤシ種実が発芽して生長するが, 多収種の繁殖はすべて住民が行うサッカー移植による栄養繁殖であった.新たにサッカー移植した幼植物の調査から幹立ちまでの年数に変種間差が認められ, 最短でも4.5〜5年を要した.クランプ内のサッカー・幹立ち樹の樹齢別構成はクランプ間差が大きく, また幹立ち期に達したサッカーの少ないことが知られた.このことはサゴヤシ林内調査でも認められた.サッカーを間引き処理したクランプのその後のサッカー発生経過を調査し, その間引き作業を行う上の留意点を検討した.
著者
上田 豊 中尾 正義 ADHIKARY S.P 大畑 哲夫 藤井 理行 飯田 肇 章 新平 山田 知充 BAJRACHARYA オー アール 姚 檀棟 蒲 建辰 知北 和久 POKHREL A.P. 樋口 敬二 上野 健一 青木 輝夫 窪田 順平 幸島 司郎 末田 達彦 瀬古 勝基 増澤 敏行 中尾 正義 ZHANG Xinping BAJRACHARYA オー.アール SHANKAR K. BAJRACHARYA オー 伏見 碩二 岩田 修二
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1.自動観測装置の設置と維持予備調査の結果に基づき、平成6年度にヒマラヤ南面と北面に各々2カ所設置したが、各地域におけるプロセス研究が終了し、最終的には南面のクンブ地域と北面のタングラ地域で長期モニタリング態勢を維持している装置はおおむね良好に稼働し、近年の地球温暖化の影響が観測点の乏しいヒマラヤ高所にいかに現れるかの貴重なデータが得られている。2.氷河変動の実態観測1970年代に観測した氷河を測量し、ヒマラヤ南面では顕著な氷河縮小が観測された。その西部のヒドン・バレーのリカサンバ氷河では過去20年に約200mの氷河末端後退、東部のショロン地域のAX010氷河では、ここ17年で約20mの氷厚減少、またクンブ氷河下流部の氷厚減少も顕著であった。地球温暖化による氷河融解の促進は氷河湖の拡大を招き、その決壊による洪水災害の危険度を増やしている。3.氷河変動過程とその機構に関する観測氷河質量収支と熱収支・アルビードとの関係、氷河表面の厚い岩屑堆積物や池が氷河融解に与える効果などを、地上での雪氷・気象・水文観測、航空機によるリモート・センシング、衛星データ解析などから研究した。氷河表面の微生物がアルビードを低下させて氷河融解を促進する効果、従来確立されていなかった岩屑被覆下の氷河融解量の算定手法の開発、氷河湖・氷河池の氷河変動への影響など、ヒマラヤ雪氷圏特有の現象について、新たに貴重な知見が得られた。4.降水など水・物質循環試料の採取・分析・解析ヒマラヤ南北面で、水蒸気や化学物質の循環に関する試料を採取し、現在分析・解析中であるが、南からのモンスーンの影響の地域特性が水の安定同位体の分析結果から検出されている。5.衛星データ解析アルゴリズムの開発衛星データの地上検証観測に基づき、可視光とマイクロ波の組み合わせによる氷河融解に関わる微物理過程に関するアルゴリズムの開発、SPOT衛星データからのマッピングによる雪氷圏の縮小把握、LANDSAT衛星TM画像による氷河融解への堆積物効果の算定手法の確立などの成果を得た。6.最近の気候変化解析ヒマラヤ南面のヒドン・バレーとランタン地域で氷河積雪試料、ランタン周辺で年輪試料を採取し、過去数十年の地球温暖化に関わる気候変化を解析中である。7.最近数十年間の氷河変動解析最近の航空写真・地形図をもとに過去の資料と対比して氷河をマッピングし、広域的な氷河変動の分布を解析中である。8.地球温暖化の影響の広域解析北半球規模の気候変化にインド・モンスーンが重要な役割を果たしており、モンスーンの消長に関与するヒマラヤ雪氷圏の効果の基礎資料が得られた。
著者
A Bugaeva
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アイヌ語は消滅の危機にある。系統関係は不明で、いずれかの古い語族の名残であろう。アイヌ語の研究は、北東アジアの言語史、また人類の知性の多様性の理解において、重要な意義を有する。本プロジェクトでは、フィールド調査によって得られたアイヌ語の音声資料のコーパス構築を進めた。さらに、このアイヌ語資料のコーパスに基づいてアイヌ語動詞範疇に関する類型論的研究を行った。アイヌ語のヴォイス(充当、使役など)についていくつかの論文を発表し、またヴォイス標識の相互作用について研究を行ってきた。本研究はアイヌ研究を世界に広く知らしめ、人類の知的財産へのアイヌ語の言語的・文化的貢献の理解を助けるものになるだろう。
著者
川勝 正治 Rovasio Roberto A.
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.48, pp.7-23, 1992-12-25

Dugesia ancepsはBORELLI(1895)がパラグアイからPlanaria dubiaとして最初に報告し,続いてBOHMIG(1902)がアルゼンチン東部から報告した種類であるが,KENKによって上記の種名に修正された.最近,CAZZANTGA and CURINO(1987)が再記載したが,やや不完全な点もあり,本稿ではコルドバ産(アルゼンチン中部)の材料に基づいて詳細な分類学的再記載を与えた.生時の体長は15-18mm,体幅1.5-2.5mm.黒褐色,中等度に発達した耳葉を持つ.精巣は腹位で多数,陰茎基部は球形で,陰茎基部腔は分離,相称形の陰茎突起部は円錐形で,単一射精管が開く.交接のうは中等度の大きさで,交接のう柄の筋肉層は厚く,腔も発達している.卵殻は球形で,糸状の柄がある.南米産の近似種について,分類学的考察を加えた.
著者
Zarza-Silva Hugo A. 丸尾 達 高垣 美智子 北条 雅章 篠原 温
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.45-52, 2005-03-01

実用規模の毛管水耕システム(CHS)を作成し, 熱帯条件下でのサラダナ栽培における適用性を調査することを目的とし, 2001年春, 夏, 秋の計3作栽培を行った.それぞれの実験で, ハウス内気温2水準(25-30℃, 30-35℃)と培養液流速2水準(50, 80ml・min^<-1>・m^<-1>)を設け, それぞれを組み合わせた4水準の処理を行った.どの季節においても, 気温の低い設定の処理区で良い生育を示した.夏の高温処理条件下では, 培養液中の溶存酸素濃度が低くなるため, それが補償できる流速の速い処理区での生育が良かった.植物体の品質, 葉色は温度処理, 流速処理による影響を受けなかったが, 季節の違いによる影響は見られ, 春と秋の栽培では, 葉色, 硝酸濃度が高くなり, 夏の栽培では, 葉色が淡く, また, ビタミンC濃度は高くなった.パラグアイおよびタイにおける, CHS作成にかかる材料費を, 現地の価格で算出したところ, それぞれ栽培面積1000m^2当たり665,950円, 659,100円であった.熱帯諸国で算出される材料費は日本で算出される材料費の3分の1程度であった.本実験より, CHSを用いた高品質サラダナの栽培は, 熱帯の気候条件下でも安定的に行うことができると考えられる.