著者
小山 聡 馬場 雪乃 大向 一輝 堂腰 裕明 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.182, pp.1-6, 2014-08-20

多くの国々においてオープンデータめ取組みが進んでおり,様々な統計データが行政等によって公開されている.しかしこれらのデータは画像やPDFの形式で与えられるものが少なくなく,分析やサービスの開発などでの再利用を妨げている.そこで,クラウドソーシングを用いて,画像として与えられたレガシーな統計データを機械可読な表形式に変換する枠組みを提案する.その際,作業者に表だけを作成させるのではなく,画像をスプレッドシート上でグラフとして視覚的に再現させるタスク設計を行った.このタスク設計により,データの誤りに気付き易くなる効果に加えて,再現されたグラフオブジェクトのプロパティとして項目名や系列といったデータの構造を容易に取り出し,作業結果の統合や品質管理に利用することが可能となる.国土交通省が公開している観光白書を対象に評価実験を行い,提案手法の有効性を検証した.
著者
三輪 進 斎藤 彰彦 幸谷 智 加来 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.285, pp.43-48, 2000-09-07
被引用文献数
1

本論文は、レーダにおける信号対クラッタ比(SCR)について、どう定義すれば視覚によって感じる値と一致するかを考察した第一報である.まず, 考え得る色々なSCRの算出式を定義する.ついて, 小型船舶用レーダにより取得した検波後のデータにおいて、信号部分を切り出して伸縮させ、任意のSCR状態を作り出す.これにSCR改善手法の一例として, ウェーブレット変換を施す.これら処理前, 処理後のデータの鳥瞰図を複数の人から成る2つのグループに見せて得たアンケート結果を示し, SCR定義との関連について考察する.第1グループの評価では, 「ターゲットの平均電力/クラッタの標準偏差」の定義が視覚結果に最も近かったが, 第2のグループの評価はどの定義式よりも低く, 評価方法を再検討する必要を感じた.
著者
山肩 洋子 木村 敏幸 勝本 道哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.166, pp.13-18, 2009-07-27
被引用文献数
1

我々はこれまで,球面上に26個の独立チャネルのスピーカを配した球形スピーカアレイを用いて,単体の楽器が中心から外に向かって放射する音を立体的に再現するシステムの研究を行ってきた.今回は,この立体音像に映像を付与する試みとして,スピーカアレイを多面体にし,その前後左右上の5面に,各方向から見た映像を投影するシステムを構築した.7名の被験者に体験してもらいインタビューした結果を分析したところ,ほぼ全被験者が楽器を実物大に投影した拡大映像のほうが音像と知覚的に一致すると答えたが,それにも関わらず半数は奏者全体が映っている広角映像の方が好ましいと回答するなど,投影する映像の画角や見方によって感じ方が変わることが分かった.
著者
福田 竜三 荒川 涼 中田 充 葛 崎偉 吉村 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MSS, システム数理と応用 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.294, pp.41-46, 2011-11-10

筆者らはこれまでに,続け字を含む日本語文字列を対象とした,特徴グラフに基づいた文字認識手法を提案している.特徴グラフとは文字の構造を表現するグラフである.この認識手法では,既知文字の必須構造と同型となる認識対象文字列の特徴グラフの同型部分グラフを見つけることで認識対象文字列の部分領域を切り出し,その領域と既知の文字との間の類似度を求めることで文字を認識する.本稿では,文字幅が一定でない認識対象文字列に対する認識性能が良くないという従来手法の問題点を改善する手法を提案する.この手法では,部分領域を区切る際に,個々の文字の大きさをより正確に反映させる.次に認識実験を行い,従来手法の認識結果と比較することで改善手法の有効性を示す.
著者
西澤 達夫 井上 裕翔 大谷 真 橋本 昌巳 香山 瑞恵 伊東 一典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.55-60, 2012-10-20

タッチパネルは,画面に触って直接操作が可能なため,GUIとの組み合わせで多くの機能を実現できる直感的な使い易いインタフェースとして普及が加速している.一方で視覚障害者にとっては,表面が平らで,どこを触ったら良いのかが分からないため,使い難いインタフェースとして敬遠されてきた.しかし,スマートフォンを始めとして,視覚障害者のタッチパネル搭載機器に対する利用要求が,今後益々高まるものと予測される.本研究では,指でタッチパネルを触った位置を,HRTFを用いた聴覚ディスプレイでフィードバックすることで,視覚障害者によるタッチパネルの操作性改善の可能性を検討したので報告する.
著者
山崎 崇 大見 俊一郎 盛田 伸也 大理 洋征龍 室田 淳一 櫻庭 政夫 尾身 博雄 酒井 徹志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.152, pp.13-16, 2004-06-23

極薄SOI層と素子間分離領域の形成を一体化する新技術として開発を進めているSBSI (Separation by Bonding Si Islands)プロセスで形成されるSOI層について、その層厚の均一性向上を検討した。主要プロセスであるSiGe層の選択エッチング技術に関して、CVD法で形成したSiGe/i-Si(non-doped-Si)積層試料を用い、SiGeとSiのエッチング選択比およびエッチング後の表面ラフネスを調べた結果、エッチングに使用する弗酸と硝酸の混合液における硝酸比を低下することでエッチングの選択比、表面ラフネスを共に向上できることが分かった。更に、改良された混合比のエッチング条件でSBSIプロセスを検証し、形成されるSOI層の層厚均一性が向上することを示した。
著者
須藤 隆 田中 宏和 杉本 千佳 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.465, pp.91-96, 2013-02-28

近年予防医療のニーズが高まり,家庭向けの医療機器が普及してきており,ディジタル聴診器も登場してき1ている.本研究では,ウェアラブルデバイスに内蔵されたディジタル聴診器によってユーザの心音をいつでもどこでも採取することを目指している.この場合にディジタル聴診器による心音採取をすると,周囲からの環境雑音が入り混んだり,体の動きにより雑音が重畳したりすることが予想される.本研究では,こうした周囲環境雑音や体動に起因する突発的な非定常性雑音を1チャネルの聴診器信号から抑圧する方法を検討した.線形予測分析を用いて白色化された残差信号を非定常性雑音成分として推定し,残差信号のパワーと入力信号のパワーの比のよりスペクトルを補正する処理を加えた方式を提案した.結果,常に雑音スペクトルを更新するスペクトルサブトラクション法に比べて,平均SNROdB 以下の条件でスペクトル歪みを2.2dB,雑音抑圧量を3.4dB改善した.
著者
渡辺 昌洋 米村 俊一 浅野 陽子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.34, pp.17-22, 2010-05-06

高齢者のウェブアクセスを支援するためには,非明示的な自己記述性が必要であることが,ISO9241-110とJIS Z 8520の対話の原則に基づく過去の研究からわかってきた.非明示的な自己記述性を確保する方法としてメタファに着目した,我々は中高年以上の初心者PCユーザが,ブラウザを使ったときと本のメタファを使ったときのウェブナビゲーションタスクを行う際の行動を観察し,インタビューを行った.その結果,非明示的な自己記述性の確保に対して,メタファの効果が大きいことがわかった.
著者
植田 悠司 岡田 力 山根 明典 和田 友孝 大月 一弘 岡田 博美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.458, pp.511-515, 2009-02-24
被引用文献数
1

火災・地震などの災害発生時に、大型建造物内より迅速に避難できないため数多くの犠牲者を出す事件がしばしば生じている。筆者らはこの問題を解決するため、GPS付き携帯端末間のアドホック通信により建造物内の人々の位置情報を自動的に交換し、災害発生時の人の動きにより建造物内の状況を把握・共有し、リアルタイムに適切な避難路を検索し表示するシステムの開発を目指している。本稿では、このようなシステムの実現を目指し、避難路の通行許容性を表す交通流量Qを用いたボトルネック検出手法を提案し、災害避難時の有効性をシミュレーションにより検証する。
著者
前川 泰之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.201, pp.1-6, 2008-09-04
参考文献数
5
被引用文献数
5

1986年から2006年にかけて大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)において約20年間測定されたKa帯とKu帯衛星電波の降雨減衰特性について累積時間率分布等の長期統計結果を算出し、ITU-R勧告による予測値等との比較検討を行った。約20年間の長期統計に関しては、同勧告による降雨強度0.01%を用いた予測値と両周波数帯の減衰値はいずれもよい一致が見られたが、各年のそれぞれの0.01%値には約20%程度の変動があることが分かった。この変動は降雨強度の年変動の他に、雨域等価通路長の年毎の変動も大きく関与しており、5月から10月にかけての降雨時の平均地上気温が高い年ほど雨域等価通路長が長くなる傾向が見られた。しかし、雨域等価通路長の増加は単に地上気温の上昇に伴う降雨高度の増加だけでは容易に説明できず、むしろ夏季に発生する夕立や台風等の熱帯性降雨による降雨減衰の年間発生時間率と密接な関係があり、夕立や台風の発生時とそれら以外の降雨時における雨域等価通路長の差とその年間発生時間率の割合で各年の雨域等価通路長がほぼ決まることが分かった。
著者
大久保 好純 金崎 良一 藤木 卓 糸山 景大
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.16, pp.7-14, 1996-04-20
被引用文献数
3

授業における概念の獲得の際に生じる情意的側面の挙動を捉えるために、2種類の連想調査を行った。そこで得られた結果に対し、情報論的処理を施すことにより、挙動をあらわす「情対角」を求め、「情動連想マップ」を作成した。このマップを用いると、「面白かった-つまらなかった」、「難しかった-易しかった」という学習者の情動を視覚的に表現することができる。
著者
高 博昭 上原 秀幸 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.153-158, 2011-01-13

センサネットワークでは,センサノードの消費電力削減が重要な研究課題のひとつである.省電力化を実現するひとつのアプローチとして,クラスタリングや送信データサイズを削減するデータ集約が挙げられる.しかし,既存研究では具体的な集約のアルゴリズムについては未考慮,計算能力に制限のあるセンサノードでは実現が困難,完全集約を想定しているなどの問題点が挙げられる.本稿では様々な実環境のデータに対し情報理論的解析を施し,センサノードの増加に伴うエントロピー増加率とノード数の関係を示す集約モデルの導出を行う.これにより,集約として情報源符号化を想定したときの集約効果についての定式化を行う.次に集約モデルに基づくクラスタリングを想定した間欠送信手法を提案する.これは各クラスタ内の集約モデルとノード数の関係から,しきい値に基づきクラスタメンバのデータ送信を確率的に行うことで送信回数を削減し,省電力化を図る手法である.間欠送信手法を既存クラスタリング手法であるLEACHやCLARAに適用した場合についてシミュレーションを行った結果,間欠送信なしの場合と比較してLEACHの場合で最大59%,CLARAの場合で最大29%の送信回数削減を実現した.
著者
小原 俊逸 史 又華 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.506, pp.25-30, 2008-02-27
被引用文献数
5

本稿ではASIPを対象としたハードウェア/ソフトウェア協調合成システムにおける命令メモリビット幅削減に基づく低エネルギー化手法を提案する。VLIW型プロセッサは並列に命令を発行可能だが,命令メモリのビット幅が長くなり,消費電力・消費エネルギーを無駄に増加させてしまう.したがって,VLIW型プロセッサの命令メモリのビット幅の削減は,高性能でエネルギー効率の高いプロセッサを実現可能にすると考えられる.命令メモリのビット幅は命令エンコーディング形式に依存し,それはオペコードとオペランド群で構成される.オペコードのビット幅は命令セットにおける命令数に,オペランドのビット幅は汎用レジスタ数に依存する.また,我々はオペコードのビット幅を削減するために,結合命令の概念を導入した.結合命令は各VLIWスロットで同時に発行される複数の命令を1つの命令として取り扱った命令である.我々は,オペコードビット幅削減アルゴリズム,オペランドビット幅削減アルゴリズム,エネルギー最小化アルゴリズムの3つのアルゴリズムで構成されるASIP合成システムを構築した.実験結果では,メモリを含むプロセッサ全体で,9%〜12%の消費エネルギーを削減することを確認した.
著者
太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.276, pp.17-21, 2012-10-30

送信側と受信側のクロック周波数の差が小さければ,受信信号を可変遅延線に通しDLLで受信側クロックに位相同期させることで,受信信号と受信側クロックの位相のずれが可変遅延線の可変範囲の間,クロック回復なしのデータ回復が行える.この方式は位相同期維持時間が短いパケット通信に有効で,特に,各波長に含まれるビット数が少なく迅速なクロック同期が必要な多波長パケットに有効である.同様に,送信側と受信側のLOの周波数の差が小さければ,受信光を可変遅延線に通しDLLで受信側LOに位相同期させることで,アナログコヒーレント受光も行える.
著者
大隅 剛史 伊藤 大雄 岩間 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.16, pp.31-36, 2004-04-15

近年のよく知られたWebグラフの問題の1つとして、グループ内で密にリンクされているWebページのグループを見つける問題がある。クリークは明らかにそのようなグループの例と言える。しかしクリークを求める問題(最大のものを求める、極大のものを列挙する)のほとんどは難しく、良い近似方法もない。本稿では「孤立した」クリークとその一般化として孤立した部分グラフを紹介する。部分グラフが「孤立している」とは、内部で密にリンクされているだけでなく、その部分グラフと外部とのリンクが少ないことをいう。例えば、サイズだのクリークでは、外部への枝はκ-1本以下しか許されない。このような孤立条件により、多くの問題が簡単になり、孤立したクリークを列挙する問題が多項式時間で解くことができる。また、孤立したクリークよりやや密度の低い準クリークについても、平均次数がκ-logだ以上でかつ最小次数がκ/(logκ)以上である準クリークを多項式時間で列挙できることを示す。さらにこれらの一般化として、連結度を利用して孤立した一般の部分グラフを多項式時間で列挙できることも示す。
著者
片岡 桂太郎 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.185-190, 2005-03-21
被引用文献数
2

本論文では, 自然言語を扱うための手法として, 自然言語文を入力とし、推論を行える新しいニューラルネットワーク(LPNN : Language Processing Neural Network with Inference Ability)を提案する.LPNNに入力された文は, 前処理として形態素解析・構文解析が行われ, 三つ組表現という意味ネットワーク形式に分解される.LPNNは, 記憶部と制御層からなるネットワークである.記憶部は, 3層からなる階層構造で三つ組表現と文を記憶し, 想起することができる.また, 制御層は想起の結果の記憶と, 想起の制御を行なう層であり, これによって, 様々な推論を実現している.新聞記事を入力として用いた実験により, 自然言語処理に対する提案システムの有効性が確認されている.
著者
皆川 明洋 藤井 勇作 武部 浩明 藤本 克仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.301, pp.17-22, 2006-10-13
被引用文献数
4

内容が共通する未知フォーマットの帳票画像から対象データを抽出する方式として、帳票上の文字列の意味とそれらの関係を表す論理構造を認識する一方式を提案する。本方式は、論理要素とその関係の可能性を表現した共通論理構造および帳票画像を入力とし、おのおのの論理要素に対して帳票画像中の文字列を対応付けることで、論理構造を安定的に認識する。本方式の特長は、文字列情報とその位置情報とに基づいて、論理要素との対応関係と論理要素に対応させたときの文字列間の関係とを確率的に表現することで、与えられた共通論理構造の論理要素の関係に対応した直感的な確率グラフを構成し、これに対して確率伝搬法から得られた周辺事後確率に基づいて論理要素に文字列を対応付けることによって、レイアウトに依存せずに論理要素と文字列の対応付けを可能にする点である。本方式により、多様なレイアウトや複雑な論理構造に対応可能で、文字列の内容や位置の推定誤りにも強い論理構造認識を実現する。本方式の有効性を三つの帳票種に対する評価実験により確認した。
著者
横山 清子 松岡 孝幸 水野 康文 高田 和之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.331, pp.31-34, 1999-09-24
被引用文献数
7

本稿では、車輌運転時の居眠り防止技術の開発を目的とし、運転時の眠気度推定方法を提案する。実車走行による実験を行った。眠気度は、走行後の休憩時に走行を思い出した主観評価値とした。重回帰モデルを用いて、心拍変動パラメータからの推定を行う。四輪車と二輪車各々に関して、眠気度を推定するモデルを算出し、心拍変動パラメータからの眠気度推定の可能性を得ることができた。
著者
岩瀬 良一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.190, pp.49-54, 2014-08-25

日本周辺海域には,地震の常時観測を目的としたケーブル型海底地震計が多数設置されている.これらのうち海洋研究開発機構が運用している北海道釧路・十勝沖海底地震総合観測システムの地震波形データを中心に調査したところ,ヒゲクジラの一種ナガスクジラの鳴音を数例「発掘」した.これらの海底地震計の多くはアレイとしては疎であり,鳴音の検出に関し,ハイドロフォンと比較して感度が劣るが,ベクトルセンサとしての利点を有しており,条件によっては個体の移動がある程度把握可能である.
著者
泉川 晴紀 安永 隆一 鯨井 勝弘 寺地 重巡 白井 良和 小林 直 杉山 敬三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.463, pp.361-365, 2013-02-28

筆者らは,セルラシステムなどの無線システムのカバレッジマップ/カバレッジホールマップを,受信信号強度や受信信号品質といった無線品質情報と位置情報とから構成される移動端末からの測定レポートにより構築する検討を行っており,3GPPにおいてもMDT(Minimization of Drive Tests)と呼ばれる同様の取り組みがなされている.それらの取り組みでは,受信信号強度や受信信号品質が所定閥値以下になる事象を測定レポートの生成トリガにすることを想定している.ここで,当該マップの用途としては,無線サービス品質向上を目的としたカバレッジ最適化や基地局増設等であると考えられるが,前述の受信信号強度や受信信号品質といった無線信号|青報のみに基づいたレポートトリガでは,例えばトラヒック集中による通信品質低下を検出することが難しく,無線サービス晶質向上に資する上で十分とは言えない.そこで,本稿では,利用されるアプリケーション毎のトラヒック利用状況(受信トラヒック量の変動や上り方向/下り方向のパケット数比率等)を移動端末内で学習し,当該学習結果を元に新たに発生したトラヒックの品質に対する良否を推定する手法を提案する.本手法に基づく測定レポートトリガにより,(無線品質は良好だが)いつもよりもレスポンスが遅い,といった主観的な通信品質(QoE; Quality ofExperience)低下事象の検出が可能になることが期待される.提案手法を実装したスマートフォンの被験者利用に基づく予備評価の結果,QoE低下事象を75%の割合で検出できた.