著者
森 和俊 親泊 政一 原田 彰宏 南野 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

小胞体膜結合性転写因子ATF6は、小胞体ストレスを感知するとゴルジ装置へ移行し、プロテオリシスによる活性化を受ける。この小胞体ストレスの感知にATF6内腔領域のみが十分であることを証明した。ATF6αノックアウトマウスは正常に発育するが、腹腔に小胞体ストレス誘導剤を投与すると脂肪肝を形成して死亡する。その原因として、肝臓からの脂肪の放出を担う超低密度リポタンパク質形成に関与するApolipoprotein B-100の品質管理にATF6α非存在下では問題が生じることを突き止めた。
著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 店田 博文 鈴木 均 三沢 伸生
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究ではこれまで看過されてきた戦時期日本の戦略研究としての回教・回教徒研究を積極的に再評価し、戦後展開した基礎的な地域研究としての中東イスラーム地域研究との断続性よりもそれへの継続性に力点を置いて検討することを目的とした。本研究による研究成果としては以下の四つの領域に分類することができる。第一に、アフガニスタン関係資料として、尾崎三雄家所蔵資料の整理・公刊である。第二として、戦時期日本の回教・回教徒研究に関しては、早稲田大学中央図書館に所蔵の大日本回教協会の映像資料「大日本回教協会関係写真資料(Photography of the Greater Japan Muslim League)Ver.1」のCD-ROM化、また、2006年1月にトルコ共和国アンカラにおいて行なったシンポジウム「戦時期日本のイスラーム政策」の成果の一端を『日本中東学会年報(The Annal of the Japan Association of Middle East Studies)』第23号の特集「第二次世界大戦前の日本と中東(Japan and the Middle East before World War II)」として刊行した。第三として、大日本帝国領に亡命していたタタール系ムスリムによって刊行されていたタタール語等の雑誌・新聞類の整理に関しては、第二次世界大戦中に旧満州国ハルビンで刊行されていたタタール語紙『ミッリー・バイラク』に掲載された写真を一枚のDVDにまとめた『Photography Collection of Milli Bayrak(Mukden,1935-1945)Ver.1』としてDVDを刊行した。第四として、戦前日本の回教・回教徒研究を推進・組織化した東亜経済調査局理事長であった大川周明が第一次世界大戦後に多くの論考を投稿していた道会雑誌『道』に掲載された大川周明の論考をデータ化してまとめた。
著者
川崎 繁男 稲谷 芳文 成尾 芳博 三田 誠 丸 祐介 吉田 賢史 宮地 晃平 西川 健二郎 ITOH Tatsuo
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

無線情報エネルギー伝送技術を適用したICセンサタグのネットワーク化による宇宙機用安全監視システムを構築した。これは、ハイブリッド集積回路によるセンサICタグ、集積回路技術による小型基地局と制御、データ通信、および、無線電力伝送をコントロールするファームウェア等で構成された。システムを実現するため実験局免許も取得し、S帯2.45GHz・Zigbeeによるワイヤレスセンサネットワーク情報・データ通信に関わる情報伝達と、マイクロ波によるC帯5.8GHz無線電力伝送の両立を、再使用宇宙機RVTモデル機で検証し、完全ハーネスフリーの再使用宇宙機用ワイヤレス安全監視システムの実現性を実証した。
著者
山崎 大輔 辻野 典秀 芳野 極 米田 明
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、深さ~1000 kmの粘性率異常の原因を解明することである。最近のジオイド研究から、下部マントルの深さ1000km付近で粘性率が1-2桁増加することが指摘されている。一方で、地震学的研究において、沈み込んで行くスラブの滞留が、660 kmの下部マントル境界のみならずおおくの場合で1000 kmにあることが見て取れる。すなわち、1000 kmにおける粘性率増加が、マントル対流へ与える影響は660 km不連続面と同程度かそれ以上であること示している。従って、全マントルの運動を理解する上で、この1000 kmの粘性増加が何に起因しているのかを物質学的に明らかにすることは非常に重要な課題である。下部マントルは主にブリッジマナイトとフェロペリクレースの2相混合岩石で構成されている。この2相では粘性率が数桁のオーダーで異なっており、複合岩石としての微細構造やそれぞれの相の量比が全岩の粘性率に影響を与える。すなわち、逆に、観測されている粘性率を与える量比を実験的に明らかにすれば、現在でも問題となっている下部マントルの組成(パイロライト的かコンドライト的か)については、新たな制約を与えることができる。そのため、下部マントル条件を実験的に再現し、ブリッジマナイトとフェロペリクレースの2相混合岩石の粘性率に関する実験を行ってきている。特に、30年度は、2相混合岩石に大変形剪断歪みを与える実験の技術的開発を行い、100%以上の実験に成功した。また、開発した手法を放射光その場観察実験に応用し、変形場での応力その場測定を実施した。
著者
田端 雅進 高野 麻理子 渡辺 敦史 福田 健二 井城 泰一 本多 貴之 小谷 二郎 黒田 克史
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

我々の研究グループは国産漆の増産に向けたDNAマーカーなどに関する研究を行い,ウルシクローン間で漆滲出量やウルシオールの成分組成等に違いがあり,漆の硬化時間に影響を与えることを明らかにした。本研究では,これまでの成果を発展させ,傷とシグナル物質による樹体反応のウルシクローン間の相違性,及び漆滲出量に関与する組織構造と遺伝子の解析を行い,漆滲出量増加に対するシグナル物質の作用機序を明らかにする。さらに,漆の硬化時間に直接影響するラッカーゼの構造と生合成に関する遺伝子発現をクローン間で解析し,漆成分の生化学的特性の多様性が漆の品質に与える影響を明らかにする。
著者
綿貫 茂喜 太田 博樹 星 良和 近藤 隆一郎 キム ヨンキュ 西村 貴孝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

人類の寒冷適応や病気との関係が示唆されているミトコンドリアDNA多型(ハプログループ)を遺伝的背景の一つとし、ヒトの生理的多型を構成する遺伝要因を明らかにすることを目的とした。研究は主に寒冷曝露時及び低圧低酸素時のヒトの生理反応を検討した。10℃及び16℃の寒冷曝露実験では、ハプログループDが耐寒性に優れた。また4000m相当の低圧低酸素環境に曝露した時、Dグループは他のグループより血中酸素飽和度が高かった。以上よりミトコンドリアDNA多型はヒトの生理反応に影響し、生理的多型の一部を説明する可能性を示した。
著者
磯崎 行雄 澤木 佑介 佐野 有司 高畑 直人 尾上 哲治 石川 晃
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

カンブリア紀以降の古生代で3回の大量絶滅(オルドビス紀末、デボン紀後期、およびペルム紀末)がおきた。どれもグローバル寒冷化期に起きたが、その原因は未特定である。オルドビス紀末には大気CO2分圧が現世の10倍あったにもかかわらず大規模寒冷化がおきた。一方ペルム紀末絶滅時に地球外起源3Heが大量流入したことから、大量の星間塵の集中落下で寒冷化と絶滅がおきた可能性が指摘されている。本計画は、古生代の3回の大量絶滅と寒冷化との因果関係の解明を目的とし、過去の深海堆積物中の絶滅境界層から3He同位体異常などの地球外起源物質流入の定量的検出を試みる。主要絶滅事件に関する新たな統一的説明を目指す。
著者
広瀬 茂男 山田 浩也
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,(1)ヘビ型ロボットの学術的理論体系の構築,(2)革新的な機構の導入,(3)実用的な狭所点検用ロボットの開発,の3つの目的を持ってヘビ型ロボットの研究を行った.その成果として,連続曲線に基づいた実用的なヘビの運動制御法を確立し,革新的な機構によって3次元的な狭所に適応して活動できる実用的なヘビ型ロボットの開発に成功した.
著者
金子 明 五十棲 理恵 脇村 孝平 皆川 昇 平山 謙二 金子 修 平塚 真弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は研究期間を通じた横断的マラリア調査により、ケニア・ビクトリア湖周辺地域でのマラリア感染の非均一性を明らかにした。さらに感染の多くは無症候性でかつ顕微鏡検出限界以下であることを示した。これは、集団投薬とともに地域特性に基づいた対策の必要性を裏付けるものである。さらにNgodhe島における集団投薬の介入試験から、中~高度流行地に囲まれた低度流行地における持続的なマラリア撲滅のためには、外からの原虫移入および媒介蚊への対策強化による伝播抑制が必要であることを明らかにした。本研究により、不均一に高度マラリア流行地が残存するサハラ以南アフリカでのマラリア対策を進めるうえで鍵となる知見が提示された。
著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
村井 祐一 石川 正明 田坂 裕司 熊谷 一郎 北川 石英 大石 義彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年の大震災以来,エネルギーの効率的な生産と効果的な利用が,持続可能な社会を目指す上で早急に実現すべき人類の課題として最重要視されてきた.このうち海運分野で重責を担う革新的省エネ技術が,二相流を利用した乱流摩擦抵抗低減技術である.船舶の10%の抵抗低減が世界全体で2GW(年間CO2換算で2100メガトン)の省エネを実現する.本課題では,高レイノルズ数環境にある二相流力学的な「摂理」(多次元性,マルチスケール性,ならびに著しい非定常性・不規則性)を真正面から扱い,5%以下の僅かなボイド率で30%以上の正味抵抗低減率を「常に」得るような二相乱流のスマート制御を達成した.
著者
土井 正男 森田 裕史 住野 豊 山口 哲生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

固体基板に粘着させたゴムや粘着剤などの高分子物質を剥がそうとすると、高分子と基板の接触面の境界(接触線)近傍には、キャビティやフィブリルなどのμmオーダのメソスケール構造が表れる。本研究では、高分子の粘着や摩擦において見られるこれらのメソスケール構造を実験的に調べ、構造の変化と粘着・摩擦特性の関係を幾つかの例について明らかにした。特に、粘着性ゴムの接触線運動のモデルを得た。また、基板上をすべるゴムの中の歪みの空間分布を求める方法を提案し、地震現象との関連を議論した。
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 今井 昭夫 金井 光太朗 篠原 琢 米谷 匡史 工藤 光一 小田原 琳 土田 環
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アジアを中心とした集合的記憶の動態を、「自己確証的想起」及び「脱中心化的想起」という対概念を方法論として解明した。また分析地域を拡大し、ジェンダー論等の具体的成果の再定義や表象文化分析を行った。その結果、集合的記憶の脱中心化的機能は、ナショナル・アイデンティティを相対化・異化し、支配・被支配関係を転換する効果を持つことが明らかになった。脱中心化的想起という視点を通して、正統的歴史叙述から排除された「消去された声」の再生だけではなく、集合的記憶の動態の中に起こりうるイデオロギーを超えた自己撞着や恣意的操作、アイデンティティポリティクスへの批判的な分析視点をより明確に提示できるようになった。
著者
伊藤 公孝 居田 克巳 杉田 暁 神谷 健作 佐々木 真 伊藤 早苗
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度までに、バリア構造のモデルを開拓し、乱流輸送の抑制の検証法を構想した。そして、電場形成・遷移および乱流抑制の実験検証を進めた。また、電場曲率効果について、当初定式化した機構だけではなく、独立な機構の重要な働きも見出した。計画は極めて順調に進展し、予想以上の広がりが実現している。非線形構造である振動型の帯状流によって、乱流塊が捕捉され輸送障壁内に侵入する現象も解析し、輸送障壁内部での揺動の起源の一つとして定式化した。さらに何十年も未解明だった問題(装置容器の材料や給気法が主プラズマの閉じ込めに影響する実験事実)にも研究を拡張した。かねてより代表者らは閉じ込め装置の壁材がH-モードの閉じ込め改善度に影響する上で中性粒子の役割を指摘してきた。その考えを拡張し、粒子補給によって生み出される乱流揺動を解析した。その結果、粒子補給量がプラズマ閉じ込めに影響すること、この機構が生成されたH-モードをより安定状態ならしめることなどを見出した。別の未解明問題としては、H-モード遷移の閾値より低い入力状態でプラズマ中央部での崩壊現象が起きると、それに付随してH-モード遷移が起きるという実験観測が30数年知られて居る。従来は、崩壊現象による熱パルスが「不足していた」パワーを補うことが原因だろうと考えられていたが、大型装置での実験の詳細分析の結果、乱流塊と急峻な径電場の伝播が遷移を引き起こして居ることを実証した。こうした改善閉じ込め現象などに関する成果は、何十年来知られていた未解明問題に取り組む新たな糸口となると期待される。さらには、乱流がプラズマ中のプラズマ断面の一部分に乱流が局在すること(H-モードに重要な働きを持つ可能性を代表者らが理論的に指摘している)のレビューを出版し、今後の研究者への指針を与えた。
著者
山本 義春 北島 剛司 佐々木 司 森田 賢治 吉内 一浩 中村 亨
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

うつ病の予防を目指した日常生活下における行動・心理動態のモニタリングシステムを構築するとともに、疾患発症・病態変化に伴う行動・心理動態の変容を評価・予測する客観的・定量的指標の開発を行った。さらに、行動・心理動態の変容とその移現象に関わる背後の生体システムの動力学的構造をデータ駆動型で推定することにより、開発指標の動力学的意味付けを行った。また、疾患発症・病態遷移の早期検知に資する動力学的機序に関する知見を得た。
著者
宇南山 卓 高橋 悠太
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

家計簿アプリにより収集されたデータによって、新たな家計データを構築する。家計簿アプリとは銀行口座の出入金情報を自動的に収集するウェブサービスで、家計の収入・支出を自動的に記録するサービスである。誤記や記入漏れが発生せず、より正確な家計収支や資産保有の情報が把握できる。さらに、アプリ利用者を対象に、独自調査を実施して世帯属性を把握する。通常の統計調査では協力を得ることが難しい世帯行動・取引項目を把握することができる。構築されるデータは、家計内分配、消費税引上げの影響、家計の資産保有と消費の関係、などの分析に活用される。
著者
高宮 利行 松田 隆美 アーマー アンドルー 鷲見 洋一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

西洋中世写本及び初期印刷本のデジタル撮影をするにあたって、研究素材への物理的負担を最小限にとどめさらに短時間で高精細の全ページデジタル・ファクシミリを製作するための撮影環境を整備するために、独自のデザインによる専用撮影架台を制作し、撮影対象ページの平面性やサイズの同一性の確保のために実験を重ね、短時間で均質な高精細画像の取得が可能となった。その環境で通常のアナログカメラ(4×5及び6×7)と2048×2048pixelの画像の撮影が可能なSHD View-2デジタルカメラ(NTT/オリンパス製)の両方を用いて、稀覯書のデジタル化作業を進めた。その結果、慶應義塾大学内はもとより、海外の大学や研究期間との国際的協力のもとに、2年間で「グーテンベルク聖書」(慶應義塾大学所蔵、マインツ市、グーテンベルク博物館所蔵、英国図書館所蔵)、チェーザレ・リーパ『イコノロジーア』全5巻(1764-67)、西洋中世写本零葉コレクション、15世紀の時祷書写本(以上、慶應義塾図書館所蔵)などをデジタル撮影して、その経過をウェブサイト(http://www.humi.keio.ac.jp)やCD-ROMで公開した。またネットワーク上でデジタル画像を用いて書物文化研究を遂行するための研究環境の整備につとめ、オンライン比較校合、初期印刷本へのOCRの応用、画像のデータベースのキーワード検索、画像比較のための部分拡大などの実験を、ケンブリッジ大学などの協力を得ておこなった。デジタル撮影、デジタル画像のデータベース化、ネットワークを介した公開、ネットワークを利用した研究環境の構築をひとつの流れとして確立し、その環境の物で各研究分担者及び研究協力者は、初期印刷本の印刷行程に関する書誌学的研究、写本および初期印刷本におけるテクストと挿絵の相互作用に関する研究、デジタル撮影美術のさらなる改良などの個別研究を推進した。
著者
岡 朋治 竹川 俊也 西山 正吾 野村 真理子 浅山 信一郎 松本 浩典
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題は、銀河系(天の川銀河)中に1億個以上浮遊すると考えられる「見えない」ブラックホール、および銀河中心に遍く存在すると考えられる「超巨大ブラックホール」の種となる「中質量ブラックホール」を、星間空間に広がる分子ガスの分布・運動の情報を使用する全く新しい手法によってくまなく検出しようとするものです。この研究によって、銀河系内のブラックホールの空間・質量分布が明らかにされます。これからブラックホールの合体・成長の様子を把握することができ、これを礎にして「ブラックホール天文学」が創始されることが期待されます。
著者
大内 正己 長峯 健太郎 小野 宜昭 高橋 慶太郎 SILVERMAN John
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

PFS分光探査による銀河形成と宇宙再電離研究のため、一様なターゲット選択と星質量推定に必須の近赤外線画像をCFHT望遠鏡観測で準備し, 2022年からのPFS分光探査を実現する。これにより、赤方偏移0.7-7の30万個の銀河スペクトルを取得し、銀河間物質(IGM)の中性水素(HI)ガス分布を描く新しい手法も駆使しながら宇宙大規模構造の中で放射と物質交換を通して形成される銀河の描像を探る。特に、宇宙再電離期の電離泡の存在の有無、銀河間のガスのフィラメントが普遍的存在する銀河形成の検証、星形成フィードバックの原因を探る。