- 著者
-
石田 毅
田仲 正弘
水田 義明
- 出版者
- 山口大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1995
平成7年度にはAEデータ収録・解析装置を設置するとともにボーリング孔内の1断面に90度の等間隔で4個のAEセンサーを設置できる水圧破破亀裂検出用のAEゾンデを試作した.また,本研究の軸となるAEのP波の到着時間差から亀裂発生方向を決定するための解析手法を理論的に定式化した.平成8年度には,この定式化した手法に基づく数値シミュレーションと室内実験を行い,亀裂方向決定精度に及ぼす種々の要因の分析を行った.まずセンサーの設置断面とAE発生断面の距離を変化させて各センサーへのP波初動到達時間の差を数値計算で求め,これを予想される測定の時間精度と比較することにより,実用的な精度を得るために必要なセンサーとAE発生断面の離間距離の限界を明らかにした.次にボーリング孔を模擬した鉄製の厚肉円筒に試作したゾンデを設置し,円筒の外側から模擬AE信号を与える実験を行い,上述の数値シミュレーションが妥当性を確認した.またAEセンサーの受感方向には指向性があるが、AEセンサーの受感方向を中心に45°以内にAE震源がある場合にはP波初動を明瞭にとらえ得ることを,この実験により明らかにした.平成9年度は,これら成果に基づき(株)日本パブリックが水圧破砕による地圧測定業務のために掘削したボーリング孔を利用して,試作ゾンデを用いた現場実験を行った.この現場実験で得られたデータを整理し,これまでの理論的・実験的研究で得た知見の妥当性を確認した.しかし,実用的な精度で亀裂方向を決定するには,亀裂発生箇所近傍にAEセンサーを設置する必要のあること,一方,現状の仕様のゾンデでも,AE発生頻度の時間変化やAEの周波数の変化から,従来明らかでなかった原位置での水圧破砕亀裂の挙動に関する情報が得られることがわかった.