著者
大野 信忠 琵琶 志朗 水野 衛 呉 旭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

1. 周期的内部構造を有する複合材料の時間依存変形に対する均質化理論を定式化した.この結果,擾乱変位速度が時間非依存の弾性成分と時間依存の粘性成分に分離された.また,ひずみ速度と応力速度の巨視的構成式および微視的応力の発展式が導かれた.2. 上述の理論を一方向連続繊維強化複合材料の横方向クリープ変形および粘塑性変形に適用した.繊維方向の変位に対しては平面ひずみ条件を仮定し,繊維配列としては正方配列と六方配列を考えた.この結果,正方配列では変形挙動の異方性が極めて著しいのに対して六方配列ではほとんど等方的となることが明らかとなった.3. 周期的内部構造が点対称性を有する場合の擾乱変位場の特性を議論し,擾乱変位はすべての点対称点で零となり,かつ点対称条件を満足することを示した.またこの場合,境界条件として点対称条件を使用することができるから,ユニットセルの一部の領域のみを解析すればよいことを指摘するとともに実例を示した.4. 本理論を一方向連続繊維強化複合材料の非主軸負荷粘塑性変形に適用した.繊維配列としては六方配列を仮定した.この結果,非主軸角がわずかであっても粘塑性流動応力は大きく減少するが,非主軸角が45度を越えるとあまり変化しないことが明らかとなった.5. 一方向連続繊維強化ハイブリッド複合材料GLARE2の実験結果を本理論に基づく結果 と比較し,上述の非主軸角依存性が定性的に成り立つことを確かめた.
著者
中山 顕 桑原 不二朗
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

生体組織における有効熱伝導率に対する血流速度の影響を検討すべく実験を行った.被験者の腕を,カフを用いて一定の圧力で締め付けることで,血行を制御した.血流速度を血流レーザードップラーで測ると共に,サーモグラフィ,熱電対およびリアルタイム血流画像化装置を用いて,周囲温度,皮膚表面温度およびPerfusion Unit 値の計測を実施した.併せて,我々が導いた生体組織の伝熱の式を用い,マルチスケール解析モデルに基づく数値シミュレーションを実施した結果,シミュレーション結果と計測結果との間に良好な一致を見た.これらにより,実験と理論の両側面から,血行が生体組織の温度場に与える影響を明らかにした.
著者
渡辺 正孝 児玉 亨 本多 芳子 小島 崇 桑波田 卓
出版者
財団法人東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

最近は若者も老人もがまんができない、と言われる。かまんには、長期的な利益のために短期的な利益を放棄するというものと、ルールに従ってしたい行動をしない、というものの2種類がある。がまんには大脳前頭連合野が重要な役割を果たし、この脳部位には、どちらのがまんについても関係した活動が見られる。がまんをコントロールすることが知られる薬物(リタリン)を投与したところ、サルでもがまんがより良くできるようになること、リタリン投与により、前頭連合野や線条体でドーパミンの放出が増すことも明らかになった。
著者
久和 茂 池 郁生 酒井 宏治 滝本 一広 山田 靖子 山田 靖子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

マウスノロウイルス(MNV)は2003年に報告された新規マウス病原体で、まだ不明な点が多い。血清あるいは分子遺伝学的方法を用いた疫学調査により、日本の実験用マウスコロニーにおいてMNVの感染がなり拡がっていることが見出された。診断法の改良として、組換えVP1タンパク質を用いたELISA法の基盤を構築し、また簡便さ、速さ、検出感度に優れているRT-LAMP法を開発した。近年動物実験施設の衛生管理に多用されている弱酸性次亜塩素酸水がMNVの不活化作用を持つことを見出した。デキストラン硫酸塩(DSS)誘発炎症性大腸炎モデル、あるいはマウス肝炎ウイルス(MHV)感染症モデルの実験結果をMNV感染は修飾することが示された。
著者
笠井 清登
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

388名の気分障害患者の既存データを用いて、認知機能は自覚指標と関連し、他覚指標との関連は有意ではないことを示した。自覚ウェルビーイング/イルビーイングと他覚ウェルビーイング/イルビーイングを担う脳基盤は一部異なるという仮説が支持された。そこで大うつ病性障害患者309名を対象に、NIRSにより測定した語流暢性課題施行時の賦活反応性を用いて、自覚的うつ症状・他覚的うつ症状のそれぞれと相関する脳部位の検討を行った。他覚的うつ症状の重症度と下前頭回領域、自覚的うつ症状と両側側頭部領域の間でそれぞれ負の相関を認めた。また、自覚・他覚的うつ症状の重症度をそれぞれ標準化(Z[自覚うつ]、Z[他覚うつ])し、それらの差分により得られた乖離の程度(Z[自覚うつ]-Z[他覚うつ])と賦活反応性の相関を検討したところ、いくつかの脳部位で相関傾向を認めた。うつの自覚指標と他覚指標に一定以上の乖離がある大うつ病性障害患者群(N=6)と自覚指標と他覚指標に乖離がない大うつ病性障害患者群(N=10)における構造MRIと安静時機能的MRI(rs-fMRI)の予備解析を行った。構造MRIでは自覚指標と他覚指標の乖離群において左下前頭回で有意な体積低下を認め、他覚的うつ指標と体積低下は正の相関を示した。rs-fMRIでは左外側頭頂皮質と両側中側頭回・後部帯状回・両側前頭極のRSFC (resting state functional connectivity)低下と左下前頭回・両側縁上回・淡蒼球とのRSFC上昇を認めた。全頭型プローブNIRS装置を用い22名の大うつ病性障害の患者のRSFCを計測し、78名の健常者のRSFCと比較した。うつ病群は健常群と比べ認知制御ネットワークの一部と考えられる左前頭前皮質背外側部―頭頂葉間でRSFCが低下し、他覚的うつ症状の強さと負に相関した。
著者
高田 峰夫 藤田 幸一 長田 紀之 Srawt Aree 竹口 美久 和田 理寛 山本 真弓 森本 泉 小島 敬裕
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

タイの南アジア系移民3集団(1.北タイ在住バングラデシュ系ムスリムの子孫、2.「ネパリ」、3.南アジア系子孫であるビルマ系ムスリム)の調査を行い、南アジアと東南アジアとのつながりを探った。1に関しては移動ルートと祖先の出身地等を明らかにすることができた。また、2については、内部のサブ・グループの存在やタイへの移入時期の違い等を明らかにした。3についてはミャンマーの政治的事情により十分に調査できなかった。また、ミャンマー人移民労働者の調査からは、大規模・継続的に国境地帯から離れたタイ内部へ出稼ぎに出ている実態が判明し、従来の国境地帯中心のミャンマー系移民労働者研究のバイアスが明らかになった。
著者
長沼 毅 伊村 智 辻本 惠 中井 亮佑
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

初年度(H28、2016年度)は予定通りエジプトで調査を行った。しかし、当初希望していた地域には保安上の理由で入れなかったので、同国内の他地域で地衣類サンプリングを試みたが、そこでも希望するロケーションには到達できず、不首尾に終わった。一方、予定外の地衣類サンプルとして、フィンランドの北極圏・亜北極圏および赤道域のギアナ高地(標高2500 m)からイワタケ類の地衣類を得ることができた。2年度目のH29年度(2017年度)は、国立極地研究所とカナダ・ラバール大学などの国際共同研究「北極域研究推進プロジェクト(ArCS)」の協力を得て、カナダ亜北極域のサルイットにおいてイワタケ類の地衣類を採集することができた。これらの地衣類サンプルの菌類・藻類の構成種および共在微生物相について、18Sおよび16S rRNA遺伝子をターゲットとした標準的なクローン解析を行ったほか、次世代シークエンシングによる16S rRNA遺伝子の網羅的マイクロバイオミクス解析を行った。その結果、南極域と非南極域の間に生物地理的な境界線、いわば地衣類微生物の「ウォレス線」が引けることが示唆された。ただし、藻類・菌類種と共在微生物種のコンビネーションについての傾向性はまだ得られておらず、さらなる調査と解析を待たねばならない。また、南極と非南極の間の「ウォレス線」についてはまだ検証の余地があり、今後はアフリカ南端部および南アメリカ南端部でのサンプリングを計画する必要がある。
著者
佐藤 岩夫 広渡 清吾 小谷 眞男 高橋 裕 波多野 敏 浜井 浩一 林 真貴子 三阪 佳弘 三成 賢次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、法社会学・法史学・犯罪学専攻の研究者の学際的・総合的な共同研究を通じて、19世紀から現代に至るヨーロッパ各国の司法統計(裁判所組織統計・訴訟統計・犯罪統計等)の歴史的・内容的変遷を詳細に明らかにするものである。研究成果として、ヨーロッパの司法統計の歴史的発展および内容を包括的に明らかにした研究書としては日本で最初のものとなる『ヨーロッパの司法統計I:フランス・イギリス』および『ヨーロッパの司法統計II:ドイツ・イタリア・日本』を刊行した。
著者
森島 邦博 大城 道則 中野 敏行
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では原子核乾板を用いた宇宙線ミューオンラジオグラフィ(宇宙線中に含まれるミューオンを利用する事で巨大な物体内部をX線レントゲン撮影のように非破壊で可視化する技術)の開発を行った。実施した各種基盤技術開発および実証実験により宇宙線ミューオンラジオグラフィ技術の高度化および多分野への応用が急速に広がり、エジプトのクフ王のピラミッドの観測では新空間の発見、浜岡原子力発電所2号機の原子炉底部の可視化、中空床板の空洞可視化などの成果を上げた。これらの結果は、考古学調査、工業用プラント診断、インフラ点検などにおける新しい技術として適用可能である事を実証したものであり、更なる波及効果が期待される。
著者
八木 克正 井上 亜依 磯辺 ゆかり
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、学習英文法の内容を根本的に見直し、科学的根拠を与えることにあった。好ましくない有害な英語教育の内容を洗い出すこと、変化する英語をphraseologyの立場から実態調査と分析を行い、あらたな事実を記述・説明すること、今の英語の実態を反映していない中学校や高等学校の学習内容、受験参考書や英和辞典の内容を、科学的な実態調査をもとに修正を求めるための研究活動を行い、いずれの点についても講演、論文、研究発表、著書の形で成果を公表した。
著者
田中 幹子 黒川 大輔 村上 安則
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、古代魚の鰭が四肢へと進化したプロセスを解明することを目的として研究を行った。その結果、鰭から四肢への過程において、前側領域と後側領域のバランスが大きくシフトして「後側化」すること、この過程には前後軸パターンを制御する Gli3 の発現制御領域の機能の変化が関連することを明らかにした。さらに、サメの鰭を人為的に「後側化」すると、鰭の3本の基骨が 1本になることを実証した。神経パターンについては、神経ガイダンス因子のSema3A の発現様式の変化が四肢神経の多様性を生み出すことが示された。筋肉パターンについては、従来報告されていた形式とは異なる形式で、鰭の筋肉が進化したことが示された。
著者
山下 哲郎 宮崎 雅雄 片山 泰章 澤井 健
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ネコは尿に分子量7万でエステラーゼ活性を持つコーキシンを大量に分泌している。我々はこれまでにネコの尿に含まれる特異なアミノ酸フェリニンの生産にコーキシンが関与していることを見いだした。しかしネコがなぜコーキシンを尿に大量分泌してフェリニンを生産しているか、他に生理機能があるか未解明である。そこで本研究では、コーキシンの遺伝子欠損ネコを作成し、コーキシンの機能解明を目指すための基礎的研究を行った。具体的にはネコ尿主要タンパク質コーキシンの機能解明を行うために人工DNA制限酵素「TALEN」をネコの受精卵に作用させコーキシン配列の破壊を行い、コーキシン遺伝子欠損ネコ作成を試みた。
著者
藤本 亮 野口 裕之 藤田 政博 堀田 秀吾 小谷 順子 宮下 修一 吉川 真理 正木 祐史 和田 直人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

TOEFLやTOEICなどで用いられている等化という方法によって、異なった試験の成績を比較することができるようになる。こうした成績測定の分野はテスト理論として研究されている。本研究は、テスト理論の見地から、複数の法律学試験において等化を行い、その下でも成績測定が適切に行えるかを検証している。法律学試験は「資格試験」として実施されることが多いが、実質的には一回限りの競争試験となっている。この研究は、本来の意味での資格試験としての法律学試験の可能性を探る基礎研究である。
著者
竹林 洋一 石川 翔吾 桐山 伸也 堀内 裕晃 北澤 茂良
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1.認知症ケア技法ユマニチュードに着目し,BPSDに対するケア行為に意味付けし,意図感情知識表現モデルを設計した.本モデルによって,ケア行為と認知症の人との関係を評価できることを示した.2.WebベースのBPSDビューアを活用し,ケースカンファレンスを専門家と継続的に実施した.実践したアプローチによって知識や分析結果を蓄積し,継続的に評価,修正できることが示された.3.コーパス構造を活用し,ケア支援知識コンテンツとして,認知症の見立てに関する知識コンテンツ,及び認知症ケアスキルに関する知識コンテンツを開発し,認知症ケアの改善に有効であることが示された.
著者
菅原 利夫 三島 克章 植野 高章 南 克浩 森 悦秀
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

身体各部の関節は加齢や種々の疾患により形態と機能が低下するため、人工関節による置換術によってその回復が行われている。しかしながら日本のおいては現在まで人工関節が開発されておらず、顎関節の構造的喪失による種々の障害に対しては有効な治療法がなかった。私達研究グループはヒト顎関節の形態計測、咀嚼時に顎関節に負荷すると考えられる力学的要件や運動性を基礎的に検討し日本で初めての臨床応用できる菅原式人工顎関節を試作し、臨床応用を行ってきた。私達研究グループは人工顎関節を開発する目的で、解剖実習用屍体、ヒト乾燥頭蓋骨の顎関節を三次元精密計測装置を用いた実例計測やCT三次元再構築画像からの立体計測を行った。またこれら形態計測から得られた関節頭と下顎窩の表面形状から咀嚼時に負荷すると考えられる荷重をHetzの理論式や三次元有限要素法を用いて解析して、人工顎関節の生体材料を選択し、形状をデザインして菅原式人工顎関節を試作した。臨床応用は主として慢性関節リウマチ(RA)の変形性顎関節炎により、下顎骨が後退し、咬合の異常による咀嚼障害と気道の狭窄あるいは閉塞による睡眠時無呼吸症候群をおこした患者であり、菅原式人工顎関節全置換術を行い、咀嚼機能については食物粉砕実験、顎関節の動きについては超音波画像、X線シネマグラフ、および顎運動の計測を行った。その結果、個々の患者間に相違が見られるものの吸収の起きた下顎頭を中心とした蝶番運動が主体をなし、滑走運動および側方運動はほとんど観察されず、健常人とは異なる顎運動が観察された。節電図での計測では、健常者に比べ術前の咬筋、側頭筋の筋活動は弱く、術直後は更に弱まり、術後の咬合位に開閉口筋が適応するためには数ヶ月の開口訓練の必要性が認められた。また、下顎骨の前方移動に伴い、気道腔が確保され、呼吸障害が解消され、発生機能も向上する傾向がみられた。これらの結果を基にし、更に機能性が高く安全な人工顎関節を開発するため人工顎関節のデザインを改良し、人工顎関節を開発してきた。また、この人工顎関節を作る過程で私達が開発したCT三次元再構築画像計測・評価システム、接触型および非接触型高精度三次元計測・評価システム、重ね合わせ評価法、曲面および球面定量評価法などの新しい研究法は口腔、顎、顔面、口蓋等の微細な発育様式や発育方向などが定量的に測定評価できるようになり、他の領域の研究にも貢献し、1997年第8回国際口蓋裂学会(Iutennational Congress on cleft Palate and Related,Craniofacial Anomalies)のOwen Cole記念賞の受賞に連った。
著者
佐藤 周友 朝倉 政典 木村 俊一 斎藤 秀司 山崎 隆雄
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

代数的な多様体(代数方程式で定義された図形)の上のベクトル束を調べる道具としてチャーン類というものがある。これはベクトル束がどれくらい(あるいは、どのように)ねじれているかをコホモロジーとよばれる線形空間の中で測る「物差し」である。本研究では、「そもそもチャーン類はどのようなコホモロジーの中で定義され得るのか?」という素朴な疑問から出発し、最小の条件(公理)を定式化した。さらにそのようなコホモロジーにおいてリーマン・ロッホの定理が実際に成り立つことも証明した。
著者
古沢 常雄 池田 賢市 板倉 裕治 岩崎 久美子 岩橋 恵子 上原 秀一 小林 純子 園山 大祐 高津 芳則 高橋 洋行 夏目 達也 藤井 穂高 堀内 達夫 小野田 正利 藤井 佐知子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、学業失敗や無資格離学、失業など我が国と共通の様々な教育問題を抱えるフランスにおいて、社会統合と公教育の再構築に向けたキャリア教育の取り組みがどのように行われているかを、全教育段階を対象に総合的に明らかにした。フランスでは、我が国のキャリア教育(英語のCareerEducation)に相当する概念はほとんど用いられていないが、先進諸国においてキャリア教育が必要とされる社会的背景を共有しており、フランスにおいてキャリア教育と呼びうる様々な教育活動が義務教育、後期中等教育及び社会教育・継続教育の分野でどのように実際に展開されているのかを総合的に明らかにした。
著者
Hanley Sharon 松岡 悦子 櫻木 範明 伊藤 善也 玉腰 暁子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度は、日本における子宮頸がん検診受診率向上を目的として、諸外国で行われている自己採取HPV検査の必要性やその普及状況を一般市民や専門家に認識していただくために国際シンポジウムを4つ開催し、学会発表を7回行った。国際シンポジウムのひとつとして、昨年と同様に8月25日に北海道大学において第2回国際シンポジウム 「子宮頸がん予防の戦略: 検診とワクチンー-教育と啓発による女性の認識向上を目指して」を開催した。講師として招いたのはロンドン大学のルーイズ・カドマン氏(Research Nurse Consultant、Wolfson Institute of Preventative Medicine)である。彼女はロンドン在住のアジア系女性を対象に、本研究でも使用するHPV検査用自己採取器具、Evalyn Brushの受け入れに関する比較研究を担当した。また、カナダでコルポー外来を受診した1000人以上を対象に、本研究でも使用する自己採取用のHerSwabを用いたときと医師採取のときのHPV検査の検査結果一致率を検討した臨床試験の研究代表者であるエドアルド・フランコ教授(マーギル大学)を招待した。道内外の一般市民、留学生や専門家がおよそ90名参加した。さらに、2017年から自己採取HPV検査を正式に国家検診プログラムを導入するオーストラリアのケートシムズ博士を招き、オーストラリアの自己採取検査におけるHPV検査の基準や方法について情報収集を行った。その結果、PCR法を用いた検査や偽陰性を最小化するために内部コントロールを用いる検査を利用できることや本研究で使用する予定であったHybrid Capture 2はオーストラリアでは認可されなかったことが明らかになった。そこで、本研究でもHybrid Capture 2の代わりに別のHPV検査を使用することを検討した。
著者
小林 誠 岸 博子 川道 穂津美 加治屋 勝子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

血管病は合計すると我国死因の第二位であり、また、突然死の主要な原因となる難病である。申請者らは、血管病の主因となる血管異常収縮の原因分子としてスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を発見した。本研究では、SPCによって引き起こされる血管の異常収縮に関わる新規の原因シグナル分子を同定し、その制御機構について明らかにすることを目的とした。その結果、以下の事を明らかにした。1.ヒト血管においては,SPCによる血管異常収縮は,コレステロール依存性であることが判明した。さらに,コレステロールが蓄積する膜ラフトが重要である事がわかった。この研究成果は,Circulation Research誌の編集者から,コレステロールと血管異常収縮の直接の関連性を初めて証明した報告として,Editorial Sectionで特別に紹介され,絶賛された。 2.膜ラフトに局在するFynチロシンキナーゼの重要性について検討した。スキンド血管にFynのリコンビナント蛋白(ワイルド・タイプ、ドミナント・アクティブ体,ドミナント・ネガティブ体)を導入する事により,Fynが,SPCによる血管異常収縮において重要な役割を果たしている事が分かった。3.従来のCa2+による収縮現象のみならず,Rhoキナーゼを介したCa2+によらない収縮現象をin vitro motility assay 系によって証明する事ができた。4.膜ラフトモデル膜として,ハイブリッドリポソームを作成することに成功した。これを応用して,SPC,EPAが,濃度依存性にラフトモデル膜に結合する事を明らかにした。5.ヒト血管から高純度のラフト分画を精製することに成功した。さらに機能的プロテオミクスによりヒト血管の膜ラフトに局在する新規蛋白を複数個同定した。6.以上の異常収縮のシグナル伝達経路を阻止できる新規の候補分子を複数個同定した。
著者
嘉名 光市 佐久間 康富 堀 裕典 堀口 朋亨
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

(1)回遊型社会実験データベース:海外8都市、国内4都市のインタビュー、現地調査を参考に回遊型社会実験データベースを構築し、社会実験は「交通」「空間」「イベント」に分けられることを明らかにした。また、全国の常設的オープンカフェ事業の展開の特徴、富山市グランドプラザの利用目的を明らかにした。(2)実証社会実験:都心エッジ型、既成市街地型の社会実験を実施し、橋上カフェ社会実験の評価と回遊行動に与える影響を明らかにした。