著者
佐藤 守俊
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

本研究では,研究代表者が現在までに開発してきたゲノムの光操作技術とは全く異なるコンセプトに基づいて新しいゲノムの光操作技術を開発する.さらに,この光操作技術を用いることで,マウスの生体(in vivo)での全く新しい細胞標識技術を開発する.本技術により生体内での様々な細胞の動態を解明できるようになれば,生命科学の諸分野や再生医療,がん医療等に与えるインパクトは計り知れない.
著者
丁野 純男 戸上 紘平 板垣 史郎
出版者
北海道科学大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2023-06-30

アニサキスは、クジラを終宿主とし、鮭・秋刀魚・鱈などの魚を中間宿主とする寄生虫である。昨今、魚の生食に起因するアニサキス感染が話題となっているが、アニサキスを駆虫する治療薬等は開発されていない。本研究は、この状況を打破すべく、研究代表者らが得手とするドラッグデリバリーシステム (DDS) の斬新な学理を基に着想された、JSPS挑戦的研究(萌芽)(19K22778)で芽生えた潜在性を更に引き出す研究であり、アニサキス駆虫研究にブレイクスルーをもたらす可能性を秘めた開拓期の研究である。
著者
高須賀 明典 渡井 幹雄 入路 光雄 米田 道夫 中村 政裕 亘 真吾
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

魚類において「産卵親魚量と卵生産量は比例する」というパラダイムは、現在の水産資源管理・加入研究における根本的仮定である。しかし、卵生産における種内・種間密度効果によって、この比例関係には歪みが生じることが示された。本研究では、野外データ解析・標本分析と飼育実験によって、様々な小型浮魚類 (イワシ類、サバ類等) について、卵量・卵質に対する種内・種間密度効果を検証する。卵生産量に基づいた資源管理基準の設定方法の検討と資源管理リスク評価、卵生産量に基づいた生残指標値の検討と既存の加入研究の再検証を行う。以上より、従来の産卵親魚量ではなく、卵生産量に基づいた新しい資源管理・加入研究の基盤を構築する。
著者
茅 暁陽 藤代 一成 柏木 賢治 郷 健太郎 豊浦 正広
出版者
山梨大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

加齢黄斑変性症(AMD)は,年齢を重ねるに従って網膜の中心に位置し視力の中核的機能を担う黄斑に異常が生じ,見え方の質が著しく低下する病気である.本研究では,老齢者でも患者自らが身近なPC・携帯端末等を用いて自身の症状を手軽に検査でき,その結果に基づいて,日常生活の場面ごとに個人の視覚特性に合致したコンテンツを提示することにより,視野の歪みを軽減し,中心暗点で消失した情報を補い,患者の見え方の質,ひいては生活の質まで大幅に改善させられるような情報工学技術としてCR(Corrected/Complemented Reality)技術を確立する.
著者
渡部 徹 三浦 尚之 西山 正晃
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では,ノロウイルスを蓄積しない性質を有する牡蠣を選んで養殖することで,絶対的に安心・安全な牡蠣を生産する新たな構想のもとで挑戦的研究を実施する。まず,胃腸炎患者由来のノロウイルス株による牡蠣の汚染実験を行い,「ウイルスを蓄積しない牡蠣」を選別する。ノロウイルスが牡蠣の消化組織に発現した糖鎖に特異的に結合する性質に着目し,汚染実験で選別された「ウイルスを蓄積しない牡蠣」に特有な糖鎖の発現様式や発現量を明らかにする。さらに,その糖鎖の発現に関わる遺伝子を特定する。将来的に,この遺伝子をマーカーに用いて「ウイルスを蓄積しない牡蠣」をあらかじめ判別することで,ウイルスフリーな牡蠣養殖を目指す。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

アフリカ識字活動はカラハリ狩猟採集民をいわば置き去りにしてきた。それには彼らの音韻的特異性・文化的特殊性・現実的諸事情が識字教育の障壁となったという経緯がある。一方で、現在のカラハリ狩猟採集民たちは母語を文字で綴ることを望み、当事国政府もそれを奨励し始めた。本研究は、新しい着想により、母語話者を中心とする現地関係者たちと協働することで、社会に馴染み持続しやすい識字学習インフラを考案し発展させる。この実践のために、世界最大級の音素対立を表記するアルファベット系正書法を設計する。また、「この極限域において、文字で母語を書き綴る営みにはどんな現象が起きるか?」という新しい文字学的問題を探求する。
著者
花田 智
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

今までアンモニアから亜硝酸・硝酸への酸化は硝化細菌によって酸素存在下で進行するプロセスと考えられてきた。しかし、酸素非発生型光合成細菌は亜硝酸だけではなくアンモニアも光合成電子伝達の電子供与体に成り得ると考えられるが、アンモニアを嫌気的に酸化できる酸素非発生型光合成細菌は未だ発見されていない。本研究において海洋や温泉といった環境から無酸素条件下でのアンモニア酸化能を有する海洋性または好熱性の酸素非発生型光合成細菌の培養に成功した。これら細菌のアンモニア酸化に伴う中間産物が何であるかは明らかとなってはいないが,世界で初めての培養例であると言える。
著者
永井 良三 相澤 健一 苅尾 七臣 今井 靖
出版者
自治医科大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

新しい治療法やデバイス、バイオマーカーが相次いで臨床現場に導入されている。しかしその有効性と安全性は必ずしも評価されていない。これをリアルタイムに行うためには、大規模リアルワールドデータを欠かせない。申請者は最近、全国7拠点施設の異なる電子カルテ情報を連結して統合するデータ集積システムを完成した(CLIDAS)。また、申請者らはこれまで様々なクリニカル質量分析装置を活用し、トランスオミックス解析により、多くのバイオマーカーの測定系を開発してきた。そこで本研究では、臨床ビッグデータとトランスオミックス解析を統合し、新しい心臓病学パラダイムを構築する。
著者
北原 圭 宮崎 健太郎
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

生物の際立った特徴の1つは、外部環境から取り込んだ栄養素を元に自己増殖を行う能力(システム)を有することである。この自己増殖能を最大限に発揮しているのは対数増殖期のバクテリアであり、たとえば大腸菌は至適条件下ではわずか20分おきに分裂増殖することが可能である。本研究では、バクテリアの自己増殖能をひとつの化学システムとして捉え、生命現象の根幹である自己増殖システムの効率(最大増殖速度)を極限まで高めることを目的とした実験を行うことを通して、効率的な化学システムとして完成された生物の姿を探求する。
著者
天竺桂 弘子 佐藤 令一
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

宿主体内への侵入は、多胚性寄生蜂において寄生成功の必須要件である。この侵入において、多胚性寄生蜂の桑実胚は宿主組織内に損傷を与えることなく侵入し、むしろ宿主は桑実胚を積極的に迎え入れる。このような組織親和的侵入は、一般的に動物界で広く知られる遠縁種間の急性型移植拒絶反応を回避するユニークな現象で、その仕組みとして分子擬態が示唆されてきた。本研究では申請者らがこれまでに多胚性寄生蜂の胚発生期の遺伝子発現解析で得られた情報を基に、組織親和的侵入の仕組みを解明することを目的とする。
著者
大澤 義明 城所 幸弘 栗野 盛光 小林 佑輔 櫻井 一宏 小林 隆史 和田 健太郎 高野 祐一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

EVシフトが進めば、大幅な税収減となり新たな財源の確保が必要となる。一方で、インフラ維持管理費用が深刻な問題となる。走行距離など移動経路に応じて課税する受益者負担の考え方はわかりやすく身の丈にあったインフラ量を誘導する。道路修繕更新費用の一部が走行税で賄われる受益者負担課金を想定し、地方自治体まちづくりに与える影響を分析し、社会最適化などの理論モデルを構築する。
著者
小林 哲郎 松井 勇佑 佐藤 真一
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究は深層学習の技術をテレビニュースの内容分析に応用し、大量の映像情報を目視に頼ることな、自動的に分析する方法論を確立する。深層学習は、分析対象の分類に有効となる特徴を自ら学び取っていくため、様々な角度や表情で人物が映されるテレビ映像の分析に有効である。本研究の文脈では、事前に特定することが困難な政治家の顔の特徴をアルゴリズムが自律的に学習していくことで、ニュース内における特定の政治家の出現を高い精度で検出することが可能になる。こうした深層学習に基づいた計算アルゴリズムと網羅性の高いニュースアーカイブを組み合わせることで、従来の内容分析では回答できなかった社会科学的問いに答えることを目指す。
著者
大島 一正 佐藤 雅彦 大坪 憲弘 武田 征士
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

植物を餌とする昆虫類の中には,単に植物を食べるだけでなく,自身の住処となり,かつ自らが欲しい栄養成分をふんだんに含んだ「虫こぶ insect gall」と呼ばれる構造を作らせる種が知られている.このような巧みな植物操作がどのように行われ,そしてどのような昆虫の遺伝子が関与しているのかに関しては,興味は持たれていたが,そもそも実験的に飼育できる虫こぶ誘導昆虫自体がほぼ無かったため,大部分は未解明のままであった.そこで本研究では,実験室内で飼育可能な実験系の立ち上げと,モデル植物を用いた虫こぶ誘導能の実験手法を確立することで,虫こぶ形成の謎を解明する突破口を開いた.
著者
安藤 昌也 伊藤 泰信
出版者
千葉工業大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、人や社会を要件として捉え、システム設計を専門とする人間中心設計(以下、HCD)と、集合的な社会・文化に焦点を当てて人間社会を理解することを専門とする文化人類学(以下、人類学)の知見を融合させつつ、人工知能(AI)を適用したシステムの設計において人と社会の調和を考慮したシステム設計思想および設計方法のあり方を検討するものである。本研究では、HCDと人類学の融合する「多元的HCD」という一見矛盾する設計思想を仮説としつつ、2つの学問領域の対話と連携により、実際にAIが導入されている現場(医療支援システムや転職支援サービスなど)のフィールドワークをすることを通し、双方の差異・共通点から課題を整理する。
著者
Dani Keshav
出版者
沖縄科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

Creating new sources of light with non-standard wavelengths can provide powerful tools for science and technology. The XUV region of the electromagnetic spectrum creates new opportunities in photoemission spectroscopy like the powerful technique of Angle Resolved Photoemission Spectroscopy, and industrial fields like semiconductor fabrication. We propose to build a novel table-top source of XUV radiation that will provide significantly higher flux densities, to further push the boundaries of ARPES techniques and to study the newly emerging two-dimensional semiconductor heterostructures.
著者
片岡 一則 Cabral Horacio 津本 浩平
出版者
公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター)
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫療法を膠芽腫に対して奏功させるためには、膠芽腫が形成する血液脳腫瘍関門を突破するとともに膠芽腫内の免疫チェックポイント阻害剤の濃度を格段に高められる革新的技術の開発が不可欠である。そこで、本研究では、免疫チェックポイント阻害剤をコードする伝令RNA(mRNA)の構築とmRNAを膠芽腫に届ける高分子ミセルの開発に取り組むことにより、膠芽腫内で大量の免疫チェックポイント阻害剤を持続的に増幅産生させ、膠芽腫を徹底的に駆逐できるがん免疫療法を開発する。
著者
志水 宏吉 中村 瑛仁 若槻 健 西 徳宏 伊佐 夏実 原田 琢也 新谷 龍太朗 鈴木 勇 濱元 伸彦 佐古 清
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究の目的は、医療・ビジネス・国際協力等幅広い分野で注目されている「社会関係資 本」概念を、教育分野、具体的には「学校づくり」の分野に応用し、すべての子どもたちの学力のみならず、彼らの非認知能力の発達にも寄与する「力のある学校」を生み出す筋道を理論的に明らかにすることにある。教育分野における社会関係資本の指標化と小中学校(10校を予定)におけるアクションリサーチが中心的作業となる。
著者
曽野 裕夫 東山 寛 嶋 拓哉 児矢野 マリ 山下 竜一 中谷 朋昭 小林 国之 村上 裕一 清水池 義治 中山 一郎 伊藤 一頼
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

農業を中心とする食資源産業においては、とりわけ「メガFTA元年」とされる2019年以降、急速なグローバル化の進展が見込まれる。こうした食資源産業のグローバル化は、従前は国家の保護政策の下で、小規模経営を維持してきた農業経営に危機をもたらす反面で、新たな食資源供給体制の構築をはじめとして、新たな展開の端緒となる可能性を有している。かかる現状認識を踏まえた本研究は、法学・行政学・農業経済学の研究者が、多角的フィールド調査(利害が対立する関係者から広くヒアリングを行うことによる立体的な実態把握)による実証研究に挑戦し、食資源確保のための実践的な法戦略の構築をめざす異分野融合型研究である。
著者
吉岡 基 鈴木 美和 船坂 徳子
出版者
三重大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「鯨類において,陸生哺乳類にはない,特殊に発達する脂肪組織(脂皮:ブラバー)が,彼らの繁殖の制御に深く関わり,繁殖成功の鍵を握っているのではないか?」.本研究では,鯨類の繁殖生理学研究でこれまで主流であった血中性ステロイドに焦点を当てた研究展開の枠を脱却し,この学術的問いを出発点として「ブラバーを主軸とした器官間のクロストークが鯨類の繁殖を制御する」という仮説を立てた.この正誤を科学的に確かめることにより,鯨類の繁殖機構を新たな切り口から解明し,飼育下鯨類の繁殖成功に貢献することに挑戦する.
著者
呉羽 真 近藤 圭介 一方井 祐子 稲葉 振一郎 神崎 宣次 寺薗 淳也 吉永 大祐 伊勢田 哲治 磯部 洋明 玉澤 春史
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、宇宙科学技術の社会的インパクトを明らかにし、またその発展に伴って社会が直面する諸課題と対応策を特定することを通して、宇宙科学技術と社会の望ましい関係性を構想することに取り組む。このために、「宇宙文化」、「宇宙と持続可能性」、「宇宙科学技術コミュニケーション」、「宇宙開発に関する社会的意思決定」の4つのテーマに関する研究を実施する。