著者
幾原 雄一 溝口 照康 佐藤 幸生 山本 剛久 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 谷口 尚 北岡 諭
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本終了研究では特定領域の成果報告会や国際会議を企画し,本特定領域によって構築された「機能元素の学理」の効果的な普及を行った.さらに,本特定領域で得られた知見を次代を担う若手研究者に引き継ぐためのプログラム(若手研究者向けセミナー,若手研究者海外滞在)も企画・運営した.また,班内の効果的な情報共有・打ち合わせのためのインターネット会議の実施や情報管理も本総括班が行った.平成24年度では以下のような総括班会議,成果報告会,シンポジウム等を行い,本特定領域で得られた研究成果の発信を行ってきた.・総括班会議の開催6月(東京)・特定領域最終成果報告会(公開)6/8(東京)【産官学から約200名の参加があった】・国際会議の開催(公開)5/9-11(岐阜)【国内外から約300名の参加があった】The 3rd International Symposium on Advanced Microscopy and Theoretical Calculations(AMTC3)・国際学術雑誌企画5月(AMTC Letters No.3)・最終研究成果ニュースレター冊子体の企画6月・特定領域特集号発刊(セラミックス)・若手研究者向けセミナー1月(名古屋)6月に開催した本特定領域の最終成果報告会においては200名近い参加があり,非常に盛会であった.また,5月に行われた国際会議においても世界中から第一線で活躍する研究者が一堂に会し,3日間にわたって活発な議論が行われた.また,次世代研究者の育成をめざし,研究者の海外滞在プログラム(米国オークリッジ国立研究所,英国インペリアルカレッジ)も行われた.また大学院生を対象とした第一原理計算,透過型電子顕微鏡,電子分光に関するセミナーも開催した.
著者
五島 正裕 坂井 修一
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

情報漏洩は情報化社会が本質的に抱える問題であり、技術的な解決が必要である。マイクロプロセッサの制御方式を含めて情報漏洩を検討している研究は少ない。データがどのように扱われるべきかは、本来プログラムが任意に酌量することではなく、データそのものに付加されるべき属性である。その上でプログラムがデータをどのように扱うかを監視することができれば、プログラムの出所に関わらず、情報漏洩防止を実現することができる。このような情報フロー追跡は計算コストが膨大なことから、これまであまり検討がされてこなかった。我々はマイクロプロセッサの処理スループットを向上させる研究を数多く行ってきており、情報フロー追跡を利用して情報漏洩を防ぐことは少ない性能オーバヘッドで可能であると考えている。本研究では柔軟かつ堅牢な情報漏洩防止アーキテクチャの実現を目指す。すべてのデータにはどのような使用を許可するかというライセンス条件が付加される。ライセンス条件は、プログラム中のデータ処理において、ソースからディスティネーションへと伝播し、情報漏洩を検出し、プログラムを停止させることができる。本年度は、分岐によって生じる暗黙的情報フローによる情報漏洩をも防止できるプラットフォーム技術を提案した。この方式に則れば、たとえアプリケーションに脆弱性があったとしても、情報漏洩を完全に防止することができる。
著者
田中 秀数 上田 寛 金道 浩一 太田 仁 宮下 精二 利根川 孝 内野倉 國光 本河 光博
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

本研究において,我々は種々の空間構造をもち,スピンの大きさがS=1/2と小さく,量子効果が顕著な量子磁性体を精力的に開拓し,それらが強磁場中で示す新奇な磁気現象を多角的に研究した。以下に代表的な結果をあげる。スピンの対(ダイマー)が構成単位である,S=1/2のスピンダイマー系は磁場中で新奇な量子相転移を起こす。これらの磁性体の基底状態は,有限の励起ギャップをもった非磁性の1重項状態となる。強磁場中では,磁化をもつダイマーの3重項状態が重要になる。ダイマーの3重項はダイマー間の交換相互作用の横成分のために隣の位置に次々と移ってゆき,あたかも粒子のように振る舞う。この準粒子はボース粒子の性格をもちマグノン或いはトリプロンとよばれる。このとき磁場はマグノンの化学ポテンシャルとして,新しい役割を担う。我々はSrCu_2(BO_3)_2を初めとして種々の量子磁性体で,磁化曲線に磁場方向に依らない平坦領域(磁化プラトー)を発見した。磁化プラトーはマグノンの並進運動が抑制されるためにマグノンが周期的に配列するために起こる,量子多体効果である。磁化プラトーではマグノンのウィグナー結晶が形成されていると考えられる。我々はSrCu_2(BO_3)_2のNMR実験によって,実際にマグノンのウィグナー結晶を実証した。これに対して,磁場誘起反強磁性相転移はマグノンの並進運動が優先されるために起こるマグノンのボース・アインシュタイン凝縮(略してボース凝縮)と捉えることができる。これはマグノンの運動量空間での凝縮である。我々はTlCuCl_3の磁場誘起反強磁性相転移を種々の実験で詳細に調べ,理論解析と合わせて,これがマグノンのボース凝縮であることを実証した。本特定領域研究によって,磁性体は強磁場中で「量子力学的粒子の集団」としての性質を強く示す場合があることが明らかになった。これは磁性体の新概念をつくるものである。我々はまた,平成13年度から15年度にかけて国外研究者を交えた公開シンポジウムを3回開催し,平成16年に国際会議「International Symposium on Quantum Spin Systems」を開催した。更に3回の国際会議を協賛した。
著者
清水 和巳 大和 毅彦 瀋 俊毅 芹澤 成弘 大和 毅彦 渡部 幹 清水 和巳 渡部 幹
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

「社会関係資本の機能と創出」に関して主要な成果を概略的に記す。1. 社会関係資本の尺度として従来、General Social Survey (GSS)のネットワークに関する項目が使用されていたが、この尺度が人々の信頼・協力行動を予測しうるとは言えない。われわれは、ある社会の社会関係資本の水準を測るには、上記のようなデモグラフィックデータだけではなく、実際の行動実験における信頼・協力行動のデータをとり、その二つの関係をしなくてはならないことを示した。例えば、中国の経済発展状況が異なる様々な都市で、公共財実験・信頼ゲーム実験などを行った結果、被験者の信頼・協調が性別や年齢だけではなく、協力行動の有無、リスクや公平に対する選好、他人への期待に影響されることがわかった。2. 信頼に基づく人間の協力行動の生化学的な基礎としてミクログリアが重要あることが示唆された。実験において被験者に脳内免疫細胞であるミクログリアの活性を抑えるミノサイクリンという抗生物質を投与し,他者への信頼が重要となる経済取引実験を行ってもらい,偽薬群と比較したところ,実薬投与群は他者の信頼性判断により敏感になることがわかった。特に、ミクログリアの活性は盲目的な信頼を抑制し、きちんとした判断に基づいた信頼。居力高校を促進する可能性があることが示唆された。3. 囚人のジレンマ・鹿狩りゲームはそれぞれ、協力・協調の失敗を引き起こす状況として広く知られている。われわれは、これらのゲームを繰り返し行う状況下で協力・協調を導くと期待できる三つの仕組み(device)、すなわち、(1)協力・協調の難易度の段階的変化、(2)変化の内生性、(3)目標値の調整、について理論・実験により考察した。その結果、この仕組みが一種の社会関係資本として機能し、人々の協調・協力を促すことが確認された。これらの仕組みは、匿名性の高い現代社会において解決が難しいジレンマ、また、権力の干渉の余地の小さい国家間の問題や個人裁量の範囲内の問題にも適用可能と考えられ、それゆえ外的妥当性が高く、応用範囲も広いと考えられる。
著者
竹村 和久 坂上 貴之 藤井 聡 西條 辰義 高橋 英彦 南本 敬史
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、意思決定の微視的過程を、心理実験、社会調査、行動観察、計量心理学モデリングを用いて検討することを主目的とした。本研究は、眼球運動測定装置や社会調査法を用いて、選択の反復が選好形成に及ぼす効果を検討した。選択過程の眼球運動解析の結果は、ゲーズカスケード効果とは異なる過程を示した。本研究の結果は、自動的な選択の反復によって選好形成がなされることを示唆した。また、社会調査の結果は、時間経過とともに、選ばれた選択肢の優れた属性への重みづけは増加し、選ばれた選択肢の劣った属性への重みづけは減少した。この研究結果は、選択が選好を形成する因果関係を示唆しており、一般に意思決定研究で仮定されている知見とは逆の知見を示唆した。最後に、本研究では、社会的状況における意思決定過程のいくつかの性質を明らかにし、リスク下と不確実性下での意思決定の統一的な心理計量モデルを提唱し、さらに、得られた知見の社会科学への意義についての議論を行った。本研究の成果として、意思決定のマクロ分析についてのいくつかのワークショップを開催し、論文、書籍などを公刊した。
著者
菅野 純夫 中井 謙太 橋本 真一 山田 智之 土井 晃一郎
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

われわれが開発したオリゴキャッピング法による完全長cDNAライブラリーを基盤に、特定領域研究「生命システム情報」及び特定領域研究「比較ゲノム」と連携し、多種類の生物の完全長cDNAリソースの整備とトランスクリプトーム解析を行った。同時に、次世代シークエンサーとオリゴキャップ法を組み合わせて、ゲノムワイドに転写開始点を同定し、その発現量を半定量的に測定する方法を確立した。
著者
山本 哲生 墻内 千尋 荒川 政彦 渡邊 誠一郎 渡部 直樹
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

惑星系円盤におけるダストの衝突進化と熱進化の素過程,観測結果を読み解くうえで重要な光学に関する研究,ダスト生成とその後続解析実験,ダスト衝突実験,氷表面における分子反応等,物質進化の総合的研究を展開した.加えて,この分野の研究基盤形成にも貢献した.研究グループの交流を促進し,国内の関連研究グループの組織化を図り,研究コミュニティー形成を積極的に推進した
著者
中村 義一 坂本 博 塩見 春彦 饗庭 弘二 横山 茂之 松藤 千弥 渡辺 公綱 野本 明男 谷口 維紹 堀田 凱 京極 好正 志村 令郎
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

本特定領域研究では、「原子→分子→細胞→個体」と階層的に研究を推進し、それらの連携によって「RNAネットワーク」の全体的かつ有機的な理解を深めることを目的にした。これらの研究成果は、RNA研究にとどまらず、広く生命科学に対する貢献として3つに集約することができる。・第一の貢献は、構造生物学と機能生物学を連携駆使した研究によって、RNAタンパク質複合体やRNA制御シグナルの動的な作動原理に対する学術的な理解を深めたことである。・第二の貢献は、micro RNAを始めとするタンパク質をコードしない「小さなRNA」に関して先導的な研究を推進できたことである。ノンコ-ディングRNA(ncRNA)は本特定領域の開始時には全く想定されていなかった問題だが、ヒトゲノム・プロジェクトの完了によって、ヒトのRNAの98%をも占める機能未知な「RNA新大陸」として浮上した。今後の生命科学の最優先課題といっても過言ではないこの新たな問題に対して、本特定領域はその基盤研究として重要な貢献をすることができた。・第三の貢献は、本特定領域の研究が、意図するとしないとに係らず、RNAの医工学的な基盤の確立に寄与したことである。本特定領域研究では、実質的研究が開始された平成14年度から年1回の公開シンポジウムを開催し、平成15年と平成18年には各々30名程度の海外講演者を含めた国際シンポジウム(The New Frontier of RNA Science[RNA2003 Kyoto]; Functional RNAs and Regulatory Machinery[RNA2008 Izu])を開催した。これらのシンポジウムは、学術的、教育的、国際交流的に実り豊かな第一級の国際会議となった。又、特定領域研究者のみならず社会とのコミュニケーションを目的として、RNA Network Newsletterの年2回発行を継続し、各方面からの高い評価と愛読を頂戴して全10冊の発行を完了した。なお、事後評価においては「A+」と評価され、本プログラムはその目的を十分に達成することができた。
著者
藤井 正明 関谷 博 田原 太平 水谷 泰久
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

平成23年度までの5年間で得られた特定領域研究「分子高次系機能解明のための分子科学-先端計測法の開拓による素過程的理解-」(領域番号477)の研究成果を取りまとめ、新たな研究領域「高次系分子科学」としてのアピールを行うために公開シンポジウムを5月25、26日の2日間、東京工業大学すずかけ台キャンパスにおいて開催した。全ての研究を概観できる様にまとめのポスターセッションを班員にお願いすると共に、本領域研究5年間の中で特に顕著な成果を上げた研究を選んで口頭発表を行った。各研究者には本公開シンポジウム参加の為の旅費が無いため、国内評価委員や遠方からの一般参加者と共に必要に応じて旅費を支援した。その甲斐もあり、100名を大きく上回る参加者を数え、白熱した討論も行うことができ盛況のうちに公開シンポジウムを終えた。なお、公開シンポジウムの運営には、受付、会場設営などにアルバイトを雇用して対応した。さらに、公開シンポジウム開催と合わせて本特定領域研究5年間の成果を取りまとめた全体の終了報告書を日本語と英語で作成し、公開シンポジウム参加者並びに関係する各方面に配布して研究成果の公開を進めた。従来より、研究論文、新聞発表、受賞、国際会議運営などに関しではニュースレターに記事として掲載し、毎月1号のペースでメールマガジンとして配信してきた経緯があり、平成24年度も引き続き、取りまとめられた研究成果をメールマガジンとして配信した。また、ホームページにも従来通りニュースレターを掲載した。ホームページは国際発信の重要な手段でもあるため、成果取りまとめに合わせて更新し、成果集の英文内容を反映させた。
著者
荒木 崇 遠藤 求 山口 礼子
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フロリゲン(花成ホルモン)の実体がFTタンパク質であること、輸送される主要な形態は蛋白質であってmRNAではないことを明らかにした。FTタンパク質の長距離作用能と輸送能において重要なアミノ酸残基を見いだし、輸送とその調節機構を解明するための糸口を得た。FTタンパク質のパートナーであるFD蛋白質のリン酸化を実証し、14-3-3タンパク質を介した複合体形成に必須であることを示した。フロリゲンの新たな役割として、側芽分化と側枝伸長の調節を見いだし、BRC1タンパク質が側芽・側枝におけるフロリゲン複合体の活性調節因子であることを明らかにした。
著者
畑中 耕治
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

今年度は、首都大学東京、益田秀樹教授の研究グループよりご提供頂いた金ナノ構造基板を対象試料とし、照射するレーザーのパルス幅ならびに周波数変化(チャープ)を液晶空間光変調器を用いて精密に制御した上でパルスX線発生実験を行った。X線強度測定にはガイガーカウンターを、X線発光スペクトル測定には半導体検出器を用い、実験は室温大気圧下で行った。その結果、ピーク強度が最高であるチャープフリーの最短パルスを照射した時よりも、時間経過とともに周波数(波長)が低く(長く)なるダウンチャープの時でX線強度がより高くなるという結果を得た。またX線発光スペクトルをボルツマン分布を仮定した式でフィッティングして得られた電子温度もダウンチャープのレーザーパルスを照射した時により高くなる傾向が観測された。これらの結果は、金ナノ構造基板におけるX線発生において、プラズモン共鳴やプラズマ閉じ込め効果が有利に働き、さらに時々刻々誘起される初期イオン化、電子加速や電子密度の増加に対して、ダウンチャープがより有効であることを示している。
著者
河本 昇 石川 健三 中山 隆一
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

1.グループ代表者の河本は、ツイストされた超対称理論とトポロジカルな理論の量子化の関係を明らかにした。このツイストの操作をディラック・ケーラーツイストと命名し2次元ではN=2, 4次元ではN=4の拡張された超対称性を持つ超対称ヤング・ミルズ理論に導かれることを示した。この定式化を格子上に拡張し、格子上で厳密に超対称性を保つ定式化を提唱した。特に格子上で差分演算子がライプニッツ則を満たすように新たな非可換性を導入した。また拡張された交換関係を持つ定式化がこの定式化と同等であることも明らかにした。具体的には2次元N=2のBF理論、ベス・ズミノ理論、超対称ヤング・ミルズ理論、更に3次元N=4の超対称ヤング・ミルズ理論に適用した。超対称性が格子上で厳密に成立していないと言う批判に対し、この批判が当たらないことを現在示そうとしている。2.研究班メンバーの石川は高移動度の高いランダウ準位で発現している非等方的量子ホールガス状態を、同氏らが開発したフォンノイマン格子表現での平均場理論に基づいて解析し、特異な中性零エネルギー状態の性質解明や、周期的な外場中での安定な相状態の探索、量子ホールガス状態による新たな量子ホール領域の解明等に成功した。また、波束粒子の散乱による、運動量と位置との両変数を近似的に観測する振幅を定式化した。3.研究班メンバーの中山は超弦理論に現れる非可換空間に関する研究を行った。2次元非可換球面上の非可換積の新しい表現を見つけ、4次元非可換球面上の場の理論の構成を行った。また、非可換トーラスの解析を行った。当研究班では、通常の研究推進に加え、海外との共同研究及び、冬の学校として組織する研究会の運営の為の資金としてこの特定研究補助金が役立った。特に1.の研究においては、イタリア、トリノのD'Adda氏と超対称理論の格子上での定式化に関する共同研究が行なわれ、研究交流資金として重要な役割を果たし、大いに成果が上がった。
著者
川村 光 前川 覚 香取 浩子 常次 宏一 有馬 孝尚 廣田 和馬 前川 覚 陰山 洋 常次 宏一 有馬 孝尚 廣田 和馬 大和田 謙二 香取 浩子
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、特定領域研究「フラストレーションが創る新しい物性」の終了年度研究であり、特定領域5年間の成果の取りまとめが主たる内容となる。本特定領域研究においては、伝統的なフラストレート系研究の場であった磁性分野をその基盤に据えつつも、金属・強相関・誘電体等のより広汎な分野をも含む分野横断的なフラストレート系研究を展開し、これら多様なフラストレート系を統合的に扱うことを通して、フラストレーションを基軸とした新概念・新物性の開拓した。その結果、領域設定期間の間に、フラストレート系研究は格段の進展を見て、「フラストレーション」概念は、幅広い有効性を持った一般概念として物性科学分野に定着するに至った。とりわけ、特定領域活動の結果、フラストレート系研究は格段の進展を見、「フラストレーション」概念は、幅広い有効性を持った一般概念として物性科学分野に定着するに至った。例えば、カゴメ格子系、3角格子系、ハニカム格子系を舞台としたスピン液体状態の発見、カイラリティ概念を基軸とした新奇現象-異常ホール効果、スカーミオン格子、Z2ボルテックス、スピン-カイラリティ分離等-の発見と展開、マルチフェロ物質における新たな外場制御法の創出、フラストレート伝導系における新奇な輸送現象や特異秩序状態・量子臨界現象の発見、リラクサー誘電体における局所分極領域の種となる遅い横波振動モードの発見、といったような諸成果があげられる。本終了年度研究においては、これらの研究成果をを集積し領域として有機的に総合した上で、報告・公表を行った。具体的には、メインとなる研究成果報告書冊子の作成と配布に加え、研究成果発信のホームページの作成を合わせて行った。成果報告書は当領域の成果をまとめたコアとなる450ページ程度の冊子体であり、領域メンバーのみならず関連分野の研究者に広く配布した。
著者
柴山 充弘 伊藤 耕三 遠藤 仁
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

高分子ダイナミクスの強力な測定手段である光子相関法を中心とし、小角中性子散乱、中性子スピンエコー測定(スピン相関法)を相補的に使用して高分子ゲルを対象とした高分子凝縮系ダイナミクス物理の構築・展開を目指した研究を遂行した。
著者
経塚 淳子
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、イネの花序形成においてメリステムの相転換を制御する遺伝子ネットワークに関する知見を得ることを目的とした。シロイヌナズナUFOのオーソログABERRANT PANICLE ORGANIZATION1 (AP01)は、UF0とは逆に、花メリステムへの転換を抑制し(Ikeda et al. 2007)、この効果はAP01発現量に依存する。また、生殖成長転換時に起こるメリステムサイズの急激な増加もAP01に依存する。これらから、AP01が、メリステムでの細胞増殖の制御を介して花メリステムへの相転換を抑制すると考え、解析を進めることにした。今年度は、RCN(イネTFL1)がAP01の下流で働き、メリステムでの細胞増殖を促進することを示した。また、RFL(イネFLORICA/LFY)がAP01と相互作用すること、AP01機能にはRFLが必須であることを確認した。AP01、RFLは生殖成長転換直後にSAM全体で発現を開始する。同様の発現パターンを示す遺伝子群に関する情報を得て、それらの機能解析を開始した。イネの花芽運命決定遺伝子を単離し、これがOsMADS34とよばれるSEPファミリー遺伝子をコードすることを明らかにした。LOGのSAM先端での発現に必要なシス配列は翻訳開始点より上流5kbまでには存在せず、翻訳開始点と第3イントロンの間に存在することを明らかにした。
著者
島本 功 寺田 理枝 大木 出 辻 寛之 辻 寛之
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フロリゲンは植物の花芽分化の決定因子として1937年に存在が提唱されたが、その正体は長い間謎のままであった。我々は2007年にフロリゲンの分子実体がHd3a/FT タンパク質であることを明らかにし、さらにフロリゲンの細胞内受容体、及びフロリゲンの活性本体となるタンパク質複合体「フロリゲン活性化複合体」を同定した。さらにフロリゲンは花だけでなくジャガイモ形成を開始させるなど驚くべき多機能性を持つことも明らかにした。またフロリゲンの発現制御に関する研究も並行して展開し、イネの花成は2つのフロリゲン分子Hd3a とRFT1 に完全に依存していることを示した。
著者
菊池 裕
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

(1) マイクロアレイ解析による内胚葉細胞の移動・消化管形成に関与する遺伝子の単離sox17-gfpトランスジェニックフィッシュからGFPの蛍光を指標にして内胚葉細胞のみをセルソーターで集めるための条件設定を行っている。(2) 遺伝学的スクリーニングによる内胚葉細胞の移動・消化管形成に異常を示す突然変異体の単離内胚葉細胞の移動・消化管形成が異常になる変異体をスクリーニングし、候補変異体に関して表現型の詳細な観察を行っている。特に消化管形成が異常になる変異体に関して、詳細な表現型解析を行っている。(3) 内胚葉細胞で発現するcxcr4a遺伝子の機能解析sox17-gfpトランスジェニックフィッシュを用いて、Sdf1/Cxcr4シグナルによる原腸陥入期の内胚葉細胞運動の制御機構に関して解析を行った。最初に私達は、cxcr4aは内胚葉細胞特異的に発現しているが、リガンドであるsdf1a, sdf1bは中胚葉細胞に発現していることを示した。Sdf1/Cxcr4シグナルは細胞の移動を制御していることが知られているため、Sdf1/Cxcr4シグナルが内胚葉細胞の移動に関与する可能性に関して解析を行った。アンチセンスモルフォリノオリゴを用いてSdf1/Cxcr4シグナルの阻害実験を行った結果、Sdf1/Cxcr4シグナル阻害胚では3体節期において著しい内胚葉細胞の移動の阻害が観察された。更に、Sdf1/Cxcr4シグナルの阻害により、移動中の内胚葉細胞における糸状仮足形成の低下が観察された。以上の結果よりSdf1/Cxcr4シグナルが内胚葉細胞の移動制御に関わることが示された。
著者
樋口 康一
出版者
愛媛大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

研究代表者は年来このモンゴル語仏典の文献学的・言語学的資料としての重要性に着目し研究を進めてきた。その過程で、出版文化の実相解明には、仏典の伝承と流布の実態解明が不可欠であると考えるに至った。ある文献が、当初の書写の対象から印刷による出版の対象に昇華する経緯、印噂された後、世に流布する経過、それが識字層にいかに受容され、最終的に文化の諸相にどのような影響を及ぼすようになるのか等、解明すべき問題は少なくないが、それらの大半は仏典の伝承と流布の経過をつぶさに観察することで、その端緒が得られる。昨平成15年度の経費交付により面識を得て交渉を進めている現地の研究者と引き続き連携しつつ、モンゴル及び周辺諸国、及び国内における各研究機関のモンゴル語文献の所在・管理の状況を調査した。可能な機関に関しては所蔵文書類の整理を試みるとともに、その際、電算機を積極的に活用し迅速な処理を心がけた。また、入力作業に当たっては、研究補助を仰ぎ、その成果の一部は、既に公表され、広く批判を仰いでいるが、所在文献の資料的位置づけを確定した上で、出版文化の実相解明に着手した。具体的には、特に大量に所蔵されていることが予想される仏教文献に関して、(1)モンゴル語訳の成立とそれがモンゴル知識層に受容される具体的プロセスはいかなるものか(2)そのプロセスにおいて出版事業がどのような関わりを持ったか(3)その出版によってどのような影響が文化にもたらされたかに焦点を当て、研究を進めた。その成果の一端は、すでに研究集会等で公にしている。また、進んで批判を求めるため、現在、2件の論文を学術誌に投稿中である。
著者
田辺 哲朗 朝倉 大和 上田 良夫 山西 敏彦 田中 知 山本 一良 深田 智 西川 政史 大宅 薫 寺井 隆幸 波多野 雄二
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班では、各計画研究班の研究成果を総括すると共に、以下の会合に出席または企画開催し、成果の公表、取りまとめ、総合化をはかると同時に、成果についての評価も行うことにより、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に、必要な研究課題あるいは取得すべきデータ等を各研究班に提示し、研究のフィードバックを行った。また最終年度として、成果のとりまとめを行い最終報告書を作成した。今年度の具体的な実績として1.平成24年5月20-25日 独国アーヘンにて開催された第15回「制御核融合炉におけるプラズマ壁相互作用」国際会議において招待講演を行うと共に、国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導、また領域から多数発表2.平成24年5月29-31日 独国Tergeseeにて開催された第10回核融合炉材料中の水素同位体挙度国際ワークショップにて国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導すると共に、領域の成果を発表3.平成24年8月10・11日 ウインク愛知にて、第8回公開シンポジウム科研特定領域「核融合トリチウム」最終成果報告会を開催4.最終報告書を作成し関係者に配布すると共に、ホームページに掲載http://tritium.nifs.acjp/results/pdf/report_of_25.pdf5.平成24年9月19日広島大学にて開催された、日本原子力学会、核融合部会セッションにて「核融合炉実現のためのトリチウム研究報告と新展開に向けた提案」のシンポジウムを企画を行い研究班の実験実績のとりまとめ、その成果発表、知識の共有化、情報の公開をはかるとともに、総括班としてA01,A02,B01,B02,C01,C02各班の研究活動を掌握し、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に成果の評価を行った。そしてこれらの情報はすべて本領域のホームページhttp://tritium.nifs.ac.jp/に掲載、常時updateしながら、本領域で得られている情報の発信に努めた。