著者
岩佐 義宏 竹延 大志 下谷 秀和 笠原 裕一 竹谷 純一 田口 康二郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

有機半導体-絶縁体界面、有機半導体-電極金属界面のナノスケール制御によって、(1)有機半導体最高のキャリア易動度の実現、(2)有機トランジスタ初の、ホール効果の測定、(3)有機単結晶を用いた両極性発光トランジスタの実現、(4)電気二重層トランジスタによる世界最高の横伝導度の達成、など有機トランジスタの高性能化、新機能発現に貢献する4つの顕著な成果を上げた。
著者
青柳 富誌生 深井 朋樹
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

最近の生理学実験の結果から、神経ネットワークの発火の相関が視覚刺激の情報統合や注意の切り替え等の高次機能に重要な役割を果たしている可能性が示されている。本研究では、[1]神経ネットワークがどのように発火相関を制御するのか?[2]逆に、現時点で系統的な数理モデルの研究がほとんど無い、発火相関が神経ネットワークの機能を制御できるのか?という双方向の機構を理論的に検証し、最終的に両者の自律分散的な協調過程を通じて高度な機能が実現するメカニズムを探ることが目的である。現時点では、[1]に関して、大脳皮質に広く偏在している同種の抑制性ニューロン間のギャップ結合の存在意義について、多様な発火パターンの実現という観点から理論的に説明を試みた。結果として、抑制ニューロン間に通常の化学シナプス,結合とギャップ結合が共存することで、その結合強度比を生理学的に妥当な範囲で調整することにより、同期・非同期状態を多様に実現できることが解析により示された。[2]に関しては、例えば、カラム形成に重要な競合型神経回路網において、入力の発火タイミングの相関により機能を制御可能である点を理論的に示した。また、更に大脳皮質の回路構造を基礎に連想記憶モデルを構成し、想起パターンの切り替えが同期発火入力により制御可能である点を示した。これは、同期発火が神経活動の切り替わり(すなわち行動の切り替え等)の為のシグナルになり得る点を示した興味深い結果である。
著者
寺沢 宏明
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

細胞の遊走機構を理解する上で、主要な細胞接着分子であるCD44と細胞外マトリックスの主要成分であるヒアルロン酸(Hyaluronic acid ; HA)やコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PG)との相互作用を構造生物学的に解明することは重要である。本特定領域研究において、CD44のヒアルロン酸結合ドメイン(HA-binding domain ; HABD)の二次構造とHA結合部位を同定した。さらにHA結合に伴い、HA結合部位と異なる部位に構造変化が誘起されることを示した。次に、HA結合状態でのCD44 HABDの立体構造を決定した。その結果、リガンド非結合状態に比較して、CD44のC末端領域がランダム様に構造変化することを明らかにした。CD44は、低分子量HAの添加により、細胞外領域においてプロテアーゼによる切断が誘導されることが示されている。HA結合によるC末端領域のランダム様への構造変化とプロテアーゼによる切断との相関を調べるため、in vitroにおけるCD44のトリプシン分解を試みた。その結果、リガンド非結合状態に比較して、HA結合状態においてC末端領域における分解速度の亢進が見られた。さらに、HABDの立体構造に基づき、C末端領域の高次構造保持に重要と考えられるアミノ酸残基に変異を導入した。変異体のHA結合能を測定した結果、野生型と比較し、高い結合活性を有することを明らかにした。変異体はHA非存在下においてもC末端領域がランダム構造をとることがわかった。野生型において構造多型に由来する2組(major, minor)のNMRピークが検出され、minorピークのスペクトルパターンが変異体とほぼ一致することを明らかとした。以上の結果は、CD44が2状態間の平衡を有し、低分子量HAの結合に伴い、プロテアーゼ感受性が高い立体構造へと移行することを示唆する。
著者
松浦 伸也 宮本 達雄
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

紡錘体チェックポイントは、細胞分裂時に姉妹染色分体が正確に娘細胞に分配するために、分裂期中期染色体が両極性連結するまで染色体分配が生じないように監視する。紡錘体チェックポイントの構成因子BUBR1が先天的に欠損すると、高発がん性を特徴とするPCS症候群を発症する。本疾患患児は、悪性腫瘍のほかに、脳の形成不全や多発性腎嚢胞を合併する。このような多様な症状を示す理由はこれまで明らかではなかった。PCS症候群の症状が繊毛病の症状と似ていることから、BUBR1と繊毛の関係を解析した。その結果、通常は細胞表面に一本ずつ生えている一次繊毛が患者皮膚線維芽細胞では著しく低下することを見出した。繊毛は細胞外環境のセンサーとして細胞内シグナル伝達経路で中心的な役割を担っており、腎臓や脳などの臓器の形成で重要な働きをしている。BUBR1は分裂期に後期促進複合体APC/C^<CDC20>の働きを調節して紡錘体チェックポイントを制御するが、本研究により、GO期でさらに後期促進複合体APC/C^<CDH1>の活性を維持して繊毛形成に必須の機能を持つことが判明した。ヒトのモデル動物であるメダカでBUBR1を人工的に欠損させたところ、内臓逆位が高頻度に観察された。脊椎動物では、発生初期に繊毛を持つ組織が一時的に現れて、繊毛の回転によって水流が起こり、体の左右性が作り出される。BUBR1を欠損したメダカでは繊毛が生えないために水流が形成されず、そのために内臓逆位を引き起こすことがわかった。以上、本研究によりBUBR1は細胞増殖と分化を連係する分子であることが明らかとなった。
著者
神前 禎 松下 淳一 松下 淳一 竹下 啓介 神前 禎
出版者
学習院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

本研究は、各種の取引を支える最も重要な基盤であり、わが国において過去10年間に最も大きい改正を経験した法分野のひとつであるわが国の倒産法分野を対象として包括的な検討を行い、IMFから公表されている倒産法上の標準的な項目に沿う形式により英語でその内容を紹介し、それに現時点において重要性を有する裁判例の英訳を埋め込む形で海外に発信するとともに、その理論的実務上の問題点について検討を行い、いくつかの指摘を行ったものである。
著者
ダニエルス クリスチャン 宮崎 恒二 大塚 和夫 西井 涼子 眞島 一郎 関根 康正 河合 香吏 陶安 あんど
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本計画研究の最終年度に当たる本年度は、これまでの4年間の研究成果を踏まえて、総まとめと研究成果の公表に重点をおいた。これまでの研究活動においては、三つの基本課題に沿って知識が資源化される過程を検討してきた。第一課題は、知識の所有・占有・共有である。第二課題は、現代における前近代知識の読み直しであり、第三課題は、実体化された知識である。実践の中で生まれてくる知識がどのように資源化されるかが大きなテーマである。本年度は、領域研究全体のr資源」概念の再構成に貢献できるように、上記の三課題を視野に入れながら、資源化メカニズムの解明を継続・研究した。これまでに知識の「資源化」と知識の「商品化」とのあいだに本質的な懸隔のあることを明らかにした。本年度は、資源としての知識が拡散と流動のベクトルをもつのに対し、その商品化は固定と秘匿のベクトルをもつという分析指標から計画研究の総まとめを行った。班員がその立場を取り入れた形で成果論文の執筆に執りかかった。具体的な活動は(1)総括班主催で2006年12月9日-10日に開催した資源人類学国際シンポジウムでの発表、及び(2)2007年秋に刊行する予定の責任編集・全9巻からなる資源人類学成果論文集の1巻をなす第3巻「知識資源の陰と陽』に掲載する論文作成であった。(1)の国際シンポジウムでは、関根はハワイ南アジア系移民社会における伝統知識の再活性化(宗教・呪術の復活)の補充調査をした上で、「On the Shift from Knowledge as a Capital to Knowledge as a Resource」と題する発表を行った。(2)については、班員はそれぞれ上記の三課題を中心に5年間の研究成果を論文にまとめる作業を行った。ダニエルスは、上記の第3巻の責任編集に当たると同時に、雲南における伝統技術の補足調査をした上で成果論文集の第1巻に掲載する伝統技術の資源化過程に関する総論を準備した。
著者
沼倉 宏
出版者
大阪府立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ガラス固体では,熱的ガラス転移温度に近い温度において構成原子・分子が熱揺動することによる粘弾性的挙動(α緩和と呼ばれる)が観測されるが,それよりも低い温度領域(あるいは高い周波数領域)において,それとはやや異なるメカニズムによる可逆的な力学緩和が観測されることがある.これはβ緩和とよばれ,金属ガラスにおいても最近Pd_<43>Cu_<27>Ni_<10>P_<20>合金において報告されている(Pelletierら,2002).本研究代表者がこれまで調べた結果によればZr-Al-Ni-Cuガラスにおいてはこの緩和現象は観測されず,一方pd_<42.5>Cu_<30>Ni_<7.5>p_<20>ガラスにおいては明瞭に現れる.本研究では後者におけるβ緩和をサブレソナンス強制振動法による動的剪断弾性率測定により詳細に調べた.β緩和は温度150℃から240℃の範囲では振動数10^<-3>Hzから10^0Hzに現れ,振動数スペクトルは幅は広いが対称であり,著しい非対称性を示すa緩和とは様相が異なる.今回は粘弾性モデルではなく擬弾性(anelasticity)モデルを用いて緩和時間の分布を考慮に入れて緩和スペクトルを解析した.緩和時間の逆数はアレニウス則に従い,その熱活性化パラメターは,振動数因子10^<12±1>s^<-1>,活性化エネルギー1.11±0.06 evであった.これらは結晶中の原子の拡散素過程における値と同程度であり,固体結晶における点欠陥の応力誘起再配向(短距離拡散)と同様なメカニズムが推測される.
著者
島崎 研一郎 徳富 哲 長谷 あきら
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本特定領域研究では、フォトトロピンやLOV光受容体を研究対象にする生物物理学者、細胞生物学者、植物生理学者など第1線の研究者を一同に会して、光情報受容から様々な生理応答反応へ至る過程を、システマティックに研究してその全体像解明に迫り、この研究分野で世界をリードする事を目的とした。おもに、以下の結果が得られた。1)LOV1ドメインなどの一部の結晶構造を解き、分子全体構造に関しても重要な知見を得た。LOVドメインの光反応はほぼ解明した。さらに、キナーゼの光活性化機構の概略を明らかにした。2)各生理学的応答反応過程に関して、葉緑体光定位運動では、光によるアクチン繊維の再構築が原動力を与え、それに関与する因子が同定されるなど研究の大きな進展が得られた。気孔開口に関しては、photから開口に直接関与する細胞膜H^+-ATPaseへ至る経路の概略が明らかにされた。この研究過程で、アブシジン酸を介した気孔閉口シグナル伝達系とのクロストークが明らかになった。上記光応答反応以外にphotは、葉の太陽追尾運動、葉定位運動、マメ科植物における葉の光誘導性運動、柵状組織の形成、核の運動反応などの光受容体として機能することを発見した。3)新規LOV光受容体オーレオクロムを見つけ、その機能を解析した。以上の成果はPub Medのphototropinをキーワードにした文献検索によれば、2005年初頭より2010年7月までに全世界で総計185報の論文が発表され、この中で本特定領域研究の著者に含まれる論文は61報と、実に3分の1を占めた。班会議を開催し、これまでの成果をまとめた。この5年間の代表的論文を各研究代表者5編以内に限り、冊子体中にまとめた。
著者
河村 葉子 六鹿 元雄
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度の本研究において、ベンゾフェノン類のエストロゲン活性を酵母Two-Hybrid試験により試験したところ、ベンゾフェノン水酸化体19化合物中15化合物で活性がみられ、そのうち4化合物はビスフェノールAよりも強い活性を示した。そこで今年度は、チャイニーズハムスター卵細胞にヒトエストロゲンレセプターα(ERα)あるいはヒトアンドロゲンレセプター(AR)を組み込んだレポータージーンアッセイ系であるERα-およびAR-EcoScreen(大塚製薬)を用いて、ベンゾフェノンおよびその水酸化体のエストロゲン活性および抗アンドロゲン活性を調べた。その結果、ベンゾフェノンを含む18化合物でエストロゲン活性が見られ、中でも2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,4-dihydroxybenzophenone、3-hydroxybenzophenone等ではビスフェノールAとほぼ同等の活性であった。3または4位に水酸基をもつと活性が強く、2位のみでは活性が低い構造活性相関がみられた。本法と酵母Two-Hybrid試験で得られた活性強度には相関が見られた(r=0.79)が、両環に配位した水酸基の影響に相違がみられた。また、誘導された発光強度がエストラジオール(E_2)を上回るスーパーアゴニズムが多くの化合物で観察された。一方、抗アンドロゲン活性においては17化合物で活性が見られた。2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,2',4,4'-tetrahydroxybenzophenone等の活性が強く、これらはp,p'-DDEとほぼ同程度であり、IC_<50>の前後の化学物質濃度で細胞活性は70%以上あり、細胞毒性の影響はほぼみられなかった。これらのエストロゲン活性と抗アンドロゲン活性の強度には相関がみられた(r=0.68)。これらのベンゾフェノン水酸化体のうち、食品用器具・容器包装の紫外線吸収剤として使用される2-hydroxy-4-methoxybenzophenone、2,2'-dihydroxy-4-methoxybenzophenoneについて、製品中の残存実態を調査したところ、ポリエチレン50検体、ポリプロピレン39検体、ポリスチレン25検体、ポリ塩化ビニル39検体、ポリ塩化ビニリデン7検体からは検出されなかった。しかし、ところてんの包装容器(ポリ塩化ビニル製、1997年購入)から前者が70μg/g検出された。このほか、ベンゾフェノン水酸化体は日焼け止めや化粧品に使用され、またベンゾフェノンが体内で代謝されて生成することから、内分泌かく乱作用および人への暴露についてさらに検討が必要であろう。
著者
神田 和幸 原 大介 木村 勉 片岡 由美子
出版者
中京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

平成16年度:国内外の公的広報資料収集と統計資料整理、既成資料の調査、各種施設調査を実施。平成17年度:協力要請及び調査打ち合わせをした下記各機関の協力により調査を実施し、各資料を統合的に分析し、提言作成の基礎資料をえた。研究協力機関1. 特定非営利活動法人 手話技能検定協会本部、名古屋支部、大阪支部2. 名古屋身体障害者福祉連合会、名古屋身体障害者情報文化センター3. 名古屋聴覚言語障害者協会調査内容(主として面談調査)1. 現在の福祉・情報サービスへの不満2. 望まれる支援機器、支援システム、支援制度また実験調査遠隔通信による手話通訳サービスの実験を行った。平成18年度:前年度の聴覚障害者側のニード調査に対しサービス側はそれらをどのように受けとめているかを調査した。全国の上場非上場企業8,000社に郵便アンケートのよる企業側の意識を調査した結果、回収率は7%、578社から回答を得た。結果分析概要は(1)障害者雇用促進法の存在は90%が知っていた、実際に聴覚障害者を雇用している企業28%。今後の雇用予定もない企業がほとんどである。社員として雇用していないので、対策も何も採られていない。顧客としての聴覚障害者についても、ほとんど認識がない。客とのトラブルが何もないという回答が93%、聴覚障害者側のニードと大きな差があり、障害者側が一方的に我慢している実態がわかった。緊急時の対応も何もなされておらず、対策もとられていない。これは事故などにおける聴覚障害者の罹災率が高いことが世間に認識されておらず、緊急に改善を要する事柄である。聴覚障害者のニード調査で救急車やパトカーの音の区別ができる装置の希望が多かったが、こうした具体的な機器開発は当該研究グループ(聴覚班)内の会合で情報を交換しており、医療現場でのディスプレイの研究として発表され、また緊急音識別装置への研究へとつながった。
著者
神 直人 杉江 徹 村上 一三 神山 保 大山 政光 高澤 茂樹
出版者
滋賀大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

大学生にこれまで習ってきた数学について聞くと,次のような学習像が浮かび上がる:教員から与えられた問題を教員から教えられた解き方で,生徒が解答し,その答えを教員が評価する。ところが,実際の科学研究の流れは,問題の発見→モデル化→数学的処理→一応の解決→新たな問題の発見→…と続いていく。つまり,生徒は上の図式の一部である,数学的処理だけを練習していることになる。しかし,創造性,論理性の涵養,そして,理数科目への学習意欲を持たせるためには,上記の科学研究の流れを経験することが重要であるとの観点から,中等教育における教材の開発を目指した。そのためには身近にある問題の発見から出発するのが,適当であると考え,理科・数学を融合した教材の開発に着手した。[実践の記録](1)滋賀県立彦根東高校SSクラス,2006/9/6,13,20(2)滋賀県立虎姫高校 招聘講座,2006/12/20(3)滋賀大学教育学部附属中学大学訪問学習,1年生,2006/8/31(4)守山市立守山中学校3年数学集中選択,2006/9/14,2007/1/17実践の内容,評価を,研究成果報告書として作成した。
著者
齋藤 健一
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では,貴金属ナノ構造の局在プラズモンを利用し,光と強結合する無機ハイブリッドナノ構造を検証する。この背景には,申請者がこれまで行った以下の研究内容が関係する。すなわち,single-molecule-Ramanに相当する分子数1-4個のラマンスペクトル測定を可能にした,巨大な表面増強効果をもつ金ナノ構造体を創製した。この増強効果をシリコンナノ結晶の発光の強度増加に活用する。高効率で紫外~光の三原色領域で発光するシリコンナノ結晶の波及効果は大きく,ICチップへのシリコンフルカラー発光デバイスの搭載や,生体に優しいバイオマーカー(量子ドット)としての利用がある。それらの実現には,発光効率の増加が重要である。本年度は,レーザーアブレーションで生成した金なの構造体を増強基板に用い,同じくレーザーアブレーションで生成した発光性Si量子ドットの発光スペクトルの増強効果を検証した。測定は,溶液中に分散したSi量子ドットの発光スペクトルを顕微分光測定にて検証した。すなわち,顕微分光測定により単一金ナノ粒子を探し,顕微鏡直下で金ナノ粒子近傍のSiの発光スペクトルを測定した。その結果,Si量子ドットの発光強度は,金ナノ粒子が存在することで10^3-10^5増強されることが明らかとなった。特に,巨体金ナノ球上に低次元ナノチェーンが存在する,メデューサ型金ナノ粒子が,巨大な増強効果を与えた。この増強効果は,可視領域の広範な領域で増強効果を与えたが,波長により増強される領域が強いところと弱いところがあることが明らかとなった。
著者
高木 一義 高木 直史
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

単一磁束量子デバイスによる実現に適した論理回路構成法を検討し、回路設計フローとそのために必要な設計支援に関する研究を行ない、以下の成果を得た。(1) 乗算および開平のための回路アルゴリズムの設計を行なった。(2) クロック同期式順序回路の合成のための一手法を提案した。(3) クロック信号の配信のための、クロックスケジューリングアルゴリズムを提案した。(4) レイアウトを考慮したクロック木構成法を開発した。(5) パイプライン動作の検証手法を開発した。
著者
森 仁志 榊原 均
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

茎のプラスチドに局在し、頂芽切除によって変動するタンパク質を網羅的に同定することで、茎のオルガネラを理解し、腋芽の成長制御をオルガネラの観点から解析することを目的としている。頂芽切除前後のエンドウの茎からプラスチドを調製し、両プラスチドに含まれるタンパク質で量が変動するものを、質量分析法を用いた比較プロテオーム解析により検索した。比較プロテオーム解析は、質量の異なる修飾基(^<12>Cが^<13>Cに置換してある)を用いて、比較する試料を標識し、両者の量比を比較することによって行った。今年度はICPL(Isotope Coded Protein Labeling)法とNBS(13CNBS Stable Isotope Labeling)法で比較プロテオーム解析を行った。ICPL法では、まず両試料のタンパク質群のLys残基のε-アミノ基をニコチン酸(^<12>C_6/^<13>C_6)-NHSで修飾した。次にタンパク質群の複雑度を下げるために、SDS-PAGEでタンパク質を分画し、ゲルを87片の短冊に切り出した。各ゲル片をトリプシンでin gel消化し、生じたペプチド断片を逆相クロマトグラフィーで約50の画分に分画し、MALDI-TOF MSで解析した。質量差が6マスのペアペプチドイオンを探し、両者の量を比較した。その結果、頂芽切除前と切除3時間後、6時間後で量比に変化のあるペプチドが見いだされたが、概ね2倍以内の差であった。一方、NBS法ではタンパク質中のTrp残基を質量の異なるNitrobenzenesulfenyl(NBS)基(^<12>C_6/^<13>C_6)で特異的に修飾した。標識したタンパク質群をトリプシンで消化後、標識されたペプチドを、標識によって増加したペプチドの疎水性を利用しPhenyl Sepharoseカラムで濃縮した。このことによりペプチドの複雑度を下げることができた。8画分に分画した溶出試料をMALDI-TOF MSで解析し、質量差が6マスのペアペプチドイオンを探し、両者の量を比較した。しかし、ICPL法の場合と同様に顕著な差のあるペプチドを検出することはできなかった。
著者
工藤 昭彦 斎藤 健二
出版者
東京理科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

NiをドーピングしたZnS光触媒が,正孔捕捉剤存在下,可視光照射下でCO_2還元反応に活性を示す光触媒であることを初めて見いだした。NiドーピングZnS光触媒は,可視光照射下でほぼ定常的にH_2とHCOOHを生成した。一般に,光触媒反応ではPtなど助触媒が必要であるが,この反応において助触媒は不要であり,光触媒自身が活性点を有していることが特徴である。カットオフフィルターを用いたNiドーピングZnSによるHCOOH生成反応の波長依存性より,HCOOHが生成し始める波長と吸収スペクトルの立ち上がりが一致した。このことから,NiドーピングZnSによるCO_2還元反応は,Niのドナー準位から伝導帯へのエネルギーギャップ励起によって進行していることが明らかとなった。一方,(ZnGa_2S_4)-(Znln_2S_4)複合体が,正孔捕捉剤存在下,可視光照射下でのCO_2還元反応に活性な光触媒であることを初めて見いだした。主なCO_2還元生成物として,COとHCOOHの両方が得られた。CO_2還元反応の活性は用いる正孔捕捉剤の種類に大きく依存しており,NaPH_20_2を用いた場合に最も高い活性を示した。また,基盤となるZnIn_2S_4ではほとんどCO_2還元反応が進行しないが,それにGaを10%置換したZnGa_<0.2>In_<1.8><S_4>を用いた場合は,CO_2還元反応の活性が飛躍的に向上した。Znln_2S_4にGaが置換されることで,CO_2還元反応に対するドライビングフォースが増加し,活性点が形成されたため活性が飛躍的に向上したと考えられる。
著者
中平 勝子 マーラシンハ アーシュボーダ
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究は、技術者の業績と人物像を生き生きと物語る史料としての「追悼文」に注目し、これを系統的に収集し、技術革新経験に関する知識基盤として技術者教育に活用する可能性と方策について研究を行うものである.平成21年度は,以下のことを行った.● 所在源調査に関しては、本年度は学協会機関紙、業界紙、新聞などから,計350件超の追悼文を抽出し,そのデータベース化を行った.また,それのWeb利用のための検索エンジンを構築した.● 追悼文の教育利用を検討するにあたり,実際に技術者教育を行っている高専,および,社会の世情(総務省調査)の双方のデータを用いて分析を行った.その結果,現在の教育システムは、大きく学校教育と家庭・社会教育から成り立つこと,学校教育は相応に調節された技術者向け教育プログラムを提供できる毅階にあるが,家庭・社会教育においては製品・技術のブラックボックス化により,物が動く仕組みを知る機会が減っていること,情報過多・読書体験の不足・現実世界との相互作用の不足が技術者ロールモデルの欠如を生み,「生きる力」の育成を削ぐ形になっている可能性が高いことを示唆し,技術者ロールモデルとしての技術者人物史料の必要性を提言した.
著者
林 政彦 白石 浩一
出版者
福岡大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

対流圏エアロゾルの観測に適した気球搭載型粒子計数装置を開発した。この装置を用いて福岡上空の大気エアロゾルの成層圏までの鉛直分布観測,偏光解消度観測を含む3波長ライダーによる光学特性の観測を実施し,その比較解析を行ってきた.福岡上空の境界層から成層圏までのエアロゾルの粒径分布・濃度その変動についての情報を得ている.これまでのところ,ライダーによって観測される自由対流圏の偏光解消度の高い層が粒径数マイクロメータ程度の巨大粒子をふくむエアロゾル群として存在していること,自由対流圏の非球形粒子を含むエアロゾル層が,相対湿度が70%を超えるような比較的湿った状態になっていることが多いことなどが明らかになった.無人航空機を用いて,中央九州高原部のエアロゾル鉛直分布観測を久住高原で,中国大陸から輸送されてくる混合層および自由対流圏最下層のエアロゾルの粒径分布観測およびサンプル回収を北部九州雷山および唐津湾上空で行った.北部九州で春季に採取したエアロゾル粒子のSEM-EDXの組成分析により個別粒子の存在状態の解析を行った.これらの知見と,衛星からのリモートセンシング情報の解析結果との比較検討を行っている.その結果,これまでに,日本上空に輸送されてくるまでの間に鉱物粒子と海塩成分と内部混合した変質粒子が,雲過程を経ないで形成されるのは,混合層が発達するとともに,混合層温度が海面温度より低い状態にあることが明らかになった.この結果から,海面による加熱と水蒸気,海塩粒子にともなう海上霧の形成が鉱物-海塩混合粒子形成を促進する重要な条件になっていることが示唆された.
著者
谷垣 勝己 野末 泰夫 山中 昭司 榎 敏明 木村 薫 寺内 正己 有田 亮太郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班は、配列ナノ空間を利用した新物質科学の企画・調査研究報告書"配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略"ならびにH19年度の領域研究申請書をもとにして、H19年-23年の5年間に渡り本格的な研究体制の下で十分に審議して重点課、題を決定し、遂行してきた。また、現在の状況で進めるべき研究を審議して、遂行可能な研究を効率的に進めてきた。H20年度-H21年度、H22年度-H24年度の2回に渡り、採用された公募研究班を加えた研究者と連携して研究を国際的に発展させると共に、領域研究を効率的に推進するために、総括班会議ならびに年2回の領域会議を開催して、現状を把握するとともに今後の研究計画を議論してきた。H23年度の研究で本領域は5年間の研究活動を終結する事ができた。H24年度は、5年間の特定領域研究のまとめ年となる。そこで、本領域研究では、総括班を中心とした5年間の研究計のまとめを行うために、5年間に得られた研究内容のまとめを行うとともに、将来の研究活動につながる活動をした。特に、今年度は昨年度の年度末に開催して特別研究会を中心としたNewsletterを刊行するとともに、5年間の研究活動を総括した報告書を編纂する事が主な事業であった。そのために、研究計画班に属している研究者の方と連絡を密にとるとともに、5年間に渡り総括班ならびに研究計画班の研究を外部から眺めて助言ならびに指導を頂いた本特定領域評価委員の方々とも連絡をとり、5年間の研究成果をまとめる報告書を発行した。また、本領域研究の今後の活動につながる議論などを行い将来の研究発展に備えるための調査ならびに会合をもった。
著者
岸本 健雄 佐方 功幸 稲垣 昌樹 竹内 隆 浅島 誠 山本 雅 正井 久雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

特定領域研究「細胞周期フロンティア-増殖と分化相関」(細胞増殖制御)は、平成19年度から5ヶ年計画で発足し、平成23年度末で終了を迎えた。本研究では、この特定領域研究の総括班業務を引き継ぎ、以下のように、領域終了にあたって領域としての研究成果をとりまとめ、その公開をはかった。(1)「研究成果報告書」を、全班員(前期あるいは後期だけの公募班員や途中辞退者も含む、総計91名)をカバーした冊子体で作成した。本報告書は8章からなり、領域としての研究成果の概要だけでなく、各班員毎の研究成果の概要も掲載し、総頁数456頁の冊子となった。班員、関連研究者、文科省等に配付した。(2)公開の領域終了シンポジウム「細胞増殖制御」を、平成24年8月30、31の両日、東京工業大学・蔵前会館(目黒区大岡山)で開催した。領域メンバーのうち、前後両期の参画者を中心として31名が講演発表した。参加者総数は約100名で、評価委員も出席した。領域としての主な研究成果を、概観できるシンポジウムとなった。(3)領域の終了に伴う事後評価のためのヒアリングを、平成24年9月12日に文部科学省で受けた。後日、評価結果は「A」(研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)であるとの通知が届いた。(4)領域ホームページで、上記の公開シンポジウムもアナウンスし、領域としての成果を発信した。これらにより、本領域の設定によって得られた研究成果を周知するとともに、領域メンバー間の有機的な連携を再確認し、細胞周期制御関連分野の研究の今後の発展に資することができた。
著者
大野 和彦 中島 浩
出版者
三重大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本課題の目的は、ITシステム基盤を支える実用技術の一環として超大規模計算タスク群のスケジューリング手法を開発することであり、高精度でスケーブルかつ他の基盤技術との協調を目指しでいる。従来の研究成果であるタスクの実行性能モデリング技術と、それ利用したスケジューリング手法をベースとし、これを発展させる形で研究を行っている。本年度は実環境の性能変動に対応するため、動的スケジューリングの研究を行った。動的な変動に対し良いスケジューリング長を保ち続けるには変動のたびに静的スケジューリングを再実行する動的再スケジューリング手法が有効であるが、頻繁に変動が生じる実環境ではスケジューリングコストが大きく実用的でない。そこで、変動をトリガーとする従来の手法に対し、タスクの終了をトリガーとする手法を提案した。さらに、スケジューリング結果に大きく影響するタスクの終了時のみをトリガーとすることで、再スケジューリング回数を大幅に削減した。シミュレーション評価の結果、提案手法により再スケジューリング回数が数百分の一に抑えられる一方で、スケジューリング長の悪化は5%程度にとどまった。また、前年度の成果である大規模ワークフローの縮約手法について、詳細な設計および実装・評価を行った。性能評価の結果、完全縮約可能な場合の必要メモリ量は規模に依らず、ランダムなワークフローで80KB程度、単純な実ワークフローでは2KBであり、100万タスクで200MBほどを必要とする従来手法に対し、大幅に削減できた。さらに、性能モデルの高性能計算への応用として、多次元配列を時間方向にタイリンゲすることでキャッシュを有効活用する最適化手法を時間発展シミュレーションに適用する際の最適パラメータ推定を行った。京大のT2K Open Supercomputer上で評価した結果、2次元拡散方程式の陽的求解や3次元FDTD法においてほぼ最適なパラメータが得られ、前者ではタイリングを使用しない場合に対して約2倍の速度向上を得ることができた。