著者
齋藤 馨子 和氣 洋美 厳島 行雄 五十嵐 由夏
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

痴漢被害に関する質問紙調査では、女性の約37%、男性の約5%が痴漢被害を経験しており、痴漢被害部位の多くは臀部であることが示された。痴漢被害遭遇時は目視による犯人確認が困難であることも明らかとなった。また、痴漢と判断される行動が混雑した公共交通機関内で容易に生じることも確認された。身体接触に関する調査では、身体接触を基本的に不快と感じることが示された。触判断に関する実験的検討では、視聴覚情報が遮断された状態で背後の他者の立ち位置を感じることはできず、刺激の動きの有無や連続提示にかかわらず、臀部では触覚情報のみによって対象を正しく判断することは困難であることが明らかとなった。
著者
小沢 千重子
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.2177-2181, 1986-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
13
被引用文献数
5 4

Attempts were made to use sodium bicarbonate as an accelerator in detoxification of toxic puffer ovaries during pickled product processing, which is rather common in Ishikawa Prefecture, Japan. Fresh ovaries of a puffer, “mafugu”Fugu vermicularis porphyreus were divided into three portions, sprinkled with a solid salt mixture containing O, 3.3 or 6.6% NaHCO3, and were stored for seven months, followed by one-year pickling with rice bran. Samples were taken at each step and assayed for toxicity, pH, VBN, etc. The results obtained showed that the detoxification during the process was most marked when the solid salt containing 6.6% NaHCO3 was used for sprinkling. In addtion, organoleptic tests demonstrated that the pickled product thus processed did not differ from the one prepared according to the usual method, with respect to taste, flavor and appearance.
著者
Takao K. Suzuki
出版者
The Biophysical Society of Japan
雑誌
Biophysics and Physicobiology (ISSN:21894779)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.e190011, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
98
被引用文献数
3

Design principles of phenotypes in organisms are fundamental issues in physical biology. So far, understanding “systems” of living organisms have been chiefly promoted by understanding the underlying biomolecules such as genes and proteins, and their intra- and inter-relationships and regulations. After a long period of sophistication, biophysics and molecular biology have established a general framework for understanding ‘molecular systems’ in organisms without regard to species, so that the findings of fly studies can be applied to mouse studies. However, little attention has been paid to exploring “phenotypic systems” in organisms, and thus its general framework remains poorly understood. Here I review concepts, methods, and case studies using butterfly and moth wing patterns to explore phenotypes as systems. First, I present a unifying framework for phenotypic traits as systems, termed multi-component systems. Second, I describe how to define components of phenotypic systems, and also show how to quantify interactions among phenotypic parts. Subsequently, I introduce the concept of the macro-evolutionary process, which illustrates how to generate complex traits. In this point, I also introduce mathematical methods, “phylogenetic comparative methods”, which provide stochastic processes along molecular phylogeny as bifurcated paths to quantify trait evolution. Finally, I would like to propose two key concepts, macro-evolutionary pathways and genotype-phenotype loop (GP loop), which must be needed for the next directions. I hope these efforts on phenotypic biology will become one major target in biophysics and create the next generations of textbooks. This review article is an extended version of the Japanese article, Biological Physics in Phenotypic Systems of Living Organisms, published in SEIBUTSU-BUTSURI Vol. 61, p. 31–35 (2021).

96 0 0 0 OA 付喪神記

巻号頁・発行日
1000
著者
松尾 剛行
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-23, 2018-11-29 (Released:2020-01-16)

法務を情報テクノロジーで支援するリーガルテックの成長が著しい。高度化、効率化や低価格化等の便益の享受が期待されるものの、司法試験に合格して司法修習を受け、質が担保されている弁護士や弁護士法人と異なり、質の低いものが含まれるリスクも否定できない。ここで弁護士・弁護士法人以外が報酬を得る目的で法律事件について法律事務を行うこと等を業とすることを禁止する弁護士法72条は、「人間」の非弁業者に対する同様のリスクの対策のために規定されている。本稿は、弁護士法72条のリーガルテックへの適用の可能性と、その課題等について考察する。
著者
鈴木 俊洋
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.58, pp.203-218,25, 2007-04-01 (Released:2009-07-23)

The main purpose of the paper is to call philosophers' attention to expertise, a form of tacit knowledge that is essential for expert problem-solving activities in the life-world. To this end, I construct a framework showing how mathematical objects emerge from omitprosses of expert problem-solving activities. First, I will refer to the framework of the historical genesis of mathematical objects that is presented by Enrico Giusti, an Italian historian of mathematics. His framework suggests that mathematical objects emerged from processes of technical omit-skills of problem-solving by mathematicians. Then I will explain how Husserl's genetic phenomenology analyzes the genesis of geometrical objects. The framework of the genesis of mathematical objects that is presented here strongly encourages philosophical investigations into expertise in order to study the nature of mathematical objects (and of ideal objects, generally). In addition, it provides philosophers of mathematics with an alternative way of interpreting mathematical objects, and I hopeit helps phenomenologists interpret Husserl's concept of the "life-world".
著者
鈴木 紘
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.74-78, 1980-07-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

Method.1. The treatment was given to 23 patients.2. In order to relieve stiffness in the shoulders and the nape, acupuncture was administered at the following points: BL-10, GB-20, GB-12, TH-17, GB-21, TH-14, BL-11, BL-38, GV-20, GV-12, LI-4, LI-10, HT-7, KI-3, TH-4, GB-41 etc.3. On the shoulders and the nape, stationary insertion was administered was given for 15 minutes.Results.1. Effective results were obtained in 12 cases. Therefore, 52 percent of all patients responded well to the treatment.2. In my last report for the 24th Congress it was 60 percent for 45 patients suffering from the same syndrome. Together with those reported in the previous paper, the results obtained there suggest that favorable results were obtained in 57% of the 68 patients complaining of epipharyugeal syndrome.4. This kind of disease or syndrome almost always has its onset from May to August. This was true in 70 percent of all patients.5. Occupational breakdown showed most of the made patients to be white collar workers and female patients to be housewives.Conclusion.Stiffness is intimately related with diseases. For this reason it may be very important to give treatment to the shoulders and the nape together with the later nape.
著者
廣瀬 博文
出版者
徳島工業短期大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

本研究ではバイオ燃料として竹を砕いて粉末状にした竹粉をレシプロエンジンに投入する実験を行った. 竹は数年で育ち, 放置竹林がますます増大して環境問題となっている. この解決策として竹をレシプロエンジンの燃料として活用できないか研究を行った. レシプロエンジンの燃料として竹を活用できれば需要が増大し放置竹林が解消するだけでなくエネルギー問題の改善へ貢献できるのではないかと考えている. しかし, 竹粉だけをレシプロエンジンに吸入させて燃焼させるにはいくつか問題点があるため、従来の燃料と混合した竹粉混合燃料としてエンジンを動かし, 化石燃料の消費量を押さえつつ発電を行える発電機を研究することにした. 発電機のエンジンの種類として軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用することにした. 実験方法は無負荷の状態と発電機の限界負荷を掛けた状態の二つの条件で竹粉の量を変化させて投入し軽油の消費量と黒煙の濃度を測定した. 実験結果は無負荷の状態で特定の条件で軽油の消費量を抑える竹粉投入量を確認することができた. さらに竹粉の投入限界量を確認することができた. しかし, 発電機の限界負荷を掛けた状態では, 無負荷でもっとも効率がよいと思われる竹粉量でも軽油の消費量を抑えることができなかった. 今回の実験では市販のディーゼル発電機を利用して実験を行ったがこの市販のディーゼル発電機は軽油を使用したディーゼルエンジンが最も効率が良い回転数に設定されているが, この回転数では竹粉を燃料とするには高すぎるのではないかと思われる. 回転数が高いために竹粉が燃えるのに必要な時間が足りず多くの煤が発生しエンジンを停止に追い込む悪循環となっている. 今後の研究としては発電機を改良して竹粉を燃料として活用できる最良の条件を模索していきたい.
著者
齋藤 道彦
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.47, pp.539-561, 2015

琉球革命同志会・台湾省琉球人民協会・琉球国民党などの組織は,中国国民党/中華民国政府の意を受けた「琉球」吸収工作機関だった。本稿では,中国国民党・中華民国政府による1948年から1971年までの琉球/沖縄吸収工作を検討する。検討対象資料は,「喜友名嗣正(中国名:蔡璋)1948年8月22日付け葉次長閣下あて文書」,「琉球革命同志会工作報告」・台湾省琉球人民協会「工作報告(8,9月分)」(1948年10月付け),琉球革命同志会1949年12月「備忘録」,蔡璋「琉球国徽の由来琉球『万暦の役』の惨痛」(1949年2月25日『中華日報』)「琉球革命同志会・琉球人民協会」名「籲議書」(日付け不明),「中国国民党中央改造委員会から葉公超部長あて1951年2月20日付け代電」,「中国国民党中央委員会第 組から外交部葉公超部長あて1952年7月14日付け書簡」ほかの中華民国中央研究院近代史研究所檔案館所蔵の外交部檔案電子資料である。
著者
梅澤 亜由美 大木 志門 小林 洋介 河野 龍也 大原 祐治 小嶋 洋輔
出版者
大正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は、8月20日に国際シンポジウムプレ会議、2019年1月13日に研究会を開催した。また、研究成果の公表として、学会でのパネル発表、および【論考篇】として書籍の刊行を行った。以下4点、具体的に述べる。①研究成果【データ篇】公開のための作業。2017年度より継続して各自が行っているデータの抽出、一覧表の作成をもとに、〈私小説性〉、およびそれに付随する〈「私」性〉〈内在的サイン〉、〈事実性〉〈外在的サイン〉といった概念による新たな研究の指標を提示することができた。②国際シンポジウムプレ会議の開催。中国、台湾、韓国の研究協力者を招き、各国における研究の現状についての発表報告を受けた。これを受けて、2019年度8月に開催を予定している国際シンポジウムのプログラムについて討議、日程およびテーマなど詳細を決定した。③学会でのパネル発表。当初の予定通り、10月27、28日に岩手県立大学で開催された日本近代文学会秋季大会において、「「私小説」をどのように考えるか?――〈私小説性〉概念による再検討の試み」というテーマで、パネル発表を行った。6名の発表者が、新たな私小説研究の指標としての〈私小説性〉の概念に基づいて、田山花袋、徳田秋聲、広津和郎、佐藤春夫、横光利一、伊藤整、第三の新人などのテクストについての発表を行った。また、質疑応答を行うことで、今後の研究のための指針を得ることができた。④成果報告【論考篇】の刊行。10月末に、『「私」から考える文学史――私小説という視座』を勉誠出版より刊行した。16本の論考、16本のコラム、および3名の作家によるインタビューを通して、〈私小説性〉の概念を応用した研究の実例、および今後の私小説研究のために必要と考えられる論点を提示することができた。
著者
石川 希典 佐藤 弘喜
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.185, 2006 (Released:2006-08-10)

世代間における鉄道券売機のインターフェイスに対する、使いやすさのイメージの違いがあると思われる。それは高齢層の被験者、非高齢層の被験者では、それぞれ使いやすいと感じる傾向が違うと考えられるからである。この世代間における、使いやすさのイメージの違いについて研究を行った。 高齢層、非高齢層に分類した被験者に対して、インターフェイスの比較及び評価実験を行った。これによりどういった操作に対して、高齢層、非高齢層の被験者が使いやすいと感じ、使いにくいと感じるかを明らかにした。全ての評価実験、解析の結果から、高齢層、非高齢層における、使いやすいと感じるインターフェイスの傾向を明らかにし、デザインのポイントとする。そして関連研究と本研究の研究成果から、券売機のインターフェイスデザインを改善したデザイン提案及び、モデルの制作を行う。
著者
塩崎 一郎 河合 隆行 野口 竜也 齊藤 忠臣
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2014年大会
巻号頁・発行日
2014-04-07

鳥取砂丘の起伏の象徴である馬の背,その南側の凹地に季節によりその姿を変化させるオアシスがある.このオアシスはいつもみられるわけではなく,夏季には消滅する.また,オアシス凹地へは絶え間なく地表を流れて注がれる流入水が存在しているが,オアシスが存在していないときには,流入水は尻無川となっている.はたして,このオアシスが如何なるメカニズムで発生・消滅しているのだろうか.すなわち,この流入水はどこからきて,どこへ流出するのだろうか.このオアシス湧水に関する問いかけは,古くからの学術的関心であり,例えば、砂丘に降った雨水が地下水となり,一部が泉となって地表に再び表れるという考え方(赤木,1991),保水性の良くない砂丘砂に浸透した雨水が、水を通さない基盤岩の不透水層や透水性の悪い火山灰層の付近に地下水として貯留し、これが湧水となるという考え方(財団法人自然美化管理財団、1995)、近年では、オアシスの形成と砂丘南側に位置する多鯰ケ池の水位変化の関連性を調べた研究(星見,2009)などの知見が既に提出されている. 一方で,学術的に高い価値を有している鳥取砂丘の自然環境は,その自然状態を保全・維持しつつ後世に継承されることが強く望まれているため,砂丘内の自然環境に人為的な影響が生じないよう厳しく管理されており,井戸などの人工物の設置や大型測器による地下水位探査が事実上不可能である.このような理由から,現在に至るまで十分な調査が成されておらず,オアシスの発生・消滅メカニズムを定量的に解明する目的で行われた研究はなく,まだ結論は出ていない. 本研究はこの問いに答える目的のために,すなわち,砂丘内湧水(オアシス)の起源を探るために鳥取砂丘の地下構造と地下水大循環に関する研究を実施した.すなわち,様々な非破壊的な物理探査法を用いて砂丘の地下構造を推定し,地下水の存在形態や流動様式,砂丘の基盤構造などに関する基礎データを得ると共に,水文学的な手法も用いてオアシス湧水の起源ならびに定量的な消長メカニズムの解明を試みた.ここで用いた具体的な方法論は後節に譲るが,概略として,前者の地下構造推定のためには,電気比抵抗映像法,1m深地温探査法,自然電位法,微動探査法,重力探査法を適用し,後者のために,オアシス水に関する水位連続観測ならびに蒸発量解析,オアシス域およびその周辺域の地下水位調査,降水ならびにオアシス湧水と多鯰ヶ池の採水データの安定同位体比解析を導入した.なお,前者の用途においては観測地点の位置や砂丘域全体の地形を把握するためにデファレンシャル法を用いたGPS測量を行い,後者の用途ではオアシス水域およびその周辺の微地形把握のためのトータルステーションを用いた測量を実施した. その結果,鳥取砂丘の地下構造と砂丘内湧水(オアシス)の起源に関して,次に示すようなひとつの結論を得た.「雨水が砂丘砂に浸透し,地下水となる.その一部は火山灰層を主体とする帯水層に導かれ(宙水として)オアシス湧水へ注がれる.オアシス湧水は馬の背の地下を超えて海へ注がれる.オアシス湧水と多鯰ヶ池の水には同時刻的・直接的関連はみられない.また,鳥取砂丘(観光砂丘)全域の大局的な地下水分布は地下構造解析から推定された基盤形状の起伏と関連がみられる.」本研究によりこれらのことが砂丘の地下構造や水位変化,同位体変化などの定量的な観測値から検証されたことに意義があると考えられる.ここではこのような研究の基礎となる学術的背景と調査の概要,複数の調査結果とその解釈,そして,全体を統括したまとめを報告する. なお,本稿で報告されるデータは主に平成21年度?平成23年度に交付を受けた鳥取県環境学術研究振興事業「鳥取砂丘の地下構造と地下水大循環に関する研究-砂丘内湧水(オアシス)の起源を探る-」の一環として取り組まれた種々の研究により取得されたものであることを明記する.
著者
川合 厚子 阿部 ひろみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.626-632, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
19
被引用文献数
2 6

背景 これまで精神科における喫煙の問題は日本においてだけではなく世界的に“neglected problem(無視されてきた問題)”であった。精神障害者は喫煙率が高く,多喫傾向にあり,禁煙しにくいといわれている。また,精神科医療職も喫煙率が高いことが指摘されている。目的 精神障害者の喫煙状態を把握し,禁煙支援の需要があるかを知る。また,精神科医療従事者の喫煙状態を把握し,喫煙に対する意識を知ると共に喫煙問題への意識を高め,職場環境の改善へつなげる。方法 2001年12月~2002年 5 月に単科精神科病院である医療法人社団公徳会佐藤病院に通院又は入院していた統合失調症・気分障害・アルコール依存症のいずれかを持つ患者296人と同院職員222人に,それぞれ喫煙実態調査を行った。結果 対象患者における喫煙率は,統合失調症では男77.4%,女39.3%,双極性気分障害では男87.5%,女100%,うつ病では男は69.6%,女5.4%,アルコール依存症では男86.7%,女100%であった。喫煙者のうち78.1%がニコチン依存症であった。また,喫煙者の75.7%は禁煙に興味を持ち,49.0%は禁煙を希望しており,精神科においても禁煙支援の需要の高いことがわかった。職員においては,喫煙率は45.5%(男76.6%,女29.0%)と高く,とくに若い年代で喫煙率が高かった。喫煙開始年齢は18歳と20歳にピークがあった。1 日20本以下の喫煙者が80%を占め,40本以上の喫煙者はいなかった。喫煙者の91.1%は自分の吸うタバコがまわりに迷惑をかけていると認識していた。しかし職場内全面禁煙となった際,対処が難しいと答えたものは66.3%,近々やめたいという禁煙希望者は24%にすぎなかった。一方,非喫煙者のうち職場のタバコで悩まされている者は29.8%,タバコの煙を嫌だと思う者は76.0%であった。喫煙しないで欲しい場合喫煙者にそれを言える者は,相手によると答えた15.7%を含め,22.7%であった。喫煙対策を是とするものは職員全体の80.0%であった。医療従事者として,喫煙問題に対する意識が不十分であることが窺われた。結論 精神障害者の喫煙率とニコチン依存症の割合は高かったが,禁煙希望者も半数近くあり,禁煙支援の需要の高いことがわかった。精神科医療従事者は喫煙率が高く,喫煙問題に対する認識が低かった。