著者
吉田 敬 高村 明 梶野 敏貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではニュートリノがマヨラナ粒子で磁気モーメントを持つ場合における超新星ニュートリノのフレーバー変換と超新星ニュートリノの観測可能性について調べた。その結果、ある特定のニュートリノ振動パラメータの場合にはスーパーカミオカンデで観測される超新星ニュートリノスペクトルの時間進化や将来の液体Ar検出器で観測されるニュートリノイベントにニュートリノ磁気モーメントによる効果が検出されうることが得られた。また、Ic型超新星での軽元素合成やr-過程元素合成のニュートリノ振動に対する影響も調べている。
著者
奥島 実 SUGINO Dan KOUNO Yoshio NAKANO Shigeru MIYAHARA Junichi TODA Hisashi KUBO Shigemasa MATSUSHIRO Aizo
出版者
Genetics Society of Japan
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.173-187, 1991
被引用文献数
8 18

A bacterial strain, which assimilated dextran and water-insoluble glucan produced by <i>Streptococcus mutans</i>, was isolated from soil. The bacterium produced and secreted potent dextranase activity, which was identified as <i>Arthrobacter sp</i>. and named CB-8. The dextranase was purified and some enzymatic properties were characterized. The enzyme efficiently decomposed the water-insoluble glucan as well as dextran. A gene library from the bacteria was constructed with <i>Escherichia coli</i>, using plasmid pUC19, and clones producing dextranase activity were selected. Based on the result of nucleotide sequencing analysis, it was deduced that the dextranase was synthesized in CB-8 cells as a polypeptide precursor consisting of 640 amino acid residues, including 49 N-terminal amino acid residues which could be regarded as a signal peptide. In the <i>E. coli</i> transformant, the dextranase activity was detected mostly in the periplasmic space. The gene for the dextranase was introduced into <i>Streptococcus sanguis</i>, using an <i>E. coli-S</i>. <i>sanguis</i> shuttle vector that contained the promoter sequence of a gene for glucosyltransferase derived from a strain of <i>S. mutans</i>. The active dextranase was also expressed and accumulated in <i>S. sanguis</i> cells.<br>
著者
所 敬 山崎 斉 川崎 勉 奥山 文雄 大頭 仁 上川床 総一郎 百野 伊恵
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究の目的は,視標の移動方向が前後方向,水平方向の2方向に移動でき,呈示時間が設定できる動体視力装置を開発することにあった。この3要素を設定できるので3次元動体視力計と名付けた。この装置の特徴を以下に挙げる。(1)視標速度は市販の機器よりも広い範囲で可変であり,静止〜100Km/hまで前後と水平方向の両方向で7段階に設定できる。(2)視標呈示位置は前後方向70〜4m,水平方向±2.0度である。(3)短時間呈示は1/1000〜1secまて7段階に設定できる。(4)これら以外に視標サイズは4種,色は白,赤,緑,青,黄の5種,背景照度は0.1〜200cd/m^2まで8段階まで設定できる。この装置を制作し,調整を行い上記の性能を得ることを確認した。さらにこの装置を用いて測定をしたところ,前後方向の動体視力は視標速度を静止から100Km/hまで変えると低下することがわかった。背景輝度の影響は,背景輝度を0.3から200cd/m^2まで変えることで得られ,動体視力は輝度が0.3cd/m^2から100cd/m^2まで増加するが200cd/m^2では減少することもわかった。今後の課題は,高速道路の交通眼科や航空医学への応用を計るために,視標速度をさらに150Km/hまて向上させる必要がある。また,環境が動体視力に与える影響が大きいため,視標の種類,背景,背景照度などを考慮する必要がある。この装置は今後,眼精疲労や交通眼科の問題解決に役立つ機器である。
著者
平 啓介 根本 敬久 (1989) MULLIN M. EPPLEY R. SPIESS F. 中田 英昭 藤本 博巳 大和田 紘一 小池 勲夫 杉本 隆成 川口 弘一 沖山 宗雄 瀬川 爾郎 SPIES F. 清水 潮
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

大気中の二酸化炭素の増大やオゾン層の破壊などグロ-バルな地球環境の変動の可能性が広く注目を集めるようになり、大気中に放出された二酸化炭素の50%を吸収することに示される海洋の役割とその変動を解明するために、東京大学海洋研究所は太平洋の対岸に位置する米国スクリップス海洋研究所と平成1ー3年度にわたって共同研究を行った。これに先だって1968年5月に東京大学(海洋研究所)とリフォルニア大学サンディゴ分校(スクリップス海洋研究所)は学術研究協力協定を締結して、太平洋における地球圏変動(グロ-バルチェンジ)にともなう海洋の生産力、生物資源および海底の動態に関する協力研究に着手することに合意していた。平成1年、本研究の発足に当たって、根本敬久(当時、研究代表者)と小池勲夫がスクリップス海洋研究所を訪問して、全体の研究計画ならびに海洋上層における炭素・窒素の生物的循環を対象として研究する方法について討議した。同年11月に新造された白鳳丸がスクリップス海洋研究所に寄港して、海洋物理学、海洋化学、海底物理学、海洋生物学そして水産学の全分野について研究計画の打ち合わせを行った。また、スクリップス海洋研究所のヘイワ-ド博士を東京大学海洋研究所に招き、杉本隆成が渡米して地球規模の生物環境問題、特にイワシ類の資源変動の機構解明の方策が話し合われた。瀬川爾朗がスピ-ス教授を訪問して、東太平洋海膨の海底活動荷ついて電磁気学的特性について討論し、それぞれの海域で観測研究を実施することを打ち合わせた。平成2、3年度は上記の方針に沿って、カタクチイワシ、マイワシ類の稚仔魚の変動については、平成2年、3年の冬季に薩南海域で実施したマイワシの資源調査の結果ならびに既存資料とスクリップス海洋研究所がカルフォルニア沖で40年以上継続している調査結果と比べて大規模な地球的変動であるエルニ-ニョに対する応答を明かにした。物理的(温度、塩分、雲量、光量、海流)、化学的(栄養塩量、溶存酸素)パラメ-タ-によって資源変動を予測するための海洋環境変動モデルをそれぞれの海域について構築することができた。これらの資源環境学的研究は英文モノグラフとして刊行することになった。海洋における栄養塩の量的変動と微生物食物連鎖の研究も実施された。海洋物理学では、CTD観測に基づく海洋構造の観測と中立フロ-トの追跡によって太平洋の深層循環の研究を実施した。スクリップス海洋研究所は1987年2北緯24度と47度の太平洋横断観測を実施し、東太平洋の南北測線の観測を1990ー91年に実施した。後者についてはスクリップス海洋研究所のデ-ビス教授が南極環海と熱帯海域においてアリスフロ-トの追跡実験を、東京大学海洋研究所では平啓介が中心になって四国海盆ならびに黒潮続流域でソ-ファ-フロ-ト追跡実験を実施しており、デ-タ交換を深層流の統計学的特性を明らかにした。海底磁力計と電位差計による海底観測は東京大学海洋研究所では瀬川爾朗が中心に、スクリップス海洋研究所ではスピ-ス教授のグル-プが実施しており、相互のデ-タ交換を行い、海底ステ-ションによる長期観測法を確立した。海洋の炭素循環について、国際共同研究の一環として白鳳丸による北西太平洋における観測を平成3年5月に実施した。また、太平洋熱帯域ではスクリップス海洋研究所が8月に観測を実施した。これらのデ-タ解析により、溶存炭素の循環に関する研究をとりまとめた。
著者
上田 佳宏
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

ROSAT、「あすか」、HEAO1、チャンドラ、XMM-Newtonで得られた軟X線選択および硬X線選択サンプルに対して、昨年度に開発した解析手法を用い、同時解析を行なった。その結果、1型と2型を含む全活動銀河核の光度関数を、赤方偏移5までの範囲で過去最高の精度で制限することに成功した。この結果はプラハで行なわれた国際天文連合総会にて口頭発表した。また、すばるXMMディープサーベイのX線カタログと電波カタログを比較し、遠方宇宙での非常に強い吸収をうけた活動銀河核の存在量について制限をつけた。この結果は、マンスリーノーティスオブロイヤルアストロノミカルソサイエティ誌に論文として発表した。また、「あすか」で発見された2型AGNの母銀河の研究を行なった。活動銀河核の母銀河の研究は従来、ほとんど1型活動銀河核を用いて行われてきた。しかし、1型では中心核が極めて明るいため母銀河の研究は困難を極めていた。2型のサンプルを用いればこの問題は回避でき、母銀河の構造を詳細に探ることが可能となる。この解析の結果、赤方偏移が1以下の範囲では母銀河のスフェロイド光度とその中心に存在するブラックホール質量の関係(マゴリアン関係)が、現在の宇宙にみられるそれと同じであることを見出した。つまり、赤方偏移1以下の最近の宇宙ではブラックホールと銀河は共進化してきたと考えて矛盾しない。この結果はアストロフィジカル・ジャーナル誌に論文として発表した。
著者
内田 誠一 迫江 博昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1251-1258, 1998-06-25
被引用文献数
35

2画像間の最大一致を実現する画素間のマッピングとして定義される2次元ワープは, パターンに生じる変形に適応可能なテンプレートマッチング法とみなすことができる.本論文では新しい2次元ワープ法の枠組みを提案し, 基礎的な考察を行う.本手法の第一の特徴は, 2次元的な自由度をもちながら, パターンの位相を保存するワープを構成できることである.この性質はワープに対する単調性および連続性制約により実現される.第2の特徴は, 画像全体での最適性が保証されるように構成された動的計画法(DP)を, 最大一致の探索法として用いる点である.DPの利用により, 評価関数に対する微分可能性の制約がないなどの特長も生じる.実験により, 提案した手法の基本的特性を確認した.
著者
武藤 俊介 吉田 朋子 巽 一厳
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ハードウェア開発としてTEM用波長分散型X線分光器の開発を行い, 軟X線領域の状態分析を可能とした。またデータ測定・解析ソフトウェア開発としてスペクトル回復ソフトウェア, オンラインEELSペクトルのドリフト補正スクリプト及び多変量解析に基づくスペクトル分解・成分空間分布可視化プログラムを開発した。これらを基にした応用研究として, 電子チャネリングを利用したサイト選択的電子状態測定, リチウムイオン二次電池正極材料のドーパント効果及び画像劣化診断, 窒素注入による可視光応答化チタニア光触媒の窒素の状態分析, 水素吸蔵材料の状態分析及び9)その他のナノ構造分析を行った。
著者
綿谷 安男 幸崎 秀樹 榎本 雅俊
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

Gelfand-Ponomarevは有限次元空間の4個の部分空間の直既約な配置について、完全分類を行った。全体空間が無限次元のヒルベルト空間の場合は榎本氏と代表者の共同研究で4つの部分空間の既約な配置の非自明な具体例を無限個構成することができた。今回の研究では、さらに、有向グラフ(quiver)に沿ったヒルベルト空間の部分空闇の配置の研究を試みた。有向グラフ(quiver)の頂点と辺をヒルベルト空間とその間の作用素として表すヒルベルト表現を研究する。特に包含写像を考えれば、部分空間を有向グラフに沿って配置する問題を含んでいる。有限次元空間では、直既約な表現が有限個しかないのはディンキン図形のAn,Dn,E6,E7,E8に限るというGabrierの定理がある。この定理を関数解析の手法で無限次元化するのが、大きな目的である。鏡映関手とその双対性を無限次元のヒルベルト空間の枠組みで構成したい。無限次元の直既約なヒルベルト表現の非存在を仮定して,quiverがディンキン図形のAn,Dn,E6,E7,E8に限られることは、去年度に示すことができた。しかしその逆である、quiverがディンキン図形のAn,Dn,E6,E7,E8であれば、無限次元の直既約なヒルベルト表現が存在しないということは、ようやくAnの時に示せたのが本年の成果である。さらにBrennerによる3つの部分空間の配置の標準分解を無限次元で特別なときに示せた。拡大ディンキン図形の無限次元の直既約なヒルベルト表現にたいしては、不足数という数値的不変量をFredholm作用素の指数を使ってE6,E7の時に導入することができた。
著者
中村 了昭 木下 秀道
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
鹿児島経済大学社会学部論集 (ISSN:09140700)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.87-104, 1985-02-15
著者
松田 豊治
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981-12-15

昭和52年8月7日から始まった度重なる有珠山の噴火は, 山地の荒廃や地盤変動をもたらした。特に, 二次的災害である泥流発生は有珠山周辺の町や村など各所に多大の被害を与え, 死者を出すに至った。本報では, まず有珠山の火山活動を概説し, 次に今回の噴火による泥流発生状況の記録を詳述している。軽石や火山灰などの噴出物の堆積状況は, 地域によってその粒度, 厚さ, 累積状況, 表層の固化状態などに著しく影響することを明らかにしている。また, 地形変動と地震の関連を述べ, 3つの重要な砂防渓流の状態を概述している。防災対策の立案に当たって, 降灰堆積層が侵食・拡大し泥流化するのを防止するための調節ダムと砂防ダムの新設, 下流部の流水をすみやかに湖水へ流下させる流路工が重点的に検討された。最後に, 採用された具体的工法である鋼製スリットダムおよび鋼製自在わくを説明し, 安定性, 構造機能, 施工性, 経済性などの特長を述べている。
著者
田中 克俊 田中 美加
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労働者を対象とした集団睡眠衛生教育及び行動療法を用いた個人睡眠保健指導の効果を調べることを目的としてランダム化比較研究及び準ランダム化比較研究を行った。その結果、睡眠衛生教育及び個人睡眠保健指導は、労働者の睡眠や日中の眠気、精神健康度の改善に有意な効果があることが示された。
著者
門谷 裕一
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

分枝形態形成は、外分泌腺の基本的な組織形成様式である。細胞膜非透過性の蛍光色素存在下で器官培養した胎生期マウス顎下腺をタイムラプス共焦点顕微鏡で観察したところ、上皮集塊内の細胞がダイナミックに移動、変形することが判明した。分枝形態形成は上皮集塊基底部のクレフト形成に始まる。このクレフトは上皮集塊の内部に向かって尖端をくねらすように侵入したが、これにはクレフト基部の微細線維束を芯とする細胞質突起が関わることが示唆された。
著者
並河 裕 Namikawa Yutaka
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p399-409, 1993-11

The purpose of this study was determined the factors influencing sports activity. Analysis of data was made by Hayashi's Quantification Theory (2) which categories both a man and an item, and both quantative and qualitative elements simultaneously.Thirty-eight items which consisted of such elements as demographic elements, relating to sports activity, sport consciousness and sport conditions were employed as explanatory variables.Subjects were 419 adult people of both sexes (male 216 : female 203).Main results may be summarized as follows :1. Discriminant analysis among sport activities was conducted according to the explanatory variables created in the present research. The result showed that correlation ratios differed with frequencies of sport activities.2. The examination on the contribution strenght of individual elements was conducted by partial correlations. The results showed that main elements affecting sport activities were occupation, feeling to be underexercised, a exercising companions, and educational background.本研究は、スポーツ活動に影響を及ぼす要因について、スポーツ実施群と非実施群の比較を数量化理論第2類による判別分析を採用して研究を進めてきた。結果を要約すると以下のようになる。1.各要因のスポーツ実施・非実施に対する影響の度合いをレンジの大きさからみた規定力順位は、職業が1位、次いで運動不足感が2位、運動仲間がいるが3位、そして学歴(4位)、運動活動観(5位)であった。職業はその人の所得や生活行動を規定し、従ってスポーツ活動についても大きな影響を及ぼす要因と考えられる。本稿でも職業は規定力順位では1位であり、スポーツ実施・非実施に最も影響を与えることが認められた、さらに、運動仲間がいると、個人の運動不足感、学歴及び運動活動感等がスポーツ実施に影響を与えていることが確認された。2.カテゴリーの寄与と方向からスポーツ実施・非実施に対する影響を分析した結果。スポーツ実施…職業「無職」・「主婦」、運動不足感「感じていない」、運動仲間「まあまあ大切」、活動の趣旨「競技中心」、公共施設使用料が安い「あまり大切でない」などがスポーツ実施に影響を与えている。このことは、スポーツ活動に対して余暇時間が強く影響を与えていることを示しており、また公共施設の低料金化がスポーツ活動の促進にあまり影響を与えていないことについては、これからの公共スポーツ施設の在り方や有効活用を考えるうえで検討される課題である。スポーツ非実施…運動活動感「誘われた時だけ」、学歴「大学院卒」、施設充実度「全く思わない」、職業「公務員」・「農・漁業」、運動不足感「いつも感じている」などがスポーツ非実施の方向に影響を与えていることが確認された。なお、施設に関する要因がスポーツ実施にたいして比較的低い規定力を示したことは今後さらに検討を要する課題である。今後の課題としては、地域スポーツ経営の研究を進めるにあたって、地域スポーツの振興に必要な条件とされるスポーツ施設やスポーツ活動者の欲求に応える運動プログラムに関する研究が必要とされると考える、さらに、近年の社会動向として個人の価値観の変容それに伴うライフスタイルの変化が進み、このことはスポーツの分野においても例外でなく、これからのスポーツ振興を発展させて行くためにはスポーツの価値観や個人のライフスタイルの研究の必要性を強く感じ、これらの研究を進めることで今後の地域におけるスポーツ経営に貢献して行きたい。
著者
望月 隆 田邉 洋 若狭 麻子 河崎 昌子 安澤 数史 石崎 宏
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.57-61, 2006-04-30
被引用文献数
3 7

<i>Trichophyton</i> (<i>T</i>.) <i>tonsurans</i> 感染症の集団発生例への対処法として近年ブラシ検査を用いた診断・治療のガイドラインが作成され, 本症に対する対応が効果的に行われるようになってきた. このブラシ検査に影響があると考えられる要素のいくつかについて, 高等学校柔道部員を対象に検討した. その結果, ブラシ検査は十分な指導のもとに行うこと, 練習後は付着による偽陽性者が出るので練習前に行うこと, ブラシ検査は抗真菌剤の外用直後は陰性化していることが明らかになった. また, 練習前の抗真菌剤外用による菌の付着の防止効果は約3時間の練習に対しては不十分であることも判明した.<br>分子疫学的検討では, 当科に保存してあった全国各地からの臨床分離株198株についてNTS領域のPCR-RFLP分析を行った. その結果, 格闘技由来株に2つの分子型が認められ, 流行が2つの分子型の菌に起因することが明らかになった.