著者
中居 功
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2文字X、Yとそれらの逆元となる文字からなる語全体は語の結合を積とすることで代数学における群の構造を持つ。この群の元はXY平面の整数格子点で折れまがる折れ線を定める。平面曲線はこのような折れ線の、一般化した対象、つまり一般化されたX、Yの語と捉えられる。この観点から平面曲線全体の群としての構造を研究し、曲線のX、Yの語としての展開、また曲線の形式的対数を、自由リー環の元として考察し、部分的結果をえた。
著者
桜庭 中
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地球の液体金属コアの対流と,そこで生じる地磁気生成過程の数値シミュレーションを,高解像度の数値モデルをもちいておこない,いくつかの特徴的な地磁気変動を再現した。コアのねじれ振動については,自転軸に対して内向きと外向きに伝搬する進行波がみられ,コア乱流による励起が示唆された。地磁気西方移動は,高波数でかつ低緯度でのシグナルにおいて顕著であり,分散性の存在が示唆された。そこで粘性ゼロの回転流体球内に軸対称の磁場が存在したときの磁気不安定問題を線形解析し,遅い電磁流体波動の東西方向の伝搬特性を調べ,磁気西方移動との関連を議論した。
著者
村瀬 洋 井手 一郎 出口 大輔 目加田 慶人 高橋 友和
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

車載カメラ画像や監視カメラ画像などの多様な変動をもつ環境の中での実画像を認識するための手法を開発した。具体的には、過去に蓄積された膨大な時空間情報から対象の見かけの変動パタンを生成するモデルを構築し生成したパタンを学習サンプルとして利用する生成型学習法による認識手法や、入力画像の複数のフレームを利用して低品質な画像を超解像などの処理により高品質化したのちに識別する認識手法などを開発し、実験により有効性を示した。
著者
土居 安子 遠藤 純 小松 聡子 酒井 晶代 三宅 興子 浅岡 靖央 伊藤 元雄
出版者
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、明治期の代表的な出版社である博文館の編集者・作家であった故・南部新一(1894~1986)の書簡を調査・研究することである。その成果として、まず、南部書簡を整理、撮影、データ化し、書簡の概要データをホームページで公開することによって、近代文学、児童文学、出版史等の基礎資料の整備ができた。そして、書簡の中から巖谷小波、木村小舟、池田文痴菴、博文館館員等の書簡について研究することで、博文館の児童雑誌の編集、明治・大正・昭和期の児童文学・児童文化の一端を明らかにすることができた。これらの成果は日本児童文学学会、及び当財団紀要で報告し、従来の児童文学研究の枠を広げ、深めることができた。
著者
田中 正之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、研究例のほとんどないマンドリルの認知能力について,比較認知科学の観点から解明しようとしたものである。京都市動物園で飼育中のマンドリルを対象として,タッチモニターを用いたアラビア数系列の学習課題を課した。実験はマンドリルの屋外放飼場において公開で行い,他個体と隔離することなく,自発的に参加してきた個体を対象にした。実験参加個体は,最終的に大人オス2,子ども3となった。本研究課題は,3つの研究により構成される。1)タッチパネルへの反応の文化的伝播過程に関する研究,2)アラビア数系列課題の習得と作業記憶に関する研究,3)マンドリルと近縁種についての視覚的選好性に関する研究である。
著者
村上 龍
出版者
山口大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

フランスの美学者ヴィクトール・バッシュ(一八六三‐一九四四年)を一つの軸として、一九世紀末から二〇世紀前半にかけてのフランス美学を、近代ドイツ哲学との関係という視角から検証した。またそれに付随して、世紀転換期のヨーロッパで盛り上がりをみせた心霊研究などについて併せて調査することにより、当該時期のフランスの思想的環境をいっそう広い視野から検討した。
著者
服部 浩一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究で、研究代表者らは、凝固・血液線維素溶解系(線溶系)因子に代表されるセリンプロテアーゼや、膜型あるいは可溶型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)等の各種プロテアーゼの活性化を起点として、骨髄由来の造血系細胞群の腫瘍組織への動員が誘導され、そして白血病・リンパ腫をはじめとするがん組織微小環境―「悪性ニッチ」の構成・形成を通じて、腫瘍性疾患の病態を制御していることを示唆した。また本研究を通じて、研究代表者らは、線溶系阻害剤によるMMP活性と腫瘍増殖の抑制に成功し、白血病・リンパ腫を含めたがん・腫瘍性疾患に対する、線溶系因子を標的とした、新しい分子療法の可能性と有用性を提示した。
著者
北本 正章
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「子ども学の構成と展開に関する比較教育社会史的研究」というテーマのもとに進めた本研究は、欧米各国で精力的に進められてきている子ども観の社会史研究の世界的な研究動向を構造的かつ領域区分ごとに詳細に検討することによって、わが国における新しい「子ども学」(Childhood Studies)がその学術的基盤の構築を目指す上で必要な構成カテゴリーと課題の所在を明らかにすることを目的とした。本研究では、「子ども学」の構成カテゴリーを「子ども観の歴史人類学」、「子ども社会学」、「子ども文化の学際的研究」の3つの領域の研究成果から再構成するとともに、少子高齢化社会における子ども理解の構造を「子ども学の構成と展開」という文脈で解明するために比較教育社会史的アプローチを試みた。
著者
HARTING AXEL 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、日本における非ドイツ語母語話者の教師がいかなる目的のもとに、日本語とドイツ語を使い分けているのかを明らかにすることである。そのために、言語選択を決定づける要因を探るとともに,教授目的ごとに受講者が母語(L1)と学習言語(L2)のどちらを使用するのかを見極めるために,ドイツ人と日本人両方のドイツ語教師を対象にして,調査を行った。その結果,受講者のL1使用を誘発する要因として,複雑な教育内容,規模の大きな授業,そして受講者のやる気の低さないしはL2能力の低さが示唆された。
著者
西川 智太郎 PARK Y-J PARK Young-Jun
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

アマランサスにおけるデンプン合成酵素遺伝子群の解明及びアマランサスの利用の高度化を目的として、以下の研究を実施した。1.アマランサスにおける低アミロース性の合成メカニズム解明:GBSSII遺伝子を確認することはできなかった.現在,デンプン呈色反応で低アミロース性を示す原因として,アミロペクチンの超長鎖の確認を進めている.A. cruentus(PI 433228)のSSSII,SBE遺伝子を同定した.SSSII,SBEは種子発達過程を通じて,貯蔵器官および非貯蔵器官において継続的に発現していた.世界各地に由来する68系統の子実用アマランサスのSSSIを同定し,GBSSIの多様性情報と合わせてそれぞれの種に固有な制限酵素認識配列を検索し,栽培3種の同定が可能なマーカーを作成した.2.低アミロース性品種の作出:M3栽培および調査を行い,これまでに早生性を示す3系統を確認した.今後,残りの系統の形質調査を継続して行うと共に,早生変異系統については早生形質の安定性について確認する.3.加工適性および食味試験評価:性質の異なるアマランサス(モチ性,ウルチ性,低アミロース性)の,生粉およびポップ粉の物性の違いを明らかにした.その結果,モチ性の生粉は小麦粉に非常に類似した特性を示し,小麦粉代替素材として利用できる可能性があること,モチ性ポップ粉は,水を加えてこねると小麦粉のパン生地のような状態になるため,パン加工やクッキーの生地等への応用できる可能性があること等を明らかにした。食味試験評価を,モチ性,低アミロース性およびウルチ性の3系統で,白米との混炊による食味評価試験を行った結果,低アミロース性の評価が高かった.今後嗜好性の高い品種を普及させることにより,消費者の利用拡大に繋がる可能性がある.
著者
ウォン 裕子 佐々木 倫子 堀口 純子
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、ヴァーチャル映画討論会の参加者の多文化・多言語意識を「言語の社会化」の観点から分析・考察することである。下記の4点が主な結果である。1)活動の理論的枠組みと協働的学習活動設計の有効性が検証された。2)これまでのCMC活動の問題点を5つの新たな方法により改善した。3)「言語の社会化」の視座からCMCの実際使用実態を明らかにした。4)参加者の多文化・多言語意識に変容が見られた。
著者
田中 聡
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マウス始原生殖細胞の形成に関わるニッチェを構成する環境要因としては、BMPシグナル及びWntシグナルが考えられているが、その作用機序の詳細に関しては不明な点が多く残されている。生殖細胞の形成不全を示すDullard欠損マウス胚の解析から、BMPシグナルでなく、Wntシグナルに依存して生殖細胞の形成不全が生じることが明らかとなった。DullardによるWntシグナル活性の適正量の調節には、Dishevelled 2を介したcanonical Wntシグナルの制御機構の存在が考えられた。以上より、Wntシグナル活性の適正量の調節が、マウス生殖細胞形成に重要であることが明らかとなった。
著者
柳村 俊介 紺屋 直樹 吉野 宣彦 泉谷 眞実 東山 寛 相原 晴伴 吉野 宣彦 相原 晴伴 泉谷 眞実 小山 良太
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農業経営の収益性低下と高齢化による農業投資環境の悪化、急激な経営規模拡大、一般企業の農業参入といった傾向がみられるなかで、本研究では、新たな投資主体の形成という視点から地域農業の担い手のあり方を検討した。家族経営に代わる集落営農、農業法人経営等の経営体による農業投資が期待されるとともに、現状では萌芽的な動きにとどまるものの、経営体と分離した投資主体の形成を展望すべきことを明らかにした。
著者
中野 等
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

上記研究課題のもと、(1)朝鮮における諸大名の動向、(2)より詳細な慶長の役の実証研究、(3)兵站諸物資輸送の実態解明、(4)水軍の動向に関する実証分析、などを研究の柱と想定して研究を開始した。具体的には東京大学史料編纂所、国立公文書館内閣文庫、慶應義塾図書館、京都大学研究博物館、愛知県史編纂室、山口県文書館、広島県立文書館、香川県立歴史博物館などの諸機関で史料調査を実施。つぎのような成果を得るに至った。(1)については史料収集、分析に多くの時間を費やすこととなり、その成果は本報告書にも「史料」として掲載することができた。(2)については、今後の課題として、次に説明する。本報告書の「研究」を参照されれば、明らかな様に(3)は最も成果のあがった部分である。また、ここでの検討を通じて、前線で戦闘をおこうな将兵のみでなくではなく、後衛の将兵や奉行衆が果たした役割についても、多くの知見を得ることができた。戦後の関連書研究はもとより池内氏の研究と比しても、本研究の特徴と見なすことができよう。(4)についての直接的な成果は学会での口頭発表のみにとどまるが、(3)との関連で史料分析はなかりの程度進展をみせた。しかしながら、研究の方法が細かな年紀比定をともなう史実の確定を基礎とするため、朝鮮出兵(木陸侵攻)の準備段階から、時間軸に従って作業を進めて行かざるを得ず、結果的に論文というかたちで成果を残せたのは文禄の大役の後半期までであり、慶長の役期については、若干の関連史料を収集するにとどまった。今後何らかのかたちで研究を継続し、課題分析を深化させたい。
著者
佐々木 節 DOUKAS JASONANDREW DOUKAS Jason
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度までに高次元時空の回転パラメーターが一つの回転ブラックホールに関する性質がほぼ解明できた。そこで、今年度は複数の回転パラメーターを持つ高次元時空の回転ブラックホールの分析を集中的に行った。この解析は、現在稼働し始めているLHCなどの高エネルギー加速器実験での高次元時空理論に基づくブラックホール生成理論の検証にとって、極めて重要な意味を持つ。まず、5次元時空におけるde Sitter(またはanti-deSitter)空間中の回転ブラックホール上のスカラー場の波動方程式の一般表式を導いた。そして、それを変数分離し、その角度成分が角運動量は2つの自由度があるにも関わらず、1つの回転楕円波動方程式で表されることを示した。そして、回転パラメーターに関して摂動の6次までを解き、連分数法による数値解と比較し、摂動計算の精度を検証した。次に、漸近的逐次法によるブラックホールの準固有振動を求める方法の有効性について、とれまでの成果をまとめ、より統一した論議を展開した。特に、この方法が回転ブラックホールや電荷をもつブラックホールのどちらにも統一的に適用できることを示し、具体的にスピンが0, 1/2, 2を持つそれぞれの波動に対する回転ブラックホールの準固有振動をこの方法で求め、それらが以前に別の方法で求められた4次元回転ブラックホールの答えと一致することを確かめた。これにより、この方法の妥当性とその高次元回転ブラックホールに対する有用性を確認できたことは重要な成果である。以上の2つの成果は現在、それぞれ査読付き学術誌に投稿中である。
著者
吉田 和男 井堀 利宏 石黒 馨 竹内 俊隆 鈴木 基史 依田 高典 江頭 進 橋本 敬 瀬島 誠 藤本 茂 遊喜 一洋 秋山 英三 八横 博史 山本 和也 中川 真太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

テロや紛争、環境破壊、通商摩擦、金融危機といった今日の世界の秩序を脅かす諸問題は、相互に複雑に関連しあっているため、その解決には従来の個別対応的な方法では不十分である。本研究は、これら諸問題を総合的に分析し処方箋を提示するため、グローバル公共財(GPG)概念に依拠したシミュレータ(GPGSiM)を構築し、世界規模での秩序形成に必要なメカニズムを理論的・実験的に解明して、政策提言に役立てることを目指した。
著者
我部 政明
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、米軍プレゼンスを有効に利用して東アジアにおける多国間安全保障枠組の創出へ向けた現状を把握し、個々の安全保障協力の諸条件を検討し、その上で地域別・機能別協力レジームそしてレジーム相互の組みの合わせにより、実現可能な重層的なレベルでの安全保障協力枠組の創出を可能にすることであった。ここでは、米軍プレゼンスのハブとして位置づけられている沖縄における米軍再編が、地域安全保障の枠組みへどのように影響を与えているのかを明らかにした。米軍再編の東アジアにおける展開を、歴史的に、プレゼンスの構造および機能別に、今後の展望について言及した。以下が、研究の結果、明らかに出来たことである。収集した資料は、これまで研究者の間で存在についてすら言及されたことのないものであった。これらの文書を分析した結果、沖縄における米軍プレゼンスの変容が明らかとなった。前方展開能力においては、これまで有事の際の戦略輸送と相互補完による代替性が重視されてきた。しかし、1996年12月に公表され沖縄における米軍基地の再編計画(いわゆるSACO合意)のなかでの普天間米海兵隊飛行場の沖縄本島北部への移設計画は、有事の際の戦略輸送と代替性を放棄していたのである。このことは、米軍プレゼンスの変容が起きていることを示している。研究実施計画に照らすと、米軍プレゼンスのハブとなる沖縄基地を重視したため、他の米軍基地の現況を十分に取り上げられなかったのは反省点である。その理由として、分析対象へのアクセスが少なくなったのは米軍プレゼンスに関わる公開情報の乏しさにあったと考えられる。
著者
平 雅行
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1.顕密体制論が定説化した現在にあっても、中世国家が宗派・寺院をどのように編成・配置したかは、なお不明な点が多い。そこで本研究では、北京三会・三講など中世前期の国家的法会の実施・運営過程の分析を行うことによって、この課題にアプローチしようとした。史料の収集については、法会の実施時期の史料はかなり収集できたが、法会の準備段階については、日記史料の検索がなお不十分である。たいへん手間のかかる作業であるが、諸々の俗権力との交渉を分析するには、この方面の作業をさらに進展させる必要がある。2.三講の出仕僧は証義・講師とも興福寺僧が最も多く、中世興福寺の地位からして、やや意外である。これは延暦寺・東大寺・園城寺とは異なり、興福寺だけが顕教僧のみで構成されていた特殊性に起因していよう。3.中世僧綱所・法務を中世仏教行政の総攬者と見るか否かで、私を含め論争が行われてきたが、その機能の形骸化を改めて確認した。特に綱所が東寺の他、仁和寺・延暦寺・南都に設置されている事実は、寺社勢力の分裂の結果、統合機能を果たすべき綱所が空中分解したことを物語っていよう。4.寺社勢力の統合は法務・綱所ではなく、俗権力たる院が達成していた。そのことは僧事(僧侶の人事)の決定場所が天皇御前から院御前に変化したことからもわかる。実際、三会の人選にも院が介入した事例がある。また承久の乱の後、鎌倉幕府が仏教行政や人事にしばしば介入している。ただ現在のところ、三会三講などへの幕府の直接介入は確認できなかった。5.以上の研究成果の内、一部は拙著『日本中世の社会と仏教』の新稿論文「中世宗教史研究の課題」に発表し、また一部は同書旧稿論文への加筆という形で発表した。
著者
孫 基榮 (2009) 李 鍾元 (2008) SON Key-young
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究の結果として今Review of International Studiesという英字雑誌に一つの論文(Enemies Within? : Alliances, 'Internal Threats' and Comprehensive Security in East Asia)の掲載が決まって修正作業中です。この論文は人間安保次元で同盟にともなう問題を扱っています。同盟の結果から生じる色々な軍隊に駐屯と基地を囲んだ問題が同盟にいかなる影響を及ぼすかを把握するのに目標を置いています。今までの研究が同盟は外部的威嚇に備えるために形成されると見ているが本論文は内部的威嚇という概念を導入してこのような新しい威嚇が全般的な同盟関係にどんな影響を及ぼすかを調査しました。その結果、冷静以後の同盟関係は外部的そして内部的威嚇の相関関係で同盟の水準が決定されるという結果を導き出しました。もう一つの論文(Humanitarian Power : An Identity in the Making in post-Cold War Japan and South Korea)を完成してJournal of Asian Studiesという英字雑誌に送りました。この論文は冷戦後日本と韓国の海外派兵の形態に対して研究しています。その結果日本と韓国は同盟の義務や国際的災難にともなう人道的支援のために非戦闘兵の派兵を推進してきました。このような一貫した行動は今後日本と韓国が人道的国家というアイデンティティを確立するという結果を導き出しました。本研究の関連研究でJapan Forumという英字雑誌に一つの論文(Constructing Fear : How the Japanese State Mediates Risks from North Korea)の掲載が決まって今印刷中です。この論文は日本国家が北朝鮮の色々な威嚇に対してどんな危機管理形態を見せるのかを研究しました。その結果日本政府は北朝鮮のミサイル発射、拉致、そして不審船の問題を処理しながら市民社会と特にマスコミの影響を受けて日本を普通国家で作る側に政策の方向を定めたという結果を導き出しました。この過程で威嚇を恐怖で作る現代社会の色々な行為者などに研究の焦点を合わせました。
著者
石井 俊一
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

微生物燃料電池プロセスの高効率化に関する研究として、空気正極微生物燃料電池を用いて、下水処理場の実排水サンプルを用いた電気産生試験を行った。一年以上の長期運転の結果、約1~2週間の回分サイクルで、廃水中の有機物がほぼ完全に分解される事が分かった。処理水の水質評価を行ったところ、BODは2-6ppmまで分解され(分解率98%)、電子回収率は25%ほどであった。集積された電気産生微生物群衆の電気産生活性を解析したところ、負極の開回路電位は-250mV vs SHE、限界電流密度は、約800mA/m^2、電力密度は13mW/m^2となった。電気産生微生物の群集構造を16S rRNAによるクローン解析で解析した所、デルタプロテオバクテリアとバクテロイデテスが優占化していく事が分かった。これより、嫌気呼吸により生育するデルタプロテオバクテリアは、電極還元反応において重要な役割を果たしている事が示唆された。また、バクテロイデテスは、下水が有するさまざまな有機化合物を分解していると考えられる。これらの微生物は、電極還元反応に依存した生活を送っていると考えられる。廃水処理効率を向上するために、電気産生と処理時間の関連性を解析した。750Ωの外部抵抗による電流産生は約0.3mAであるが、回路をつなげない場合は、電流産生が起こらない。無電流条件での処理時間は、20日程度であり、電流産生により処理時間の短縮が見られた。また、ポテンシオスタットを用いて電極電位設定培養(+100mV vs SHE)を行うと、電流産生量が約4mAまで上昇した。その結果、処理時間は4日まで短縮され、電子回収率は60%まで上昇した。微生物燃料電池の内部抵抗は、装置の改良により、小さくする事が可能である事が知られている。よって、より高速な電極還元菌の集積を行い、装置の内部抵抗を小さくする事で、処理時間の短縮が可能になると考えられる。