著者
杉山 慶太 阿久津 雅子
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.150-154, 2009 (Released:2011-03-05)

スイカの花粉の保存には温度が最も影響しており、冷凍条件が重要であった。また、酸素は花粉の保存に対して阻害要因であり、窒素や二酸化炭素は花粉の活性を維持する効果が認められた。スイカの軟X線照射花粉(部分不活化花粉)を真空専用袋に入れて脱気後窒素を封入し、-25℃で冷凍することにより1年以上の保存が可能である。この花粉の授粉により対照花粉と同程度の種なしスイカが生産できる。
著者
土屋 欣之 野口 忠秀 篠崎 泰久 伊藤 弘人 神部 芳則 草間 幹夫
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.67-71, 2012
被引用文献数
3

A case of orbital abscess with gas gangrene due to odontogenic infection is reported. Although orbital abscesses are rare, they may result in fatal complications. A 68-year-old woman presented with pain and swelling of the left cheek and lower eyelid. She was unable to open her left eye. Oral examination revealed alveolar gingival swelling due to a periapical lesion of the left upper anterior tooth. Computed tomographic scans confirmed abscess formation in the left orbit and the presence of a gas bubble. The ocular tension was 50 mmHg. On admission to our hospital, the patient started to receive antibiotics (PAPM/BP and CLDM), the left lower eyelid was incised, and the abscess was successfully drained. <i>Alpha-streptococcus</i>, <i>coagulase-negative staphylococcus</i>, and <i>Prevotella melaniogenica</i> were detected in the suppuration. The patient was given a diagnosis of orbital abscess with gas gangrene due to odontogenic infection extending by way of the orbit.
著者
熊野 聰
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.443-458,3, 1966-12-25

Studying the history of trade in the early middle age, we encounter a difficulty, arising from the lack of written sources. We must, therefore, make use of archaeological, philological, numismatic data. Numismatical materials are particularly attractive for the students of the history of trade. But one coin-find never indicates anything positive, for there are accidental elements in it. So we have to grasp the whole of finds, which should make clear the tendency of distribution of currency. We have data as follows. (1) In the North Europe, the main coin-finds consist in Frankish denarii during 800-850, Arabian dirhems during 850-950, and Western coins again from the end of 10th century. (2) In Frankland, the hoards (treasures, Schatz-funde) belonging to the period until 850 are numerous and each of them consists of coins of various origins in time and space. But after that time, the number of hoards decrease and each hoard consists of coins of limited origins in time and space. (3) The coins minted during 950-1075, in the South and West of the Elbe and the Saale are excavated in the North and the East of the Elbe and the Saale much more than in the South and the West. How have we to explain these data?
著者
山田 利治 河原 康 佐野 大輔 渡邉 裕之 小澤 総喜 神谷 祐司
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.248-252, 2008-04-20
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

We report a rare case of brain abscess secondary to mandibular odontogenic infection. A 50-year-oldman developed an abscess of the infratemporal fossa, masticatory myositis, and temporal myositis caused bylower first molar marginal periodontitis. Incision and drainage were performed by an intraoral approach, andantibiotics were administered intravenously. On the 8th disease day, vomiting occurred, but responded to anantiemetic drug. On the 9th disease day, extraction of lower first molar and adrasion was performed, resulting inthe alleviation of local symptoms. However, a persistent headache occurred, CT and MRI scans revealed a brainabscess and subdural abscess in the temporal lobe, immediately above the skull internal base. The patient wasgiven a diagnosis of brain abscess caused by odontogenic infection. The abscess almost disappeared after conservativetherapy administered at the department of brain surgery, and no sequelae were noted. The abscess apparentlyexpanded directly and continuously from the skull base through the foramen ovale and foramen spinosum.This case emphasizes the need to diagnose brain abscess and subdural abscess as complications of odontogenicinfection.
著者
亀田 幸成
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

分子超励起状態、特に多電子励起状態は、Born-Oppenheimer近似と一電子平均場近似の2つが同時に成り立ちにくくなるという点で、非常に興味深いが、これまで実験によりこの電子状態からの反応を調べた例はほとんどない。本研究課題の可視・紫外蛍光放出断面積測定は、イオン化反応によって埋もれて見えなりやすい超励起状態経由の反応を捉える上で有利な方法である。本年度は、メタン分子について、これまでの測定法をさらに改良することにより、解離断片からの蛍光の放出断面積を相対値で無く絶対値として得ることを可能とした。これにより、超励起状態の電子状態による解離過程の違いについて、定量的に議論することが可能になった。すなわち超励起状態からの中性解離において、低励起エネルギー側に現れた1電子励起状態に比べて、より高い励起エネルギーで見られた2電子励起状態からの解離過程が、多電子励起状態の生成断面積から考えていた以上の寄与を示すことを、Balmer-β蛍光の放出断面積スペクトルのエネルギー依存性から示した。この成果は、J.Phys.B誌に投稿した。このような多電子励起状態の寄与が他の分子においても見られるか興味深い。本年度はさらに、メタンと同じ10電子系列分子としてアンモニアおよび水について、超励起状態経由の中性解離過程を、蛍光断面積測定法により測定した。それぞれの分子の個性を反映して、メタンと全く同じ傾向ではないが、いずれの分子でも多電子励起の寄与が見出された。アンモニアでは、励起エネルギー20-40eVにおいて測定したBalmer-β蛍光の放出断面積スペクトル中に、2つの2電子励起状態由来のピークを観測した。これらの結果は、国内および国際学会において発表された。
著者
益澤 秀明 平川 公義 富田 博樹 中村 紀夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.104-110, 2004-02-20
被引用文献数
4

交通事故による脳外傷後には,特徴的な知的障害・人格変化・社会適応障害が後遺しやすい.しかし,専門家も見過ごしやすいため社会問題になり,"高次脳機能障害"とよばれるようになった.しかし,この命名では従来からの高次脳機能障害と紛らわしく混乱が生じている.そこで"脳外傷による高次脳機能障害"とよぶことにした.本障害は外傷後の意識障害の期間と関連し,急速に生じる全般性脳室拡大の程度とも関連する.つまり,本障害はびまん性軸索損傷やその他のびまん性脳損傷によってもたらされる大脳白質損傷による神経ネットワークの障害と考えられる。画像所見変化に注目することにより非外傷性疾患との鑑別も容易であり,急性期管理に携わる脳神経外科医の眼が後遺症評価においても重要である.
著者
椛 勇三郎
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

基本チェックリストの項目を複合的に活用することで、要介護認定リスクの高い者を効率よく選出できるアルゴリズムを構築するために、65歳以上の高齢者約3万人を約3年5か月間追跡した。結果、追跡開始時点において「年齢が82歳以上」、「単独世帯」、「今日が何月何日かわからない時がある」、「自分が役に立つ人間だと思えない 」の条件を満たすサブグループと「年齢が84歳以上」、「単独世帯でない」、「バスや電車で1人で外出していない」、「この1年間に転んだことがある」の条件を満たすサブグループにおいて、特に要介護認定割合が高かった。
著者
竹内 洋 稲垣 恭子 細辻 恵子 目黒 強 末冨 芳 佐藤 八寿子 細辻 恵子 目黒 強 末冨 芳 佐藤 八寿子 冨岡 勝 高山 育子 井上 好人 石井 素子 野口 剛 山口 晃子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学生生活調査や校友会誌、新聞記事、書簡集、小説などを資料として1930年代、1960年代の学生文化の転換点を明らかにした。これらの作業にもとづいて、明治期から現在にいたる学生小説の流れを確認し、代表となる学生小説を選定して各時代の特性についてまとめるとともに、学生文化の構造的変容を明らかにした。これらから、戦後日本社会における知識人界と「学問」の変容についてそのダイナミズムを描き出し、現在の社会における大学と大学界のゆらぎについて検討した。
著者
鳥越 隆士
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.87-96, 2012
被引用文献数
1

本研究は、聴覚障害児へのインクルーシブな教育実践に関して、欧米の実践や調査研究をレビューし、その現状と課題を議論した。学業成績や学力および社会性や友達関係の観点から検討した結果、単に通常の学級にいることよりも、通常の学級での活動への参加やそれに伴う肯定的な経験が重要な契機になっていることが明らかになった。また通常の学級への参加を促進する取り組みとして、健聴児と聴覚障害児がともに学ぶco-enrollmentプログラムについて言及した。調査はまだ十分でないが、概して肯定的な成果が報告されていた。またco-enrollmentプログラムでの手話の活用に関して、モダリティ分離的取り組みとモダリティ混交的取り組みが比較され、言語入力の問題だけでなく,質的に高い相互交渉をいかに活発にさせるかの観点から考察を行った。
著者
海津 亜希子 田沼 実畝 平木 こゆみ
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-12, 2009-05-30

通常の学級において、特殊音節に関する多層指導モデル、Multilayer Instruction Model(MIM;海津・田沼・平木・伊藤・Vaughn,2008)を実施した。多層指導モデル(MIM)は、まずは通常の学級においてすべての子どもに対し、効果的な指導が実施される1stステージ、1stステージ指導のみでは伸びが十分でない子どもに対する通常の学級内での補足的な指導である2ndステージ、それでも依然、伸びが乏しい子どもに対し、より柔軟な形態で集中的な指導として実施される3rdステージで構成される。本稿では、3rdステージ指導に進んだ9名の子ども(平均年齢7.2歳、標準偏差0.24)への指導効果を評価した。3rdステージ指導は、1月以降に週1度、給食の準備時間や放課後に1回20分から40分、小集団(5名以下)にてMIM特殊音節指導パッケージを用いて行った。このパッケージでは、(a)視覚化や動作化を通じた特殊音節の音節構造の理解、(b)日ごろよく用いる語を逐字でなく、視覚的なかたまりとしてとらえることによる読みの速度の向上、(c)日常語彙の拡大と使用を焦点においた。指導前後の効果測定には、特殊音節の読みのアセスメント、MIM-Progress Monitoring(MIM-PM;海津・平木・田沼・伊藤・Vaughn,2008)を用いた。結果、指導後に得点の上昇が有意にみられ、さらに読みに対する子どものとらえ方も肯定的なものへ変化した。
著者
海津 亜希子 田沼 実畝 平木 こゆみ 伊藤 由美 VAUGHN SHARON
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.534-547, 2008-12-30

Response to Intervention/Instruction (RTI)を基にした,通常の学級における多層指導モデル(Multilayer Instruction Model:MIM 〔ミム〕)の開発を行った。MIMを用いて小学1年生7クラス計208名に行った特殊音節の指導の効果が,学習につまずく危険性のある子どもをはじめ,その他の異なる学力層の子どもにおいてもみられるかを統制群小学1年生31クラス計790名との比較により行った。まず,参加群,統制群を教研式標準学力検査CRT-IIの算数の得点でマッチングし,25,50,75パーセンタイルで区切った4つの群に分けた。次に,パーセンタイルで分けた群内で,教研式全国標準読書力診断検査A形式,MIM-Progress Monitoring (MIM-PM),特殊音節の聴写課題の得点について,参加群と統制群との間で比較した。t検定の結果,4つ全てのパーセンタイルの群で,読み書きに関する諸検査では,参加群が高く,有意差がみられた。参加群の担任教員が行った授業の変容を複数観察者により評価・分析した結果,MIM導入後では,指導形態の柔軟化や指導内容,教材の多様化がみられ,クラス内で約90%の子どもが取り組んでいると評定された割合が2倍近くにまで上昇していた。
著者
三浦 房紀 鈴木 素之 村上 ひとみ 中村 秀明 多田村 克己 瀧本 浩一 朝位 孝二 大島 直樹 久長 穣 榊原 弘之 三石 真也 中田 幸男
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、行政と住民が協力して災害時の情報を収集、処理、提供するとともに、災害時要援護者の安否確認を迅速に行い、救助活動を支援するシステムの開発を行った。入力情報には、気象庁の情報のほか、地震計と3次元雨量計を設置して、独自でも入力できるシステムとした。広く住民に情報を提供するためには、デジタルサイネージを用いて、安否確認システムの要援護者が持つ端末はスマートフォンを用いて、サーバはクラウドシステムを用いてシステム構築を行った。宇部市をモデル地域として、市の防災や福祉に関連する部署、高齢者、聴覚障碍者の協力を得て、プロトタイプシステムを構築、その機能検証を行った。
著者
鳥越安久里之助 編
出版者
東洲堂
巻号頁・発行日
vol.1, 1883
著者
荻野 雅宏 川本 俊樹 金 彪
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.96-103, 2004-02-20
被引用文献数
7

本邦はスポーツに関連する神経外傷の統計に乏しく,発生頻度や種目別好発病型についての解析は困難であるが,報告されている重症頭部外傷は多くが急性硬膜下血腫で,アメリカンフットボール,ラグビー,柔道などに多い.米国からはアイスホッケー,アメリカンフットボール,サッカーに脳震盪が好発するとの報告がある.脊椎脊髄損傷は年間約数百例と推察される.種目としては水泳,スキー,ラグビー(アメリカンフットボール,サッカーを含む)に多い.軽症神経外傷(いわゆる脳震盪)の診断と受傷後の復帰の判断は. American Academy of NeurologyやConcussion in Sports Group などにより提唱された基準のもとに行うべきである.
著者
比屋根 一雄 澤部 直太 飯尾 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.586, pp.65-72, 1998-03-05
被引用文献数
17

短時間に減衰する単発音について、その擬音語表現を6種類に分類し、それらの実際の音信号のスペクトル構造の特徴について調べた。ガンマトーンを用いた疑似単発音について擬音語への認知実験を行い、中心周波数、残響時間、周波数ゆらぎに対するパラメータ依存性を定量的に解析した。カン、チンなどの衝突減衰音では母音が中心周波数を表し、1kHz以下は/o/、1〜2kHzは/a/、2kHz以上は/i/を用いる。残響時間は語尾変化として表われ、4kHzでは0〜100msがチッ、100〜200msがチン、300ms以上がチーンと表現される。純粋なガンマトーンに周波数揺らぎを加えてゆくと、カンやタンから、パン、バン等の破裂音として認識されるようになる。