著者
櫻井 豪人
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

幕末の洋学研究教育機関である開成所が刊行した英和辞典や西洋語対訳単語集について、編纂方法や収録語の諸相を新たに明らかにした。例えば、刊本として日本初の英和辞典である『英和対訳袖珍辞書』(1862年刊)については、2007年に発見された草稿を分析することにより、底本のPicard英蘭辞典以外にHoltrop・Hooiberg・Bomhoff・Weilandの英蘭辞典類も利用して訳語が導き出されていたことを指摘した。また、蘭日辞典『和蘭字彙』(1855-58年刊)の日本語部分の全てを電子テキスト化することにより、『和蘭字彙』に見られない『英和対訳袖珍辞書』の訳語の例を示すなどの成果も得られた。
著者
荻野 綱男
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

日本語研究のための資料として、WWWを用いるためのいくつかの手法を開発した。その中の一つは、ブログを利用して日本語の男女差を見ようというものである。「あたし」はほぼ女性が使用し、「おれ、ぼく」はほぼ男性が使用することを利用して、男女差がありそうな単語多数と「あたし、ぼく、おれ」が共起する程度を、WWWを検索して求め、その頻度の偏りに基づいて、それぞれの単語の「男女度」を明らかにした。すでに、男女差があるといわれる単語(つまり、男性あるいは女性に偏って使われる単語)を対象にして調べた限りでは、比較的うまくいくことがわかった。しかし、小さな男女差しかなく、判定が微妙な場合では、WWW資料として調べても、いい結果にならなかった。一方、今まで気づかれなかったような男女差を新たに発見したこともある。いずれも使要頻度の偏りがあり、それは男女別の話題の選択に関連しているのだが、今までは一般に男女差として意識されなかったような単語であった。この結果から、WWWは、男女差を調べるような、社会言語学的な研究にも利用可能であることが明らかとなった。
著者
藤原 慎一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

昨年、現生四足歩行動物において以下の2つの関係を明らかにした.1)胸郭の中で鉛直方向の圧縮力に対して相対的に高い強度を持つ肋骨の位置と肩帯の位置とは対応する(投稿準備中).2)歩行中ないし走行中に前肢で体重支持を行なっている時の肘関節角度は、肘頭突起のオリエンテーションと対応する(2007年ICVMにて口頭発表:投稿・審査中).また、3)現生ワニ類の肘関節の硬骨の縁辺部に発達する軟骨の立体構造の記載を行なった.これらの立体構造は関節の可動範囲に大きく影響するが、これまで記載されてきた硬骨の立体構造だけからでは認識できなかった.本調査ではワニ類の肘関節の可動性が軟骨構造によって制限されていることを確認した.また、現生ワニ類は哺乳類とは異なり、肘頭突起のテコを有効利用しない立ち姿勢を保っていることが分かった(日本古生物学会にて発表予定:投稿準備中).以上の1〜3の結果を踏まえて絶滅陸生動物の姿勢復元を行なうことにより、より信頼性のおける前肢姿勢の復元を行なうことができるようになった.その結果、一部の絶滅動物の近縁な種間においても前肢姿勢や姿勢維持の仕組みに大きな違いが見られることが初めて示唆された.以下にその例を示す.4)束柱目哺乳類のデスモスチルスとパレオパラドキシアの肘関節では、それぞれ大きな角度と小さな角度で姿勢保持を行なっていたことが示唆され、両種の姿勢の違いが初めて示された(2008年6月に発表予定).5)また、角竜類恐竜の中では、肘頭突起を発達させないプシッタコサウルスとプロトケラトプスの肘は現生ワニ類と同様に肘頭突起のテコを利用しない姿勢保持を行なっていたのに対し、肘頭突起の発達したレプトケラトプスやケラトプス科の仲間は現生哺乳類のように肘頭突起のテコを有効に利用した姿勢保持を行っていたと強く示唆された(Ceratopsian Symposiumにて口頭発表).
著者
池本 大輔
出版者
明治学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

イギリス政治研究においては、戦後政治をケインズ主義にもとづく「戦後コンセンサス」の時代とマネタリズムにもとづく「ネオリベラル・コンセンサス」の時代とに区分し、サッチャー政権を前者から後者への変化をもたらした政権として位置づける解釈が一般的である。本研究は、国際通貨制度や国際資本移動への態度に代表される「対外経済政策」に着目することで、新しい解釈を提示する。この解釈によれば、1970年代のヒース政権やキャラハン政権は通説がいうような過渡期ではなく、「戦後コンセンサス」とも「ネオリベラル・コンセンサス」とも異なる独自の政策を実行した時期であったと位置付けられる。サッチャー政権の革新性は、両政権との対比によってはじめて明らかになるだろう。
著者
藤原 由弥
出版者
広島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は,小学校体育科で行われるボールゲーム・ボール運動に注目して,これらの運動に必要な「空間認知力」を6年間で育成するための系統表作成,ならびに,作成した系統表に基づいて単元開発授業研究を行うことを目的とした。ボールを扱うゲームの中では,攻撃の際により自分がパスをもらえるように有効な空間へ動く,または得点へとつなげるためにより有効なパスが出せる位置を探すことが必要になってくる。このように「運動をする中で瞬時に空間を認知し,より有効な空間へ移動したりパスを出したりする力」を「空間認知力」という。研究方法としては,小学校6年間で「空間認知力」を育成するための系統表を作成後,小学校2年生の単元「ゲーム『鬼遊び』」の中の「ボール運び鬼」を基本とした単元開発,授業研究を行った。授業は毎時間ビデオで録画した。「ボール運び鬼」は,宝(ボール)を持ったオフェンス(OF)が決められた空間にいるディフェンス(DF)を突破し,宝を運ぶ鬼遊びである。この運動には,OFが空間を認知し活用しながら攻撃する(空間認知力)という特徴がある。また,コートやチームの人数,ボールの数など,様々な要素を工夫することによって低学年から空間認知力を育成することができると考えた。本単元では,DFの制限区域を広く設定しDFの動きの自由度を高めることで,中学年以降のゴール型ゲームと近い状況を作り出した。また,5対5という少人数を基本としたり,単元の中でアウトナンバーの場も設定したりすることで,空間が生じやすいようにした。さらに,攻撃ではランプレー中心とすることで低学年でも取り組みやすい運動になるようにした。成果としては,空間認知力における「わかる」(認識目標)に対する子どもたちの変容が見られた。DFを突破するためのホイントを記述式で回答させたところ,92%の子どもがフェイクやストップなどの個人的な技や,おとり作戦や時間差攻撃,コートを広く活用するなどのチームの作戦がDFを突破するためには必要だと理解していることが分かった。また,技能目標に対する変容を見るため,抽出児童を決定して宝を運ぶ決定率を分析していくと,どの子どもも単元が進むにつれて決定率が上がっていることから,子どもたちは単元が進むにつれてDFを突破するために必要な空間認知力が向上していることが分かった。以上,アンケートおよび抽出児竜の決定率の変化から,本単元は,小学校2年生の「空間認知力」の育成に有効な単元であったと考えられる。
著者
橋本 伸哉 谷 幸則
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

初めに、ピコプランクトンを含む海洋微生物の単離法の最適化を行った。微生物分離装置を用いて、従来の顕微鏡下での単離法では単離が困難な海洋微生物を海水試料や粗培養試料から単離する手法を確立した。次に、野外調査で採集した水試料を対象に、揮発性有機化合物の生成種の探索を行い、海洋微生物がクロロメタン、ブロモメタン及びヨードメタンを生成することを見出した。さらに、温帯域の海洋植物プランクトン、特に緑藻の近縁種に、ジヨードメタンを多量に生成する種を見いだし、温帯域の海洋に含まれるジヨードメタンの生成起源を初めて明らかにした。
著者
西井 匠
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は自転車のサスペンションが中高齢者の走行安定性におよぼす影響を明らかにすることであった。実験ではサスペンションの有無を設定できるシティサイクルを用い、歩道走行を想定した段差(3cm, 5cm)を乗り越えさせた。その結果、サスペンションなし条件では最大で約12Gの衝撃があったが、サスペンション設定によって6〜63%の衝撃緩和効果があった。その衝撃吸収効果により、ハンドル操作に関係する筋を過度に緊張させない効果もあった。
著者
寺井 弘文 今堀 義洋
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では省エネ・低コスト貯蔵の手段として,エタノール蒸気を用いた収穫後ブロッコリーの老化(黄化)抑制効果について,食品成分として重要なアスコルビン酸が関与する抗酸化機構を明らかにした.またエタノールは青果物の異臭や褐変など,ガス障害の原因物質であるため,処理がアルコール発酵に及ぼす影響をブロッコリーの他,バナナ,ピーマンについて検討した.エタノール蒸気処理は"エタノールパッド"(シリカゲルにエタノールを吸着したもの)により,青果物を入れた有孔ポリエチレン袋にパッドを封入することにより行い,アスコルビン酸に関する研究では20℃のもとで,アルコール発酵に関する研究では20から15℃のもとで貯蔵した.アスコルビン酸については,エタノールの蒸気処理により,対照区(無処理)に比較して,その含量の減少が抑制された.過酸化水素含量は,貯蔵期間5日を通じて処理区では無処理区に比較して低かった.また,Superoxide dismutase(SOD),Catalase(CAT),Ascorbate peroxidase(APX)の活性は貯蔵期間を通じて処理区は無処理に比べ高かった.これらのことから,処理によりブロッコリー小花の細胞内では酸化型アスコルビン酸,酸化型グルタチオンを還元型にしてアスコルビン酸-グルタチオンサイクルの働きを保ち,過酸化水素を効果的に消去していることが示唆された.またアルコール発酵に関する研究では用いた3種の青果物のうち,いずれも処理により組織中のアセトアルデヒド(AA)およびエタノール(EtOH)量の一時上昇が認められた.そのうち,ブロッコリーがAAおよびEtOH量とも最も多かった.バナナ果実で緑熟果と追熟処理果を比較した結果,処理によって緑熟果は組織中のAAおよびEtOH量が影響されなかったのに対して,追熟処理果ではいずれも一時増加がみられ,追熟の進展がやや抑制された.さらに,ピーマン果実でアルコール発酵代謝の酵素活性は処理による影響はなかった.
著者
茅 暁陽 高橋 成雄 小俣 昌樹 吉田 典正 豊浦 正広
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ユーザの情動を感知する情動センシング、情動をコンピュータ内で認知・利用する情動アナリシス、情動に適応する画像や映像を合成する情動適応型イメージシンセシスの各フェーズからなる閉じた処理ループを構成することにより、人間中心の情報ネットワークシステムの重要な基盤技術としての新しい CG技術-affective rendering の確立を目的として、感情価と覚せい度で構成される 2 次元情動モデルを使用し、各種視覚要素が情動に与える影響の調査、生体情報より2次元情動空間における状態の推定および情動を特定な状態に誘導する視覚アニメーションの設計と提示技術を開発した。
著者
岡本 玲子 鳩野 洋子 岩本 里織 小出 恵子 草野 恵美子 津田 敏秀 浜田 淳 北脇 知己 芳我 ちより 合田 加代子 山川 路代 岡本 里香 福川 京子 長野 扶佐美
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は、住民と意思決定者に活動の必要性と成果を見せる公衆衛生看護技術を構築し、それを習得する学習プログラムを開発することである。2011年度は、「見せる公衆衛生看護技術」を定義し、①活動の必要性を見せる技術、②活動の成果を見せる技術、③保健師の存在価値を見せる技術について内容を体系化、2012年度はそれをもとにテキスト「見せる公衆衛生看護技術」を作成、2013年5月に出版(岡山大学出版会)。2013年度はテキストを用いた教育プログラムを検討・試行した。2014年度には成果普及に向けたWEB教材を作成・公開した(http://wwwmiseru.fhs.okayama-u.ac.jp)。
著者
玉田 一晃
出版者
和歌山県立田辺中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

ハゼ科ヨシノボリ属魚類の繁殖様式は基質産卵性で雄が卵の見張り保護を行う。ヨシノボリ属魚類にとって川床の礫石は産卵基質となる重要な繁殖資源である。さらに,礫石サイズは保育できる卵数を決定するので,雄の繁殖成功上重要な形質である。ヨシノボリ属魚類では,大型の巣石獲得をめぐる雄間競争が種内・種間レベルでみられ,大型の個体が優位に立つ。河川性カワヨシノボリは同所的に生息する両側回遊性ヨシノボリ類に比べて小型で,巣石獲得競争上不利であると考えられる。一方,カワヨシノボリは両側回遊性ヨシノボリ類に比べ極めて大卵少産なので,前者の巣石サイズが後者より小さくても問題は少ない可能性がある。仮に,カワヨシノボリが必要な巣石サイズが両側回遊性ヨシノボリ類より小さいなら,かれらが共存する場合,巣石獲得をめぐる種間競争は緩和されることが予測される。本研究ではこの予測を検証するため,まず,カワヨシノボリと両側回遊性ヨシノボリ類の共存地点において,各種がどのようなサイズの巣石を利用しているのか調査した。次に,カワヨシノボリについて巣石サイズ選択実験をおこない、同一河川に生息する,既に巣石サイズの選好性が明らかになっている両側回遊性ヨシノボリ類とその選択性を比較した。野外調査の結果、カワヨシノボリは両側回遊性ヨシノボリ類より小さな礫石を巣として利用し、その産着卵面積も小さかった。巣石サイズ選択実験の結果、雄体サイズが巣石サイズ選択性を決定する要因であり,種の違いは無関係であることが明らかになった。カワヨシノボリは共存する両側回遊性ヨシノボリ類より体サイズが小さいので、結果として小さな礫石を巣として利用していることになる。以上の結果より,河川性カワヨシノボリと両側回遊性ヨシノボリ類とは巣石獲得をめぐっては激しい競争関係にないことが示唆された。
著者
小林 哲郎 森本 朗裕 高原 淳一 北川 勝浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

超短光パルス生成,超高速変調などの時間域の光制御については多くの研究があるのに対し,空間変調や偏向器に代表される光の空間域制御は研究も少なく,その進歩も遅れている.本研究はこの光波の空間域制御を超高速に行う要素技術である光偏向に関しての新しい開発に関するものである.ここではこの本研究独自の超高速の電気光学偏向器,周波数シフタを実際に設計,試作し,その動作確認を行うとともに,その実用化に向けての開発研究もあわせて行うことを目的としている.平成10年度の成果をまとめると,1. 電気光学結晶LiTaO_3の短ピッチ分極反転技術の確立本研究独自の斜周期分極反転を用いた疑似速度整合変調器,偏向器においては,高精度な分極反転技術が必要であるが,ラマンナス回折形偏向器を動作させるに十分な0.2mmピッチ程度の技術を確立した.なお,この斜周期分極反転を利用した超高速電気光学偏向器は特許2802366号として認可され,さらに平成10年度の科学技術振興事業団の斡旋対象発明となり現在実用化検討中である。2. 新しい電気光学偏向器の試作と良好な片方向偏向動作確認に成功昨年度にくらべ約2倍の性能を持つ偏向器を達成,これでは,10次程度のラマンナス回折が見られ,それらを制御合成し,16GHzの繰り返し周波数で30スポット以上の帰線のない超高速光ビーム偏向に成功した.さらに3倍の48GHzの偏向速度も達成している.これは偏向速度としては現在世界最高速である.3. 新しい構造の偏向素子の基本設計ギガヘルツ帯の周波数シフタは波長多重通信やヘテロダイン計測などに非常に有望である.しかし従来の音響光学偏向器を利用した周波数シフタではGHzがやっとでlOGHz以上のものを得ることは波長から考え原理的に不可能に近い.一方,斜反転周期構造をさらに細かい10μm域に進め,ブラッグ回折が利用できるなら,ここで開発している電気光学偏向器は単一周波数シフタに使える.これについて理論的検討を行うとともにlOGHz帯の周波数シフタの基本設計を進めた.
著者
米澤 弘恵 石津 みゑ子 石津 みゑ子
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

感染予防隔離患者の看護ケアの質を保証するために、隔離状況に伴う臨床看護師の倫理的意思決定プロセスの明確化、隔離状況における看護師の倫理的行動意図と実践力との関連性の解明と、隔離に伴う看護倫理的実践力育成への教育プログラムを構築した。
著者
大島 裕明
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本課題では、リアルタイムに知識発見を行う技術の開発を行った。主に、2つの異なる方向性を持つ構文パターンを用いてWeb検索を行い、その検索結果のテキストから効率的に目的の知識を獲得する手法を用いて、様々な知識発見手法を開発した。様々な種類の知識を発見するために、適切な構文パターンを発見する手法についても開発した。さらに、様々な知識発見手法を用いたアプリケーションの作成を行った。
著者
中牧 弘允 陳 天璽 廣瀬 浩二郎 日置 弘一郎 廣山 謙介 澤野 雅彦 三井 泉 竹内 恵行 澤木 聖子 出口 竜也 周佐 喜和 大石 徹 王 英燕 秦 兆雄 曹 斗燮 岩井 洋 市川 文彦 住原 則也 出口 正之 李 妍〓
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

上海万博のテーマに沿って、展示やイベントに見られる近未来の望ましい都市文化、都市生活のありようを研究した。追究したテーマは主に聖空間、国家、都市、企業にかかわるものであり、国威発揚、経済効果、生活様式の変化などに注目した。上海万博は、上海を「龍頭」として発展する現代中国を中心に、それをとりまく国際環境の縮図を一つの世界観として内外に提示したといえる。
著者
矢井田 修
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

多方面の用途展開を可能にする不織布を開発することを目的とし、この目的に沿った複合不織布の製造方法の検討から研究に着手し、次いでスパンレース不織布と他の不織布との複合化の方法および製造条件や複合構造の検討、そして試作した複合不織布の構造的特徴および物理的性能の測定、さらに形態安定性などの実用化に必要な試験を行い、用途展開が可能な高機能複合不織布の開発に対する基礎的な知見を得た。
著者
杉田 倫明
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

霞ヶ浦を対象に,水面フラックスを5年間にわたって求め,水面の交換過程のパラメタリゼーションを行った.結果として得られたバルク係数は,中~高風速域では既存の結果と同様であったが,弱風時には,風速減少とともに係数が大きくなる結果が得られた.さらに,蒸発量の空間分布を湖面温度と霞ヶ浦周辺の気象観測所の気象データから推定した.湖心部で蒸発量が多く,湖岸は小さいことが分かった.湖心の強風域が主要因であった.
著者
伊福部 達 中邑 賢龍 福島 智 田中 敏明 畑一 一貴
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本課題の目的は、筋・神経系障害(筋萎縮や失語症・発話失行)により発話が困難になった障害者のために、テキスト情報に加えて、リズム、抑揚、笑い、怒りなどのノンバーバル情報を表出できるような実用的な発話支援機器を開発するところにある。平成22年度は、21年度に提案した実施項目に従って遂行し、以下のような成果が得られた。実施項目:昨年度はウェアラブルPCとポインティング・デバイス(P.D)を用いて、音声を生成するパラメータを直接的に指やペンの動きで制御できる「構音障害者の音声生成器」を試作した。本年度は、これを利用して家庭内やリハビリ現場を想定し、生成された連続音声や感情音がどこまで正確に認識され得るのかを評価し、誰もが利用できるようにios上でプログラムをダウンロードできるようにした。評価結果:(a)昨年度の評価結果から、摩擦音(サ行)が出だしにあるような連続音声の認識率が低かったことから、P.D上に摩擦音を出せる領域を設け、音声の認識率と操作性の複雑さの観点からその有用性を評価した。その結果、操作性はそれほど負担にならないこと、全ての連続音声を認識させえることなどを確認した。(b)イントネーションやアクセントも付加できるように、表面圧センサの付いたRDを用いて、筆圧や指の押圧により非言語音を生成できるようにした。その評価から、「急ぎ」、「笑い」、「怒り」などを表わす抑揚を30分程度の訓練で単語に付加できるようになった。以上から、使用頻度の高い音声ほど何かを緊急にリアルタイムで伝えたいときに有用であることを確認した。(c)本インタフェースを同時に、多くのユーザに利用してもらうために、歌を生成できるような「音声楽器」へ拡張するとともに、本プログラムをウェブ上でダウンロードすることによって、スマートフォンにより誰もが利用できるようにできるようにした。
著者
酒井 正彦 坂部 俊樹
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、プログラムの解読・改ざんが大変困難なプログラム言語であるMalbolgeを、ソフトウェア保護の目的に利用できるようにすることである。最も大きな問題点である、該当の言語でのプログラム作成の困難性を克服するため、Malbolgeのチューリング完全性を示し、Malbolgeプログラム作成手法の大枠を確立した。
著者
小笹 祥子
出版者
青梅重立第三中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

中学生の性意識と性行動を、携帯電話にスポットを当てその関係性を調査した。本研究は一般中学生502人を対象とした。質問紙による調査とインタビューを実施した。質問紙による調査は、自己記入記名式で実施した。調査項目は、携帯電話に関する項目、性意識に関する項目とした。携帯電話に関する項目は、予備調査を実施し項目決定をしだ。性意識の関する調査は、第6回青少年の性行動全国調査を参考に決定した。携帯電話は調査対象者の58%が所有している。男女の比較では女子の所有率が高い。携帯はメール利用が多く、一日の送信回数は30回以上、返信までの時間は30分以内、メールの返事が返ってこないとイライラする、携帯が手元にないと不安、と携帯に依存している傾向が示唆される。記名式質問紙調査のため性意識のみ調査しだ。結婚願望は高学年になるほど高率になるご結婚後の役割分担は学年、男女に大きな差は見られない。インタビュー調査から得られた結果から、男女交際に必要なツールとして携帯は不可欠であり、男女交際のコミュニケーション方法としてメールの重要度が高いと示唆された。携帯への依存傾向は質問紙調査でも示唆されているが、メール返信時間、返信回数、メール送信回数が男女交際の安定性に影響している。メール返信がない場合は、振られた、嫌われた、どうしよう等の不安感情と、むかつく、イラつく等の怒り感情が喚起されやすい。また、プログに交際状況を記載し、交際状況をオープンにする傾向もうかがわれる。結婚願望は、携帯高頻度使用群が高いと示唆された。