著者
神尾 達之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ラーヴァーターは学問の手前に位置していた観相学を学問に格上げしようとした。ラーヴァーターの観相学とその受容史を追うことで、次の二点を確認することができた。(1)学問がその条件として内包している客観的な観察という方法と、観察主体の透明性という前提は、近代の発明である。(2)観察主体が自覚しないままに自己特権化し、それを可能にするテクノロジーが開発されることによって、レヴィナスのいう「他者」の顔は隠蔽され続ける。
著者
池上 良正 中村 生雄 井上 治代 岡田 真美子 佐藤 弘夫 兵藤 裕己 松尾 剛次 池上 良正 中村 生雄
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「供養の文化」を日本の民俗宗教の重要な特徴のひとつとして位置づけることによって、古代・中世から近現代にいたる、その歴史的変遷の一端を解明することができた。さらに、フィールドワークを通して、中国・韓国を含めた現代の東アジア地域における「供養の文化」の活性化や変貌の実態を明らかにした。
著者
大木 優 佐川 浩彦 崎山 朝子 大平 栄二 藤澤 浩道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.94, no.24, pp.41-48, 1994-03-11

手話は,聴覚障害者の日常会話言語の一つであり,主に手の動きによって単語や文を表現する言語である.本報告では,筆者らが開発中である手話自動翻訳システムについて述べる.手話自動翻訳システムは手話と日本語とを自動翻訳するシステムである.(1)手の形や位置データをデータグローブを使って入力し,手の動作を認識し,手話を日本語に翻訳する.(2)入力された日本語を手話に翻訳し,3次元コンピュータグラフィックスを使って手話アニメーションとして表示する.
著者
佐藤 仁 小西 史一 山本 泰智 高木 利久 松岡 聡
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2009-HPC-123, no.6, pp.1-7, 2009-11-23

TSUBAME 上で Hadoop を実行するためのツール 「Tsudoop」 を開発した.Tsudoop は,既存システムの構成や運用方針の変更をすることなく,TSUBAME 上のジョブスケジューラである n1ge や Lustre ファイルシステムなどと協調して動作して Hadoop 実行環境を構築し,ユーザの MapReduce アプリケーションを実行する.予備実験として,このツールを用いて,生物医学系の学術論文を対象にした書籍情報データベースである MEDLINE に対してテキストの全文検索を行うアプリケーションを実行した.その結果,1 ノード (16 コア) での実行と 32 ノード (512 コア) での実行とを比較して 14 倍の性能向上を示し,TSUBAME のような高速な共有ファイルシステムやジョブスケジューラが存在するような計算環境でも,MapReduce アプリケーションの実行が可能なことを確認した.
著者
中村 一平 奥田 昌之 鹿毛 治子 國次 一郎 杉山 真一 藤井 昭宏 松原 麻子 丹 信介 芳原 達也
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.279-289, 2004-12-31
被引用文献数
1 1

【目的】現在まで高齢者の介護予防や体力増進に関する多くの研究が行われているが,コントロール群との比較を行っているものは数少ない.今回,運動介入の効果を検証するため,同一町内に居住し,同じ介護老人福祉施設で同じサービスを受けている高齢者を居住地区と通所曜日により2群に分け,対照群をおき非介入期間を設け運動介入時期をずらしてクロスオーバー研究を行った.【方法】ある介護老人福祉施設の「生きがい活動支援通所事業」の参加者に,研究調査に関して文書で説明を行い,書面で同意を得た女性25名(80.3±3.4歳)を対象とした.2003年6月〜2004年1月に,介入先行群10名に3ヵ月間に5回の運動介入を行い,3ヵ月後に介入する群を入替え,介入後行群15名に同様の運動介入を行った.また,介入期間中はホームプログラムを促した.運動は特別な道具が要らず簡単なものとし,ウォーミングアップ5分,ストレッチング15分,筋力増強15分,クールダウン5分の計40分間で,デイサービスの時間に行った.測定項目は,握力,背筋力,10m歩行速度・歩数,40・30・20cm台からの立ち上がり,40cm台昇降,開眼・閉眼片足立ち,タンデム歩行安定性,Danielsらの徒手筋力検査法,老研式活動能力指標とした.【結果と結論】クロスオーバー研究でコントロールとなる非介入期間と比べて介入期間のトレーニング実施により背筋力(p=0.032)が増強した.介入期間の前後では背筋力の他に,股関節屈曲力,膝関節屈曲力・伸展力,足関節底屈力が増加したが,これらも非介入期間と比較すると有意差はなかった.クロスオーバー研究の制限はあるが,地域高齢者のデイサービス利用者で平均80歳の高年齢の場合には,月2回の運動指導のみで自宅でのトレーニングを促しても身体能力の向上という効果はでにくいと考えられる.
著者
渡辺 明照
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 課程資格教育センター (ISSN:09169741)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.48-56, 1992
著者
藤田 英典 紅林 伸幸 酒井 朗 油布 佐和子 名越 清家 WONG SukーYin
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、日本、カナダ,アメリカ、イギリス第8カ国の国際比較共同研究「教師の専門性と教師文化に関する国際比較研究(略称:PACT)」の一環として、PACT日本チームによって行なわれたもので、学校教育及び教師の仕事の改善に資することを目的として、文献研究、エスノグラフィ調査、及び質問紙調査を行い、日本における教職の専門性と教師文化の構造・特質について考察したものである。その成果と知見は多岐にわたるが、主なものは以下の通りである。1.教師文化と教育実践に関するエスノグラフィ的研究平成6年度に1年間にわたって4地域の小・中学校各1校(計8校)でフィールドワークを行ない、教師の仕事と教師文化について考察を行った。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の論文等にまとめられている。また、その知見の一部としては、教師の仕事が多種多様な作業(ワーク)によって構成されており、それが重層的に展開していることのなかに、教職の専門性や教師の多忙感の基盤があることが明らかにされた。2.教師の生活と意識に関する質問紙調査平成7年7月〜9月に全国8都県の小・中学校教師2053人を対象に実施し、教師の生活と教師文化の構造について考察した。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の研究報告書にまとめられている。同報告書において、教師の同僚性、教職の専門性、教員集団の構造、学校の組織構造などが考察・解明されている。3.PACT国際会議等での研究成果の発表平成7年4月の全米教育学会大会(AERA)、同年同月のロンドンでのPACT国際会議等、研究成果の一部を発表した。なお、今後さらに、英文で研究成果をまとめ公表する予定である。
著者
南条 厳 小林 桂 吉田 重喜
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.111-120, 1995-01-30

梅山豚の繁殖豚の飼育及び,子豚の生産・育成を通して得た調査結果を纏めると次のとおりである。1. 梅山豚の外貌は皮膚が薄墨色で,深い皺があり,毛は疎ら,耳は大きく垂れ,体型は背幅,腰幅薄く尻は傾斜し,腿とともに厚みに欠ける。種豚の体重は成豚で雄は約170kg前後,雌は150kg前後である。性質はいたって温順である。2. 種豚に対する緑葉野菜の給与は必要不可欠ではなく,種豚用配合飼料のみでもよいことが分かった。3. 耐病性については,子豚に乾いた咳をするものがでて,剖検でも肺炎を裏付ける結果がでた。4. 成熟は極めて早く,導入間もなく分娩をした2頭の受胎月齢が4ヶ月前後であったと,推定されることからもその早熟性は,充分に窺うことが出来た。5. 発情の徴候は非常に明瞭であった。6. 母体による子豚の圧死の危険がないため,分娩柵を必要としなかった。7. 母豚の平均産子数は10.1∿15.9頭で産子豚のうち生産子豚は8.7∿14.4頭であり,母豚によってはようきひ号の様な産子の40.8%が死産という生産子成績の悪い例も見受けられた。8. 子豚の平均生時体重は,父豚も梅山豚の純粋子豚では,1.0kg弱で最小体重0.38kgの子豚も活力旺盛であった。父が金華豚では梅山豚純粋種と同程度で,父がランドレースでは純粋子豚に比して約15%程度大きくなった。9. 母豚の離乳後の発情再帰日数は4.5±0.7∿10.2±2.8日で,個体によってかなりの差がでた。雄の許容日数は1.9±0.6∿2.2±0.9日であり,妊娠期間は112.7±1.2∿115.6±1.6日であった。10. 母豚の乳頭数は16∿18でヨーロッパ改良種に比して多く,産子豚では16以上の乳頭数の子豚は,母豚4頭の総産子319頭の85.6%であった。F_1子豚では父が金華豚の場合は,純粋種と同程度かもしくは多いのに比し,父がランドレース種では平均60%弱であった。11. 例数は少ないが離乳時(35日齢),3ヶ月齢の体重は,ヨーロッパ改良種との比較でほぼ同等の発育成績を示した。又,一般に仕上げ期と見做される7ヶ月齢においてもヨーロッパ改良種と比べて遜色はなかった。
著者
紅林 秀治 兼宗 進 鎌田 敏之
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

コンピュータがプログラムで動作し, 様々な機器の動作を制御していることを体験的に学習することで, 科学的にコンピュータを科学的に理解する能力が身に付けることができることが可能になるか調査した。そのために, 独自の教材用自律型ロボットを開発し, 中学生に対する授業実践を行った。その結果, 自動制御機器や家電等, 日常利用している自動化されている機器の仕組みを類推できる能力が身に付いていることがわかった。類推の背景には, コンピュータ, 電気回路, アクチュエータ, センサー等が連動していているシステムを構成していることや, 入力に対してその情報を処理して出力している関係を理解するなど, コンピュータの役割や仕組みを科学的に理解する視点が生まれてくることがわかった

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著者
田辺 敬貴
雑誌
神経心理学 : Japanese journal of neuropsychology (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.5-12, 2004-03-25
被引用文献数
1
著者
志柿 禎子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.23-31, 2001-03-30

In this paper I would like to discuss the identity of Puerto Rican People in the United States. Since 1898 Puerto Rico has been a US territory and since 1917 Puerto Ricans have had US citizenship. This fact has caused many Puerto Ricans to emigrate to the mainland. Now Puerto Rican emigrants' population on the mainland is on a level with the homeland, Puerto Rico. With the growth of Puerto Rican emigrants to the US, the image of being Puerto Rican has been changing. Now, not all Puerto Ricans speak Spanish and love the Puerto Rican dishes. We can say that Puerto Rican identity has been changing as society has changed.
著者
河合 望
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、古代エジプト新王国時代の王墓の副葬品を総合的に研究し、葬制の一端を明らかにすることを目的とした。中でも早稲田大学が1991年より調査を継続している王家の谷・西谷のアメンヘテプ3世王墓出土の副葬品の研究を中心にエジプトおよび欧米の博物館・美術館で調査研究を実施した。また自らが発掘調査を手がけたラメセス2世の孫娘イシスネフェルトの墓出土の副葬品の研究等も実施した。これらの研究により、新王国時代の王および王の埋葬にかんする理解を深めることができた。
著者
森岡 裕一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

19世紀アメリカの禁酒小説と家庭小説に見られる感傷主義に着目し分析を進めた。とりわけ禁酒小説に関しては、その代表的作品ともいえるT・S・アーサーの『酒場での十夜』の翻訳を解説とともに出版できたことは意義深い。また、「涙する少女」のモチーフを通して、禁酒小説と家庭小説に共通する特質を抽出し、その成果を口頭発表や講演で発表、さらには論文や啓蒙的文章という形で公刊しえたことは大きな成果だと自負している。