著者
伊藤 瑞規 水谷 泰彰 渡辺 宏久 植田 晃広 島 さゆり 外山 宏
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

多系統萎縮症(MSA)の突然死に対してセロトニン神経の関与が疑われており、その評価は極めて重要であると思われるが、現在のところ、生体内でセロトニン神経を評価できる方法は、髄液でのセロトニン代謝産物である5-HIAAの測定や、セロトニントランスポーターPETしか存在しない。髄液における5-HIAAの評価は、侵襲的な検査である髄液採取が必要であり、セロトニントランスポーターPETは、PETの専門機関でしか評価できない。そのため、日常診療レベルで使用されているドパミントランスポーターSPECTを用いてセロトニン神経が評価できないかを検討することとした。
著者
種村 龍 中山 明峰 稲福 繁 石神 寛通
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.Supplement104, pp.61-64, 2000-10-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
20

Vogt-Koyanagi-Harada disease has been described as an autoimmune disease which targets melanocytes and causes visual disturbance. In addition, it causes auditory and equilibrium disorders occasionally. In this study, we report a case of Harada's disease with sensorineural hearing loss.A 51-year-old male visited Aichi Medical University complaining of visual and hearing disturbances. An audiogram demonstrated moderate sensorineural hearing loss bilaterally. Visual and auditory acuity improved after administration of steroids. The hearing disturbance in this case may have been caused by an autoimmune reaction to melanocytes in the inner ear, similar to the previously reported phenomenon in the eye.
著者
倉田 賢生 井上 昇 近藤 聡子 斧沢 京子 谷 直樹 南 順也 大石 涼 長野 祐久 荒木 弘 桑野 博行 福岡市民病院COVID-19ワクチンワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.65-73, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

本研究は,トジナメラン被接種者に出現した副反応の経日的な調査,および副反応の出現率に影響する共変量の探索を目的とした.2021年3月から4月において,福岡市民病院にて本ワクチンが接種された職員を対象に,注射部位および全身の副反応(13項目)を接種当日(day 1),day 2,day 3,day 4,およびday 5以降ごとに調査した.副反応の出現率は,ほとんどがday2において最高値を認めた.1回目接種後(および2回目接種後)のday2での出現率は,注射部位の疼痛が86.0%(86.9%),倦怠感が33.2%(76.9%),頭痛が14.3%(56.9%),筋肉痛が37.0%(57.2%),発熱が5.2%(51.1%),および関節痛が9.3%(43.9%)であった.2回目接種後は1回目と比較して副反応が遷延する頻度,および中等度以上の副反応(疼痛,腫脹,皮疹を除く)が出現した被接種者の割合がそれぞれ有意に高かった.各副反応の出現率に性差,年齢差,および接種回数による差のいずれかが存在することが認められた.特に全身倦怠感および頭痛の出現率は,女性,55歳以下の年齢および2回目接種のすべてにおいて有意に増加した.女性および2回目接種は,影響する副反応の出現率の上昇のみをもたらす共変量であった.本ワクチンの副反応の出現率は,2回目接種翌日における女性および55歳以下の被接種者において高いことが示された.本研究結果は,本ワクチン被接種者の副反応の予測,および接種日の設定の際に有用であると考えられる.
著者
飯島 奏望 種村 昌也 千田 有一 東 俊一
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.399-401, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
8

In this paper, we discuss the estimation of passivity based on input-output data without a system model. In the conventional data-driven estimation method based on the gradient approach, the convergence is slow and a large number of experiments is required. Therefore, we propose the method of reduction in the amount of data for data-driven passivity estimation to MIMO systems. Furthermore, we show the convergence property of the proposed method. In addition, through numerical simulations, the effectiveness of the proposed method is verified.
著者
久保 敦士 一柳 保 國立 晃成 岡本 潤 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.514-521, 2022-06-20 (Released:2022-06-30)
参考文献数
19

背景:院外心停止(OHCA)の社会復帰率を改善させるため,わが国の蘇生ガイドラインでは,OHCAの胸骨圧迫率(CCF)80%以上を目指すことが示されている。目的と方法:搬送中のCPRが困難な場所における用手CPRと機械式CPRを比較し,その質を評価する。 消防学校の救急科学生を対象に,OHCA想定実習で実施した。結果:狭隘通路および階段におけるCCF 80%以上の割合は,機械式CPR群では40%(11/28)に達しているのに対し,用手CPR群では14%(4/28)であった。現場活動時間も機械式CPR群は用手CPR群と比べて短かった(p<0.05)。結論:搬送中CPRが困難な場所では,機械式CPRが目標値のCCFおよび現場活動時間の短縮に有用であることが示唆された。
著者
廣 尚典
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.329-340, 2023-11-20 (Released:2023-11-25)
参考文献数
87

わが国において,職場のメンタルヘルスに関する研究は,労働者のメンタルヘルス不調の第三次予防から,第二次予防,さらには第一次予防にまで,その主題を広げてきた.最近では,産業保健以外の領域の議論も取り込む動きがみられ,労働生活の質の向上や,組織の活性化といった,ゼロ次予防とも呼ばれる範疇の視点を持つものも散見される.こうした流れを踏まえて,拙論では,まず第三次予防,第二次予防に関する議論の成果であるとともに,研究や実践の基盤にもなってきたメンタルヘルス不調に係る用語,概念をまとめた.次に,1990年代以降の数々の研究で用いられてきた,仕事関連のストレスとそれがもたらす影響に関する主要なモデル,精神健康(不調)の指標などを紹介した.これらは,本領域の研究の拡がりに多大な貢献をしたと言える.他方,仕事関連のストレス要因と健康問題との関係に介在する影響因子は多数存在し,社会,文化的なものも少なくない.そのため,わが国で汎用性の高いメンタルヘルス対策の手がかりを得るためには,対象を国内に限定した大規模研究やメタ分析などを含む系統的なレビューが必要である.そうしたことから,第三に,わが国における本領域の代表的な大規模研究を,それらの推進に対する期待を込めて拾い上げた.もっとも,それらがいかに推進されても,その結果を現場での実践にどのように活用するかという課題がなくなることはないであろう.産業保健従事者が自らの担当する職場の実情を把握し,実践に落とし込む努力は重要であり続けるはずである.
著者
中川 愛 松村 京子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.192-199, 2010-06-20 (Released:2017-10-28)
被引用文献数
1

本研究では,女子大学生の乳児への関わり方が乳児との接触経験により違いがみられるかどうかについて,あやし行動,あやし言葉,音声の視点から検討を行った。実験参加者(18〜23歳)は,乳児との接触経験がある女子大学生16名(経験有群),乳児との接触経験がない女子大学生14名(経験無群)である。対象乳児は,生後3〜4ヶ月児(男児3名)である。実験の結果,あやし行動は,乳児との接触経験有群の方が,経験無群よりも,乳児への行動レパートリーが多く,乳児のぐずりが少なかった。あやし言葉は,経験有群が経験無群よりも発話レパートリーが多く,乳児の気持ちや考えを代弁するような言葉かけをした。音声については,両群ともに乳児へ話しかける声の高さは高くなり,Infant-directed speechの特徴が出現した。さらに,発話速度については,経験有群の方が,ゆっくりと話しかけていた。以上のことから,乳児と接触経験をもっている女子大学生は,多様なあやし行動を身につけていることが示唆された。
著者
Keisuke Ikawa Souta Hiro Shu Kondo Shizue Ohsawa Kaoru Sugimura
出版者
Japan Society for Cell Biology
雑誌
Cell Structure and Function (ISSN:03867196)
巻号頁・発行日
pp.23049, (Released:2023-11-30)

Directional cell rearrangement is a critical process underlying correct tissue deformation during morphogenesis. Although the involvement of F-actin regulation in cell rearrangement has been established, the role and regulation of actin binding proteins (ABPs) in this process are not well understood. In this study, we investigated the function of Coronin-1, a WD-repeat actin-binding protein, in controlling directional cell rearrangement in the Drosophila pupal wing. Transgenic flies expressing Coronin-1-EGFP were generated using CRISPR-Cas9. We observed that Coronin-1 localizes at the reconnecting junction during cell rearrangement, which is dependent on actin interacting protein 1 (AIP1) and cofilin, actin disassemblers and known regulators of wing cell rearrangement. Loss of Coronin-1 function reduces cell rearrangement directionality and hexagonal cell fraction. These results suggest that Coronin-1 promotes directional cell rearrangement via its interaction with AIP1 and cofilin, highlighting the role of ABPs in the complex process of morphogenesis.Key words: Morphogenesis, Cell rearrangement, Actin binding proteins (ABPs)

1 0 0 0 OA 例会要旨

出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.332-337, 1977-06-28 (Released:2009-04-28)
著者
奥井 亜紗子
出版者
京都女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、兵庫県北部但馬地方から都市飲食系自営業に流入した移動者の事例を通じて、戦後高度成長期における労働力型都市移動と家族変動のプロセスの実証的解明を行った。京阪神を中心に「のれんわけ」で店舗展開をしてきた大衆食堂「力餅」への量的質的研究、及び「力餅」経営主を輩出してきた但馬地方でのフィールドワークを通じて、連鎖移動を通じて食堂の住込み従業員となった人々が親方のサポートのもとで独立開業するプロセスを解明した。親方子方の関係は独立後も継続しており、労働力型移動者の家族形成と都市定着のプロセスにおいて極めて重要な役割を果たしてきたことが明らかとなった。
出版者
[ギャラリイK]
巻号頁・発行日
2004
著者
宍戸 恵理 八重 ゆかり 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.101-112, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

目 的出産体験における痛みの予測と現実および疲労の予測と現実のギャップについて,ギャップと出産満足度がどのように関連しているか探索し,この関連について無痛分娩者と自然分娩者とを比較することで,分娩方法による違いがあるのか探索する。対象と方法同一対象者を産前・産後の2時点を追跡・比較する質問紙を用いた縦断的量的記述研究であり,都市部の総合周産期医療センター1施設で調査した。2時点のデータを確保できた609名のデータを用いて,統計学的に分析を行った。結 果1. 陣痛のギャップについて,「予測より痛かった」と回答した者が,自然分娩者に多かったが,会陰部痛のギャップは,「予測より痛かった」と回答した者が,無痛分娩者に多かった。2. 産後の疲労感の平均値は,無痛分娩者が60.1(SD=27.2),自然分娩者は52.2(SD=28.0)であり,無痛分娩者の方が有意に高かった(P<0.001)。また,無痛分娩者,自然分娩者ともに痛みと疲労感が「予測より痛かった/予測より疲れている」と回答した者は,「予測より痛くなかった/予測より疲れていない」,「予測通りだった」と回答した者よりも,産後の疲労感の得点が有意に高かった。3. 出産満足度の平均値は,無痛分娩者7.61(SD=1.85),自然分娩者8.65(SD=1.43)であり,自然分娩者の出産満足度は,無痛分娩者よりも有意に高かった(P<0.001)。陣痛のギャップ,分娩転帰と出産満足度について,分散分析した結果,陣痛のギャップと分娩転帰の交互作用は有意ではなかったが,それぞれ主効果は有意であった。また,無痛分娩者では,陣痛のギャップと出産満足度との間に負の関連が認められたが,自然分娩者では関連が認められなかった。結 論無痛分娩,自然分娩のどちらの場合も,痛みや疲労感に関する予想と現実とのギャップを小さくする方策が求められる。出産満足度を改善するためには,ギャップに着目する必要があり,それは無痛分娩でより重要である。
著者
須藤 健次郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.559-565, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)

発明通信社は創業以来70余年にわたり企業や特許事務所へ,特許情報やデータベース,特許調査など様々なサービスを提供している。その中のうち,特許検索データベースのHYPAT-i2は検索・表示・出力などの機能以外に検索結果の分析や検索用のキーワードを提案する機能を備えている。これらの機能は検索結果を集計して検索集合の傾向がどのようなものかを表示するだけではなく,利用者がこれから行う検索の方向性を確認するツールとしても有効である。本稿では簡単ではあるが実例を用いてこれらの分析機能の使い方の説明と本年4月にリリースしたHYPAT-DUのAI解析を利用したAI-SDIの紹介をする。